平成 27 年(2015 年)6 月 30 日
膠着状態の原油価格を動かす今後の材料
原油価格(WTI 期近物)は 3 月 17 日に 1 バレル 43.46 ドルと 6 年振りの安値をつ
けた後、中東地域での地政学リスクの高まりや米エネルギー情報局(EIA)による米
国のシェールオイル生産減少見通し、米国の原油在庫減少等を受けて上昇傾向をたど
り、5 月 5 日に同 60.4 ドルに上昇した(第 1 図)。その後は同 60 ドル挟みで推移し
ている。
5 月以降、原油価格を大きく押し上げる材料が少ないため、膠着状態が続いている。
6 月 9 日発表の EIA の「Drilling Productivity Report」では、7 月の米シェールオイル生
産量は 3 ヵ月連続で減少する見通しが示されたが、想定内の内容であり、原油価格を
大きく上昇させるほどではなかった。また、原油生産量の増加と製油所の保守点検を
背景に過去最高水準に積み上がっていた米国の原油在庫は 5 月以降減少に転じている
が(第 2 図)、夏場の需要期であるドライブ・シーズン(5 月末~9 月初)中の動き
と捉えられており、在庫水準は依然高い。
イランと欧米など主要 6 ヵ国の核協議については、最終合意期限は 6 月 30 日だっ
たが、7 月 7 日に延長されることとなった。仮に合意した場合は経済制裁が解除され
る。解除とイランの原油輸出再開には時間を要する見込みだが、世界的な供給拡大に
つながることとして既に市場で織り込まれ、原油価格の下押し要因となっている。
目先は、供給側の動きに大きな変化はないとみられ、需要側の材料や為替要因が原
油価格に影響を与える展開となろう。7 月 15 日発表予定の中国 4-6 月期 GDP 統計で
中国の景気減速感があらためて意識されれば、原油価格は軟化しよう。また、ギリシ
ャ問題や米国利上げ観測を背景に、基調としてユーロ安・米ドル高が続くとみられる。
ドル建てで取引される原油は、ドル高になると他通貨からみた割高感により売りが膨
らみやすい。こうした為替要因に原油価格が左右される局面も想定される。
第1図:原油価格(WTI期近物)の推移
120
500
(ドル/バレル)
(百万バレル)
第2図:米国の原油在庫の推移
480
110
2015年
460
100
440
90
420
80
70
380
60
360
50
340
40
320
30
2014/1
2013年
400
2014年
2014/7
2015/1
(年/月)
300
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
(資料)米エネルギー情報局資料より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
(資料)Bloombergより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
1
(月)
照会先:三菱東京 UFJ 銀行 経済調査室
竹島 慎吾 shingo_takeshima@mufg.jp
篠原 令子 reiko_shinohara@mufg.jp
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