離 島 地 域 の 中 学 校 に お け る地 域 学 習 の 現 状
(そ の2)
沖縄県与那 国町を事例 と して
岩
田
貢
レキーワー ド
離 島教 育
▼要
与 那国
久 部 良 中学 校
地域学習
旨
沖 縄 県 八 重 山 郡 与 那 国 町 は 、 台 湾 と の 国 境 に臨 む 離 島 にあ る。 こ こ で の 地 域 学 習 は 、 他 の 離
島 と同 様 に 、 地 域 で 学 ぶ こ と よ り地 域 を 学 ぶ こ とに傾 斜 して い る 。 そ の 内 容 を み れ ば 、 島 の 自
然 ・歴 史 ・文 化 ・産 業 ・地 域 生 活 等 を教 材 化 した学 習 が 展 開 され て い る 。
与 那 国 にお け る この 地 域 学 習 を 含 む 離 島教 育 の 全 体 をみ れ ば 、島 を教 材 と し、島 の 中で 学 び 、
島 の住 民 に よ っ て教 え ら れ る こ と を通 して 、 与 那 国 育 ち と い うア イデ ンテ ィ テ ィー を 育 成 す る
こ とが 主 眼 と さ れ て い る 。 与 那 国 で は 、 中 学 校 卒 業 後 に は 島 か ら離 れ て 自立 す る こ とが 求 め ら
れ て お り、 そ の 後 帰 島 す る に せ よ離 れ た ま ま生 活 す る に せ よ 、 島 の 振 興 に 寄 与 す る 人材 の 育 成
が 行 わ れ て い る。 これ らの 教 育 に は 、 同 じ く国 境 に接 す る離 島 で あ る 長 崎 県 対 馬 との 間 に違 い
を み る こ とが で きる 。
1は
じめ に
離 島 は 、 環 海 性 と隔 絶 性 と で性 格 付 け られ る 「島 しょ」 を 示 す 用 語 で あ る 。 前 者 の環 海 性 に
は 自然 的 要 因 が み られ る が 、 後 者 に は社 会 的 要 因 が と りわ け 強 くは た らい て お り、 こ れ が 厳 し
い環 境 下 で の 生 活 を強 い る 主 因 と な っ て い る。
離 島 に 関 す る教 育 は 「離 島 教 育 」 と総 称 さ れ る 。 離 島 教 育 は 、 離 島 を学 ぶ の か 離 島 で 学 ぶ の
か な ど 、 明確 な 定 義 は 見 受 け られ ず 、 一 般 に 「山 間 部 や 離 島 な ど交 通 ・通 信 の 不 便 な 地 域 の学
校 の 教 育 」 を意 味 す る 「へ き地 教 育 」Pに 含 まれ て い る。
離島地域の中学校における地域学轡の現状(その2)(岩 田)-89一
本 論 で は 、対 馬 の 研 究21に 続 き、 「離 島 教 育 」 を、 離 島 にお け る学 校 教 育 の 内 容 と方 法 お よ
び 実 践 上 の 諸 課 題 を 主 と して と りあ げ る 意 味 で 使 用 す る。 した が っ て 、 島 外 か らみ て 離 島 を学
習 の 対 象 とす る教 育 や 、 離 島 を訪 問 した り離 島 を舞 台 に実 施 す る体 験 的 な学 習 を行 う教 育 な ど
に つ い て は 含 め な い 。 ま た本 論 で の 地 域 学 習 は 、 中 学 校 社 会 科 に お け る 身 近 な 地 域 を対 象 とす
る 学 習 を い う と と もに 、 社 会 科 の 内 容 と有 機 的 に 結 びつ く総 合 的 な学 習 の 時 間 や 学 校 行 事 にお
い て 行 わ れ る学 習 も含 め る こ と とす る。
さ らに 本 論 で は 、 沖 縄 県 八 重 山 郡 に あ る 一 島 一 町 の 与 那 国 を研 究 対 象 と し、 町 立 久 部 良 中学
校 の 教 育 を事 例 と して と りあ げ る 。 手 順 と して 、 まず 離 島 で の 教 育 に み られ る特 徴 を 整 理 し、
そ の 後 は対 馬 の 研 究 と同 様 に進 め る。 す な わ ち 、① 与 那 国 の現 状 、② 久 部 良 中 学 校 に お け る教
育 実 践 、③ 実 践 に 関 す る分 析 と地 域 学 習 の 考 察 とい う構 成 とす る。
なお 、本 論 で は 、地 名"与 那 国"に 関 して 、研 究 対 象 地域 と して 一 般 的 に指 し示 す 際 に は 「与
那 国 」 を 、 行 政 区 を 意 識 して示 す 場 合 に は 「与 那 国 町 」 を 使 用 す る こ と にす る 。
2離
ω
島 及び離島教 育
離 島 と その振 興
日本 の 沿 岸 の 「島 し ょ」 を み る 際 は 、 「海 上 保 安 白書(昭 和62年 版)」 に 記 載 され て い る6,852
島 とい う数 値 が 基 に な る 。 島 し ょ を明 確 に定 義 す る もの は な い が 、 同 白 書 に は 、 「島 し ょ とは 、
外 周 α1㎞ 以 上 を い う。」 とい う基 準 が み ら れ る 。 他 方 、 離 島 の 数 は 、 本 州 、 北 海 道 、 四 国 、 九
州 及 び 沖 縄 本 島(以
下 「本 土 」 と表 記)を
除 く6,847島3}と され る が 、 離 島 の 明 確 な 定 義 は な
く、 広 義 に は この 島 し ょの 基 準 が あ て ら れ る 。
狭 義 の 離 島4)と は 、 離 島 振 興 法(1953年)に
よ っ て 振 興 対 策 の 対 象 とな っ て い る 島 を さ す 。
現 在 、261の 有 人 離 島 が 同 法 に よ る振 興 対 策 実 施 地 域 に な っ て い る 。
離 島 の 振 興 に関 して い え ば 、 同 法 の 第5次 改 正 ・延 長 下 で の2003∼2012(平
成15∼24)年
度
計 画 にお い て 、 「離 島 の 地 理 的 ・自然 的特 性 を生 か した振 興 」 「地 域 の 創 意 工 夫 に よ る 自立 的 発
展 の 促 進 」 とい う新 しい 方 向 性 が示 され た。 い わ ば 、 離 島 は 今 、 隔 絶 性 や 狭 小 性 とい っ た 不 利
な 条 件 を抱 え つ つ 、 本 土 の 社 会 シス テ ム に組 み 込 まれ なが ら、 公 共 投 資 減 少 策 の 中 、 住 民 に は
自 立 を 目指 させ る と い う厳 しい 島づ く りが 求 め られ て い るの で あ る。
こ の 中 で 離 島 で は 、 住 民 自 身 の 島 へ の 理 解 の促 進 と地 域 の 中 で 活 躍 で き る 人材 の 育 成 が 求 め
ら れ て お り、学 校 教 育 に 期 待 され る 部 分 は大 きい と言 え る。
(2)離
島 教 育 とその 課 題
離 島 教 育 に 関 す る研 究 は 、 必 ず し も多 くな い 。 そ の 中 で 柳 田 泰 典 の 論 考5)に 注 目 した い 。 柳
田 は 「離 島 に お け る地 域 教 育 構 造 の現 状 と課 題 」 の 中 で 、 離 島教 育 を考 え る基 本 視 座 を 以 下 の
よ う に整 理 した 。 これ は1989年 度 に長 崎 県 五 島 列 島 を対 象 に行 っ た調 査 を基 に した もの で あ る 。
社 会 情 勢 や 当該 地 域 の もつ 特 性 が 異 な り、 直 ち にす べ て の 離 島 の 分 析 に 適 用 で きる か ど うか は
検 討 を 要 す るが 、 現 在 の離 島 教 育 の 内容 をみ る視 点 に つ い て 重 要 な示 唆 が 読 み 取 れ る 。
-90一
龍谷紀要
第33巻(2011)第1号
① 「本 土 」 へ の 移 動(地
域 か らの 離 脱)が
、 子 ど もた ちの 就 職 、 進 学 行 動 の 基 本 的 な特 徴 と
な る。 そ の 要 因 は 、 農 漁 業 の 衰 退 と 全 国 的 な高 学 歴 化 の 進 展 に あ る。
② ① の 行 動 の 進 展 は 、 「現 代 教 育 の もつ 諸 矛 盾 の 離 島 的 拡 大 ・増 幅 」 と捉 え る 必 要 が あ る。
③ 現 代 教 育 の もつ 諸 矛 盾 の 主 な もの と は 、 次 の 四 点 で あ る。
ア 、 学 校 に お け る態 度 主 義 的 な 学 力 形 成 と 人格 形 成
イ、 受 験 、 進 学 が 要 求 す る諸 能 力 の 優 先 的 な形 成
ウ、 社 会 的 選 抜 過 程 の 日常 化 と子 ど もの 「学 力 」 に よ る格 差 、 階 層 差 の 形 成
工 、教 育 は学 校 で 行 い 、そ れ を支 え る形 成 は家 庭 、地域 で 行 う とい う学 校 教 育 中 心 的 な 「教
育 一形 成 」 観
④ 四 点 の矛 盾 は離 島 で 拡 大 ・増 幅 さ れ 、 次 の よ うな 諸 形 態 と して あ らわ れ る。
ア 、 学 校 に お い て は 、 受 験 競 争 の 圧 力 や 進 学 へ の志 向 が 弱 い 環 境 に あ る た め 、 基 礎 学 力 や
競 争 が 停 滞 す る い っ ぽ う、 精 神 力 が 強 調 され る こ と に な る 。
イ、 家 庭 に お い て は 、 経 済 力 や 諸 施 設 の 不 備 、 文 化 的 集 積 地 との 距 離 の 大 き さ な どか ら、
学 習 塾 や 習 い ご と、 文 化 活 動 や 旅 行 等 の 、 進 学 、就 職 を 支 え る 教 育 が 十 分 で きな い。
そ れ が ま た 学 校 教 育 や 地域 教 育 へ の 依 存 を 高 め 、 家 庭 の 教 育 力 を縮 小 させ て い く。
ウ、 地域 に お い て は 、 固 有 の 「労 働 一生 活 一文 化 」 の 経 験 的 な 技 能 伝 播 が 後 退 して い く。
エ 、 本 土 へ の 移 動 は 、 受 験 、 就 職 に 直接 必 要 な準 備 を教 育 的 諸 活 動 に 求 め 、拡 大 して い く
(「直接 的 準 備 性 」 の 拡 大)。
オ 、 教 育 の 内 容 は、 学 校 教 育 を支 え る 生 活 態 度 、 道 徳 的 態 度 、 競 争 心 、 忍 耐 力 な ど の過 度
離島地域の中学校における地域学習の現状(そ の2)(岩 田)-91一
な 強 調 と な っ て い く。
カ 、遊 び 、 文 化 、 さ ら に は労 働 一生 活 の 諸 技 能 は 、 直 接 的 準 備 と は関 わ りの 薄 い もの と し
て軽 視 さ れ や す く、 子 ど もた ちの 多 面 的 な 能 力 の 形 成 は不 十 分 な もの と な る 。
⑤ 離 島 教 育 の 発 展 可 能 性 は 、受 験 、 就 職 へ の 準 備 の 間接 性 と多 面 性 を拡 大 して い く 「間 接 的
準 備 性 」 で な くて は な らな い 。 これ の 発 展 の た め に は 、 学 校 に お け る 基 礎 学 力 の 形 成 と科
学 的 認 識 の 地 域 的 発 展 、 そ れ に も とつ く協 同 的競 争 の 組 織 化 が まず もっ て 必 要 とな る。 家
庭 、 地 域 は そ れ ぞ れ にお け る 教 育 一形 成 力 の独 自な 発 展 に根 ざ さ な くて は な らな い 。
柳 田 は 、 「離 島 教 育 を考 え る基 本 視 座 」 と しつ つ も、社 会 的 諸 条 件 の 不 備 か ら離 島 の 教 育 に制
限 が 多 い とい う現 状 を把 握 す る だ け で 終 わ らず 、受 験 、 就 職 へ の準 備 を直 接 的 に行 う こ と よ り
も、 地 域 性 や 多 面 性 に 関 わ る能 力 を拡 大 して い くこ との 重 要 性 を 強 調 して い る 。 た だ 、 こ こ で
は社 会 的 環 境 に恵 ま れ て い な い離 島 に育 つ 子 ど もが 、 な ぜ 全 国 的 に 進 行 して い る受 験 、 進 学 志
向 か ら は遠 ざけ ら れ ね ば な らな い の か 、 なぜ 家 庭 教 育 や 地 域 の文 化 を強 く意 識 しな け れ ば な ら
な い か につ い て は記 して い な い。
い っ ぽ う、 猪 山 勝 利61は
「地 域 教 育 の論 理 と課 題 」 の 中 で 、 「地 域 教 育 」 に 関 して 述 べ て い
る 。 この 中 で 、地 域 教 育 の 定 説 的 概 念 が 成 立 して い る訳 で は な い と しつ つ 、 「地 域 教 育 把 握 の視
点 」 を次 の よ う に類 型 化 して い る 。
① 地 域 と教 育 の 遊 離 型
制 度 的 に も教 育 実 践 上 で も遊 離 して い る状 況 。 地 方 財 政 法 が 教 育 施 設 や教 職 員 費 の 父 母 ・
住 民 負 担 を禁 じた1960年 代 以 降 強 くな っ た。
② 「地 域 と教 育 」 地 平 の 部 分 関 連 型
a.部
分 活 用 型:学
(相互 補 完 型)の
b.部
分 協 同 型:学
校 施 設 の 開 放 や 地 域 行 事 へ の学 校 参 加 な ど、 教 育 や 地域 が 相 手 サ イ ド
資 源 を 部 分 的 に活 用 す る パ ター ン。 初 期 的 地 平 の パ ター ン。
校 行 事 を 父 母 ・住 民 の 運 営 参加 で 協 同 運 営 した り、 地域 行 事 を学 校 の
協 同 参 加 に よっ て 開 催 す る な どの もの 。 今 日の 状 況 下 で は 先 進 的 な パ タ
ー ン。
③ 「地 域 教 育 」 地 平 の 総 合 関連 型
a.総
合 型:行
政 の 「外 発 的 」 誘 導 政 策 に よ り、 「学 社 」 「学 地 」 連 携 の 名 で 進 め られ て い
る もの 。 両 者 の独 自性 や 自治 性 を 認 め ず 安 易 な結 合 を 図 る た め 、 しば しば 形
式 的 な 関 係 に止 まる か 、 住 民 や教 職 員 の 主 体 的 エ ネ ル ギ ー を喪 失 して 現 実 的
推 進 に 欠 け る場 合 が 多 い 。
b,総
合 的 結 合 型:②
のbの
発 展 や ③ のaの 批 判 的 取 組 に よ り次 第 に 明 確 化 しつ つ あ る パ
ター ン。 相 互 の 施 設 開 放 な どの 物 的 資源 の 連 関 か ら人 材 の相 互 活 用 や
教 育 ・地 域 活 動 の 協 同運 営 に い た る総 合 的 な もの 。 相 互 の独 自性 や 自
治 性 を前 提 と した う え で 、 そ れ ぞ れ が 相 手 へ の 参 加 を基 本 と して 、協
同 ・共 同 活 動 を通 して連 関 す る 。
猪 山 は 、 こ の よ う な 地 域 と連 関 した 教 育 が 求 め られ る 背 景 と して 、(ア)教育 側 が 学 習 者 の 主 体
化 や 活 力 を再 生 す る教 育 実 践 の方 向 を追 求 し始 め て い る こ と 、(イ)人
間の個性 や社会 共同性 の育
成 と共 に 産 業 構造 や 社 会構 造 の 転 換 状 況 に主 体 的 、創 造 的 に対 処 で き る 人 間 の 育 成 を志 向 して
い る こ と、(ウ)地
域 お こ しな どの 地 域 社 会 の 形 成 に とっ て も、 個 性 的 、 創 造 的 取 組 が 求 め られ て
一92一
龍谷紀要
第33巻(2011)第1号
お り、 そ の リー ダー の 育 成 が 重 要 な 課 題 と な っ て い る こ と、 の3点
を あ げ て い る。 た だ し、 こ
こで は 具 体 的 な教 育 実 践 を類 型 化 して い る 訳 で は な い 。
3与
ω
那 国 の特 徴
国境 の 島
与 那 国 町 は 、 与 那 国 島 に あ る1島1町
の 地 域 で あ る 。 島 は 、 八 重 山列 島 の 最 西 端 に位 置 し、
い りざ き
そ の 西 端 に あ る西 崎 は、 日本 の 国 土 領 域 の 最 西 端 に位 置 す る こ とで 有 名 で あ る。 八 重 山列 島 は
石 垣 市 、 竹 富 町 及 び 与 那 国 町 の1市2町
か ら な り、 同列 島 は 東 側 の 宮 古 列 島 と共 に 先 島諸 島 を
構 成 す る。 そ の 先 島 諸 島 は 、 東 方 の 沖 縄 諸 島 と共 に 沖縄 県 全 域 を含 む琉 球 諸 島 を構 成 す る(図
1)。
与 那 国 島 は 、 長 径 約11.3km、 短 径 約4.2㎞ の長 い 東 西 軸 を もっ レ ンズ 状 の 形 態 で 、最 高 峰 は 、
う ら ぶ
だ け
宇 良 部 岳 の 標 高231m、
面 積 は わ ず か28.95k㎡
の 小 さ な 島 で あ る 。 年 間 平 均 気 温 は23.6℃
降 水 量 は 約2,260mm7)で
亜 熱 帯 性 の 気 候 を 示 して い る 。 人 口 は 、2011年1月1日
そ な い
(与 那 国 町 調 べ)が
く
ぶ
ら
、年間
現 在 で1,614人
ひ が わ
数 え られ 、集 落 は北 部 の 祖 納 、西 部 の 久 部 良 、 南 部 の 比 川 の3ヶ 所 で 、祖 納
に 町役 場 が あ る(図2)。
与 那 国 は14世 紀 頃 か ら琉 球 に属 す る よ うに な り、17世 紀 の 薩 摩 藩 の 琉 球 入 り以 降 は き わ め て
過 酷 な支 配 下 に お か れ た 。 八 重 山 及 び宮 古 地 方 は 、1879(明
帰 属 した が 、 人 頭 税 と よ ば れ る独 特 の 重 税 は1903(明
治12)年
治36)年
の琉 球 処 分 と共 に 日本 に
の 地租 改 正 施 行 まで 続 い た 。
戦 前 、 日本 の 支 配 が 及 ん だ台 湾 との 間 に は 、 島 か ら渡 航 して仕 事 や 学 校 に赴 くな どの 生 活 圏
が 形 成 さ れ 、 島 の 人 口 は5,000人 規 模 に も な っ た。 戦 後 しば ら くは 台 湾 との 間 で 密 貿 易 が 続 け ら
れ 、1947(昭
和22)年
に は 人 口 は12,000人 に も拡 大 した 。 そ の 後 の 米 軍 に よ る 貿 易 取 締 り強 化
に よ り人 口 は 激 減 し、1972年 の沖 縄 県 の本 土 復 帰 時 に は2,600人 とな り、 現 在 は最 多 期 の 約7分
離島地域の中学校における地域学習の現状(そ の2)(岩 田)-93一
の1に
減 っ て い る8}。
与 那 国 島 は 、八 重 山 地域 にお け る経 済 ・社 会 の 中心 地 で あ る石 垣 島 か らは 、約116km離 れ て い
る 。 さ ら に 、 東 京 か らの 距 離 は 直 線 で2,037kmあ り、那 覇 か ら で も514㎞91あ る。 極 小 の 島 し ょ
の一 つ とい う形 態 上 の み な らず 、距 離 的 にみ て も文 字 通 りの 絶 海 の孤 島 と な っ て い る。
い っ ぽ う視 点 を転 ず れ ば 、西 方 に 位 置 す る台 湾 まで は 、海 上 約111㎞ の 距 離 を 数 え る ば か りで
あ る 。 気 象 上 の 条 件 さえ 整 え ば台 湾 島 が 遠 望 で き 、 い わ ゆ る"国 境 の 島"と
な って い る 。 肉 眼
で外 国 を見 る こ とが で き る こ とか ら、 外 国 との 関 係 や 交 流 に 意 識 は 当 然 高 ま る 。 この よ う な条
件 にある地域 は、国 内では数少 ない。
島 の 現 状 に つ い て は 、 別 稿10)に詳 しい が 、 以 下 概 略 を あ げ て お きた い 。
(2)島
の生 活
産業 に つ い て は、 第 二 次 世 界 大 戦 まで 、 農 業 で は 米 ・糖 、 漁 業 で は 鰹 節 ・鮮 魚等 の 産 出 が あ
り、 副 業 と して 養 豚 もみ られ た。 これ らの 産 物 は 、石 垣 や 那 覇 方 面 、 さ らに は1920年 代 よ り台
キ ゆ ン
湾 との 取 引 が 始 ま る と、 台 北 近 くの 基 隆 まで 送 られ た 。
現 在 の 町 の 主 要 産 業 は 農 業 で 、 サ トウ キ ビ栽 培 や 肉 用 牛 飼 育 が 多 い 。 米 作 もみ られ 、 水 田率
が 約16%と
県 内 で は比 較 的 高 い。 水 産 業 は沿 岸 漁 業 が 中 心 で 、 カ ジキ 類 の水 揚 げ が 多 く、 カ ジ
キ の 消 費 性 向 を勘 案 しつ つ 熊 本 や 金 沢 、 沖 縄 本 島 の市 場 に 空 輸 して い る。2010年10月 現 在 の 町
漁 協 所 属 の 組 合 員 は29名 、5ト
ン未 満 の 動 力 漁 船 は27隻 で 、 近 年 減 少 傾 向 に あ る1D。
観 光 業 で は 、 国 内最 西 端 地 へ の 訪 問 や 、 釣 りや ダ イ ビ ン グ を 目的 とす る 来 島 者 が 一 定 数 存 在
す る 。 ま た飛 行 機 を利 用 した 八 重 山 諸 島 を巡 る ツ ア ー もあ るが 、 飛 行 距 離 を み れ ば 、 羽 田 一那
覇 空 港 間 が 約1,580㎞ 、那 覇 一与 那 国 間 が 約510kmと い う長 距 離 に 伴 う経 費 は高 額 に な ら ざ る を
得 な い 。 島 内 の 宿 泊 施 設 と して は 、 小 規 模 な ホ テ ル や 民 宿 が 主 で あ っ たが 、 近 年 に は リ ゾ ー ト
ホ テ ル が 営 業 を開 始 した 。
産 業 の 停 滞 と 人 口 の流 出 に伴 い 、 経 済 の 活 性 化 を 主 と した 与 那 国 の 振 興 策 が 喫 緊 の 課 題 と な
っ て い る。
(3)島
の振 興 策
町 の 将 来 構 想 に関 して 、2004(平
成16)年
に八 重 山3市 町 村 合 併 の 賛 否 を 問 う住 民 投 票 が 実
施 され た 。 中学 生 を も含 め た 投 票 の 結 果 、70・46%と
い う投 票 率 の 下 、 賛 成 が327票 、 反 対 は
607票 とい う大 差 で 、 島 独 自で 生 き る道 が選 択 され た 。
町 で は 島 の生 活 ・経 済 の 振 興 の た め 、 政 府 に対 して 規 制 緩 和 を 求 め る特 区 の 申請 を 、 こ れ ま
で3度
に わ た り行 っ て きた 。 直 近 は 、2006年 提 出 の 「与 那 国 『国 境 交 流 特 区 提 案2006』 」121で、
次 の3点
1.国
を柱 と して い た 。
際 防 災協 力 特 区
∬.国 境 交 流 支 援 ・短 国 際 航 海 安 全 航 行 促 進 特 区
皿.国 境 離 島 型 開 港
い ず れ も国 境 を接 す る台 湾 との 交 流 を盛 ん にす る こ と を柱 とす る もの で あ る 。 この うち1は 、
-94一
寵谷紀要
第33巻(2011)第1号
フワ レ ン
東 シ ナ海 で の地 震 ・津 波 そ の他 の大 規 模 災 害 に対 処 す る ため 、町 と姉 妹 都 市 関 係 に あ る台 湾 花 蓮
市 な ど と の 問 で 国 際 防 災 協 力 に 関 す る取 り決 め を締 結 しよ う とす る もの で あ る 。 皿 は 、 与 那 国
島 の生 活 圏 を確 保 す る上 か ら 、 近 距 離 の 台 湾 と の 国 際 航 路 に お い て 規 制 を緩 和 して 、 国 内 航 路
と 同等 の 条 件 で 就 航 す る こ と を 希 望 す る もの で あ る 。 皿 は 、石 垣 島 に 寄 港 し納 税 して い る ク リ
ア ラ ン ス船 の 一 部 を与 那 国 に呼 び 込 ん で 、 税 収 を 図 ろ う とい う もの で あ る 。 ク リ ア ラ ン ス と は
通 関 の 意 味 が あ り、 直 接 の 交 易 が で きな い 中 国 ・台 湾 問 にあ っ て 、 外 国 の 港 を経 由す る こ と で
マ サイ ンチ ユ ウ
実 質 的 に貿 易 可 能 に す る もの で あ る。 しか し、2008年5月
に 中 華 民 国 新 総 統 とな っ た 馬 英 九 氏
の 対 中 国 融 和 政 策 に よ り、 同 船 は 減 少 して しま っ た 。
結 果 と して 与 那 国 は 特 区 指 定 に は 至 らな か っ たが 、 政 府 に よ り 「地 方 の 元 気 再 生 事 業 」 予 算
は 認 め られ 、2008年 度 に は 、 チ ャー ター した 飛 行 機 や 船 舶 で 、台 湾 か らの 観 光 客 受 入 の 試 行 を
始 め た 。 しか し、 台 湾 か らの 観 光 客 を安 定 的 に 島 内 に招 き物 資 の 輸 出 入 をす る段 階 に は 至 っ て
い ない。
こ れ と は 別 に 、 人 口 増 と イ ン フ ラ整 備 をね ら っ た 自衛 隊 施 設 誘 致 の 構 想 が あ り、 島 内 で は直
近 の 町 長 選 や 町 議 選 の 争 点 に もな って きた 。
4久
ω
部 良 中 学 校 に お け る離 島 教 育 の 実 践
久 部 良 中学 校 に つ い て
与 那 国 島 の 西 端 に 位 置 し、 西 崎 と久 部 良 漁 港 を眺 望 で き る高 台 に あ る。 町 内 に は3つ
が あ り、 幼 稚 園3園
、 小 学 校3校
の 生 徒 数 は 、1年 が4人
、2年
、 中 学 校2校
が8人
の集落
が 設 置 さ れ て い る。 久 部 良 中学 校13)の2010年 度
、3年 が7人
の 計19人 で 、教 職 員 数 は12名 で あ り、 島 内
2中 学 校 で は 規 模 が 小 さ い 方 に あ た る。
(2)久
ア
部 良 中学 校 の教 育
教 育 目標 に つ い て
同校 の 校 訓 は 、 「世 界 雄 飛 」 で あ る。 こ こ に は 、 た く ま し く生 き抜 く力 を身 につ け 、与 那 国 か
ら世 界 に 羽 ば た く創 造 性 ・国 際 性 に 豊 ん だ 人 材 の 育 成 を 目指 す とい う願 い が 込 め ら れ て い る 。
ま た 、 教 育 指 針 に は 「郷 土 を愛 し世 界 雄 飛 の 気 概 に富 み 、21世 紀 をた く ま し く生 き る 人 間 の 育
成 」 とあ り、 校 訓 と相 似 した 内 容 を含 む。 そ の 下 に4点 の 「教 育 目標 」 が 続 くが 、 初 め の3点
は 知 育 ・徳 育 ・体 育 に 関 わ る もの で 、 次 の4点
目 に 地域 の 特 徴 が 見 出 され る。
コ
:「
ロ
豊か な郷 土 を愛 し、世界へ羽 ばた く生徒」(夢:ま
いふ な一久中)l
Il
こ の 内 容 は 、 我 が 郷 土 の 豊 か さに 誇 り と 自信 を持 ち 、 か つ 、 自立 と世 界 雄 飛 の 気 概 を 持 ち努
力 し続 け る 久 中 生 の 育 成 とい う こ とで あ る 。 豊 か な郷 土 を愛 し、 地 域 の 発 展 を担 う地 域 人 材 と
して 「夢 ・希 望 」 の 実 現 に励 む生 徒 の 育 成 を推 進 す る。 校 訓 の 「世 界 雄 飛 」 を 中心 に据 え 「ま い
ふ な 久 中 生 」 を 育 成 す る とす る。 「ま い ふ な 」 とは 本 来"お 利 口 さん"と か"模 範 に な る"と い
離島地域の中学校における地域学習の現状(そ の2)(岩 田)-95一
う意 味 の 言 葉 で 、 そ こ か らは 優 れ た とか 積 極 的 な姿 勢 と い う イ メ ー ジ も感 じ取 る こ とが で き る。
イ
総 合 的 な 学 習 の 時 間 につ い て
同 中学 校 にお け る 地 域 の 特 徴 をふ ま え た教 育 は 、 久 中 プ ロ ジ ェ ク トを含 む 「総 合 的 な学 習 の
時 間 」 に顕 著 に み られ る。 内容 は 以 下 の よ うで あ り、全 学 年 で はA∼Cを
共 通 に設 定 して い る。
これ らは 、 年 度 に よ り配 当時 間 や構 成 面 で 若 干 の 相 違 が あ るが 、 資 料 収 集 上 の 制 約 か ら 、 実 践
内 容 は複 数 年 の もの を併 せ て採 り上 げ て 、 そ の概 要 を順 にみ て い くこ とに す る。
A)郷
土 に関 す る 課 題 解 決 学 習(久
B)郷
土 音楽
[
C)産
業 体 験(洋
D)学
年 ご との取 り組 み(2年
A)2010年2月18日
中 プ ロ ジ ェ ク ト〉
上 体 験 ・農 園 活 動)
職 場 体 験 ・修 学 旅 行 事 前 学 習 、3年 教 科 の 深 化 補 充 学 習等)
に訪 問 した 久 部 良 中学 校 で の ヒ ア リ ン グ に よ れ ば 、 郷 土 に 関 す る 課 題 解
決 学 習 に 関す る テ ー マ は 、 年 に よ っ て 「黒糖 づ く り」 で あ っ た り 「長 命 草 の ル ー ッ 」 等 と
設 定 され る よ うで あ る。 例 え ば 、詳 しい 記 録 が 明 らか な2007年 度 の 取 り組 み は 、 次 の よ う
で あ った 。
○ テ ー マ:「 郷 土 の 自然 ・文 化 ・産 業 を知 ろ う。」 ∼ 台 湾 ・花 蓮 市 と の交 流 を通 して ∼
○内
容:全
学 年 共 通 で75時 間(2年
生 は+25時
間 、3年 生 は+15時
間)を
以下の単
元 で 取 り組 む。
○ 交 流 学 習 の 取 り組 み(台 湾 ・花 蓮 市:全40時 間程 度)
・全 校 生 徒 を、3つ の 縦 割 り小 グル ー プ(文 化 班 、 自然 班 、 産 業 班)に
編成す る。
・各 グ ル ー プ別 に 、 旅 行 先 の 九 州 につ い て調 べ る と と もに 、 郷 土 与 那 国 と比 較 す る
こ とに よ っ て郷 土 を よ り深 く理 解 す る。
① 台 湾 に つ い て調 べ よ う … …
台 湾 の 文 化 、 自然 、 産 業 に つ い て グ ル ー プ ご と に調 査 等 の 学 習 活 動 を行 う。 ま
と め と して フ ォ トラ ンゲ ー ジ な どを行 い 、 知 識 を共 有 す る と共 に 、 発 表 力 を身 に
付 ける。
② 情 報 を発 信 し よ う… …
簡 単 な 中 国 語 を学 ぶ と と もに 、平 成18年 度 に取 り組 ん だ 、与 那 国 の 文 化 ・自然 ・
産 業 に つ い て の 調 査 結 果 「与 那 国 紹 介 パ ン フ レッ ト」 を 中 国語 訳 ・英 訳 し、 ホ ー
ム ペ ー ジ に ア ッ プす る。
③交流 学習… …
台 湾 の 中学 校 と、 イ ン ター ネ ッ トを利 用 した 交 流 を 図 る。 また 、 町 と タ イ ァ ッ
プ し、 ホ ー ム ス テ イ な どを 通 して 直 接 交 流 す る。
B)郷
土 音 楽 に つ い て は 、2010年 度 は 全10時 間 の 構 成 で 、 以 下 の よ う な 内 容 で あ っ た 。
ア
学 習 す る楽 器 と各 メ ンバ ー の 数 を次 の よ うにす る。
三 線(約13人)、
イ
-96一
琴(約3人)、
笛(約4人)、
体 育 祭 の あ る年 は1曲 、 文 化 祭 の あ る年 は2曲
龍谷紀要
第33巻(2011)第1号
太 鼓(約3人)
を練 習 す る。
ウ
地 域 の 方 に 講 師 を依 頼 す る 。
エ2010年
度 は 、1学 期 は週1時
間 、2学 期 は週2時
間 の 学 習 で 、9月 の 校 内 デ イ サ ー
ビ ス 及 び 、 久 中 プ ロ ジ ェ ク ト発 表 会 を練 習 成 果 の 公 表 の 場 とす る 。
C)産
業 体 験 は 同 年 度 全10時 間 で あ り、 そ の構 成 は 次 の よ うで あ っ た 。
ア
農 園 活 動6時
間
イ
洋 上 体 験4時
間
この う ちC)イ
農園整備 、収穫祭
の 「洋 上 体 験 」 は 、 毎 年 地 元 の 漁 業 協 同組 合 の 協 力 を得 て 、 漁 船 で 沖 ま で 行
き、 カ ツ オや シ ビの 一 本 釣 りを体 験 す る。 釣 りあ げ た 魚 は 、 自分 た ちで さば い て 刺 身 に した り、
い ろ い ろ な料 理 に して 、 漁 師 さ ん と共 に 会 食 す る とい う もの で あ る。 例 えば 、2010年 度 は 、「海
の 利 用 ・海 と の 闘 い 、 漁 獲 の 感 動 、勤 労 の 重 要 性 な ど素 朴 な 感 覚 を肌 で 感 じる」 をね ら い と し
て 、 以 下 の よ うな 概 要 で 行 わ れ た。
日
時:7月14日13時
∼18時30分
活 動 内 容:釣
り体 験 、 魚 さ ば き、 料 理 実 習 、会 食
協 力 者:久
部 良 地 区 漁 民 、 久 部 良 漁 協 、 地 区保 護 者
効 力 内 容:漁
船 の 提 供 、 釣 り指 導 等
ね ら い:保 護 者 や 漁 民 の働 く姿 に触 れ させ る こ と を通 して 、 将 来 の 職 業 観 を 考 え る
機 会 とす る
この 年 の 詳 しい デ ー タ は 明 らか で は な いが 、2008年 度 の 実 績 を み れ ば 、 漁 船11隻 に よ る協 力
参 加 の 下 、2時
ウ
間 の 釣 り時 間 が 設 け られ 、293kgの 総 水 揚 げ が あ っ た とい う。
学校 行事 につい て
総 合 的 な学 習 の 時 間 以 外 で も 、 個 性 的 で 多 様 な行 事 へ の 取 り組 み が あ る 。 そ れ ら は 、 同 校 ウ
ェ ブペ ー ジで も紹 介 され て い る。
洋 上 体 験 学 習(上 記)
校 内 デ イサ ー ビ ス
地 域 の お 年 寄 り を学 校 に お 招 き し 、楽 しい レ ク を した り、給 食 を一 緒 に 食べ た り
しま す 。
海神祭
毎 年 旧 暦 の5月4日
に行 わ れ る 海 神 祭(ハ ー リー:競 漕)。 沖縄 の 漁 師 町 で は ど こ
に もあ る 行 事 で す が 、 久 部 良 中学 校 で は 、 全 校 生 徒 が 北 ・中 ・南 の3組
に分か れ、
中学 生 ハ ー リ ー に 参 加 し ます 。 また 、 開 会 式 ・閉 会 式 で は 、 全校 生 徒 で 吹 奏 楽 演 奏
を し ます 。
金刀比 羅祭
航 海 安 全 、 豊 漁 を祈 願 す る祭 りで す 。 香 川 県 の 琴 平 発 祥 の 、 県 内 で は 珍 しい 祭 り
で す 。 毎 年 、 本 校 及 び 久 部 良 小 学 校 で は 、 全 校 児 童 生 徒 が 参 加 して パ レ ー ドと奉 納
相 撲 を行 っ て い ます 。
離島地域の中学校における地域学習の現状(そ の2)(岩 田)-97一
春 の遠足
毎 年 、 ダ ン ヌ浜 や ナ ー マ 浜 な どの 近所 の 海 に歩 い て 行 き ます 。 午 前 中 は 釣 りを し
た り海 水 浴 を した り、 ク ラ スの レ ク を した り。 午 後 は 全 体 レ クで 綱 引 きや ビー チ バ
レー を楽 しん で い ま す 。
帰 り道 で は 、 ク リー ン作 戦 と銘 打 っ て 、 ゴ ミ拾 い の ボ ラ ン テ ィア を し ます 。
小 中合同駅伝大 会
お と な りの 久 部 良 小 学 校 との 合 同 で 行 う駅 伝 大 会 。 中 学 生 が う ま く小 学 生 を リー
ドし、 協 力 して た す き をつ な ぐ姿 は 感動 的 で す 。
吹奏 楽定期演奏 会
毎 年 恒 例 で2学 期 末 に 行 わ れ る行 事 。 町 で は数 少 な い 本 格 的 な 演 奏 が 聴 け る コ ン
サ ー トとあ っ て 、毎 年 多 くの 人が 見 に 来 て くれ ます 。 も と も とチ ャ リ テ ィ と して の
行 事 で 、 入 り口 で 赤 い 羽 根 共 同募 金 も募 って い ます 。
全 国 的 に小 規 模 な僻 地 校 に お い て は 、 学 校 行 事 が この よ うに 地 域 と の 連 携 の 下 で 行 わ れ る こ
とは 一 般 的 で あ ろ う。 と りわ け体 育 大 会 の 開 催 に取 り組 み が 集約 され る こ とが 多 い 。 しか し こ
こ で は 、体 育 大 会 は実 施 さ れ て も必 ず し も年 間最 大 の イベ ン トに は な らな い 。 年 間 を通 して多
くの 行 事 が 並 列 さ れ て い るか らで あ る。
工
学 校 経 営 方 針 に お け る重 点 化
2008(平
成20)年
度 の 学 校 経 営 方 針 に お け る 「指 導 の 重 点 」 中 の6番
目に は 次 の よ う な項 目
が み られ る 。
「地 域 の 自然 ・歴 史 ・文 化 の 重 視 」 ∼ ス ク ー ル コ ミュ ニ テ ィづ く り∼
豊 か な 自然 や伝 統 文 化 に 恵 まれ た地 域 を愛 し、 地 域 の 歴 史 ・文 化 を理 解 す る と と も
に地 域 発 展 に貢 献 す る態 度 を育 て る。
① 本 校 「総 合 的 な学 習 の 時 間"プ ロ ジ ェ ク ト2008"」 の 基 本 テ ー マ とす る 。
② 地 域 の 自然 や 歴 史 、 文 化 遺 産 等 の 地 域 素 材 を積 極 的 に 教 材 化 す る 。
.③
地域 の 文 化 及 び伝 統 の理 解 、体 験 的 な学 習 や 多 様 な地 域 交 流 活 動 の促 進 に努 め る 。
④ 選 択 教 科 に お い て 、郷 土 音 楽 を取 り入 れ 、 個 性 的 で 豊 か な特 色 あ る学 習 指 導 の 展
開 に 努 め る。(地 域 人 材 の 選 択 教 科 積 極 的 活 用)
⑤ 先 人 の 優 れ た 歴 史 ・文 化 を理 解 す る た め 、 地域 行 事 の 体 験 活 動 と奉 仕 協 力 精 神 を
養 い 、 地 域 づ く りの 基 礎 を培 う。
上 記 の イ ・ウ で あ げ た総 合 的 な学 習 の 時 間 や 学 校 行 事 の 内 容 を 重 点 的 に扱 う こ とは 、 本 項 目
に よ り裏 付 け され て い る様 子 が よ く うか が え る。
こ こ で は、 ① 地 域 の 自然 ・文 化 ・歴 史 を学 ぶ 、 ② 地 域 の 中 で 学 ぶ 、 ③ 地 域 と共 に学 ぶ 、 とい
う特 色 が よ く現 れ て い る 。
-98一
龍谷紀要
第33巻(2011)第1号
(3)久
部 良 中 学 校 に お け る離 島 教 育 の 推 進 力
久 部 良 中 の 教 育 実 践 で み ら れ る の は 、 総 合 的 な 学 習 の 時 間 に お い て は 地 域 を教 材 化 した もの
で あ り、学 校 行 事 で は 地域 に 開 か れ た もの や 地域 行 事 の 一 環 と して 行 わ れ る もの で あ る 。 こ れ
らは 先 に あ げ た 、猪 山勝 利14)に よる 「地 域 教 育 把 握 の 視 点 」 に 関 す る5つ の 中 の 「② 『地 域 と
教 育 』 地 平 の 部 分 関 連 型 」 に相 当 す る もの で あ ろ う。 例 え ば 、 総 合 的 な 学 習 の 時 間 の郷 土 学 習
や 産 業 体 験 、 学 校 行 事 の校 内 デ イサ ー ビス ・小 中 合 同 駅 伝 大 会 及 び 吹 奏 楽 定 期 演 奏 会 は 、 学 校
を 開放 した り地 域 の 教 育 資 源 を 活 用 す る こ とか ら、「a.部 分 活 用 型(相 互 補 完 型)」 の 試 み に 当
た る と考 え られ る 。 ま た 、 海 神 祭 や 金 刀 比 羅 祭 へ の 参 加 は、 久 部 良 地 区 の 地 域 行 事 に 参 加 す る
もの で 、 「b,部 分 協1司型 」 に 当 た る もの で あ る と考 え られ る 。
与 那 国 に お け る 学 校 教 育 の 推 進 で は 、 地 域 との 連 携 が 最 も重 要 で あ る 。 連 携 推 進 の基 と な っ
て い るの は 、 町 内 に5ヶ 所 設 置 され て い る公 民 館 の 館 長 と5つ の 町 立 小 ・中 学 校 の 校 長 とが 組
織 す る会 合 で あ る 。 こ の う ち与 那 国 の 公 民 館 は 、 地 域 の 伝 統 的 な 協 同労 働 組 織 と慣 行 を守 りつ
つ 、 祭 祀 行 事 と も結 びつ い た 部 落 組 織 を基 盤 と して1970年 代 に作 ら れ て お り、 他 の 地 域 に はみ
られ な い特 有 の 組 織 とな って い る15'。公 民 館 の 役 割 の 一 つ と して 「教 育 ・行 政 へ の 補 助 活 動 」が
あ り、 教 育 機 関 か らの 青 少 年 学 習 活 動 の 協 力 依 頼 に 応 え る こ とに な っ て い る。 地 域 に お け る 人
材 は 限 ら れ て い る こ と か ら 、 地域 の 組 織 の 協 力 を 得 られ る こ とで 、 は じめ て 学 校 行 事 が 成 立 す
る訳 で あ る 。
先 に 、 猪 山 は 「③
『
地 域 教 育 』 地 平 の総 合 関 連 型 」 に お け る 「b.総 合 的結 合 型 」 の 段 階 を、
学 校 と地 域 の 連 携 が 最 も進 展 した タ イ プ と して説 明 して い る。 これ ま で み て きた よ うに 、 久 部
良 中学 校 の教 育 実 践 の 在 り方 に は 、学 校 と地 域 との 連 携 に 関 す る い わ ば 究 極 的 な姿 が み られ る 。
しか し、 猪 山 が ③bの
説 明 で 示 して い る よ う に 、相 互 の 独 自性 や 自治 性 を前 提 と した う え で 、
そ れ ぞ れ が 相 手 へ の 参 加 を基 本 と して 、協 同 ・共 同 活 動 を通 して 連 関 して い る と は 、 必 ず し も
言 え な い の で は な い か と思 わ れ る 。 与 那 国 で は若 干 事 情 が 異 な る よ う で あ る。
そ の 背 景 に 中学 校 の 生 徒 数 が 約20人 と少 な い とい う現 実 が あ る 。 また 、 校 区 の 久 部 良 地 区 は
人 口500人 に も満 た ず 、 保 護 者 の構 成 比 も小 さい 。 学 校 は地 域 に接 近 して協 力 を 求 め る以 外 の選
択 肢 は な い 。 ま た 、 地 域 も学 校 と協 同 で 行 事 を 進 め て 活 性 化 を図 る こ とが で き、 結 束 力 が 高 ま
る の で あ る 。 生 徒 数 と 地 域 人 口 の 少 な さが 、必 然 的 に協 力 を 求 め 合 うか た ち に な っ て い る よ う
に考 え られ る。 しか も、 校 区 で は 近 年 公 民 館 の館 長 の 選 出が 徐 々 に難 しい 状 況 にあ る と も い わ
れ て い る。 ③bに
お い て は 、学 校 ・地 域 と もに そ れ ぞ れ が 強 力 な推 進 エ ネ ル ギ ー を必 要 とす る。
組 織 化 さ れ た 中学 校 は 別 と して 、 人 口 が 滅 少 しつ つ あ る与 那 国 にお け る 一 地 域 にお い て は 、既
存 の 組 織 が 助 け あ う こ とで は じめ て互 い の 独 自性 や 自治 性 を耕 す こ とに な っ て い る よ う に と ら
え られ る。 先 の(2)エ
「学 校 経 営 方 針 にお け る重 点 化 」 で あ げ た重 点 目標 中 の 「ス クー ル コ ミュ
ニ テ ィづ く り」 とい う文 言 か らは 、 地域 に期 待 す る学 校 側 か らの 強 い メ ッセ ー ジ を くみ 取 る こ
とが で きる の で あ る。
改 め て 、 「久 中 プ ロ ジ ェ ク ト2009」 計 画 中 、 「郷 土 与 那 国 ・久 部 良 に 関 す る こ と に つ い て 」 の
一 部 に 、 次 の よ う な 内 容 が あ る こ と を付 記 して お こ う。
離島地域の中学校における地域学習の現状(そ の2)(岩 田)-99一
地 域 と して も、 子 ど もは 地域 ・家 庭 ・学 校 が 連携 ・協 力 し、 み ん な で 育 て るべ きだ
と い う意 識 が 強 く、 郷 土 の こ と を しっか り学 ん で 欲 しい とい う要 望 もあ る 。
郷 土 学 習 等 の 学 校 教 育 の 中 に も積 極 的 に 地域 人 材 を活 用 す る こ とに よ って 、 子 ど も
た ち の 知 ・徳 ・体 の バ ラ ンス の とれ た育 成が 図 られ る と と もに 近 年 強 く求 め られ て い
る 「開 か れ た学 校 」 づ く りに もつ な げ て い け る と考 え る。
こ こで は 、 地 域 が こ ぞ って 学 校 教 育 を応 援 す る背 景 が 読 み 取 れ る。 子 ど も は、 住 民 全 員 で 育
て るべ きだ とい う強 い 思 い で あ る 。 島 内 に あ る居 住 地 域 は 、他 に 住 民1000人 弱 の 祖 納 地 区 と100
人 余 りの比 川 地 区 だ け で あ る。 久 部 良 地 区 の 子 ど もは 地 域 全 体 で 育 て る とい う意 識 が 高 ま る の
は 自然 な こ とで あ る。 隔 絶 性 で性 格 付 け られ る離 島 の 特 徴 が こ こ にみ られ る 。 離 島教 育 は 、 こ
の よ う な住 民 意 識 の 下 で 実 践 され て い るの で あ る 。
(4》 久 部 良 中 学 校 の 離 島 教 育 の 特 徴
先 に あ げ た 柳 田泰 典 の 論 考16}に よ れ ば 、 離 島 教 育 を考 え る場 合 、現 代 教 育 の もつ 諸 矛 盾 は 離
島 で さ らに 拡 大 ・増 幅 され る とい う。 こ こ で は 、柳 田 が 指 摘 した ア∼ カ の 諸 点 の 中 で も 、 次 の
項 目 と の 関 連 が 考 え られ る。
ウ 、 地域 にお い て は 、 固 有 の 「労 働 一生 活 一文 化 」 の 経 験 的 な技 能伝 播 が 後 退 して い く。
オ 、教 育 の 内 容 は 学 校 教 育 を支 え る生 活 態 度 、 道 徳 的 態 度 、 競 争 心 、 忍 耐 力 な どの 過 度 な
強 調 と な っ て い く。
カ 、遊 び 、 文 化 、 さ ら に は労 働 一生 活 の 諸 技 能 は 、 直 接 的準 備 と は 関 わ りの 薄 い もの と し
て軽 視 さ れ や す く、 子 ど もた ちの 多面 的 な 能 力 の 形 成 は 不 十 分 な もの とな る 。
この う ち 、 カ につ い て は 必 ず し も当 て は ま らな い よ うだ 。 総 合 的 な学 習 の 時 間 や 学 校 行 事 を
通 じて の 地域 との 連 携 は き わ め て密 な もの が あ る 。 農 園 活 動 や 洋 上 体 験 を 行 っ た り、 郷 土 の音
楽 を学 ん だ り、 地 域 行 事 の 海 神 祭 や 金 刀 比 羅 祭 へ 参 加 した りす る こ と で 、 生 業 も音 楽 や 踊 りの
文 化 も次 の 世 代 に伝 え られ て い く し くみ が こ こ に は み られ る。
柳 田 は 、 離 島 教 育 で は 、 島 か らの 離 脱 を志 向 して 受験 や 就 職 に 直 結 す る 内 容 を柱 とす る教 育
が 進 行 さ れ る こ とで 、 地 域 文 化 の継 承 が 軽 んぜ られ 、 教 育 指 尋 で は 精 神 面 の 強 調 へ 傾 斜 しが ち
で あ る と の 指摘 を して い る。
確 か に 、 上 記 ウ に つ い て は 、 そ の 傾 向 が み られ る か も知 れ な い 。 しか し情 報 化 が 進 ん だ 中 に
あ っ て は 、与 那 国 に 限 定 され る こ とで は な く、都 市 ・農 漁 村 地 域 を問 わ ず 全 国 的 に み られ る社
会 的 な 現 象 で あ ろ う。 そ して 何 よ り も、 子 ど も世 代 に 地 域 特 有 の 生 業 を 伝 え た い とす る大 人世
代 の 保 護 者 や 地 域 の 住 民 が 抱 く意 識 と、 深 く関 連 す る もの で は な い だ ろ うか 。
二 つ 目の オ に つ い て も、 そ の 傾 向 が 強 くみ ら れ る。 そ の 背 景 に 、 高 校 が 島 内 に な い た め 、 子
ど も達 は 中学 卒 業 後 に 、 島 を離 れ石 垣 島 や 沖 縄 本 島 の 高 校 に進 学 す る点 が あ げ ら れ る 。 そ れ ば
か りか 多 くは 家 族 と離 れ て 寮 や 下 宿 な どで 一 人暮 ら し をす る。 親 の 仕 送 りの 負 担 は大 き く、就
職 先 が 少 な い等 の 問 題 か ら島 に戻 る 若 者 は 少 な い。 こ の 島 に は 「15の旅 立 ち 」 と い う言 葉 が あ
る。 い や で も 自立 を強 い られ るの で あ る 。 「自 立 」 が キ ー ワ ー ドに な る 。 離 島す る 時 期 まで に 、
-100一
龍谷紀要
第33巻(2011)第1号
あ らゆ る教 育 場 面 で 一 人 一 人 が 鍛 え られ る こ とに な る。
これ らの 中 で も精 神 性 の 高 揚 につ い て 、注 目す べ き もの が あ る。 久 部 良 中 に は 、「教 育 目標 」
や 「め ざす 生 徒 像 」 に 関 連 す る も の と して 、 別 に 「行 動 指 針 」 が あ る 。 そ こ で は 与 那 国 島 出 身
の 軍 人 、 大 桝 松 市 大 尉 の 遺 訓 が 採 り上 げ ら れ て い る。
う らぶ の 高 き を思 う な か れ
大 空 の 限 りな き を知 れ
島 の 小 さ き を憂 うる な か れ
太 平 洋 の 広 き を見 よ
う
ら ぶ だ
け
この 「う らぶ 」 とは 、 島 内 最 高 峰 の宇 良 部 岳(標
高231m)の
こ とで あ る 。 何 よ り も言 葉 は 、
小 さ な 島 の 規 模 に 目を 向 け る の で は な く、 地 球 や 世 界 に 目を 開 け よ う とい う意 味 を端 的 に表 現
して い る 。
大 枡 大 尉 は 、 与 那 国 の 中心 地 に あ た る祖 納 集 落 の 出 身 で 、1942(昭
島 の 戦 い で 武 勲 を た て た 後 に 戦 死 し、 当 時"軍
神"と
和17>年
の ガ ダル カ ナ ル
あが め られ た 人物 で あ る 。 現 在 の 中学 校
の 行 動 指 針 に 軍 人 の 言 葉 を大 切 に あ げ て い る例 は 、 戦 争 や 軍 隊 に特 に 複 雑 な 感 情 を有 す る沖 縄
県 に あ っ て め ず ら しい こ と で は な い だ ろ う か 。 国 土 の 端 に 位 概 し厳 しい 環 境 下 で 生 活 を営 ん で
い る地 域 に とれ ば 、 大 尉 が 時 の 軍 や 政 府 が 推 進 した 軍 国 主 義 教 育 に 名 前 を利 用 され た とい う経
緯 が あ っ て も、 郷 土 の 出 身 で 全 国 的 に 名 を馳 せ た 人物 で あ り、 自然 と彼 の 残 した 言 葉 に 注 目す
る こ とに な る 。 絶 海 に 臨 む与 那 国 の 地 に立 て ば 、 言 葉 を 発 した 人 物 が 軍 人 で あ ろ う とな か ろ う
と、 時 代 が 変 わ ろ う と も 、 この 言 葉 の もつ 意 味 に 揺 る ぎな い もの を 感 じる こ とが で き る。
沖 縄 本 島 か らで も500km離
れ て い る孤 島 が 置 か れ た状 況 とは 全 く異 な る 地 域 で 育 つ 教 育 関係
者 や 生 徒 に とれ ば 、 こ こ に み ら れ る 精 神 性 の 強 調 に は若 干 の 違 和 感 が あ る か も知 れ な い 。 しか
しそ れ だ け に 、 与 那 国 の 置 か れ て い る 社 会 的 環 境 の 厳 し さが 感 じ られ る の で あ る。
5久
(1}課
部 良中学校 の地域 学習
題 解 決 に 取 り組 む 地域 学 習
久 部 良 中学 校 で 実 践 され て い る 離 島 教 育 に お い て 、社 会 科 に 関 わ る地 域 学 習 は 、 総 合 的 な 学
習 の 時 間 で 実 施 さ れ る 「久 中 プ ロ ジ ェ ク ト」 の 内 容 と深 く関 わ る。
久 中 プ ロ ジ ェ ク トで は 以 下 の 目標 の 達 成 が 図 ら れ て い る 。
・地 域 を様 々 な視 点 か ら捉 え 、 人 や もの との 出 会 い を通 して 、 自 ら課 題 を 設 定 し、 追
求 す る 資 質 と能 力 を育 て 、 そ の 課 題 の 解 決 に 主 体 的 、 創 造 的 に取 り組 も う とす る 態
度 を育 て る 。
・ふ る さ とに 誇 り を持 ち 、 自他 共 に 学 び 合 い 、 伝 え合 お う とす る コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン
の 能 力 を 育 成 し、 そ の こ と を 通 して 様 々 な 視 点 か ら 自己 の 生 き方 を考 え よ う とす る
態 度 を育 て る。
そ して 『久 中 プ ロ ジ ェ ク ト2010』 で は 、 「学 び 方 や 生 き方 」 「自 ら学 び 、 自 ら考 え る力 」 の 育
離島地域の中学校における地域学習の現状(そ の2)(岩 田)-101一
成 を 目指 し、 日本 最 西 端 の 地 理 的 条 件 や 地域 の 自然 ・歴 史 ・文 化 の 地 域 素 材 を積 極 的 に活 用 し
た 郷 土 学 習 を 中心 に 捉 え 、社 会 体 験 や 体 験 的 学 習 を推 進 す る 、 と学 習 の ね ら いが 説 明 さ れ て い
る。 こ こで は先 の 例 にあ げ た よ う に 、台 湾 に つ い て の 調 べ 学 習 を行 い 、 最 終 的 に は 台 湾 に お け
る ホ ー ム ス テ イ に 結 びつ け る とい う課 題 解 決 的 な 学 習 の 典 型 が み ら れ る の で あ る 。
例 と して 、 年 間10時 間 程 度 設 定 さ れ て い る 産 業 体 験 にお け る 農 園 活 動 をみ て み よ う。
農 園 活 動 で は 、 長 命 草(ボ
タ ン ボ ウ フ ウ)の 栽 培 を体 験 す る 。 与 那 国 で は慢 性 的 に塩 風 害 が
み ら れ 、 栽 培 で きる 作 物 が 限 定 され て い る 。 この 中 に あ っ て 、 長 命 草 は 、 紫 外 線 や 海 風 が きわ
め て 強 い 海 岸 や 断 崖 に で も 自生 す る野 草 と して 注 目 さ れ て い る 。 ポ リ フ ェ ノ ー ル 成 分 が 豊 富 な
セ リ科 の 植 物 で 、 島 で は古 くか ら滋 養 強 壮 、高 血 圧 ・動 脈 硬 化 抑 制 な どの 効 果 が あ る とい わ れ 、
薬 膳 料 理 な ど と して 用 い られ て き た。
同 草 の栽 培 につ い て は 、2005(平
成17)年3月
の 同 町 「与 那 国 ・自立 へ の ビ ジ ョン」 の 中 で 、
地 域 資 源 活 用 型 産業 育 成 事 業 の 一 つ と して取 り上 げ ら れ 、行 政 ・民 間 が 一 体 とな って 長 命 草 産
地 協 議 会 を結 成 した 。 そ の下 で 、 以 前 か ら健 康 食 品 と して 同 草 に注 目 して い たS氏 が 、23名 の
生 産 者 と契 約 して 栽 培 を 行 って い る。 現 在 約7haの
畑 で1ヶ
月 当 た り約20ト ンが 生 産 され 、 島
内 で 洗 浄 ・チ ップ 化 され た 後 に 本 土 に送 られ る 。 本 土 の 企 業 に よ り二 次 加 工 さ れ 、 ジ ュ ー ス や
菓 子 な どの 原 料 に され て い る。 中学 校 の敷 地 で も この 長 命 草 が 生 徒 の 手 に よ り栽 培 され て お り、
教 育 活 動 費 の 一 端 を まか な っ て い る。 い っ ぽ う島 内 の畑 地 は452haあ
り、 多 くが サ トウ キ ビ栽
培 で あ る。 長 命 草 の 栽 培 振 興 に は 、需 要 の拡 大 や栽 培 技 術 の 普 及 な ど、克 服 す べ き課 題 は多 い。
生 徒 達 は 、 農 園 に 出 向 い て植 物 と して の 長命 草 の 特 性 や 栽 培 技 術 の工 夫 を学 ぶ 中 で 、 そ の 背
景 に 与 那 国 が 置 か れ て い る 自然 条 件 の 特 性 に触 れ る。 与 那 国 に お い て新 た な 産 業 振 興 が 今 求 め
られ て い る社 会 的 情 勢 、 商 品作 物 の 栽 培 が 、市 場 か ら大 き く隔 て ら れ た 離 島 にお け る地 域 経 済
に 果 た して い る役 割 、 さ らに製 品 化 に至 る社 会 の し くみ な どを 学 ぶ 。 ま た 、 出 荷 価 格 を通 して
経 営 的 な 見 地 か ら労 働 コ ス トに つ い て も学 ぶ 。 さ ら に、 特 産 物 を生 産 す る 労 働 の 意 義 や 職 業 と
して の 農 業 に つ い て も触 れ る機 会 を得 る。
学 習 内容 は 地 域 の 産 業 や 労 働 を学 ぶ こ とで あ り、 学 習 方 法 は 体 験 的学 習 とい う よ り経 験 主 義
的 色 彩 が 強 く、 自校 敷 地 内 で の 栽培 活 動 は 問題 解 決 学 習 的 な もの で あ る 。 そ して学 習 の 協 力 者
は 地 域 の 住 民 で あ る 。 地 元 の 漁 協 に協 力 を依 頼 す る 洋 上 体 験 で も同 様 で あ ろ う。 地 域 の 産 業 を
教 材 化 す る 過 程 で 、体 験 を通 して 地 域 の 生 業 を 直接 学 び、 地 域 の 住 民 の協 力 を得 る こ とで 地域
の 一 員 と して の 自覚 を 共 有 し感 謝 の 気 持 ち を持 つ こ と をめ ざ して い る。 こ れ ら は 、総 合 的 な学
習 の 時 間 に 行 わ れ る の で あ る が 、 学 習 内 容 に は 社 会 科 の 領 域 に 含 ま れ る もの が 多 くみ られ る。
経 験 を通 して 地 域 の生 活 課 題 を直 視 しつ つ 学 ぶ とい う、 初 期 社 会 科 の 実 践 に 類 似 した 学 習 が こ
こにみ られる。
(2)離
島 与那 国の 地 域 学 習
離 島 にお け る 地 域 学 習 に つ い て の 考 え方 は、 長 崎 県対 馬 の 例 で す で に報 告 して きた 通 りで あ
る。 こ こで は与 那 国 と対 馬 との 比 較 か ら、 離 島 の事 情 に よ っ て異 な る地 域 学 習 の 内容 を、 二 つ
の 側 面 か ら考 察 して み た い 。
先 に 、 離 島 に は 自然 的 要 因 と社 会 的要 因 に深 く関 わ る環 海 性 と隔 絶 性 と い う特 徴 が み られ 、
-102一
龍谷紀要
第33巻(2011)第1号
こ れ が 厳 しい 環 境 下 で の生 活 を 強 い る 原 因 と な っ て い る と述 べ た 。 こ れ ら両 島 で は 、 恒 常 的 な
人 口減 少 に悩 ん で い る。 例 え ば 、与 那 国 町 と対 馬 市 の現 況 を人 口で 比 較 す れ ば 次 の よ うに な る。
与 那 国:2011年1月1日
(対
馬:2011年3月
現 在 で1,614人(与
末 現 在 で34,905人(対
那 国町 調 べ)、1980年 か ら25年 間 で約15.2%滅
馬 市 調 べ)、1980年 か ら25年 間 で 約24.3%減
両 島 と も、 人 口 減 少 の み な らず 産 業 の 停 滞 も見 逃 せ な い。 共 に 第 一次 産 業 の 比 率 が 高 い が 、
中 で も漁 業 従 事 者 の 減 少 が 続 い て い る 。
ま た 、 環 海 性 と 隔 絶 性 の 大 きな 要 因 を 占め る の は 、 地 域 経 済 や 社 会 生 活 の 中 心 地 と島 と の距
離 で あ る。 こ れ を 、 一 般 物 資 や 大 量 の旅 客 を運 送 す る フ ェ リー の 所 要 時 間 か ら計 っ て み よ う。
対 馬 厳 原 ←(4時
(与 那 国 島 ←(4時
間50分)→
間)→
福岡
石 垣 島/石 垣 島 ←(10時
間30分)→
那覇
与 那 国 の場 合 、 日常 生 活 上 の 中 心 地 は 石 垣 市 で あ る 。 対 馬 は 県 庁 所 在 地 の 長 崎 市 で は な く近
隣 県 の 福 岡市 で あ る 。 こ の 点 で は 対 馬 も与 那 国 も時 間 的 距 離 に 大 き な 差 は な い 。 両 島 で 異 な る
の は 、 島 民 の 子 弟 の 就 職 先 や 進 学 先 を 考 慮 した場 合 、 福 岡市 や 那 絹 市 とい う県 庁 所 在 地 ク ラ ス
の 大 都 会 との 間 に存 在 す る距 離 感 で あ る 。 両 島 を 比 較 した場 合 、 与 那 国 の 置 か れ て い る絶 対 的
距 離 に は 、 計 り知 れ な い 条 件 の 悪 さ を 感 じざ る を 得 な い 。
も う一 つ の 側 面 に 島 の振 興 策 との 関 わ りが あ る 。 与 那 国 ・対 馬 の 相 似 点 は 、 共 に 、 国 土 の最
も端 に あ た る 地 で あ り、 しか も、 他 国 の 国 土 が 肉 眼 で 確 認 で き る 島 な の で あ る 。 い わ ゆ る 国境
の 島 で あ る とい う こ とで あ る 。
こ の う ち対 馬 は 、 現 在 の 島 の 振 興 策 と して 、 隣 国 大 韓 民 国 との 交 流 を最 大 の テ ー マ に して い
る。 日常 生 活 上 の 文 化 の相 違 か ら発 す る 摩 擦 を抱 え つ つ も、 韓 国 か ら フ ェ リー で 続 々 と来 島 す
る観 光 客 を迎 え て い る17)。対 馬 は 、 古 代 以 来 日本 と韓 国 と を結 び つ け る役 目 を 果 た して き た ば
か りで な く、 比 較 的 順 調 な 日韓 両 国 関 係 の 下 に あ っ て 、 現 在 も交 流 事 業 や 観 光 客 受 入 を通 して
島 の 振 興 を 図 っ て い る。 こ の よ う に対 馬 で は交 流 に 基 づ く将 来 の 活 性 化 に大 き な期 待 が 寄 せ ら
れ て い る。
い っぼ う、 与 那 国 は 、 台 湾 との 直 接 往 来 を 目指 して い る が 、 先 述 した よ うに 、 期 待 した事 業
は 順 調 に は進 ん で い な い 。 障 壁 は 、 交 流 の 歴 史 の 違 い や 政 府 出 先 機 関 の 未 整 備 だ け で は な い 。
与 那 国 は 台 湾 と の 国 境 に 隣 接 す るが 故 に 、 時 々 刻 々 と変 化 す る 中 国 や ア メ リ カ と の 関 係 に敏 感
に影 響 さ れ る 日 台 外 交 の 狭 間 に 置 か れ 、 交 流 に 関 わ る一 つ ひ とつ の 課 題 の 解 決 を 国 に 委 ね ざる
を え な い 。 国 際 交 流 に つ い て は 一 自 治 体 が 自 らの 意 思 で 施 策 を打 つ こ と は難 しい の で あ る。
対 馬 は大 陸 との い わ ば 橋 渡 しの位 置 に あ る の に対 して 、与 那 国 は 日本 の 領 域 の 最 西 端 にあ り、
い や で も外 国 の 政 権 と対 時 せ ざ る を得 ない 。 与 那 国 で は 、対 馬 の よ うに 隣 国 に 積 極 的 に働 きか
け をす る こ と で 生 活 が 営 め る の で は な く、 国 土 の 最 果 て に あ っ て 、 は るか 遠 く北 東 方 面 に位 置
す る 国 土 の 中央 を ひ た す ら志 向 す る 生 活 を 考 え な くて な らな い の で あ る。
中 学 校 に お け る 地 域 学 習 も、 こ う した 背 景 の 影 響 を受 け て い る。 対 馬 で は 、 韓 国 の 中学 校 と
の 相 互 訪 問 を基 に 行 っ て きた 歴 史 が あ り、 地 域 で の 国 際 交 流 行 事 に も積 極 的 に 関 わ っ て お り、
そ の た め の 準 備 を含 め た 地 域 学 習 が み ら れ る 。 島 に関 わ る 学 習 と共 に 、 隣 国 の 理 解 を深 め 、 交
流 事 業 に 参 画 す る 人 材 を育 成 す る教 育 が 、 島 内 の 高 校 と共 に一 貫 して 行 わ れ て い る 。
与 那 国 町 で は これ まで 中 学 生 に よ る台 湾 で の ホ ー ム ス テ イ を実 施 して きた 。 島 内 の も う一 つ
の 与 那 国 中学 校 で は 、2010年 冬 に初 め て 台 湾 方 面 へ の修 学 旅 行 を実 施 した 塵8}。
しか し、現 時 点
離島地域の中学校における地域学習の現状(そ の2)㈱ 田)-103一
で は台 湾 か ら の 中学 生 の 訪 問 は み られ な い 。 先 にあ げ た2007年 度 の 久 中 プ ロ ジ ェ ク トの取 組 で
は 、 台 湾 ・花 蓮 市 との 交 流 を通 して 郷 土 の 自然 ・文 化 ・産 業 を知 ろ う とい う 内容 が み られ た 。
グ ル ー プ ご と の調 べ 学 習 や イ ン タ ー ネ ッ トで の 交 流 を基 に 台 湾 の 文 化 、 自然 、 産 業 に つ い て 調
べ 、 郷 土 与 那 国 と比 較 す る こ とに よっ て郷 土 を よ り深 く理 解 す る と い う もの で あ った 。 これ は 、
地 域 の特 色 を生 か した 地 域 学 習 が 含 まれ て い る もの と して捉 え る こ とが で きる 。 しか し、 台 湾
の こ と を知 る学 習 内 容 は 設 定 して も、 将 来 の 交 流 事 業 の拡 大 を 目途 と した教 育 は な しえ て い な
い 。 相 互 理 解 に は至 らず 、 わ が 国 か らみ る 隣 国 理 解 に終 始 して い る 。 対 馬 に お い て は 隣 国 と の
歴 史 的 関 係 も含 め た 地 域 学 習 が み られ る の に 対 して 、 こ の 点 で 相 違 が み ら れ る 。
さ らに 本 論 で は 、 これ ま で 同 中学 校 の 実 践 にお い て 「郷 土 」 とい う用 語 の付 い た 内容 を紹 介
して きた 。 例 え ば4②
ア で は 「豊 か な郷 土 を愛 し、世 界へ 羽 ば た く生 徒 」 を あ げ た。 久 中 プ ロ
ジ ェ ク トで も 「郷 土 学 習 」 とい う文 言 が 使 用 され て い る 。 学 習 指 導 要 領 か らみ る と 、社 会 科 に
お い て は1968(昭
和43)年
版 以 前 ま で 「郷 土 」 の 文 言 が 使 用 され て い た が 、 そ れ 以 降 は 「身近
な 地 域 」 とい う用 語 に 代 え られ て い る。
学 校 の 教 育 目標 や 総 合 的 な 学 習 の 時 間 の 内 容 と、 一 教 科 と して の社 会 科 の 学 習 内 容 の 違 い は
あ ろ うが 、 こ こで は あ え て 「郷 土 」 の 文 言 に こ だ わ る 使 用 が な され て い る とみ る。 そ こ に は 、
自分 た ち の 育 っ た与 那 国 を大 切 にす る意 識 を養 い た い とい う強 い 意 図 が あ り、 単 純 に生 活 空 間
的 広 が り を イ メ ー ジ させ る 「身 近 な地 域 」 とい う文 言 よ り も、 体 験 や心 情 面 か らふ る さ と を イ
メ ー ジ さ せ る 「郷 土 」 と い う文 言 を使 用 す る 理 由 が 読 み 取 れ る。
さ ら に 地 域 学 習 を 行 う に あ た り、 対 馬 で は 「身 近 な地 域 」 の 学 習 と よぶ の に 対 し、与 那 国 で
は 「郷 土 学 習 」 と称 して実 践 を行 って い る。 こ こで 久 部 良 中 学 校 の教 育 計 画 で 、「郷 土 学 習 」 の
大 切 さ を うた っ て い る 一 節 が あ るの で あ げ て お こ う。
なぜ 「郷 土 学 習 」 か
本 校 の 生 徒 は 、 高 校 進 学 の た め に ほ ぼ 全 員 が 島 を離 れ る。 また 、 そ の 後 の 大 学 進 学
や 就 職 で 世 界 中 の 様 々 な 地 域 に巣 立 って い る と い う現 状 が あ る 。 こ う した 課 題 を 踏 ま
え 、 中 学 生 が 人 生 に お け る 原 点 と して の 郷 土 を学 ぶ こ とで 、 ア イデ ン テ ィテ ィ を確 立
す る こ とが 、生 き る力 に つ なが っ て い くと考 え られ る 。
対 馬 を は じめ 多 くの 離 島 で 求 め られ る の は 島 に 残 るた め の教 育 で あ り、 島 振 興 を主 眼 に お い
た 教 育 で あ る 。 対 馬 な ら、 行 政 が 進 め る 国際 交 流 事 業 に理 解 を 示 し、 そ れ に参 加 す る姿 勢 の 育
成 を 行 う。 しか し、 与 那 国 で は 、 島 育 ち とい うア イデ ン テ ィテ ィの 確 立 が 主 眼 とあ る。 こ こで
は必 ず し も島 に 残 る こ と を求 め て い ない 。 加 え て 必 要 な要 素 は 子 ど も 自身 の 自立 心 の 酒 養 な の
で あ る 。 与 那 国 に お け る 地 域 学 習 で は 、 他 の 離 島 と同 様 に 、 地域 で 学 ぶ こ と よ り地 域 を学 ぶ こ
と に 傾 斜 す る こ と は 当然 で あ る に して も、 ふ る さ とに 対 す る ア イデ ンテ ィテ ィ育 成 とい う色 づ
けが さ ら に濃 くな っ て い る の で あ る 。
6お
わ りに
本 論 で は、 沖 縄 県 の 離 島"与 那 国"に お け る離 島教 育 と地 域 学 習 につ い て み て きた 。 与 那 国
一104一
龍谷紀要
第33巻(2011)第1号
は 、 日 本 最 西 端 の 島 と し て 注 目 を 集 め 、 年 間3万
人 超 の 観 光 客19}が 訪 問 す る 比 較 的 有 名 な 離 島
で あ る 。 与 那 国 以 外 に も 、 さ ら に 厳 し い 状 況 下 に あ っ て 、 注 目 さ れ な い 離 島 が 数 多 く存 在 す る
こ と は 事 実 で あ ろ う 。 離 島 そ れ ぞ れ の 教 育 の 課 題 は 、 与 那 国 と対 馬 と の 比 較 で 明 ら か に な っ た
よ う に 、 一 様 と は い え な い 。 自 然 的 環 境 や 社 会 的 環 境 に よ り違 い が 存 在 す る 。 ま た 、 国 境 に 臨
む 与 那 国 の よ う に 、 国 際 情 勢 の 動 き に よ り島 が 抱 え る 課 題 に 変 化 が 起 き る と こ ろ も 出 て こ よ う 。
離 島 に は 、 本 土 の 経 済 ・社 会 動 向 の 負 の 部 分 が 増 幅 さ れ て い く と い う環 境 が み ら れ る 。 と り
わ け 、 離 島 と近 隣 の 社 会 生 活 上 の 中 心 地 との 距 離 は 、 生 活 条 件 の厳 しさ に 何 倍 に もの しか か る
係 数 と な る 。 こ の よ う な 中 で 、離 島 にお け る 教 育 実 践 は 、 全 国 に展 開 さ れ て い る教 育 の 方 向 性
と大 き な 関 わ りを持 ち つ つ 、 独 自の 環 境 の 下 で の 展 開 が 求 め られ て い る 。 そ こ で は 離 島 で あ る
が 故 に 、 教 育 の 環 境 面 や 人 材 面 で 不 利 な 条 件 に 置 か れ て し ま う現 実 が あ る 。
本 論 で み た よ う に 、 離 島 で は 、 地 域 学 習 の 実 践 面 で もい わ ば極 限 の 姿 が 展 開 され る こ とに な
る 。 そ こ に わ が 国 の 社 会 科 教 育 の 一 つ の典 型 をみ る こ とが で きる の で あ る 。
[注]
1)今
野 喜 清 ・新 井 郁 男 ・児 島 邦 宏編 「新 版
2)岩
田貢 「離 島 地 域 の 中学 校 に おけ る地域 学 翌 の 現状
学校 教 育 辞 典」 教 育 出版(2003)
一
長崎 県 対 馬市 を事 例 と して 一
」 龍 谷紀 要
第
31巻 第1号(2009)、p.167∼180
3)国
土 交 通 省 ウェ ブ ペ ー ジ 「
離 島 振 興 」http:〃www.mlit.gojp/cr(ychidV
4)日
本 地 誌 研 究 所 編 「地理 学 辞 典
5)柳
田泰 典 「
離 島 にお け る地 域 教 育構 造 の現 状 と課 題 」、佐伯 重 幸 ・猪 山勝 利 編 『
地域 教育 研 究 叢 書1現
離 島教 育 の構 造 と展 開 一
6)猪
長崎 県 上 五 島地 区 を巾心 と して 一
』 長崎 大 学教 育 学 部(1990)所
山勝 利 「
地 域 教 育 の論 理 と課 題 」、佐伯 重 幸 ・猪 山勝 利 編 『
地域 教 育 研 究叢 書1現
展 開一
7)気
改 訂 版」 二 宮 轡 店(1989)
長 崎 県 上 五 島 地 区 を中 心 と して 一
』 長 崎大 学 教 育学 部(1990)所
代
収 、p.39∼58
代 離 島教 育 の構 造 と
収 。p.15∼25
象庁 ウ ェ ブペ ー ジ 「
気 象統 計 情 報 、大 気 ・海 洋環 境 観 測 報告 、 与 那 国 島特 別 地域 気 象 観 測 所 」
httP:〃www.data.kishou.gojp!
8)財
団法 人都 市 経 済 研 究所 ウ ェ ブペ ー ジ 「2007年12月 『
与 那 国在 花 蓮 市連 絡 事 務 所』 活 動 報 告 書 」
http:〃www.ueri.org!prqlect/
9)与
10)岩
那 国町 公 表 値
田貢 「変 容 す る 地 域 を捉 え る 第13回 台 湾 との 交流 で 自立 をめ ざす 一
沖 縄 県 与 那 国町 」 地 理56巻1
号(2011)、p.66∼71
11)2010年10月8日
12)与
13)久
の 漁協 組 合長 へ の 寵 話 で の聞 き取 りに よる もの で あ る。
那 国町 ウ ェブ ペ ー ジ 「
与那国 「
国境 交流 特 区 提 案2006』」http:〃ww蝋town.yonagu虹okinawajp1
部 良 中 学 校 の 学 校 情 報 は、 ウェ ブ ペ ー ジ(http:〃wwWonagしmi-kubllrajp/kub聖1ellly)に
ペ ー ジ以 外 の 情 報 は 、2010年2月17日
14)前
掲6)
15)小
林 文 人 「与 那 国 の集 落 組 織 と公 民 館 制 度の 定 着過 程 一
東 ア ジア社 会 教 育 研 究 会(TOAFAEC)年
詳 しい 。 ウ ェブ
∼19日 に 実 施 した 現 地訪 問 で の収 集 資 料 に 基 づ く。
与那 国 調 盗覚 沓(そ の2)一
報 『
束 アジ ア社 会 教 育 研 究』 第7号(2002)所
」、東 京 ・沖 縄 ・
収 、http:〃
…vOO4.
upp.so-11et.nejp/fumi-klyonaguni1.htm
16)前
掲5)
17)岩
田貢 「変容 す る地 域 を捉 え る 第3回
18)久
部 良 中 も、2011年 度 か ら台湾 へ の 修 学 旅行 が 予 定 され て い る。
19)2010年
観 光 と交流 に 生 きるr対 馬』」 地理54巻5号(2009)、p.90∼95
度 八 重 山 入 域 観 光 客 数統 計 概 況(沖 縄 県 八 重 山事 務 所平 成23年1月27日
発 表)
http:〃www3.prefo㎞awajp!slte1両ewlcont面e面sp?cateid・50&id=16694&page=1
離島地域 の中学校 における地域学習 の現状(そ の2)(岩 田)-105一
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島地域の中学校における地域学習の現状 (その2) 県与那国町を事例