■ インドネシア ■
インドネシア
Republic of Indonesia
2011 年
2012 年
2013 年
①人口:2 億 3,764 万人(2010 年)
④実質 GDP 成長率(%)
6.5
6.2
5.8
②面積:191 万 931km2(2012 年)
⑤消費者物価上昇率(%)
3.8
4.3
8.4
③ 1 人当たり GDP:3,500 米ドル
⑥失業率(%)
6.6
6.1
6.3
(2013 年)
⑦貿易収支(100 万米ドル)
33,825
8,680
5,833
⑧経常収支(100 万米ドル)
1,685
△ 24,418
△ 29,129
⑨外貨準備高(100 万米ドル)
110,123
112,781
99,387
⑩対外債務残高(100 万米ドル)
118,642
126,119
123,548
⑪為替レート(1 米ドルにつき、
ルピア、期末仲値)
9,068
9,670
12,189
〔注〕⑩:公的債務のみ
〔出所〕①∼⑥:インドネシア中央統計庁(BPS)
、⑦∼⑪:インドネシア中央銀行
2013 年のインドネシア経済は、民間消費が前年に続き堅調に推移する一方、投資が減速し、実質 GDP 成長率は 5.8%と 4 年
ぶりに 6%を下回った。2014 年も内需が経済成長を牽引するとみられるが、1 月に導入された未加工鉱物の禁輸政策による輸
出減退などの影響が懸念される。政府は、当初 6.0%としていた 2014 年の成長率の見通しを、5 月に国会に提出した補正予算
案では 5.5%に下方修正した。足元では人件費の高騰、電気料金の上昇など製造コストは増加傾向にあるが、力強い内需を背
景に、進出日系企業からは業況の上向きや好況の持続を予想する声が多く聞かれる。
■実質 GDP 成長率は 4 年ぶりに 6%割れ
四半期ごとの実質 GDP 成長率は、第 1 四半期から第 3
2013 年の実質 GDP 成長率は 5.8%と 4 年ぶりに 6%を下
四半期まで前年同期比 6.0%、5.8%、5.6%と徐々に減速
回った。需要項目別の伸び率のうち、投資に当たる国内
したが、
第4四半期は5.7%と6四半期ぶりに前期を上回っ
総固定資本形成は前年比 4.7%と前年の 9.8%から伸びは
た。米国をはじめとする主要輸出相手国の景気が少しず
鈍化したが、民間最終消費支出は前年と同じく 5.3%と堅
つ回復したことが寄与した。
調に推移した。
業種別では、全 9 業種でプラスとなった。成長率が最
一方、マクロ経済の課題としては、6 月に財政を圧迫
も高かった運輸・通信は、前年比 10.2%増で 2 桁成長と
してきた燃料補助金の削減を決定して以降、消費者物価
なり、前年を上回った。以下、金融・不動産・企業サー
上昇率が前年同月比で 8%台の水準に上昇したことが挙
ビス(7.6%増)
、建設(6.6%増)
、商業・ホテル・レスト
げられる。また、貿易赤字は 7 月に過去最大の 23 億 9,000
ラン(5.9%増)の順だった。製造業は 5.6%増で、前年と
万ドルを記録して以降は赤字が続き、第 4 四半期(10~
比べてわずかに伸びが鈍化した。また、
農林・水産(3.5%
12 月)は改善したものの、貿易統計上、2013 年通年では
増)
、鉱業・採掘(1.3%増)は低い伸びにとどまった。
前年を上回る 40 億 6,370 万ドルの赤字となった。
2014 年に入ってからは、民間消費は引き続き堅調であ
さらに、インフレの抑制、通貨ルピアの安定も課題で
るが、1 月から導入された未加工鉱物の禁輸政策が影響
ある。その対策として、15 カ月連続で過去最低水準の
し、輸出が減少した。第 1 四半期の実質 GDP 成長率は前
5.75%に据え置かれていた政策金利は 6 月以降、段階的に
年同期比 5.2%と伸び悩み、2009 年第 3 四半期(4.2%)以
7.5%まで引き上げられた。
来の低い水準となった。政府は2013年10月に発表した予
算指標において、2014 年の成長
表 1 インドネシアの需要項目別実質 GDP 成長率
2012 年
実質 GDP 成長率
民間最終消費支出
政府最終消費支出
国内総固定資本形成
財貨・サービスの輸出
財貨・サービスの輸入(控除)
6.2
5.3
1.3
9.8
2.0
6.7
(単位:%)
2013 年
5.8
5.3
4.9
4.7
5.3
1.2
Q1
6.0
5.2
0.4
5.9
3.4
△ 0.4
2013 年
Q2
Q3
5.8
5.6
5.1
5.5
2.1
8.8
4.7
4.5
4.8
5.3
0.6
3.8
〔注〕四半期の伸び率は前年同期比。
〔出所〕インドネシア中央統計庁(BPS)
Q4
5.7
5.3
6.5
4.4
7.4
△ 0.6
2014 年
Q1
5.2
5.6
3.6
5.1
△ 0.8
△ 0.7
率を 6.0%としていたが、5 月に
国会に提出した補正予算案では
5.5%に下方修正した。各機関に
よる 2014 年の成長率見通しは、
インドネシア中央銀行が 5.1~
5.5%、世界銀行が 5.3%、アジア
開発銀行が6.0%、
OECDが5.7%、
IMF が 5.4%となっている。
1
■ インドネシア ■
2014 年は 5 年に一度の選挙の年に当たり、総選挙、大
最も割合が大きい鉱物性燃料が前年比 6.2%減の 247 億
統領選挙が相次いで実施された。そのため、上期は外国
8,200万ドルとなった。中国などの主要輸出先での需要の
投資家を中心に投資については様子見の雰囲気が広がっ
減退や輸出価格の低迷が主な要因だ。動植物性油脂も、
たが、下期以降は回復が期待される。また、同時に民間
パーム油価格の下落や主要輸出先であるインドの需要減
消費の回復も期待される。
退などにより、9.7%減の 192 億 2,490 万ドルとなった。以
下、電気機器・部品が 3.0%減の 104 億 4,430 万ドル、ゴム
■貿易赤字は前年比で拡大
および同製品が10.3%減の93億9,410万ドルと続いた。鉱
インドネシア中央統計庁(BPS)によると、2013 年の
石、スラグ、灰は前年比 28.7%増と急増し、65 億 4,280 万
輸出は前年比 3.9%減の 1,825 億 6,760 万ドル、輸入は 2.6%
ドルとなった。輸出全体の 2 割弱を占める石油・ガスは、
減の 1,866 億 3,130 万ドルとなり、輸出、輸入ともに前年
11.7%減の 326 億 3,300 万ドルと前年に続き 2 桁の減少を
比で減少した。貿易統計上の貿易赤字は 40 億 6,370 万ド
記録した。品目別にみると、
ガスが11.7%減の181億2,920
ルに達し、前年の 16 億 6,920 万ドルから拡大した。主要
万ドル、
原油が17.0%減の102億470万ドルと2桁減となっ
国との貿易収支は、中国との貿易赤字が 72 億 4,800 万ド
たが、石油製品は 3.3%増の 42 億 9,910 万ドルと増加した。
ルで最も大きく、逆にインドとの間では 90 億 6,730 万ド
石油、ガスの掘削量の低迷に加えて、インドネシア国内
ルの黒字を確保した。
における需要の高まりが輸出の減少要因となった。
輸出は全体の 8 割強を占める非石油・ガスが前年比
輸出を国別にみると、日本は全体の半分以上を占める
2.0%減の1,499億3,460万ドルとなった。品目別にみると、
鉱物性燃料および鉱物油が 13.8%減少したことが主な要
表 2 インドネシアの主要品目別輸出入<通関ベース>
非石油・ガス
鉱物性燃料
動植物性油脂
電気機器・部品
ゴムおよび同製品
鉱石、スラグ、灰
石油・ガス
原油
石油製品
ガス
合計
2012 年
金額
153,043
26,408
21,300
10,765
10,475
5,083
36,977
12,293
4,163
20,521
190,020
輸出(FOB)
2013 年
金額
構成比
149,935
82.1
24,782
13.6
19,225
10.5
10,444
5.7
9,394
5.1
6,543
3.6
32,633
17.9
10,205
5.6
4,299
2.4
18,129
9.9
182,568
100.0
(単位:100 万ドル、%)
伸び率
△ 2.0 非石油・ガス
△ 6.2
機械・部品
△ 9.7
電気機器・部品
△ 3.0
鉄鋼
△ 10.3
輸送機器・部品
28.7
プラスチック・製品
△ 11.7 石油・ガス
△ 17.0
原油
3.3
石油製品
△ 11.7
ガス
△ 3.9 合計
2012 年
金額
149,125
28,428
18,905
10,139
9,757
6,991
42,564
10,803
28,679
3,082
191,690
輸入(CIF)
2013 年
金額
構成比
141,365
75.7
27,292
14.6
18,202
9.8
9,554
5.1
7,915
4.2
7,643
4.1
45,267
24.3
13,586
7.3
28,568
15.3
3,113
1.7
186,631
100.0
伸び率
△ 5.2
△ 4.0
△ 3.7
△ 5.8
△ 18.9
9.3
6.3
25.8
△ 0.4
1.0
△ 2.6
〔注〕非石油・ガスの内訳は、主要製品の HS コード 2 桁による分類。非石油・ガスは記載した内訳以外も含む。
〔出所〕インドネシア中央統計庁(BPS)
表 3 インドネシアの主要国・地域別輸出入<通関ベース>
ASEAN
シンガポール
マレーシア
タイ
日本
中国
米国
インド
韓国
台湾
オーストラリア
EU27
オランダ
ドイツ
合計(その他含む)
2012 年
金額
41,831
17,135
11,280
6,635
30,135
21,660
14,874
12,496
15,050
6,243
4,905
18,030
4,664
3,075
190,020
輸出(FOB)
2013 年
金額
構成比
40,630
22.3
16,686
9.1
10,667
5.8
6,062
3.3
27,086
14.8
22,602
12.4
15,692
8.6
13,031
7.1
11,423
6.3
5,862
3.2
4,371
2.4
16,764
9.2
4,106
2.2
2,883
1.6
182,568
100.0
伸び率
△ 2.9
△ 2.6
△ 5.4
△ 8.6
△ 10.1
4.3
5.5
4.3
△ 24.1
△ 6.1
△ 10.9
△ 7.0
△ 12.0
△ 6.2
△ 3.9
(単位:100 万ドル、%)
ASEAN
シンガポール
マレーシア
タイ
中国
日本
韓国
米国
サウジアラビア
オーストラリア
インド
EU27
ドイツ
フランス
合計(その他含む)
〔出所〕ワールド・トレード・アトラス(原データはインドネシア中央統計庁)
2
2012 年
金額
53,661
26,087
12,244
11,437
29,387
22,768
11,970
11,603
5,199
5,298
4,306
14,132
4,189
1,924
191,690
輸入(CIF)
2013 年
金額
構成比
53,851
28.9
25,582
13.7
13,323
7.1
10,703
5.7
29,850
16.0
19,285
10.3
11,593
6.2
9,066
4.9
6,526
3.5
5,038
2.7
3,964
2.1
13,708
7.3
4,426
2.4
1,591
0.9
186,631
100.0
伸び率
0.4
△ 1.9
8.8
△ 6.4
1.6
△ 15.3
△ 3.2
△ 21.9
25.5
△ 4.9
△ 7.9
△ 3.0
5.7
△ 17.3
△ 2.6
■ インドネシア ■
因となり、前年比 10.1%減の 270 億 8,630 万ドルと 2 桁減
鋼が 19.2%減の 20 億 7,740 万ドル、プラスチック・製品が
となったが、前年に続き最大の輸出相手国となった。続
1.9%増の 18 億 3,020 万ドル、有機化学品が 3.3%増の 18 億
いて、
中国は36.5%を占める鉱物性燃料が1.6%増となり、
960 万ドルだった。
全体で 4.3%増の 226 億 150 万ドル、シンガポールは 37.9%
■保護主義的な動きには警戒を
を占める鉱物性燃料および鉱物油が 4.2%減となり、全体
では 2.6%減の 166 億 8,630 万ドルだった。以下、米国(156
安定した経済成長を背景に内需の拡大が進むインドネ
億 9,170 万ドル、5.5%増)、インド(130 億 3,130 万ドル、
シアでは、近年、輸入の増加傾向が続いてきた。一方で、
4.3%増)と続いた。
資源に依存した輸出は、中国などの主要輸出先での需要
輸入は、全体の 8 割弱を占める非石油・ガスが前年比
減退、資源価格の下落などの影響により減少が続き、貿
5.2%減の1,413億6,450万ドルとなった。品目別にみると、
易赤字が拡大した。こうした状況を踏まえ、政府は貿易
機械・部品が 4.0%減の 272 億 9,200 万ドルで最も多く、電
救済措置、輸入規制、特定分野への国家規格の導入など、
気機器・部品(182 億 200 万ドル、3.7%減)、鉄鋼(95 億
国内産業保護を軸とした貿易政策を打ち出している。以
5,360 万ドル、5.8%減)
、輸送機器・部品(79 億 1,460 万
下に、貿易や通関・関税に関する主な政策、通関をめぐ
ドル、18.9%減)と続いた。また、輸入全体の 2 割強を占
る問題などについて紹介する。
(1)貿易救済措置
める石油・ガスの輸入は、6.3%増の 452 億 6,680 万ドルと
なった。品目別では、原油が 25.8%増の 135 億 8,580 万ド
インドネシア政府は、アンチダンピング措置、セーフ
ル、ガスは 1.0%増の 31 億 1,300 万ドルだったが、石油製
ガード措置など WTO 協定に基づく貿易救済措置を実施
品は0.4%減の285億6,800万ドルと微減となった。原油産
している。WTO によると、2013 年にインドネシア政府
出量が低迷する中、内需の拡大により燃料消費は増加し
が実施した調査件数はアンチダンピングが 5 件、セーフ
ており、石油・ガスの輸入は拡大した。
ガードが 2 件だった。現地報道などによれば、アンチダ
ンピングでは韓国、中国、台湾、シンガポール産のポリ
用途別に輸入実績をみると、原材料・副資材が輸入全
体の 8 割弱を占め、
資本財を含めると 9 割強に達した。直
エチレン・テレフタレート(PET)
、中国、マレーシア、
接投資の増加に伴う、国内製造業における資本財や原材
韓国、台湾産のポリエステルのスピンドロー糸などが調
料・副資材の需要増加が背景にある。
査対象となったが、2014 年に入り PET についてはダンピ
ング関税を賦課しないこととなった。
輸入を国別にみると、中国は鉄鋼が 8.4%増、電気機
器・部品が 3.9%増となり、全体では 1.6%増の 298 億 4,950
2013 年に実際に課税された案件としては、日本を含む
万ドルで最も多かった。2010 年に本格発効した ASEAN
5 カ国・地域から輸入される冷延コイル・鋼板(CRC/
中国自由貿易協定(ACFTA)の後押しもあり、中国か
S)に対する課税(税率:5.9~55.6%)、中国、インド、
らの電気機器・部品の輸入が増加している。続いて、シ
ロシア、カザフスタン、ベラルーシ、台湾、タイの非合
ンガポールは全体の 6 割を占める鉱物性燃料が 0.2%の微
金熱延スチールシートに対する課税(税率最高:20%)
減だったが、全体では 1.9%減の 255 億 8,150 万ドル、日本
などがある。
2013 年 3 月、インドネシア政府は、日本、中国、韓国、
は 3 割弱を占める機械類が 16.3%減となり、全体では
15.3%減の 192 億 8,460 万ドルだった。以下、マレーシア
ベトナム、台湾を原産地とする冷延コイル・鋼板に対し
(133 億 2,250 万ドル、8.8%増)、韓国(115 億 9,260 万ドル、
て、アンチダンピング措置を決定した。国営製鉄クラカ
タウスチールが輸入鉄鋼製品のダンピングにより被害が
3.2%減)と続いた。
2014 年 1~3 月(暫定値)の輸出は前年同期比 2.4%減
発生していると提訴したことを受けて、アンチダンピン
の 443 億 1,790 万ドル、輸入は 5.3%減の 432 億 4,520 万ド
グ委員会(KADI)が 2011 年 6 月から調査を開始してい
ルだった。非石油・ガスの輸出を品目別にみると、鉱物
た。発動期間は2013年3月19日から3年間で、
一部のメー
性燃料が前年同期比 13.3%減の 56 億 3,040 万ドル、動植物
カーを除き、日本製品に対しては最高税率の 55.6%が適
性油脂が 8.8%増の 52 億 8,680 万ドルとなった。以下、電
用されている。しかし、当該鉄鋼製品の主なユーザーで
気機器・部品(24 億 6,130 万ドル、7.5%減)、ゴムおよび
ある自動車産業にとっては、インドネシア産 CRC/S が
同製品(20 億 6,310 万ドル、16.0%減)、機械・部品(15
品質の要求基準を満たしていないことから、日本製品を
億 3,100 万ドル、8.1%増)と続いた。
使用せざるを得ない状況だ。一方、同じ政府内の工業省
また、2014 年 1~3 月の非石油・ガスの輸入を品目別に
やインドネシア自動車工業会(GAIKINDO)は、同措置
みると、機械・部品が前年同期比 3.8%減の 62 億 4,040 万
の導入に伴う自動車部品の生産コストの上昇が、国産部
ドル、電気機器・部品が 5.3%減の 44 億 3,440 万ドル、鉄
品の競争力の低下や部品の輸入増加を引き起こし、イン
3
■ インドネシア ■
ドネシアにおける自動車関連投資や雇用にも影響を及ぼ
7 月発効)である。インドネシアが AJCEP に署名しない
すとの懸念を訴えている。さらに、アンチダンピング税
理由は、日本との間では二国間協定が活用できるからと
賦課措置が開始されてから、当該鉄鋼製品の供給が不足
されている。
していることもあり、KADI は 2014 年 4 月、本措置につ
近年、インドネシアでは輸入の急増を踏まえ、自由貿
いて「中間レビュー」を開始。今後、その結果によって
易の推進により、さらに輸入が増大することへの懸念が
は見直しが行われる可能性がある。
強まっている。特に、2010 年 1 月に ASEAN 中国 FTA
さらに、2014 年 1 月には、中国、韓国、台湾原産の鉄
(ACFTA)が本格発効して以降、中国からの輸入が急増
鋼フラットロールに対して、4.4~7.9%の課税が決定し
し、産業界の反発が強まった。そうした状況を考慮し、
た。
インドネシア政府は環太平洋パートナーシップ(TPP)
セーフガードについては 2013 年 8 月、石油掘削用油井
については不参加を表明し、政財界もおおむね政府の対
管(OCTG)の輸入に対して発動された。また、2014 年
応を支持している。一方、交渉に参加している東アジア
1 月には、貿易保護委員会(KPPI)が線材のセーフガー
地域包括的経済連携(RCEP)について、政府は、域内
ド調査の開始を決定した。
自由化の進展により中国、インドを含む世界最大級の巨
(2)通関に関わる問題
大市場が誕生することへの大きな期待感を示している。
近年、首都ジャカルタにおける港湾、道路、鉄道等の
TPP への対抗軸としての位置付けも想定しているよう
整備の遅れから、物流面に大きな支障が生じている。イ
だ。
ンフラ整備の遅延に加え、首都のタンジュンプリオク港
JIEPAは、おおむね円滑に活用されている。インドネ
では通関手続きの遅延が大きな問題となっており、輸入
シア商業省が発給している原産地証明書の発給手続きは、
通関に長時間を要している。物流事業者へのヒアリング
申請後、即日もしくは翌日の発給が実現しており、輸送
によれば、税関検査がある場合には 3 週間程度、ない場
機器・部品、繊維分野を中心に活用されている。しかし、
合でも約 1 週間を要するという。輸入通関に関わる規則
運用面では利用促進に向けて解決が望まれる課題もある。
などが事前告知なしで突然変更されることが多いほか、
例えば、
保税地域ではJIEPAの関税減免が利用できない。
通関のプロセスが担当官の裁量に任される部分が大きく、
保税地域は、製品の輸出が前提であり、原材料や部品の
恣意的な運用を指摘する声も強い。2014 年 3 月にジャカ
輸入に当たり関税は原則賦課されない。しかし、保税地
ルタ・ジャパンクラブ(JJC)が開催した説明会によれ
域でも一定割合は国内向けの製品販売が認められており、
ば、税関は輸入者を、VHR(Very High Risk)、HR(High
その分の関税は支払う必要がある。本来、保税地域にお
し
い
Risk)
、MR(Medium Risk)、LR(Low Risk)、MITA
ける国内向けに販売する製品に関わる原材料や部品の輸
(①優先、②非優先)の 6 種類に区分する。これら輸入者
入でも、関税減免品目に該当していれば、原産地規則を
のリスクと、輸入貨物のリスクとの組み合わせにより、
満たすことで JIEPAを利用できるはずである。しかし、
税関は書類審査、現物審査の要否を決定し、書類審査・
インドネシアの税関は、保税と JIEPAの併用を認めてお
現物検査(レッド)、通関前書類審査(イエロー)
、通関
らず、関係企業は関税の支払いを強いられている。
後書類審査(グリーン)、書類審査・現物検査ともになし
■対内直接投資は日本が 7 年ぶりに首位
(ブルー)の四つのカテゴリーに分類する。輸入者側は、
税関検査率の軽減と輸出入手続きの迅速化を強く望んで
インドネシア投資調整庁(BKPM)によると、2013 年
おり、JJC は税関当局に対して改善要望を出している。
の対内直接投資額(実行ベース)は前年比 16.5%増の 286
億 1,750 万ドルとなり、前年に続いて過去最高を更新し
■ JIEPA は運用面で依然課題も
た。業種別では、鉱業が 48 億 1,640 万ドルで全体の 16.8%
インドネシアが締結している自由貿易協定(FTA)は、
を占め最も多かった。以下、輸送機器(37 億 3,220 万ド
ASEAN の枠組みを中心とした多国間協定が 5 件と二国
ル)
、金属・機械・電機(33 億 2,710 万ドル)
、化学・医
間協定が 1 件だ。多国間FTAでは、ASEAN域内のAFTA
薬品(31 億 4,230 万ドル)
、電気・ガス・水道(22 億 2,180
に加えて、ASEAN と中国、韓国、インド、オーストラ
万ドル)
、食品(21 億 1,770 万ドル)
、農業(16 億 530 万ド
リア・ニュージーランドのそれぞれとの FTA が発効して
ル)の順だった。輸送機器は金額ベースで前年比 2 倍と
いる。一方、日本 ASEAN 包括的連携協定(AJCEP)に
なり、
構成比も前年の7.5%から13.0%へと大きく伸びた。
ついては、インドネシアが ASEAN 加盟国の中で唯一未
他方、運輸・通信・倉庫業は 48.4%減の 14 億 4,990 万ドル
発効の状況が続いている。唯一発効している二国間協定
となり、構成比は 11.4%から 5.1%へと大幅に低下した。
は、日本・インドネシア経済連携協定(JIEPA、2008 年
国・地域別にみると、日本が 47 億 1,290 万ドルとなり、
4
■ インドネシア ■
表 4 インドネシアの業種別対内直接投資<実行ベース>
農業
牧畜業
林業
水産業
鉱業
製造業
食品
繊維
皮革・製靴
木材加工
紙・製紙
化学・医薬品
ゴム・プラスチック
非金属鉱物
金属・機械・電機
医療器具・光学機器・時計等
輸送機器
その他
電気・ガス・水道
建設
商業・修理業
ホテル・レストラン
運輸・通信・倉庫業
不動産・工業団地・オフィス関連
その他サービス
合計
2012 年
金額
1,602
20
27
29
4,255
11,770
1,783
473
159
76
1,307
2,770
660
146
2,453
3
1,840
100
1,515
240
484
768
2,808
402
646
24,565
件数
520
19
39
69
820
3,322
797
241
91
59
103
430
231
138
679
12
342
199
156
146
2,233
448
198
285
1,357
9,612
(単位:件、100 万ドル、%)
2013 年
金額
構成比
1,605
5.6
11
0.0
29
0.1
10
0.0
4,816
16.8
15,859
55.4
2,118
7.4
751
2.6
96
0.3
40
0.1
1,169
4.1
3,142
11.0
472
1.7
874
3.1
3,327
11.6
26
0.1
3,732
13.0
112
0.4
2,222
7.8
527
1.8
607
2.1
463
1.6
1,450
5.1
678
2.4
342
1.2
28,618
100.0
伸び率
0.2
△ 42.9
7.1
△ 65.5
13.2
34.7
18.8
58.7
△ 39.5
△ 48.2
△ 10.5
13.4
△ 28.5
499.5
35.7
667.6
102.8
11.5
46.7
119.9
25.4
△ 39.8
△ 48.4
68.7
△ 47.1
16.5
〔注〕農業は、プランテーションなどを含む。
〔出所〕インドネシア投資調整庁(BKPM)
アジア
ASEAN
シンガポール
マレーシア
その他アジア
日本
韓国
中国
欧州
EU28
オランダ
英国
米州
米国
オセアニア
アフリカ
モーリシャス
コンソーシアム
合計
る。日本の直接投資が 1 位になったの
は 2006 年以来 7 年ぶりである。自動車
メーカー各社による大型の拡張投資や、
部品企業による投資が続々と実施され、
日本の投資額は前年比 91.8%増と大き
く伸びた。3 位以下は、
米国
(24 億 3,580
万ドル)
、韓国(22 億 550 万ドル)
、英
国(10 億 7,580 万ドル)と続いた。
BKPM は、2013 年の国内投資を含め
た投資額全体の目標を390兆3,000億ル
ピアとしていたが、結果的にはそれを
2.1%上回る398兆6,000億ルピアを達成
した。また、四半期ごとにみると、第
1 四半期から第 4 四半期にかけて、
93 兆
ル ピ ア、99 兆 8,000 億 ル ピ ア、100 兆
5,000 億ルピア、105 兆 3,000 億ルピアと
投資は増加傾向にある。マヘンドラ・
シレガル BKPM 長官は、構造的な貿易
赤字や、米国の金融緩和縮小に向けた
動きなどを背景とした経済の減速、さ
らには 2014 年の総選挙、大統領選挙の
表 5 インドネシアの国・地域別対内直接投資<実行ベース>
(単位:件、100 万ドル、%)
2012 年
金額
11,098
5,460
4,856
530
5,638
2,457
1,950
141
2,574
2,303
967
934
2,140
1,238
745
1,196
1,059
6,812
24,565
らの投資も多く含まれているとみられ
件数
4,992
2,235
1,592
574
2,757
958
807
411
1,003
902
233
231
632
210
310
86
55
2,589
9,612
2013 年
金額
構成比
13,798
48.2
5,496
19.2
4,671
16.3
711
2.5
8,302
29.0
4,713
16.5
2,206
7.7
297
1.0
2,567
9.0
2,414
8.4
928
3.2
1,076
3.8
3,749
13.1
2,436
8.5
234
0.8
802
2.8
780
2.7
7,469
26.1
28,618
100.0
〔注〕欧州は、ロシア、トルコなども含む。
〔出所〕インドネシア投資調整庁(BKPM)
伸び率
24.3
0.7
△ 3.8
34.3
47.2
91.8
13.1
110.6
△ 0.3
4.8
△ 4.0
15.1
75.2
96.7
△ 68.7
△ 33.0
△ 26.3
9.6
16.5
影響により、投資家の静観ムードが広
がるとの観測がある中でも、2014 年の
投資額は前年比約15%増を目標として
いる。
■投資誘致は道半ば
インドネシアでは、投資優遇制度が
近隣諸国と比べて不足しているという
声が根強い。政府は、国際収支改善の
観点からも直接投資の呼び込みが重要
と認識しており、投資環境の整備や投
資誘致に努めている。そうした中、政
府は 2011 年 8 月、国内外からの投資を
促進することを目的に、タックスホリ
デー(法人所得税一時免税措置)を導
入した。本優遇措置の適用条件等を定
めた財務大臣規定2011年第130号では、
政府がパイオニア産業に指定する基礎
金属、石油精製または石油・天然ガス
シンガポールの 46 億 7,080 万ドルをわずかに上回って首
を源とする基礎有機化学、機械、再生エネルギー、通信
位となった。シンガポールからの投資には、1997 年のア
機器の 5 分野で、1 兆ルピア以上の投資をする案件が対象
ジア通貨危機を機に資金をシンガポールに移した国内財
となる。優遇内容としては、商業生産開始から最短 5 年
閥や資産家による資金の還流(実質は国内投資)に加え、
間、最長 10 年間にわたり法人所得税が免除される。免税
日本企業をはじめとする外国企業のシンガポール拠点か
期間終了後の 2 年間は法人所得税を 50%軽減する措置も
5
■ インドネシア ■
ある。しかし、投資総額の 10%をインドネシア国内の銀
した企業が非常に少ないのが現状である。
行に預け入れることが義務付けられるなど、資金面の負
また、政府は 2014 年 4 月、投資の禁止・規制業種、外
担も大きく、優遇を得るためのハードルは高い。財務省
国企業による出資上限などを定めた、投資ネガティブリ
は2013年内に適用条件などを緩和する計画を明らかにし
ストを改定した。この改定では、①外資規制を緩和する
ていた。しかし、最低投資金額の引き下げ、適用期間の
分野(発電〈10 メガワット未満〉
、送電、配電、製薬な
延長、対象分野の見直しなどが検討されていることが報
ど 9 分野)
、②外資規制を強化する分野(石油・ガス採掘
道されるにとどまり、2014 年 7 月時点で改定には至って
サービス、石油ガス施設の運転・保守サービス、設計・
いない。
エンジニアリング、電力設備据え付け、情報サービスセ
一方、もう一つの投資優遇制度であるタックスアロー
ンター〈コールセンター〉など 5 分野)
、③農業分野にお
ワンス(法人所得税一時減税措置)は、タックスホリデー
ける規制強化分野(園芸分野における 5 分野)
、④これま
に比べて投資金額や対象分野の条件が緩く、ハードルは
で規定されていなかった分野
(ディストリビューター
〈卸
低いといわれている。優遇内容としては、投資額の 30%
売りなど〉
、倉庫、冷蔵保管、インターネットを通じた小
を 6 年間にわたり毎年 5%ずつ課税所得から控除、減価償
売りなど 11 分野)と、大きく分けて 4 タイプについての
却期間の短縮、配当金課税の軽減、繰越欠損期間の延長
変更があった。特に、
ディストリビューターについては、
がある。2011 年 12 月に制度の一部が変更され、対象業種
改定前は外資 100%での設立が可能であったが、外資の
は 101 から 129 に拡大された。本制度では、投資額と雇用
出資上限が 33%に引き下げられた。5 月に日系企業向け
人数の条件があり、分野によって「投資額 500 億ルピア
に開催された BKPM 説明会においては、貿易会社につい
以上で 300 人以上の雇用」もしくは「投資額 1,000 億ルピ
ては外資 100%での設立が可能であるが、輸入品は必ず
ア以上で 100 人以上の雇用」が求められる。
ディストリビューター(外資上限比率 33%)を通して国
これら投資優遇制度については、優遇措置の適用基準
内流通させる必要があると説明している。
が不明確という課題がある。特に、タックスホリデーは
インドネシア政府は、個別の投資案件リストを公表し
BKPM または工業省、タックスアローワンスは BKPM が
ていない。そのため、報道や各社プレスリリースを基に
担当する一次審査を通過した後、財務省の審査委員会に
2013 年および 2014 年 1~5 月の大型投資案件を取りまと
よる二次審査に非常に長い時間を要し、審査の終了期限
めた。自動車の分野では、トヨタ自動車が 2013 年 3 月に
を過ぎても決定がなされないケースも散見され、投資家
投資額約 330 億円で第 2 工場を開設したほか、2014 年 2 月
からは不満の声が挙がっている。
には約230億円を投じてエンジン工場の建設を開始した。
タックスホリデーは、制度導入以来、多くの国内外企
ダイハツ工業は 2013 年 4 月、約 215 億円を投じた新工場
業が申請しているといわれているが、適用を正式に受け
を開設し、8 月には最大 200 億円を投じてエンジンの生産
た企業はペトロキミア・ブタジエン・インドネシア、ユ
ラインを新設することを発表した。また、ホンダは 2014
ニリーバ・オレオケミカル・インドネシア、エネルギー・
年 1 月、約 270 億円を投じた第 2 工場の稼働を開始した。
スジャトラ・マスの 3 社のみである。投資誘致や産業振
スズキは 2013 年 9 月、乗用車とエンジンの工場の新設で
興を図る BKPM や工業省による一次審査を通過しても、
約 930 億円の投資を発表した。米国勢では、自動車大手
税収不足もあり、財政安定を目指す財政当局の二次審査
の GM が 2013 年 5 月、8 年前に閉鎖した工場に 1 億 5,000
の通過は容易ではない状況にある。
万ドルを投じて新たな生産設備を導入し、自動車の生産
また、タックスアローワンスについても、一部の日系
を再開した。家電の分野では、シャープが 2013 年 9 月、
企業が利用するにとどまっている。審査期間が長期にわ
約 100 億円を投じた白物家電工場の稼働を開始した。ま
たることがネックで、実際に利用している日系企業から
た、台湾の鴻海精密工業傘下の富士康科技(フォックス
は、申請して 1 年以上が経過し、制度の利用を諦めたこ
コン)は 2014 年 3 月、BKPM から投資基本許可を取得し
ろに認可されたとの声も聞かれる。
た。同社は5年間で100億ドルの投資を計画しており、
「ブ
政府は投資誘致を強化する意向だが、投資優遇制度は
ラックベリー」のスマートフォンの受託生産も予定して
依然乏しく、運用面でも大きな課題を抱えているのが実
いる。英蘭系日用品・食品大手のユニリーバは 2013 年 7
情だ。ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)が、日系企
月、約 140 億円を投じる油脂化学工場の起工式を行った。
業を対象に毎年行っている税務アンケートの2013年度集
■日本との貿易は輸出、輸入ともに減少
計結果によると、回答企業 124 社のうち、タックスアロー
ワンスについて審査中が 4 社、審査を受けたが不採択が
日本側の「貿易統計(通関ベース)」をドル換算する
1 社、適用中が 1 社という結果となり、実際に制度を利用
と、2013 年の日本の対インドネシア輸出は前年比 15.7%
6
■ インドネシア ■
表 6 日本の対インドネシア主要品目別輸出入<通関ベース>
化学製品
有機化合物
プラスチック
原料別製品
鉄鋼
非鉄金属
金属製品
一般機械
原動機
金属加工機械
建設用・鉱山用機械
荷役機械
電気機器
半導体等電子部品
IC
電機回路等の機器
輸送用機器
自動車
乗用車
バス・トラック
自動車の部分品
合計(その他含む)
2012 年
金額
1,456
319
547
4,566
2,285
667
653
6,033
1,339
625
657
680
2,374
436
241
505
4,457
2,241
819
1,277
2,063
20,337
輸出(FOB)
2013 年
金額
構成比
1,459
8.5
399
2.3
537
3.1
4,068
23.7
2,009
11.7
607
3.5
610
3.6
4,899
28.6
1,059
6.2
763
4.5
228
1.3
482
2.8
2,133
12.4
347
2.0
214
1.2
456
2.7
3,172
18.5
1,307
7.6
527
3.1
679
4.0
1,783
10.4
17,138
100.0
(単位:100 万ドル、%)
伸び率
0.2
25.2
△ 1.8
△ 10.9
△ 12.1
△ 9.1
△ 6.5
△ 18.8
△ 21.0
22.1
△ 65.2
△ 29.1
△ 10.2
△ 20.4
△ 11.3
△ 9.7
△ 28.8
△ 41.7
△ 35.6
△ 46.8
△ 13.5
△ 15.7
食料品
魚介類
エビ
原料品
非鉄金属鉱
鉱物性燃料
原油および粗油
石油製品
揮発油
液化天然ガス
石炭
化学製品
有機化合物
原料別製品
非鉄金属
織物用糸・繊維製品
木製品等(除家具)
一般機械
電気機器
音響映像機器(含部品)
輸送用機器
合計(その他含む)
2012 年
金額
1,225
921
381
4,818
2,058
17,368
6,059
1,016
190
5,821
4,434
782
215
3,383
631
590
914
892
1,536
199
510
32,394
輸入(CIF)
2013 年
金額
構成比
1,142
3.9
859
3.0
416
1.4
4,080
14.0
1,900
6.5
15,187
52.2
5,041
17.3
625
2.1
127
0.4
5,672
19.5
3,829
13.2
783
2.7
266
0.9
3,175
10.9
588
2.0
539
1.9
970
3.3
707
2.4
1,529
5.3
194
0.7
478
1.6
29,078
100.0
伸び率
△ 6.8
△ 6.8
9.4
△ 15.3
△ 7.6
△ 12.6
△ 16.8
△ 38.5
△ 33.3
△ 2.6
△ 13.7
0.0
24.2
△ 6.2
△ 6.8
△ 8.6
6.1
△ 20.7
△ 0.5
△ 2.6
△ 6.2
△ 10.2
〔出所〕財務省「貿易統計(通関ベース)」から作成
減の 171 億 3,752 万ドル、輸入は 10.2%減の 290 億 7,834 万
法では、2014 年 1 月から鉱物資源を未加工の状態で輸出
ドルと輸出、輸入ともに 2 桁の減少となった。
することが禁じられた。経過措置として、2012 年 5 月か
日本の輸出は、前年に続き一般機械が全体の 3 割弱を
らは精錬所の建設計画を有していること、輸出税の納税
占め最も構成比が高かったが、前年比で 18.8%減の 48 億
などの条件を満たした場合に限り未加工の状態での輸出
9,936 万ドルと大幅に落ち込んだ。内訳をみると、一般機
が認められた。日本はニッケル鉱、スズ鉱で半分近くを
械の約 2 割を占める原動機は 21.0%減となったが、逆に
インドネシアからの輸入に依存しており、禁輸政策が輸
金属加工機械は 22.1%増となった。建設用・鉱山用機械
入減少の要因となっている。2014 年 1 月、鉱物資源の高
は、中国の石炭需要が減退したことと、石炭価格の下落
付加価値義務に関する大臣規定が改定され、ニッケル、
が影響し、インドネシア国内の鉱業用機械の需要が低下
ボーキサイト等の未加工鉱物の輸出禁止、銅精鉱等の輸
したため、前年比 65.2%減と大幅に減少した。次に構成
出許可制および輸出税課税が本格的に開始されている。
比が高い原料別製品では、鉄鋼が 12.1%減となり、原料
2014 年 1~3 月(確報値)の日本の対インドネシア輸出
別製品全体では 10.9%減の 40 億 6,797 万ドルだった。ま
は前年同期比 15.3%減の 37 億 4,103 万ドル、輸入は 7.8%
た、全体の 2 割弱を占める輸送用機器は、自動車(41.7%
減の72億1,715万ドルだった。日本の輸出は全体の3割弱
減)の大幅な減少が影響し、28.8%減の 31 億 7,227 万ドル
を占め、最も構成比が大きい一般機械が 12.3%減、次に
だった。以下、電気機器(21 億 3,305 万ドル、10.2%減)
、
構成比が高い原料別製品が 13.7%減となり、その他の品
化学製品(14 億 5,863 万ドル、0.2%増)と続いた。
目も減少した。一般機械の内訳をみると、全体に占める
日本の対インドネシア輸入も前年比で減少した品目が
割合が高い原動機が 11.7%減、金属加工機械が 11.2%減
ほとんどだった。
輸入全体の過半を占める鉱物性燃料は、
となり、鉱業需要の低迷が続く建設用・鉱山用機械は
12.6%減の 151 億 8,671 万ドルだった。内訳をみると、金
31.0%減を記録するなど、他の品目でも大幅な減少と
額が大きい順に、液化天然ガスが 2.6%減、原油および粗
なった。原料別製品は、
全体の半分を占める鉄鋼が14.7%
油が 16.8%減、石炭が 13.7%減、石油製品が 38.5%減と軒
減となったことなどが影響した。以下、輸送用機器(6
並み減少した。次に構成比が高い原料品は、15.3%減の
億 9,003 万ドル、28.6%減)
、電気機器(4 億 4,965 万ドル、
40 億 7,987 万ドルだった。銅鉱、ニッケル、アルミニウ
16.5%減)の順だった。
ム鉱を含む非鉄金属鉱の輸入は7.6%減で前年の19.1%減
日本の輸入は鉱物性燃料が 6.1%減となり、全体を押し
と比較し減少幅は縮小した。2009 年に公布された新鉱物
下げた。内訳をみると、原油および粗油が 25.7%減、石
7
■ インドネシア ■
炭は 15.5%減と 2 桁の減少となったが、液化天然ガスは
費財の分野では化粧品、トイレタリー、調味料などの分
17.1%増と大幅に増加した。以下、原料品(8 億 551 万ド
野で進出企業による拡張投資が、食品、飲料の分野では
ル、27.9%減)
、原料別製品(7 億 1,989 万ドル、6.4%減)
、
菓子、乳製品、製パン、清涼飲料水などで新規投資の発
電気機器(4 億 1,632 万ドル、2.9%増)、食料品(2 億 4,268
表が相次いでいる。また、コンテンツなどの分野での動
万ドル、3.4%減)
、化学製品(1 億 7,710 万ドル、9.2%減)
、
きも活発化している。このような動きから、投資件数は
一般機械(1 億 6,087 万ドル、11.1%減)と続いた。
増加するとみられるが、大型投資は一巡しており、投資
金額は縮小する見込みだ。
■日本の直接投資額は 9 割増
インドネシア投資調整庁(BKPM)によると、2013 年
■進出日系企業は消費財を中心に好況を維持
の日本の対インドネシア直接投資実績は件数では前年の
ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)の調査部会(事
405 件から大幅に増加して 958 件となり、金額も前述のと
務局:ジェトロ・ジャカルタ事務所)は毎年、加盟企業
おり、前年比 91.8%増の 47 億 1,290 万ドルを記録した。日
(2014 年 5 月時点:561 社)に対して業況感調査を実施し
本からの投資はここ数年、好調な内需向けを中心に企業
ている。最新の調査(2014 年 3 月実施)では、人件費の
の進出ラッシュが続き、国別で 7 年ぶりの首位となった。
高騰、電気料金の上昇、総選挙および大統領選挙に伴う
日本の投資は投資額全体の 16.5%(前年は 10.0%)を占
政治の停滞など、
投資環境が悪化する懸念はあるものの、
めた。国・地域ごとの業種別の投資実績は公表されてい
中間層の拡大で市場が成長し、力強い内需を背景に安定
ないが、日本の投資は自動車メーカーによる大型の拡張
成長を続けていることから、多くの業界が業況の上向き
投資のほか、自動車、二輪車から構成される輸送用機器
や好況の持続を予想している。
の分野を中心に、中小部品メーカーの進出が前年に続い
業種別にみると、食品、飲料、生活用品は中間層の拡
て多かった。投資地域としては、進出日系企業の約 8 割
大により需要が引き続き拡大すると予想し、業況の上向
が集積する首都圏および近郊(ジャカルタ首都特別州、
きを見込んでいる。二輪車は、購買意欲の高まりから市
西ジャワ州、バンテン州)への投資が大半を占めた。
場の拡大を予想し、新製品の投入や生産能力の増強を進
2014 年に入っても自動車、二輪車の分野を中心に日本
め、
電子部品は二輪車市場の拡大に伴う増産などにより、
企 業 の 活 動 は 活 発 だ。 イ ン ド ネ シ ア 自 動 車 工 業 会
業況は前年比で上向く見通しだ。鉄鋼は、為替の安定が
(GAIKINDO)によれば、自動車の国内販売は好調に推
前提ながら需要の堅調持続を見込み、繊維は中国のコス
移し、2014 年の販売台数は 134 万台の見通しだ。内需が
ト増などを背景に欧米や日本からの受注増を期待する。
堅調に推移することが見込まれること、2013 年 9 月から
また、銀行、保険は自動車、二輪車市場の好調や企業の
市場に投入された「低価格エコカー(LCGC)」の販売が
旺盛な資金需要などにより好調を維持する見通しだ。
好調であることなどが販売台数の押し上げ要因となりそ
一方で、化学は製造コストの増加が収益圧迫要因とな
うだ。また、輸出についても、中東・アフリカ地域など
るが、為替相場が現状レベルであれば国際競争力を維持
輸出先が多様化していること、これまでのスポーツ用多
できるとみて業況は不変と予想する。家電も成長率の鈍
目的車(SUV)
、多目的乗用車(MPV)に加えて LCGC
化を見込み、家電市場が本格的に上向くのは 2015 年から
の輸出も予定されていることから、その押し上げ効果も
とみている。また、自動車は経済の減速などに伴う消費
期待できそうだ。
者購買力の低下、ルピア安、金利上昇、交通渋滞の悪化
2013 年以降、日系自動車セットメーカーによる大型投
などにより、昨年までの好況と比べて業況の悪化を予想
資が次々と実施されたこともあり、その動きには一服感
する企業が多かった。建設は競争の激化や利幅の縮小な
がみられるものの、2012 年ごろから進出準備を進めてき
どにより、業況の悪化を予想する企業が多い。
たサプライヤー企業による投資が予定されている。
また、
日系企業による投資は、幅広い分野で新規投資、増産
自動車メーカー各社の増産に対応するため、鉄鋼分野で
投資が計画されている。また、製造投資以外にも、自動
は、
自動車用鋼板の工場建設も発表されている。自動車、
車、二輪車、生活用品などの分野で研究開発投資、これ
二輪車以外の分野では、好調な内需を狙って、生活用品、
らの分野に加えて電子部品、機械、繊維などの分野では
食品・飲料などの一般消費財をはじめ、外食、教育、IT、
合理化を含む QCD(品質・コスト・納期)強化を目的と
金融などのサービス業分野への投資もみられる。一般消
した投資が計画されている。
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