高齢者をターゲットとした
消費財拡大ビジネスモデル
立教大学高岡ゼミナール B班
安西、石井、田口、中島、廣島
2
目次
• 研究目的
• 現状分析
– 不況と高齢社会
– シニアビジネス市場の拡大
• 既存研究のレビュー
– シニアの生活スタイルと消費停滞要因
– シニアの消費行動
•
•
•
•
仮説設定
検証
インプリケーション
考察
3
研究目的
今の不況期に打ち勝つ為の、
シニア世代をターゲットとした
非耐久消費財の購買促進を目的とする
アプローチ手法を研究する。
4
定義
非耐久
消費財
不況
シニア
• 使用回数が少なく、使用期間も短い有形製品。
• 原則として想定耐用年数が1年未満であり、
比較的購入価格が低い。
• 消費者態度指数の推移より
購買への態度が減少している状態とする。
• 60歳以上の男女。
• 介護を必要としない生活ができる健常高齢者を
対象とする。
5
現状分析-1
不況を示す要因と日本の高齢社会
6
消費者態度指数(一般世帯)
消費者の態度は減少傾向にあり、
消極的な消費が続く。
引用元:内閣府「平成20年度消費動向調査」
総人口に占める高齢者の人口推移(見込み)
7
• 平成2年から割合は上昇し、最近5年間で2割を占め、今年、過
去最高の高齢者22.7%を記録した。
• 平成28年に団塊の世代が加わり30%を超える。
総人口に占める割合
(%)
35
30
25
今後も高齢者が占める割合は大きくな
ると予想される
27.8
28.8
26
22.5
20
17.4
18.5
19
19.9
14.6
15
12.1
10
5
4.9
5.3
5.7
6.3
7.1
7.9
9.1
10.3
0
(年)
注)平成13年度及び14年は9月15日現在、他は10月1日現在
資料:平成12年までは「国勢調査」、平成13年及び14年は「推計人口」、平成17年度以降は国立
社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口-平成14年度1月推計」(中位推計)
8
世代別の貯蓄高と負債高(平成20年)
出所:総務省統計局「家計調査年報(貯蓄・負債編)平成20年-勤労者世帯の世帯主の年齢階級別の状況-」
年齢が高くなるにつれ、
負債が減り、貯蓄は増加する。
他年代よりも、
消費をするお金は持っている。
9
ターゲット設定の理由
他年代に比べ、
シニアは貯蓄が多く、
非耐久財の消費支出が高い
今後も、総人口に占める
シニアの割合は増加
シニアをターゲットにすることで、
消費支出の増加が期待される
シニアビジネス市場は127兆円規模に
達すると見込まれている
10
現状分析-2
シニアビジネスの拡大
11
シニアのニーズ
• 老化による顕在的な欲求
– 加齢による身体機能の低下を補う商品・サービス
– 健康を維持する商品・サービス
• 生きがいの追求
– 趣味、学習など精神的な豊かさをもたらす商品・
サービス
12
老化による顕在的な欲求に
対応するサービス例
• らくらくホン NTTdocomo
・シニア層をメインターゲットとし、使いやすさを配慮した機能性
・「しんせつ」「かんたん」「見やすい」「あんしん」をコンセプト
e.g.
・ワンタッチダイヤルボタン
・光ガイド
使いづらいという要素を無くし、 シニ
アが簡単に使うことが出来る
13
生きがいを追求するニーズに
対応するサービス例
• JTBや日本旅行は、シニア向けの旅行パッ
ケージを販売
• シニアにとっては、精神的な生きがいを享受
できるものとして旅行を選択している。
• シニアの旅行者数も
増加。
参考文献:社団法人日本旅行協会「消費者モニター
アンケート調査 『シニア世代と旅行』」
14
拡大しているシニア向け商品
食品
電化製品
住宅
特定保健用食品
電子血圧計
バリアフリー
ソフト食品
マッサージチェアー
シルバーマンション
家電製品
介護用品
アパレル
ホームエレベーター
補聴器
システムキッチン
大人用紙おむつ
趣味
旅行
シニア向け旅行ツアー
スポーツ
15
既存研究のレビュー
①シニアの生活変化と消費停滞要因
②シニアの消費意識
16
シニアの生活スタイルの
変化に関する既存研究のレビュー①
• 安田和紘
『シニアの消費停滞要因
についての一考察』
目白大学経営学研究 2003年3月
17
シニアの生活スタイルの
変化に関する既存研究のレビュー
1.シニアの消費行動と企業活動のギャップに対
応していないことが消費停滞要因。
2.シニアの老化による顕在的なニーズは満たさ
れている。
3.シニアの消費喚起の最大の課題は子供が独
立した後の生きがい探し。
4.その生きがいは「精神的な心の豊かさを満た
す」ものである。
18
既存研究から生じる疑問点
1. シニアの消費行動と企業活動のギャップに対応していな
いことが消費停滞要因。
2. シニアの消費喚起において最大の課題は、生きがい探し
であること
①シニアビジネスの市場は拡大している為、商品は多数
存在する。その中には生きがいの追求を可能にする商品
も含まれている。
②ほとんどのシニアは既に生きがいを持っている
すでにシニアの消費行動と企業活動の
ギャップに対応しているのでは?
19
生きがいを持っているシニア
出所:内閣府「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」より編者が作成
60歳以上の男女の82%が
生きがいを感じている
生きがいの追求に対応する
サービスの普及を示す
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総世帯及び高齢者世帯の
消費支出の内訳
総世帯(%)
うち高齢者世帯(%)
3.2
6.5
9.6
22.9
7.6
14.2
24.2
8.6
7.6
7.4
11.1
10.8
3.2
3.5
4.2
3.7
8.2
3.7
0.3
6
3.7 3.7
他年代と比べ、交際費が多い
出所:内閣府「平成19年度版家計調査-家計収支編」より編者が作成
食料
住居
光熱・水道費
家具・家事用品
被服及び履物
保健医療
教育
教育娯楽
諸雑費
交際費
その他
21
仮説設定①
• シニアの顕在的欲求と生きがいは満たされている。
• シニアは自分への支出に加えて、他者との交際費が他年代
に比べて多い。
• シニアは他の人や集団と関わりを持つことで、社会的役割を
獲得することに積極的である。※1
仮説①:
高齢者の購買を促進させるには、
非耐久消費財へのギフトという概念の付随が有効である。
※1 参照:中島聡、2007年『シニアビジネスの本音がわかる本』幻冬舎
22
シニアの消費意識に関する
既存研究のレビュー②
• 山崎伸治
『シニア市場の現状と
今後の展望』
株式会社シニアコミュニケーション 2003年
23
シニア層の7つの消費意識
時間消費の
意識
横型
コミュニティ
意識
循環型人生
の意識
安心志向の
意識
本物志向の
縁重視志向
の意識
意識
人生逆算の
意識
シニアの消費意識は以上の7つにまとめられる。
24
本物志向の意識
• シニア層は長い人生経験の中で消費に関しても
豊富な経験を持っている。
• 消費に際し商品・サービスの品質等や本質的な
良さを持つ物を求め、それを見出すことのできる
熟練消費者である。
<本物志向の意識の例>
・広告宣伝に対して「本当にそうだろうか」とまず
疑ってみる
・自分の価値基準による評価を行う
・小手先の機能でなく本質な価値基準を求める
25
既存研究から生じる疑問点
1. シニアは経験を通して自分の価値基準による評価を行う。
2. シニアは広告、宣伝に対して懐疑的な傾向を持つ。
①どの場合でも、自分の価値基準による評価が行われるかは明
示されていない。
②信頼できる情報媒体(e.g.新聞やテレビ)に記載されている広告
媒体にも懐疑的であるとは研究されていない。
ギフトなど他者に向けて商品を購買する場合において、
自分の経験は購買評価の参考にならないのではないか?
26
仮説設定②
自分に向けての購買
自分のニーズを満足させるため、
どんなプロモーションを投げかけられても
自分の経験で購買をするので、影響を受けない
他人に向けての購買
相手に喜ばれるためのニーズを満たすため、
相手の評価基準が重要であり、自分の経験は参考にならない。
仮説②:
シニアがギフトを購買する時、
相手の好みがわからないことがリスクとなり
自分の経験は評価の基準とならない。
27
仮説
仮説①:
高齢者の購買を促進させるには、
非耐久消費財にギフトとしての価値の付随が有効である。
仮説②:
シニアがギフトを購買する時、
相手の好みがわからないことがリスクとなり
自分の経験は評価の基準とならない。
この仮説が検証された時、ギフトの購買促進で
新たな評価基準の提供をするインプリケーションにリンクする。
28
仮説検証
29
アンケート概要
•
•
•
•
•
調査対象:健常な高齢者(60歳以上)
調査場所:神奈川県、東京都の商店街、区民センター等
調査目的:現代のシニアのギフトニーズの実態を探る
調査人数(サンプル):212名(男:85名、女:127名)
調査対象の年齢層:
13
34
60-65歳
106
66-70歳
71-75歳
59
単位:名
76歳以上
30
仮説①検証
高齢者の購買を促進させるには、
非耐久消費財にギフトとしての価値の付随が有効である。
シニアがギフトを贈る意欲があるのか?
シニアがギフトを贈る理由が何か?
シニアはすでにギフトを贈っているのか?
肯定的な回答…
シニアがギフトに対して寛容的であり、ギフトとして
の価値を提供することが容易である。
ギフトに対する
シニアの意識、行動
否定的な回答…
シニアがギフトに対して消極的であり、ギフトとして
の価値を提供することが難易である。
31
アンケート結果
Q1.あなたは他者へ贈り物をしたいと思いますか?
180
157
160
140
120
100
80
60
40
28
20
17
0
積極的にしたい
あまりしたくない
「機会があればしたい」という回答が多い。
シニアは贈りものに対して、きっかけがあれば積極的になりうる。
11
32
アンケート結果
Q 2.あなたが贈り物をするのはどのような理由からですか?
2
36
51
相手の喜ぶ顔が見たいから
なにかきっかけが出来たから
習慣的な理由から
儀礼的な理由から
49
59
その他
ギフトをする理由として、
①相手の喜ぶ顔が見たい
②きっかけができたから(習慣的等も含め)
以上が挙げられる。
33
アンケート結果
Q3.あなたはどのくらいの頻度で贈り物をしますか?
120
98
100
74
80
60
40
23
20
13
0
日常的に贈る
イベントがあると贈る
結果として
「きっかけ」、「イベント」などが多く挙げられる。
頻度としては、イベント等でなければ贈らない傾向がある。
34
仮説①検証結果
• 高齢者はギフトを贈る意欲は持っている
• 贈る理由は、「相手の喜ぶ顔を見る」という他人への思い、
きっかけがある場合
• しかし、頻度はあまり高くないので、本研究の提案を通し、頻
度を高める必要がある。
高齢者の購買を促進させるには、
非耐久消費財にギフトとしての価値の付随が有効であるが、
頻度の向上を前提とする。
35
仮説②検証
シニアがギフトを購買する時、
相手の好みがわからないことがリスクとなり、
自分の経験は評価の基準とならない。
シニアがギフトを贈る際に困った点は何か?
シニアがギフトを贈る際に重視する点は何か?
ギフトを贈らないシニアは何故ギフトを贈らないのか?
ギフトに対する
シニアの意識、行動
この3点の質問において、
①相手の好みがわからないことが挙がっている
②金銭的、品質的理由が相手の好みを下回ってい
る
以上が特徴としてあげられることが検証の要素
36
アンケート結果
Q あなたは相手に何を贈るか迷ったことはありますか?
相手の好みがわから
ず困った
57
流行がわからず困っ
た
114
17
15
予算をいくらにするか
困った
特に困ったことはない
37
アンケート結果
Q あなたがプレゼントを贈る際に最も気にすることは何ですか?
19
相手の好みのものを贈る
自分のほしいものを贈る
品質の良いものを贈る
流行のものを贈る
51
117
4
38
アンケート結果
Q 贈り物をしない理由はどのようなものですか?
16%
相手の好みが分からな
い
金銭的に余裕がない
13%
時間的余裕がない
55%
相手が望んでいなかった
16%
※自由記入回答による形式。
回答をグループ分けしたものを掲載。
39
仮説②検証結果
• また、リスクの要因もギフトを贈る際に相手の好みがわから
ないことが挙げられる。
• ギフトを贈らない理由として、金銭的理由を上回り相手の好
みが要因となっている。
シニアがギフトを購買する時、
相手の好みがわからないことがリスクとなり、
自分の経験は評価の基準とならない。
40
仮説
仮説①:
高齢者の購買を促進させるには、
非耐久消費財にギフトとしての価値の付随が有効である。
仮説②:
シニアがギフトを購買する時、
相手の好みがわからないことがリスクとなり
自分の経験は評価の基準とならない。
41
インプリケーション
42
ギフトニーズを高める
プロモーション戦略
新聞による一週間完結ギフトストーリー
シニアが高い頻度で購読する新聞に、1週間完結のストーリーを掲載。
レコメンド機能への誘導
インターネットや店頭で相手の好みがわかるシステムを掲載し、
ギフトの購買での新たな判断基準を提案。
43
新聞による
一週間完結ギフトストーリー
①一週間の朝刊に、シニアがギフトを贈りたくな
るような小説形式の広告を掲載。
②毎回、レコメンド機能の紹介を行う。
③この広告の掲載は、ギフトに関連するイベン
ト毎(クリスマス、お歳暮などの時期)に行う。
44
シニアの新聞閲覧頻度
新聞の閲覧頻度(年代別)
60歳以上
50代
40代
30代
20代
16~19歳
0%
10%
20%
よく読む
30%
40%
時々読む
50%
60%
余り読まない
70%
80%
全く読まない
90%
100%
45
新聞の一日の閲覧時間
46
ストーリー例
月曜日
娘が上京してからもう3年。
会う機会も減ったなぁ。
火曜日
そういえば、久しく私は娘に
感謝の気持ちを伝えていな
いなぁ。
47
ストーリー例
ギフト贈りたいな。けど、い
ろいろありすぎて何贈ったら
いいんだろう?
百貨店に行ってみた。する
と、相手の好みがわかるシ
ステム(レコメンド機能)に気
付く。
水曜日
木曜日
48
ストーリー例
• 金曜日→どうやらそれは、自宅でネットを使っ
てもできるみたいだ。しかも評価制度もあるか
ら安心だ。
• 土曜日→実際に買ってみた。意外とおもしろ
いかも。
• 日曜日→買ってから1週間後、娘の笑顔の写
真が届いた。また、贈り物するか!
49
レコメンド機能
ギフトの予算や名目、相手の性別などの情報を入力すると
条件に適合する商品を、提示してくれるシステム
レコメンド機能の設置場所
メーカーや小売の信頼性を
高める為に、
評価制度を取り入れる。
ギフトを贈られた人
が評価する
店頭と自宅
50
レコメンド機能
4条件に一致した商品が表示される
3贈答品を贈る対象についての情報を入力
STEP1>STEP2>検索結果
•性別
2贈答品に関する情報を入力する
•居住地域
•商品カテゴリ
1店頭のレコメンド機能がついた
•用途
パソコンのもとへ行く
STEP1
STEP1>STEP2
STEP2 贈り相手に関する情報を入力します
【Q】性別をお選び下さい
男性
女性
STEP1 贈り物に関する情報を入力します
【Q】贈り物のカテゴリをお選びください
【Q】お住まいの地域をお選びください
フード・飲料
オフィス・文具
スポーツ
アウトドア
-------__
_________
_ ファッション
【Q】関係をお選び下さい
友達
キッチン・雑貨
コスメ
工具・ガーデン
おもちゃ・ホビー
【Q】贈り物の種類をお選びください
お歳暮
記念日
お見舞い
誕生日
シーズンイベント
親戚
出産祝い
結婚祝い
孫
取引先
近所
51
店頭に設置
Q 商品の情報をどの媒体から得ますか?
160
140
120
100
80
60
40
20
0
138
129
108
89
49
42
49
21
シニアは新聞・テレビなどのマスメディアに続いて店頭から商品の情報を得ている
店頭にレコメンド機能を設置するのは有効だと言える
52
自宅で利用
シニア世代のインターネット利用率は年代が下がるほど増加する。
将来的にインターネットでのレコメンド機能が有効である。
総務省「2008(平成20)年『通信利用動向調査報告書世帯編』
53
インプリケーションから得られる
メリット
消費者
(シニア)
メーカー
百貨店
ネットショップ
54
インプリケーションから得られる
メリット
<メーカー>
• 顧客のギフトに関するデータが得られる
• 評価制度による信頼性の向上
• ギフトに適する商品考案のリスク軽減
• 販売機会が増える
<小売店>
• 顧客の贈り物に関するデータが得られる
• シニアとメーカーからのニーズ向上
• 評価制度による信頼性の増加
55
考察
56
考察
高齢者の購買を促進させるには、
非耐久消費財にギフトとしての価値の付随が有効である。
シニアがギフトを購買する時、相手の好みがわからないことがリスクとなり、
自分の経験は評価の基準とならない。
新聞によるストーリー広告と、レコメンド機能を通して、
シニアにギフトとしての概念を付加、さらにリスクの軽減をもたらす。
長期的な視点をとれば、シニアのインターネットの利用率は更に高まり、
今後インプリケーションのアプローチの汎用性が期待出来る。
57
参考文献
・内閣府 「平成20年度消費動向調査」
・内閣府「高齢社会白書平成18年度版」
・国立社会保障・人口問題研究所『平成18年度日本の将来推計人口』
・
・総務省統計局「家計調査年報(貯蓄・負債編)平成20年-勤労者世帯の世帯主の
年齢階級別の状況-」
・『シニアの消費停滞要因についての一考察』安田和紘
目白大学経営学研究 2003年3月
・『シニア市場の現状と今後の展望』山崎 伸治
2003年 株式会社シニアコミュニケーション
・総務省「全国消費実態調査」(2004年)
・ビデオリサーチMCR 2007
・中島聡、2007年『シニアビジネスの本音がわかる本』幻冬舎
・情報列車、2007年『シニアビジネスの業界が分かる』技術評論社
・社団法人日本旅行協会、2001年「消費者モニターアンケート調査 『シニア世代と
旅行』」
Thank you for Listening…
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発表資料