アジア3R推進市民フォーラム 2011 in シンガポール報告
2011 年 10 月5~7日にシンガポールで開催されたア
ジア3R推進フォーラム第3回会合のサイドイベント
として、NGO フォーラム「アジア3R推進市民フォー
ラム 2011~ゼロ・ウエイストに向けた市民のパートナ
ーシップ」が開催された。その概要は以下のとおりであ
る。
【日時】2011 年 10 月6日(木)9:00~13:00
【会場】Turquoise/Onyx Room. Sheraton Towers (シンガポール)
【主催】シンガポール環境評議会(Singapore Environmental Council:SEC)
アジア3R推進市民ネットワーク
【共同議長】Mr. Jose Raymond, Executive Director, SEC
藤井絢子(アジア3R推進市民ネットワーク代表)
【参加団体・出席者】シンガポール6団体8名、日本7団体8名
◇シンガポールのNGO 6団体
Singapore Emvironmental Council
Mr. Jose Raymond, Executive Director, Mr. Lee Peng Hon, Deputy Director
Mr. Helmy Sarpan
Conservation International
Mr. Michael Totten, Senior Advisor
ECO (Environment Challenge Organization)
Mr. Maxime Richer, Manager of School Outreach
Ave Life
Mr.Tan Zhong Yi, Head of Operations
Hemispheres Foundation
Ms. Ann Phua, President/Founder
Waterways Watch
Mr.Eugene Heng, Chairperson
◇日本のNGO 7団体
アジア3R推進市民ネットワーク
菜の花プロジェクトネットワーク
藤井 絢子(代表)
持続可能な社会をつくる元気ネット
崎田 裕子(理事長)
FoE Japan
瀬口 亮子(理事)
アジアごみ問題研究会
辻 芳徳(代表)、渡辺 光子
富士山クラブ
青木 直子(事務局長)
中部リサイクル運動市民の会
永田 秀和
(代表理事)、浅井 直樹 (理事)
【プログラム】
○オープニング
1)歓迎挨拶
Mr. Jose Raymond : Co-chair, SEC
2)アジア3R市民フォーラムの背景、これまでの内容
藤井絢子 (共同議長)
3)参加団体・参加者紹介
○各国からの報告
(廃棄物・3R政策、管理システム、現状と課題について)
1)シンガポール: Ms. Yang Hong, (シンガポール環境庁)
2)日本:
崎田裕子(アジア3R推進市民ネットワーク)
3)質疑応答
○NGOからの活動報告
1)Conservation International
Mr. Michel P Totten(シンガポール)
2)Environmental Challenge Organization
Mr. Maxime Richer(シンガポール)
3)富士山クラブ
青木直子 (日本)
4)中部リサイクル運動市民の会
永田秀和(日本)
5)FoE Japan
6)アジアごみ問題研究会
瀬口亮子 (日本)
辻芳徳、渡辺光子(日本)
○コーヒーブレイク
○ディスカッション
「大量生産、大量消費、大量リサイクルを超えて」
進行:Mr. Lee Peng Hon, SEC
○まとめ
<資料一覧>
資料1:アジア3R推進市民フォーラム 2011 プログラム(英文)
資料2:アジア3R推進市民フォーラム 2011 日本大会ステートメント(英文)
資料3:シンガポール会合発表資料(アジア3R市民フォーラムの背景)
(英文)
資料4:シンガポール会合発表資料5(シンガポール環境庁)(英文)
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資料5:シンガポール会合発表資料6(日本の廃棄物3R政策)
(英文)
資料6:シンガポール会合発表資料7(富士山クラブ)
(英文)
資料7:シンガポール会合発表資料7(中部リサイクル運動市民の会)(英文)
資料8:シンガポール会合発表資料8(FoE Japan)(英文)
資料9:シンガポール会合発表資料9(アジアごみ問題研究会)
(英文)
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<報告詳細>
1.会合の概要
今回のNGOフォーラムは、シンガポールと日本の共催という形で開催し、両国の共同
議長の元で互いの国のシステムやNGO活動を理解しあった上で、ディスカッションを行
うという流れで行った。
シンガポール環境評議会のホセ代表より歓迎の挨拶の後、アジア3R推進市民ネットワ
ークの藤井代表より、今回のフォーラム開催までの背景解説と日本で開催した日本大会の
報告、そこでまとめたステートメントの発表があった。
その後、参加団体と出席者を一通り紹介してから、フォーラムの本題に入った。
各国の廃棄物管理システム・3R政策の現状と課題について、シンガポールは、NGO
に適任者がいなかったため、環境庁のホン氏により解説された。日本からは、崎田氏から
概要を説明した後、現在日本において廃棄物問題の最大の課題となっている震災廃棄物問
題について説明した。その後、双方の報告について理解を深めるための質疑が行われた。
NGO各団体からの報告は、シンガポールから2団体、日本から4団体が行った。シン
ガポールは、廃棄物・3Rを専門に活動している団体はなく、コンサベーション・インタ
ーナショナルからは、カナダでの事業者との協働など同団体の国際レベルでの活動が紹介
された。Environment Challenge Organization からは、フリーペーパーやワークショップを
活用した3Rの環境教育について報告された。
日本のNGOからは、富士山クラブから富士山麓における不法投棄ごみ回収と啓発活動
について、中部リサイクル運動市民の会からリサイクル資源回収とリユースステーション
運営について、FoE Japan から政策提言活動と発生抑制キャンペーンについて、アジアご
み問題研究会からアジアにおける連携の必要性と期待などが発表された。
コーヒーブレイクで一息つきながら談笑し、互いに打ち解けた後、これまでの発表、質
疑などを踏まえて「大量生産・大量消費・大量リサイクルを越えて」をテーマにディスカ
ッションを行った。進行は、シンガポール環境評議会のリー氏にバトンタッチされ、人々
を巻き込むための戦略等について互いの経験を共有した。NGOフォーラムは、今後もア
ジアの3R推進のために市民レベルの連携を継続していくことを確認して終了した。
※添付資料2)アジア3R推進市民フォーラム 2011 日本大会ステートメント(英文)
※添付資料3)~9)シンガポール会合発表資料
2.発表内容・討議内容詳細
【発表内容】
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(1)シンガポールの廃棄物の課題、管理、最小化戦略
発表者:シンガポール環境庁廃棄物資源管理部 マネージャー ヤン・ホン氏
Ms. Yang Hong, Manager, Waste & Resource Management Department
National Environment Agency
○ 近年シンガポールは急激な経済成長を遂げた。1970 年
から 2010 年の間に、シンガポールの人口は2倍に増
え、年間のごみの量は6倍にも増えてしまった。
○ 1979 年以前は、固形廃棄物は直接ごみ埋立地へ運ばれ
ていたが、日本などの先進国からごみ焼却技術が導入
され、同年から焼却施設の運営を開始、現在約 90%以
上のごみが焼却施設へ送られている。焼却施設では同
シンガポール環境庁ヤン・ホン氏
時に発電も行っており、国のエネルギーの2%をカバ
の発表
ーしている。焼却灰と残りの 10%のごみは埋め立て処
分している。
○1999 年までにシンガポール内にある5つのすべての埋め立て処分場が満杯になってしま
ったため、シンガポール沖のセマカウ島に新たな埋め立て処分場を建設して現在使用し
ている。しかし、この処分場も 35-40 年で満杯になってしまう見込みで他に埋め立て可
能な場所はないため、当局はこの処分場ができるだけ長期間使用できるよう対策の必要
性に迫られた。
○ 1991 年以来、環境庁は、廃棄物を最小化する体制を立ち上げ、廃棄物は埋め立て以前に
できるだけ最小化されるべきだとの考えを具体化した。
○ そのひとつとして、ごみの多くを占めるのが、一度しか使えないように作られた容器包
装であることから 2007 年より「シンガポール包装材協定」を政府、事業者、NGOで
締結している。協定に参加する企業は、包装材削減の自主目標と行動計画を設定しなけ
ればならない。現在 125 社が参加している。
○ その他のプロジェクトとして、買い物客にマイバック持参を呼びかけるキャンペーンを
実施している。5年前に比べて多くの人がエコバックを使用している。他の国ではレジ
袋を有料化するところもあるようだが、シンガポールでは人々を教育して、長い目で効
果を期待している。
○ 2001 年より「全国リサイクルプログラム」を開始した。古紙、金属缶、ガラスびん、プ
ラスチックボトル、衣類などリサイクル可能な資源を、戸別回収または住宅地に5ブロ
ックごとに設置したリサイクルボックスで回収している。また、ショッピングモール、
大通り、
空港など街の至るところに 4000 以上のリサイクルボックスが設置されている。
○ 事業者の巻き込みは重要である。2003 年以降、当局では、シンガポールで最大の不動産
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開発企業であるJTCコーポレーションと協力し、同社が所有するすべての物件にリサ
イクルプログラムを導入してきた。よってJTCの物件を利用するすべてのテナント・
入居者は、リサイクルプログラムに参加している。またJTCは、リサイクル資源で服
を作る事業を、所有している土地の一部で進めており将来も拡大する予定である。
○子どもたちが小さいうちから持続可能な社会を目指し生活できるように、環境教育プロ
グラムの存在は欠かせない。2000 年はじめから、シンガポールすべての学校で、リサイ
クルプログラムと環境教育を行っている。
○ シンガポールのリサイクル達成率は、2000 年で 40%だったのが、2010 年には 58%まで
上昇した。今後の目標として、2012 年までに 60%、2020 年に 65%、2030 年に 70%を
めざしている。
○私たちの最終的な目標は、廃棄物や焼却施設のエネルギーなど利用可能な資源を最大限
活用するために最善の努力を尽くすことだ。この 30-40 年で、大きく進歩を遂げてきた
が、日本などの諸外国に学んで、さらなる努力が必要である。廃棄物処理をさらに持続
可能にすることで、今私たちが持つ環境を将来世代にも手渡したいからである。
※添付資料4)シンガポール会合発表資料(シンガポール環境庁)
(2)シンガポールのNGOの3R啓発活動
発表者:ECOシンガポール 学校教育マネージャー マキシム・リチャー
Mr. Maxime Richer , Manager (School Outreach), Environmental Challenge Organization
○ 私たちの団体は小規模ではあるが、環境社会計画を
専門としている。より良い持続可能な将来のための
教育プログラムや国際イベントの企画などを行って
いる。今年は特に、エネルギー、廃棄物、水などの
問題に焦点を置いてきた。
○ ごみ拾いのイベントは大規模に多くのボランティア
の参加で行う。パレードや展示も行い、人々にごみ
を道端に捨てないように、ごみはごみ箱に入れるこ
シンガポールの NGO
とが正しいのだ、と呼びかけた。
中央が ECO のマキシム・リチャー氏
○月1回発行の無料情報誌を、スーパーの出入り口など
に設置して、誰でも手にとれるようにしている。テーマは生物多様性、エネルギー、食
品廃棄物など様々で、簡潔だがしっかりした内容の冊子になっている。さらに読者はク
イズに答えるとプレゼントの抽選に参加できる。その答えは冊子の中に隠されているの
で、隅々まで読むのが楽しみになるしかけである。
○家庭生活に密着したプログラムとして、家々を訪ねて、どの家電がどれだけエネルギー
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を使用するかを示したり、何をどのようにリサイクルできるのかなどを教える活動をし
ている。
○学校訪問は私たちがメインに行っている活動である。水、エネルギー、廃棄物などの問
題について話し合うのだが、今年は特に電子廃棄物に焦点をあて、生徒たちに「携帯電
話を買い換えるのをもう尐し待ってみないか」と提案した。もう数カ月使うことで、実
際まだ使用可能なのだと気づくからである。体験ゲームとして、生徒たちに紙を配り、
思い思いの携帯電話を次から次とデザインさせ、古くなったデザインは床に捨てさせた。
気がつくと床にはごみの山ができている、という形で、実際どのように廃棄物が増えて
いくかを教えるのである。また、途上国で不法に電子機器のリサイクルを行っている人々
のビデオを見せて、有害物質が含まれ健康や環境に悪影響を与えていることを学ぶ。
○今年7月に実施したイベントでは、アジア 20 カ国から学生を呼び集め、
「Rio+20」に持
って行く議題は何がいいかを話し合った。それをレポートにまとめ、他の会議などでも
発表してその提案が採択されると、
「アジア太平洋青年からの Rio+20 への提言」になる。
○私たちは設備もお金もなく実際にリサイクル事業ができるわけではないが、代わりに、
何がリサイクル可能なのか、なぜそれが必要なのか、教育とアドバイスを徹底して行っ
ている。また、他人が使えるものは寄付などして「リユース」することを呼びかけると
ともに、
「リフュージング」
、
(拒否すること)がとても大切だと伝えている。特に電子廃
棄物に関しては、新しい携帯電話などをすぐに購入する「ただ変化を求める心」を拒否
することである。
○これまで、市内に5つある地域開発協議会と連携して事業を行った。小さい団体ではあ
るが、このようにして地域から政府に働きかけることもできると考えている。
※発表資料はなし。ECO Singapore: www.eco-singapore.org
【質疑応答】
<シンガポール包装材協定について>
日本)先ほどお話しいただいたシンガポール包装材協
定についてですが、これは本当に包装を減らすことに
役立っているのでしょうか?日本では法律で包装に
ついて生産者の責任を規定していますが、協定のみで
十分なのでしょうか?
SIN)確かに協定には法的拘束力はありません。しか
し、強制されているわけではないにもかかわらず協定
に参加するということは、その企業は本当に包装を減らしたいという気持ちがあるからで
す。この手法が効果的なのは、企業が参加して目標や計画を表明することで人々の心に働
きかけることができ、消費者は彼らを説得し前進するよう手助けできるからです。包装の
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削減は2つの方向から対処していけるということです。製造者側は廃棄物を削減、リサイ
クルしやすい製品を作ります。消費者側が省包装で環境にやさしい商品を選ぶことで、製
造者は自然に要求に答えるようになります。また、消費者は消費のみでなく、直接声を届
けることもできます。過度に包装されている商品に対しては、改善を求め発言します。製
造者はその声に返答するはずです。
SIN)製造者はもっと環境にやさしい包装をデザインするべきだと思います。詰め替えステ
ーションなどを設けて、シャンプーや尐なくとも水などをリフィルできる場所があるとい
いですよね。
<焼却灰のリサイクルについて>
日本)シンガポールのリサイクル率はとても高く感心しました。しかしまた、ごみの埋立
地には限りがあるのは事実で、さらなる努力が必要でもあると思います。そこで、焼却灰
をリサイクルする,ということは考えたことがありますか?日本では、焼却灰をセメント
など建設資材にしています。
SIN))実は、それは昔一度実験的に行ったことがあります。焼却灰を道路を作る資材に加
工する実験で成功したのですが、問題はコストがかかりすぎることでした。シンガポール
は国土が狭く、ビジネスの規模もとても小さいので、このような高い資金を要求する事業
は難しいと考えます。
<放射性物質で汚染された震災廃棄物について>
SIN)放射性物質で汚染された震災がれきの処理方法について教えてください。他の国は日
本の経験、対処から学べることがたくさんあると思います。
日本)現在、環境省では検討会を作って、汚染のレベルに応じて,処理の仕方の指示を出
しています。低いレベルのものは、通常の自治体の施設で焼却して埋立て処分することに
なっていますが、本当に「安全」なのか、住民には不安があり、受け入れる自治体はほと
んどありません。また、一定以上のレベルに汚染されたものを保管する場所も見つかりま
せん。放射性物質は、焼却しても埋め立てても、なくすことはできないので、一度放出さ
れてしまったら対処法はないに等しいのです。
SIN)未来の世代にも関わる大きな問題です。早く対処法が見つかることを祈っています。
【ディスカッション】
議長)
「大量生産、大量消費、大量リサイクルを越えて」
の議題で議論していきたいと思います。まず今までの発表
や質疑をふまえて、相手に聞いてみたいことはあります
か?
議長のリー氏(中央)と藤井氏(右)
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<環境教育の重要性>
SIN)なぜ、日本人は、ごみをきれいに分別できるのですか?教育プログラムが成功してい
るということですか?何がごみを分別するモチベーションになっているのですか?
日本)私たちもごみ埋め立て地が限られているという問題があります。したがって、人々
に実際に分別に協力してもらう必要があります。子どもたちの学校教育はとても重要で、
NGOなども率先して行っています。
SIN) 教育がとても重要で効果的だということですね。これは日本から学ばなければいけま
せんね。
SIN)日本はいつからリサイクルを始めたのですか?既成のシステムを見るのは簡単ですが、
実はその背景を知ることが重要なのだと思います。
日本)30 年ほど前からです。当初は教育などはとても大変なものでした。リサイクルの教
育が徹底されるには、リサイクルが社会のシステムとして組み込まれる必要があると思い
ます。
<発生抑制のための各主体の責任と協力>
日本)シンガポールで3R の中のリデュースやリユースの取り組みはいかがですか?
SIN)ある会社はある一定量の資材で6つ分の梱包をデザインしていましたが、その梱包を
デザインし直し、同量の資材で8つ分の商品を梱包できるようになりました。これは資材
を最大利用して省資源に成功したほか、運搬費の削減にもつながりました。そして尐量化
された梱包のおかげで、同じスペースにより多くの商品を収めることができるようになっ
たのです。また、緩衝材に一定間隔で穴をあることで材料を使う量を減らしました。年間
で 28000 ドルの削減に繋がったのです。このように製造者のリデュースは、梱包のデザイ
ンが大きな鍵を握っていると思います。消費者側は、例えばマイバッグの使用が挙げられ
ます。消費者にとって、マイバックを使用しプラスチックごみを減らすことは自分自身で
決断をできることですから、政府はその他多くの組織は、マイバックキャンペーンを行っ
ています。他にも過剰包装されている商品を避けるなど、
できることはあります。
日本)日本でもまだ大量生産,大量消費がはびこってい
ますが、今こそ、その生活パターンを変えなければいけ
ないと思います。製造者に大きな責任があるとともに、
スーパーなど販売者も、3R 達成のために努力する必要
がある重要なセクターだと思います。
<地域から政府を動かす市民の力>
SIN)5年前日本を訪れたとき、日本人が買い物袋を持ち歩いている姿を多く見かけ感心し
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ました。
日本)多くの人にこの習慣がつくまで 10 年ほどかかりましたよ。NGOもこの運動に大き
く貢献しました。
SIN)もしスーパーなどが、マイバック運動に参加することを拒否したら、NGOはどうし
ますか?
日本)NGOは自治体や地方政府に働きかけてスーパーなどの企業に協力を要請します。
今では袋が有料になっている地域も尐なくありません。
SIN)NGOはそんなに影響力があるのですか?
日本)シンガポールの政府はとても迅速で効果的に対応をしていると思います。日本は逆
に、政府の対応は慎重すぎて遅いのです。これに対し、市民の問題意識はとても高いので、
まずローカルレベルから問題を解決しようと自治体や地方政府に働きかけます。それが最
終的には国をも動かし、国レベルの制度ができてきた、という経緯があります。
SIN)それはとても興味深いですね。シンガポールにも似たような傾向はあります。シンガ
ポールでは、5つの地区ごとにCDC(Community Development Council:地域開発協議会)
がありますが、その廃棄物に関する草の根運動です。一つのCDCがあるキャンペーン、
例えばフリーマーケットを行ったとします。するとその他のCDCも結局は同じようなこ
とをするので、国レベルで管轄したほうがよい、ということになるのです。CDCは、人々
を教育するのにとても強力なツールで、地区間の競争がとても激しいので、それを利用し、
質のいい3Rの活動を進められるように方向づけるのが政府の役割といえます。
<まとめ>
日本)今回のアジア3R推進フォーラムのテーマは、技術や経験を伝達することですよね。
しかし、日本は当初、技術に頼りすぎました。技術が全ての問題を解決できると考えてい
ましたが、後になってそれは効果的ではないと気づき,結局人々の協力を得ないと政策は
成功しない、という考えに至りました。人々を運動に参加させることはとても大変ですが、
目標を達成するには一番効果的です。これが、今回の会議の結論だと思います。人々を巻
き込むことで、政策は一番うまく働くのです。
議長)ではそろそろ時間なので、ここで今回の会議のまとめをしたいと思います。先ほど
渡辺さんがまとめてくださったように、3R を最も効率的に実施するためには、技術だけで
なく、人々の参加、積極的な姿勢こそが大切だ、ということに同意したいと思います。正
しい制度、枠組みに人々が参加しなければ、3R は全く成功せず、目標達成は困難です。特
に若い世代への教育、3R を習慣化することが課題です。NGO の力、そして政府だからこそ
できる役割に注目したいと思います。今日は、地域の人々を巻き込んだ、草の根運動につ
いて意義のある対話ができました。
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3.政府会合での報告
NGOフォーラム終了後、同日午後のアジア3R推進フォーラム本会合で報告するため
に、日本のNGOとシンガポールのNGOが共同でまとめ作業を行った。
今回のフォーラムのサマリーとして、主に1)学校や一般市民
に向けての教育・啓発、2)リデュース・リユース推進のための
活動、3)放射性物質で汚染された廃棄物への懸念などを共有し
たこと、また、今後、持続可能な社会に向けて成果を得るために、
1)教育、2)市民の巻き込み、3)コミュニティに基盤を置く
組織活動、4)流通業者への働きかけなどをポイントに、ベスト
プラクティスを共有することを確認した。
これらをまとめたプレゼンテーションを、夕方の本会合の総合
セッション5の中で、NGO参加者を代表して、シンガポールの
Hemispheres Foundation 代表の Ms. Ann Phua が発表した。
政府会合で発表するア
ン・プア氏
NGO フォーラムを終えて参加者全員で
(記録・文責: FoE Japan 瀬口亮子)
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