敗血症治療における
経肺熱希釈法の併用に関する研究
TPTD study Group
聖マリアンナ医科大学
救急医学
森澤健一郎
日本救急医学会
COI 開示
筆頭発表者: 森澤 健一郎
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
役員・顧問職等の報酬
株式の利益*(または株式の5%以上)
特許権使用料など
講演料など
原稿料など
研究費・助成金など
奨学(奨励)寄付金など
寄附講座所属
その他(旅費・贈答品など)
無
無
無
無
無
無
無
無
無
背景①
敗血症に対する過剰輸液の危険性
敗血症ではARDSの診断基準を満たしていなくて
も,肺外水分量が増加している
過剰輸液の結果として,肺水腫から人工呼吸器期間
が遷延する可能性がある
背景②
SSCGはCVPを指標とした初期輸液を推奨している
CVPは血管内容量を適切に反映しない可能性があ
る
SSCG, surviving sepsis campaign guideline; EGDT, early goal directed therapy; CVP, central vein pressure
経肺熱希釈法
(TransPulmonary ThermoDilution method : TPTD)
肺循環
CV catheter
冷却した
生理食塩水
TPTD catheter
大腿動脈に留置
体循環
Blood
temperature
Thermodilution curve
Bolus cold
saline
心臓拡張末期容量
Global End-diastolic Volume (GEDV)
Time
Thermodilution Curve
血液温度
生食
投与
脱水
溢水
時間




胸腔内血液容量 Intrathoracic Blood Volume (ITBV)
心臓拡張末期容量 Global End-diastolic Volume (GEDV)
肺血管内容量 Pulmonary Blood Volume (PBV)
肺血管外水分量 Extravascular Lung Water (EVLW)
PiCCO2 ®
Pulsion Medical
Systems, Germany
EV1000 ®
Edwards
Lifesciences, USA
目的
人工呼吸器管理を必要とする敗血症に対する輸液
管理における,経肺熱希釈法(TPTD)の有用性を
検証する
方法
敗血症に対する輸液管理について,経肺熱希釈法
を用いた群(TPTD群)と,中心静脈圧を用いた群
(CVP群)を比較する
多施設前向き無作為比較試験 (UMIN000011493)
2013年11月より開始
TPTD, transpulmonary thermodilution; CVP, central vein pressure
評価項目
 Primary outcome
人工呼吸器使用期間
 Secondary outcome
28日間生存率
ICU滞在期間
カテコラミン使用期間
参加施設
2014年10月20日現在
東京ベイ浦安・市川医療センター
徳山中央病院
大阪市立総合医療センター救命センター
大阪市立総合医療センター集中治療部
佐賀大学医学部附属病院
香川大学医学部附属病院
日本医科大学千葉北総病院
嬉野医療センター
東京大学医学部附属病院
福岡大学病院
近畿大学医学部奈良病院
近畿大学医学部附属病院
武蔵野赤十字病院
さいたま赤十字病院
聖マリアンナ横浜市西部病院
聖マリアンナ医科大学病院
参入基準
1. 敗血症
A) 全身症状を伴う感染症あるいは疑い(SSCG2012)
i.
ii.
iii.
iv.
v.
全身所見
炎症所見
循環所見
臓器障害所見
組織灌流所見
B) 感染巣の存在 + SIRS ≧ 2項目(SSCG2008)
i.
ii.
iii.
iv.
体温>38℃または<36℃
心拍数 > 90/min
呼吸数 > 20/min またはPaCO2 < 32 torr
白血球 > 12000 または< 4000
2. 48時間以上の人工呼吸器管理が必要と見込まれる
SSCG, surviving sepsis campaign guideline; SIRS, systemic inflamatory response syndrome
除外基準
18歳未満
妊婦
熱傷
薬物中毒
重症急性膵炎
頭蓋内血管病変
冠動脈疾患
慢性心房細動
 選択基準を満たした後に
24時間以上が経過している
 TPTD測定が困難
 慢性維持透析症例
 経皮的心肺補助装置を要する
 DNARの提示
 主治医の判断
 研究参加の同意が得られない
プロトコール
YES
NO
気管挿管
for SpO2 ≥ 92 %
輸液管理
※測定は2時間毎
TPTD group
CVP group
GEDI 650 – 850 ?
SVV < 15 % ?
CVP
12 – 15 mmHg ?
ノルアドレナリン
MAP 65 - 90 mmHg ?
RBC輸血
Hct > 30 % ?
ドブタミン
ScvO2 ≥ 70 % ?
 輸液の目標達成
※6時間以内の到達を目指す
 Hct > 30 %
 ScvO2 ≥ 70 %
 乳酸 < 4 mmol/L
輸液量
の
増減
Goal ?
 SpO2 ≥ 92 %
 MAP 65 - 90 mmHg
Further
treatment
結果:flow diagram
113症例が参入
46症例が解析対象
67症例が除外
同意なし
主治医判断
慢性不整脈
DNAR
PCPS
TPTD測定困難
24時間以上経過
冠動脈疾患
頭蓋内血管病変
重症急性膵炎
薬物中毒
熱傷
慢性維持透析
妊婦
18歳未満
1
11
15
7
5
TPTD群
(n = 24)
7
4
CVP群
(n = 22)
3
4
2
2
気管切開 (n=3)
気管切開 (n=2)
データ不備 (n=1)
社会的入院 (n=1)
1
8
重症敗血症,または敗血症性ショッ
ク
2013年11月~2014年10月
TPTD群
(n = 20)
CVP群
(n = 19)
結果:backgrounds
TPTD群
(n = 20)
CVP群
(n = 19)
P値
年齢
70 (15)
71(10)
ns
男性 [n(%)]
14 (58)
10(42)
ns
SAPS II
56 (15)
56 (15)
ns
SOFA
11 (3)
12 (4)
ns
P/F ratio
271 (146)
233 (114)
ns
乳酸[mmol/L]
4.4 (4.0)
4.0 (3.2)
ns
呼吸器
7
7
消化器
6
4
尿路
3
3
その他
4
5
(Mean ± SD)
TPTD, transpulmonary thermodilution; CVP, central vein pressure
SAPS II, simplified acute physiology score II; SOFA, sequential organ assessment score
結果①:人工呼吸器使用期間
(%)
(日)
20
100
中央値
15
TPTD群
80
CVP群
60
10
CVP群
5
TPTD群
3.9
3.1
Kaplan-Meier曲線
40
ns
20
0
0
平均値
(日)
0
5
10
15
(Mean ± SD)
CVP群:4.4 ± 3.4
TPTD群: 3.2 ± 1.9
人工呼吸器管理期間に差は
みとめなかった
結果②:生存率
28日生存率 [n(%)]
TPTD群
(n = 19)
CVP群
(n = 18)
P値
13(68)
14 (78)
ns
28日間生存率に差はみとめなかった
結果③:ICU滞在期間
(%)
(日)
25
100
中央値
20
15
TPTD群
CVP群
80
CVP群
60
Kaplan-Meier曲線
10
5
TPTD群
5.0
4.3
40
ns
20
0
0
平均値
0
(Mean ± SD)
CVP群:6.0 ± 4.7
TPTD群: 4.3 ± 2.2
5
10
15
20
TPTD群ではICUの滞在期間が
短縮される傾向にあった
(日)
結果④:カテコラミン使用期間
(日)
(%)
100
中央値
6
TPTD群
80
CVP群
TPTD群
4
2.7
CVP群
60
Kaplan-Meier曲線
40
1.9
2
p = 0.02
20
0
0
(日)
0
平均値
(Mean ± SD)
CVP群:2.8 ± 1.6
TPTD群: 1.9 ± 0.8
2
4
6
8
TPTD群ではカテコラミンの投与期間
が有意に短縮された
結果⑤:輸液量
TPTD群
(n = 20)
CVP群
(n = 19)
P値
0-24hr
5647 (3846)
4916(2475)
ns
24-48hr
2872(2051)
2629 (1104)
ns
48-72hr
1767 (1412)
2526 (1393)
0.02
輸液量[ml]
(Mean ± SD)
48時間までは,TPTD群の輸液量が多い傾向にあった
48~72時間では, TPTD群で輸液量を制限することができた
考察
人工呼吸器管理を必要とする敗血症に対し,
経肺熱希釈法(TPTD)を用いた輸液管理を行った
中心静脈圧を用いた従来の輸液管理に比べて,
28日生存率と人工呼吸器管理期間に差は無かった
TPTD群では48時間までの輸液量は多く,
48~72時間の輸液量は制限することができた
TPTD群ではICU滞在期間、カテコラミン使用期間が
短縮される傾向にあった
TPTDは急性期の適切な大量輸液を管理し,
カテコラミンの投与期間を短縮できる可能性がある
ダウンロード

JAAM2014morisawa(2.2MB)