
50歳を過ぎて書いた「麦熟るる日に」は、大
工の子に生まれ、独学で旧制五高に入学する
が、学徒出陣するという自らの体験をもとに
した自伝小説。79年に平林たい子文学賞を受
けたこの小説と、「苦い夏」、「季節の終
り」の青春3部作は、中年世代の共感を呼ん
だ。愛犬との日々をつづった「ハラスのいた
日々」も新田次郎文学賞を受賞、映画化もさ
れた。過熱景気の冷めた92年に出した「清貧
の思想」は、ポスト・バブル時代の人生指南
中野孝次
(なかの
こうじ、1925-2004):
書としてベストセラーになり、“清貧”ブー
ムを巻き起こした。82年には文学者の反核声
1925年、千葉県生まれ。東京大学独文 明の推進者になり、社会的な反響を呼んだほ
科卒業後、雑誌社勤務などを経て国学 か、85年には文化人訪中囲碁団を組織し、中
院大学教授になり、72年、評論「実朝 国のアマと対局した。「河童の血筋」(『新
考」でデビュー。
潮』1998年11月号)

河童
水陸両棲(りょうせい)の妖怪
(ようかい)。空想上の生物。身長は4、
5歳の子供ぐらいで、とがった嘴(くち
ばし)をもつ。背は甲らで、それ以外の
ところは鱗(うろこ)で覆われている。
手足には水かきがあり、腕は左右が通り
抜けていて伸縮が自在。頭の上には水を
たたえるための皿があって、これが河童
の力の源泉で、水がなくなると同時に力
も急速に衰える。

堀口大学(ほりぐち
だいがく 1892-1981):
年東京生まれ。詩人、翻訳家、フランス文学者。
東京本郷生まれ。名前は本名で、父親が東
大生でかつ東大の赤門近くで生まれたので名付
けた。幼少期は新潟県長岡市で過ごした。慶應
義塾大文学部仏文科中退。佐藤春夫とは大学時
代からの親友。19歳の夏(1911)、外交官だっ
た父の任地先メキシコに出かけたのを皮切りに、
19歳から33歳にかけて海外で暮らした。ブラジ
ルにいた大正8年に創作詩集「月光とピエロ」
を出し、大正14年には近現代のフランス詩を翻
訳した訳詩集「月下の一群」で日本の文壇に新
風を吹き込んだ。

21歳のとき上京し正岡子規(まさおかしき)
を訪れ門人となり、その師弟の情は「理想的
愛子」といわれた。子規死後、同門の伊藤左
千夫(いとうさちお)らと共に短歌雑誌『馬
酔木(あしび)』『アカネ』『アララギ』な
どを出し、「写生の歌」と自らよぶ精緻で気
品をたたえた自然詠をつくった。またそのこ
ろから小説を書き、1910年『東京朝日新聞』
に日本の最初の農民文ともいうべき長編小説
長塚節
『土』を連載。翌年のころより喉頭結核を病
(ながつか たかし 1879-1915): み、ふたたび短歌をつくり、『鍼(はり)の
明治・大正時代の歌人・小説家。
茨城県に生まれる。県会議長を務め
たこともある地元有力者の長男とし
て生まれる。
如く』(1914~1915、『アララギ』所載)と
題する哀韻深い231首の作品を残し、大正4年
2月8日、旅先の福岡の病院で36年の生を終え
た。
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「馬追虫(うまおい)の髭のそよろに来る秋はまなこを閉ぢて想ひ(い)
見るべし」
細く長いウマオイの髭(ひげ)がそっと揺(ゆ)れるように密(ひそ)
やかに訪れてくる秋の気配は、眼を閉じて心静かに想い見るのがふさわし
い。密やかに訪れる秋の気配を、ささやかなものにしみじみと感じている。
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※馬追虫(うまおい)…キリギリス科の昆虫。体長は翅(はね)の先まで2.8
~3.6センチ。体は緑色で、背に黒褐色のすじがある。前脚と中脚のすねに
長いとげがあり、他の昆虫を捕食。雄の鳴き声はスイーッチョと聞こえ、
馬子が馬を追う声に似る。

秋萩:秋の七草のひとつで、花期は7月から10月。分布は種類にもよるが、
日本のほぼ全域。古くから日本人に親しまれ、『万葉集』で最もよく詠ま
れる花でもある。
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斎藤茂吉
(さいとうもきち、1882-1953)
日本の歌人、精神科医である。
1910年(明43・28歳)に東京帝国大学医科
を卒業した茂吉は、同大学助手として付属
巣鴨病院に勤め精神医学を専攻、1917年
(大正6・35歳)11月、長崎医学専門学校
の教授に任じられ長崎に赴任します。そこ
で1921年(大10・39歳)まで精神医学と法
医学を講じた後、同年10月渡欧留学。オー
ストリアのウィーン大学、その後ドイツの
ミュンヘンの国立精神病学研究所で研究を
重ね、1924年(大13・43歳)に東京帝国大
学医科大学より医学博士の学位を受けます。
同年12月、帰国の途にあった船上の茂吉に、
養父が創設した青山脳病院全焼の報が届き、
帰国後は病院再建に奔走する日々を迎える
こととなります。医学と短歌と、二つの道
を選んだ茂吉は、この間も歌人として活動
し続け、1921年には第2歌集『あらたま』
を出版。
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和歌と俳句
和歌というのは、和の歌、つまり、日本の詩歌ということです。日本の詩
歌・文学は、中国の詩、つまり漢詩に大きな影響を受けてきました。その漢詩
に対する概念として、「和歌」という総称があります。
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和歌と俳句
和歌には主に、長歌といって(5・7・5・7・5・7・5・7・・・・・
5・7・7)のように、ずっと57とくり返して、最後だけ577となるもの、
短歌といって(5・7・5・7・7)の形式のもの、旋頭歌といって、(5・
7・7・5・7・7)の形式のもの、仏足石歌体といって(5・7・5・7・
7・7)というものがあります。このように、和歌といっても様々な形式があ
り、和歌というのは日本の詩歌の総称です。ただし、短歌の形式が断然多く、
和歌=短歌と見られがちです。
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和歌と俳句
俳句というのは、もとをたどると連歌に行き当たります。複数の人で行う
ゲームのようなものです。第一番目の人が575を詠む。2番目の人がそれに
関連づけながら77を詠む。3番目の人が575、4番目のひとが77という
ように進んでいきます。そのなかで1番目の人が詠んだ575を発句といって、
これを独立した文学として「俳諧」とジャンルができました。このジャンルを
確立したのが江戸時代の松尾芭蕉といわれています。そしてそれに「俳句」と
名を付けたのが、明治時代の正岡子規です。
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和歌と俳句
俳句が和歌かと問われたら、日本の歌なので、先ほどの理屈から言えば和歌
だと言えますが、俳句のことを和歌というふうにはあまり言わないように思い
ます。俳句は歴史が浅いためか、和歌には含まれません。俳句は、句といい、
1句・2句・3句……短歌は、歌といい、1首・2首・3首……と言います。
1、いかなる深山幽谷もいまや道のあるところすべてツーリストとその車の押し
寄せぬ土地はないのであった。
押し寄せる:
激しい勢いで迫る。「群衆が―・せる」「大波が―・せる」
○中国人の買い物客が押し寄せる大阪・ミナミでは、銀聯カードに対応する小売
店が急増し、店頭で取り扱いをPRしている。
○繊維不況の波が押し寄せると、生産高は1975年をピークに右肩下がりで落
ち込み、織元も1500社から3分の1以下に減った。
○1日に約4万人前後が利用する観光地の空港には、タクシーが連日大量に押し
寄せる。
2、かれらはけげんな顔をして、カンカン照りの日向で太陽に灼かれている。
怪訝:[名・形動]
不思議で納得がいかないこと。また、そのさま。
「―な顔をする」「―そうにじろじろ見る」
○集合住宅で呼び鈴を鳴らすと、若い男性がけげんそうな顔で出てきた。「変わ
りはないかね」と問いかける小沢さんに、ドアノブに手を掛けたまま「大丈夫
だから」。会話は続かず、ドアはすぐに閉められた。
○スーパーマーケットや食堂で大声を出したり、歩き回ったりして、周囲から怪
訝(け・げん)そうに見られることもあった。
○以前、居酒屋で1人で飲んでいたら、隣にいた70歳過ぎの老人が怪訝(けげ
ん)な顔で話しかけてきた。飲んでいるうちに、「わし、外国人と話すのが初
めてや。友達になってくれ」って言うんだ。
2、かれらはけげんな顔をして、カンカン照りの日向で太陽に灼かれている。
カンカン:
[副]
①金属・石などの堅い物がぶつかって出す、高く澄んだ音を表す語。
「半鐘の音が―(と)響き渡る」
②日ざしが強いさま。「真夏の太陽が―(と)照りつける」
③炭火などが勢いよくおこっているさま。「火鉢の火が―おこっている」
[形動]
① ひどく怒っているさま。「―になってどなりつける」
② 非常に堅そうなさま。「道路が―に凍る」
2、かれらはけげんな顔をして、カンカン照りの日向で太陽に灼かれている。
カンカン:
○これから迎えるジメジメした梅雨、カンカン照りの暑い夏はお米にとって一番
過酷なシーズンとなる。
○海岸には、様々な大きさの堆積(たいせき)岩が転がっていた。ハンマーでカ
ンカンとたたくと、硬くてびくともしなかったり、すぐに割れたりした。
○霧島連山に近づくにつれて路上には火山れきが目立つようになり、車の底をカ
ンカンと鳴らした。
○この地方には、江戸時代から「カンカン寿司(ずし)」が伝わる。塩と酢で漬
けたサワラを、砂糖や塩を混ぜた米の上にのせる。木枠に入れ、木づちでカン
カンとたたく。
○編集者をつとめた頃のことだが、作家田村の宅に連載の原稿をとりに行くと、
酒屋に一日中入りびたる40代半ばの田村をカンカンになって連れてきて、目
の前でビンタをくらわせた女性もいた。
3、当地の気候に慣れているはずのわたしも、陸に上がった河童さながら肌はか
さかさに乾き…。
かさかさ:
[副](スル)
①乾いた物、薄くて軽い物が触れ合う音を表す語。かさこそ。
「―(と)落ち葉を踏んで歩く」
②水分や脂気が抜けて滑らかでなく、干からびた感じがするさま。
「―した肌」③精神的なゆとりや潤いに欠けているさま。「―した感じの人」
[形動]
②に同じ。「高熱が続いて唇が―になった」
3、当地の気候に慣れているはずのわたしも、陸に上がった河童さながら肌はか
さかさに乾き…。
かさかさ:
○彼は、厚く積もった落ち葉の上を、かさかさと寂しい音をたてながら歩いてい
た。
○かさかさの落ち葉をいっぱい集めてふかふかのじゅうたんを作って転んでみる
のも楽しいですよ。 子どもは詩人? 芸術家?! 大人にはマネできない素晴
らしい感性にあふれています。
○ドイツは空気が乾燥しているので、すぐに肌がかさかさになってしまう。
4、文学という生の根っこを探ってゆくような仕事において、根本的な相違が生
じるのは当然だろう。
根っこ:
①草や木の根。また、木の切り株。
②物事が成り立っている基礎になるもの。根本。おおもと。「いじめ問題の―に
あるもの」
4、文学という生の根っこを探ってゆくような仕事において、根本的な相違が生
じるのは当然だろう。
根っこ:
○観光目当てで作ったものと違い、日常生活から生まれた食べ物には住民の思い
や支持が根っこにある。
○ひとつの芸術への鉱脈を深く掘り下げれば、必ずどこかで別の芸術の根っこに
触れる。それらが絡みあうところに、さらに豊穣(ほうじょう)な精神の愉悦
が待っている。
○アーティチョーク茶は、アーティチョークの花と茎、根っこを乾燥させて細か
く砕いたもの。
○料理やサービスがお客さんにとって、幸福感の根っこであって欲しい。そんな
思いを「福の根」という店名に込めた。
○おやじさんは、僕の首根っこをつかんで、店の外にたたき出し、金を投げつけ
た。
5、若いときは、どの国の文学だろうと同じ人間の書くものに理解できぬことが
あるかと、やみくもに読んだものだったが…」
闇雲に:
でたらめに、無謀に、盲目的に。
○彼らが求める答案は、見通しがないまま、やみくもに問題に着手するという
「だらしない」ものではなく、正解に至る戦略が透けて見える「美しい解法」
の答案です。
○やみくもに勉強するのではなく、試験の科目数や合格に必要な点数、模範解答
といった、大学の情報を自分で積極的に集めることから対策をはじめましょう。
○成績が下降気味のときに、やみくもに学習時間を増やしたりするのでなく、成
績が下がったのには原因があるはずですから、その原因を見つけましょう。
6、底抜けに青い空と、ギラギラする太陽の下で、わたしは自分が河童の血筋の
者であることを確認した。
底抜け:
① 物の底が抜けて、ないこと。また、その物。「―のバケツ」
②程度が並外れていて、際限がないこと。度外れなこと。また、そのさま。
「―な(の)お人好し」「―に明るい性格」
③締まりのないこと。また、その人。「―野郎」
○この女将の底抜けに明るい人柄にひかれて通ってくる常連客も多い。
○本書は、小説家的想像力と底抜けに深い考察眼を通して展開した作者の集大成
である。
○人生というものは、あらゆる規範からはなれ、もっと底抜けに楽天的であって
いいはずだ。
1、動詞の連用形+返る
「そのどちらもツーリストであふれかえっていることには変わりない。」
~かえる:
①すっかり…する、ひどく…する意を表す。
「静まり―・る」「あきれ―・る」「むせ―・る」
②繰り返し…する意を表す。
○しんと静まり返る朝の森に、ガジガジと響き渡る音。見上げると枝の上でエゾ
リスが一心不乱にオニグルミの実をかじっていた。
○中国のスポーツ用品市場にはスニーカー、Tシャツ、ウインドブレーカーなど
のスポーツジャケットといった商品が溢れ返り、李寧からナイキ に至るメー
カー各社が苦戦を強いられている。
○刺繍(ししゅう)など繊細な手仕事と大胆なカット、楽しい演出に会場はいつ
も沸き返る。
2、動詞の連用形+上がる
「いつか冬にモスクワを訪れた時だ、マイナス二十度の寒気に憟えあがって
いると、…」
~上がる:
①その動作が終わる意を表す。しおわる。「新聞が刷り―・る」
②いきつくところまでいっている状態を表す。すっかり…する。
「晴れ―・る」「おどされて震え―・る」
2、動詞の連用形+上がる
「いつか冬にモスクワを訪れた時だ、マイナス二十度の寒気に憟えあがって
いると、…」
~上がる:
○スパゲティは塩を加えた湯でゆで、ゆであがる時間の1分前にゴーヤを加えて
一緒にざるにあげます。
○洗濯をする時間については、朝すぐ干せるような状態に夜の間にタイマーを掛
けて、朝までに洗いあがるようにしておくと良いと思います。
○夏は開放的な気分になりがちな人は54.6%と、半数以上が回答していることか
ら、夏は恋が燃えあがる状況が増えるシーズンであることが伺えますが、実際
に彼氏ができた人は6.3%。
○不都合な事実を詰め込む社会の暗部が膨れあがるにつれ、昔からそこに巣くっ
ていた暴力団は肥え太った。原発と暴力団は共同体の暗部で共生している。
3、~そうにない
「なるべく人の来そうにない山や谷を選んで行くのだが…」
~そうにない:
ある動作が行われる可能性が小さいという判断や見通しを表す。
「でき―・い仕事」「この水は飲め―・い」
○6月のフランスとイタリア、スペインの新車販売台数は大幅に減少し、停滞気
味の上半期を締めくくった。ドイツ市場でさえ、景気悪化の影響から逃れられ
そうにない。
○大震災から1年、タイ洪水からも立ち直り、内需中心に生産は震災前の水準を
取り戻すかと思われていたが、まだしばらく手が届きそうにない。
○一日の終わりにお金のことを考えたくないし、欲しいものを数えていたら欲望
がぎらぎらしてきて興奮して、とても私は寝つけそうにない。
4、ともすれば
「わたしなぞはともすれば木陰に入りたがり、冷気にほっとしていると…」
ともすれば:
[副]どうかすると。場合によっては。ややもすると。ともすると。
「―家にこもりがちになる」「―初心を忘れそうになる」
○強い絆で結ばれた登場人物たちの日常を下敷きに、ともすれば忘れがちな人の
温かさや心のふれあいを今、あらためて描く。
○我々はともすれば希少種の数や経済的損失といった数字の議論に熱中しがちだ
が、生態系の危機はもっと広い視野と感性で受け止めなければいけない。
○少子化でともすれば親御さんが手をかけすぎ、子どもが自分で試行錯誤する機
会が奪われがちな傾向にある時代です。
5、名詞+ばむ
「肌はかさかさに乾きしわばみ生気を失って、むやみと日本の秋が恋し
かった。」
しわばむ:しわがよる。しわだつ。しわむ。「年取って―・んだ肌」
~ばむ:名詞に付いて動詞をつくり、…のようすが現れる、…のようすを帯びる、
などの意を表す。
「気色(けしき)―・む」「黄―・む」
○タイではウインタリング(落葉期)の時期を間近に迎え、一部のゴム農園での
ゴム樹が黄ばむと同時に、葉が落ちて落葉が本番入りしつつある模様である。
○渋谷駅周辺では、汗ばむ陽気のなか、野菜の着ぐるみに身を包むなどした約1
500人が「原発いらない」「野菜だって育ちたい」と訴えながら練り歩いた。
○私の質問に、彼は「そういう物言いはないのではないか」と、日頃の温厚な口
ぶりを一転させ、珍しく気色ばんだ。
1、まるで/ちょうど/あたかも/さながら
「当地の気候に慣れているはずのわたしも、陸に上がった河童さながら肌は
かさかさに乾き…」
[共通する意味] 何かが他の別のものとよく似ていることを表わす語。
[使い方]
〔まるで〕(副)▽祖父はまるで子供のようにわがままを言う。
▽宝くじが当たるなんて、まるで夢のようだ。
〔ちょうど〕(副)▽輪郭のくっきりしたところがちょうど北斎の絵のようだ。
〔あたかも〕(副)▽町全体があたかも公園のようである。
▽遠い昔の事があたかも昨日の事のように思い出される
〔さながら〕(副)▽その公園の美しさはさながら一枚の絵のようだ。
▽実戦さながらの迫力。
1、まるで/ちょうど/あたかも/さながら
「当地の気候に慣れているはずのわたしも、陸に上がった河童さながら肌は
かさかさに乾き…」
[使い分け]
四語とも、意味・用法の上でほとんど差はなく、同じように使われる。
「あたかも」「さながら」は、話し言葉ではあまり用いられない。また、
「ちょうど」は、「ちょうど昼になった」のように、時刻や物の分量などが、
ある基準に一致することを表わす語。他に、「ちょうど彼がやって来た」のよ
うに、折よくの意も表わす。
2、「さぐる(探る)」と「さがす(捜す・探す)」
「文学という生の根っこを探ってゆくような仕事において、根本的な相違が
生じるのは当然だろう。」
設問:
【探る】と【捜す・探す】、意味は違いますか?ニュアンス的なものでしょうか?
2、「さぐる(探る)」と「さがす(捜す・探す)」
回答:
「探る」:
「探る」は暗闇の中、体の触感で物を見つけるときに使う。直接目に見えな
いものを、手や足の感覚でさがし求めたり、感じとったりする。また、「相手
の懐を探る」という言葉がある。相手の考えや様子所在などをこっそりと調べ
る。未知の事柄を明らかにしようと調べる。探究する。
○真っ暗な部屋で、落とした鍵をさぐる。
○箱の中に手をいれて、何が入っているのか探る。
○相手の気持ちを探る。
2、「さぐる(探る)」と「さがす(捜す・探す)」
回答:
「探す」:
欲しいもの、必要なものや失ったものを見つけ出そうとする。
○落し物を探しています。○仕事を探しています。○恋人を探しています。
「捜す」:
犯人、行方不明者、遭難者、迷子、迷子のペットなどに使う。通常、「捜索」
家出人を捜索しています。
○犯人を捜索中です。
2、「さぐる(探る)」と「さがす(捜す・探す)」
犯人を探る。→犯人を捜す
との違いは、捜す時点では、すでに犯人は誰
だかわかっている状態で捜しています。
→犯人をさぐる
の場合は、まだ犯人がはっきりしていない状態で、誰が
犯人なんだろうか?と(疑いながら)見つけ出そうとしている状態。
3、「日向」と「日だまり」
「かれらはけげんな顔をして、カンカン照りの日向で太陽に灼かれている。」
「これじゃたぶんロシア語には『冬の日だまり』なんて言葉はないんだろうな
…」
設問:日向と日だまりってどう違うんですか?
回答:
ひ‐な‐た【日向】 :
《「日の方(かた)」の意から》日光の当たっている場所。⇔日陰。
ひ‐だまり【日溜まり】 :
日当たりがよくて暖かい場所。狭い範囲についていう。「公園の―」
3、「日向」と「日だまり」
日向は単に直射日光が当っている場所。日だまりは日光が当たり遮蔽物が
風を遮っている場所、ってイメージです。日向の方が広い範囲でつかわれるよ
うです。日溜まりは、日が溜まっている場所ですから、比較的範囲が限られま
す。
日溜まりで猫が・・・って言いますが、日向で猫が・・・ってちょっと
しっくりきませんよね。日溜まりの方がほんのりとして、優しさに包まれた暖
かさなような気がします。
4、萎む(しぼむ)・萎びる(しなびる)
萎れる(しおれる)・萎える(なえる)
萎む(しぼむ):
①空気や水分が抜けて急速に”小さくなる”。「風船がしぼむ」。
②「期待・希望がしぼむ」のように、生き生きと張りつめていたものがおとろえ
縮む意でも用いる。
萎びる(しなびる):
水分が抜けて「新鮮さがなくなる」。一度しなびてしまったら、もう元に
は戻りません。「野菜がしなびる」「おじいさんの萎びた手」。萎む(しぼ
む)は、花以外の植物・野菜・果実については用いられないのに対して、萎び
る(しなびる)の場合、「しなびたリンゴ」のように、果実にもいうことがで
きる。
4、萎む(しぼむ)・萎びる(しなびる)
萎れる(しおれる)・萎える(なえる)
萎れる(しおれる):
水分や気力がなくなって「元気ではなくなる」。水分やエネルギーを注入
すれば復活するかもしれません。「暑くて、植木鉢の花がしおれている」。
「先生に叱られてしおれる」のように、気落ちして元気がなくなる意でも用い
る。
萎える(なえる):
①体力や気力が衰えて弱る。
「寝たきりで、手足が―・えてくる」「心が―・える」
②植物などがしおれる。しなびる。「草花が―・える」。
一、次の文の下線部を辞書で引いて日本語で説明した上、全文を中国語に訳しな
さい。
1、『源氏物語』における結婚にまつわるゴタゴタとかウソとか裏工作とか、今
とほとんど変わってないことに呆れるばかりである。
2、こうした話を本欄に書いている僕自身、その稿料でまんまと生計を立ててい
る始末である
3、周辺の田舎びた風景の中で、ほっこりとした日だまりの境内は、新緑と花々
でにぎやかだった。
4、学習時間も関係するが、雑多な授業のメニューをやみくもに学生がとっても、
本当にその学問領域や知識を身につけたといえるか疑問が残る。
5、「自分たちの辞書作り」や「自分の考え紹介」などを題材に、考えを発信し、
互いの考えを認め合える環境づくりを集中して行っている。
二、次の下線部の意味が、例文と最も近い意味で使われている文を①、②、③、
④から一つ選びなさい。
1、ひたすらただ太陽にやかれるために来ているとしか見えないのである。
①串を打たれたうなぎが炭火で丹念にやかれると、食欲を誘うにおいが漂った。
②他者は想像するしかないが、本番に臨んで入る選手にとっては身をやかれる
ような日々だった。
③男はまだ真夏にはいくらか遠い時分だというのに、肌が小麦色に焼かれ、開
かれたシャツの胸元には金色のネックレスが陽を返していた。
④やき畑は木の灰が肥料になるため化学肥料がいらず、熱で雑草の種がやかれ
るため除草剤も不要という。
二、次の下線部の意味が、例文と最も近い意味で使われている文を①、②、③、
④から一つ選びなさい。
2、かれらはけげんな顔をして、カンカン照りの日向で太陽に灼かれている。
①家では主人公が帰ってこないのでお父さんがカンカンに怒っている。
②2年後、松は黄色くならずカビで黒ずみ、カンカンと乾いた音の代わりに鈍
い音がした。
③その日は大変寒い日で、大きい火鉢をカンカンに火を起こして隣の部屋で寝
てしまった。
④会堂には西日がカンカン照りつけ、窓から海ごしに淡路島が美しく見えた。
三、次の文中の———部分に入れるのに最も適切なものを選びなさい。
探す
捜す
探る
1、彼女は会見で、金メダルを得たことでさらに高い目標を探すことが難しくな
る一方で、大きくなるばかりの国民やファンの期待を負担に感じ、そこから抜
け出したいと思っていたと心情を吐露した。
2、信頼できる人を探すのは大変だが、よい関係さえ結べればこれほど頼りにな
る存在はない。
3、横に座っている2人の若い男性は労働市場の苦しい状況を嘆き、海外で仕事
を探す可能性について話している。
4、行方不明の児童の父親は説明会で「最後の1名まで捜すと誓ってもらいた
い」と求めた。休みの日には学校周辺の捜索に出かけている。 4人の児童と
1人の教員が今も行方不明だ。
三、次の文中の———部分に入れるのに最も適切なものを選びなさい。
探す
捜す
探る
5、孤児の主人公は生き別れた母を捜す旅に出てが、やっと見つけた母は冷た
かった。
6、残金は遺族らに返金するが、不明な場合は、生活保護法に基づいて市が家庭
裁判所に「相続財産管理人」の申し立てをし、弁護士らが相続人を捜す。
7、日本と中国の有識者らが、国交正常化40年を迎える両国の新たな関係を
テーマに、尖閣諸島の領有権問題などについて解決の糸口を探る。
8、『美美人カフェ』は、人気お笑いコンビ「響」(ひびき)と注目の読者モデ
ルと視聴者が、ますます輝く女性になるための秘訣を探る、女性のための情報
番組です。
9、無差別殺傷事件で殺人などの罪に問われて控訴中の被告が、事件までの経緯
や遺族らへの謝罪をつづった手記を出版した。手記は被告の今の心境を探る数
少ない手がかりになりそうだ。
四、次の中国語を日本語に訳しなさい。
1、如今,即便不去英国留学,在外国人群居的上海也能听到由外国老师所讲授的
如同英国本土的课程。
(現在、イギリスへ留学に行かなくても、外国人が多く住んでいる上海にいな
がら、外国人講師によるイギリス本場さながらのレッスンを受けることができ
る)。
四、次の中国語を日本語に訳しなさい。
2、日本以世界数一数二的长寿而自豪,然而其自杀率又位居世界前列,此种矛盾
的根源究竟何在令人费解。
(世界一、二の長寿を誇りながら、自殺率でも世界有数という日本の抱える
矛盾の根っこがどこにあるのかと、不思議に思わずにはいられない)。
四、次の中国語を日本語に訳しなさい。
3、随着年龄的增长,女性对西装、鞋子、皮包的款式将不再热心,而开始逐渐关
注起锅碗一类散发着家庭气息的物品。
(年をとってくるとともに、洋服や靴やバッグのデザインに熱を上げる頃を
過ぎ、女性はいつしか鍋釜のように所帯じみたものが気になり出す)。
四、次の中国語を日本語に訳しなさい。
4、二十出头的她无论外表、性格还是与人沟通的能力都算不错,可却说什么“恋
爱是与自己无关的另一个世界的话题”,她怎么会那样想令我有点吃惊。
(20代前半の彼女は「恋愛は自分には別世界の話だと思っている」と語
り、見た目も、性格も、コミュニケーションもちゃんとしているのに、そう思
うに至っていることに、少し驚いたのを覚えている)。
四、次の中国語を日本語に訳しなさい。
5、在遭遇了超乎相象的大灾难之后,许多人才开始关注到以建筑为代表的社会基
础设施构造上的安全性问题的严重性。
(想像を絶する大災害に直面して初めて、多くの人が、建築をはじめと
する社会基盤施設の構造安全性の問題の大きさに気づいたのである)。
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カンカン照りの日向で太陽に灼かれている