細菌の位置づけと種類
*微生物の定義と分類
*微生物の違い
*微生物の狩人たち
*微生物の大きさ
微生物の定義
肉眼でみることのできないほど小さな生き物
●ウイルス
●リケッチア/クラミジア
●マイコプラズマ
●細
菌
●真
菌
●原
虫
微生物の狩人たち
● Leeuwenhoek
1632~1723
初めて細菌を観察した
● Pasteur
1822~1895
微生物の自然発生説を否定した
● Koch
1843~1910
病原菌特定のためのコッホの条件
純培養法の確立
● Lister
1827~1912
● Jenner
1749~1823
免疫現象をヒトで証明
● Fleming
1881~1955
抗生物質の発見
● Miller
1853~1907
う蝕の病因の確立
消毒の概念
P8
PasteurとKoch
●Pasteur;細菌は有用である
プロバイオティクス
●Koch;病原菌と感染症との関連
Kochの条件
特定の感染症の原因微生物を特定するため
に満たさねばならない条件
1 病巣部に外来性の特色ある微生物が証明されること
2 その菌は分離して純培養されること
3 純培養された菌を健康な動物個体に入れたとき新たに
元と同じ病気を起こすこと
4 感染させた動物から再び同じ菌が分離されること
歯垢内に存在する細菌を特定
するための手技
歯
培
垢
培地;必要な栄養分と
水分を含む
地
分離培養
コロニー;細菌の集団
純培養
コロニー(細菌の集団)の例
微生物の大きさ
●1mm=1000μm=103μm
●1μm=103nm
●1nm=10A
○
細菌の大きさ
細菌の大きさが1 μm・・
1 μmは1 mmの千分の1
→1 kmに対する1 mの比と同じ
つまり、1 μmの細菌にとっての
1 mmは身長1 mの子供にとって
の1 km と同じ!
微生物の世界
原核生物
真正細菌
微生物
古細菌
真核生物
非細胞性
ウイルス
真
菌
原
虫
DNAウイルス
RNAウイルス
p13
グラム陰性菌
グラム陽性菌
スピロヘータ
リケッチア
クラミジア
マイコプラズマ
シアノバクテリア
細菌の分類と同定
病原体をつきとめることが細菌
(微生物)学の出発点だった。
●病気の患部(病巣部)から原因らしき微生物を分離
●形態や配列などの見かけの特徴を確認し、性状を調べ、
どの微生物種に属するかを決定
同定 ;Identification
種の概念と記載法
genus(属)species
(種)
Streptococcus
mutans
2度目からはS. mutans
細菌の分類法
細菌の分類法;古典的
● 表現形質による分類法
コロニー形態、グラム染色性、代謝様式
●細菌細胞の構成成分による分類
ペプチドグリカンの組成など
細菌の分類法;最新の方法
● 遺伝子レベルでの分類
PCR法、DNAの塩基組成比、DNA-DNAハイブリダイゼーション
DNA,RNAの塩基配列の決定
グラム染色
塗抹→乾燥→固定
↓
クリスタル紫
↓
グラム陽性菌
ルゴール液
↓
エタノール
↓
サフラニン液
グラム陰性菌
球菌の配列;ブドウ球菌
2 分裂
球菌の配列;レンサ球菌
2 分裂
球菌の電子顕微鏡写真
桿菌の配列;乳酸桿菌
2 分裂
桿菌の配列;ビフィズス菌
分枝型分裂
桿菌の電子顕微鏡写真
細菌の構造
*細胞壁
*ペプチドグリカン
*LPS
*莢 膜
*線毛と鞭毛
*芽 胞
細胞壁;cell wall
微生物で細胞壁を持つのは
細菌と真菌のみである。
●グラム陽性菌と陰性菌は細胞壁の構造
に差がある;グラム染色での染め分け
●共通点はペプチドグリカンを持つこ
と;ペプチドグリカンが基本構造
グラム陽性菌と陰性菌の細胞
壁の化学的組成の比較
主要構成成分
グラム陽性菌
グラム陰性菌
ペプチドグリカン
厚い
薄い
タイコ酸
ある
ない
リポ多糖体
ない
ある
リポタンパク
リン脂質
まれにある
ない
ある
ある
細胞壁
P31
ペプチドグリカン
CH 2 OH
O
CH 2 OH
O
H
O
OH
H
H
NHAc
H
O
O
CH 3 -C-H
Nーアセチル
グルコサミン
O
C=O
H
H
NHAc
Nーアセチル
ムラミン酸
L-alanine
D-glutamine
L-diaminopimeric acid; DAP
D-alanine
リポ多糖体(LPS)
P31
リポ多糖体/LPSの
内毒素活性
1
2
3
4
5
6
7
8
発熱因子
シュワルツマン反応
血管の傷害・血圧低下
免疫担当細胞であるB細胞の活性化
炎症/免疫担当細胞であるマクロファージの活性化
補体の活性化=炎症の惹起
抗腫瘍作用
骨吸収作用;歯周病との関連
莢膜; capsule
P30
菌体を取り巻く粘液性物質;
多くは多糖体、まれにペプチド性
*薄いものを粘液層と呼ぶこともある
●親水性;食細胞の貪食作用に抵抗
●疎水性;付着因子として働く
例)肺炎球菌
例)ブドウ球菌
食細胞の貪食作用
細菌の取り込み
貪食空胞
核
殺 菌
*ライソゾーム
*活性化酸素
排 出
食細胞の貪食作用に
対する抵抗
細菌の取り込み
核
殺菌作用に抵抗
内部で増殖
無傷で外へ出て増殖
鞭
毛
線毛;fimbriae, pilli
P32
●付着に関係する線毛
生体に付着することから病原性と関連して
いる。
●DNA伝達に関係する線毛
細菌は原則として2分裂による無性生殖で
増殖するが、ある種の細菌では線毛を介した
接合と呼ばれる有性生殖をする。
病原性
●微生物が病気(感染症)を起こす性
質
●通常、複数の病原因子により宿主に
感染症を起こす
●付着→侵入→食細胞に抵抗→組織破
壊に関わる酵素/毒素産生性
芽 胞
P34
ある種の細菌は芽胞と呼ばれる構造物を作る;
クロストリジウム属;破傷風菌、ガス壊疽菌
バシラス属;枯草菌、納豆菌
細菌にとって都合の悪い状態;
●栄養がない
●水分がない
●消毒薬や抗菌薬がある
芽胞の特徴
●耐熱性で100℃の加熱でも死滅しない
●消毒薬/抗菌薬に強い
●乾燥に強い
染色されにくく、グラム染色
では白く抜けて見える
芽胞形成菌の生活環
軸状染色体出現
栄養細胞
芽
発
胞
前芽胞形成
芽
母細胞融解
芽胞殻形成
コルテックス形成
細菌の生理
*細菌の代謝
*呼吸と発酵の違い
*細菌の増殖に必要な条件
*細菌の増殖曲線
細菌の生理と生化学
P35
細菌だけでなく、全ての生物の生命現象は利用可能
な運動エネルギー(ATP)を蓄積し、これを利用する
ことの繰り返しで行われる。
●独立栄養菌;無機物質(H+, H2S, Fe2+, NH3+)を利用し
てATPをつくる。
●従属栄養菌;有機物質(糖、脂肪酸、アミノ酸)を
利用してATPをつくる。
ヒトや動物に関わる常在菌、病原菌
細菌が必要とする栄養素
●炭素化合物;糖、糖の中間代謝産物(乳酸、ピルビ
ン酸、マロン酸など
●窒素化合物;アミノ酸など
●無機塩類;Ca2+, Mg2+, Na+, Fe2+
●ビタミン;ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB6,ビタミ
ンK(メナジオン)、ビオチン、ヘミン、葉酸、ニコチ
ン酸アミド、ニコチン酸アミドヌクオレチド(NAD)
細菌の発育条件
1)酸素
●好気性
●通性嫌気性
●嫌気性
この他、微好気性、酸素耐性、CO2要求性
P36
細菌の発育条件
P37
2)pHと塩濃度
●pH;一般的に至適pHは中性から弱アルカリ性
( pH7.4付近)
ただし、乳酸桿菌;酸性
コレラ菌;ややアルカリ性
●塩濃度;通常は塩濃度は浸透圧を等張にするために加える。
例外的に腸炎ビブリオなど海水と同程度の塩濃度を好むもの
あるいはブドウ球菌や腸球菌のように塩濃度に耐性があるも
のも存在する。
細菌の発育条件
3)温度
至適温度は37℃付近
ただし、高温や低温で発育可能な細菌も存在する。
4)酸化還元電位
pH7の酸化還元電位を標準にして値が小さいほど酸素が
少ない状態。したがって、嫌気性菌は酸化還元電位が
低い状態を要求し、-200mV以下で増殖可能となる。
細菌の増殖
P38
必要な栄養源と発育に適した条件が整う
と細菌は発育/増殖する。
培地;人工的に増殖させるため、目的と
する細菌に必要な栄養源を全て含む。実
際の培養には、やはり目的とする細菌の
求める条件を見たさねばならない。
細菌の発育(増殖)曲線
濁度
菌
数
;
対
数
定常期
死滅期
生菌数
対数増殖期
誘導期
時間
*定常期の菌数;およそ109/ml
P39
世代時間
1個の細菌が2個になるのに要する時間
●発育の早い菌(大腸菌);15〜20分
●発育の遅い菌(結核菌); 24時間
細菌の代謝
P41
生物が生きるために行う化学反応
●生体成分の生合成の過程(同化=合成)
●エネルギーを調達する過程(異化=分解)
エネルギーの産生
酸化・還元反応によって作られ、作ら
れたエネルギーはアデノシン3リン酸
(ATP)として蓄えられる。
糖からのエネルギー産生の経路を例に
とると、
まず解糖系(エムデン・マイヤーホーフ
回路)でピルビン酸までつくられる。
この後・・・・
解糖系のあとひきつづき
●発酵;酸素のない嫌気的環境で酸化
する方法=放出された電子と水素に
よって有機物が還元される
P35
●呼吸;有機物の酸化によって放出さ
れた電子と水素は無機分子(多くは
酸素)に渡される
発
酵
P43
細菌によってバラエティに富んだ発酵
経路がある
●アルコール発酵
●乳酸発酵
●酢酸発酵
●コハク酸発酵 など
呼
吸
P45
呼吸には
●前半;TCA(クレブス、クエン酸)回路
●後半;電子伝達系
最終代謝産物は炭酸ガス(CO2)と水
発酵より呼吸の方が効率が良い
エネルギー産生効率は発酵より呼吸の
方が良い。
ブドウ糖1分子から作られるATP分子
呼吸;36分子
発酵;2分子
*通性嫌気性菌の中には状況に応じて
呼吸と発酵を使い分けることができ
るものがいる。
プレ/ポストテスト;4/11/12
正しいのはa、誤っているのはbにマークしてください。
1 微生物で細胞壁を持つのは細菌と真菌のみである。
2 細菌は細胞性の単細胞生物である。
3 ウイルスはRNAかDNAのいずれか片一方しか持たない。
4 真菌は原核生物である。
5 グラム陽性菌と陰性菌の細胞壁の構造は同じである。
6 グラム陽性菌はペプチドグリカンを持たない。
7 グラム陰性菌はリポ多糖体を持つ。
8 リポ多糖体はリピドA、コアオリゴ糖、O抗原多糖から成る。
9 リポ多糖体は補体を活性化する働きがある。
10 リポ多糖体は骨吸収する働きがある。
11 莢膜は病原性に関連する構造である。
12 鞭毛は細菌の付着器官である。
13 線毛には有性生殖に関連するものもある。
14 芽胞は細菌にとって都合の良い状況で形成される。
15 芽胞は100℃の加熱で死滅する。
16純培養とは未知の材料から細菌を分離することである。
通性嫌気性菌は酸素があると発育できない。
15細菌の増殖曲線は誘導期→対数期→定常期→死滅期の順である。
16 世代時間とは1個の細菌が2個になるのに要する時間である。
17 発育の早い細菌が1個から2個になるのにおよそ24時間かかる。
18 呼吸の最終代謝産物はアルコールである。
19 発酵より呼吸の方がエネルギ−産生効率が良い、
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