農
農村地域におけるスマートビレッジ構想策定とその課題
~「ひびきの」地区の事例をもとに~
若鈴コンサルタンツ株式会社
技術統括部長 伊藤 雄一
若鈴コンサルタンツ株式会社
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はじめに
○農村地域の現状
高齢化や担い手不足、耕作放棄地の増加による地域の活力低下
農村地域の活力低下による、食料の安定供給や農業・農村の持つ多面的機能の低下が懸念
○再生可能エネルギーへの期待
地球温暖化防止や東日本大震災後の再生
可能エネルギー導入への期待
○農村資源の活用
農地や農業用水をはじめとする地域資源
が豊富に存在している
農業水利施設などの地域のポテンシャルを最大限に活かした“再生可能エネルギー”を核
とした農村振興「スマートビレッジ構想」
「スマートビレッジ構想」の実現
スマートビレッジ構想のイメージ
(例)
小水力発電の拡大
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食料自給率向上
雇用機会の創出
農家所得の向上
太陽光発電基地
六次産業化
再生可能エネルギーの導入
地域資源の有効活用
(例)
農業用施設用地
植物工場や
施設園芸団地としての活用
耕作放棄地
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スマートビレッジとは
農山漁村において、スマートグリッド等の新たな導入により、再生可能性エネルギーを地域
単位で高度に生産・利用する取組
出典:「食」に関する将来ビジョン検討本部(第1回)資料
他省庁の場合
○国土交通省:「コンパクトシティ」として、地球環境問題やヒートアイランド減少等の環境問題に
対し、環境負荷の少ない集約型都市構造の形成、拠点的市街地を中心に都市環境施策を展開している。
○経済産業省:「スマートコミュニティ」として、神奈川県横浜市 、愛知県豊田市、京都府けいはん
な学研都市、福岡県北九州市を実証地域としている。
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「ひびきの」地域の概要
○「ひびきの」地域
埼玉県北部で実施されている国営神流川沿岸農業水利事業の受益地(約4,000ha)の
うち、本庄市、神川町、上里町、美里町を中心とした地域
○地域の特色
農地や農村資源(再生可能エネルギーの賦存量)が豊富
研究機関の存在
環境への取組の高い地域
「ひびきの」地域のイメージ
神流川頭首工
幹線用水路
出典:本庄農林振興センター資料に加筆
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小水力発電施設
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構想策定の手順
手 順
構想策定範囲の決定
考え方
(「ひびきの」の場合)
市町村などの行政区分だけでなく、水系や交通なども考慮する
(国営神流川沿岸農業水利事業の受益地とした)
地域農業の課題調査
地域農業の抱えている課題調査
(地域で盛んな施設園芸農家の課題を抽出した)
地域資源の把握調査
再生可能エネルギーのポテンシャル調査
(太陽光、バイオマス、小水力発電の賦存量調査を実施)
再生可能エネル
ギーの活用策検討
再生可能エネルギーの導入先と活用策を検討
(小水力と太陽光を中心に6次産業化につながる構想を策定)
適用制度の調査
構想のとりまとめ
各種構想を実現するために活用可能な制度を調査
(農林水産省や経済産業省などの補助制度をメニュー別に整理)
調査結果を報告書としてとりまとめる
(報告書のほか、各メニュー毎に概要版を作成)
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地域農業の課題把握
○「ひびきの」地域では、施設園芸が盛んであることから、施設園芸農家の課題と再生可能
○
ひびきの」地域では、施設園芸が盛んであることから、施設園芸農家の課題と再生可能
エネルギーを活用した解決策の検討を行った。
課
題
解決策
① 施設園芸農家は重油等の燃料使用が多く、原
油価格も高騰していることから、経営経費を圧
迫している。また、個々の農家が再生可能エネ
ルギーを導入するには、コストが高い。
① 国営の農業用施設やファームポンド跡地、ま
とまった規模の耕作放棄地を有効活用し、再
生可能エネルギー施設を導入。
生可能エネルギ
施設を導入。
まとまった規模の施設を導入するには、地形条
件等の制約がある。
施設野菜の多くは、重油を使用し
ハウスの加温を行っている
クジャクソウなどの花卉は、
電照栽培が行われている
② 再生可能エネルギーは、日照や風量などの自
然条件に依存するため、電力品質が悪化する。
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農業用用水路
ファームポンド跡地
耕作放棄地
農業用ため池法面
② 太陽光、小水力、バイオマス、風力などの複数
の発電施設の組合せを検討し、効率的な運営
を図る。(電力会社との連携やスマートグリッドの導入も検討)
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再生可能エネルギーのポテンシャル調査
再生可能エネルギー
石油・石炭などの化石燃料とは異なり、水力や太陽光、風力、バイオマスなどの一度利用
しても比較的短期間に再生が可能で、資源が枯渇することがないエネルギー
○小水力発電
落差利用型発電:開水路における落差工やパイプラインにおける余剰水頭を利用
概算算定式:P(kW)=9.8×Q(m3/s)×H(m)×η
ここに、 P
P:発電電力(kW)、
発電電力(kW)、 Q
Q:流量(m3/s)、
流量(m3/s)、 H
H:落差(m)、
落差(m)、
η:効率(発電機や水車などの効率≒0.72)
流水利用型発電:開水路における流水を利用(メーカー資料などから概算)
○太陽光発電
設置スペースとしては、施設の屋根やため池法面、農業水利施設用地などを検討
概算算定式:P(kW)= パネル設置面積×0.1
年間発生電力量=P(kW)×0 12(稼働率)×24(hr)×365(日)
年間発生電力量=P(kW)×0.12(稼働率)×24(hr)×365(日)
○バイオマス
NEDOのバイオマス賦存量・利用可能量推計データで得ることが可能
NEDOのバイオマス賦存量
利用可能量推計デ タで得ることが可能
エネルギーとして活用が可能なバイオマスは、家畜排せつ物、食品廃棄物、農業集落排水
汚泥等が該当する。
その他の再生可能エネルギー
風力発電:風力発電導入ガイドブック(NEDO)を参考に検討が可能
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「ひびきの」スマートビレッジ構想
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「ひびきの」スマートビレッジ構想
ため池堤体を活用した太陽光発電
南側に面した法面に太陽光パネルを設置
開水路上部を利用した太陽光発電
開水路上部に太陽光パネルを設置
太陽光パネル設置イメ ジ
太陽光パネル設置イメージ
南側
太陽光パネル
現況開水路
農業水利施設用地を活用した植物工場
施設跡地に太陽光発電施設を併設した植
物工場を設置
植物工場
発電施設を接続するスマートグリッド
各発電施設を連携するスマートグリッド
を提案
調圧水槽
農業者の利用
小水力発電
太陽光パネル
8号FP
ハウス
太陽光発電
6号FP
太陽光発電
ハウス
蓄電施設
上
スマートグリッドの導入
スマ
トグリッドの導入
送配電及び制御
幹
里
5号FP
線
太陽光発電
3号FP
4号FP
太陽光発電
太陽光発電
農業者の利用
ハウス
2号FP
太陽光発電
太陽光発電
ハウス
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蓄電池
新
神
流
川
幹
線
ヒートポンプ
旧神流川
川幹線
呑口調整池
系統連係
小水力発電
スマートグリッドのイメージ
神流川頭首工
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構想実現に向けた課題
○農地法
農地法の定義では、農地は、「耕作の目的に供される土地」となってい
るが、植物工場などのコンクリート等で地固めした農地に形質変更を加
えたものは該当しない。
→農地として扱われないため、税法上の優遇処置をうけることができない。
(平成23年の政府規制仕分けで「農業用施設用地の大規模や再生産施設
等建築による農地転用基準」が対象となり 規制緩和の可能性はある )
等建築による農地転用基準」が対象となり、規制緩和の可能性はある。)
○電力料金
かんがい施設用の農事用電力は安価に設定( 般家庭用の概ね40%)
かんがい施設用の農事用電力は安価に設定(一般家庭用の概ね40%)、
農産物栽培に利用できる農業用電力は、概ね65%と開きがある。
→施設園芸へのヒートポンプ導入の妨げ。
(韓
(韓国の場合:農業用電力は一般家庭用の43%(2008実績))
合 農業
般家庭
%(
実績))
○系統連係・蓄電設備
再生エネルギ は多くの場合 電力会社に売電することになるが 再生
再生エネルギーは多くの場合、電力会社に売電することになるが、再生
可能エネルギーの発電は不安定である。また、災害時などには、発電を
停止しなければならない。
→蓄電池のコストダウンによる発電施設への蓄電設備の併設
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おわりに
○従来は、地球温暖化対策として考えられていたものが、東日本大震災以
降は、非常用電源や安全なエネルギーとしてさらに注目されている。
○平成24年7月に施行される「再生可能エネルギーの買取に関する特別
措置法案」では、買取価格が太陽光発電が42円/kWh、小水力発電
が最大35 7円/kWh(200kW未満)と 従来に比べて大幅に上昇。
が最大35.7円/kWh(200kW未満)と
従来に比べて大幅に上昇
ス
スマートビレッジ構想による「元気な農村」の実現
トビレ ジ構想による「元気な農村
実現
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ご静聴ありがとうございました
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