学院へ入学された皆さん、おめでと
うございます。そして在学生の皆さ
滝戸 俊夫
んはそれぞれが進級されましたこ
たき ど
と、おめでとうございます。新入生
の皆さんは、入学された学科や専攻
とし お
の教育目標や特色をよく理解した上
で、大いに勉強に励んでいただきた
「出会い」考
理工学部長
物質応用化学科教授
理工学部、短期大学部、さらに大
いろな人と交際することが大切であ
る、ということです。つまりこの第
17編は、人と出会い、人と付き合う
心得と解釈できます。
これは大学に入学し、多くの仲間
と出会い、共に大学生活を過ごして
いく皆さんにも大いに当てはまるこ
となのです。
いと願っています。
大学で学ぶ上で人との出会いは重
ところで皆さんは、
「天は人の上
要な意味を持ちます。それは他者か
に人を造らず、人の下に人を造らず」
ら学習上の刺激を受けたり、他者と
で始まる、明治初期のベストセラー
議論することで人間性を向上させた
『学問のすゝめ』を知っていると思
りすることができるからです。その
います。この本のあらましは、学問
ためには、自分が入学した学科だけ
の有無が人生に与える影響を説いて
でなく、学部を通して先輩、後輩、
いるもので、当時の日本国民の行く
卒業生などの異学年・異世代と積極
べき道を指し示したものですが、現
的にコミュニケーションを図ること
在でも大いに学ぶべきところがあり
です。そして、考えの異なる人や、
ます。その第17編は「人望論」と題
話の合わない人とも一緒に物事に取
し、多くの人々から尊敬、信頼を得るための心得とし
り組む経験をすることが大事です。コミュニケーショ
て、第一「言語を学ばざるべからず」
、第二「顔色容
ンを取ることで多様な考えを持った他者の存在に気づ
いと
貌を快くして、一見、直に人に厭わるゝこと無きを要
あい とも
はか
き、相手の考え方の良いところを取り入れることによ
す」
、第三「道同じからざれば相与に謀らずと。世人
って、自分の考えを深め、発展させることで、人間と
又この教を誤解して、……」と記されています。
しての幅も広がります。
それぞれを分かりやすくいうと、第一は「言葉を勉
世の中は皆さんにとって「ウマの合う」人ばかりで
強しなければならない」であり、身近にいる人に自分
はありません。社会人になったとき、
大事なことは「仕
が思ったことを伝えるには、難解な言葉でなく、で
事ができること」だけでなく、その人たちと共存し
きるだけ分かりやすい日本語を用いて、分かりやすく
て「うまくやれること」も重要になります。理工学部
表現することを学ばなければならない、ということで
には多くの学科があり、多様な価値観が存在しますか
す。第二は「表情や見た目を快くして、人に嫌な感じ
ら、在学中はさまざまな人と出会い、コミュニケーシ
を与えないようにすること」であり、苦虫をかみつぶ
ョンを取る絶好のチャンスととらえてください。授業
したような顔をしていたのでは人は寄ってこないの
を受けるためだけに大学とわが家を往復するのは少し
で、人付き合いの上で最も大切なことは表情や見た目
もったいないと思いませんか。ぜひ、大学で良い出会
が快活で愉快なことである、ということです。第三
いを体験してください。文末になりますが、相田みつ
は「
(
『論語』には)道が異なる者とは互いに相談がで
を氏の詩をひとつ紹介します。
きないとあるが、世の人は解釈を誤解している……」
「ひとの世の幸不幸は 人と人とが逢うことからは
であって、人と交際するには、自分の専門だけに閉じ
じまる よき出逢いを」
こもることなく、旧友との付き合いに加えて、さらに
新しい友を求めさまざまな方法で交際を広げて、いろ
特集:大学で出会う モノ、ひと、コト
参考『現代語訳 学問のすすめ』
(福沢諭吉・著 齋藤孝・訳/筑摩書房)
Circular 理工サーキュラー
3
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「 出 会 い 」 考