模擬患者が直面した医療現場の倫理
「現場に学ぶ医療福祉倫理」 2回
東京SP研究会 代表
佐伯晴子
2009年10月7日 国際医療福祉大学大学院
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
自己紹介
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大阪外国語大学ロシア語科卒(1977)
東京医科歯科大学大学院医療政策学修士課程
単位取得満期退学(2007)「合意形成による市民参加型医療政策」
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(株)インターグループ翻訳・通訳派遣 国際学会事務局
祖母パーキンソン病 父すい臓がん ほか
生と死を考える会(1982~84年)
1988年~93年 イタリア ミラノ滞在
ヨーロッパ緩和ケア協会事務局ボランティア
93年 生と死を考える会 星野一正先生
日本生命倫理学会・日米バイオエシックス会議
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
東京SP(模擬患者)研究会など
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1994年 生命倫理学会、日米バイオエシックス会議
辻本好子氏からお誘い 「関東でもSP組織を」
SPって何? それが何の役に立つの? 何かのご縁?
1995年 東京SP研究会設立 事務局&高校講師バイト
2000年 複数の医学部非常勤講師 SP以外でも
〃 医学書院「話せる医療者」日下隼人氏と共著
2002年 医学書院「あなたの患者になりたい」単行本化
〃 個人事業代表(寄付なし・納税 自立した組織)
医療コミュニケーション(インフォームド・コンセント)研修 企画
SP養成 市民倫理委員養成 市民向け講演
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
一般の立場として委員就任
厚生労働省
医薬食品局 医療安全医療用具部会
医政局 社会保障審議会医療部会(3月まで)
妊婦の服薬情報等の収集に関する検討(了)
東京都 医療情報の理解を促進する会
昭和大学 ゲノム解析倫理審査委員会
昭和大学 薬学部倫理委員会
北里大学 遺伝子治療倫理小委員会
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
審議会・倫理委員会出席において
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少数派の任務=欠席しない(日程調整)
意見を出す+意見書提出(記録に残す)
アカデミズムの住人ではないメリット
被験者・協力者の立場になって考える
一般社会の目で考える
「あれ?」「なぜ?」を封じない
しなやかに、したたかに
見られて、記録されていることを励みに
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
患者・家族はどう感じているか
挨拶してもらえない
話を聴いてもらえない
話を理解してもらえない
説明してもらえない
説明がわからない
質問できない
・・・伝わらない・・・
著作 東京SP研究会 佐伯晴子2009
医療についての 素朴な疑問
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私のプライバシーはどうなるの?
私の生活は私が考えるものだと思うが・・・
これからどうなるの?
自分のことなのに、知ることができない
それなら早く言ってもらいたかった・・・
一緒に考えて進めてもらいたい
著作 東京SP研究会 佐伯晴子2009
不安・疑問・希望は伝わっているか
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患者さん・家族はひとりひとり異なる
状況に応じて気持ちが変化する
医療の結果を引き受けるのは患者さん本
人
⇒ 個々の不安・疑問・希望をふまえる必要
きかなければわからない
⇒患者・家族が話す 医療者が聴く やりとり
著作 東京SP研究会
佐伯晴子2009
すれ違いが 溝を広げる
平成16年 厚生労働白書
国民の7割 医療に不安
理由60%医療者とのコミュニケーション不足
 平成19年 日本医師会調査
患者の意向を聞いている
医師75%
意向を聞いてもらっていると思う 患者
37%
聞いてもらっていないと思う 患者60%

著作 東京SP研究会
佐伯晴子2009
薬剤師と患者の認識のズレ

薬剤師から必ず説明がある
14%
ほとんど、まったく説明を受けていない 36%

必ず説明をしている(薬剤師)
41%
薬剤師が伝えたつもりでも、伝わっていない
患者さんは理解と納得の上で薬を使っていない
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
10
新しい医学教育の動き
患者さんからの苦情・不満
 コミュニケーション不足が原因の医療事故
↓
 現状を見直し 信頼を取り戻そう
↓
コミュニケーション教育⇒問診から医療面接へ

著作 東京SP研究会
佐伯晴子2009
医療面接教育とSP(模擬患者)
Simulated Patient
低学年(1~2年)
Standardized Patient
動機付け
病棟実習前(3~4年) 会話練習 (接遇と「問診」)
病棟実習後(5~6年) 信頼関係と診断の両立
研修医・現役
診断+説明(インフォームド・コンセント)
コミュニケーションの面白さと難しさを知る機会がない
著作 東京SP研究会 佐伯晴子2009
問診 の枠組み
問う+診る
主語は?
医療者が患者に質問する
診断・状態把握のための情報収集
著作 東京SP研究会
佐伯晴子2009
医療面接(Medical Interview)
inter+view(相互に向き合う)主語は?
医療者と患者のコミュニケーション
communication(共通にすること)
1. 信頼関係の構築(相互性)
2. 情報収集(相互性)
3. 治療
著作 東京SP研究会
佐伯晴子2009
患者・家族にとっての医療面接
● 大事にしてもらえるか
● 話を聴いてもらえるか
● 正しく理解してもらえるか
● 話がわかりやすいか
著作 東京SP研究会
佐伯晴子2009
医療面接でめざしてほしいこと
患者さんの痛さ つらさ 苦しさ 不安 疑問
うれしさ とまどい ・・・・・
手に取るように見えること
そのとき、その人はどんな様子なのだろう
それは その人の暮しの中でどんなことか
著作 東京SP研究会 佐伯晴子2009
患者さんに「させる」医療
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待たせる
入院させる
検査を受けさせる
病識を持たせる
納得させる
がまんさせる
コンプライアンス(上から下への発想)
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
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「させる」発想・・・医療者が主語
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医療者が「よかれ」と考える(専門家)
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医療の効率・都合を優先(医療は施し?)

従来の医療のあり方を踏襲(かわらない)

患者はわがまま 自分勝手 クレーマー
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
18
患者さんはそれでいいですか?
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人生の大きな転換

生活を揺るがす費用負担

日常を放棄し、 一患者として適応
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誰も代わってくれない
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
19
医療者が主語でいいですか?
国民はどんな医療を望んでいるか
患者さんは医療者に委託している
患者さんが主語 医療者が一緒に考える
私たちの医療サービス
患者さんの喜びを医療者の喜びと思えること
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
20
考え方の枠組みを変える
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患者に話させる→患者さんが話せる
情報をとる→情報を得る
同意をとる→同意を得る、受ける
聞き出す→聴く
医療者が主語の問診から脱却
→患者医療者の協働作業の医療面接
著作 東京SP研究会 佐伯晴子2009
聞き出す 話させる →聴く
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コミュニケーションの基本(話を聴く態度)
聴く = 相手を受け入れる
非言語に無自覚
発信(自分が主語)で考えていた日常
他者から 観察され 評価される存在
話を聴くことは大事だが、時間が必要・・・
話を聴いてみないとわからない
著作 東京SP研究会 佐
伯晴子2009
患者と医療者が情報を共有する
医療の素人が情報(物語と気持ち)を伝え
医療者が間違いなく受け取る
医療者の情報(医学的解説とケア)を
患者側が正しく理解し納得する
↓
安全な医療を実践
患者が安心して自らの人生を切り開く。
著作 東京SP研究会
佐伯晴子2009
インフォームド・コンセントの主語は
●わかりやすい説明(本人が理解する)
● どんな質問にも答えてもらえる(納得する)
● 私の味方(信頼と安心)……選択へ
Informed Consent(説明受けて承諾する)
患者(家族)が理解し医療に参加するための説明
著作 東京SP研究会
佐伯晴子2009
コミュニケーションは落とし穴だらけ
通じる記号になっていますか?(記号化)
言葉 表情など 言語と非言語の一致
届くように送っていますか?(発信・送信)
聞きとれる声 テンポ(医療者は早口)
受け取っていますか?(受信)
聴く態勢 関心 思い込み排除
同じ意味に理解しましたか?(解読)情報の共有は?
著作 東京SP研究会
佐伯晴子2009
たがいの文化が異なるとき
発信者は自分の文化で記号化する(伝える)
受信者は自分の文化で解読する(わかる)
言ったつもり ⇔ 聞いてない
説明した ⇔そんな意味だと思わなかった
著作 東京SP研究会
佐伯晴子2009
医療者と患者は異文化
医療者の考える「よかれ」
disease[疾患]からの発想
⇒ 症例○○
集合名詞
患者が抱える個々の不安・疑問・希望
illness[具合悪さ]から出発
⇒ ○○症状をもつ「□□□子」 固有名詞
著作 東京SP研究会
佐伯晴子2009
同じ意味に理解できているか


言葉の定義(文化)は同じですか?
熱=38度以上
熱=平熱より高い
少しお待ち下さい=30分
少し=5分
価値観(文化)は同じですか?
ほんの2週間
2週間も
1パーセントの確率
当たると100パーセント
著作 東京SP研究会
佐伯晴子2009
患者さんが「わかりにくい」と感じる時
医療の素人には、聞きなれない言葉は漢字変換できません
ヨシンをとらせていただくポリクリの○○です。
シュカンテキ表現でゲンショウをお話ください。
痛みのシュツゲンはヒンカイですか?
キョウツウのセイジョウは?
ブイは?
ユウインは?
シンカブからキロクブにホウサン・・ジゾクは?
キンイ、タインに行きましたか?
キオウは?
キシツテキかキノウテキかカンベツするために
シンシュウテキな検査ですがゾウエイします・・
著作 東京SP研究会
佐伯晴子2009
見逃せない日本語の宿命
意味を表す漢字を組み合わせた熟語
書かれた文字を見れば意味は推測可能
 患者さんには漢字ではなく音として聞える
聞こえた音を頭の中で漢字変換して理解
キョウツウのセイジョウ→共通の正常?
シンシュウテキな検査 →信州的な検査?
文脈の中で選択される同音異義語
素人と専門家では 文脈(論理)は共通か?

著作 東京SP研究会
佐伯晴子2009
コミュニケーション中心のSP
症状をもった患者であると同時に、
人生を歩むひとりの人間として演じます。
Simulated Patient
一般論ではなく、具体的にいま、ここで、
その患者さんとして感じたことを伝えます。
「医療者が日常のコミュニケーションを
著作 東京SP研究会
佐伯晴子2009
ふりかえるきっかけ作り」
東京SP研究会のSP
医療を受ける立場(医療の素人の視点)
医療者では気づかない
よりよい医療づくりに参加する
展望をもって活動する市民
普通の感覚
× 過剰な権利意識・被害者意識
× 未解決の医療体験
著作 東京SP研究会
佐伯晴子2009
信頼にもとづく医療を一緒に作りたい
「患者納得の医療」で「医療者満足の医療」
患者さんがOK
医療者がOK
地域・社会がOK 病院・大学がOK
↑ ↑ ↑
人としての交流 信頼
互いを思いやる心とマナー 心からありがとう
接遇=コミュニケーション=リスクマネジメント
著作 東京SP研究会
佐伯晴子2009
医学教育の中での活動
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1995年から 日本医学教育学会会員
理事1回 現在評議員
毎年 学会で発表 コミュニケーション教育
押しつけられた米国流SPのあり方
患者が求める日本のコミュニケーション
一般人の目でみた疑問
医療者育成の健全なあり方
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
医療面接教育は
「患者中心の医療」につながるか2003
OSCE課題とプレテスト結果などからみた医療面接教育
東京SP研究会 佐伯晴子
2003年 著作 東京SP研究会 佐伯晴子
「患者中心の医療」とは
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患者さんが主体的に参加
患者さんと医療者の協働作業
チーム医療
信頼
求められる コミュニケーション能力
対患者さん 対他の医療職 対社会
⇒医療面接教育
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
問診
⇒
医療面接
医療者は質問
患者さんは答える
閉じられた質問
患者さんと医療者の
コミュニケーション
開かれた質問
医学的情報が最優先
(診断・原因究明)
時間が余っていたら
心理・社会的側面
主訴・受診動機・理由
(ニーズは何か)
どこまで把握できるか
患者さんの解釈モデル
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
学生にとっての医療面接
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信頼してもらわねばならない
病歴聴取のほかに新しい項目
患者さんの不安をとりのぞかねばならない
あれもこれも時間内にすべてこなすべき
人間が相手だと初めて気づいた!
一人一人感じ方が違う!
ぜんぜん時間が足りない!!
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
断片的な「医療面接的」要素
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世間話でリラックス
小さな声で自己紹介
お名前は?ハイ結構。
思い当たるふしは
おタバコとお酒は?
まとめますと・・・
言い忘れたことは?
ご希望の検査は?
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年長者への礼儀は?
自己紹介の意義は?
知能検査兼用
解釈モデルは病名?
唐突な質問
あと1分でフィニッシュ
患者は健忘症?
マニュアル質問項目
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
「医療面接」の顔をした問診
何のためにするのか
自己紹介 挨拶
開かれた質問
確認 解釈モデル
患者さんとの面接で
何をしたいのか
不明
ひたすらマニュアル
検査すればわかる
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
目的地不明
実習で得た感性を消す?OSCE
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じっくり話を聞くには時間がかかる
開かれた質問は 相手を受け入れること
患者さんの言葉をくりかえして確認
話が苦手でも誠実な態度で信頼得られる
⇒ 5分間 項目別得点 情報量で計測
緊張が伝わり、打ち解けず 信頼されず
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
現在の医療面接教育の問題点
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患者医療者の信頼関係構築が目的では?
「問診」の看板を変えただけなのか?
初めてのコミュニケーション教育?
練習抜きの いきなり試験でいいのか?
今現在の医療の実態に合わせるのか?
患者中心の医療は意識されていない?
⇒ SPは質問に答える人形か?
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
医療面接教育 今始めること
共用試験OSCE で 試験先行
⇒ 実習を何度も経験 ⇒自己評価⇒改善
態度・コミュニケーション技法 と医学知識の二兎
⇒ 初学年に基本的コミュニケーション教育
⇒ 学年ごとに専門性との両立
⇒ 学生の個別性を認める ⇒学習者中心
⇒ 患者さんの個別性を考えられる ⇒患者中心
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
共用試験OSCE医療面接課題を
担当した模擬患者の感想と要望
東京SP研究会 代表 佐伯晴子 2004
東京SP研究会25名の
模擬患者は2003年12月
から2004年7月までに
20大学での共用試験OSCE
に協力した。
使用課題は機構作成の
2,3,8,9番である。
東京SP研究会では
実習やOSCEなどで
患者役を担当したSP
は報告書を作成する。
今回は、SPの了解が
得られた報告書の一
部を紹介する。
医療面接課題の問題点
精密な内容検討が行なわれていないため、
シナリオと評価表と評価マニュアルの不一致、
人物像としての矛盾が見られた。 しかし、
「データ集積のため同条件で実施する」こと
が条件付けられ、必要な修正ができない。
SPは準備の段階から疑問点や矛盾を抱えて
いたが、解決の見込みもないことに落胆した。
今後の課題と要望
医療面接は模擬患者の協力なくしては実施
できない。しかし、模擬患者に対する信頼が
共用試験では感じられない。課題を預るには
同意書が求められるが、課題内容に関する
質問を直接する道は閉ざされていた。
模擬患者が疑問や矛盾に戸惑いながら演技
をすることのないよう、一考をお願いしたい。
医療者本位で模擬患者を「使う」
限りは、
医療に信頼は取り戻せない
2005
東京SP研究会 代表
佐伯晴子
東京SP研究会 佐伯晴子 2005
47
東京SP研究会は今、多忙
共用試験の本格実施
 いまどきの若者
 機能評価
 患者中心の医療
 OSCE評価の前に実習を
・ SP養成が急務
・ 医学に追いつけ追い越せ 歯・薬・看

いいことではあるのですが
東京SP研究会 佐伯晴子 2005
48
10年経っても変わらない
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生きた教材として奉仕する (誰のため?)
患者が勉強する
本物の患者を傷つけない (SPはいいのか?)
患者の権利意識が高まって使えない
役者は値段が高いから
SPさんを使う
交通費要りますか? (東京から片道6時間)
東京SP研究会 佐伯晴子 2005
49
さらに新しい現象
「試験のときにも必要ですか?」
「敬語は使わないといけないんですか?」
「痛い検査ですが、ご自分のことですから
がまんしてください」
東京SP研究会 佐伯晴子 2005
50
SPは片目をつぶっている
何年たっても変わらない大学
何度OSCEをしても、蓄積されないノウハウ
教員どうしのコミュニケーション不足
OSCEの点が悪くても再教育しない
誰にでも「よくできてるよ、合格だ」
教員の服装・態度・言動がどうも・・・
東京SP研究会 佐伯晴子 2005
51
一番問題なのは


医療者の使命を伝えようとしていない
国民が求める医療と医療者のあり方を
念頭においていない
医学は個人の学問 個人の仕事?
社会の評価と信頼は置き去り?
東京SP研究会 佐伯晴子 2005
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医療者を育てる責任はどこに
「研修医として採用したくない学生」
育てたのは誰?
放置したのは誰?
その研修医に診られるのは誰?
医療の信頼回復は、医療者育成における
責任の自覚から始まる
東京SP研究会 佐伯晴子 2005
53
模擬患者は社会とのパイプ

医療は、患者と医療者の協働作業

医療者育成は、教育者の責任

「させる」姿勢では、協力は得られない

医療の信頼は、対話から始まる
東京SP研究会 佐伯晴子 2005
54
SPを「使う」論理と「使われる」倫理
SPの「用途」
まかり通る「モノ」扱い
弁護士の用途? サラリーマンの用途? 公務員の用途?
教師の用途? 僧侶の用途? 消費者の用途? 親の用途?
人として考えられていない模擬患者
医療者>職員>「患者様」>模擬患者
東京SP研究会 佐伯晴子 2009
55
3年前の状況から変化したか?
国家試験にOSCEを
 Advanced OSCE
 15分の中で医療面接→身体診察
 いつでも簡単に安価で(できれば無料)
「安いところが見つかったので、バイバイ」
 新卒は現場で患者さんを傷つけるので
 イメージできないので一度は練習を

東京SP研究会 佐伯晴子 2009年
56
SPは倫理適応除外の現実に直面2008




医療面接OSCEのVTRを利用し、学生のコ
ミュニケーション傾向をさぐる研究において
学生には「説明と同意」のプロセスがあり
(不同意者1名)、自由意思が尊重された。
SPは「説明と同意」を求める対象と想定さ
れておらず、研究計画にもなく、そのまま
倫理委員会もパスし研究し論文を発表。
当会の疑義指摘に「盲点でした」と謝罪。
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
倫理委員会の構成と参加者の権利保護
臨床研究に関する倫理指針では倫理審査委員会
は「医学・医療の専門家、法律学の専門家等人文社
会科学の有識者および一般の立場を代表する者か
ら構成され、外部委員を含まなければならない。また、
男女両性で構成されなければならない」と求めている。
実際に医学部や医療機関では被験者、患者、一般市
民の協力者と同じ目線で審査できる市民委員を必ず
しも配置しているとは言えない。
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
58
一般人の模擬患者が倫理委員になる
アカデミズムの論理(有識者)ではなく、
一般の生活者の視点をもつ市民委員が必要
現実には適任者が見当たらない・・・・
→医療や医学教育に対し一定の理解と認識をもつ
信頼できる人材=一般市民の医療面接模擬患者
厚生労働省研究班「臨床研究基盤整備の均てん化を目指した多目的教育プログラムと
普及システムの開発」の「倫理審査委員会等への市民参画モデル模索のための研究」の
倫理委員養成研修に当会模擬患者4名が参加。
倫理委員就任への意欲をもつに至った。1名は、国立がんセンター市民パネルに就任。
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
医療面接SPの特性を活かして信頼構築
2009 医学教育学会発表
資料読解と学習や審議参加のプロセスは医療面接模擬患者
のシナリオ読解と質疑のプロセスに似ている。
医学医療の論理や言語と一般生活者の感覚や価値観との違
いが浮き彫りにできる。
(違いを無視することが倫理的配慮の欠如につながる)
【結論】医療面接模擬患者は生活者としての良識をもち言葉に
対する感受性が鋭く、新規の文献を忍耐強く読み熟慮、吟
味し、個別の利害にとらわれず、医療者や学者とは異なる
疑問や意見を述べ対話ができ、情報は外に漏らさない。
ソトの人「SPさん」を倫理委員として迎える=地域社会と対話
著作 東京SP研究会 佐伯晴子
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資料1