Kobe
University Repository : Kernel
Title
落葉果樹(ぶどう・もも)の幹周の肥大と根圏内CO2量濃
度の変化に就て
Author(s)
塚本, 正美
Citation
兵庫農科大學研究報告. 農学編, 5(2): 84-86
Issue date
1962
Resource Type
Departmental Bulletin Paper / 紀要論文
Resource Version
publisher
URL
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/81006627
Create Date: 2016-01-03
落葉果樹(ぶどう・もも〉の幹周の肥大と
根圏内 C02量濃度の変化に就て
以 本 正
美
Ont
h
eTrunkGrowthandt
h
eC
o
n
c
e
n
t
r
a
t
i
o
nChangeso
fC
a
r
b
o
n
d
i
o
x
i
d
e
i
1o
fsomeD
e
c
i
d
u
o
u
sF
r
u
i
tTrees (
GrapeandP
e
a
c
h)
i
nt
h
eSo
Masami T UKAMOTO
筆者は 1
9
5
6年2
)かき樹幹周 の肥大生長吟盛期は,新梢
径生長量)の平均値である.幹周の肥大生長は,ぶどう
の伸長生長ぞ 盛期より大体 1ヶ月おく れて生長する,そ
樹は 6 月上旬 ~7 月上句の聞に,もも 樹では 5 月下旬~
して土中 CO
,
量濃度 J)i
首長時期と幹周の肥大盛期とは並
7月上旬の悶にきわめて盛んに生長した.すなわち該期
行している乙で, 根群の活動周期と幹周の肥大とは密接
間中に於けるぶ どう樹D肥大生長量は全肥大生長量の6
2
な関係、のあることを報じた.その後ぶどう樹及びもも樹
%,もも樹は 72%であった.
ことにぶどう樹は 6月上旬と 7月上旬に,もも樹は 7
について実験を行ったので怒に報告する .なお本実験は
1
9
5
6
年に行ったものである.
月上旬に肥大生長の盛期を示した.
(
2
) 新柄の伸長生長
実験材料及び方法
新俗の伸長生長に関する結果を示すと?f~
実験材料:供試材料は兵庫農大附属加古川農場で青苗
2表の如く で
ある.
した二年生のぶどう樹(品種デラウエア ー) ,もも 樹 (
ぶどう樹及びもも樹ともに 5月上旬以後急激に増大 し
品種大久保)の二種類を選んだ.
6月上旬が最も盛んで,この時期にぶどう樹は全伸長量
調査方法:調査は 1956年 4月より 9月にいたる 6
の39%,もも樹で35.6%の伸長を示した . 7月上旬以降
ヶ月聞にわたって行 った.幹周の肥大生長と新梢の伸長
は急激に緩漫 となった.
生長量の測定は 2週間毎に測定した.これに並行して O
一搬に新梢の伸長生長の相は
6 月上旬 ~7 月上句に
RSAT
装置によ って,根圏内の
空気を吸入して, CO,
量濃度の
第 l表 幹 周 の 肥 大 生 長 量
時間的消長を観察した.
幹周は地上 15cmの個所をノ
,量は主幹
ギスで測定した。 CO
より 30-40cmの距離の ところ
を選んで,深さ 25cm盾附近の
CO,量を測定した.
実験を行った兵庫農大附属加
古川農場は,有機質合量のきわ
めて低ト土壊で,土質は下占土質
であるので排水に特に留意した .
実験結果及び考 察
(
1
)
幹周の肥大生長を測定した
結果は,第 1表の通りである.
4月2
8日の幹淫を Oとし,毎回
の測定時に於ける肥大生長量(直
、 子 ¥
ぷ ど
肥大生長
Cロ
量
1
.
ー
ヨ
ノ
も
%
肥大生長量
cm.
。 。
。 。
4月 2
8日
5月 1
0日
5月 2
4日
0
.
0
4
6
.
8
6月
6月
7月
7月
B月
8月
8月
9月
0
.
1
5
0
.
0
9
0
.
1
3
0.
0
5
0
.
0
3
0
.
0
1
0.
0
6
0.
0
3
0
.
5
9
8 日
2
1日
5 日
1
9日
2 日
1
6日
3
0日
1
4日
』
泊
二
仁
ノ、
c
i
主
%
。
2
5
.
4
1
5
.
3
2
2
.
0
8
.
5
5
.1
1
.7
1
0.
2
5
.
1
0
.
0
5
0
.
1
4
0
.
0
4
0
.
1
0
0
.
2
5
6
.
0
1
7
.
1
4
.
9
1
2
.
2
3
0
.
5
0
.
0
7
0
.
0
5
0
.
0
2
0
.
1
0
8
.
5
6
.
1
2.
4
1
2
.
2
1
0
0
.
0
0
.
8
2
3本平均直径生長量を示す.
8
4
。
も
。
。
1
0
0
.
t
量
X
I
I.1962
編
'
ヂ
'
z.;であるような生育相 l
では,紛*
W2t
.
<,
t
}
r梢 の 全 伸 長 ほ
VE
¥
ど
点
、
伸長生長量
4月 2
8円
5月 1
0日
5月 2
4日
6月 8 日
6月 2
11
=
1
7月 5 円
7月 1
91
:
1
8月 2 L
I
8月 1
6日
8 月 30 日
9月 1
4日
メ
入
.
(注)
C町1
も
う
%
。
O
.
2
3
4.
0
1
5
7
.
0
5
8
5
.
4
1
8
2
.
0
1
8
6
.
0
1
3
3
.
0
1
6
.
0
5
.
0
1
.0
0
.
3
1
5
.
6
1
0
.
5
3
9
.
0
1
2.1
1
2
.
4
8
.
9
1
.1
0.
3
0
.1
1
4
9
9
.
7
2.
1
1
丙などの病気に犯され易い.いず
も
伸長生長量
。
れにしても 4月以降の同化養分に
よる枝葉の伸長展開は
%
C町 1
7月上旬
頃までに一応終ることが望ましい
O
.
1
2
4
.
2
2
0
2
.
2
3
21
.8
1
4
7.
8
6
6.
5
6.
8
7
.
3
21
.0
6
.
0
O
O
.
し¥本実験に供試した泉樹の生育
1
3.
7
2
2
.
4
3
5.
6
1
6
.
4
7
.
4
0
.
8
0
.
8
2
.3
O
.7
相は,前述の如く一応正常な状態
9
0
3
.
6
1
0
0
.
1
にあ った ものと考える.
(
3
) 斡周の肥大と土中 CO2量濃
皮の変化
生育中に於け る狼│醤内 CO
2量濃
度の変化の消長を,時期的に測定
した結果は第 1, 2図の如くであ
。
る.
根閣内の CO
量は,土態呼吸,
2
すなわち微生物の生活呼吸と根群
の呼吸が主なものであるから,似
企伸長訟(樹高 +新 I
t全伸長昆:) 3;
j
、
:
.
>
j
i均
f
f
r摘の{中長が一応終ることが望ましいのである.もも樹
が 6月下旬頃になお新梢の旺盛な伸長生長を続ける よ う
な生育相では,生理的落果を起し易い. 6月中旬 下句
は核の硬化期でもあるので,新柏、の E
王
主
主な生長がつづい
ていることは, 栄養生理上からも 満足な状態にあるとは
いえない.ぶどう樹の新相の伸長の盛期は
, 5月下旬
6月上旬,すなわち開花 1週間位にあることが望ましい
といわれている . 6月中旬の硬核 j
引になお伸長生長が旺
2
量を測定して,土中似
圏内の C0
群の活動状態を推定することが出来る.
第1
. 2図の如く,斡周の肥大と土中 C0
Ill濃度の消
2
長とは多少のずれはあるが,大体並行して変化している.
この I
agは土中 CO2量の地表大気中えの拡散現象の難易
の差によるものである .
吉村,小林
4)
は柿国土中 CO2量の変化の状態を測定し
て.CO
2:
6
まの増減と絞群活動周期 との関係を推定 した.
また斉泌 1) に依れば,
リンゴ幹周の肥大燐 J
U
Iと似群の
(",阿
31
2
1
- 'i
I
幹則 の犯人量
;〈小
i
V V V ¥l1明lIl1 V
!
I O
i
nl
'
¥
l
I l
'
¥
l
I
反
!
日f
Z
官守杭
10
24
8
(0;,1.
.
,
包
"
え
,
(
"
0
卜
足
1
')
H
e
及川
f
白
J
3'
1
:
;
)
W2!
き│ もも樹の静 j
司の肥大生長と
第 1図 ぶ ど う 樹 の 幹 周 の j
肥大生 j
乏と
以圏内の CO2誌の変化
似閣内の COd立の変化
8
5
前n '
1
1
1
1i
j
,
:
1
6 30 1
4
t
第 5さ
ど 第 2号
兵1M 主 科 大 学 研 究 報 告
第 3表 発 育 盛 期 と CO2量 増 加 の 時 期
最 盛 期
発 育 盛 期
ぶ
ど う も
幹周
6月上旬 -7月上句
5月下旬 -7月上旬
新梢
5月上旬 - 7月上句
6月上旬 -7月上旬
5月上旬 - 6月中句
CO2量
も
も ぶ ど う も
6月上匂 -7月上旬
6月上句 7月上句
6月上旬
7月上旬
7月上旬
6月上旬
7月上旬
7,
8,
3
1受理)
(果樹園芸学講座昭和 3
伸長盛期とは一致することを報じている.
本実験に於ても根群の活動は. CO2量濃度と並行して
文
盛んな伸長生長をはなすものと考える.すなわち新摘の
伸長生長につ Yいて根の活動は旺盛になるものである.
献
1
9
4
9
.
1
) 斉藤泰治;園芸学会雑誌 18(1-2),
幹周の旧大及び新柏、の伸長生長の盛期と ,CO2量の増
2
) 塚本正美:兵庫農大短期大学部研究鬼録 No.6,
加の時期とを比較表示すると第 3表の如くである.
1
9
5
6
.
もも樹の幹周の肥大盛期は 7月上旬で,根圏内 CO2量
t
h
e
r
: P
r
o
c
.Amer.S
o
c
.
3
) Boynton,D andR巴u
は 3 %の濃度を示した.ぶどう樹では 7月上旬の最盛期
H
o
r
t
.S
c
i
.36,1
9
3
8
.
には 3.5%の潔度であった. Boyton3) は CO2量濃度は,
4
) 吉村不二男・小林立: 食料科学研究所報告
以下では根群及び地上部の発育に支障ないこと
通常 10%
N
o
.
8,1
9
5
2
.
を報じている.本実験に於ては CO2量濃度は 5 %
以上の
Summary
増大は認められなかった.
1
. Thisstudywasc
a
r
r
i
e
do
u
ti
no
r
d
e
rt
oa
s
c
e
-
摘 要
ぶどう樹ともも樹の幹周の肥大生長(直径生長)及び新
梢の仲長生長と,根圏内の CO2量濃度の J
首長との関聯を
知るために実験を施行した.その結果は次の通りである.
1
) 幹周の肥大生長とガrl'~ の伸長生長とは.その発育
の盛期i
に於て凡そ 2
5日-30日の l
a
gのがみられた.即ち
ぶどう樹の幹周の発育盛期は 6月上匂 -7月上旬に,も
も樹は 7月上旬であったが.新舶の仲長生長はいずれも
6月上旬が発育の盛期であった.
2
) 土中根圏内の CO2量濃度の消長と幹周の肥大生長
とは,大体並行して変化がみられた.狼群の活動周期と
幹周の肥大とは密接な関聯性が存在するものと考える.
8
6
r
t
a
i
nthhr
e
l
a
t
i
o
nbetweent
h
巴 c
hangeso
fc
o
n
c
e
n
r
u
n
k
t
r
a
t
i
o
n
so
f carbondioxide i
nt
h
es
o
i
l,and t
growth ands
h
o
o
t 巴l
o
n
g
a
t
i
o
ni
ngrapeand p
e
a
c
h
t
r
e
e
s
.
巴e
sgrewv
i
g
o
r
o
u
s
l
ye
a
r
l
y
2
. Thes
h
o
o
t
so
fbotht
r
a
p
i
di
n
c
r
e
a
s
e
so
ftrunkd
i
a
m
e
i
nJune,andthenr
t
e
roccurede
a
r
l
yi
nJ
u
l
yi
npeacht
r
e
e, ande
a
r
l
y
bothi
nJuneandJ
u
l
yi
ngrapet
r
e
e
.
3
.I
twasfound thatthe concentrations o
fc
a
r
bondioxidei
nt
h
es
o
i
lwerechangeda
s
s
o
c
i
a
t
e
dw
i
t
h
ti
ssugg
巴s
t
e
dt
h
a
t
t
h
etrunkgrowth. Therefore, i
巴l
a
t
巴dt
ot
h
ec
o
n
c
e
n
t
t
h
er
o
o
ta
c
t
i
v
i
t
yi
sc
l
o
s
e
l
yr
r
a
t
i
o
n
so
fcarbondioxidei
nt
h
es
o
il
.
(Laboratoryo
fPomolmgy,ReceivedAug.3
1,1
9
6
2
)
ダウンロード

Kobe University Repository : Kernel