平成26年度
食肉情報出張講座
生活習慣病
平成26年12月3日
東京 TKPガーデンシティお茶の水
日本健康・栄養システム学会理事長
茨城キリスト教大学名誉教授
医学博士
板倉弘重
主な生活習慣病
●糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、
メタボリックシンドローム
●高尿酸血症(痛風)、骨粗鬆症、
ロコモティブシンドローム、サルコペニア、
COPD(慢性閉塞性肺疾患)、
CKD(慢性腎臓病)、
慢性肝臓病(CLD、脂肪肝NASH)
●脳卒中、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)
●悪性腫瘍
●認知症
「慢性的に、潜在性に病気が進行してくる」
健診で発見されることが多い
生活習慣病ーその原因は
主要死因
悪性新生物
心疾患
こ
脳血管疾患
(肺炎)
(老衰)
骨折・転倒
認知症
関節炎・リウマチ
低栄養
煙草、食事、感染症、炎症、有害物質
動脈硬化
運動・ストレス
糖尿病
高血圧
脂質異常症
メタボリックシンドロー
ム(内臓脂肪症候群)
慢性腎臓病(CKD)
慢性肝臓病(NASH)
ロコモティブシンドローム・骨粗鬆症
サルコペニア
ねたきり原因
肺炎・老衰
低栄養
食事
(特にタンパク質)
COPD
煙草
生活習慣病のイメージ
レベル 1
●不適切な食生活
(エネルギー・食塩・脂肪の過剰 等
●身体活動・運動不足
●喫煙
●過度の飲酒
●過度のストレス
)
レベル 3
●肥満症(特に内臓脂肪型肥満)
●糖尿病
●高血圧症
●高脂血症
レベル 2
●肥 満
● 高血圧
● 高血糖
● 高脂血
レベル 4
●虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症等)
●脳卒中(脳出血・脳梗塞等)
●糖尿病の合併症(失明・人工透析等)
厚生労働省生活習慣病対策室
レベル 5
●半身の麻痺
●日常生活における支障
●認知症
がん
た
ば
こ
、
虫
歯
菌
の
一
種
*血管壁、骨、皮膚の構造を
維持し強化しているコラーゲン
くも膜下出血 をたばこが傷害する。
脳内出血
*コラーゲン結合蛋白を産生
脳梗塞
する虫歯菌のミュータンス菌も
脳塞栓
コラーゲンを破壊する。
硬膜下出血 *たばこはビタミンCを低下。
狭心症
*たばこは活性酸素を発生。
心筋梗塞
*たばこは一酸化炭素を発生。
大動脈瘤
微小血液循環障害を起す。
骨粗鬆症
椎間板症
一種の虫歯菌:
慢性閉塞性肺疾患(COPD) コラーゲン結合蛋白
産生ミュータント菌
皮膚老化(しわ、たるみ)
喫煙者に起こる肺の変化
65歳女性、非喫煙者
夫も非喫煙者
肺
表
面
の
変
化
肺
割
面
の
変
化
75歳女性、非喫煙者
夫はヘビースモーカー
70歳男性、
1日10本、50年間喫煙
70歳男性、
1日60本、55年間喫煙
骨の健康と栄養
骨粗鬆症および骨強度の新たな定義
骨強度 =
骨密度
+
骨強度にコラーゲンが大切
2001年NIHコンセンサス会議において、「骨粗鬆症は骨強度の低下によって、骨折リスクが高くなる骨の障害と定義される。
骨強度は骨密度と骨の質の両方を反映する」とされ、はじめて「骨質」という概念が提唱された。骨強度の70%は骨密度に、
残りの30%は骨質に依存している。
骨は、材質学的には鉄筋コンクリートに模式化される。コンクリートに相当するのがミネラル成分であり、鉄筋に相当するの
がコラーゲンである。骨におけるコラーゲン含有量は重量あたりで換算すると20%程度であるが、体積あたりに換算すると
50%になることから、コラーゲンの骨強度に及ぼす影響力は大きい。
(斎藤充 内科 104:516.2009)
骨の健康と栄養
骨粗鬆症および骨強度の新たな定義
骨強度 =
骨密度
+
カルシウム
ビタミンD、K
骨強度にコラーゲンが大切。→ タンパク質とビタミンC
悪玉架橋のコラーゲンを抑え、良質なコラーゲンを作る。
抗酸化物
2001年NIHコンセンサス会議において、「骨粗鬆症は骨強度の低下によって、骨折リスクが高くなる骨の障害と定義される。
骨強度は骨密度と骨の質の両方を反映する」とされ、はじめて「骨質」という概念が提唱された。骨強度の70%は骨密度に、
残りの30%は骨質に依存している。
骨は、材質学的には鉄筋コンクリートに模式化される。コンクリートに相当するのがミネラル成分であり、鉄筋に相当するの
がコラーゲンである。骨におけるコラーゲン含有量は重量あたりで換算すると20%程度であるが、体積あたりに換算すると
50%になることから、コラーゲンの骨強度に及ぼす影響力は大きい。
(斎藤充 内科 104:516.2009)
3本の組紐からなるコラーゲンの強度は架橋により高められる
骨の健康と栄養
コラーゲン同士を結びつける架橋は
骨強度を規定する「骨質因子」である
生理的架橋
非生理的老化架橋
advanced glycation end products(AGEs)
形成誘導因子
骨強度
・リジルオキシダーゼ
・酸化oxidation
・糖化glycation
・未熟架橋→成熟架橋
・老化架橋:ペントシジン
↑しなやか・粘り強い
↓脆い・チョーク様
善玉架橋
悪玉架橋
酵素反応
未熟架橋:リジノノルロイシン架橋、成熟架橋:ピリジノリン架橋。
コラーゲン分子の集合体であるコラーゲン繊維の強度を規定しているのが、隣り合う分子同士をつなぎ止める構造体
「コラーゲン架橋」である。コラーゲン架橋は、鉄筋同士をつなぎ止める「梁」に相当する。
コラーゲン架橋は、骨強度を高める善玉の生理的架橋と、骨を脆弱にする善玉の非生理的架橋に分類される。悪玉架橋
の本態は、老化物質として知られるadvanced glycation end products(AGEs)である。
悪玉架橋は、鉄筋に蓄積する「さび」と考えることができる。
(斎藤充 内科104:516.2009)
ポイント
・糖尿病の初期段階では自覚症状はほとんど現れない
⇒ 自覚症状が出た時には、相当症状が悪化している
(足がしびれる、
おできが出来易い)
(尿が泡立つ)
(食間に空腹感が強く、
気分が悪くなることがある)
糖尿病になりやすい生活習慣
家族歴、出生時低体重、遺伝素因
■膵臓の疲弊
■肥満、特に腹部肥満
■運動不足
■エネルギー摂取過剰
■慢性炎症
■肝障害
■食後過血糖
糖尿病
糖分の過剰摂取、ペットボトル症候群
ストレス
肥満、メタボリックシンドローム
高カロリー食
運動不足
歯周病、免疫力低下、抗酸化物不足
多量飲酒、脂肪肝
食物繊維不足、高糖質食
網膜症、神経障害、腎症、血液透析、
脳卒中、心臓病、認知症、悪性腫瘍
膵β細胞機能低下による糖尿病の発病
膵β細胞機能
100
予防
50
治療
加齢
発病
健康
境界域
糖尿病
がん、認知症、感染症(肺炎)
合併症
動脈硬化症
網膜症
腎症
神経障害
透析
(脳卒中、心筋梗塞、動脈瘤、末梢動脈閉塞症)
高血圧になりやすい生活習慣
高血圧
動脈硬化症、脳卒中、
慢性腎疾患(CKD)
■塩分のとり過ぎ
食品の保存、加工食品の発達
■精神的ストレス
睡眠不足、環境問題、過労
■多量飲酒
■肥満、腹部肥満
■寒冷ストレス
■動脈硬化
■慢性腎臓病
ストレス
カロリーのとり過ぎ、運動不足
喫煙など
糖尿病、炎症
脂質異常症になりやすい生活習慣
動脈硬化、心疾患、脳卒中
脂質異常症
高LDLコレステロール血症(≧140mg/dl)
低HDLコレステロール血症(<40mg/dl)
高トリグリセライド血症( ≧150mg/dl)
脂肪過剰摂取
高LDLコレステロール血症
高糖質食
高トリグリセライド血症
食物繊維不足
低HDLコレステロール血症
運動不足
低HDLコレステロール血症
トランス酸
高トリグリセライド血症
腹部肥満
糖質過剰摂取
メタボリックシンドローム
低HDLコレステロール血症
インスリン抵抗性
アルコール多飲
高トリグリセライド血症
高コレステロール食
高LDLコレステロール血症
高トリグリセライド血症
正常な動脈の構築
The Illustrated Book of Arteriosclerosis-動脈硬化図鑑-, 武城英明監修, 医事出版社, 2010
不安定プラークと血栓形成
脂
質
が
少
な
く
安
定
し
た
プ
ラ
ー
ク
、
内
腔
は
狭
窄
The Illustrated Book of Arteriosclerosis-動脈硬化図鑑-, 武城英明監修, 医事出版社, 2010
脂
質
が
多
く
不
安
定
な
プ
ラ
ー
ク
、
破
れ
て
血
栓
を
作
る
脳の血管疾患
脳卒中、くも膜下出血、硬膜下出血
外傷
動脈瘤
心房細動
血栓
虫歯
高血圧
虫歯菌が血管壁のコラーゲンを破壊
煙草も
軽症のうちに進行を予防しよう
血管性認知症
脳での動脈硬化は脳卒中や認知症に繋がる
病気として発病してきます
肺炎、癌
メタボ
メタボ
肥満
レジスチン
アディポネクチ
ン
死
合
併
症
体質
LDL-C
栄養
TNF-α
IL-6,PAI-1
運動
休養
健康食品
薬剤
19
動脈硬化は年と共に隠れて進行し急に臨床症状が現れる
(動脈硬化性疾患の発病)
血管が75%程度まで狭窄しても血流が維持され無症状
心筋梗塞
血管が75%程度まで狭窄しても血流が維持され無症状
血管狭窄度が
50%程度でも
突然、心筋梗塞
が発症すること
がある
心筋梗塞
血管が75%程度まで狭窄しても血流が維持され無症状
プラークが突然破綻し、血栓
を形成し血流が止まる
動脈硬化の進行と段階に応じた対策
食事、運動、禁煙
健康評価、リスク対策
体質に応じた栄養バラン
ス、健康食品の利用、適
正体重の維持
健康
未病(内膜肥厚)
定期診査
リスク予防対策
食事、運動、喫煙
抗ストレス
未病(粥状硬化巣)
狭心症
一過性脳虚血発作
間歇性跛行
リスク軽減療法
通院治療、薬物療法
休養
食事
食物繊維、低GI食、
糖・脂質吸収抑制、
低Na食、K摂取、
抗酸化物、ポリフェノール、
テアフラビン、抗炎症、
大豆たんぱく、紅麹、
植物ステロール、EPA、
MCT、DAG、リン脂質、
アミノ酸、オリゴペプチド、
ギンコライド、葉酸、B群、
薬物との相互作用に注意
心筋梗塞
脳梗塞
壊疽
解離性大動脈瘤
救急病棟入院
手術
血行再建術
薬物療法、栄養療法
休職、床上安静、
リハビリ
健康
(狭窄)
(閉塞)
EPA、抗酸化物、
コレステロール吸収・合
成の抑制、抗凝固・抗血
栓、抗炎症
薬物との相互作用に注意
要介護となる原因疾患
認知症
低栄養、運動不足
ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは
主に加齢による運動器の障害のため、移動能力
の低下をきたして、要介護状態になっていたり、
要介護状態になる可能性の高い状態を指す新
語。(2007年 日本整形外科学会提唱)
個別の疾病ではなく、移動能力全般に着目した
概念。
様々な運動器の障害が複合している高齢者の移
動能力を総合的にみようとする概念。
(日本ロコモティブシンドローム研究会 大江隆史 2010)
運動器の仕組み
大江隆史, 診断と治療 98:1760, 2010
7つのロコモーションチェック
7項目のうち、一つでも該当すれば、ロコモの心配があると判断する。
日本整形外科学会「ロコモパンフレット2010」より
サルコペニア
栄養低下(タンパク質不足、ビタミンD低下)
ホルモン変化(テストステロン、エストロゲン、IGF-1)
免疫・炎症性変化(IL-1、IL-6、TNFα)
酸化ストレス
代謝性変化(インスリン抵抗性)
筋肉量低下、筋力低下
遺伝的要因
(筋繊維の現象、萎縮)
神経系変化
運動不足
サルコペニア
身体活動量低下
虚弱、移動能力低下
生活機能障害、自立喪失
加齢とともに筋肉が減少する
・エネルギー消費の大きな組織として筋肉がある
・筋肉は加齢とともに減少してくる
・筋肉の著しい減少は、サルコペニアと呼ばれる
・低たんぱく質による栄養障害が原因となる
・良質のたんぱく質供給源として食肉が大切
・筋力の低下は関節を痛めやすい
・また転倒しやすくなる
蛋白質代謝
蛋白質分解
アルブミン
トランスフェリン
筋肉蛋白質
コラーゲン
(骨・血管・皮膚)
蛋白質合成
アミノ酸
ペプチド
食事たんぱく質
ホルモン、核酸、
酵素、色素、
活性アミン、
神経伝達物質
非必須アミノ酸合成
アミノ酸分解
食事
脂質
糖質
アンモニア
炭酸ガス、水、エネルギー
尿素
食肉のもつ さまざまな役割
◆脂 質
・エネルギー源 ・生理活性
・コレステロール低下作用(ステアリン酸、オレイン酸等)など
◆ビタミン
・B1(豚肉) :糖質の
代謝を助けるなど
◆微量元素
・鉄:貧血予防など
◆たんぱく質
・筋肉、肝臓、皮膚などの体組織の原料 ・免疫力を高める
・循環器疾患予防 ・抗疲労効果 など
◆ペプチド
・血圧上昇予防 ・コレステロール上昇抑制 ・抗酸化作用 など
◆アミノ酸
・トリプトファン:セロトニンを生成 ⇒精神安定、うつ状態軽減 など
・L-カルニチン:脂肪酸の燃焼を助ける
牛肉と豚肉に含まれている主な脂肪酸
脂肪酸総量100gあたりの脂肪酸
(五訂日本食品標準成分表より)
豚
牛
(豚肩ロース脂身なし)
(和牛肩ロース脂身なし)
(
g)
ミリスチン酸
14 : 0
1.6
パルミチン酸
16 : 0
26.3
28.1
ステアリン酸
18 : 0
14.9
12.4
一価不飽和脂肪酸
(M)
オレイン酸
18 : 1
42.3
46.8
多価不飽和脂肪酸
(P)
リノール酸
18 : 2
8.5
1.8
リノレン酸
18 : 3
0.5
0.2
アラキドン酸
20 : 4
0.3
0.1
飽和脂肪酸
(S)
2.8
(
g)
食肉消費量と肺結核罹患率
(Williams AC, et al. Int J Tryp Res 2013;6:73)
低栄養から免疫系の破綻と筋肉量
100% 健康
筋肉量の減少:骨格筋、平滑筋
サルコペニア
内臓蛋白の減少:アルブミン、トランスフェリン、
転送蛋白
筋肉量
Lean body mass
免疫系の破綻:リンパ球、補体、抗体の減少
急性反応蛋白の低下
創傷治癒の遅延
肺炎
臓器不全:消化管、肝臓、心臓
適応障害
70%
窒素死(Nitrogen Death)
Steffee, WP. Bull NY Acad Med P.564, 1979
沖縄の伝統食
日本一の長寿県
徹底した車社会
Healthclick Co.Ltd
正しい栄養の知識を身につけ
賢い食品選択を
糖分を含む清涼飲料水、糖質と脂肪の多い食品を控えめに
ブラジルと健康長寿
~長寿村 ベラノポリスの事例~
ブラジルと健康長寿
~長寿村 ベラノポリスの事例~
寝たきりの人が非常に少ない(脳卒中、認知症が
少ない)
80歳以上の高齢者も元気に仕事をしている
赤ワインを良く飲む
ブドウジュース
間食にリンゴチップス
リンゴ、ブドウ、柑橘類などの果物
地元で採れた野菜類を良く食べる
鶏肉、チーズ、パスタを好んで食べる
イタリア系移民の人たちが多い
大家族--家族団らん、地域の人々の交流
坂道が多い—よく歩く
赤ワイン(イザベラ)にレスベラトロールが豊富
ブラジル食品セミナー
ブルーライトにひそむ危険
ブルーライト
夜
睡眠障害
眼精疲労
昼
眼を覚ます
体内時計が壊れる
視神経
体内時計
LED照明
夜 メラトニンが分
泌され睡眠導入、
睡眠中に成長ホル
モンが分泌増加
健康のためにリズミカルな生活を。
朝の覚醒
光
食事
親時計
体内時計の乱れは
代謝障害、肥満、
疲労感、睡眠障害、
消化器症状を発生 脳、筋肉、消化器、諸臓器は
休養と活動のリズムが大切。
子時計
消化管
肝臓
腎臓
体内時計のリズムに合わせた生活を
体内時計の乱れは疲労、代謝障害、老化促進をも
たらす。
ヒトは、脳も筋肉も内臓諸臓器も休養が必要。
体内時計のリセットは光と食事でされる。そのため
に、朝定刻に光を浴び、朝食を摂る。
覚醒時には身体活動を行う。筋肉と脳神経系に刺
激を与える。
メリハリのある身体活動、食事、休養が体内時計の
リズムに良い効果を生む。
だらだらと間食を続けない。ブルーライトに浴びる時
間は長く続けないで、特に睡眠前は控える。
御清聴有難うございました
2014年12月3日
茨城キリスト教大学名誉教授
認定臨床栄養指導医
板倉弘重
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