LATEX による数式の出力について
K. Kiyosi
平成5年8月
1
はじめに
教育実習生の K.K. 君が話していた LATEX1 が気になっていた.以前は本校でも TEX を使
用していたが,いつのまにかだれも使わなくなってしまった.
理科系の学生や技術者にとって数式の多く出てくる論文や,報告書の作成になくてはなら
ないものとして LATEX があげられる.TEX そのものを直接扱うのは面倒であるが,それを比
較的簡単に扱えるようにしたのが,LATEX である.もちろん,ワードプロッセサーも十分役
にたち,ある分野によってはワードプロッセサーのほうがすぐれている点もあるが,数式の
美しさ,マクロ機能,自動化などを考えた場合,やはり,LATEX を使うべきである.テキス
トエディターで文章とコマンドを入力するだけでよく,組版のデザインなど何も考えないで
内容に集中できる点ですぐれている.参考文献などもずいぶん増えてきたような気がする.
ここでは,簡単な数式の出力について考えてみた.数式を出力するには,math 環境を使
用する.math 環境が指定されると,その中は数式モードになる.数式モードにはテキスト
用数式モード(文中数式モード)と,ディスプレイ用数式モード(別組数式モード)の 2 種
類がある.テキストの中で数式を出力させるには\(, と\) または,$と$とで囲めばよい.ま
た,ディスプレイの中では,\[,と \] とで囲めばよい.
本稿は,日本語化された TEX システムで LATEX を用いて作成した.使用したプリンター
は,アップル Color StyleWriter 2500 ,解像度 360, モードは bjtenex である.
1L
AT
EX は L.Lamport 氏が TEX を使いやすくしたものである.
1
1
基本的な数式の出力
1. 肩文字と添字
an xn + an−1 xn−1 + · · · + a1 x + a0 = 0
2. 分数
z=
3. 平方根
√
xy
x+y
(2)
√
n
x+y
(1)
a
(3)
4. 絶対値
|x + y|
(4)
Ax = λx
(5)
5. ベクトル表示
6. 数列の和
ex =
∞
X
1
x2
x3
=1+x+
+
+ ···
n!
2
6
n=0
(6)
肩付文字 ex(i) と ey(i) の違いに注意 [1](p54)
7. 微分
y = x2 + 3x − 5 ⇒
8. 積分
dy
= 2x + 3
dx
Z
(2x + 3)dx = x2 + 3x + c
9. 負の空白
¯2
∞Z ¯√
X
¯ n+1 n
¯
¯
¯
¯ π z − fn (z)¯ dx dy < 1
n=1
|z|<1
10. 記号の積み重ね
→
−→
オーバーライン x + y ベクトル A または,PQ
何回も使うときは,\newcommand コマンドを使うと良い.
(注意) 肩文字,添字,ギリシャ文字は数式モードでのみ使用可.
2
(7)
算術関数
対数関数や三角関数などは関数を示す部分だけ Roman 体で出力する.
1. 三角関数 次はディスプレイ用モードである.
sin(α + β) = sin α cos β + cos α sin β
2
(8)
(9)
2. 対数関数 log xy = log x + log y はテキスト用モードである.
3. 剰余 gcd(m, n) = a mod b と x ≡ y
3
配列,行列や場合分けなど
1. 行列



2. 行列式
3. 場合分け
4
(mod a + b) の違いに注意.
a + bc
a
u+v
3u + vw
¯
¯ a11
¯
¯
¯ a21
A = ¯¯ .
¯ ..
¯
¯ a
n1

x−y
a + b + c uv
···
···
..
.
a12
a22
..
.
an2
···

z 
xyz
a1n
a2n
..
.
ann

n
n
 a(1 − r ) = a(r − 1)
sn =
1−r
r−1
 na
¯
¯
¯
¯
¯
¯
¯
¯
¯
¯
r 6= 1
r=1
解答を記入する四角などの作成
1. 次の四角に適当な式を記入せよ.
二次方程式の解の公式は である.
2. 解答欄
5
便利なコマンド
既に出てきている数式であるが,他のコマンドを用いて数式を作る.
1. ベクトル表示\choose
(
x
y+2
2. 行列の表示\matrix

x−λ

A= 0
0
3
)
1
x−λ
0
1
0
x−λ



(10)
(11)
(12)
3. 場合分け\cases
½
|x| =
6
x
x ≥ 0 の場合
−x それ以外
少し複雑な数式
1. 式の分割 [1](p50)
x+y+z =
a+b+c+d+e+f
+g + h + i + j + k + l
2. 微分と差分
(
3. 素数公式
π(x) =
d2 f
∆2 yi
yi+2 − 2yi+1 + yi
)i =
=
2
dx
(∆x)2
(∆x)2
Z ∞
∞
X
X
ρ
1
dt
µ(m)
(Li(x m ) −
Li(x m ) + 1 2
− log 2)
m
(t
−
1)t log t
m
x
ρ
m=1
(13)
(14)
(15)
4. 可換な図式 [4](p125)
7
α
x1

φy
−−−−→ xx2
ψ

x3
←−−−− x4
(16)
β
MATHEMATICA を使って
次の例は MATHEMATICA の出力を TeXForm のコマンドを使って変換した.具体的に
は,等式の左辺を MATHMATICA で計算し,その結果を TeXForm[%] で変換して,それを
LATEX の入力ファイルにコピーした.特に,4. 逆行列 は MATHMATICA の書式そのまま
である. TeXForm[%] で変換したものを MATHEMATICA から直接コピーしただけでは,
残念だけどエラーになってしまう.若干,手を加えなければだめである.理由はよく分から
ない.
1. 数式
x5
+ y 3 − log(y)
7
2. 定積分
Z
b
xdx =
a
3. 二乗和
n
X
k2 =
k=1
4. 逆行列
Ã
1
2
3
4
−a2
b2
+
2
2
n (1 + n) (1 + 2 n)
6
!−1
3 1
= {{−2, 1}, { , − }}
2 2
4
8
相互参照
数式番号や文献の参照については次の例と LATEX データを参考にすること.
例 分数の表記は (2),平方の表記は (3) を参考にすること.
参考文献 [1] 日本語訳がアスキー出版からでている.
参考文献 [2] エラーメッセージの指示にこの本を参考にせよとよく出てくる.
参考文献 [3] 最近みつけた本で大変分かりやすく書いてある.
参考文献 [4] 第二版がでたようである.ここにあげたのは初版である.
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今後の課題
1. LATEX の苦手な分野である,作図の問題について考えていきたい.一つの方法として
MATHMATICA で作成した図形を取り込むこと [3].残念だけどいまの知識では無理.
2. LATEX 2² に移行すること.アメリカやヨーロッパではこの方が主流になってきている
らしい.ここで用いたのは LATEX 2.09 である残念.
3. LATEX システムが使用可能な状態にあること.すなわち、LATEX がインストールされ
ているコンピュータが身近にあってほしい.
参考文献
[1] L.Lamport.LATEX: A Document Preparetion System,2nd ed. Addison-Wesley
[2] M.Goossens. etal. The LATEX Companion Addison-Wesley
[3] 中野 賢 日本語 LATEX2² ブック アスキー出版局
[4] 野寺 隆志 楽々LATEX 共立出版
最後に,次の図は MATHEMATICA によるサインカーブである.Edit メニューから Save
Selection As... を選ぶ.選択肢から,EPS を選びファイル名を入力する.
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ダウンロード

数 式