Title
Author(s)
A study on the latitude of a western boundary current extension
jet [an abstract of dissertation and a summary of dissertation
review]
陶, 泰典
Citation
Issue Date
2015-03-25
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/59339
Right
Type
theses (doctoral - abstract and summary of review)
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Yasunori_Sue_review.pdf (審査の要旨)
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Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
学 位 論 文 審 査 の 要 旨
博士(環境科学)
審査委員
主査
副査
副査
副査
副査
教 授
教 授
准教授
助 教
主任研究官
氏 名
陶 泰典
久保川 厚
三寺 史夫
堀之内 武
水田 元太
中野 英之(気象庁気象研究所)
学 位 論 文 題 名
A study on the latitude of a western boundary current extension jet
(西岸境界流続流ジェットの形成緯度に関する研究)
海洋は気候システムの主要な構成要素の一つであり、特に、黒潮や湾流に代表される亜熱
帯循環の西岸境界流は、低緯度から高緯度へ多量の熱を運ぶことが知られている。これらの
海流は、亜熱帯循環の北端まで行くことなく、ある緯度で離岸し、東向きのジェットを形成
する。この東向きジェットを西岸境界流続流ジェットと呼ぶ。また、亜熱帯循環の北端まで
行かず離岸する現象を早期離岸と呼ぶ。西岸境界流により低緯度から運ばれてきた熱がどこ
まで行くかという問題は、西岸境界流がどの緯度で離岸し、東に転ずるかによって決まる。
それ故、この続流ジェットの緯度は気候に大きく影響する。しかし、この続流ジェットの緯
度は90年代までは海洋大循環モデルにおいてなかなか再現出来ず、海洋物理学上の大きな問
題となっていた。近年、モデルの分解能が上がることにより、モデル内での続流ジェットの
緯度の再現は可能となったものの、その緯度がどのようにして決まっているかは、依然はっ
きりとはしないままである。
本研究は、海洋物理学上重要であるにもかかわらず、明確な答えの得られていない西岸境
界流続流ジェットの緯度の決定に関して、数値モデル実験により、その各種パラメータ依存
性や亜熱帯循環を駆動する海面風応力の南北分布に対する依存性を調べ、主要な決定要因を
論じたものである。モデルとしては、シンプルな矩形領域の2層準地衡流モデルを用い、それ
を亜熱帯域に対応する負のエクマンパンピング(海面風応力カール)を東側半分にのみで与え
て駆動し、亜熱帯循環のような高気圧性循環を再現して行った。パラメータは、粘性境界層
幅、慣性境界層幅、層厚比、底摩擦係数、西岸の境界条件(partial-slip係数)、そしてエクマン
パンピングの南北分布である。
申請者は、まず、エクマンパンピングの南北分布をサイン型で与え、西岸境界条件をno-slip
とした場合のパラメータ依存性を調べた。その結果、亜熱帯循環の北の端に東向きジェット
を作る「循環境界型ジェット」と、循環境界の手前で離岸する「早期離岸型ジェット」を伴
う2つの異なる循環場の解が得られた。早期離岸型ジェットはエクマンパンピングのある東側
領域に侵入すると急激に減衰し、その領域を支配する線形海洋循環の解であるスベルドラッ
プの流れに接続する。早期離岸型ジェットと循環境界型ジェットの何れになるかは初期条件
にも依存し、どちらを初期に与えるかにより、広いパラメータ領域で両方の解が安定に存在
する。この解の多重性は、亜熱帯循環の北側で強制を与えない場合には早期離岸型ジェット
のみになることから、南北対称性に由来すると示唆された。西側境界条件、層厚比、底摩擦
についてもパラメータの値によって2つの異なる解が得られたが、早期離岸型の場合の続流ジ
ェットの緯度には、パラメータによる違いはほとんど見られないことが示された。
次に「早期離岸型ジェット」となるパラメータ領域において、駆動力となるエクマンパン
ピングの南北分布として、循環中心の緯度が変わるもの、スベルドラップ流線の南北分布が
三角形型になるものやカスプ型になるもの等を与えた。その結果、ジェットの緯度は外力の
分布の違いに非常に敏感であることが示された。早期離岸型のジェットの中心の流線関数の
値はどの実験でも概ねスベルドラップ流線関数の最大値の半分の値をとっており、ジェット
の緯度は、おおよそ、ジェットの中心の流線値とスベルドラップ流線値が一致する緯度にな
っていることが明らかになった。さらに詳細に調べると、エクマンパンピングとしてサイン
型の南北分布を与えた場合、実際のジェットの中心の緯度は、上で求まるものより、若干南
に位置することが示された。申請者は、その理由を、ポテンシャル渦度方程式を東西南北に
積分することから得られる、続流ジェットの存在する西方での流線の南北積分とスベルドラ
ップ流線の関係を表す積分条件を用いて、説明している。
この研究により得られた結果は、続流ジェットの緯度は、西岸境界条件や内部パラメータ
の詳細によらず、概ね海面風応力分により決まることを示している。さらに、海面水温は海
流分布に大きく依存し、風応力分布が海面水温場に強く影響されることを考えると、続流ジ
ェットの緯度は大気海洋相互作用の結果定まることが示唆され、気候変動を考える上におい
ても大変興味深い。審査委員一同は、これらの成果を高く評価し、また研究者として誠実かつ
熱心であり、この研究を遂行した大学院博士課程における研鑽や修得単位などもあわせ、申請
者が博士(環境科学)の学位を受けるのに充分な資格を有するものと判定した。
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A study on the latitude of a western boundary current extension jet