A-6
永久磁石配置を考慮した磁気式限流器
の製作と磁界数値解析による動作解析
金沢大学大学院 自然科学研究科
電子情報工学専攻
北澤 瑞喜
発表の流れ
研究背景および目的
磁気式限流器の動作原理
永久磁石配置による偏磁力増強
磁気式限流器の製作と特性
まとめ
研究背景及び目的
研究背景
情報機器の常時接続
分散型電源の導入
短絡容量の増加
社会的要求; 電力の安定供給、電力品質の維持
故障・事故での故障電流による
事故拡大の防止
系統保護
故障箇所での電力放出
限流器(故障電流抑制用装置;Fault Current Limiter)の導入
限流器導入による期待される効果
• 遮断容量まで短絡電流を抑制 → 瞬時に遮断できること
• 高容量の遮断器でなくても遮断できる
限流器の所要性能と適応回路
 通常時のインピーダンスは低い。
 故障発生後直ちに所要のインピーダンスを発生し故障電流
を抑制する
 故障回復後に速やかに通常時の状態に復帰
 高い信頼性が必要
 保守負担が少ないこと
HV
LOAD
限流器挿入回路例
FCL
FCL
G
FCL
FCL
T2
FCL
FCL
T1
理想限流器近似特性
限流器の種類と磁気式限流器の特徴
 アーク・抵抗方式
・・・通常時抵抗ゼロ、信頼性;低、配電系統向け
 超伝導方式
・・・通常時抵抗ゼロ、動作復帰に時間を要する、付帯設備を要する、信頼性;高、配
電系統向け
 半導体方式
・・・限流度を自由に設定、信頼性;低,送電・配電系統向け
 インダクタンス方式
非線形リアクトル型限流器(磁気式限流器)
・・・瞬時に電流抑制、信頼性;高、通常時電圧降下大、自動動作復帰
配電系統向け
非線形リアクトル型限流器(磁気式限流器)の利点・構造
利点
●交流用の完全受動型限流器
●磁心の磁気特性を利用するため
限流開始・動作復帰ともに早い
●付帯設備を必要としないためメンテナンスフリー
●低圧配電系統、負荷側の機器
磁気式限流器構成図
目的
低圧配電系統向け数kVA級の
完全受動型磁気式限流器の設計・製作
実用的な設計手法の確立
通常時の限流器負荷が大きい
・中央脚に流入する交流磁束によって、生じるうず電流による損失。
・磁心飽和磁束密度より低い永久磁石磁束密度による偏磁能力の限界があり、
十分深い位置まで鉄心を飽和できていない可能性。
・永久磁石配置を変更して偏磁能力の増強
低圧配電系統向けの磁気式限流器を製作し、定常応答・瞬時応答について性能評価
磁気式限流器の動作原理
磁気式限流器の直流偏磁点
磁気式限流器は磁心磁気特性を積極的に利用した可変インダクタンス式限流器
磁気特性
直流偏磁点
飽和領域 :インダクタンス小→通常動作
不飽和領域;インダクタンス大→限流動作
限流開始
磁心を永久磁石によって飽和領域深い
位置まで偏磁する
磁心磁気特性と直流偏磁点
直流偏磁点が磁気式限流器の設計に大きな影響
磁気式限流器の動作原理
限流時電流波形
理論限流器電圧波形
通常状態
通常状態
限流状態
電流が抑制される
限流器電圧から状態を
確認できる。
永久磁石配置の変更による偏磁力増強
永久磁石配置変更による起磁力増強
これまでの研究報告より
改善点;通常時のインピーダンスを小さくする
N
S
中央脚全体としての起磁力を増強する
永久磁石と鉄心の接する断面積増大
永久磁石配置の変更
通常永久磁石配置型
N
S
N
S
期待される効果
・中央脚における偏磁起磁力の増大
・中央脚上部の磁束密度の増大
N
S
S字永久磁石配置型
S字永久磁石配置の最適寸法比
最適寸法条件
ah
 
 2 .5
a
av
 
1
a
 
 
h
5
a
 
l
 1.5
a
ah
 2 .5
a
限流器寸法図
求められた寸法条件
ah  50㎜
av  20㎜
h  100 ㎜
l  30 ㎜
最適寸法による磁束密度分布
比較位置
1.97T
1.9T
従来の永久磁石配置の場合
1.97 T
永久磁石配置を変更した場合
永久磁石をS字型に配置
・両脚を約1.97Tまで偏磁
・中央脚上部の磁束密度の増大
2kVA級積鉄心型磁気式限流器の製作
コイル;150turn
60
N
S
S
110
N
190
250
20
N
S
50
10
永久磁石
30
40
110
40
30
製作した限流器寸法図
永久磁石;ネオジム磁石
鉄心;ケイ素鋼板
ヨーク
製作した磁気式限流器の正面図
磁気式限流器の定常応答特性
磁気式限流器の定常応答評価回路
Vfcl
FCL (300 turns)
-
100V,60Hz
VL
+
R
磁気式限流器の定常応答検討実験回路
負荷抵抗RLを変化させて、磁気式限流器の限流動作について評価
磁気式限流器の定常動作波形
6.0
Iline(FCLなし)
Iline(FCLなしl) I
30
20
2.0
0.0
0.000
0.010
0.020
0.030
0.040
0.050
0.060
-2.0
-4.0
回路電流(A)
Voltage(V)
回路電流(A)
4.0
40
Iline(FCLありl)
10
0
0.00
0.01
0.02
0.03
0.04
0.05
0.06
0.025
0.03
-10
-20
-30
-6.0
-40
Time(s)
150
VRL
Vs
100
Vfcl
50
0.005
0.010
0.015
0.020
0.025
-50
0.030
VRL
50
0
0
0.005
0.01
0.015
0.02
-50
-100
-100
-150
Vfcl
Vs
100
0
0.000
Time(s)
150
各部電圧(V)
Voltage(V)
各部電圧(V)
line(FCLあり)
-150
Time(s)
通常動作時各部時間波形
限流器電圧;小
回路電流 ;抑制されていない
Time(s)
限流動作時各部時間波形
限流器電圧;小
回路電流 ;抑制されていない
製作した磁気式限流器が限流動作していることを確認
限流率特性
限流率  
限流器が含まれない場 合の電流 I nonfcl
限流器を挿入した場合 の電流 I withfcl
6
5.5
5
限流率λ
4.5
4
3.5
3
2.5
2
1.5
1
0
5
10
15
20
25
30
回路電流(最大値)(A)
限流率特性
限流率λは約26Aで5.5まで上昇
限流動作を確認
磁気式限流器の瞬時応答特性
磁気式限流器の瞬時動作波形
限流器に求められる性能
事故発生時;限流器電圧が電源電圧のほとんどを速やかに負担し回路電流を抑制
事故除去後;自動的に限流器電圧は小さくなって回路電流を抑制しない
系統内に
事故発生;スイッチ投入
事故除去;スイッチ開放
1Ω
大電流
通常電流
負荷に位相を変化させる
力率総合負荷の挿入
限流器の瞬時応答動作検討実験回路
定常動作についてのみ限流性能の検討
過渡動作について検討
磁気式限流器の過渡動作波形(事故発生時)
200
200
Vs
150
150
100
0
0.02
0.03
0.04
0.05
0.06
0
0.01
-50
-100
-100
-150
-150
-200
-200
Vs
150
100
ILine
50
0
-50-0.01
0
0.01
0.03
0.04
0.05
0.02
0.025
Time (s)
200
30
150
30
20
100
20
50
10
10
0.02
0.015
40
0
0.06-10
Voltage (V)
Time (s)
200
Voltage (V)
0.01
50
0
0.01
-50
0.015
40
0.02
0
0.025
-10
-100
-20
-100
-20
-150
-30
-150
-30
-200
-40
-200
-40
Time (s)
Time (s)
限流器電圧と回路電流の瞬時動作波形(力率総合負荷;進み力率0.2に設定)
限流器電圧は瞬時に大きくなり、回路電流は大きな故障電流を約30A付近まで抑制
事故発生時には瞬時に限流動作をしていることを確認
Current (A)
0
-0.01
-50
Voltage (V)
Vfcl
50
Current (A)
Voltage (V)
100
磁気式限流器の過渡動作波形(事故回復時)
150
150
100
Vfcl
50
0.00
0.01
0.02
0.03
0.04
0.05
Voltage (V)
Voltage (V)
100
0
-50-0.01
200
Vs
0.06
50
0
-500.005
-100
-100
-150
-150
-200
-200
0.007
0.009
0.011
ILine
50
0
-50-0.01
0.00
0.01
40
30
150
30
20
100
20
50
10
10
0.02
0.03
0.019
200
0.04
0.05
0
0.06-10
Current (A)
Voltage (V)
100
0.017
40
Voltage (V)
Vs
150
0.015
Time (s)
Time (s)
200
0.013
0
-500.005
0.010
0.015
0
0.020-10
-100
-20
-100
-20
-150
-30
-150
-30
-200
-40
-200
-40
Time (s)
Current (A)
200
Time (s)
事故回復時の限流器電圧と回路電流の瞬時動作波形(力率調整器;進み力率0.2に設定)
事故回復時限流器電圧は瞬時に小さくなり回路電流は通常電流に復帰
事故回復時は瞬時に自動動作復帰できることを確認
磁気式限流器の過渡電圧,電流位相特性
定常動作
過渡応答時間
定常動作
電源電圧の位相
瞬時応答動作波形(力率総合負荷;進み0.2)
事故発生・回復時に過渡動作から定常動作へ移行するまでの時間
力率総合負荷の位相とスイッチ投入・開放時の電源電圧の位相について検討
事故発生時の電源電圧の位相に対する過渡応等時間特性
40
150
30
100
20
50
10
0
0
-50
-100
-10
0° 90°
-20
-150
-30
-200
-40
1
3/4
周期T (cycle)
200
Current (A)
Voltage (V)
事故はいつ発生するか不明→事故発生時の電源電圧の位相による過渡応答時間について検討
1/2
1/4
Time (s)
力率総合負荷;進み力率0.2に設定
通常動作時回路電流動作波形
0
30
60
90
スイッチ投入時の電源電圧の位相
過渡応答時間特性(力率総合負荷;進み0.2)
事故が発生し限流動作を開始してから最長でも電源電
圧の1周期以内に定常動作へ移行できることを確認
事故回復時の電源電圧の位相に対する過渡応等時間特性
40
150
30
100
20
50
10
0
0
-50
0° 90°
-10
-100
-20
-150
-30
-200
-40
Time (s)
力率総合負荷;進み力率0.2に設定
限流動作時回路電流動作波形
2
周期T (cycle)
200
Current (A)
Voltage (V)
事故回復時電源電圧の位相による過渡応答時間について検討
1
0
0
30
60
Voltage phase (°)
過渡応答時間特性(力率総合負荷;進み0.2)
事故が回復後は限流動作を終了してから最長でも電源
電圧の2周期以内に定常動作へ移行できることを確認
90
事故発生・回復時の力率総合負荷の位相に対する過渡応答時間特性
負荷によっては大きく位相のずれを生じさせる
力率総合負荷の値を変化させてスイッチ開閉前後の過渡応答時間について検討
0.032
2
1
周期(cycle)
周期(cycle)
0.016
0.5
0.008
0.016
1
遅れ 進み
遅れ 進み
00
00
-90
0
-60
-30
0
30
1
力率総合負荷の設定値
力率負荷の位相(°)
60
90
0
-90
0
-60
-30
0
30
1
力率負荷の位相(°)
60
90
0
力率総合負荷の設定値
力率総合負荷の値による過渡応答時間特性 (スイッチ投入時の電源電圧の位相90°)
誘導性・容量性負荷などの様々な負荷が挿入されても事故発生時には限流動作を
開始してから1周期以内には定常状態へ移行し、事故回復後は限流動作を終了して
から2周期以内には定常状態へ移行できることが確認できた。
まとめ(1)
(1) 磁気式限流器の性能向上のために永久磁石配置を変更して、
起磁力の増強について検討
・ 偏磁力増強が可能な磁石配置方法が明らかとなった。
・ 適切な磁心・磁石寸法比の条件を決定した。
(2) 磁気式限流器を製作し、定常限流性能について評価。
限流動作波形、限流率特性から限流動作していることを確認
まとめ(2)
(3) 製作した磁気式限流器過渡限流性能について評価した。
・ どのような負荷であっても速やかに限流器は電源電圧の
ほとんどを負担し、故障電流を抑制。
・ 事故発生・回復時にはどのような負荷が挿入されても
最長でも電源電圧の2周期以内に定常動作へ移行
磁気式限流器を低圧配電系統へ直列接続し、
遮断器と併用することによって更なる系統の
安定化を期待
今後の検討事項
磁気式限流器の実用化を目指し通常動作時の限流器負荷を小さくする必要
磁気式限流器のB-H特性
0.50
0.00
-4000
-3000
-2000
-1000
0
1000
2000
今回試作した限流器のB-H特性
-0.50
-1.00
今回試作した限流器のB-H特性
-1.50
-2.00
3000
4000
交流磁束動作波形
0.0020
0.0015
0.0025
0.0020
不飽和領域
0.0015
0.0010
0.0005
0.0000
0.000
0.0005
0.004
0.008
0.012
0.016
0.0000
0.020
0.025
0.030
0.035
0.040
0.045
-0.0005
-0.0005
-0.0010
Φ+
0.0010
磁束(Wb)
磁束(Wb)
Φ+
Φc
Φ-
-0.0015
-0.0010
Φc
-0.0015
Φ-
-0.0020
-0.0025
-0.0020
今回試作した磁束時間波形
前回試作した磁束時間波形
不飽和領域における両脚に流れ込む磁束が小さくなった。
磁心外側の磁路内のギャップの影響で磁気抵抗が大きくなったことから
周回する磁束が小さくなり両脚に生じる誘起電圧が小さくなった。
永久磁石配置の検討
二磁心型磁気式限流器の構成図と直流磁界解析による限流器特性
30
190
0
N
S
2
30
30
340
110
40 30 60
0.05
磁界H(A/m)
0
0
磁束密度B(T)
-0.05
-0.1
-0.15
-0.2
-0.25
-0.3
-0.35
500
1000
1500
2000
2500
3000
3500
4000
定常動作までに要する時間と時定数
i  I m sin(t   )  I m sin   e
R
  cos
10
1

t

200
AC 100V
150
60 Hz
100
50
0
-50-0.01
0
-100
-150
-200
VS
0.01
0.02
0.03
0.04
0.05
-100
-150
-200
200
AC 100V
150
100
60 Hz
50
0
0.000
-50-0.010
-100
-150
-200
VS
ILine
0.010
0.020
0.030
0.040
0.050
40
30
20
10
0
-10
-20
-30
-40
200
AC 100V
150
60 Hz
100
50
0
-50-0.01
0
-100
-150
-200
電源電圧 Vs (V)
0
各部電圧 (V)
Vfcl
VS
Vfcl
0.01
0.02
0.03
0.04
0.05
VS
0.01
ILine
0.02
0.03
0.04
0.05
40
30
20
10
0
-10
-20
-30
-40
回路電流 ILine (A)
AC 100V
60 Hz
回路電流 ILine (A)
各部電圧 (V)
電源電圧 Vs (V)
200
150
100
50
0
-50-0.01
進み力率0.8のときの瞬時動作波形
事故発生時瞬時限流動作波形
事故回復時瞬時限流動作波形
ダウンロード

永久磁石配置を考慮した磁気式限流器の製作と磁界数値