第3章 氷晶雲の地上観測*
(Cirrus observations from a ground−based system)
3.1 目的と方法、および観測日時**
(P皿pose and method)
巻雲などの氷晶雲(以下,巻雲と総称)は,地球一大気系の放射収支のみならず,対流圏上部
の水収支にとっても重要な役割をはたしているが,気候システムの中で最も分かっていない要素
の一つとなっている。特に,気侯変化の機構において,巻雲は重要なそして効果的なフィード
パック作用を持つと考えられているが,その働きの実態は謎のままである。巻雲は,一般に粒子
密度が低く,それ故光学的に薄く,可視光および赤外線に対して半透明,非黒体であるという特
性のために,高い高度に出現することとあいまって,下層の水雲とは異なった独特の放射効果を
もつ。そして,その放射効果は,未だ十分に理解されていない巻雲の微物理構造(氷晶の形状,
粒系分布,濃度など)に強く依存する。また,巻雲が非球形の氷晶から成っていることも,放射
過程のモデル化などの問題を難しくしている。
他方,観測においては,巻雲が高高度,低温という状態にあることによる観測の困難さのた
め,近年になりようやく航空機を用いた直接観測(例えば、Heymsfield and Knollenberg,1972;
Paltridge and Platt,1981など)や,ライダー(例えば,Platt(1973)と彼等による一連の研究)
を利用した地上からのリモート観測が行われるようになった。しかし,従来の観測では,雲物理
と放射の同時測定の例は,きわめて少ない。このようなことから,’80年代後半に日本および欧米
で開始されたWCRP/ISCCP関連のr雲一放射」実験観測においては,巻雲が観測の主要対象と
なっている。
本研究においても,雲と放射の実験観測が計画された。実験観測は二つの部分から成ってお
り,一つは,第2章で述べた前線や寒気の吹き出しに伴う下層・中層の層状雲を対象とした航空
機観測であり,もう一つは航空機による直接観測が困難な上層の巻雲を対象とした地上観測であ
る。この観測は,気象研究所構内にて,雲粒子ゾンデ,ライダー,各種放射計を組合せた総合的
な観測により,温暖前線に伴う巻層雲など中緯度の氷晶雲の微物理特性と放射特性の同時観測
データを得ることを目的とする。また,観測を実施したときは,NOAA衛星のデータを収集・解
* 放射観測1浅野正二・内山明博・塩原匡貴・深堀正志,
雲粒子ゾンデ=松尾敬世・村上正隆・水野 量・山田芳則
ラ イ ダー:内野 修・水野芳成・藤本敏文(1990年度から)・田端 功(1989年度まで)
** 浅野正二(S.Asano),内山明博(A・Uchiyama)
一185一
気象研究所技術報告 第29号 1992
析し,巻雲からの上向き放射の特性を調べる。総合観測の際に得られたデータセットは,巻雲の
放射特性を明らかにするためだけでなく,衛星などによりその広域分布と光学特性を調べるため
のリモート・サウンディングの技術開発の基礎資料ともなる。
巻雲の地上観測で使用した測器・観測項目をTable3.1.1にまとめた。雲粒子ゾンデ(HYVIS,
1.1節参照)は,雲の微物理量についての情報を直接得ることを目的にした特殊ゾンデである。ア
Table3。LI Instruments for the ground−based cirms observation and measurement
elements.
ゾンデ
測器
測定量
測定(抽出)される物理量
雲粒子ゾンデ
気温,湿度,
温度,水蒸気量,
氷晶の数密度,
微物理特性(氷晶の形,サイズ,
粒径分布
数,氷水量)
(HYVIS)
Li(leI
測器
波長
測定量
測定(抽出)される物理量
ルビーライダー
694.3nm
後方散乱強度
雲底・雲頂高度,雲厚,
YAGライダー
532nm
偏光解消度
可視光の光学的厚さ
水滴と氷晶の区別,
氷晶の配列状態
Radiometer
測器
波長
測定量
測定(抽出)される物理量
分光直達日射計
368nm,500nm,
透過光のスペクトル
太陽放射に対する光学的厚さの
(sunph・t・mete・)
675nm,862nm
分布
波長分布
0.4∼1.6μm
分光日射フラックス
地表面での太陽放射分光フラッ
分光全天日射計
(多波長雲日射計)
フーリエ変換型
クス
800∼1200cm−1
赤外放射スペクトル
赤外窓領域の射出率
赤外10μ肌域の光学的厚さ
赤外分光光度計
(FTIR)
赤外放射温度計
9。5∼1L5μm・
赤外窓領域の放射輝
窓領域の射出率・光学的厚さ
度温度
雲の輝度温度
全天日射計
0.3∼3μη喜
全天日射フラックス
地表面での太陽放射フラックス
全天放射計
5∼50μm
全天赤外放射フラッ
地表面での赤外放射フラックス
クス
全天カメラ
全天雲分布
巻雲の水平分布
可視反射輝度
可視光の反射率
赤外放射輝度
赤外窓領域の射出率・光学的厚さ
目生
衛
NOAA
AVHRR,,HIRS
雲の分布
一186一
気象研究所技術報告 第29号 1992
クティブなリモートセンシングの手段であるライダーの使用は,雲底・雲頂高度,可視の光学的
厚さを時間的に高頻度で得ることを目的にしている。HYVISが点の情報でしかないに対して,ラ
イダーは連続的な情報を与えてくれる.放射測器には,分光直達日射計(サンフォトメータ
(sunphotometer)を使用),分光全天日射計(多波長雲日射計(MCP,1.4節参照)を使用),赤
外分光光度計(FTIR),赤外放射温度計,全天日射計および全天放射計などがある。
巻雲の地上観測は,春季(5月∼6月)と秋季(9月∼11月)に観測期間を設定して,次の条
件のもとに行った。
①雲粒子ゾンデ観測が可能な広がりを持つ巻雲が存在する。
② 天頂が巻雲におおわれている。
③下層の雲の雲量が5/10以下である。
ただし,時間帯は,隣接する高層気象台のルーチン観測の障害にならないよう10:00∼14:00,
16:00∼19:30(JST)に制限された.観測を実施するときは,それぞれめ測器による観測概況,
GMSのWEFAXによる雲の状況,NOAA衛星の通過時刻等を連絡し合いながら観測を行った。
実施された観測日と各項目の測定時問をTable3.1.2に示した。雲粒子ゾンデは1∼2回/1観
Table3.L2 0bservation date and time.
Date (YYIMMIDD) andTime(LST)
Instmments
1987/12/11
雲粒子ゾンデ
12:11∼
1989/06/22
11:05∼
(HYVIS)
ライダー
1989/06/30
10;44∼
1ggo/lo/29
16:58∼
1ggo/11/01
16:51∼
Iggo/11/19
12:05∼
12:54∼
10:14−14:06
08:5住09:22
10;22−11:26
10:30−12:10
12:39−13:28
15:58−18:24
15:29−16二55
12:07−12:31
14;36−14=54
分光直達日射計
一
09:00−12=59
10:26−13:59
09:00−12:59
10二26−13:59
一
一
一
一
一
一
(sunphotomete・)
分光全天日射計
一
(MCP)
.
赤外分光光度計
一
(FTIR)
赤外放射温度計
一
全天日射計
一
全天放射計
一
NOAA衛星
NOAA−9
(14:51∼)
10二45−13:15
10:45−13;50
(5分間隔)
(5分問隔)
09:00−12:59
10:26』13:59
16:03−18=31
15:56−17;42
10二37−13:46
09:00−12:59
10:26−13;59
16;03−16;45
15:56−16:40
10;37−13:46
09:00−12:59
10;26−13:59
16:03−18:31
15:56−17:42
10:37−13:46
NOAA−11
(13;03∼)
NOAA−10
(08;21∼)
NOAA−11
(13;29∼)
一187一
17:00−18;20
(10分間隔)
NOAA−11
(13:44∼)
NOAA−10
(17:55∼)
16=00−17=40
(10分間隔)
NOAA−11
(13:10∼)
NOAA−10
(18:26∼)
11110−13:30
(10分間隔)
NOAA−11
(13:12∼)
気象研究所技術報告 第29号 1992
測,ライダーは2分∼数分問隔,FTIRは5分または10分問隔,各種放射計は20秒間隔でデータを
取得した。NOAA衛星のデータは,観測時間内または前後のデータを収集した。観測データの処
理状況は,Table3.L3にまとめた。○は処理済み,△は未処理,一はデータ無しである。ライ
ダーの1990年11月19日のデータは下層の雲量が多く,ほとんどデータが得られていない。分光全
天日射計は絶対較正がむづかしく物理量への変換をまだ行っていない。赤外放射温度計は一50℃
以下は測定できないため1990年10月29日,11月1日のデータの一部は無効データである。1990年
10月29日,11月1日は16:00(JST)過ぎの観測であるので途中で日没となり全天日射計のデー
タは途中から無い。
以下本章では,巻雲の地上観測の各測器についての測定結果を示し,そこから得られる物理量
の関係について,総合的に解析した結果を示す。
Table3.1.3 Data sta.tus.
Date(YY/MM/DD)
Instluments
1987/12/11
1989/06/30
1989/06/22
1ggo〆10/29
1990/11〆01
1ggo/11/19
○
○
○
△
△
△
ライダー
○
○
○
○
○
○
分光直達日射計
一
○
○
一
一
一
△
△
一
一
一
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
雲粒子ゾンデ
(IIYVIS)
(sunphotometel)
分光全天日射計
一
(多波長雲日射計)
赤外分光光度計
一
(FTIR)
赤外放射温度計
一
全天日射計
一
全天放射計
一
NOAA衛星
○
○:calibrate(l data, △:not caliblated(lata,
一188一
no(1ata
気象研究所技術報告 第29号 1992
参 考 文 献
Heymsfield,A.」.and R.G.Kollenberg,1972:Properties of cirrus generating cells./.ノ1診形03.
36∫., 29, 1358−1366.
Paltridge,G.W.and C.M.R.Platt,1981:Aircraft measurements of solar and infrared radiation
and the microphysics of cirrus cloud.Q襯〆彦./.R.〃θψ.Soo.,107,367−380.
Platt,C.M.R.,1973:Lidar and radiometric observations of cirrus clouds/.14伽03.36∫.,30,
1191−1204.
一189一
気象研究所技術報告 第29号 1992
3.2雲粒子ゾンデ観測*
(Microstructure of cirrus clouαs observed with HYVIS)
3.2.1 はじめに
上層雲は,地球の放射エネルギー収支に深く関係してい『る。すなわち,上層雲は,下層雲・中
層雲よりも上空にあって,太陽からの放射を反射によって制限すると同時に,地表面あるいは下
層雲・中層雲からの赤外放射を吸収して上層雲自身で赤外放封を放射している(例えば,田中,
1985;Liou,1986)。上層雲が存在すると,赤外放射の放射面が高温の地表面等から低温の上層雲
の雲頂になるため,地球から外へ放射されるエネルギーが減少することになる。衛星観測による
上層雲の雲量は約20%と見積もられており(Barton,1983),上層雲は放射収支に対して大きな影・
響を及ぼしている。
このような上層雲の放射特性は,雲の微物理特性(雲粒子の種類,形状,粒径分布等)によっ
て支配されている(Llou,1986)。この具体的例として,巻層雲が上空にあるときしばしば見られ
る太陽のまわりの量(ハ・一)の光学現象を挙げることができる.このハ・一は,太陽光線が六
角柱状の氷晶を通る際の屈折によって形成される(例えば,Wallace and Hobbs,1977;浅野,
1979,1988)が,氷晶の形状や大きさによって放射特性が異なっており,ハ・一が形成されない
上層雲もある。したがって,上層雲の放射特性の研究にとって,雲物理特性を知ることが根本的
に重要である(Coxθ古αZ。,1987;Starr,1987)。
上層雲の雲物理特性を観測する方法として,リモートセンシング観測と直接観測とがある。リ
モートセンシング観測には,衛星観測とライダー観測,レーダー観測等がある。衛星観測は非常
に広い範囲を観測することができ(Curran and Wu,1982;Barton,1983),ライダー観測は時間的
にほぽ連続した観測を行える(Platt,1973;Uchino撹αZ.,1988;今須・岩坂,1990;Imasu
and Iwasaka,1991)。しかし,リモートセンシング観測は,空間平均された雲粒子の特性値(断面
積等)を観測するため,粒子の形状や粒径分布を知ることができないという欠点がある。一方,
直接観測には,航空機観測とゾンデ観測とがあり,雲粒子の形状や粒径分布の現場観測を行える
(Braham and Spyers−Duran,1967;Heymsfield and Knollenberg,1972;Knollenberg,1972;
Heymsfield,1975;Heymsfield,1986)。しかし,従来行われてきた航空機観測は,水平方向に密に
観測できるけれども,鉛直方向には観測密度が粗いという欠点があった。この短所を克服する直
接観測の手段としてゾンデ観測が考えられるが,これまで雲粒子の形状や粒径分布を直接観測す
るゾンデ観測は,ゾンデに搭載できる適当な観測装置がなかったため実施されていなかった。
* 水野 量(H、Mizuno),松尾敬世(T.Maちsuo),村上正隆(M.Murakami),山田芳則(Y.
Yamada)
一190一
気象研究所技術報告第29号1992
気象研究所では,ゾンデに搭載して雲粒子を直接観測する観測装置(雲粒子ゾンデ)を最近開
発した(明星電気株式会社,1987;Mur&kami&nd Matsuo,1988,1990;水野他,1991)。本稿で
は,この雲粒子ゾンデを用いて観測された上層雲6例の中から,高層気象台のレーウィンゾンデ
特別観測が同時に行われ解析資料の豊富な1989年6月22日の巻層雲の事例を報告する。
3.2.2 観測方法
(圭〉雲粒子ゾンデの概要
雲粒子ゾンデによる雲粒子の直接観測の原理を,以下に示す(明星電気株式会社,1987;
Mur&kami and Matsuo,1988,1990;水野他,1991)。雲粒子ゾンデが気球に吊り下げられて上昇
するとき,大気中の雲粒子が粒子捕捉用の透明なフィルムに捕捉される。粒子捕捉用のフィルム
は,約4秒問モーターが駆動して巻き取られ,その後約6秒間静止する。このような駆動・静止
の約10秒間隔のサイクルを繰り返して,新しいフィルム面に捕捉された粒子が次々と2台のTV
カメラで撮影されるす
TVカメラの一つは接写用TVカメラで,主に0.2mm∼10mmの粒子を撮影する。もう一つは
顕微鏡用TVカメラで,主に5μm∼1000μmの粒子を撮影する高倍率用TVカメラである。な
お,接写用TVカメラにはオートアイリス(自動絞り)レンズが装備されており,また顕微鏡
用TVカメラには,照明用のニップル電球がカメラの上方約10cmにある。なお,接写側画像に
は,透明なフィルム面を通して背後の気球および天頂付近の空の様子も写る.したがって、太陽
高度角が高いときの接写側画像でハロー等の光学現象を一緒に観察できる可能性がある。この2
台のカメラからの画像信号は,フィルムの駆動・静止のサイクルの間に交互に切り替えられて,
1687MHzの電波で地上に伝送される。地上で受信された画像は,ビデオテープに収録されて解析
に用いられる。
なお,雲粒子ゾンデと一緒にレーウィンゾンデ(RS2−80MA型)を気球に吊り下げて観測して
いるので,雲粒子と気象要素(気圧,気温,湿度,風)の現場観測が同時に行われている。
(2)データ
ここで報告する雲粒子ゾンデ観測の解析事例は,1989年6月22日の上層雲の事例である。雲粒
子ゾンデは,茨城県つくば市の高層気象台構内からll時5分に放球された。雲粒子ゾンデ観測か
ら,雲粒子の種類・形状・数濃度の高度分布が求められ,レーウィンゾンデ観測から気温・湿度
・風の高度分布が得られた。6月22日には高層気象台で特別観測が実施され2時30分,8時30
分,11時30分,14時30分,17時30分,20時30分,23時30分にレーウィンゾンデが放球され,この
データも解析に利用した.
一191一
気象研究所技術報告第29号1992
3.2.3 観測結果
(1)総観的気象状況
Fig.3.2.1は,6月22日12時の気象衛星の可視画像である。日本列島の南海上に東北東から西南
西に延びる停滞前線(梅雨前線)があり,これとほぼ平行して約400∼500km北に200mb高度の
強風軸が位置している。雲域は,地上の梅雨前線と200mb強風軸との間の領域とほぼ対応して,幅
広く帯状に存在している。雲域の北の部分は,やや薄く上層雲∼中層雲の雲域であることを示し
ている.観測点(図中の△)は,この上層雲∼中層雲の雲域の中に位置している.このときの高
層気象台のゾンデ放球時の地上からの雲の観測によると,22日8時30分には高積雲と巻雲,11時
30分には積雲と薄い高層雲(上層雲の存在は不明)が観測されている。したがって,雲粒子ゾン
デ観測は,上層雲から中層雲へと雲底が低下する総観スケールの雲の変化過程の中で行われたと
みられる。
GMS−3V謬瀬覆謄搬”」欝rl㈱醗灘鰯
舞
訟離9ノ
鱒遣
嚇
Flg.3.2,l Visible GMS−3image at12LST22June1989.Heavy line and broken lipe denote
asurfacestatio餓ryfront(B&iu{ront)and200mbjetcore,respectively.Atr三a且gle
represents an observatio級site(Meteorological Satellite Ce頁ter,JMA p妓oto).
一192一
気象研究所技術報告第29号1992
このように雲粒子ゾンデ観測が行われた上層雲は,総観スケールの前線に対応した幅広い帯状
の雲域の北側部分である。したがって,観測された上層雲を形成した上昇流は,総観スケールの
上昇流であり,暖気が寒気との問の前線面を滑昇することによって生じたものと考えられる。こ
れに基づいて前線面の傾斜と風のデータとから,上昇流は約10cm/secと見積もった。したがっ
て,この上層雲は総観スケールの上昇流域にできたもので,雲粒子ゾンデはこの鉛直構造を観測
したとみることができる。
(2)状態曲線
Fig.32.2は,雲粒子ゾンデと同時に放球されたレーウィンゾンデによる気温・湿度の鉛直分布
である。湿度と気温の鉛直分布から,雲底は約7km,一20℃であることが分かる。また,一40℃
以下の低温での湿度観測からは雲頂を判定できないが,圏界面高度約!3km,一60℃まで達して
いる可能性が考えられる.
さらに,上層雲内の相対湿度の鉛直分布を詳しく見ると,雲底から上空に向かって徐々に湿度
が減少しており,その値は氷に対する飽和湿度(一20℃で82%,一30℃で75%が氷に対する飽和
湿度)付近にある.このことから雲内の湿度は,ほぼ氷飽和で分布していると判断される.した
がって,雲内には,水の粒子はなく氷晶が存在することが予想される。また,雲底より下の高度
では非常に大気が乾燥しており,もし雲底から落下する大きな氷晶があればすぐに昇華してしま
うことが予想される。
20
0
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HUMID1TY(。1。)
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TEMPERATURE(。C)
Fig.3,2。2 Temperature a難d humidity profiles for I至05LST22JuRe1989。
一ig3一
気象研究所技術報告第29号1992
(3)氷晶とハ・一
Fig.3.2.3は,高度9.8km,一34℃で雲粒子ゾンデによって観測された雲粒子の画像である。
Flg.3、2.3の上図は接写側画像であり,下の図は顕微鏡側画像である。接写側画像には,透明な
フィルム上に捕捉した氷晶に加えて,その背後に気球とハ・一が写っている。接写側画像でハ
・一が見られることから,この雲を構成する雲粒子が六角柱状の氷晶であることが期待される
(例えば,Wallace and Hobbs,ま977;浅野,1979,1988)。このとき確かに顕微鏡側の画像に
は,六角柱の氷晶が写っている。Fig.32.3下図には,長さ240μm,幅64μmの六角柱の一例が示
されている。この氷晶の結晶形および同時に観測された気温・湿度領域は,Magono and Lee
(1966)の氷晶の温度・湿度ダイヤグラムとよく一致している。
CIRROSTRATUS
”25LST 22 jUN1989
8.5mm
_340C
9.8km
1.6mm
Fig.3.2.31ce crystal im&ges observed at9.8猛m MSL(一34℃).The image above shows a
Iarge lce crystal,出e22ジ簸alo,&nd a baloon t&ken through a close−up TV camlera.
The i組age below s鼓ows&soiid column take貧througわa mlcroscope TV camer&.
一194一
気象研究所技術報告第29号1992
Flg.3.2.4は,接写側画像に写るハ買一の高度分布を調べたものである。Fig.32.4から,ハ・一
は高度8.5kmから1L5kmに見られることが分かる。したがって,観測された上層雲を構成する
粒子は,六角柱状の氷晶であることが期待される。実際顕微鏡画像から結晶形を判別できる位の
大きな氷晶は,Fig.3.2.3下図のように六角柱状であった。8.5kmより下の高度でハ・一が見られ
ない理由として,雲が厚くなってハ買一の光を打ち消すほどに散乱が大きくなっていることが考
えられる。また,玉L5kmより上の高さでハローが見られない理由として,雲が非常に薄いことと
氷晶の結晶形が六角柱状でないことが考えられる。しかし,iL5kmより上の高度では強い太陽
光線が画像上に入って画像が鮮明でなく,今後この点を改良した雲粒子ゾンデによる観測で明ら
かにする必要がある。
(4)氷晶数濃度
Fig.3.2.5は,顕微鏡側画像と接写側画像で観測された氷晶の粒径別数濃度の高度分布である。
顕微鏡側画像からは,長さが10μm∼200μm,数濃度が∼105/m3であることが分かる。氷晶の
結晶形については,小さな氷晶はいくらか識別が困難であるが,大部分は角柱状であった。氷晶
の粒径分布は,小さい粒径のものが多く大きな粒径のものが少ないという分布になっている。ま
た,粒径の高度分布に着目すると,10km付近の高度で最も大きな氷晶が観測され,これより高く
なるにしたがって粒径が小さくなっている。また,雲底から9km付近までの氷晶濃度が小さい
傾向が見られる。また,雲粒は全く観測されなかった.以上をまとめると,上層雲内には雲粒は
全く観測されず,雲層の上部から中部にかけては数濃度∼105/m3で下方ほど大きな氷晶(∼
200μm)が存在し,雲層の下部では氷晶濃度が少なくなっている。
接写側画像の氷晶についても,同様な傾向が見られる。すなわち,雲層の上部から中部にかけ
ては下方ほど大きな氷晶(∼1mm)が存在し,雲層の下部では氷晶濃度が少なくなっている。
以上のように,雲内の湿度がほぼ氷飽和であること及び氷晶が雲の上部から下方へ向かって大
きくなっているこ.と,雲粒が全く見られないことを考慮すると,雲内で卓越する雲物理過程は昇
華成長過程であると言える。
(5〉上昇流
雲粒子ゾンデで観測された上層雲が,総観スケールの上昇流によって形成されており,その大
きさは約10cm/secと見積もられることを(王)で述べた。ここでは,これとは別に高層気象台が3
時間間隔で行ったレーウィンゾンデ観測のデー一タから上昇流の高度分布を推定し,またこの上昇
流が妥当な値かどうかを観測された氷晶濃度を用いて検討する.
一195一
気象研究所技術報告第29号1992
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1989.
一・196一
気象研究所技術報告 第29号 1992
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Fig.3.2.5Vertical change in size distribution of ice crystals.The number concentration of
icecrystalsineach500mlayerareindicated.
Fig.3.2.6は,レーウィンゾンデ観測のデータから推定された上昇流(左図のw皿)と観測され
た氷晶濃度から算出された臨界上昇流(右図のW。)の高度分布である。ここで,臨界上昇流と
は,すべての氷晶が湿度100%(水に対する飽和)で昇華成長するために必要な水蒸気を生み出す
上昇流として定義している。すなわち,臨界上昇流より大きな上昇流があると,すべての氷晶の
昇華成長だけでは上昇流によって生み出される水蒸気を消費できずに,余分な水蒸気が雲粒とし
て凝結することになる.したがって,雲粒のない雲では,臨界上昇流より小さな上昇流が期待さ
れる。また,Fig.32.6左図のw蝋は,レーウィンゾンデ観測のデータから次のようにして推定
されている。すなわち,観測された雲が定常であると仮定して,相当温位の高度変化を11時30分
と14時30分の観測データから求めて,上昇流としている。
Fig.32,6左図のWA配から,高度7kmから11km付近に∼10cm/secの上昇流があると見られ
る。この上昇流の高度は,Fig.3.2.1の湿度の高度分布とよく対応している。また,上昇流の大き
さも,(1)で前線の傾きと風とから評価された上昇流とよく一致している。さらに,氷晶数濃度か
ら求められた臨界上昇流がFig.3.2.6右図のように∼50cm/sec以下であることとも矛盾していな
い。
一197一
気象研究所技術報告 第29号 1992
15
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VERTlCAしVEしOClTY (cmls) VERTlCAL VELOClTY(㎝1s)
Fig.3.2.6Vertical veloclty(WANL〉and critical vertical velocity(Wc)are lndicated.WANL is
estimated from the ascent rate of contours of equivalent potential temperature at
1130LST and l430LST on22June1989.Wc is calcul&ted using the data of ice
crystal concentration observed on the assumption that ice crystals grow by
deposltion in water−saturated condition in the absence of cloud droplets.
3.2.4 まとめ
1989年6月22日,茨城県つくば市で上層雲の雲粒子ゾンデ観測が行われ,その雲物理特性が解
析された。結果は次のようにまとめられ,Fig.3。2.7のような模式図が得られる。
(1)この上層雲は,総観スケールの前線面を暖気が滑昇することによる∼10cm/secの上昇流に
よって形成されている。
(2)雲粒は全くなく,氷晶だけの雲である。
(3)雲内で22。ハ・一が見られ,氷晶の結晶形は六角柱であった。
(4)昇華成長過程が卓越し,雲の上部から下方へ向かって氷晶が大きくなっている。
(5)氷晶数濃度は∼105/m3で,小さな粒径のものが多く大きな粒径のものは少ない。
謝辞
雲粒子ゾンデの開発初期から現在まで,一貫して雲粒子ゾンデの開発・製造に協力して頂いた
明星電気株式会社,無線局の申請等の指導をして頂いた気象庁観測部高層課,観測データの提供
およびゾンデ観測に関して施設利用と放球作業の指導をして頂いた高層気象台,その他関係者の
方々に厚く感謝する。
一198一
気象研究所技術報告 第29号 1992
ClRROSTRATUS (”05しST 22 JUN 1989,TSUKUBA)
13km
一︳60
鳴 一10pm
0C
心↓一㎜
O、1mm
HALO _一40
iCE CRYSTALS
∼10cm!s
一︳20
NO DROPLETS
7km・
Fig.3.2.7Schematic drawing of vertical structure observed in the cirrostratus.
参 考 文 献
浅野正二,1979=大気微粒子と光 大気光学への誘い.東北技術だより,2.2,20−30.
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水野 量・松尾敬世・村上正隆・山田芳則,1991:雲粒子ゾンデの開発.天気,38,5−9.
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一199一
気象研究所技術報告 第29号 1992
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一200一
気象研究所技術報告 第29号 1992
3.3 ライダー観測*
(Cloud observation by lider)
3.3.1 観測目的
ライダー観測は,地上の観測点からパルスレーザー光を上空に打ち上げ,空気分子,エーロゾ
ル,雲等の散乱体に当たって再び観測点に戻って来た光を受信機により検出することによって,
散乱体の性質を知る能動的な遠隔観測手法である。今回の雲の地上観測シリーズにおいては,観
測対象を巻層雲等の層状の氷晶雲として,雲内の消散係数の鉛直プ・フィル,雲底高度,可能な
場合は偏光解消度のプ・フィルを得ることを目的としている。
研究期間中に雲,エーロゾル観測用のライダーの開発,導入が行われたため,観測機器は期間
を通じて同一の装置ではない。1987年12月の観測は既存の波長694.3nmのルビーライダーを用い
た。1989年6月の観測は,成層圏の気温観測用に導入されたNd:YAGレーザーと口径50cmの
受信望遠鏡を持つマルチカラーライダーの,532nm用光電子増倍管をアナ・グ測定用のものに交
換して行った。1990年10,11月の観測は,マルチカラーライダー用YAGレーザーの532nm光を
使用し,口径35cmの受信望遠鏡を持つ雲・エー・ゾル観測用ライダーシステムを開発し,使用
した。ルビーライダーは出力は大きく,1ショットで瞬間的な状況を捉えることが出来るが,パ
ルス発射の繰り返しが毎分1回と少ないため,S/Nを上げるために3回のデータ積算を行うと,
時間分解能の高いデータは得られない。それに比べ,YAGレーザーの繰り返しは20Hzであり,
適当な回数のデータ積算をすれば,出力の小ささを補って,S/Nが良く,時間分解能もさほど悪
くないデータを得ることが出来る。
3、3.2 装置の構成,観測方法
雲,エー・ゾル観測用YAGライダーシステムの構成をFig.3.3.1に示す。YAGレーザーで発
生された波長1064nmの光パルスは共振器内のブリュースター窓により直線偏光している。第二
高調波発生器(SHG)により波長532nmに変換された光パルスは光軸調整用の反射鏡を介して,
広がり約0.5mradの送信光として上空に射出される。上空の散乱体に当たった送信光のうち後方
に散乱されたものが,受信光として観測点の口径35cmの受信望遠鏡に入り,集光される。望遠鏡
の焦点には視野絞りと受信光減衰用の中性灰色フィルターが置かれる。視野絞りで決まる視野の
広さは,送信光の広がりよりも大きい必要があるが,光軸調整の容易性の観点から,やや広めの
1.5mradとした。送受信機の光軸の間隔は60cmに取り,高度約800m以上が観測可能である。視
* 水野芳成(Y.Mizuno),内野 修(0.Uchino),田端 功(1』Tabata,1989年度まで),藤本敏文
(T.Fujimoto,1990年度から)
一201一
気象研究所技術報告 第29号 1992
野絞りの後方にはコリメーターレンズがあり,その後ろにある,背景光をブ・ックするための53
2nmの干渉フィルターを通る光炉平行になるようにしている。干渉フィルターの後方には偏光
ビームスプリッタがあり,送信光と同じ面内の偏光成分は直進し,それと直交する成分は反射し
て進路が横に曲げられる。スプリッタで分割されたそれぞれの偏光成分は光電子増倍管によって
検出され,電気信号に変えられる。このとき光が強すぎると光電子増倍管が飽和するので,望遠
鏡の焦点に置かれた中性灰色フィルターは受信光の強さに応じて濃度の異なるものをすばやく交
換することが可能になっている。光電子増倍管の出力は2チャンネルのADCに入り,8ビットで
ディジタル化される。ADCのトリガとしては,YAGレーザーで発生された光パルスを,レー
ザー装置の側に置いた別の光電管で受けて作ったバルス信号を用いる。ディジタル化の時間間隔
は最大観測高度15kmの時は100nsec(15m),30kmの時は200nsec(30m)に取り,1ショット
毎のデータ数は共に1000点である。このデータはGPIBを経由してパーソナル・コンピュータに
送られ,データ積算,フ・ッピーディスクヘの収録が行われる。ADCの制御も含めたこれらの処
理はコンピュータのプログラムによって行われる。
Receiver
telescope
Transmitter
Po脚er
and
CO PUter
cooler
鵬
unit
GP−B
φ
Separator
PMT
C
四d:YAG laser
PMT
船□
一日
替.
口D t
e e C tO r
PMT
Trigger
Fig.3.3.1
The schematic diagram of the lidar system developed for the observation of cloud and
aerosol.
データの積算はS/Nの向上のために行う。雑音源としては背景光の光子数の揺らぎによる雑
音,光電管の負荷抵抗の熱雑音,外来の高周波が入り込んで来る雑音など,さまざまなものがあ
り,これらが遠距離からの弱い信号を埋もれさせる。データをπ回積算すると,雑音は各ショッ
トについて独立なので〉石倍になるが,信号のほうはπ倍になるので,一S/Nは〉『倍になる。しか
し積算所要時間はπ倍必要となるので,測定対象の変化する速さを考慮して積算回数を決める。
今回の雲の観測では数十回から数百回の積算を行っている。
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気象研究所技術報告 第29号 1992
Table3.3.1にYAGライダーシステムの性能を示す。 なお,1989年に使用したマルチカラー
ライダーは,受信望遠鏡の口径が50cmあり,偏光観測を行う機能が無い他は,以上の構成とほと
んど同じである。
Table3.3.l Performances of the lidar syste血developed for the observation of cloud and aerosol.
Transmitter
N(i=YAG
Laser
Wavelength
532 nm
Output energy
190 mJ
Pulse repetition
20 Hz
Beam divergence
O.5 mrad
Receiver
35 cm
Diameter of the receiver telescope
Focal length
3900 mm (F=11.2)
Field of view
1.5 mrad
Transmittance of the interference filter
O.43 (@532nm)
Photomultiplier tube(PMT)
Hamamatsu R1332
PMT maximum output current
PMT load impedance
500 Ω
more than l mA(instantαneous value)
ADC
Resolution
2
8
Conversion rate
10
ns/sample
Maximum frequency
175
MHz
Maximum sensitivity
5
mV/div
Number of channels
bits
3.3.3データ処理方法
収録されたライダーデータは受信信号の強度に比例したディジタル値なので,これから雲中の
消散係数を得るたあには距離補正,減衰補正などの処理が必要である。データから消散係数を得
るにはいくつかの解法があるが,光学的厚さが比較的小さい氷晶雲を観測対象とし,高層観測資
料を使うことが出来るため,今回はファーナルドの後退解(Femald,1984)を用いた。以下にそ
の解法の概略を示す。
最初に前処理として,データ∠)(Z)に距離補正,直流成分の除去,及び移動平均による平滑化
を行う.距離補正は,散乱体から受信望遠鏡の口径を見た立体角が距離zの2乗に反比例するの
を補正する。直流成分の除去は,雲頂よりも上空の清浄な空気層からの散乱光の強さは分子密度
が低いためにその層内での減衰が無視できて,高層観測資料から与える分子密度π(Z)に比例す
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気象研究所技術報告 第29号 1992
るとみなせることを利用して行う。すなわち,距離補正も含めると,考えている空気層内におい
て
P(z)z2一みn『(z)+B名 (3.3.1)
が成り立つ。その層内のデータZ)(z)を用いて,(3.3.1)式の係数A,Bを最小自乗法で決め
る。係数βがデータの直流成分であり,ライダーから距離zにある散乱体からの距離補正された
受信信号強度R(z)は全層にわたって,
(ρ (z) 『 β) z2 (3.3.2)
R (z) = P (乞) z2= で求められる。移動平均はR(z)に対しデータ5点について行った。15kmレンジの時の移動平均
範囲は75m,30kmレンジの時150mである。
次に,距離補正された受信信号の強度R(Z)と後方散乱係数の関係は,ライダー方程式
R(z)一AC(β。(z)+βR(z))exp{一211(σ・(zり+σ(z糠’}
=」P。C(βρ(z) +βR(z))窮環, (3.3.3)
で与えられる。ここでP・は送信出力,Cは装置定数,TRとT・はそれぞれライダーから散乱体ま
での間にある空気層と雲層の透過率である。βR(z)とβp(z)及びσR(之)とσ・(z)はそれぞ
れ空気分子Rと雲Dの後方散乱係数β,および消散係数σであり,βR(z)はn(Z)に比例す
る。またR(z)は偏光解消度の観測を行っている場合は両偏光成分の和である。この式は送信光
の広がりと受信視野角が共に小さく,一回散乱に比べ,多重散乱の寄与が無視できる場合に適用
される。式(3.3.3)を解いてβp(z)を求めるために,雲に対して,σp(z)とβD(z)が比例関
係にあり,その比S・はzに依存しないという仮定をする。すなわち,
σ。(z) =Spβρ(z). (3.3.4)
雲に対しては,比例係数Spの値として1L6が多く用いられる。なお,この関係は分子散乱につい
ては無条件に成り立っており,比例係数SRの値は8π/3である。
以上の条件を用いると,β。(z)とT。の間に以下の関係式
1 4Tp
β・(z)=一 24z (3・3・5)
280TD
が成り立つので,(3.3.3)式はTpについて比較的簡単に解くことができる。(3.3.5)式を
(3.3.3)式のβ。(z)に代入してTpについて整理すると,
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気象研究所技術報告 第29号 1992
4To 2 2So R(z)
万=2S・βR(z)Tp−P。CT裏
(3.3.6)
となる。この微分方程式の解は,
20
T
=
{1一甑R(ガ)Tノ(暴1)4ガ}π禦
(3.3.7)
である。ただし%はライダーから距離zノ<zまでの空気層の透過率。この式を(3.3.3)式に代入
ーす
るとβ。(z)+βR(Z)について解けて,
R(z)exp{一2(S・一SR)llβR(乏’)劇
β灰z)+βR(z)=島C−2あllR(ガ)㎝/−2(恥一飯)llβR(/)嫌
(3.3.8)
が得られる。これからβD(z)を得るにはβR(z)が既知でないといけないが,それは高層観測の
気圧データから算出して与える。また,本ライダーシステムにおいてはP。のモニタrを行う機能
を備えていないので,未知の係数P。Cは距離z1からの受信信号強度R(z1)と,そこでの後方散
乱係数βp(Z1)+βR(ZI)で置き換える。このときZl>Zを遠方に取ってライダーに向かって解を
作るようにすれば鋒退解が得られる。それは,
βo(z)+βR(z)
R(z)卿{2(晒)llβR(/)認/
(3.3.9)
β.(Z督{11R(z、)+2S・llR(z・)exp{2(SD−SR)ll1βR(ガ)4ゼ}4zノ●
普通z1は雲頂よりも高い領域で,エー・ゾルの充分少ない清浄な場所に取るので,βρ(z1)=0。
従って(3.3.9)式からβp(z)を得ることができる。実際の数値計算を行うためには,(3。3.9)
式の積分を離散化し,z正から逐次的に解を作って行くアルゴリズムが公表されている(Femald
1984)。β。(z)が求まれば(3.3.4)式を用いて雲の消散係数σ。(z)が得られる。
消散係数のプロフィルを高さ方向に積分すれば雲の光学的厚さが得られる。雲底・雲頂高度
は,散乱比(βp(z)+β・(z))/βR(z)の値が2を横切る高度として定義した。偏光解消度を
得るには両方の偏光成分の比を取るだけで良く,特に複雑な処理は必要としない。
3.3.4 解法のライダーデータヘの適用
実際のデータに上記の解法を適用する場合,S/Nの大きさ群もよるが,雲の光学的厚さが1近
一205一
気象研究所技術報告 第29号 1992
くまで達しない場合は,送信光が雲層を抜け,雲頂よりも上の高度z1にある空気分子からの散乱
光を受信することができる。この場合はR(z、)ゐ値が既知となるので,任意性を残さずに解を得
ることができる。パラメータS。の値は,雲底より下の空気層での散乱比の最小値が1になる様
に,試行錯誤で調節して求める。こうして決められたS。の値は状況に応じて刻々と変化し,その
値は12付近を中心としてほぼ7から20付近までの範囲の値を取る。特に,氷晶が水平に整列して
いると思われる場合には,S。は2付近の値となる。
雲の光学的厚さがやや大きくなり,雲頂よりも上の空気層からの信号が雑音に埋もれたり,送
信光が雲層を抜けられないようになると,適切なR(Zl)の値をデータから与えることができなく
なる。またこのような状況では,データから直流成分の除去を行う際,わずかな雑音の効果で,
遠方の信号の値が負になることがあり,この場合は本来は安定な筈のファーナルドの後退解も,
雲頂付近で発散を起こす。
このようなデータに対する解法は,まず上端境界z1を雲頂より上の雑音の部分に取り,充分に
小さなR(z1)を仮定して試行的に解き,S。の値を先に決める。このとき雲頂付近で発散していな
ければ,解が雑音に埋もれる所を見かけの雲頂と判断して終了する。・発散が起こっている場合
は,Spを変えずに発散が止まるまでR(z1)を大きくしていく。解法には安定性があるので,光学
的に厚い雲の場合,R(z1)を何桁も変化させてもその影響は雲頂付近に留まり,雲底以下のデー
タから決めたS∂や雲底付近の解には殆ど影響しない。発散が止まった時点で処理を終了するが,
この方法を用いると,確実性は低くなるものの,データの品質が良好な場合は光学的厚さが3以
上になるまで解を得ることが出来る。
3.3.5 観測結果
Fig.3.3.2はルビーライダーの3ショット平均値を用いた1987年12月11日の観測結果で,雲の消
散係数のプ・フィル,及びその下側の点は雲の光学的厚さの値を示してある。Fig.3.3.2の縦軸は
高度,横軸は時間であるが,消散係数の大きさは,横軸の一目盛りすなわち10分問が10/kmに相
当するように,リニアにプロットしてある。
Fig.3.3.3はマルチカラーライダーを用いた1989年6月22日の観測結果である。Fig.3.3。4は同じ
装置による1989年6月30日の結果であるが,この日は視野絞りに偏光フィルターを取り付けて手
動で回転させることにより,偏光解消度の観測を試みている。そのために,YAGレーザーを用い
ていながら測定の時間間隔が大きい。
Fig.3.3.5は雲・エーロゾル観測用ライダーを用いた1990年10月29日の観測結果である。
Fig.3.3.6は同じライダーを用いた1990年11月1日の観測結果である。
Fig.3.3.7は同じライダーを用いた1990年11月19日の観測結果であるが,この日は雲底の低い高
層雲で,その下はヘイズで充満しており,データには,清浄な空気層からの信号と判断できる部
一206一
気象研究所技術報告 第29号 1992
分が無かったため,ほとんど結果が得られていない。
(㎞)
15
14
87/12/41
13
12
泌9響4321②
11
r/η群所 梛赫棚ll
β
ご
1
30‘−︵U
11
12
13
14
T l『帽(JST)
Fig.3.3.2
The time sequence chart of the obse士vatlons of middle level stratus clouds in
December11,1987with the ruby lidar in the MRL The&bscissa is observation
time in JST,The ordinate is altitude in km。The curve母・lines denote the vertical
profiies of extinction coefficient量n、the clouds.The pro至iles&re plotted lineally so
that the value of extinごtion60efficient shohld be10/km for the time interval of
10minutes.The dots bebw the profiles denote the values of optical thickness of
the clouds.
5
14
13
12
11
1の
1987654321日
(km)
89/e622
1踊l!蘭1繍l!
つ9212
9
U
1②
12
T I『》妊(JST)
Fig.3.3.3Same as Fig.3.3.2but in June22,1989with、a YAG lldar system in the MRI.
一207一
気象研究所技術報告 第29号 1992
5
4
3
2
179
5
4
3
2
1
の1
54
3つ1
﹄−の
1
1
1
1
1
1
9
8
654321の
1
1
1119876541
3
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1
1
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3
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0
(km)
89/の6/3の
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1咄
︽Q210
i2
11
1日
13
T I r1E(JST)
Fig.3。3.4 Same as Flg.3.3.3but in June30,1989.
(㎞)
9∈レ短レ29
1灘1鰍,魏蜘ll
321︵U
16
18
17
19
T Iト1E(JST)
Fig.3.3.5 Same as Fig.3.3.2but m October29,1990with the cloud lidar shown m Fig.3.3.L
/
測
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︸
9 h
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(km)
$
Iliil糟 ︵U
15
16
17 18
TINE(JST)
Fig.3.3.6 Same as Fig. 3.3.5but in November1,1990.
一208一
気象研究所技術報告 第29号 1992
(km)冒
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ン l
ll
32・10
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1
11111987654321臼
9εレ11/19
1
11 12 13
14
TI『促(JST)
Fig.3.3.7Same as Fig.3.3.5but in November19,1990.The sparse data are due to the
poo「atmosphe「ic?onditionontheday・
参 考 文 献
Femald,F.G.,1984:Analysis of atmospheric lider observations:
23ラ 652−653.
一209一
some
comments.Aρμ.0μ.,
気象研究所技術報告 第29号 1992
3.4 放射観測*
(Radiation measurement)
3.4.1 サンフォトメーター,全天日射計,赤外放射計,放射温度計
巻雲の光学的厚さを求めるために,サンフォトメーター(EKO;MS−115).による太陽放射直
達光の分光観測を行った。尚,この解析では1989年1月の検定による機械定数を用いた。その後
の検定で,500nmの機械定数が1年間で約7%変化レていたことが分かった。この変化は,干渉
フィルターの経年変化によるものと考えられる。この事を考慮すると,観測時点での検定定数は
3∼4%の誤差が含まれる。それは,光学的厚さの誤差にすると0.03∼0.04に相当し,本研究に
おける巻雲の光学的厚さを議論する上では大きな誤差とはならない。
サソフォトメーターの観測では,氷晶が持つ前方散乱特性によって,サンフォトメーターの視
野内に含まれる散乱光による見かけの透過率の増加を無視できない。そこで,解析に先立ち,モ
ンテカル・法(例えば,McKee and Cox,1974)用いて多重散乱のジミュレーションを行ない,
サンフォトメーターの視野内に含まれる多重散乱の寄与を評価した。
サンフォトメーターの視野は半角1.2。の円形である。そこで,測器を太陽方向に向けたときに
測器の視野内に入射する散乱光,即ち多重散乱も含めて最終的に太陽方向の軸からL20以内に散
乱して地上に達する散乱光を計算した。一その際,氷晶の散乱位相関数にはTakano and Liou
り
(1989)が示した巻層雲(Cs)モデルを採用した。ただし,ここでは大気(雲)は均質1層と
し,地面反射の効果は考慮しない。モンテカル・法の精度については,(1)直達成分の計算値との
比較,(2)測器視野内の一次散乱成分の一次散乱近似値との比較,(3)Doubling法による上向き・下
向きフラックスの計算値との比較,によりチェックした。また,入射光子数に対する収束の具合
いを調べた。その結果,直達成分,一次散乱成分,上向き・下向きフラックスは,太陽天頂角
0∼75。で,slant−pathの光学的厚さ(=鉛直大気の光学的厚さ×大気路程)が0.5∼6の範囲で
は,透過率(または反射率)の誤差が0.5%以内であることが確かめられた。また,入射光子数ば
1万個でほぼ収束するが,精度を上げるためには3万個程度必要であることがわかったので,以
下のシミュレーションでは安全を見込んで光子を4万個与えた。
太陽高度がO o,30。,60。,75。の場合に対して,slant−pathの光学的厚さ0.5,1,2,4,6
について計算した結果(Fig.3.4.1),視野に含まれる散乱光量(同図中の細い破線)は,slant−
pathの光学的厚さでパラメータ化できることがわかった。(図中のエラーバーは同じslant−path
の光学的厚さをもつ4つの太陽高度について計算した結果の最大値と最小値を結んだもので,そ
* 塩原匡貴(M.Shiobara),浅野正二(S.Asano),深堀正志(M.Fukabori),内山明博(A,
Uchiyama),
一210一
気象研究所技術報告 第29号 1992
二\ ーヘ●¥ \薗
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ζ一≧のω⋮ωZ差ト
0・001
01234567
0PTICAしTHICKNESS
Fig.3.4.1Monte Carlo simulation of solar transmissivities for various slant−path optical
thickness when a sunphotometer has a half field−of−view of L2degree.The
direct (thick solid curve),the singly scattered (dot−dashed curve),the secondary
scattered(double−dot−das紅ed curve)and the scattered over three times(triple−
dot−dashed curve)and the apparent(thin dashed curve)transmissiVities are
shown.The cirrostratus model presented by Takano and Liou(1989)is employed.
The thick dashed curve shows the apparent transmissivity presented by Raschke
and Cox(1983)where water clouds are assumed.
の差が十分小さい場合は●で示した)。また,水雲を仮定して計算したRaschke and Cox(1983)
の散乱光量(図中の太い破線)は,ここでの結果に較べてかなり小さい値となっており,水滴と
氷晶の散乱位相関数の違いを反映しているものと思われる。ちなみに,Takano and Liouの散乱
位相関数によると,前方散乱角1.2。以内に散乱される1次散乱光は全散乱角にわたる散乱総量の
49%に達する。そのため,1次散乱近似でさえ,すでにRaschke and Coxの見積りを大きく上回
る。さらに,本シミュレーションにより,光学的厚さが3以上になると2次以上の多重散乱量
(図中の二点鎖線と三点鎖線)が1次散乱量(一点鎖線を)上回ることもわかった。すなわち,
サンフォトメーター観測によって巻雲の光学的厚さを求める場合には,実際の氷晶の散乱特性を
用いて測器視野内に到達する散乱光の効果を厳密に評価する必要があることが確認された。他
一211一
気象研究所技術報告 第29号 1992
方,エー・ゾルのように光学的厚さも薄く,前方散乱も氷晶ほど強くないような場合(すなわち
サンフォトメーターの本来の目的での使用状態で)の散乱光の影響を調べた結果,散乱光の影響
を無視できることがわかった。
また,雲およびエーロゾルのいずれの場合についても,サンフォトメーター測定による見かけ
の光学的厚さτ*と真の光学的厚さτの関係は,次式で近似できることがわかった。
τ*
τ; (3.4.1)
1一ωP△Ω
ここで,ωは単散乱アルベード,P△Ωは規格化した散乱位相関数の前方部分を視野角βまで立
体角積分した量で,次式で与えられる。
P△Ω一llp(◎)一θ (3.4。2)
上で得られた関係を用いて,1989年6月22日および30日に観測された巻層雲の見かけの光学的
厚さからの真の光学的厚さ(波長500nm)を求めた結果をFig.3.4.2(a)およびFig.3.4.3(a)に示
す。
地表面での下向き放射フラックスについては,WG−305フィルター・ドームを取り付けた水平
面日射計(EKO;MS−801)により,波長0』3∼2.8μmの全天日射量を測定した(Fig.3.4.2(b)お
よびFig.3.4.3(b))。そして,大気上端での日射量をF。=1318W/m2(0.3∼2.8μm)として,太
陽放射フラックス透過率丁を次式により求めた。
R2
T=Fs・ (3.4.3)
FoCOSθ
ここで,F。は観測された全天日射量,Rとθはその時の太陽地球問距離(天文単位)および太陽
天頂角である。観測から得られれたフラックス透過率と巻層雲の光学的厚さとの関係について
は,3.5節で考察する。
一方,1シリコン・ドーム型の赤外放射計(Eppley;PIR)により,波長4∼50μmの赤外放射フ
ラックスを測定した(Fig.3.4.2(c)およびFig.3.4.3(c))。ただし,この観測では,赤外放射計の
ドーム温度が測定されていないため,測定値はドームの射出効果による誤差を含んでいる(塩
原,1990)。誤差の大きさは日射によるドーム温度上昇の度合に依存するが,巻層雲の場合には曇
天時と晴天時の中問程度の効果があるとみなせるならば,図中に示された値は10∼20W/m2程度
過大評価しているものと思われる。
また,赤外線放射温度計(Minarad;RST−10)により,天頂方向からの波長9.5∼11.5μmの赤
外放射強度を測定した。赤外放射温度計の視野角は2。,測定可能温度範囲は一50∼+50℃,精度
は±0.5℃である。測定した放射強度を黒体放射とみなして温度に換算したもの(実際の測定で
はこの温度出力が得られる)をFig。3。42(d)およびFig。3.4。3(d)に示す。1989年6月22日の観測
一212一
450
塾、弐︶×⊃一﹂江閣
(a)
(c)
10
11 12
TIME(JSτ1
TIME(JSτ)
11
12
13
13
12
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︶田匡⊃F<一﹂泌色Σ国トエ﹄﹄Z国N
11 12
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10
11
TIME(JS了》
Observational results for clrrostratus on June22,1989.(a)Cloud optical thickness at the wavelength of500nm,(b)
downward flux of sol盆r radiation,(c)downward flux of infrared radiation,and(d)zenith brightness temperature at
the10μmwindowreglon.
搬軸皐囲斗濤識蜘略 黙boO蜘 一8bo
9
Fig.3.4.2
㈱ 鋤
98765432
蜘伽1
伽伽0
鋤伽鋤㈱翅o
︵EoOOの︶ののUZと0至卜﹂くOFn一〇〇⊃O﹂O
騨
1
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13
14
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(b)
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1②②
(d)
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Q&四匡⊃卜く匡四氏Σ四↑エヒZ四N
捲、き︾×⊃一﹂匡ご﹄Oの
伽
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5
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、一15
一2②
一25
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TIME(JST)
猷軸奪囲潔僻謙欝串
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o
(c》
︵畦、タ︶×ヨ﹂匡榊
987654321
︵E88︶の田ZとO王卜一くQF氏OO⊃〇一〇
o10
(a》
一40
10
11
Fig.3.4.3 Same as Fig.3.4.2,but for cirrostratus on June30,1989。
12
TIME(JST)
13
14
気象研究所技術報告 第29号 1992
で,いくつかのスパイク状に大きな温度を示しているのは,巻層雲の下にあった低高度の離散積
雲が天頂付近を通過した時のものである。これらの観測から得られた赤外放射特性(有効射出
率)については,FTIRの観測データやライダー観測データと併せて後節で考察する。
3.4.2 赤外放射(FTIR)
雲からの赤外放射の射出エネルギーを観測するために,フ」リエ変換型赤外分光光度計(Fou−
rier Transform Infrared Spectrometer:FTIR,Digilab FTS−20C/D)を用いて天頂方向から入射
する雲及び大気からの射出スペクトルを観測した。Fig.3.4.4に観測装置の概要を示す.
F T l R
DETECTOR
MCT
聾閥’『ERFEROMETER
「≡;−r
!i i i
EM量SSSION ENERGY
」
〃
φ150M.
ノ
◆
■
口
TRANSFεR
OP帽『厘CS
〃
■
BLACK BODY
『
φ150M.
TRANSFER OPτICS
Fig.3.4.4 Schematic diagram of the observational apparatus.
天頂方向から入射する雲及び大気からの射出エネルギーは,直径150mmの平面鏡と接続光学
系を用いてFTIRに導入される。この射出エネルギーは,マイケルソン型干渉計を介してイン
ターフェ・グラムとして検知器で検出される。検知器には10μm付近に高感度な水銀カドミウム
テルル(MCT)を用いた。使用したMCTの感度は約860cm−1より低波数側で急速に低下してい
るために,約860cm−1より低波数側の観測スペクトルの精度は他波数域に比較して幾分低下傾向
にある。観測された射出エネルギーを放射輝度に変換するために,黒体炉を用いて検定を行なっ
一215一
気象磧究所技術報告 第29号 1992
た。黒体炉は銅製で底面がハニカム構造をしている。検定は観測終了後,液体窒素温度から室温
付近までの十数点について,1∼2時間かけて行なった。MCTの入射量に対する出力のリニア
リティーは,低温から室温付近まで実験誤差の範囲内で直線であった。観測に用いたFTIRは,
ウォーミングアップ不足や室温変動がある場合など,検知器出力にわずかな変化傾向を示し.た。
この出力の変化は,放射輝度温度に換算して約10度に及ぶ場合があった。このために,検知器出
力に明らかにパイアス出力が重畳していると判断された場合には,同時観測している放射温度計
の出力と放射温度計の波長範囲で平均したFTIRの出力の比率を求めて検知器出力の補正を行
なった。観測精度は,波長にも依存するが860∼1200cm−1の範囲で約±1Kである。
射出スペクトルの観測は,1989年と1990年についてそれぞれ16cm一1と4cm−1.の分解能で行
なった.スペクトルのS/Nを向上させるために,インターフェログラムの積算を16回行なった。
その結果観測時間は,分解能16cm−1と4cm−1の場合に対しそれぞれ5秒と10秒であった。スペ
クトルの観測は,雲粒子ゾンデ観測中及びNOAA衛星通過時付近において,1989年では5分間
隔,1990年では10分間隔で行なった。
Fig・3・4・5,Fig・3・4・6,Fig・3・4・7,Fig.3.4.8及びFlg・3.4.9にそれぞれ1986年6月22日,6月30
日,1990年10月29日,11月1日,11月19日に観測された800∼1200cm−1領域の雲及び大気からの
射出スペクトルを示す。図示した放射輝度は〕放射温度計を用いて補正した値である。
150.0
TSUKUBA
0 ︵U ∩︾ ∩︾ 0
0 ︻﹂
1
7 q
︵﹄ω\∈o\∈\Z∈︶ ]OZ<H∩<配
1989/06/22
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900 1000 1100
1200
づ
囚AVE NU卜4BER (cm )
Fig.3。4.5Emission spectra over the spectral range800∼1200cm一!observed on June22,
1989.
一216一
気象研究所技術報告 第29号 1992
150。0
TSUKUBA
0
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0 ∩︶
1
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0
0
7 内
︵﹄ω\∈o\∈\Z∈︶
5
800
1989/06/30
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囚AVE NU図BER (cm)
Fig.3.4.6Same as Fig.3.4.5,but fQr June30,1989.
150.0
0
0
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マ ∼
︵﹄ω\∈・\E\ヱE︶
TSUKUBA
1990/10/29
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1100
一1
(c凱)
Fig.3.4.7 Same as F1g.3.4.5,but for October29,1990.
一217一
1200
気象研究所技術報告 第29号 1992
150.0
TSUKUBA
ハU ∩∪ ∩︶
︻U ︻U O 1
一− 内
︵﹄ω\Eo\∈\Z∈︶ ]ωZくH∩<α
1990/11/01
5
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800
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1200
−1
囚AVE NU図BER (cm )
Fig。3.4.8 Sαme&s Fig.3.4.5,but for November1,1990.
150.0
5
︻U ∩U 0 ︻∪ O 1
︵﹂ω\∈o\∈\ヱ∈︶ ]OZくHq<α
マ 内
TSUKUBA
1990/11/19
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ハU
︻∪
800
900 1000 1100
−1
囚AVE NUMBER (cln )
Fig.3.4.9 Same as F1g.3.4.5,but for November19,1990。
一218一
1200
気象研究所技術報告 第 29号 1992
初期の観測の結果から波長毎の雲の放射輝度の時間変化を観測する場合,射出スペクトルの測
定を高分解かつ短時間間隔で行うことが望ましいと判断されたが,現有のFTIRは分解能を高め
るとインターフェ・グラムのフーリエ変換に時間がかかりすぎるため,高分解かつ短時間問隔の
観測は出来ない状況にある。この問題を解決するために,高分解測定が可能でフーリエ変換の高
速な赤外分光光度計の導入が望まれる。
参 考 文 献
塩原匡貴,1990=エプリー赤外放射計の測定精度.目本気象学会講演予稿集,58,125.
McKee,T.B.and S.K.Cox,1974=Scattering of visible radiation by finite clouds./.窺07π3.
Sc歪.ン 31, 1885−1892.
Raschke,R.A.and S.K.Cox,198311nstrumentation and technique for deducing cloud optical
depth.ノ.Cあ勉./lpρ乙 〃θ診θo〆.,22,1887−1893.
Takano,Y.and K.一N.Liou,1989:Solar radiative transfer in cirrus clouds.Part I:Single−
scattering and optical properties of hexagonal ice crystals./。14ψ勉03.S‘∫.,46,3−19.
一219一
気象研究所技術報告 第29号 1992
3.5 氷雲の地上観測*
(DataAnalysis)
Table3。12,Table3.L3に示したように,観測データが最もそろっている1989年6月22日,6月
30日のデータを解析した。
3.5.1 天気概況
(1)1989年6月22日
Fig。3。5.1に1989年6月22日9:00(JST)(ooz)の地上天気図をFig.3.5.2にGMSの可視と赤外
の画像を示した。日本の南海上に,東北東から西南西に延びる梅雨前線がある。梅雨前線の北側
の帯状の雲域は,暖気が寒気との間の前線面を滑昇することにより生じたものである。梅雨前線
は,21∼23日にかけて約300km/日の割合で北上している。このような状況の中で,つくば
(36。03’N,140。08’E)では,徐々に厚くなっていく上層雲を観測した。観測時間内は,上層雲
で観測域は覆われていた。時折,中層に高積雲があり観測点の上空を通過した。
!
’99 /
o
1諺 ’¥∂
算
7⑩ノ
濠8
●
ヤ
1
『認\
〆腕、
、
.伊
6月22日9鱒
Fig3.5.1
Surface analysis at O9:00LST(00:00UTC)22 June1989.The front line was
moving to the northward at a speed o乏about300km/day.The observed doud
band was moving northward as the front line moved.The cloud obsgrved at
Tsukuba gradually became thicker.
* 内山明博(A.Uchiyama),塩原匡貴(M.Shiobara),深堀正志(M.Fukabori),浅野正二(S.
Asano)
一220一
気象研究所技術報告第29号ig92
(a)GMS−3 書R
(b)GMS−3 VIS
1989June22 12:00LST
1989June22 12:00LST
40N
40N』
30N
30Nζ講廻
136E
140E
150E
130E
140E
150E
Fig3.52 S&te趾e images{rom GMS−3at12:00LST(03:00UTC)22June1989.(a)visible
image,(b)infr&red lm&ge。(丁短ese images were offered by Japap Meteorological
Agency(JMA〉,Meteoyologic&1Satelllte Ce血ter(MSC)。〉
Fig.3.5.3に気温と湿度の鉛直分布を示した.気温はio度/3時問,湿度は10%/3時間の割合で
右へずらしてある.湿度は気温0℃以下の高度に対して氷に対する値を示した。雲底付近で鉛直
温度分布に逆転がみられ,時間とともに雲底が下がっている。相対湿度は,雲の下では10∼20%
であるのに対して,雲内で急に高くなる。雲底部で氷飽和に対する値で90%以上,その上の雲内
では,80∼90%である。湿度計は,気象庁が高層観測で使用しているカーボン湿度計と呼ばれる
もので,高湿度域で数%低めの値になることと,一40℃以下で精度が悪いという特一性がある。
(2)ig89年6月30日
Fig.3.5.4に6月30日9:00(JST)(00z)の地上天気図を示した.Fig。3.5.5にGMsの可視と赤
外の画像を示した。九州の南部に低気圧があり30∼40km/hourで東北東に進んでいる.低気圧か
ら地上天気図では温暖前線が紀伊半島の南200kmくらいの所まで解析されている。地上天気図で
は解析されていないが,低気圧の東北東部にある雲域は,この温暖前線を滑昇する上昇流によっ
て生じたものである.また,上層の強風軸がこの前線の約400∼500km北に位置しており,6月
22日の梅雨前線と似た状況にある。地上からは,22。ハ・一が見えた。衛星画像でみると,可視の
反射率が低く赤外の輝度温度も低いという薄い巻層雲の特徴がはっきり見える。観測時間内は,
上層雲で観測域は全天覆われていたが,時折,中層を高積雲が通過した.
Fig.3.5.6に気温と湿度の鉛直分布を示した.表示はFig.3.5,4と同じである。6月22日と同じ
様な特徴が見える。
一221一
気象石汗究所才支繍『幸艮籍 第29号 !992
1989/06/22
30。0
02:30 4:30
・8:3♀,IJ17;30
25.0
0
0 0 0
2 ⋮ 0 5 ︵εエ︶ ﹂■工O囲]工
−
20:30
{1:05
潅讐総
5.0
0.0
王80 200 220 240 260 280 300 320 340 380 50 100 五50
TE図PERATURE (K) HU麟IDIT了 (Z)
Flg.3.5.3 丁玉me series of vertical profiles of temperature and humidity.丁払e rawiusoRde
released time(LST〉is shown in tぬe figure.Each successive temperature profile ls
plotted on a scale re{lectiRg10℃/3bours offset wi嶺respect to O2:30profile.
Similarly,the簸umidity pro{ile is plotted on a scale罫eflecting10%/3hours offset.
丁難e relative h雛midlty wi鹿respect to lce for T≦0℃is s鼓own.The ternperature
inversio獄occurred at the clo礒d base level,w穎ch ievel gr&dua疑y lowered.As it did
so,the high humidlty region also gradually lowered.The熱umidity below the cloud
base is lO%∼20% a且d the h嫉midity rapid重y iucreased at the doud base arid
became more than90%.h慮e cloud,tねe relative humidity is80to90%.The
hygrometer used in this observation is called the “carbon” type bygrometer.夏t has
a characteristic of t鼓e uη(玉er estimation by several percent iη the regio鰍 of high
hamidlty,
3.5.2雲粒子ゾンデで観測された粒径分布
雲粒子ゾンデ(HYWS)では,通常のゾンデで測定される気温・湿度の鉛直分布の他に,氷晶
の数密度,粒径分布などの雲の微物理量が測られる(詳細は1。1節及び3.2節参照)。本観測の中で
は,雲の微物理構造について直接情報を得ることができる唯一の測器である.この雲粒子ゾシデ
が,雲内を上昇中に,測器部のフィルム上に付着した粒子をビデオに撮り地上に送信してくる。
送信してくる画像には二種類あり,一つはフィルム面の接写画像で,もう一つは顕微鏡画像(倍
率約5倍)である。前者は,約!00μmから数mmの大きさのものまで,後者は,約10μmから
数100μmの大きさの粒子が検出可能である。粒子の捕捉率は,10μm程度の粒子で約0.2,数
mmのもので約0.8である。今までの測器では測定がむずかしかった20∼50μm程度の粒子も,輪
郭は多少ぼやけるが,はっきりとその存在を確認できた。
一222一
気象研究所技術報告第29号王992
客・・之
い
●
ぐ
伊
’020
ヤ ノ
『’
、
降
’
排 ’
、
運\・
Fig.3.5。4
・数
ハ磐.
畔
\1
\
、 一
Sur{ace a.nalysis at O9二〇〇 LST (00:00 UTC) 30 」ロne i989. The a.tmosp麺eric
depression was in出e sou施of Kyush駁islaωand movlng eastward at a speed o{
30∼40km/ねour.The war艶front ls analyzed a取d depicted from the center of the
depression to嶺e oce&n sout簸of the Kii Pen1ns認a.The cloαd baRd in施e簸or嶺一
e段st part of the depression is&ccompanied by this w&rm fro捻t.The jet core ls
located at400∼500km northward.丁蔭e situat1on ls slmilar to the22J膿e1989,
aRd the cloud observed is a王so simi正&r.
(a)GMS−3 1R
1989 June
(b)GMS−3 VIS
30 42=00LST
1989 June 30 12=00しST
、。、灘
40N叢
30N麟轟
130E
F三g.3.5.5
140E
150E
130El
140E
唾50E
Satellite imageries from GMS−3at12:00LST(03:00UTC)30J駁ne1989.(a〉
visib互e lmage,(b)in葦r&red image.丁麺e typlcai cirrus c鼓ar段cteristlc can be seeR1録
the im&ge over the observatiop site Tsαkubal t簸e lower reflection o{visible
radiation and塩e iower brlghtness temperature.(丁昼ese images were of至ered by
JMA,MSC.)
一223一
気象研究所技術報告 第29号 鴛92
1989/OS/30
30.0
08:30
25.0
……20.0
よ
10144
ハU O
5 0
卜工O田工
10=44噛2:54
≦2:54
5.0
0.0
180 200 220 240 260 280 300 320 340 3eO
TE図PERATURE (K〉
Fig.3.5.6
Same as Fig.
50 玉00 150
日u図王D I T¥ (z)
3.5.3butfor30June1989.AcharacteristicsimilartoFig.3.5.3can
be seen,
5
10
▲△
4
10
3
10
△
塾φ
王
10
△$
△▲
︵㌔詳㎏︶
2
10
一1
10
⇔
φ︿V
﹂O\Zq
0
10
一2
10
ムム
一4
10
三
10
◇⇔
一3
i o
1989/OS/22/玉1305(LST)
ig89/06/30/10:44(しST)
2 3
凹A×1麟U卜4 DI材ENSION
Fig.3.5.7
4
10
10 10
(μm)
Maximum size distributlo簸spectr麟m meαsured by疑YVIS oa頚ne22a簸d30,
1989・Sizespectrumisderivedusiagallleveldatat・gaint簸esampli盤gv。lume.
Maxim縫m dimepsion ls adopted as slze parameter。Open symbols(△,◇)are d&ta
・nJune22・&ndcl・sedsymb・ls(▲,◆)aredata・nJ鷺ne30.Thetriangle(△,▲)
dat&are drived from microscope im段ges,and diamond(◇,◆)data are derived
fromclose−upones.
一224一
気象研究所技術報告 第29号 1992
1989年6月22日,および6月・30日に観測した雲は,角柱状の氷晶からなっていた(第3.2節参
照)。両日の画像を解析して得られる粒径分布をFig.3.5。7に示した。△と◇は6月22日,▲と◆
は6月30日のものである。ただし,ここで示した粒径分布は,雲の全層にわたる平均である。△
と▲は顕微鏡画像,◇と◆は接写画像の解析から得られたものである。顕微鏡画像と接写画像の
両者の測定粒径の重なる100μm前後の所で同じ程度の値になっており,両画像で連続的に粒径
分布が測られていることが分かる。6月22日と6月30日の両者ともほぼ同じ分布をしているが,
これは両日とも似たような前線の上昇流域で観測されたためであろう。この粒径分布に対して
Heymsfield and Platt(1984)にならって,power low−(π(L)=CL一α)で近似して傾きを求め
た。サンプリング体積から判断して,顕微鏡画像,接写画像の解析から得られる数密度のノイズ
レベルは,それぞれ6.Om−3μm}1,0.02m}3μm−1程度であるので,傾きを求める際にはそれぞれ
135μm,680μm以下の測定範囲のデータのみ使用した。
6月22日,6月30日の観測値の傾きをまとめるとTable3.5.1のようになる。平均的には,α=
3.24でありHeymsfield and Platt(1984)のcold cirrus(α=3.15∼3.85)に近い値である。
Platt and Dilley(1981)のライダー観測によるとT=一40℃付近を境に光学的性質が大きく変
わっている。Heymsfield and Platt(1984)のまとめた粒径分布もT=一40℃を境に違いがみられ
る。ここでもT=一40℃を境にPower lowの傾きを求めてみた(Table3.5.1)。この観測例で
は,T>一40℃でα=3.17,T<一40℃でα=3.31であり,顕著な差はみられなかった。
3。5.3 ライダーによる雲底・.雲頂高度
ライダーによる観測は,雲底・雲頂高度,雲の幾何学的厚さ,可視の光学的厚さ,偏光解消度
からの水滴と氷晶の区別,氷晶の配列状況を知るために使用している(3.3節参照)。Fig。3.5.8に
6月22日,および6月30日の観測例について後方散乱比,(後方散乱係数/空気分子の後方散乱係
数)の値の時間変化を示した。空気分子の後方散乱係数の計算には,9:00(JST)の高層観測の
データを使用した。後方散乱比の値は,横軸の時刻5分が1桁に相当するようにプロットしてあ
る。6月22日,6月30日とも,雲が厚く9∼10kmより上部については』ほとんど情報が得られて
いない。第3.3節で述べられているように,光学的厚さが3程度以上であると雲頂の識別は困難
である。しかし,6月22日の例では,雲底が時間とともに7kmから徐々に下がっていく様子はよ
くわかる。また,雲の下層部についても相対的な変化の様子が分かる。
3、5.4 日射フラックスとサンフォトメーターの光学的厚さ
サンフォトメーターを用いて得られる見かけの透過率から第3.4節で示した方法によって多重
散乱の影響を考慮することにより可視の光学的厚さを得ることができた。
Fig.3.5.9に横軸に500nmでの光学的厚さ,縦軸に地表での太陽光に対する透過率をとって観測
一225一
気象研究所技術報告 第29号 1992
Table3.5.1Slze distribution parameter measured by Hydrometeor Video Sonde(HYVIS).The
size41stribution is approxi卑ated by power low;π(L)4L=Cムーα4L.σand・αare
determined by least squares method.Using the data less than135μm size for the
microscopedataandlessthan680μmsizeforclose−updata,coefficientsσandα
ぎfe determined,because sampling volume of HYVIS is low for particles gre&ter
than these sizes.Judging from sample volume,noise levels are about6m−3μm−1
for microscope data and about2×10−2m−3μm−1for close』up data.C andαfor
atmospheric temperature T≧一40℃and that for T<一40℃are also shown in the
table,Platt and Dillely (1981) found the large (lifference of optical property
.between T≧一40℃and T<一40℃cirrus.The size distribution parametrized by
Heymsfield and Platt(1984)also show large difference between T≧一40℃and
T<一40℃cirrus.There is no remarkable difference between the size distribution
of T≧一40℃clrrus and t与at of T<一40℃one in theわresent measurement.
(η(L)=o・Lα)
(T≧一40。0)
0
o
α
α
1989/06/22/11:05
0.981×108
一3.31
1989/06/22/11:・05
0.117×108
一3.02
1989/06/30/10=44
0.635×108
−3.14
1989/06/30/10:44
1.353×108
−3.28
1989106/30/12:54
0.429×108
−3.28
1989/06/30/12:54
0.429×108
−3.21
0.682×108
一3.24
0.615×108
一3.17
(T<一4000)
0
α
1989/06/22/11:05
L103×108
一3.27
1989/06/30/10:44
L203x108
−3.24
1989/06/30/12:54
0.666×108
−3.43
0.991×108
一3.31
時問内のすべてのデータをプロットした。サンフォトメーターで測る光学的厚さは太陽方向であ
ること,雲は必ずしも水平方向に一様でない事からデータにばらつきがある。しかし,サンフォ
トメーターと全天日射計を組み合わせた観測により,巻層雲の太陽光に対するフラックス透過率
と可視域の光学的厚さの関係を得ることができた。但し,ここでのフラックス透過率は,巻層雲
を含む大気全体に対する波長0.3∼2.8μm域の太陽放射フラックスに対する値である。
観測点の天頂に近い南中時の条件で観測されたフラックス透過率と理論計算値を比較した。理
論計算は,波長0』3∼2.8μmの範囲で,asymmetry factor(=g)を与え,散乱位相関数として
一226一
気象研究所技術報告 第29号 1992
1989/06/22
︵Σ﹀一︶ 9 ト エ O H ] 工
15.0
10.0
5.0
09:00
08;00
12300
10300 ’ 11=00
”13
0.0
;00
TI卜4E (しSτ)
(a)1989 June 22
TSUKUBA 1989/06/30
︵Σ∠︶ 卜工OH]工
15.0
一
岡
距
回
10.0
『,畠
回 一 r
』一
・電
5.0
0.0
10=00
11=00
12=、00 13=00
14300
15:00
TI凹E (LST)
(b)1989 June 30
Fig.3.5.8
The time series of the vertical profile of back scattering ratio、observedりy lider,
The length of5minutes in the abscissa corresponds to l order of backscattering
ratio.The signal above9∼10km員s noisy,and no information on the upper part of
cirrus can be obtained.However,the cha.nge of the cloud base height is easily
caught from・these data.
はHenyey−Greensteinの関数形を使って,太陽天頂角13度の条件で計算した。大気プロフィル
は,6月22日9:00(JST)の館野の高層観測のデータを使い,7∼13kmの間に一様な雲を置い
た。aerosolの光学的厚さは0.5μmで0.32と仮定した。地表面は,Lambert反射面とし,その反射
率の値を可視域で0.08,近赤外域で0.13とした。asymmetfy factorとしては,二通りの与え方を
した。一つは,Fig.3.5.10に示した粒径分布を使って球粒子を仮定して計算した。この粒径分布
は,HYVISの観測値を参考に決めた。また,小さい粒子側へHYVISのデータを延長したのは,
FTIRのデータの解析でHYVISの分解能以下の粒子の存在が示唆されたためである。もう一つ
のasymmetry factorの与え方は,Takano and Liou(1989)の巻層雲の可視域の散乱位相関数か
ら得られるaymmetryfactorg=0.75を,波長0.5μmの値とし,波長依存は球粒子を仮定して得
られたものを使った。すなわち,球粒子の仮定で得られる波長0.5μmでのg=0.87とg=0.75の
比率を他の波長のgに掛けて使った。aymmetry factor,single scattering albedoの計算の際に使
一227一
気象研究所技術報告 第29号 1992
》
■▼一 驚
●冠遍.〔
●,.
汐滲コゆ ’5 ’4β乏 。1②
ΦOCσ甥欄⊆﹂のC而﹄ト×コ一L﹄φ︸Oの
(a)’1989 June 22
10二10一一14:00
ご篭.
‘3;凱く、竃し辱=』轟
’、:乞漕撫顎鷲邑
、書塾鳶鼎儲、=
1 2 3・ 4 5 6 7・ 8『 9
Cloud Optical Thickness
ΦO¢而#個⊆﹄の仁OJ﹄ト■×⊃一比﹄可一〇の
(b)1989June30
㌦”
10=20一・14:10
を9尾・
』マ
3隆5亀嚇盛轟.
ヂ ヲサロ ロロこマるち
’『二監=1・‘引●轟.r8
‘許犠’轟8、.邑・
一昌
門
Cloud Optical Thickness
Fig。3.5.9
Plot of cloud optical thickness by the sunphotometer against solar flux
transmittance during the whole period of observation.Plot points are scattered
because the optical thickness derived from the sunphotometer is that for solar
direction and the cloud is not horizontally homogeneous.
用した氷の屈折率はWarren(1984)の値である。太陽放射伝達の計算は,Asano and Shiobara
(1989)の方法に依った。
Fig。3.5。11(a)に11:00∼12:00(JST)の観測値に計算値を重ねて示した。○は球粒子の仮定
で計算したものであり,+は,asymmetry factorのみをTakano and Liouの値に補正したもので
ある。球粒子の仮定で計算したものは,フラックス透過率を10%以上高めに評価している。
asymmetry factorの補正をした計算値と観測値の差は4%以内で,よい一致を示している。観測
値が光学的厚さτ=4∼10の範囲でしかないので,τ=4以下については分からないが,ここで
示された方法で太陽放射のフラックス透過率はかなり良い精度でモデル化できる。すなわち,散
一228一
気象研究所技術報告 第29号 1992
Size Distribution
。1
10
一3
10、
α=一3.5
一5
10
一7
10
200μm
4糾m
1
101 102
3
10
Radius(μm)
Fig。3.5.10
The size distribution used to co卑pute the solar flux transmittance。The size
between4and5μmisconstant,andthatbetween5and200μmdecreases
accordlng to power lawπ(プ)4〆=Cプー“4プ(α=3.5).The above size distribution is
adopted on the basis of HYVIS observation.The size distribution observed by
HYVIS is extrapolated to the small particle region。
乱位相関数はHenyey−Greenstein関数で近似し,そのasymmetry factorの波長依存は,球粒子の
波長依存を使うが,波長0.5μmでのTakano and Liou(1989)のasymmetry factorの値に対する
比率分だけ補正する。Fig.3.5.11(b)に6月30日の観測値と上記の計算値(6月22日の条件で計
算)をプ・ットした。大気状態が22日と30日で似ていたこともあり,τ=3∼10の範囲で6月30
日の観測値もこの理論計算値とよく一致している。
3.5.5 サンフォトメーターの光学的厚さとライダーによって得られた光学的厚さ
サンフォトメーターの光学的厚さとライダーによって得られた光学的厚さの時間変化をFig.
3.5.12に示した。サンフォトメーターで測る光学的厚さは,太陽方向を見て推定するのに対して,
ライダーによる光学的厚さは天頂方向を観測して推定する。従って,二つの測器では,みる方向
が異なる。また,ライダーからの光学的厚さは,約3を越えるとうまく求まらない(3.2節参照)。
これらの理由から,両者の測定値は,ほとんど一致していない。太陽高度の高い11:00∼12:00
(LST)の時間帯に限ってみれば,6月22日の場合光学的に厚いので絶対値を比べることはでき
一229一
気象研究所技術報告 第29号 1992
ゆ R⋮ コ 渇 5 鴻 3 乏 ユ ⑦
δ o ⊆ ω 差 ∈ の⊆歪↑×コ江誌一〇の
(a〉1989June22
11=00一一12=00
、+●図 晦、“
②
2 3 4 5 6 7 8
9
Cbud Optical Thickness
9876543210
①o仁衷営Eの⊂歪↑×コ正﹄厘oの
(b)1989June30
11=00一一12:00
瞬・黛キ遭。・.
o
Fig.3.5.11
1
1
23 45’6? 8
9
Cbud Optical Thlckness
Comparison with theoretical calculation and observation.The observation data
are plotted for the period11:00to12:00.Theoretical calculations were performed
on the following conditions.The atmospheric profile is the aerogical data at the
sta.tion Tateno at O9:00LST(00:00UTC)22June l989.The solar zenith angle
is13degrees.Lambert surface is assumed.The albedo is O.08for less than O.7
μm,and O.13for greater than O.7μm.Henyey−Greenstein function is used as
a scattering phase function.Therefore,asymmetry factor is given at every
wavelength intervaL Circles with dot are the values calculated by assuming ice
sphere.Pluses are the values calcul&ted using the corrected asymmetry f&ctor.
An asymmetry factor g=0.75at the wave length O.5μm is used on the basis of
Takano and Liou(1989),and the sama wavelength dependence with ice sphere
is assumed for other wavelengths;the ratio O.75to O.87is multiplied by the
asymmetry factor for other wavelength。The theoretical values calculated on the
assumption of ice sphere is greater than the observed values by more than10
%.The correcte(i theoretlcal values are colncident with the observed within
4%transmittance in the region of optical thicknessτニ3to10.
一230一
気象研究所技術報告 第29号 1992
0
0 0 ∩∪8
のの]ZとQ一工卜 .↑ユO
0 ︻ ﹂ . 0
TSUKUBA 1989/06/22
00
10:00 、 11300 123 00
09=00
13=00。
TI卜4E (LST)
(a)1989 June 22
0 0 00
1
のの]ZとOH工卜 .↑色O
0 ︻﹂ 0
TSUKUBA
、1989/06/30
義
ヨ
鴫 ●
の ’. ● 8
=一噂1納』1 』1
蕊穂.糠酵魏》
00
11=00
12=00 13300
TI図E (LST)
14=00
1 5 00
(b)1989 June 30
Fig.3.5.12
Time series of cloud optical thickness derived from sunphotometer measure−
ment(dots)and that derived from lider observation(diamonds)。The opticaP
thickness greater thanτ23 cannot be observed by our lidar system.The
cirrostratus on June22and30,1989are so thick that the two opticalg thickneses
could not be compared.
ないが,ライダーによる値も時間変化の傾向は似ている。6月30日は,データが少なく比べられ
ない。
3.5.6 赤外有効射出率
有効射出率は媒質内の物理的性質に立ち入ることなく,外部の放射場だけから決めれるので観
測データの整理には都合がよい.また,陰に散乱過程を含んでいるので,気候モデルや天気予測
モデルなどでの使用が容易である。この様なことから,有効射出率はしばしば使われる。しか
し,有効射出率は,内部の温度分布,雲の微物理特性に依存するので,精密なモデルにとっては
かならずしも良いパラメータではない。
ここでは,赤外放射温度計,FTIRの観測値をもとに10μm域の有効射出率を求めた。赤外放射
温度計,FTIRとも天頂方向からの下向きの放射を測定した。
一231一
気象研究所技術報告 第29号 1992
(1)有効射出率の計算方法
単色光の下向き有効射出率をCox(1976),Platt and Stephens(1980)にならって,以下のよ
うに定義する。
1わ(レ)一1直(レ)
ε、ノ∫↓(レ)= 一
βレ(T,)一1ε(レ)
ここで,左(レ)は雲底での下向き放射強度,左(レ)は雲頂での下向き放射強度,B.(Tσ)は雲の温
度丁,に対する黒体放射強度である。10μm域では,オゾンの吸収帯である9.6μm域を除けば
左(レ)ン0であるので,上の式は次のように近似する。
1わ(レ)
ε耐↓(レ)上β.(L)・
地上からの観測の場合,観測しているのは1厳レ)そのものではなく雲の下の大気の放射と
1底レ)が雲の下の大気によって減衰した放射を合わせたものである。観測放射から,雲の下の大
気の影響を除去し雲の直下での放射強度を推定しなければならない。観測放射は,次の式で表さ
れる。
1。わ、(レ)=1燃(レ;0,為)十∫ガ(レ)T(レ;0,為)
こ;で,1吻(レ)は地表での観測放射,1伽(レ;0,z西)は高度q∼為の間の大気からの放射,
左(レ)は雲底での下向き放射強度,T(レ;o,z占)は高度o∼為の間の透過率ぞある(Fig.3.5.13参
照)。
実際の観測は,ある波数幅ムレで観測されるので,上の式は以下のようになる。
∫φ(レ レ)4レー1φ(レ脚;砿 +∫φ叫(レ)T(1;・・ ・.
ムレ ’一ムレー ムレ ここで,φ(レ)はセンサーの応答関数である。左(レ)は,有限な幅を持った観測からは推定でき
ないので以下の量を定義して使うことにする。
ロ
∼
∼
φ(レ)16(レ)T(レ 。0,zわ)4レ
一わ
ー
ムレ
φ(レ)T(レ ;0,為)4レ
ムリ
したがって,1ガは次の式を使って計算する,
一232一
気象研究所技術報告 第29号 1992
Zt
i癌=
cloud
Zb
含旛剛(一)撫翫,陥、、
盤
↓・厩内陰d陥d_
Z昌0
Fig.3.5.13
Schematic of infrared radiative transfer.The observed radiance 1φ、is a
summation of1轍and∫ポ・T(0,Zゐ),where∫備is the emission from the
atmosphere below the cloud,1ガis the radiance from the cloud,and T(0,Z。)
is the transmittance between cloud base and surface.
∫φ(レ)砿(レ)4レー∫φ(レ)堀魏(レ・
0,zわ)4レ
﹃LO
1
ムレ ムレ
/φ(レ)T(レ・
0,zわ)4レ
ムレ
この1ガを雲の直下での平均の放射強度として,平均の有効射出率ε曜↓を以下の式で表す,
一疏
ε。ガ↓上
∫φ(レ)βレ(Tσ)ゐ
ムレ
(2)放射モデル
放射伝達方程式は,平行平面大気で局所熱力学平衡の仮定で解いた。散乱過程は雲の中しか考
慮しなかった。大気の吸収物質としてはH20,CO2,03を考慮した。鉛直方向の不均質は相関k一
分布の仮定で扱った(Lacis o診α1・,1979;Hansenθ砲Z.,19831Lacis and Oinas,1991)。これによ
一233一
気象研究所技術報告 第29号 1992
り散乱過程がある時も容易に放射伝達方程弍を扱えることになる・相関kは10cm−1敏10項で表
し,対流圏から成層圏上部の気圧・温度範囲でテーブルを作成した。放射強度は10cm4毎の平均
値が計算されるので,赤外放射温度計,FTIRのセンサーの応答関数は,10cm−1毎に面積が等し
い矩形に置き換えて扱った。
水蒸気の連続吸収は,Clough召孟αZ.(1980)の値を深堀他(1991)の観測値をもとに950∼
1250cm一亘域の値を補正して使った。1000∼1200cm−1域では,Cloughθ施Z.の値を0.7倍し,
.950∼1000cm−1,1200∼1250cm−1の間は950,1250cm−1でCloughの値に一致するように補正係
数を0.7と1.0の問で線形に内挿した。
(3)大気モデル
大気は500m間隔(ただし,200m以下は0,10,20,50,100,300m),圏界面から上は1km
間隔で分割した。大気モデルは,隣接する高層気象台の地上観測(気圧,気温,湿度),高層観測
(鉛直温度・水蒸気分布),気象研究所構内の鉄塔観測(高度10,20,50,100,200mでの気温,
湿度),雲粒子ビデオゾンデ(鉛直温度・水蒸気分布)を時間内挿して温度・水蒸気の鉛直分布を
与えた。水蒸気分布は,一40℃以下で値が無いが,観測値のある二番上の高度の氷飽和に対する
相対湿度を雲頂まで外挿した。雲頂は,圏界面とした。圏界面より上では水蒸気は体積混合比
2.5×10−6の一定値にした。有効射出率の計算では大気の鉛直分布は30分毎に内挿した。オゾンの
鉛直分布は,6月の気候値の分布を使った。ただし,鉛直積算量は高層気象台の観測日の測定値
に合わせた。
(4)有効射出率
前述の放射モデルを使い,大気モデルを与え,大気の透過率,大気の放射を大気モデルのレベ
ル毎に計算する。そのデータとライダーのデータから求めた雲底高度から,雲の下の大気の放
射,大気の透過率を推定し観測放射を雲底直下の値に補正し,有効射出率ε曜↓を求める。雲の
温度丁σとしては雲底の温度を使った。
Fig.3.5.14に赤外放射温度計から得られた有効射出率の時間変化を示した。6月22日の例では,
中・下層雲に対して誤補正をしたものも含まれている。大気の補正をしないと1を越える値に
なってしまうが,補正後は1以下の値になっている。6月22目は,赤外の波長においても光学的
に厚い巻層雲を観測していた。6月30日は,0.5∼1.0の間の広い範囲の値をとっている。また,
巻層雲の不均質さに対応して変化している。
Fig.3.5.15にFTIRの860∼1200cm−1の有効射出率の波数分布を示した。すべての観測値を重
ねてある。FTIRの観測は800∼1200cm−1で16cm−1の分解能で行ったが,860cm一正以下では検出
器の感度が悪く観測誤差が大きいので表示してない。6月22日の例では,中・下層雲に対して誤
一234一
気象研究所技術報告 第29号 1992
!1300
T mE
(a)1989
置989/06/22
12300 13300
(LST)
14=00
June22
τSUKUBA
1.5
1989/06/30
︵U
︻U S
ト﹄■一>︻のの固ΣU .L﹂]
− 轡》
Oi8、。。 H,。。 12、。。
T I ME
(b)1989
Fig.’3.5.14
、 集
00 10300
1TSUKUBA
。5犠
hU 5
トト︻>一のの圏Σ] 。﹂﹂田
1 0
068、
慰欝
.︾
1.5
}3=00 14=00
玉5= 00
(LST)
June30
Time series of effective emissivity.(a)June22,1989,(b)June30,1989.
Effective emissivity is defined as the ratio of cloud base downward radiance to
blackbody radiance with cloud temperature T。。The downward radiance at cloud
top is neglected。The downward radiance at cloud base is estimated from
observed radiance by subtracting atmospheric emission and correcting
attenuation between clo“d base and surface.The cloud base temperature is
adopted as cloud temperature T、.The cloud base height is derived from the
vertical profile of lidar signal.The vertical profile of the atmosphere is
interpolated from the rawinsonde vertical profile,and surface conventional
observatlon.The mis−corrected dat&揖re in Fig.3.5.14;radiance from the low
level clouds is corrected as the high level clouds.In the case of June22,most
of the data ar(ミnear LO.On the otber ha.nd,in the case of June 30,effective
emissivity is between O、5and1.0.
一235一
気象研究所技術報告 第29号 1992
補正をしたデータもいっしょにプロットしてある。980∼1080cm㎜1の間は,オゾンの9.6μm帯の
影響を受けている。9.6μm帯では,左(レ)の放射があるのでこの波数域の有効射出率は意味が無
い。有効射出率のスペクトル分布には水蒸気の吸収線があるために生じる凹凸以外にゆっくり変
化する成分がある。これは,巻層雲を構成する雲の微物理特性に依存する変化で粒径などの情報
を含んでいる。
以上のように,ライダー,大気の鉛直温度・水蒸気分布,赤外放射計のデータを粗み合わせる
ことによって,巻層雲の有効射出率のデータを得ることができた。
2.0
(の1989June22
l O l年9
5 0 ︻J
トト一>Hのu㌧一Σ]
L L G
10=45−13=蓬5
。800
0 0『
U310
10350
900
囚AVE
1000 1100
り NU凹BER (cm )
1200
2.0
ロ トト一>Hのu㌧HΣ国
L L 巳
(b) 1989June 30
10:45一一13=50
’800
0 0
騨
鶴9
900
囚AVE
Fig.3.5.15
1000 1100
ロ NU卜IBER (cm )
1200
Effective emissivity spectrum in the region of860to1200cm一1。(a)June、22,
1989,(b)June30,1989,All data are overlapped.FTIR observations were
performed every10minutes.Effective emissivity depends on the wave number.
Itsdependenceiscausedbythat・flheradiativepr・perties・fcl・udparticles・
一236一
気象研究所技術報告 第29号 1992
3.5。7 可視の光学的厚さと10μm域の赤外有効射出率
Fig.3,5。16にサンフォトメーターで得られた500nmでの光学的厚さと10∼11μm域を主に測定
している赤外放射温度計から得られた有効射出率をフ。・ットした。観測時間のすべてのデータを
プロットした。・6月22日のデータには,中下層雲に対して誤補正をしたデータも含まれている
1989/06/22
⋮痴.
■‘ ●
■
●●
轟
拶。.
︵ ♂
、■
の 、羨
0 ﹃D
−占 0
ト↑H>Hのの一Σ] .﹂﹂]
.犀鐙
TSUKUBA
1.5
10二10一一14:00
0.0
0.
0
5.0 10.0
0PT I CAL
THICKNESS
TSUKUBA
1.5
1989/06/30
1^ 0
0 5
トトH>HののHΣ] 。﹂﹂]
(b)
.講購鐸二ζ※
。♂■「,・
6環 。
● ■ ●
● 9 層
齎●・
10=20一一14=10
0.0
0.0 5.0 10.0
〔〕PTICAL THICKNESS
Fig.3.5、16
Plot of the optical thickness derived from sunphotometer and effective
emissivity for the whole period of observation.(a)from10:10to14:00(LST)
June22,1989,(b)from10:20to14:10(LST)June30,1989.In the Fig.3.5.16
(a),the mis−estimated data are included.The relation between optical thickness
and effective emissivity is rather scattered than that between optical thickness
and solar flux transmittance.The width of scatter is about O.2for the same
optical thickness.One of the reasons for this is that the sunphotometer
measured the radiance from the direction of the sun and the infrared
radiothermometer measured the radiance from the zenith.
一237一
気象研究所技術報告 第29号 1992
(ε曜↓が1以上の所に散在しているデータ)。Fig.3・5.9の光学的厚さと太陽放射のフラックス透
過率との関係に比べ,かなりばらついている。ばらつきの理由の一つは,赤外放射温度計が天頂
を見ているのに対して,サンフォトメーターは太陽方向を見ているためである。可視の光学的厚
さにかなり変動があるように,巻層雲はかならずしも水平方向に一様ではない。また,FTIRの
データ解析から赤外域の放射に雲粒子の分布の違いを反映した差が見られるのでそれも原因の一
つと思われる。
Fig・3・5・17に太陽高度が高い11:00∼12:00のデータのみプロットした。6月22日のデータは,
TSUKUBA
1.5
y↑H>HののHΣ] .﹂﹂]
(a)
1989/06/22
. 4 ●
・ ●
●
● o
1.0
二’1罫γ軸噛
● ●
0.5
11:00一一12=00
0。0
0.
0
5.0 10.0
〔3PTICAL THICKNESS
TSUKUBA
1.5
1989/06/30
’
一
o●
。。
聞9
露属
暮
も
1.0
や
ト﹂・H>HののHΣ] .﹂﹂]
(b)
0.5
11:00一一12:00
0.0
0.0 5.0 10.0
ePTICAL THICKNESS
Fig.3.5.17
Same as Fig.3.5.16except that the data are for11:00to12:00(LST).The data
for the period that the solar altitude is high are shown in the figure.In both
figures,effective emissivity is divided intρtwo groups for the same optical
thickness・Oneof、thereas・nsf・rthisisthattheinfrared・pticalpr・perty
r㊧flects more of the difference of size distribution due to the small size
parameter,(which is the ratio of particle size画o wavelength)。
一238一
気象研究所技術報告 第29号 1992
同じ可視の光学的厚さに対して明らかに違いのある2つのグループに分けることができる(1を
越える値は下層雲を誤補正した値)。6月30日のデータにおいても6月22日ほどはっきりはして
いないが二つのグループに分けることができる。これらは.雲の微物理量の違いを反映したもの
ではないかと推定されるが今後詳しく調べる必要がある。
いずれにせよ,3.5.4項とこの項の結果より可視の光学的厚さをパラメーターにして可視と赤
外域の雲のバルクな放射特性を結び付けることができた。今後,観測例を増やし気候モデルなど
で利用し易い形にまとめる必要がある。
3、5.8FTIRのスペクトルからの雲物理量の推定
FTIRで,800∼1200cm『1の波数域で天頂からの大気及び雲の放出する赤外放射のスペクトル
を測定した。観測方向は逆である点を除けば,衛星と同様のデータが得られる。このスペクトル
を赤外の10μm窓帯の射出率の推定に使ったが,それ以外にNOAA衛星AVHRRのch.4と
ch.5の輝度温度差にしばしば観測される数度をこえる大きな値の検証にも使える。この大きな輝
度温度差に対しては,理論計算からは,波長程度の大きさの粒子の存在が示唆されているが,実
際にどのような雲粒子があるか確認して窓領域の放射を測定した観測はないので,FTIRと雲粒
子ゾンデのデータを用いて雲の微物理量と10μm帯の赤外窓域のスペクトル分布との関係を調べ
た。
(1)放射モデル
放尉伝達方程式は,Nakajima and Tanaka(1986)の方法に,熱放射を組み込んだモデルを開
発して扱った(内山,1988)。大気は,l km間隔で分割した(ただし,1km以下は25,50,
100,200,500m)。各層毎に透過・反射マトリックス,sourceベクトルを計算し各層の重ね合わ
ぜはAdding法により行った。気体の吸収は,有効射出率のための大気補正と同じ方法を使った。
ただし,透過率の計算には,各層内ごとにもう一度k一分布を計算し直す方法を採用した.従っ
て,相関k一分布法を更に近似していることになる.しかし,大気の場,吸収物質の量の変化が層
の分割に比べゆっくりしているので,この近似による誤差は小さい。
雲の一次散乱量の計算には,氷晶を球と仮定して行った。また,散乱の位相関数としては
Henyey−Greensteinの関数形を使った。赤外域では可視域に比ベサイズパラメータが小さ)・こと,
吸収があるため後方散乱がなだらかに変化すること,Sassen(1981)の実験結果を参考に,この
ように近似した。我々は,この特別研究において一次散乱量の計算を回転楕円体に対する計算値
をもとにパラメタライズしたが,ここでは使用しなかった(Asano o地Z。,1990)。多分散系として
の雲粒子の一次散乱量は,HYVISの観測に基づいてpower law(n(7)み=σ。皿α4プ)を仮定して平
均した。powerの指数αとしては,3.5を使った。power lowの場合,粒径の範囲を与える必要が
一239一
気象研究所技術報告 第29号 1992
ある.HYVISがすべての範囲の大きさの粒子を計っているわけではないので,下限の値をかえ
て,FTIRのスペクトル分布をよく説明するものを探すことにした。
(2)氷晶のサイズ分布とFTIRのスペクトル分布
6月22日の11:30,12:00,13:00(JST)の三つの時問のデータを調べる。11:30,12:00,
13:00は,それぞれ,光学的厚さが厚い場合,中程度の場合,薄い場合に対応している。粒径分
布と観測スペクトルの関係を調べるのに次のような方法を採った。雲の粒径分布の下限(71)を
71=0.5,1.0,2.0,4.0,8.0,16.0,32.0,64.0,128μmと変えて一次散乱量を計算しておき,
光学的厚さを変えて観測スペクトルと計算スペクトルを比較した。光学的厚さは,955cm−1
(10.5μm)での光学的厚さをτニ1,2,4,8,16,32と変えた。
Fig。3.5.18,Fig。3。5。19,Fig.3。520にそれぞれ11:30,12:00,13:00の計算スペクトルと誤
差分布図を示した。誤差分布図は,計算値と観測値の差の自乗の平均の平方根で示した(誤差=
Σ(1、(計算値)_1、(観測値))2/κ)。単位はmW/(m2sr cm−1)である。誤差の計算は,860∼
980cm−1,1080∼1200cm−1のデータのみで計算した。860cm−1以下は検出器の感度が悪く精度が
落ちるので除いた,980∼1080cm−1はオゾンの9.6μm帯を含むので除いた。
11:30の例では,ここで選んだ(71,τ)の組合せでは誤差が最小になるくぼみを見つけること
ができなかった。計算スペクトルは71=0.5,τ=32の値を観測値とともに示した。860∼920
cm−1で観測値が,数mW/(}n2sr cm−1)系統的に高い以外は,オゾンの9.6μm帯を含めてもよく
再現している.1080∼1200cm一1の領域も吸収線の影響によるスペクトルの凹凸もよく再現され
ている。誤差は平均でL46mW/(m2sr cm−1),相対誤差の自乗の平均の平方根で2.35%である。
920cm−1以下の系統的な誤差の原因は,特定できていない。与えた粒径分布が悪いのか,一次散
乱量のモデルが悪いのか,FTIRの観測値が悪いのか,放射モデルに使った気体吸収の取り扱い
が悪いのか,種々考えられるがどれが原因か今のところ分からない。
12:00の例では,7F4,τ=8の計算値を観測値といっしょに示しした。差は平均で0.87
mW/(m2sr cm一1),1.93%である。この例は,オゾンの9.6μm帯も含めて860∼1200cm−1の全
体をよく再現している。誤差分布図を見ると,テーブル内の最適値を探す方法では,光学的厚さ
に対しては感度があるが,粒径分布の違いに対しては感度が小さいことが分かる。また,光学的
厚さに対する感度も光学的厚さが厚くなると悪くなることが分かる。
13:00の例では,〆1=16,τ=2の計算値を観測値といっしょに示した。誤差は平均で1.21
mW/(m2sr cm−1),3.49%である。この例も,オゾンの9.6μm帯を除けば,計算値と観測値が
よく一致している。この場合は,光学的に薄く,雲のある高度より上の影響もあるので,ここで
与えたオゾン分布では十分説明できないのかもしれない。オゾンの吸収帯については,Smith砿
αZ.(1990)の観測によっても観測値と計算値には大きな差があり,オゾンの9.6μm帯の吸収線の
一240一
気象研究所技術報告 第29号 1992
T3U区UBA
(a)
竃989/05/22/LI呂30
∈
o
\
四 100.0
∈
\
ヱ
Oo
ε
OOo
o
Oo
50.0
]
oZ
l989!06!22/旦1;30
0 0 0
\
了SUKUBA
︵∈藁︶の⊃H口く配
』
150。0
ω
く
(b)
け
∩
0.0
く
800 900 1000 1iOO i200 ・100 −10’
α
じエ
囚AVE NU卜4BER (cm ) 〔〕PTICAL THICKNESS
Fig.3.5.18 (a)Comparison of the observed and the calculated radiance at11:300n June22,1989。
Solid line is the observed radiance,diamonds the calculated radiance.The radiance
calculated on the conditlonプ1=0.5,τ=32is shown,whereプ1is the lower limit of
power law slze distribution andτis optical thickness at wave number955cm
1(10。5
μm)
(b)Error map of radlance.Error is Σ(1f(computation)一1f(observation))2/ノV, Data
between860cm
1and980cm−1,and880cm−1and1200cm−l are used to calculate error.
Data less than860cm1are less accurate due to the low sensitivity of the detector.The
region from980cm1to1080cm一I is the ozone9.6μm absorptlon band。Radiances are
calculated on some combinations ofプ1andτ;71=0.5,1.0,2.0,4.0,8.0,16.0,
32.0,64。0,128.0,andτ=1,2,4,8,16,32.Except for less than920cm一1,agreement
between computed and observed values is quite good.The error is1.46mW/(m2sr
cm一且)and2.35%.The depression area cannot be found in this error map,
TSUKUBA
(a)
o◇
◎o
50.0
0.0
800
(b)
!989!06!22!E2=00
0 0
100.0
旦989/06!22!12=00
102
τ5UKUBA
E風︶ の⊃H︹[く配
7 ∼
ω\ε。\ε\ニε︶]OZく冨くα
』150.0
900 1000 UOO 1200 100 16翫
隔VENU冊ER(cポ1) OPTICALTHICKNESS
F量g.3.5.19
Same as Fig.3.5.18except for12:000n June22,1989.The radiance calculated
on the condition71=4,τ=8is shown with the observed values.In the region
of860to1200cm−1,agreement between computed and the observed values is
quite good.It is good even in the region of the ozone9」6μm band.The
observed data below860cm−1have large errors due to the low sensitivity of the
detector.The error is O.87mW/(m2sr cm−1)and1.93%.The minimum error
occurs at the combination of〆1=4,τ=8.
一241一
気象研究所技術報告 第29号 1992
㈲ 包r﹂。
(b)
19B9!06!22!13300
ooOOOooo
900 1000
1100 1200
ロユ
100
101
0PTICAL τHICKNESS
囚AVE NU図BER (cm)
Fig.3.5、20
0 0
︵∈欺︶ oう⊃H口くα
0 0 0 0
5 0 5
0 0 0 0 8
0
7 N
︵﹄ω\εo\ε\ヱε︶ ]ωZくHOくα
τ5UKUBA
1989!06/22/13300
102
τSUKUBA
Same as Fig.3.5.18excepHor13:000n June22,1989.The radlance calculated on the
condition71=16,τニ2is shown with the observed values.In the reg1on of860to
1200cm−1except for ozone9.6μm band,agreement between computed and the
observedvaluesisquitegood.Thedifferenceintheregionofozone9。6μmbandis
due to incomplete information on the vertical profile of ozone and the atmosphere,
The error is1.21mW/(m2sr cm皿1)and3.49%.The minimum error occurs at the
combination ofプ1=16,τ=2.
パラメータにも問題がある可能性がある。
三つの例しかまだ解析していないが,HYVISの観測値を基にして与えた粒径分布,ライダーで
測定された雲低高度,高層観測による鉛直温度・水蒸気分布,球粒子の仮定で計算した一次散乱
星,Henyey−Greensteinの散乱位相関数を基に計算した赤外10μm域のスペクトル分布の計算値
との差は,1.5mW/(m2sr cm一1)以内であることがわかった。ただし,光学的厚さ,氷水量は
未知数であるので,上述のモデルを用いて光学的に等価な巻層雲のモデルをつくることができる
と言うべきかもしれない。
また,12:00,13:00の例では,power lowの下限を変えないとFTIRのスペクトル分布を再現
することができないことより,赤外10μm域のスペクトルを調べることによって,粒径分布に関
する情報が得られることが分かった。12:00の例では,プ1=4μmまで考慮する必要があること
より,氷晶の測定は半径2μm程度の小さいものまで測定する必要がある。
(3)log−normal分布によるFTIRスペクトルの再現
power lowで粒径分布を与えるときは,下限プ1,上限プ2,指数αを与えることになる。分布に物
理的根拠があるならば使う必要があるが,放射過程にとって重要な断面積を重みにした有効半径
などをパラメータに含む適当な関数形で粒径分布が近似できるならば,それを使う方が便利であ
る。10μm域では,雲の一次散乱量はプ2を変えてもあまり変化しないことと,大きい粒子の波長
依存が小さいことから,プ2に関する情報はあまりない。しかし,power Iowによる粒径分布は,放
一242一
気象研究所技術報告 第29号 1992
oo
900 1000 1100 1200
ロユ
囚AVE NU卜1BER (cm )
0 0 0
oo
0
1989!06!22/箪2300
τSUκUBA
⑥﹂,勿ζ。
(a)
∈蚤︶ の⊃H ︹ [ く 叱 ] > H ト ω ] ﹂ ﹂ ]
f⊃ O FD
0 0 0 0
0 0 0 08
0
0
一− 四
﹄ω\εo\∈\ヱε︶ ]ωZ<一〇く配
Fig.3.5.21
TSUKUBA
置989!05!22!12;00
θ
亘0l
epT I CAL
THICKNESS
Same as Fig.3.5.19except that single scattering parameters are calculated using a
log−normal size distrlbution with o、“=0.1.The minimum depression area occurs at
the combination of勘=16.0,τ=8.0.The error is O.94mW/(m2sr cm 1)and L90%.
Even if the log−normal size distr1bution is used,the observed radiance can be
reconstructed.Considering the difference between power law and log−normal size
distributions in the region of Iarge size,this means that infrared10μm radiances do
not include information on large size particles。Therefore,the estimation of cloud ice
content may be difficult from infrared10μm radiances.
射特性と粒径分布との関係を示すためによく使われる有効半径がプ・にも依存するので,使いにく
い。また,小さい方の粒径分布も連続的に変化する分布を使いたい。
ここでは,log−normal分布(第2章の式(2.5.4),(2.5.5)参照)を使った計算値とFTIRの
観測スペクトルを比べてみた。分布の広がりは,∂ピノ=0.1とし,勧二〇.5,1,2,4,8,16,
32,64,128と,τ=1,2,4,8,16,32の組合せでスペクトルを計算した。
12:00の場合の計算値と観測値,誤差分布図をFig.3.5.21に示した。誤差の最小値は7、∫∫=
16.0,τ=8.0であったが,プ、“=4.0,τ=4。0でも誤差の分布にくぼみがある。オゾンの9.6
μmまで含めて考えると7¢“=16.0,τ=8.0の方が観測スペクトルに近い。このように,モデル化
した粒径分布を用いることによっても観測スペクトルが説明でき,7,“の値が分かり雲を構成し
ている粒径分布についての情報が得られる。ただし,log−noma1分布とpower low分布の粒径分
布の大きい粒径域での差を考えると,このことは10μm域の測定だけからでは,大きい粒子の情
報は得られないことになる。すなわち,氷水量の推定はむずかしい。
(4)波数範囲と含まれる情報
800∼1200cm−1の全スペクトルを比較することは,計算時間を要するので,比較するスペクト
ル範囲を変えたときの誤差を調べた。その結果860∼980cmdのデータでも860∼1200cm−1全部を
一243一
気象研究所技術報告 第29号 1992
使ったときと同じ結果が得られることが分かった。また,1080∼1200cm−1のデータを使うと誤差
分布図のくぼみが2∼3個になることがあるが,くぼみの中には必ず,全スペクトルを使って得
られる誤差分布図の最小値のくぼみが含まれている。したがって,一見情報が無いように見える
1080∼1200cm一1にも粒径の情報が含まれていることが分かった。
(5)可視の光学的厚さと赤外の光学的厚さ
赤外域の光学的厚さの解析例は,12=00と13100の2例で少ないが,サンフォトメーターから
得られた0.5μmの光学的厚さと10.5μmの赤外の光学的厚さを比べた。
τ1α8/τα5上8/4.5∼1.8
ン2/LO∼2.0
for 12:00
for 13:00
10.5μmの光学的厚さは,可視の光学的厚さの約2倍であることが分かった。解析例が少ないの
と,誤差分布図のテーブルが粗いので今後更に解析を進める必要がある。
3.5.9衛星データ
衛星データと地上観測の対応を調べるため,6月22日13:00(JST)過ぎに日本上空を通過し
たNOAA−11による10μmの窓領域の観測データと計算値を比較した。
Fig.3.5.22にAVHRRで観測されたch.4のTBB(ch。4)一TBB(ch.5)の散布図を示した。領域
は,つくば上空を含む35。N∼37。N,13σE∼143。Eの領域である。図には計算値もいっしょに
示した。計算は,6月22日9:00(JST)の高層観測値を使い6.5∼12.Okmの問に一様な雲を置い
て行った。計算値は,天頂方向の値である。power lowの下限値は,71=4,8,16μmと変えて
計算した。多くのデータはプ1=4∼16μmの曲線の間に分布している。HYVISによって,max、
dimensionで20μm程度の粒子が確認されており,従来,理論計算で△TBB=Tββ(ch.4)一丁β8
(ch.5)の大きな差を説明するためには小さな粒子の存在が予想されていたが(Prabhakaraの
αZ.,19881Ymanouchi窃αZ。,1987),確かに小さな粒子の存在と大きな△Tβ8の値は関係してい
る。従来行われていなかった10μm程度までの粒子の測定と放射の同時観測を行うことができ,
上述の予想が観測的に確認されたことになる。
Fig.3.5.23にHIRsのch.8のTβBと△TβB=TβB(ch.8)一丁βB(ch。10)の散布図を示した。デー
タは少ないがやはり71=4∼16μmの所にデータが分布しており,AVHRRを使ったのと同じ結
果が得られた。このようにAVHRRのみならずHIRSも雲パラメータの推定に使えることが分
かった。HIRSは,より多くのチャンネルがあり他の波長域についても同じモデルで説明できる
か今後調べる必要がある。
一
気象研究所技術報告 第29号 1992
890622
10
AVHRR CH, 4−CH.5
︵の。=Q︶q識q笥トー︵寸。工Q︶ρ貸mト
r1=4
5
X X
X
x誤貌装×x
ガく レ
纏磁醸
翼
×% ×蹴
x ×
鮮16糞
0
日身10
v
x
230 250 270 290
τBB(CH .4)
Fig.3.5.22
ScatterplotofTβBαnd△Tββintheregionof139。E∼143。E and350N∼370N
over the Tsukuba area.The abscissa is the AVHRR ch.4 brightness
temperature T8βand the ordinate is the difference of T8βbetween ch.4and ch.
5.NOAA−11passed over Japan at about13:00(LST).Solid lines with diamonds
are values calculated theoretically.〆1is a’radius of iower limit for power low
size distribution.Most of the satellite data lay between71ニ4and〆1=161ines.
The analysis of HYVIS data shows that there are small lce partides which have
an order of the wavelength10to20μm.The large difference of T8βbetween
AVHRR ch.4 and ch.5 was theoretically predicted.Observation whlch
measares the microphysics of cloud and the radiation field at the same time has
not been performed yet.Using HYVIS,FTIR and satellite data,we observation−
ally confirmed the theoretical prediction of large△T8B.
一245一
気象研究所技術報告 第29号 1992
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HIRS CH. 8−CH.10
10
r煮8
x×
﹃∂ 0
︵O穎,工O︶mρaトー︵o⊃ 。工⇔︶mm卜
r1=4
x r1=16
嬰
一身102302509270290
TBB(CH. 8)
Fig.3.5.23
Same as Fig.3.5.22except for HIRS ch.8and ch.10.The central wave
number of ch.8and ch.100n NOAA−11are900.51cm−l and795.69cm−1,
respectively.Most o∫the satellite data lay between〆1=4and〆1=161ines as in
Fig.3.5。22.This figure shows that HIRS can be used for cloud parameter
extraction like AVHRR ch.4and ch.5.
3.5.10 まとめ
雲粒子ゾンデ,ライダー,サンフォトメーター,FTIR,各種放射計,衛星データを組み合わせ
た巻層雲の地上観測システムを作ることができ,数は少ないが定量的な解析に使えるデータの取
得ができた。
雲粒子ゾンデ(HYVIS)からは,巻層雲を構成している粒子の形と長径で20μm∼1mmの粒
径分布の情報が得ることができた。1989年6月22日,および同6月30日の例では,雲粒子は主に
六角柱状の氷晶であった。’氷晶のサイズ分布をpower low(η(L)㏄L一α)で近似することができ,
その傾きは平均でα=3.24であった。T>一40℃では3.17,T<一40℃では3.31で大きな差は見ら
れなかった。HYVISは,本観測システムの中では,雲物理量を測る唯一の測器であるが,氷晶雲
の観測の信頼性を高めるには,観測頻度を増すとともに,氷晶のサンプリング数を増す工夫を加
一246一
気象研究所技術報告・第29号 1992
えるなど一層の改良が必要となる。
サンフォトメーターで太陽方向の放射を測定することにより,可視域の10程度までの光学的厚
さを推定することができた。太陽方向の放射には,かなりの多重散乱成分が含まれており,その
補正方法を開発した。同時に測定した下向き太陽フラックスと可視の光学的厚さの関係を得るこ
とができた.下向き太陽フラヅクスと可視の光学的厚さの関係を,理論計算と比較した結果τ=
3∼10の範囲で透過率4%以内で一致していた。理論計算の雲モデルは,散乱位相関数は
Henyey−Greenstein関数,asymmetry factorは500nmでTakano and Liou(1989)のgrO.75を
使い波長依存は球粒子を仮定して計算したものを使った。雲粒の分布は,HYVISの観測を基に
power lowで近似した。
ライダーの光学的厚さは,3程度までしか測定できず,今回の観測は光学的に厚い巻層雲の観
測であったので比較することができなかった。サンフォトメーターの測定値と相対的な変化は似
た傾向を示した。
10μm域の赤外放射の観測,ライダーの雲底高度,高層観測,地上観測のデータを組み合わせ
ることにより,有効射出率の推定を行うことができた.また,可視の光学的厚さも得られている
ので,10μmの有効射出率と可視の光学的厚さの関係を得ることができた。この関係は,有効射
出率で0.2程度の幅があり更に調べる必要がある。
FTIRにより10μm(800∼1200cm−1)の雲が射出する放射のスペクトルを得ることができた。
このスペクトルを理論モデルと比べることにより赤外の光学的厚さ,粒径分布の情報を得ること
ができた.HYVISから得られた粒径分布をもとに,粒径分布をpower lowで近似し分布の下限,
光学的厚さを変え観測値と計算値を比べた。光学的に厚い場合,中程度の場合,薄い場合の三通
りについてだけ調べたが,誤差(差の自乗の平均の平方根)1.5mW/(m2sr cm−1)以下で観測値
と計算値を一致させ、ることができた。計算に用いた放射計算モデルは,一次散乱量は耳enyey−
Greensteinの散乱位相関数,球粒子を仮定して計算したsingle scattering albedo,asymmetry
factorに基づいている。この程度のモデル化によって赤外10μm域の放射はかなり説明できるこ
とがわかった。また,粒径の下限を変えないとスペクトル分布が説明できないことより,このス
ペクトルから粒径分布の情報が得られることがわかった。
log−normal分布を使ってFTIRの観測スペクトルの再現性を調べた。リモートセンシングめ便
宜を考えると,有効半径で表現される粒径分布を使うことが便利である。その結果ぞ,観測に基づ
くp・Wer I・wと同程度の誤差で有効半径を推定できた。1・g−n・rmal分布とp・wer IQw分布の大き
い粒径域の差を考えると,このことは10μmの測定だけからでは大きい粒子の情報はあまり得ら
れないごとになる。すなわち,氷水量の推定はむずかしいことになる。また,860∼1200cm−1の
全スペクトルを使わなくても,860∼980cm−1のスペクトルを使うことで同じ情報が得られるこ
とが分かった。
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気象研究所技術報告 第29号一1992
解析例は少ないが,赤外と可視の光学的厚さの比率を求めることができた。その比率は,(赤
外110.5μm)/(可視:.0.5μm)∼約2であった。.
6月22日13:00’てJST〉過ぎに日本上空を通過したNOAA−11のAVHRRch.4,¢h.51
HIRS、ch.・8,’ch.10について散布図を作り,毛デル計算値と比べた。その結果,p6wer low’の下
限71=4庖16μmに対応した計算値の中にデータが散布していた。波長程度の大きさの小さい氷
晶までの測定と放射の同時観測は,いままで行われていなかったる理論的に予想され宅いた波長
程度の小さな氷晶の存在とチャンネル間にみられる大きな輝度温度差の対応が,この観測によっ
て初めて確認された。』また,HIRSのチャンネルも粒径の推定に使えるごとが分かったざ
上層の氷晶雲に対して,微物理量と放射量を同時に測定したデータセットを作ることができ,
赤外と可視の光学特性を結び付けることができたことや,10μm域の放射と雲の微物理量につい
ての対応をつけることができたことなど,雲の微物理量と放射の関係について多くの知見を得る
ことができた。しかし,観測例が少ないこと,各測器には問題点があることから,今後,測器の
改良を進めるとともに放射の鉛直分布等の測定項目を拡大しつつ,観測例を増やす必要がある。
また,FTIRデータの解析結果を基礎に,衛星データの解析を進め雲パラメ1一タの気候値を作る
必要がある。
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氷晶雲の地上観測