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組織単位の形態について 第2報 空間充填の幾何学的
条件
梶田, 昭
東京女子医科大学雑誌, 51(3):213-238, 1981
http://hdl.handle.net/10470/4302
Twinkle:Tokyo Women's Medical University - Information & Knowledge Database.
http://ir.twmu.ac.jp/dspace/
19
(東女医大誌 第51巻 第3号頁籔231∼238昭和56年3月).
組織単位の形態について
第2報 空間充填の幾何学的条件
東京女子医科大船舶2病理.学教室
教.授蝿 甲
阻
(受付 昭和55年12月15日)
On the Shape of the Tigsue Unit.
2。 Geometrical Requirements fbr Space Filling
Akim KAJITA, M.D.
The Sccond Depart皿ent of Pathology, Tokyo Women,s Medical Collcge
Topological characteristics of biblogical tissue units of diverse origin and Voronoi polyhedra
constructed by co血putational method「described in previous repqrt, were compar6d.
1.On the histological sections of several biological tissue.units.(fat cells,1)ulmonary alveoli,
cirrhotic nodules of the liver), the dihedral angles of the units, i.e.…. angles長)rm♀d by boundary edges
around the corner呂in sections, were measured. In every case its valueΨas aboμt l 20。 in average,
showing that the cell valencies of edges were three in these units.
2.The dihedral angles of Voronoi polyhedra were also about 1209 in average。 Moreover,
junctional angles of their edges were, in average, close to Maraldi’s angle. The vertices of solitary
polyhedra, as a rule, are trihedral, then if polyhedra were sectioned serially, th611umber of vertices
of the polygons appeared on the sectioning planes always started and endod by.three.
3. The vertices of single cube are trihedral(を=3), but its dihedral angles are a1190ρ. AIthough
the dihedral angles of the rhombic dodecahedron are 120。, and three such sol三ds meet at an.
?р№?to
丘11space(r=コ3), its vertices are tri−and tetrahedraL II was discussed#h耳t both conditions(ワ=3,7=3)
are取ecessary in combination to.
マ且正the requirement to construct‘‘ideal polyhedron,,(♪訟5..104,
17=13.394).
Several authors士eported the.14−hedral.property of primitive cells, and topological characteristics
of some tissue units mentioned in l might be a reflexion of the飴n4amental architecturalやri血ciples
in morphogenesis。 About the biological structures of tissue leve1,血rther study must be per{brmed.
はじめに
学の法則から外れたことはおこりえないであろう
細胞が組織を充填し,.あるいは細胞の集合体が
単位どなって器官を充填する場合,それが自然に
発生し,落着する過程である限り,力学と幾何
一231.一
し,私たちが日常的に観察する組織形態ケとも,こ
のような形態を実現.さ津た自然法則がなんらかの
形であらわ.れていることが予想されよう.。.
20
前報1)では計算機実験によって2,3次元の
試行ユでえられたNo.6およびNo.21)によっ
Voronoi図形を作製し,これによってえられた
て行ったものである.この2つの多面体について
Voronoi多面体について若千の考察を試みたが,
は前条で模型図を示した,
次に組織標本(脂肪組織,肺胞組織,硬変肝)
本報ではこの多面体と生体内セル(あるいはテリ
トリー)を比較し,自然構造に近接するいとぐち
を対象とし,セルの集合特性を中心に観察を行な
をつけておきたいと思う.ここでセルと仮に呼ん
った.セルに当るものは,それぞれ脂肪細胞,肺
だのは,細胞,または細胞集団からなる組織単位
胞,硬変肝の結節である,その境界面にあたるも
のことで,拡張された概念での細胞というほどの
のは,細胞膜,肺胞壁,硬変肝の間質であるが,
意味である,組織単位としてさし当って念頭にお
これらの境界面は,切片の上では稜線として観察
いているのは,肺胞,肺や肝の小葉,病的構造物
され,切片上で頂点を囲んで稜線が作る角はセル
の2面角に相当する.この角の大きさは,頂点さ
として癌胞巣や肝硬変の結節などである.
え決めれば(稜の蛮曲は無視することにする)簡
研究方法
単に測定することができるので,さし当りこの角
前報に2,3次元のVoronoi図形を計算機実
験によって求める方法を記載したが,このように
度の測定を行った.
結果と考察
してえられた多面体について,稜の結合角(以下
面角),2面角を計算した.中心点,多面体の各
1.Voronoi多面体の面角および2面角
頂点の座標がすでに与えられているので,この計
計算機実験によって構i成したVor・n・量多面体
算は容易に行なうことができる,多面体の割面形
No・6(r=22, E;33, 戸=13), No・21(7=・24,
態については前結でもふれたが,やや詳細に調べ
E=36,F=14)について(玩E, Fはそれぞれ
頂点,辺,面の数)面角,2面角の大きさを計算
てみた.多面体の割面を順次に作ってゆく時にで
きる多角形の辺数は, (多面体の)頂点を新規に
した(図1).
こえるたびに変るから,多面体の頂点数を7とす
それぞれの頂点に集まる稜(または面)の数は
ると,(7−1)コだけ違った辺数の多角形ができ
原則として一律に3であるから,面角の数はそれ
る.以上の検討はいずれも少数の多面体(とくに
ぞれ3γになる.2面角の数は当然Eにひとし
い.
Distribution of face ang置es
polyhedron No.6
又=109。
polyhedron No.21
R=1100
No・6では,面角の大きさの平均および標準偏
差は109.・1(25.4)であり,No・21では110.0(15.7)
であった(カッコ内が標準偏差,単位はすべて
度).
No・6では,2面角の大きさの平均および標準
30 40 50 60 70 80 90 100110120130140150160
偏差はH7.5(20.1)であり, No・21では120.6
(14.2)であった.
Distribution of dihedrai ang艮es
polyhedron No.6
面当りの単数(ρ)は2EIFであり,これによ
又=118。
って計算すると,No・6を構成する各面は平均し
て5.077角形,N・・21の各面は平均して5.143角
polyhedron No,21
形である.No・6は,統計的な意味合いにおいて,
又=:1219
各頂点に5.077角形が3つずつ,No・21は5.1413
30 40 50 60 70 80 90 100110120130140150160
角形が3つずつ集まる多面体と特長づけること
(degree)
ができる.各頂点にρ角形が9コ集まる多面体を
図1Voronoi多面体(試行1,No・6および
{ρ,g}で表わすと(SchlaHiの記号),それぞ
No.21)の面角(稜の結合角)および2面角.
一232一
21
表1 2次元および3次元におけるspace丘llingの条件(Coxeter2)152−157,
399−400頁による).
2 次 元
3 次 元
正多面体{ρ,σ}の2面角の大きさは
れ{5.077,3},{5.143,3}である.
次元では4であって,この形のパッキングが力
表1に,正多角形{ρ}の面(内)角,正多面
学的にもっとも安定した形であることはレンガ積
体{ρ,¢}の2面角をρ,またはρ,をから求める
みなどの経験からも.よく知られている.ブロック
関係を示したが,この関係を利用して2つの多面
をこういう形に積めば,各ブロックに隣接するブ
体の面角,2面角を求めると,面角は109.1およ
Pック数が14になることも直観的に判る(図2,
びエ10。0,2面角は119.1および121.3となり,上
なおStdnhaus7)1969など)。
に述べた計算値に非常に近い.
b・解析的な誘導 一つの頂点に4本の稜が集
面角の大きさはほぼ109.5。,これはいわゆる
まる(これをg’=4と書くことにする),という
Maraldiの角(余弦が一1/3になる角度)である.
ことは,個々のセルでは頂点に3本の稜が集まる
2面角の大きさはやく120。,3つのセルが1稜の
(g=3)ことを意味する.もちろん逆が必ずし
周りに集まって空間をうめる形態である.
も真ではないことは,立方格子(¢;3,グ=6)
を考えても判ることである.
2.面角,2面角の関係について
次に,頂点に出合う稜の数が4本,という場
i一÷)の値を
石けん膜が空間中に出合う時には,3つの面が
1稜に,4本の稜が1点に会し,しかもいずれの
合稜の齢齢平均・て…1
場合も等角で出合うために,稜の周りに面が作る
とるであろう.厳密な証明は私の力に余るが,
角度は1200,頂点の周りに稜が作る角度は109.5。
それが正4面体の重心が各辺に対して張る角の大
である3)4>(Plateau,1873).石けん泡,動・植物
きさであることから,直観的には推測できる.す
の細胞,金属結晶などのパッキングによる空間分
るとセルの各面(多角形)の内角の大きさは(表
割によっても,本質的にはこれと同一のパタンが
1),
(
えられる.そのパタンとは,Williams5)(1968)
21一
ρ)・一・・s一・(一÷)
の要約によれば, (1) セルの平均面数は14に近
この式からρ謹5.104.すなわちこのセルは
い, (2)面当りの辺数は平均5.143,(3)頂
{5.104,3}という形の多面体であり,その2面
点には4つのセルが会して4面角を作り,その結
角は表1に示した関係によって2π/3(120。)と計
合角は109。28’である.Williamsによると,(3)
算できる.2面角が平均120。ということは,3つ
は表面エネルギー(ないし表面積)最小化の要請
のセルが1面に出あう(7=3)パッキング様式
から導き出されるものであり,(1)と(2)は(3)
を意味する.F=13.397, E=34.192, F=22.795
から誘導できる,という.
は虚報(ρ.1061の注)の諸式で算出できる.
a・敷石定理ρ次元空間におけるパッキング
この場合,2面角が平均1200ということは,
の場合,一つの頂点に出合うセルないし稜の数の
{5.104,3}というセルの一つの特質であった,
最小値はρ+1である(Lebesgue6)1910/11)・3
表1の式からも判るように,それはρ,4の別の組
一233一
22
Cell valency in 1,2,3−dilnension・
Element
3−dimension
2−dimension
1−dimension
ceU
cell
cell
Vertex
一騨雪胃一
1
@一「
cell−
@
2
9’朋画=4
X島ゴ。=3
ceiI
(’
Edge
l
モ?激gー
.cell L
モ?撃?cen
ce腿
Q
cel1
cell
Face
Q
(a)
一闇需 丁譜鼈鼈鼾шユ一一
@ ,
@ 「
「
@ 1
香Q_L__
@
@
藺一一 @『卿一幽一一¶椰 一一 u一一一一一一圃曹
聖
犀
1
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_L__一一 「囎 一一一
鼈黷
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」__一一「一一鼎一一軸
一「
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@l
1
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Q曽_____L_一
争皷P
@l
@I
@
@
聾
1一
一
髄
一
一
星
鰯
『
一
一
一
〇
(b)
2 (a)1,2,3次元における。611 valency,あるエレメント(頂点,稜,面)
において出合うセルの数.最:上段はLebesgue以来の次元の定義に当る.この3
次元の場合を反復すると(b)になる.点線は上下に重なったセル (ブロック).
1っのセルに同一レベ・レで6,上下にそれぞれ4,計14コのセルが隣接する.
(b)はStdnhausηを参考にして書いた.
せからも可能である.例えば{4,24/7}と
はない,と表現することもできよう.
う形(菱形12面体)でも2面角は1200になり,
ここでvalency(価)の概念は恥eb9)による。
回の周りに3つのセルが集まる.
の定義によれば,ある次元dimensionalityに属
要約すると,1頂点に集まるセルないし稜の数
る要素(頂点,稜,面,セル)が異なる次元の
4 (g’=4)とし・う性質:は, ¢漏3かつ7=3
素において出あう数.例えば,頂点に出あう
いう条件と等価であり,ρ=5.104,F=13.397
,面,セルの数が,.頂点のedge valency,face
どはこの前提から誘導できる(図3).これに
alenCy,. Cell ValenCyセこなる.
して,4r・3(個々のセルの3面角性)または
=3(稜の周りに3つのセルが会す.るという性
・2種の14面体について ブロック積みから
導した14面体は6−0.一8(それぞれ4,5,
).だけからは,ρやFの値は決まってこない.
角形の数)の形で,=.面当’りの平均辺数は51/7
点のcell valencyが最小値(4)をとるとき,
Williamsが述べている5.143)であるが,上に
のcell valencyも最小値(3)をとるが逆は真
析的な方法で誘導した統計的14面体は1面当り
234一
23
rhombic
dodecahedron
エトむ
ロ エリ
、鴇一21
』,H6
41−55
L卜17
r=3
σ=3
cub・
エトし
◇一
(β=120)
ロ エロ
[≧〕鵠
41−562H
14−h。d。。n
且6一亘7
しトをロ
図3 セルの3面角性(g=3)と稜のcell valen−
cyr=3(2面角β=120。)の2条件の交叉が,
①1点に4本の稜が合して稜の結合角αがMaral−
diの角度,②1面の辺数5.104で面数13.39と
ド[弐
監一41
いう,いわゆるideal polyhedron8)の条件と等価
2!一L
41−55
になるζとを示す.立方体,菱形12面体は2条件
17−12
の一方のみしか充足しない.
14−21
8−53
皇一41
−
の辺数が5.104で,その間には僅かながら差があ
35一14
55−35
る.Kelvinが,14面体の面と稜に湾曲を導入す
53一脆
ることによって解決しようとした問題も,この点
16−L7
母ト56
に関連する‡うに思われる10)11).これについて
(a}
は,私の理解を越えているところがあるのでここ
(b)
図4 Voronoi多面体の割面.(a)No・6,(b)No・
21(いずれも試行1).1頂点から連続的に割面を
作り,多角形形状の推移を示したもの。
では立入らない.
3.Voronoi多面体の割面形態
びNo・21)では,稜の結合角がやく109.5。であ
連続的なsectioningを実行してみると,いず
れも割面多角形の軒数は3で始まり,4,5と順
り,ρの値は5、1であった.g=3はほとんど自明
次辺数を増し, (7−1)回だけ辺数が変って再
のこととして扱かつたが,これは割面形態からも
び5,4,3と減少し,3で終る(図4).繁を
上述したように,Voronoi多面体(No・6およ
いとわずに辺数の推移を列挙すれぱ(No・21),
証明することができる.・
3次元セルの集合に任意の平面を交わらせて作
3−4−5−6−7_8−7−8−9−10−11−10−9−8−9_8−7−6陶5−6−5_4−3.
った割面の上ではトセルは面,面は線(稜),稜
4.生物セルの形態
は点になる.(1) 3次元で稜の周りに面が作る
組織標本で観察できるのは,位心的にいえぽ稜
角(セルの2面角)は,割面では,頂点の周りに
(辺)のcell valency(7)であり,これは切片
稜の作る角として観察・実測できる.(2) 3次
の上では,1点に会する辺の数として数えること
元で,頂点に出合う稜の結合角は,割面で観察す
ができる.あるいは,1点の周りに稜の作る角の
ることはできないし,頂点に集まる稜の数を数え
大きさは容易に測定できる量であり,これはじつ
ることも任意の割面の上では不可能である.
は1稜に出合うセルの2面角の大きさを,2次元
しかし連続切片の上で,セルの集合の割面を順
の切片の上で測定することに他ならない.
次観察してゆく時に,新しく出現するセルが,
脂肪細胞,肺胞,肝硬変結節をセルに見たてた
つねに3つの隣接セルに囲まれている,いいか
場合,それぞれ細胞膜,肺胞壁,間質,つまりこ
えれば,多面体の最初の割面が3角形であるなら
れらの境界線がセルの面に当る.割面の上では,
ぽ,そのセル(多面体)は3面角,9=3のはず
セルが面,面はその境界の辺になる.
膵周囲脂肪織(SN 8491),肺組織(SN 8330),
である.
一235一
24
(a)
(a)
pulmonary alveo置i(SN 8330)
peripancreatic adipose tissue(SN 8491)
’
’
、
ノ
、
’
、
、
、
、
、
、
N=93
N=77
又=120.3
xニ121.2
s=17.2
s=・17.7
c.v.=14%
c・v・=15%
’
、
(b)
(b)
図6.肺組織(SN 8330).セルの2面角の測定,
図5 膵周囲脂肪織(SN 8491).セルの2面角の測
(a)および(b).
定,(a)および(b).
44
肝硬変(3164)の組織標本を用い,セルの境界を
F=
∼ρ+2¢一ρ望
模写して,交点(頂点)の周りに各辺が作る角
の大きさを実測した(図5,6,7).図で見る
明らかにg,ρのいずれも3を下廻ることはでき
ように,辺の湾曲はすべて無視することとし,ま
ない.その範囲でg,ρ,Fの関係を表にすると
た,辺の一端が切片上で確定できない場合,その
(表2),g=3(セルが3面角であることを示す)
辺の作る角は計測から除いた.このようにして測
のときρ,Fはいずれも最大値をとってρ=5.10,
った角度の平均(および標準偏差)は,脂肪細胞
F=13.4となり,gが3以上の値をとるときは,
121.1(17.2),肺胞120.3(17,7),硬変結節116.9
ρ,Fはこれよりも小さい値になる.
Williamsが引用しているkwis12)の仕事とい
(36.1)で,いずれの場合も平均してほぼ120。に
なる.これは,対象とした生物セルが,稜のcell
うのは,脂肪組織の連続切片によって各細胞の総
valencyとして3の値をとることを示している
数(接触細胞数)を数えたもので,そこでは平均
(7=3).
面数14.01と算出されている.沢井ら13)は,肝細
2面角が120Qであることは,
胞の復調によって,それが14に近い面をもつ多面
体であり,その面は5辺形を中心とする分布を示
cos(π/g)/sin(ψ)=sin(π/3)
す,と報告した.一次的な細胞系では,3面が1
と書き表わすことができる.セルの面懸Fは,
Eulerの定理から導かれる次の関係式によって決
稜に合して(7=3)かつ¢が最小値(3)をと
り(このとき4本の稜が1点に出合う),ρが5
まる.
一236一
25
さらに高次の生物セルについては,発表された
プータもほとんど見ないし,遺憾ながら自分の経
験としてあげるべきものもない.おそらく基本的
には同一のパタンを踏襲しつつ,ある変更,修飾
が加えられてゆくのであろうが,将来の課題とt
て残したいと思う.
結
語
第1,2報をあわせて主な内容を要約しておき
たい,
藩老は計算機実験によって構成したVoronoi多
(a)
面体の解析,若干の生物セル(細胞ないし組織
単位)についての観察を通じ,生体内における細
cirrhotic nodules of the iiver
(SN 3164)
’
胞,…細胞集合体cell・aggregateの形態決定に関
「
与する幾何学的原則について二・三の検討を加
、
えた.生物形態に関するこのような面かρ.の近接
は,著者の自発的な発想に基いたものてはなく,
、
/L》
直接には諏訪(紀.夫)教授との交流,同教授の御
教示によるものであった.この論文は,その交流
N=55
窯=116.9
の間,およびそれ以後の時期において,著者の能
s=36.1
c・v・=31%
力の範囲でこの問題を取扱かつてみた記録であ
る.
(b)
1. ランダムに充填した3次元球の周囲にVo−
図7 肝硬変(SN 3164).セルの2面角の測定,(a)
および(b).(a)と(b)とは切片のレベルが少
roni多面体を構成する計算機プロラム(UMos/
DFORTRANによる)をほぼFinneyの方法に準
しく相違する.
じて作製し,2回の試行によってそれぞれ53,
表2 2面角が120。という条件でg(頂点に集まる
179コのVoronoi多面体を構成した.
面または稜の数),ρ(1面当りの辺数),F(セル
の面数)の間の関係.
σ
ρ
1
試行2について述べると,多面体の平均男数は
∫
3.0
5.10
13.4
3.2
4.51
13.0
3.4
4.08
12.5
3.6
3.76
12.1
3.8
3.50
11.7
4.0
3.29
11.2
4.2
3.11
10.8
4.4
一
2. より多数の多面体を構成することのできた
13.6,1面当りの平均辺数は5.1.辺の平均長と配
置球の密度との間にはゆるい逆相関が認められた
が,球の半径を1とするとき,辺長の平均および
標準偏差は1。15±0.71であった.
3.配置球の中心を通る平面とVoronoi多面
体とが交わってできる多角形の辺数は,平均して
およそ7であった.多面体の任意の頂点から連続
的に割面を作ってゆくと,割面多角形は原則とし
一
て3角形で始まり,頂点の数より1少ない回数だ
(pentagonal prevalence), Fが14に近い,すなわ
け開題を変じて再び3角形で終る(多面体の3面
ち力学的な安定性を充たした条件が実現されてい
角性).
4.このようにして構成したVoronoi多面体
るのであろう,
一237一
.26
2nd ed., John Wiley&Sons・New York,
London, Sydney&Toronto(1969)
は,上に述べたことにより,Schl朋i記号を用い
て{5.1,3}と特性づけることができる.その稜
3)A㎞gr,n, J臨and J・E・Taylor 3 The geo−
の結合角はほぼ109.50,2面角は120。である.前
metry.of忌oap films and soap bubbles. Scien−
者はいわゆるMaraldiの角度に等しく,後者は
呂つのセルが1稜に合して空間を充填する時の2
4)Tbompson, D,A.W.= On Growth and
ti丘。 American 23582(i976)
Form。2vols.2nd ed., Cambridge Un三v. Press,
面角である.
Cambridge(1942)p.486.
5.生物セルとして脂肪細胞,肺胞,肝硬変結
5>W量11iaη1s, R.E.3 Space一丑11ing polyhedra:Its
relation to aggregates.of soap bubbles, plant
節を選んでその組織標本を用い,境界膜(それぞ
cells, and.meta正crystalIites. Science 161276
れ細胞膜,肺胞壁,問質)が合流点(頂点)の周
(1968)
りに作る角(各セルの2面角に相当する)の大き
6)Lebes3ue, H.3 Sur Ia non−applicabilit6 de
deux domaines apPartenant respectivcment
.さを測定すると,それぞれ121±17,120±18,11
ades espacesムηetπ十ρdimensions. Math
7±36(単位は度)で,いずれも1200とみなして
Ann 70166(1910!ll)
7)Ste量nba覗s, H.= Mathematical Snapshots.
大差ない.このことは,これらの生物セルが稜の
3rd amer. ed., Oxfbrd Univ. Press, New York
cell vaiency 3,という形で充填されていること
(1969)p.188
8)Underwood, E.E・3 Quantitative Stcreology。
を示す.このことは,直ちに頂点のcell valency
Addison−Weslcy, Reading, Massachusetts.
(1970)p,242
9)Loeb, A.L;Space Structure. Their Harmony
4,という最小界面(またはエネルギー)条件を
充たすことを意味しないが,従来の文献を照合す.
ると,一次的な細胞系については,そのように推
and Counterpoint. Addison−Wesley, Reading,
Massachusetts(1976)p.3
測する理由があることを述べた.
10)Smitb, C.臥3 Gra量n shapes and other metal−
lurgical.applications of topology.[in MetaI
Inter血ces. American Society fbr Metals.
第1,2報を通じて,文献の調査には本学図書館員の
Clevcland, Ohio(1952)1 P.95
方々に多大のお骨折を頂いた.またSmith(10)の論文
11)McNutt, J.E.3 The shape of equilibrium
cells量n nature.[in DeHo鉱R.T.&F.N,
Rhines (ed.):Quantitative Microscopy.
McGraw−Hill, New York(1968)]p,272
は林 久人教授(秋田大学)の御厚意によってコピーを
入手することができたものである.併せて感謝の意を表
する.
12)Lew量s, F。T.2 A fhrther study of the poly−
文 献
1)梶田 昭:組織単位の形聾について.第1報
hedral shapes of cells. Proc Amer Ac筑d Arts
Sci 611 (1925)
細胞集合体の統計幾何学的モデル.東女医大誌
13)沢井高志・斎藤 謙・小熊司郎・高橋 徹・諏
訪紀夫=細胞による空間分割の幾何学的研究
50 1053 (1980)
2)Coxeter, H.S.M。31ntroduction to Geometry.
(抄).日病会誌67123(1978)
一.
Q38一
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