第1章
πの定義と測定方法
最初に知られている円の面積を測定する方法は、40 世紀も前にさかのぼると言われてい
る。1855 年に、そのことが記載されたエジプトのパピルスが発見された。それは、俗に1 9
ルールといい、円の面積を正方形で近似するというもので、「円の面積は、その円の直径か
らその1 9 を引いたものの 2 乗に等しい。
」というものである。
直径 9 の円に外接する正方形を考える。この 1 辺が 9 の正方形を 1 辺が 3 の 9 つの正方
形に分割したとき、円の面積はこの 1 辺が 3 の正方形の 7 個分の面積にほぼ等しいとみな
した。すると、円周率を とすると、
(直径 9 の円の面積)=(1 辺 3 の正方形の 7 個分の
面積)より、
2
9
    63
2


となる。ここで、 63 は 64  8 2 にほぼ等しいから、
2
2
 16 
     82   
9
 9
2
としたのである。これより、一般の直径が d の円の面積は、
2
2
2
d 
 16   d 
8 
         d 
2
 9   2
9 
2
となり、円の面積はその円の直径からその1 9 を引いたものの 2 乗に等しいと言ったようで
ある。なお、このころ、半径が r の円の面積が、 r 2 で表されることは知られていたよう
である。この1 9 ルールは、数学的に厳密な根拠があるとはいえないのであるが、
2
 16 
     3.1605
9
となり、誤差が 2 10 2 以内というよい近似であったことが分かる。
この後、Archimedes によって、数学的な言及がなされたのである。ここでは、Archimedes
をはじめ、歴史的に の値がどのように導出されてきたのかを述べ、それを踏まえた上で
についての定義を行う。
1
1.1. Archimedes の方法
Archimedes は、円周率を求めるために、半径が 1 の円の半周について考え、それを正多
角形で外接、内接させることで円周の長さを求めた。
いま、半径 1 の円を C とし、それに正 N 角形を外接ないし内接させる。 N は、
N  6  2 n n  0,1,2,3 とする。ここで、外接させる正 N 角形と内接させる正 N 角形は
同じ N であることに注意する(もちろん外接したものと内接したものの大きさは異なる)
。
外接させた正 6 2 n 角形の全周の長さの半分を an 、内接させた正 6 2 n 角形の全周の長さの
半分をbn とおく。このとき、次の定理が成り立つ。
定理. 0以上の任意の整数 n について、以下の公式が成り立つ。
an 1 
2a n bn
a n  bn
bn 1  an 1bn
(1.1)
ただし、初期値は、
a0  2 3 , b0  3
(1.2)
a n 1 bn
a  b 
an 1  bn 1 a n  bn  n n
(1.3)
である。また、
an 1  bn 1 
であり、
bn  bn 1  an 1  a n
(1.4)
lim an  bn   0
(1.5)
であるので、
n 
証明
半径 1の円の中心をO 、
円に外接させた正 6 2 n 角形の 1辺を AB 、内接させた正 6 2 n
角形の 1 辺をCD とおく。O から AB に垂線を下ろし、その足を H とし、CD とOH の交
点を K とする。また、 AOB  COB  2 n とおく。よって、 2 n  360  6  2 n 、つま
り、 n  360 6  2 n 1 である。
ここで、OC  OH  1 であるので、 AH  OH tan  n  tan n , CK  OC sin  n  sin  n
2
となる。 an は、円に外接させた正 6 2 n 角形の全周の長さの半分なので、
an 
1
1
 6  2 n  AB   6  2 n  2 AH  6  2 n tan  n
2
2
また、bn は、円に内接させた正 6 2 n 角形の全周の長さの半分なので、
bn 
1
1
 6  2 n  CD   6  2n  2CK  6  2 n sin  n
2
2
ここで、次にこの円に正 6  2 n 1 角形を外接・内接させることを考える。上の式から、
an 1  6  2 n 1 tan  n 1
である。ここで、 n 1 
360
6 2
n 2
bn 1  6  2 n 1 sin  n 1
1
  n より、   n としてまとめると、
2
 an  6  2 n tan , bn  6  2 n sin 

n1
n 1


an 1  6  2 tan 2 , bn 1  6  2 sin 2
(1.6)
図 1.1
2a n bn
6  2 n 1 tan  sin 
tan  sin 
sin 2 

 6  2n 1
 6  2 n 1
tan  sin 
tan   sin 
an  bn
sin   cos  sin 
62
n 1



sin 
n 1 2 sin 2 cos 2
62
 6  2 n 1 tan  a n 1
2 
1  cos 
2
2 cos 2
また、





an 1bn  6 2  2 2 n 1 tan sin   6 2  2 2 n 1 tan  2  sin cos  6 2  2 2 n 2 sin 2  bn 1 
2
2
2
2
2
3
2
 bn 1  a n 1bn
よって、(1.1)が証明された。
ここで、 n  0 のとき(つまり正六角形のとき)
、 0  30 より、
a0  6 tan 30   2 3, b0  6 sin 30   3
ゆえに、(1.2)が成り立つ。
次に、
an  bn
tan  sin 
tan  1  cos  
2 tan 2 1  cos 1  cos 2 



an 1  bn 1 2tan 2  sin 2  2 tan 2 1  cos 2  2 tan 2 1  tan 2 2 1  cos 2 2 
2
sin 2 2 1  cos 2 
1  tan 1  cos 
2 
2
 1  cos 2 
2 
2
1  cos  
cos
2
1  cos 2
1  tan
2 
2
 21  cos 2 
cos
cos
2 
2
2 
2
2 
2
 sin
1 

 1  cos 2  1 

 cos  
一方、
a n 1  bn 1 an  bn 
an 1bn
 b  a  
 
1 
 1  n 1  1  n    1  cos   1 

2   cos 
 an 1  bn  

a  bn1 an  bn 
an  bn
 n 1
an 1  bn 1
a n 1 bn
よって、(1.3)が成り立つ。
また、 0    30  であるので、
sin   2 sin

sin   tan  ,
,
2
2 tan

2
 tan
が成り立つ。なぜなら、
2 sin

2
 sin   2 sin

2
 2 sin

2
cos

2
 2 sin


 1  cos   0
2
2
 1

 1  0
tan   sin   sin  
 cos  
tan   2 tan

2

2 tan 2
1  tan
2 
2
 2 tan

1
 2 tan 
2
2  1  tan 2

だからである。この不等式を用いると、
4

2

 1  0




n
bn 1  bn  6  2  2 sin 2  sin    0



n




a
b
6
2
tan
sin
0





 n
n


n
an  a n1  6  2  tan   2 tan   0
2


が任意の n について成り立つ。ゆえに、
bn  bn 1  an 1  an
が成り立つので(1.4)が証明された。したがって、
b0    bn  bn 1  an 1  a n    a 0
なので、
 a n 1 bn  a02

2
a n 1  bn 1 an  bn   2b0  2b0  4b0
ゆえにこれと(1.2)と(1.3)より、
an 1  bn 1 
a n 1 bn
a2
1
an  bn   0 2 a n  bn   an  bn 
an 1  bn 1 a n  bn 
3
4b0
n
1 
 0  a n  bn    a 0  b0 
3 
よって、 n   とすると、はさみうちの定理より、
lim an  bn   0
n 
ゆえに(1.5)は証明され、定理はすべて証明された。
定理の(1.4)より、an は単調減少でb0 を下界として持つので収束する。同様に、bn は単調
増加で a0 を上界として持つので収束する。よって、(1.5)から、
lim an  lim bn  lim an  bn   0
n 
n 
n
よって、 lim an  lim bn となり、 an と bn は同じ極限を持つことが分かる。ゆえに、
n 
n 
  lim a n  lim bn
n 
n 
とおき、 を定める。
定義
 を半径 1 の円の半周の長さとする。
5
いま、定理の証明を行ったのであるが、Archimedes の時代には三角関数や無理数どころ
か小数の概念もなかった。実は、Archimedes は Euclid 幾何の知識でこの定理を示したよ
うである。しかし、厳密にはそれだけはまだ不十分で上の証明で示したように実数の連続性
という概念が必要だったのである。
また、
無理数の代わりに Archimedes は分数によって近似を行っていたのである。例えば、
n  4 のとき、
3
10
1
 b4    a4  3 
71
7
であることを示していた。すなわち、3.1408    3.1429 であることを示していた。実際
の b4 と a4 の値からは、3.1410    3.1428 であるので、かなりよい近似を与えていたこ
とになる。
6
第2章
πに関するさまざまな公式
、
2.1. Viete の無限乗積の公式
、
、
Vie te は、法律家でアマチュアの数学家であった。Vie te は、1593 年に を無限乗積で表
した。それが、次の(2.1)式である。
2

1
2

1 1

2 2
1
2
1 1 1 1 1



2 2 2 2 2
(2.1)
1
1  u n1 
2
(2.2)
(2.1)は、
1
,
2
u1 
n  1 のときu n 
としたとき、
2
 u1u 2 u 3   lim u1u 2 u n 

n 
であると言い換えることができる。
それから 200 年後、この(2.1)式は Euler によって次のように一般化された。
sin 

 cos




cos cos  cos n 
2
4
8
2
(2.3)
つまり、

v1  cos ,
2
n  1 のとき vn  cos

2
n
(2.4)
としたとき、
sin 

 lim v1 v 2  vn 
n 
1
1  cos 2  と表せるので、 (2.4)の vn は、
2
である。 cos の 2 倍角の公式から、 cos  
vn  cos

2
n

 
1
 1  cos n 1  
2
2 
7
1
1  v n 1 
2
と書き直すことができ、   2 を代入すると、 (2.2)と全く同じ形の漸化式であることが
、
いえる。したがって、Vie te の(2.1)式は、Euler の(2.3)式の特別な場合であるということが
できる。
ここで、Euler の(2.3)式を証明する。左辺を変形して、
sin 


2

sin

2
cos

2
 cos
 sin 2

 sin  4
 cos cos

2  2
2
4  4
 sin  2n 
2
 2n
sin  2 n 
ここで、 n   とすると、 lim
 1より、
n 
 2n
sin 




 cos cos cos  cos n 
2
4
8

2
 cos

cos


cos cos n
4
8
2
となり、(2.3)は証明された。
よって、   2 を代入することによって、(2.1)も証明された。
、
、
ここで、Vie te 自身による証明を述べる。Vie te は、幾何学の方法を用いて、Archimedes
の円周率を求める方法にならい、半径 1 の円に正 N 角形を内接させ、その正 N 角形の面積
の極限が であるということを用いた。
いま、N  2n n  2  とし、半径 1 の円に正 N 角形を内接させる。正 N 角形の面積を、AN
とする。正 N 角形の一辺の両端からそれぞれ円の中心に向かって直線を引きその 2 本の直
 2  
  とすると、以下の図のようになる。
2
 N
線が中心で作る角を 2  
ここで、三角形OCD の面積は、三角形OCK の面積の 2 倍、すなわちsin  cos  なので、
正 N 角形の面積は、三角形OCD の面積を N 個かけたものであるから、
AN  N sin  cos 
8
また、正 2 N 角形の面積は、中心にできる角が正 N 角形の場合の半分であることに注意し
て、
A2 N  2 N sin

2
cos

2
 N sin 
となる。よって、
 

  
N

AN  A2N cos
(2.5)
という漸化式ができる。これを N  4 のときからはじめてみる。 N  4 のとき、 
り、 A4  2 となるので、(2.5)から、
2  A4  A8 cos

4
 A16 cos

4
cos

8
   A2 n 1 cos

4
cos

8
 cos

2
n
ここで、 n   とすると、 A2 n 1 は、 に収束するので、
2
 cos



cos  cos n 
4
8
2

を得る。これは、(2.3)式に   2 に代入したものと同じ式である。
この式に cos  
1
1  cos 2  を用いて、
2
2


1
2
1 1

2 2
1
2
1 1 1 1 1



2 2 2 2 2
を得る。よって、(2.1)は証明された。
さて、Euler の式を証明する際に出てきた
sin 

 cos



 sin 2 n 
 2n
cos cos  cos n
2
4
8
2
を 0     4 で考えてみる。この式は正であるので、両辺の対数をとると、
 sin 2 n 
 


logsin    log    log cos k   log
n

2

2


k 1


n
ここで、 n   とすると、 lim
n 
sin  2 n 
 2n
 sin 2 n 
  0 なので、
 1より、 lim log
n

n 
  2

9

4
よ

 

logsin    log    log cos k 
2 

k 1
ここで、両辺を について微分すると、
cos 1  1
 
sin   k 1 2 k

よって、 

4
1


 sin
cos

2k

2k


1
1
  k tan k
tan  k 1 2
2
を代入すると、
4

 1
1

1

tan    n tan n 2  
2
8
2
2
(2.6)
が得られる。
2.2. 無限乗積の一般理論
ここでは、無限乗積の収束、発散についての一般的な定義を行い、ゼータ関数 s  を無
限乗積で表すことを考える。
u n を各項が 0 でない複素数列とする。このとき、部分積
n
p n   uk  u1 u2 u n
k 1
を考える。ここで、 n   としたとき、 p n が 0 でない値 p に収束するならば、無限乗積


n 1
n 1
 u n は p に収束するという。収束しない場合は、無限乗積 u n は発散するという。
1 個以上の有限個のu n が 0 のとき、それら 0 の因子を除いた無限乗積が収束すれば、元
の無限乗積も収束するといい、その値は 0 とする。
無限乗積については、以下の定理が成り立つ。
定理

u
(1) u n  0 である無限乗積
n
が収束するための必要十分条件は、任意の  0 に対し
n 1
て、 n0  N が存在して、 m  n  n0 をみたすすべての m, n  N に対して
10
u n 1 u n 2 u m  1  
が成り立つことである。

u
(2)無限乗積
n
が収束すれば、u n  1 である。(逆は成り立たない)
n 1

 1  a  が収束すれば、 a
よって、u n  1  a n とおくと、無限乗積
n
n
 0 である。
n 1


 1  a  が収束すれば、 1  a  も収束する。
(3)無限乗積
n
n 1
n
n 1

(4)無限乗積

 1  a  が収束するための必要十分条件は、無限級数  a
n
n
n 1
が収束する
n 1
ことである。
証明
(1)

n
n 1
k 1
 u n が p に収束するとし、部分積を p n   uk  u1u2 u n とおく。
p n  0 より、実数の連続性から p n  M  0 となる正数 M が存在する。 p n が p に収束す
るので Cauchy 列より、任意の   0 に対し、 n0  N が存在して、 m  n  n0 ならば
p m  p n  M となる。よって、この両辺を p n  M でわると、
pm  pn
p
u u u m
 m 1  1 2
 1  u n 1u n 2 u m  1  
pn
pn
u1u 2  u n
となり、 u n 1 u n 2 u m  1   が成り立つ。
逆に、任意の  0 に対して、n0  N が存在して、m  n  n0 をみたすすべての m, n  N
に対して u n 1 u n 2 u m  1   が成り立つとする。よって、このとき、  1 2 に対する n0
を n 1 とし、 qn  un1 1 un1  2 u n とおけば、 n  n1 となる任意の n に対し、
1
1
3
となるので、  q n  であり、 qn は 0 に収束しない。
2
2
2
また、ここで、
仮定より、
任意の  0 に対して、n0  N が存在して、m  n  Max n0 ,n1 
u n1 1u n1  2  un  1  qn  1 
11
3
qm
 1   なので、 qm  q n   qn   となり、 qn は
qn
2
ならば、 u n 1 u n 2 u m  1 

u
Cauchy 列の条件をみたし、収束し、 p n も収束する。よって、
n
も収束する。
n 1

u
(2)
n
が収束するならば、
(1)より、任意の  0 に対して、 n0  N が存在して、
n 1
n  n  1  n0 をみたす n に対して、 u n  1   が成り立つ。ゆえに、これはu n が1に収束

 1  a  が
することを意味する。また、言い換えれば、u n  1  a n とおくと、無限乗積
n
n 1
収束すれば、 an  0 である。
(3) vn  1  a n とおく、

 1  a   v
n
n
が収束するならば、
(1)より、任意の  0 に
n 1
対して、 n0  N が存在して、 m  n  n0 をみたすすべての m, n  N に対して
v n 1v n  2  vm  1  
が成り立つ。また、次の不等式が成り立つ。
u n 1u n 2 u m  1  a n 1 1  an 2  1  am   1  a n 1 1  a n 2 1  a m   v n 1v n 2  vm
ゆえに、
u n 1 u n  2  u m  1  vn  1 vn  2  v m  1
 un  1u n  2  um  1  v n 1 vn  2  v m  1  
が成り立つ。ゆえに、
(1)から
(4) p n 
n
 1  a , s
k


n 1
n 1
 un   1  a n  も収束する。
n
n
k 1
  a k とおく。 an  0 より、 sn は単調増加列である。また、
k 1
1  an  1であるので、 p n も単調増加列である。また、 p n  1 だから、 0 になることもな
く、極限も 0 にならない。
また、任意のi, j について、
1  a 1  a   1  a
i
j
i
 a j  ai a j  ai  a j
12
n
n
k 1
k 1
 sn   a k   1  ak   pn
よって、p n が収束するならば、p n は単調増加なので上に有界であり、この不等式から s n も
上に有界である。ゆえに、 s n は単調増加なので収束する。
一方、 x  0 のとき、1  x  e x より、任意のi について、1  ai  e
ai
、
n
n
n
k 1
k 1
 p n   1  a k    e
ak
 ak
 e k 1
e
sn
s
よって、 s n が収束するならば、 s n は単調増加なので上に有界であり、 e n も上に有界であ
るので、 p n も上に有界である。ゆえに、 p n は単調増加なので収束する。


 1  a  が収束するための必要十分条件は、無限級数  a
したがって、無限乗積
n
n
n 1
が
n 1
収束することである。
以上のことから、定理はすべて示せた。
、
例えば、前節の Vie te の式は、
2

 cos





cos  cos n    cos n
4
8
2
2
n 1
と無限乗積で書き表すことができる。u n  cos
するので、定理の(2)の通り、u n  cos

2

2
n



n 1
n 1
2
 un  cos
とおくと、
n
は、収束
 1 になっている。
n


 1  a  が収束すれば 1  a  も収束する。ここで、
また、定理の(3)のことから
n
n
n 1
n 1


 1  an  が絶対収束するとは、 1  an  が収束することと定義する。したが
無限乗積
n 1
n 1


 1  a  が絶対収束するならば、 1  a  も収束する。また、定理の(4)より、
って、
n
n
n 1
n 1

無限乗積

 1  an  が収束することと、無限級数  a n が絶対収束することは同値である。
n 1
n 1

1a

一方、
n
n 1
 1  a  が収束するとは限らない。
が収束しても、
n
n 1
13
さて、ここで Riemann のゼータ関数を考える。ゼータ関数は、

 s   
n 1
1
(2.7)
s
n
で表される関数である。ただし、 s は複素数である。
s の実部を Res  、虚部を Ims  とすると、 s は Res   1 のときに絶対収束する。こ

れを示す前に、 r が実数であるとき、 r  
1
n
n 1
実数 r について、

1
n
n 1
r
r
は r  1 のときに収束することを示す。

が収束することと、広義積分

1
r
x
1
dx が収束することとは同値
である。
r  0 のとき、
1
n
は n   のときに、 0 に収束しないから、
r

1

1  r のとき、 

1
1

 x 1r 

dx

  
r
x
1  r  1
1

なので
n 1

1

dx  log x 1  
x
なので
1
n
n 1

 x 1r 
1
dx


 
r
r 1
x
1  r  1
1
ゆえに、 r が実数であるとき、 r  

r
r
r
は発散する。
は発散する。
は発散する。
1
n
n 1
1
n 1
r

となり
n
1
n
1
n
n 1
0  r  1 のとき、 
r  1 のとき、 

r
は収束する。
は r  1 のときに収束する。
よって、 s が複素数であるとき、Euler の公式より、任意の実数 r について、
e ir  cos r  i sin r  cos 2 r  sin 2 r  1 が成り立つので、
n s  e log n  e s log n  e Re si Im  slog n  e Re slog n e i Im  s log n  e Re s log n  n Res 
s
したがって、 Res  は実数なので、

n
n 1
ゆえに、 s  

1
n
n 1
s
1
s


n 1
1
n
Res 
は、 Res   1 のときに収束する。
は、 Res   1 のときに絶対収束する。
 s について、次の Euler の積公式が成り立つ。

1
1 
  1  s 
 s pP  p 
14
Re s  1
(2.8)
ここで、 P は素数全体の集合であり、したがって p はすべての素数をとる。
証明
ap  
1
p
s
とすると、上の n s の変形と同様に、a p  
よって、P  N より、
 ap  
pP
a
収束するので、
p
pP

1
p
Re s 

n 1
1
p
s

1
p
s
n
pP
pP
2
1
2
s
となる。
n
n 1
p
1
Re s 
は
が収束す
pP
p
 s  
s

a
も収束する。ゆえに、無限乗積の定理の(4)より、
p
1
p
Re s 
となり、Res   1 だから
Re s 

 1  a  も収束し、定理の(3)より、 1  a    1 
ここで、
1
1
pP
るので、

1
2
s

1
n
n 1
s
 s は、 n が偶数のときの


n 1
1
s
n
1
2n 
s

1
2
s

1
4
s

pP
1
6
s
 

1
2 ns
1 
 も収束する。
s
p 
  となるので、
をたしあわせたものになる。よって、
1

1  s
 2
1
1
1
1
1

 s   s  s  s  1  s  s  s  s  
2
3
5
7
9

1

1
となり、 1  s  s  は、 s  から n が 2 の倍数のときの s の項をひいたものである。同
n
 2 
じように、

1 
1
1
1
1

 1  s  1  s  s   1  s  s 
3
2  3s
 2  3 
 2

1

s
は、 1 
のときの
2
1
n
s


 s 


1
1
 s が  s から n が 2 の倍数のときの s の項をひき、さらに 3 の倍数
s 
3 
n
の項をひいたものを表す。これでは、n が 2 と 3 の公倍数 2  3  6 のときの
の項を重複してひいてるが、
1
2  3s
1
n
s
 s を加えることによって、重複がなくなっている。

1 
1
1
1  s  s は、 s から n が 2の倍数のときと 3の倍数のときの s
s 
n
 2  3 
の項をひいたものである。このように考えていくと、素数 2,3,5, , p k について、
したがって、 1 
1 
1 
1 

 1  s  1  s   1  s  s
pk 
 2  3  
15
は、 s  から n が 2 の倍数、3 の倍数 p k の倍数のときの
1
n
s
の項をひいたものである。
ここで、まず 1 は必ず残る。ここで、集合 E k を 1 より大きい自然数の中で素数 2,3,5, , p k
のどれでも割り切れないものの集合とすると、1以外に残るのは
1
n
nEk
s
である。
1 
1 
1 
1

  1  s  1  s   1  s  s  1   s
pk 
 2  3  
n E k n
よって、 E k は p k よりも大きい整数の集合よりも小さいことに注意すると、
1 
1  
1 

 1  s  1  s   1  s  s  1 
pk 
 2  3  
ここで、 k   とすると、 Res   1 より
1
n
n E k


s
1
n  pk 1
n

1
n
nEk
Re s 
s

n
nEk
1
Res 



n  p k 1
1
n
Re s 
は 0 に収束するので、
1 
1  
1 

 1  s  1  s   1  s  s  1  0
pk 
 2  3  
ゆえに、

1 
 s  1 となるので、(2.8)が成り立つ。
s 
k 
 1  p
pk P

2.3. Wallis の無限乗積の公式
1655 年に Wallis は次の公式を証明した。

2


n 1
4n 2
4n  1
2

2  2 4 4 6 6



1 3 3  5 5  7
この無限乗積は、絶対収束する。なぜなら、u n 


 an  
であるから、
n 1
n 1
4n 2
 1  an とおくと、an 
1
4n  1
4n  1



1
1
1  1
1  1




となり
an

 2


2
4n  1 n 1 4 n  1 2 n 1  2n  1 2n  1  2
n 1

2

 1  a  も収束する。よって、 u
は収束するので、
(2.9)
n
n
n 1
n 1
ここで、(2.9)を示す。Wallis 積分、
16
は絶対収束する。
2


I m   sin xdx   2 cosm xdx
m
2
0
0
は、
I 2n 
1  3  5 2n  1 

2  4  6 2n  2
I 2 n 1 
2  4  6 2n 
1  3  5 2n  1
したがって、
I 2n
I 2 n 1
2
12  3 2  5 2 2n  1 2n  1  1  33  5 5  7 2n  12n  1 

 

2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2  4  6  2 n
2  4  6  2 n


2
n
2 2  4 2  6 2 2n 
I
I
4k 2
 2n  2n  2
1  33  55  72n  12 n  1 I 2 n 1 I 2 n 1 k 1 4k 1
2

ゆえに、(2.9)が成り立つには、 lim
n 
I 2n
I 2 n 1
 1 を示せばよい。いま、 0  x 
0  sin x  1 であるので、sin n x は n の減少列である。よって、1 
1
よって、n   とすると、1 

したがって、
2


2
のとき、
I 2n
, I 2 n  I 2 n 1 より、
I 2 n 1
2n  1
I 2n
I
1
 2 n 1 
 1
2n
I 2 n 1 I 2 n 1
2n
1
I
 1 より、はさみうちの定理から、lim 2 n  1 である。
n  I
2n
2 n 1
I 2 n n 4k 2
の両辺を n   とすると、

I 2 n 1 k 1 4k 2  1

2


n 1
4n 2
4n  1
2
が得られて(2.9)は証明された。
さて、(2.9)で両辺の逆数をとると
2



4n 2  1
n 1
したがって、 lim
n 
n
4k 2
 4k
k 1
2
1
~
4n
2
 
1
   1 
2n2
n 1 
 
1 
1
1
  1  2  1  2  1  2  

  2  4   6 
2n  1
 1 より、
2n
2 n  1 n 4k 2
2  4 4  6 2n  2 2n

 2


2
2n k 1 4k  1
3 3 5 5
2n 12
17
(2.10)
n 1
 2
k 1
2k 2k  2
2k  12
n 1 

2n  12  1
1
2
1
 2 






2
2k 12 
k 1  2n  1
k 1 

n1
よって、 n   とすると、(2.9)より、
 

1
 2 1 

2
2k  12 
k 1 

ゆえに、
 
 
1
1 
1 
1 
  1  2  1  2  1  2  
  1 
2
4 n 1  2n  1   3  5  7 

(2.11)
ここで、(2.10)と(2.11)を辺々かけると、次の式が成り立つ。

1
1 

  1  2 
2 n 2  n 
(2.12)
なお、一般的に次の Euler の公式がある。

sin  x 
 x2 
   1  2 
x
n 
n 1 
この(2.13)式に x 
(2.13)
1
を代入すると、(2.10)になり、その逆数をとると(2.9)になる。また、
2


 x2 
x2
2
 1  n 2   1  x  1  n 2

n 1 
n 2


x2

   1  2
n
n 2 
 sin  x 
 
x

 sin x 
 
2
 1  x  x
よって、 x  1 とすると、右辺は、l’
Hospital の定理より、
lim
x 1
sin x 
1  x x
2
 lim
x 1
 cos x 
1

2
 2 x x  1  x  2
ゆえに、(2.12)を表している。
2.4.
 とコイン投げの問題
18
Wallis の公式(2.9)



2
n 1
4n 2
4n  1
2
において、
4k 2
n
pn  
k 1
4k  1
2
とおくと、

2
 lim pn
n 
である。 p n を変形して、
n
pn  
k 1

4k 2
4k  1
2
2
2k 2
2 2  4 2  6 2 2n 

1  33  5 5  7  2n  12n  1
k 1 2k  12k  1
n

2 2  4 2  6 2  2n
2
1  3  5 2n  1 2n  1
2
2
2
2
2 2  4 2  6 2  2 n  2 2  42  6 2  2n
2

2
1  3  5 2n  1 2n  1  2  4  6 2n 
2
2
2
2
2
2
2
2
ここで、
2 2  4 2  6 2  2n  2 1 2  2 2  3  2 n  2 2 n n!
2
2
2
2
2
2
12  32  52  2n  1 2n  1  22  4 2  62  2 n  12  2 2  32 2n  1 2n 2n  1
2
2
2
2
 1  2  32n  12n 2n  1  2n! 2n  1
2
2
1
1 
2n

~
 1
  lim
2n  1 2 n  n  2n  1

なので、
pn 
ゆえに、

2
2 4 n n!
4
~
2 4 n n!
4
2n !2 2 n  1 2n!2 2n
 lim pn より、Wallis の公式は、次のように書ける。
n 
  lim
n 
2 4 n n!
4
n2n!
2
また、 p n の平方根をとると、次のようにも表すことができる。
19
(2.14)

 lim
pn 
n
2
よって、 n   のとき、
24 n n!

2n !2 2n 2n !
2n!
2
2 n!
~
2n
ここで、(2.15)式の左側の
2 2 n n!
4
2
2n
1
(2.15)
n
2 n! について別の視点で考えてみる。
2
2 n!
2n
コインを 2n 回投げる。このとき、コインの裏表の出方は全部で 2 2 n 通りある。そこで、
表が n 回、裏が n 回出る確率 Pn は、反復試行の確率から、
2n!
2 n!
1  2n 
 2n 2
   2 n
2n 
2  n  2 n!2n  n ! 2 n!
2 n! になる。
したがって、 Pn は(2.15)式の左側の 2 n
2
2 n!
Pn 
1
 Pn ~
1
よって、 n Pn は n を十分大きくすると、

n
に近づくことが分かる。
さて、Gauss 積分

がある。この積分の値

2
れているが、ここでは Pn ~

0
e x dx 
2

(2.16)
2
を導出するのに、極座標に変換するなどして求める方法が知ら
1
n
求める積分をG とおき、 x 
を用いて導出することを試みる。
n t ( n は 0 以上の任意の整数)と変数変換すると、


G   e x dx  n  e nt dt
2
0
2
0
となる。
ここで、 0  x  1 において、 0  1  x 2  e  x である。なぜなら、 e  x  1x  0  より、
2
e
x 2

2



2
2
 (1  x 2 )  2 xe x  2 x  2 x 1  e x  0
20
であり、 x  0 のとき e  x  (1  x 2 ) は 0 なので、 x  0 のとき e  x  (1  x 2 )  0 になるか
2
2

らである。よって、両辺を n 乗すると、0  1  x 2
0 から 1 まで積分すると、
 1  x  dx   e
2 n
1
1
0
nx2
0
1
また、 x  0 において、 e  x 
2
1x
2

n
 e  nx となる。したがって、この式を
2
dx である。
である。なぜなら、 0  e  x  1 x  0 より、
2
2
e  1  x   2xe
x2

x2


 2x  2x e x  1  0
2



であり、x  0 のとき e x  1  x 2 は 0 なので、x  0 のとき e x  1  x 2  0 となり、移項
2
して逆数をとると、 e  x 
2
 1  x 2  になるからである。よって、 n 乗して
1
2
1
1x
2
e nx  1  x 2  である。したがってこの式の 両辺を 0 か ら  まで積分すると、
n
2


0
e  nx dx   1  x 2  dx であるので、これらをまとめると、

2
n
0
 1  x  dx   e
2 n
1
1
0
nx2
0
dx   e  nx dx   1  x 2  dx


2
0
n
0
 n  1  x 2  dx  G   n  e nx dx  n  1  x 2  dx

n
1
0

2
0
n
0
左の式において、 x  sin  と変数変換すると、Wallis の公式より、
n  1  x
1
0
 dx 
2 n


n  1  sin   cos d  n  2 cos 2 n 1 d  n I 2 n 1
2
0
2
n
0
2 n n!  22n n! n  2 2n n! n  n
2  4  6 2n 
 n
1  3  5 2n  1
2n !2n  1 2n !2n  1 2n !2n  1 Pn 2n  1
2
 n
よって、 n   とすると、 Pn ~
1
n
2
より、
n

n

~
Pn 2n  1 2n  1
2
また、右の式において、 x  tan  と変数変換すると、同様に、
21
2
n  1  x


2 n

dx  n  1  tan  
n

1
d  n  2 cos 2 n 2  d  n I 2 n 2
2
0
cos 
1  3  5 2n  3 
1 3  52n  32n  1
2n

 n
  n


2  4  6 2n  2 2
2  4  6 2n  22n  2n  1 2
0
 n
2
2
0
2n !

2n


2
2 n! 2n  1 2
2n
 n Pn
よって、 n   とすると、



2n
1
2n
2n
 ~ n

 

2n  1 2
 n 2n  1 2 2n  1 2


2n


2 n  1 2
2
ゆえに、はさみうちの定理から、 n   のとき、G 

2
である。よって、Gauss 積
分(2.16)が示せた。
2.5. Stirling の公式
n が大きくなると、 n! は急速に増加する。Stirling は、 n! について次の式を得た。
n
n!~ 2 n  
e
n
(2.17)
この式には、 と e という数学上基本的な数を含んでいる。
(2.17)の証明を行う前に、Mercator の式
log1  x   x 
m
1 2
m 1 x

x     1
2
m
 1  x  1
が成り立つことを示す。
実数t が t   1 をみたすとき、
n
1
n 1
n t
 1  t  t 2     1 t n 1   1
1 t
1 t
が成り立つ。
なぜなら、右辺は等比数列の和の公式を使って、
1  t  t     1 t
2
n 1 n 1
n
tn
1   t 
n t
  1

  1
1 t
1 t
1 t
n
n
22
1   1 t
1
n t

  1

1 t
1 t 1 t
n n
n
と変形できるからである。
よって、  1  x  1 とし、両辺を 0 から x まで積分すると、
n
x

1
n 1 n1
n t
2
0 1  t dt  0 1  t  t    1 t  1 1  t dt
x
 1  t dt  log1  t 
x
1
 log1  x 
t x
t 0
0
n


n 1 n 1
n t
2
t
t
t











1

1
1
dt
0 
1 t 
x
tx
n
n
x
 t 2 t3
n t 
n t
dt
 t       1 1     1
n  t 0 0
2 3
1 t

x
n
n
x2 x 3
n 1 x
n x t
dt

    1
  1 
0 1 t
n
2
3
 log1  x   x 
n
n
x2 x3
n 1 x
n x t
dt

    1
  1 
0 1 t
n
2
3
ここで、 0  x  1 のとき、
tn
 1 0
dt 
1 t
n
x
n
1
x t
x
tn
1
n
n
dt
dt
t
dt



0 1  t
0 1  t 0
0 t dt  n  1
x
となり、一方、  1  x  0 のとき、
tn
1
 1 0
dt 
1 t
1 x
n
x

0
x
t n dt 
1
1  x n  1
となる。よって、 n   とすると、  1
n
log1  x   x 
tn
0 1  t dt  0 となる。ゆえに、このとき、
x
n
x2 x 3
n 1 x

    1

2
3
n
が成り立つ。
ちなみに、この式に x  1 を代入すると、
log 2  1 
1 1
n 1 1
     1

2 3
n
23
 1  x  1
となる。
ここで、Stirling の公式(2.17)を証明する。
S n  logn!  log 1  log 2    log n とおく。
図で y  log x 上の点を順に 1, log 1 、 2, log 2 、 3, log 3 n, log n 、 n,0  と直線で結
んだものと x 軸で囲まれた部分の面積は、
log 2 log 2  log 3 log 3  log 4
logn  1  log n
1


 
 S n  log n
2
2
2
2
2
この面積と、 y  log x と x  n と x 軸で囲まれた部分の差を d n とすると、
1
1

 n


d n   S n  log n    log xdx   S n  log n   nlog n  1  1
2
2

 1


1
 S n  log n  nlog n  1  1
2
さらに、u n  d n 1  d n とおくと、
u n  d n 1  d n  S n 1  S n 
1
1
logn  1  log n  n  1logn  1  1 nlog n  1
2
2
1
1
 log n  1  log n  1  log n  n log n  1  n  logn  1  1  n log n  n
2
2
1
1
1
1


  log n  1  log n  n log n  1  1  n log n  1   n   log n   n   log n  1
2
2
2
2


1
1  1


 1   n  log n  1  log n  1   n   log 1  
2
2  n


24
ここで、
log1  x   x 
m
1 2
m 1 x
   1  x  1
x     1
2
m
より、
1
1
1
 1 1
log 1     2  3  4  
3n
4n
 n  n 2n
なので、
1 
1
1  1
1
1
1



1   n   log 1    1   n     2  3  4   
n
2 
2   n 2n
3n
4n



1  1
1
1
1


 1   n    2  3  4  
2  n 2n
3n
4n



1
1
1
1
1
1
  1

 1   1 
 2  3      2  3  4   
6n 8n
  2n 4n

  2 n 3n 4 n
1
 1 

 O 3 
2
12n
n 
よって、n   のときu n  0 となるので d n  S n 
1
log n  nlog n  1  1 は極限を持つ。
2
1
log n  nlog n  1 が k に収束するとする。式変形をして、
2
1
1
n!
S n  log n  n log n  1  log n!  log n  nlog n  log e   log
n
2
2
n
n 
e
n!
n!
よって、 n   とすると、 log
 k なので、
 e k となる。
n
n
n
n
n 
n 
e
e
このとき、 d n  1  S n 
ゆえに、ここでC  e k  0 とすると、
n!
n
n 
e
n
 C 、すなわち、
n
n!~ C n  
e
となる。ここで、 Pn 
n
2n !
をこれを用いて変形すると、
2
2 n!
2n
25
Pn 
2n !
2
2
2 n n!
~
 2n 
C 2n  
 e 
2n
n

 n  

2 C n 

 e  

2
n
C 2n 2 2 n  
 e

n
2 2 n C 2 n 
e
2n
1
よって、(2.15)より Pn ~
n
なので
2
C n

1
n
2n
2n

2
C n
、つまりC 
2 である。
以上のことから Stirling の式
n
n!~ 2 n  
e
n
が成り立つ。
2.6. Gregory と Leibniz の公式
無限級数は特別な幾何級数を除いて 17 世紀に入るまであまり注目されなかった。17 世紀
に Gregory や Leibniz 等の研究により大きな役割を果たすようになった。ここでは、
Gregory-Leibniz の公式を考察する。
arctan x は次のように展開される。
arctan x  x 
2 n 1
x3 x5
n x

    1

3
5
2n  1
 x  1
(2.18)
この式の x  1 の場合の式

4
 1
1 1
1
n
     1

2n  1
3 5
(2.19)
が Gregory-Leibniz の公式である。
ここで(2.18)の現代的な証明をする。任意の実数t において、
1
1 t
 1  t 2  t 4     1 t 2 n   1
n
2
が成り立つ。
なぜなら、右辺は等比数列の和の公式を使って、
26
n 1
t 2 n 2
1 t
2
(2.20)
1  t  t     1 t
2

n 2n
4
1   1
n 1 2 n 2
t
1 t
2
  1
  1
n 1
t 2n 2
1 t

2
1t
1
2
1 t
1   t 2 
n 1
t 2 n 2
n 1

1 t
2
  1
n 1
t 2n 2
1 t
2
2
と変形できるからである。
ここで、 x 

2
のとき、 arctan x を微分すると、(2.20)より、
arctan x 

1
 1  x 2  x 4     1 x 2 n   1
n
1 x
2
x 2 n 2
n 1
1x
2
である。ここで、0 から x までの範囲で積分すると、
 arctan
x
0
t  dt
 arctan t 
t x
t 0
2n 2


n 2n
n 1 t
2
4
dt
 arctan x   1  t  t     1 t   1
2 
0
1 t 

x
t x
2 n 1
2 n 2
 t3 t5

n t
n 1 x t


 t       1


1

0 1  t 2 dt
2 n  1 t 0
 3 5
x
2 n 1
2n 2
xt
x3 x5
n x
n

    1
  1 1 
dt
0 1 t 2
3
5
2n  1
 arctan x  x 
2 n 1
2n 2
xt
x3 x5
n x
n

    1
  1 1 
dt
0 1 t 2
3
5
2n  1
ここで、さらに x  1 とすると、
t 2 n 2
t 2n 2
 1 0 2 dt  0 2 dt  0 t
1 t
1 t
n 1
x
x
x
2 n 3
2 n 2
x
x 2 n 3
1
dt 


2n  3 2 n  3 2n  3
よって、 n   とすると x  1 より、はさみうちの定理から  1
n 1
x
t 2 n 2
0
2
 1 t
るので、 arctan x は次のようになる。
arctan x  x 
2 n 1
x3 x5
n x

    1

3
5
2n  1
ゆえに(2.18)が成り立つことが示された。
ここで、 x  1 のとき、 arctan1 

4
なので、(2.19)も成り立つ。
27
 x  1
dt  0 であ
2.7. πの連分数展開
2.7.1. 連分数について
連分数は実数について理解するための重要な手段の 1 つであり、数学の歴史上、大きな
役割を果たしてきた。
an とbn を複素数列とするとき、
b0 
a1
b1 
a2

b2 
a n 1

bn 1 
an
bn
の形で表されるものを連分数という。ここで、この式の値を
pn
とする。ただし任意の n に
qn
ついて qn  0 である。
連分数の公式として Wallis と交流のあった Brouncker による公式がある。
4

1
 1
(2.21)
9
2
2
25
49
2
2 
上の連分数の定義の式で an  2n  1 , b0  1, bn  2n  2 とする。つまり
2
pn
 1
qn
1
2
9
2


2 n  32
 2 n  1 2
2
である。例えば、
p3
までを求めると次のようになる。
q3
28
2
p0
p
12 3 p
 1, 1  1   , 2  1 
q0
q1
2 2 q2
また、このとき、Brouncker の公式(2.21)は
1
2
4

2
3
2

 lim
n 
15 p3
 1
,
13 q 3
1
2
3

2
105
76
2
5
2
2
pn
であることをいっている。
この(2.21)
qn
式の証明については、連分数の性質について述べた後に証明する。
2.7.2. 連分数の収束
an とbn を複素数列とするとき、連分数
b0 
a1
b1 
a2
b2 


an
bn  
を
b0 
a1 a 2
a
 n 
b1  b2   bn 
(2.22)
で表すことにする。また、
pn
 b0 
qn
a1
b1 
b2 

(2.23)
a2

an 1
bn 1 
an
bn
を
pn
a a2
a
 b0  1
 n
qn
b1  b2   bn
で表すことにする。ただし、任意の n について qn  0 である。
ここで、この第 n 番目までの連分数の値
pn
が n を無限大にするとある極限値 x を持つと
qn
き、連分数(2.22)が x に収束すると定義し、次のように書く。
x  b0 
a1 a 2
a a2
a
  b0  1
 n 
b1  b2 
b1  b2   bn 
29
2.7.3. 連分数の性質
pn
a a2
a
 b0  1
 n
qn
b1  b2   bn
について次の漸化式が成り立つ。
p n 1  bn 1 p n  an 1 p n 1
qn 1  bn 1 q n  an 1 qn 1
n  1
(2.24)
また、
p 0  b0 , q 0  1, p1  b0 b1  a1 , q1  b1
(2.25)
証明
pn
a a2
a
 b0  1
 n
qn
b1  b2   bn
について、 n  0 のとき、
n  1 のとき、
p0
 b0 である。よって、 p0  b0 , q0  1 とおくことができる。
q0
p1
a
b b a
 b0  1  0 1 1 である。よって、 p1  b0 b1  a1 , q1  b1 とおくこ
q1
b1
b1
とができる。よって、(2.25)が成り立つ。
次に帰納法により(2.24)を証明する。
p2
 b0 
q2
 b0 
a1
b1 
a1b2
b1b2  a2
a2
b2

b0 b1b2  b0 a2  a1b2
b1b2  a2
なので p 2  b0 b1 b2  b0 a 2  a1 b2 , q 2  b1b2  a2
である。
よって、b2 p1  a 2 p0  b2 b0 b1  a1   a2 b0  b0 b1 b2  a1 b2  a 2 b0  p 2
b2 q1  a2 q0  b2 b1  a 2  q2
よって、(2.24)は n  1 のときに成り立つ。
n  k k  1 のとき、(2.24)が成り立つとする。つまり、
30
p k 1
 b0 
qk 1
a1
b1 
(*)
a2

b2 
ak
a
bk  k 1
bk 1

と表せるとき、
p k 1  bk 1 pk  a k 1 pk 1
(**)
qk 1  bk 1 qk  a k 1 q k 1
が成り立つ。
次に、
p k 2
 b0 
qk  2
a1
b1 
a2
b2 

を考える。ここで、bk1  bk 1 

ak
ak 1
bk 
a
bk 1  k 2
bk 2
ak  2
とおくと、
bk 2
p k 2
 b0 
qk 2
a1
b1 
a2
b2 


ak
a
bk  k 1
bk 1
となる。これは、(*)の式で p k 1 が p k 2 に、qk 1 が qk 2 に、bk 1 がbk1 になったものである。
よって、(**)が成り立つのでこれにあてはめると、
p k 2  bk 1 pk  a k 1 pk 1
qk  2  bk1 qk  a k 1 q k 1
となる。ゆえに、bk1  bk 1 
ak  2
と仮定(**)より、
bk 2
31
p k 2 bk 1 pk  a k 1 pk 1

qk  2 bk1 qk  a k 1 q k 1


a 
 bk 1  k 2  pk  a k 1 pk 1

bk  2 
b b p  ak  2 pk  bk 2 ak 1 p k 1


 k 1 k 2 k
bk 1bk  2 q k  ak  2 q k  bk 2 ak 1 qk 1

a 
 bk 1  k  2  qk  a k 1 q k 1
bk 2 

bk  2 bk 1 p k  ak 1 p k 1   ak  2 pk bk 2 p k 1  ak  2 pk

bk  2 bk 1 qk  a k 1q k 1   a k 2 qk
bk 2 q k 1  ak  2 q k
よって、 p k 2  bk 2 p k 1  ak 2 p k ,
qk 2  bk 2qk 1  ak  2qk が成り立つ。
ゆえに、 n  k  1 のときにも成り立つので、(2.24)が成り立つことが証明された。
命題 1.
n n 1 を 0 を含まない任意の複素数列とする。このとき、
b0 
a1 a 2
a
 n 
b1  b2   bn 
と、
b0 
1 a1 1  2 a 2
  a
 n 1 n n 
1 b1   2 b2    n bn 
(2.26)
の 2 つの連分数は、一方が収束すればもう一方も収束し、一方が発散すればもう一方も発
散する。収束すれば、同じ値に収束する。
証明
(2.26)において 1 a1  a1,  n 1  n an  a n n  2,  n bn  bn n  1 とおくと、(2.26)は、
b0 
1 a1 1  2 a 2
  a
a a2
a
 n 1 n n   b0  1
 n 
1 b1   2 b2    n bn 
b1  b2   bn 
と変形できる。いま、
p n
a  a 2
a
 b0  1
 n
qn
b1  b2   bn
pn
a a2
a
 b0  1
 n
qn
b1  b2   bn
とおく。
ここで、 n  1 のとき、
p n  1  2   n pn
qn  1  2  n qn
が成り立つことを帰納法を用いて示す。
n  1 のとき、
p1
a
b b a
 b0  1  0 1 1
q1
b1
b1
よって、 p1  b0 b1  a1 , q1  b1 である。一方、
32
p1
 a  b b  a1  1 p1
 b0  1 1  1 0 1

q1
1 b1
 1b1
 1q1
ゆえに、 p1   1 p1 , q1  1 q1 が成り立つ。
また、 n  2 のとき、
p2
 b0 
q2
a1
b1 
a2
b2

b0 b1 b2  b0 a 2  a1 b2
b1 b2  a 2
よって、 p 2  b0 b1b2  b0 a2  a1b2 , q2  b1 b2  a 2 である。一方、
p 2
 b0 
q2
1 a1
b  b  b  b0  1 2 a2  1 a1 2 b2
 0 1 1 2 2
a
1 b1  2 b2  1  2 a 2
1 b1  1 2 2
 2 b2
 1 2 b0 b1 b2  b0 a 2  a1 b2  1  2 p2

 1 2 b1 b2  a 2 
1  2 q 2
ゆえに、 p 2  1  2 p2 , q2  1  2 q 2 が成り立つ。

n  k と n  k  1 のとき、 k  1
 p k  1  2   k p k

 q k  1  2   k qk
 p k 1  1  2   k 1 pk 1

 q k 1  1  2   k 1 q k 1
(***)
が成り立つとする。漸化式(2.24)から、
p k 2  bk 2 p k 1  a k 2 p k
qk  2  bk 2 q k 1  ak 2 qk
p k 2  bk 2 p k 1  ak 2 p k
qk  2  bk  2 q k 1  ak 2 qk
が成り立つ。これと、  n1  n an  a n ,  n bn  bn と(***)から、
p k 2  bk 2 p k 1  ak 2 p k   k 2 bk  2 1  2  k 1 p k 1   k 1  k 2 a k 2 1  2   k pk
  1 2  k  2 bk  2 pk 1  ak  2 pk   1  2   k 2 p k 2
qk  2  bk 2 q k 1  ak 2 qk   k  2 bk 2 1 2   k 1 q k 1   k 1  k 2 a k 2 1  2   k q k
  1 2  k  2 bk  2 q k 1  ak 2 qk   1  2   k 2 qk  2
ゆえに、 p k 2  1  2  k  2 p k 2 , qk 2  1 2  k 2 qk 2 となり、 n  k  2 のときにも成り
立つ。
したがって n  1 のとき、
p n  1  2   n pn
qn  1  2  n qn
が成り立つ。よって、
p n 1  2   n pn
p

 n
qn
1 2   n q n q n
n  1
となり、同じ値をとるので n   とすると、一方が収束すればもう一方も収束し、同じ値
33
に収束する。一方が発散すればもう一方も発散する。
ゆえに、命題 1 が成り立つことが示された。
命題 2.
x  b0 
とする x  0 。このとき、
a1 a 2
a
 n 
b1  b2   bn 
1 1 a1 a2
a

 n 
x b0  b1  b2   bn 
である。
証明
1 a1 a 2
p n
a
 n1
 0
qn
b0  b1  b2   bn 1
pn
a a2
a
 b0  1
 n
qn
b1  b2   bn
とおく。このとき、 n  1 で、
p n  qn 1 , qn  p n 1
が成り立つ。これを帰納法で証明する。b0  0, a1  1, bn  bn 1 , an  a n 1 n  1 とおくと
1 a1 a 2
p n
a
a  a2
a
 0
 n1  b0  1
 n
qn
b0  b1  b2   bn 1
b1  b2   bn
となる。
ここで、
p0
 b0
q0
よって、 p 0  b0 , q0  1 である。一方、
p1
a
1
 b0  1 
q1
b1 b0
ゆえに、 p1  1  q0 , q1  b0  p 0 となり、 n  1 のときに成り立つ。
また、
p1
a
b b a
 b0  1  0 1 1
q1
b1
b1
よって、 p1  b0 b1  a1 , q1  b1 である。一方、
p 2
 b0 
q2
a1
b1 
a2
b2

1
b0 
a1
b1

b1
q
 1
b0 b1  a1 p1
ゆえに、 p 2  q1 , q2  p1 となり、 n  2 のときも成り立つ。
34
さらに n  k と n  k  1 のとき、 k  1
 p k  q k 1

qk  p k 1
 p k 1  qk

qk 1  pk
が成り立つとする。すると、漸化式(2.24)から、
p k 2  bk 2 p k 1  ak 2 p k  bk 1 q k  ak 1 qk 1  q k 1
qk  2  bk 2 q k 1  ak 2 qk  bk 1 p k  ak 1 p k 1  p k 1
となり、 n  k  2 のときにも成り立つ。ゆえに、 n  1 で、
p n  qn 1 , qn  p n 1
が成り立つ。
1
pn
p
q
なので、 lim n  lim n 1  となる。
n  q 
n  q
n  p
x
n
n
n 1
よって、 x  lim
 b0 
1 a1 a 2
1
a1 a 2
a
a
 n
 n 1  
b1  b2   bn
b0  b1  b2   bn 1
x
ゆえに、命題 2 が成り立つことが示された。
命題 3. 整数 k が k  1 で固定されているとする。
x  b0 
a1 a 2
a
ak 1
a
 k
 kn 
b1  b2   bk  bk 1   bk n 
また、
x k  bk 
ak 1 ak  2
a
 kn 
bk 1  bk 2   bk n 
とし、
y  b0 
a1 a 2
a
ak
 k 1
b1  b2   bk 1  x k
とおくと、 x  y である。
証明
x k  bk 
ak 1 ak  2
a
 k  n  を y の式の x k に代入すると、明らかに、
bk 1  bk 2   bk n 
35
y  b0 
a1
b1 
b2 

 b0 
a2

a1
b1 
a k 1
bk 1 
b2 

ak 1

ak
xk
x
a2
bk 1 
ak
a k 1
bk 
bk 1  
である。
2.7.4. Brouncker の公式の証明と無限級数の連分数展開
ここでは、前節までの内容を踏まえて(2.21)の Brouncker の公式の証明を行うが、その前
に無限級数の連分数展開の一般理論について述べる。
u 0  u1  u 2    un  
(2.27)
複素数列の級数とする。ただし、u n  0n  1 である。また、
n
sn   u k
k 0
とおく。連分数
b0 
a1 a 2
a
 n 
b1  b2   bn 
において、
pn
a a2
a
 b0  1
 n
qn
b1  b2   bn
とし、
a1  u1 , a 2  
b0  u 0 , b1  1, b2  1 
u2
u
, , an   n , 
u1
u n1
u2
u
, , bn  1  n , 
u1
un 1
とおくと、 n  0 において、
pn
 sn
qn
が成り立つ。このことを証明する。
証明
まず、 n  0 において、
36
n  2 
qn  1
が成り立つことを帰納法で示す。
(2.25)が成り立つので q0  1, q1  b1  1 が成り立つ。ゆえに、n  0,1 のときに成り立つ。
また、 n  k , k  1k  0  のときに、
qk  q k 1  1
が成り立つとする。ここで、(2.24)の漸化式が成り立つので、
qk  2  bk  2 q k 1  ak 2 qk  1 
u k  2 uk  2

1
u k 1 u k 1
となる。ゆえに、 n  k  2 のときも成り立つ。
したがって、帰納法より qn  1 が n  0 で成り立つことが示された。
よって、 p n  s n n  0 を示せば、
pn
 sn
qn
が成り立つことになる。ここで、 p n  s n n  0 を帰納法で示す。
(2.25)が成り立つので p 0  b0  u0  s0 , p1  b0 b1  a1  u 0  u1  s 1 が成り立つ。ゆえ
に、 n  0,1 のときに成り立つ。
また、 n  k , k  1k  0  のときに、
p k  sk , p k 1  sk 1
が成り立つとする。ここで、(2.24)の漸化式が成り立つので、
u
 u 
 u 
u
p k 2  bk 2 p k 1  ak 2 p k  1  k  2  sk 1  k 2 s k   1  k 2  sk  u k 1   k 2 sk
u k 1
u k 1 
u k 1
 u k 1 

 sk 
uk  2
u
sk  u k 1  u k 2  k  2 sk  sk  u k 1  u k 2  s k 2
u k 1
u k 1
となる。ゆえに、 n  k  2 のときも成り立つ。
したがって、帰納法より p n  s n n  0 が成り立つことが示された。
以上のことから、 n  0 において、
pn
 sn
qn
が成り立つことが示された。
このことから、
pn
と s n は同じ値をとるので n   とすると同時に収束、発散し、収束
qn
すれば同じ極限を持つ。
したがって、無限級数(2.27)をこのような操作で連分数に変形することができる。
37
これを、Gregory-Leibniz の公式の証明で出てきた(2.18)の式
2 n 1
x3 x5
n x

    1

3
5
2n  1
で用いる。右辺の無限級数は、上のu n で
arctan x  x 
u 0  0, u1  x , u 2  
 x  1
2 n 1
x3
n 1 x
,  , u n   1
n  1,
3
2n  1
としたものである。よって、上の方法を用いて連分数に変形すると、
a1  u1  x, a 2  
u 2 x2
u
2n  3 2
,  , an   n 
x ,

3
u1
u n 1 2n  1
u2
x2
u
2n  3 2
x ,
 1  ,  , bn  1  n  1 
3
u1
u n 1
2n  1
b0  u 0  0, b1  1, b2  1 
となる。このとき、連分数は、
a1 a 2
a
 n 
b1  b2   bn 
になるが、ここで 2.7.3 節の命題 1 を用いて、  n  2n  1n  1 として展開すると、
b0 
a1 a 2
a
 a 1  2 a 2
  a
 n   b0  1 1
 n 1 n n 
b1  b2   bn 
1 b1   2 b2   n bn 
3 x 
2n  3 x 2
x
x2



1  3  x 2  5  3x 2   2 n  1  2n  3x 2 
2
2
となる。ゆえに、
 3x 
2n  3 x 2
x
x2


arctan x 
1  3  x 2  5  3x 2   2 n  1  2n  3x 2 
2
2
x  1
となる。ここで、 x  1 とすると、
2n  3
1 12 32
arctan1  


4 1 2  2  
2


2
を得る。ここで 2.7.3 節の命題 2 より、
1 1 a1 a2
a
a a2
a

 n   x  b0  1
 n 
x b0  b1  b2   bn 
b1  b2   bn 
であるので、これを適用すると、
2n  1
1 32
 1


2 2  
2


2
4
となり、Brouncker の公式が得られた。
38
x  0
さて、ここで、 arctan x 以外の級数展開を用いてさまざまな数の連分数表示をする。
まず、2.5 節の Stirling の公式の証明で用いた Mercator の式
n
1 2
n 1 x

x     1
2
n
log1  x   x 
 1  x  1
を連分数で表す。ここで、
u 0  0, u1  x , u 2  
n
x2
n 1 x
, , u n   1
,
2
n
とし、
a1  u1  x, a 2  
u2 x
u
n 1
 , , a n   n 
x ,
u1 2
u n 1
n
b0  u 0  0, b1  1, b2  1 
n  2 
u2
x
u
n 1
 1  , , bn  1  n  1 
x ,
u1
2
u n1
n
とおき、ここで 2.7.3 節の命題 1 を用いて、  n  nn  1 として連分数で表すと、
b0 
a1 a 2
a
 a 1  2 a 2
  a
 n   b0  1 1
 n 1 n n 
b1  b2   bn 
1 b1   2 b2   n bn 
n 1 x
x
x
22 x
n2 x



1  2  x  3  2x   n  n  1x  n  1  nx 
2
となる。ゆえに、
log1  x  
22 x
x
x
n2 x


1  2  x  3  2x   n  1  nx 
である。ここで、 x  1 とすると、
n2
1 1 4 9 16
log2 


1 1 1  1  1   1 
と表せる。
次に、
ex  1 
x x2
xn

 

1! 2 !
n!
について考える。ここで、
u 0  1, u1 
x
x2
xn
, u2 
, , un 
,
1!
2!
n!
とし、
a1  u1 
x
u
x
u
x
, a2   2   , , a n   n   , 
1!
2
u1
un 1
n
39
n  2 
b0  u 0  1, b1  1, b2  1 
u2
x
u
x
 1  , , bn  1  n  1  , 
2
u1
u n 1
n
とおき、ここで 2.7.3 節の命題 1 を用いて、  n  nn  1 として連分数で表すと、
b0 
1 
a1 a 2
a
 a 1  2 a 2
  a
 n   b0  1 1
 n 1 n n 
b1  b2   bn 
1 b1   2 b2   n bn 
x  x  2x
 n  1x


1 2 x 3 x   n x 
となる。ゆえに、連分数展開
ex  1 
x  x  2x
 n  1x


1  2  x  3 x   n  x 
を得る。次に、これを用いて、
xe x
x
e 1
xe x
x
e 1
の連分数展開を行う。 y 

x
x
e 1
x
x
e 1
とすると、
x  y x
となる。ここで、
 
 n  1x
x  x  2x
1 1 x
1 
 e  1  1 

  1
y x
x  1  2  x  3  x   n  x   

1  x  x  2x
 1
 n  1x

  

x 1 2 x 3 x   n  x   x
1

1  x  2x
 n  1x


12 x 3 x   n x 
x
1

x
x
1
 2x
 2x
2 x 
2x




ここで 2.7.3 節の命題 2 より、
1 1 a1 a2
a
a a2
a

 n   x  b0  1
 n 
x b0  b1  b2   bn 
b1  b2   bn 
であるので、これを適用すると、
y 1 

xe x
x
 x  2x
 n  1x


2 x 3 x   n x 
 y  x  1 x 
e 1
となる。ここで、 x  1 を代入すると、
 x  2x
 n  1x


2 x 3 x   n  x 
40
x  0
 e 1
1
e 1

1
1 2
n 1



e  1 1 2   n  1
ここで再び 2.7.3 節の命題 2 を適用すると、
e  1  1
2 3 4
n


2 34  n 
e  2
2 3 4
n


2 34  n 
よって、 e の連分数展開を得ることができた。
2.7.5. 無限乗積の連分数展開
無限級数と同様にここでは無限乗積について連分数展開を述べる。無限乗積
を考える。ただし、u n
1  u 0 1  u1 1  u2 1  un 
  1 かつu n  0n  1 である。また、
(2.28)
n
t n   1  u k 
k 0
とおく。連分数
b0 
a1 a 2
a
 n 
b1  b2   bn 
において、
pn
a a2
a
 b0  1
 n
qn
b1  b2   bn
とし、
a1  1  u 0 u1 , a2   1  u1 
u2
u
, , a n   1  u n 1  n ,
u1
un 1
b0  1  u 0 , b1  1, b2  1  a 2 , , bn  1  an , 
n  2 
とおくと、 n  0 において、
pn
 tn
qn
が成り立つ。このことを証明する。
証明
無限級数の場合と同様に、まず、 n  0 において、
qn  1
が成り立つことを帰納法で示す。
(2.25)が成り立つので q0  1, q1  b1  1 が成り立つ。ゆえに、n  0,1 のときに成り立つ。
41
また、 n  k , k  1k  0  のときに、
qk  q k 1  1
が成り立つとする。ここで、(2.24)の漸化式が成り立つので、
qk  2  bk  2 q k 1  ak 2 qk  1  a k 2   a k 2  1
となる。ゆえに、 n  k  2 のときも成り立つ。
したがって、帰納法より qn  1 が n  0 で成り立つことが示された。
よって、 p n  t n n  0  を示せば、
pn
 tn
qn
が成り立つことになる。これを帰納法で示す。
(2.25)が成り立つので p 0  b0  1  u 0  t 0 , p1  b0 b1  a1  1  u 0   1  u 0 u1
 1  u 0 1  u1   t 1 が成り立つ。ゆえに、 n  0,1 のときに成り立つ。
また、 n  k , k  1k  0  のときに、
p k  t k , pk 1  t k 1
が成り立つとする。ここで、(2.24)の漸化式が成り立つので、
p k 2  bk 2 p k 1  ak 2 p k  1  ak  2 t k 1  1  u k 1 
u k 2
u
t k  1  a k 2 t k 1  k 2 t k 1
u k 1
uk 1
u 
u
 u

u

 1  1  u k 1  k 2 t k 1  k 2 t k 1  1  k 2  uk 2  t k 1  k 2 t k 1  t k  2
u k 1 
u k 1
uk 1

 u k 1

となる。ゆえに、 n  k  2 のときも成り立つ。
したがって、帰納法より p n  t n n  0  が成り立つことが示された。
以上のことから、 n  0 において、
pn
 tn
qn
が成り立つことが示された。
これを、次の(2.13)で出てきた Euler の無限乗積の公式に適用する。

 x 2   
x
x 
sin  x 
   1  2     1   1   
x
n  n 1  n   n  
n 1 
x
x
x
x

 1  x 1  x  1    1   1   1  
3
 2   2   3 
ここで、
42
(2.29)
x
x
x
x
u 0  0, u1   x , u 2  x , u3   , u 4  , , n  1 のときu 2 n 1   , u 2 n 
2
2
n
n
よって、 a1  1  u0 u1   x , b0  1  u0  1, b1  1
n  1 のとき
a2 n   1  u2 n 1 
u 2n
x
 x n
 1  , a2 n 1  1  
u 2 n 1
n
 n  n 1
x
1x
, b2 n 1  1  a 2 n 1 
n
n 1
ここで 2.7.3 節の命題 1 を用いて、 1  1,  2 n  n,  2 n1  n  1n  1 として連分数で表す
b2 n  1  a2 n 
と、
b0 
a1 a 2
a
 a 1  2 a 2
  a
 2 n  2 n 1 a 2 n 1
 n   b0  1 1
 2 n 1 2 n 2 n

b1  b2   bn 
1 b1   2 b2   2 n b2 n   2 n 1 b2 n 1 
よって、
n  n  x  n  n  x 
sin  x 
 x 1  x 1  x 2  2  x 
 1


1  x 1  x 
x
x
 
 1x 
x
(2.30)
を得る。
この式に x 
 
sin  
2
1
を代入すると、
2
1
1


1
1 2   2  1 
1
n  n   n  n  
1
1
2
2
2
2



2
2
  1 2


1
1
1
1
1


 


1 

1
1
2
2
2
2
2


2
ここで再び 2.7.3 節の命題 1 を用いて、  n  2n  1 として連分数で表すと、
1
1


1
1 2   2  1 
1
n  n   n   n  
1
1
2
2
2



2
2


1 2
1
1
1
1 
 

1  1 
1
1
2
2
2
2
2

1 
2n  1 2n 2n  2n  1
1 1  2 2  3 3  4


2  1  1  1  
1
1


ゆえに、
2

 1
n  n  1
 1 12 2  3 3 4


2  1  1  1  
1

また 2.7.3 節の命題 2 を用いて

2
 1
n  n  1
 1 1 2 2  3 3  4



2  1  1  1  
1
43
(2.31)
この式に x  
  
sin   
 2


2
1
を代入すると、
2
1
1


1
1 2   2  1 
1
n  n   n  n  
1
1
2
2
2
2



2
2
  1 2


1
1
1
1
1


 


1




1
1
2
2
2
2
2
ここで 2.7.3 節の命題 1 を用いて、  n  2n  1 として連分数で表すと、
1 
2n  1 2n 2n  2n  1
1 1  2 2  3 3  4


2  1  1  1  
1
1


ゆえに、
2

 1
n  n  1
 1 12 2  3 3 4


2  1  1  1  
1

44
(2.32)
第3章
Euler の公式とπ
任意の z  C に対し、以下のように定義する。
1n 2 n
z
n 0 2n !

cos z  
z  C, z 
tan z 

2

1 iz
e  e iz 
2

sin z  
n 0
 1n
2n  1!
z 2 n 1 
1 iz
e  e iz 
2i
  Z に対し、以下のように定義する。
sin z
e iz  e iz
 iz
cos z i e  e iz 
任意の z  C に対し、双曲線関数を以下のように定義する。
1
z 2n
 e z  e z 
2
n 0 2n !

cosh z  
tanh z 
1
z 2 n 1
 e z  e z 
2
n 0 2n  1!

sinh z  
sinh z e z  e  z

cosh z e z  e  z
これらの定義から、次の性質が導かれる。
coshiz  
1 iz
e  e iz   cos z
2
tanhiz  
e iz  e  iz
iz
e e
iz
sinh iz  
 i tan z
45
1 iz
e  e iz   i sin z
2
3.1.

1
n
n 1
2

2
6
に関するさまざまな証明
ここでは Euler の公式

1
n
n 1
(3.1)
2
の計算方法を考える。
、
3.1.1. Feje r 核
、
まず、Fejer 核による計算を述べる。
、
Fejer 核は、
n
k 

Fn  x   1  2  1 
 coskx
n  1
k 1 
として表される。
この式を計算してみるために、Dirichlet 核を計算する。Dirichlet 核は、
n
Dn  x  
e
ikx
k n
として表されるものである。
i
ここで、等比数列の和の公式を用いて、分母分子に e
Dn  x  
n
e
ikx
 e inx
k n
1 e
i  2 n1 x
1 e
ix

e
inx
e
1 e
i n 1  x
ix

e
x
2
をかけて計算すると、
 1
 i n   x
 2
e
x
i
2
e
e
 1
i  n  x
 2
i
x
2
1
1

 2 sin n   x sin n   x
2
2


 
x
x
 2 sin
sin
2
2
となる。
一方、
l
1 n l ikx
e
を計算すると、
F

x

に一致する。なぜなら、具体的に
e ikx の


n

n  1 l 0 k  l
k l
部分を書き出してみると、
l  0 のとき、 e 0
l  1 のとき、 e ix  e 0  e ix
46
l  2 のとき、 e 2 ix  e ix  e 0  e ix  e 2ix
・・・
l  n のとき、 e inx    e 2ix  e ix  e 0  e ix  e 2 ix    e inx
よってこれらを全て加えると、e 0 が n  1 個、e ix と e ix がそれぞれ n 個、
・・・、e inx と e inx


がそれぞれ1個ある。すなわち、  n  k  n について、 e ikx が n  1  k 個あるので、
n
l
  e ikx 
l 0 k  l
n
また、
 n  1  k e
ikx
n
 n  1  k e
ikx
k n
で、 k   m のときと、 k  m のときを加えると、
k  n
n  1 
 m e  imx  n  1  m e imx  2n  1  m cosmx 
ゆえに、
n
l
  e ikx 
l 0 k  l
n
 n  1  k e
ikx
k n
n
 n  1  2 n  1  k  coskx
k 1
よって、
n
1 n l ikx
k 



e
1
2
1 
 coskx  Fn  x 



n  1 l 0 k  l
n  1
k n 
ここで、
Fn  x  


1 n l ikx
  e に Dirichlet 核の計算の結果をあてはめると、
n  1 l 0 k  l
n
l
1
e ikx


n  1 l 0 k   l
 1
sin  l  
1
1
 2

Dl  x  


x
n  1 l 0
n  1 l 0
sin
2
n
n
  1
sin l   sin

2
2 x l 0 

n 1sin
2
n
1
1
2n  1sin
2
x
2
x

2
1  cosn  1x 
sin 2
n
1
x
2n  1sin
2
2
n  1
2
n  1 sin 2
 cos lx  cosl  1x
l 0
x
x
2
、
したがって、Fejer 核は、以下のように表される。
sin 2
n  1
x
k 

2
Fn  x   1  2  1 
 coskx 
x
n  1
k 1 
n  1sin 2
2
n
47
(3.2)
ここで、定積分 I n 
1 
xF n x  dx をこの(3.2)の左辺と右辺でそれぞれ計算し、それら
2 0
を評価する。
まず、(3.2)式の左辺について計算する。


x coskx dx 
0
1
x sinkx0  1
k
k


sinkx dx 
0
1
k
2
coskx0

1
k
2
  1
k
1
k
2
であることに注意すると、
In 
n
n
1  
k 
1 
k  



x
1
2
1
cos
kx
dx
x
dx






1 

 x coskx dx







2 0 
n  1
2 0
n  1  0
k 1 
k 1 

2
n
k  1

k 1 
  1 
  2   1 2 
4
n  1  k
k 
k 1 
2
n
n

1
1  n 1 n
k 1 1 
k 1

  2    1 2 

    1
4
n  1  k 1 k k 1
k
k
k 1 k
k 1

n
となる。ここで、
1
k
 Olog n より、
k 1
In 
2
4
n

k 1
1
k
2
n
    1
k 1
k
 log n 
 O

k
 n 
1
一方、(3.2)式の右辺について計算する。 0  x   において、
1
x
sin
2

2
x
である。これを用いると、
2
n 1
x
1 
x 2
n 1
1 
2
0  In   x
dx  
x dx
sin 2
2
2 0
2 0 n  1 x
2
2 x
n  1sin
2
sin 2

2

2n  1 0
ここで、sin

2
2n  1 

0
sin 2
n 1
x
2
dx
x
n 1
x  t とおくと、
2
sin 2
n 1
n 1
x

2
sin 2 t
2
2
dx 
dt
2n  1 0
x
t
48
(3.3)
2
x

 sin
x
であるので、
2
n 1
2
 sin t

 2 sin 2 t
2
dt  
dt 

0
2n  1 
t
t
2

2
ここで、sin 2 t  1 であることと、 0  t 

2
においてsin 2 t  sin t   t を用いると、
n 1
n 1
2
 sin t
 1


  sin 2 t
 2  2
 log n 
2
2
2



dt
dt
dt
dt   O


0
0




2n  1 
t
t
t 
 n 
2
2
 2n  1 
2
ゆえに、
 log n 
0  I n  O

 n 
ここで、 n   とすると、はさみうちの定理から、
lim I n  0
n 
これより、先に求めた(3.3)式を n   とすると、
2
lim I n 
n 
4


k 1
1
k
2

   1
k 1
k
1
k
2
0
ここで、

1
k
k 1

2

   1k
k 1

 1  1
1
1

2
2



2
2
  q 2 
k2
p 0 2 p  1
q 1 2 q
q 1

 1 1  1 
  2 

2 

  q2  4 
q

q
1
q
1



3  1

2 q 1 q 2
なので、
lim I n 
n 
2
4

ゆえに、

3  1
 0
2 k 1 k 2
1
k
k 1

2
2
6
3.1.2. 松岡の証明

さらに、
1
n
n 1
2
の別の計算方法として、松岡による証明がある。それを以下に述べる。
Wallis の cos の公式は、
49


2
0
cos 2 n tdt 
1 3  52n  1 
2  4  62n  2
と表される。 n  2 のとき、左辺の積分を計算していくと、



2
0

cos tdt   t  cos
2n
2
0


 n t 2 cos 2 n 1 t sin t
2n

tdt  t cos t
2n


2
0

 n  2 t cos 2 n 1 t sin t dt
0


 n 2 t 2 cos 2 n t  2n  1 cos 2 n 2 t sin 2 t  dt
2
0
0

  n 2 t 2 cos 2 n t  2n  1cos 2 n  2 t 1  cos 2 t  dt
0

  n 2 t 2 2n cos 2 n t  2n  1cos 2 n 2 t dt
0
よって、
1 3  52n  1 
  n 2 t 2 2n cos 2 n t  2n  1cos 2 n 2 t dt
0
2  4  6 2n  2

ここで、両辺を
1 3  52n  1
でわると、
2  4  6 2n 
2  4  6 2n 
2  4  6 2n  2


cos 2 n t  2n
cos 2 n 2 t  dt
  n  2 t 2 2n
0
2
1  3  5 2n  3

 1  3  5 2n  1

2  4  6 2n 2 2
ここで、 J n 
t cos 2 n t dt n  1 とおくと、

0
1  3  5 2 n  1



2
  n2nJ n  2nJ n 1 
 J n  J n 1  

4n
n  2 
2
また、




J 1  2 t cos t dt   t cos 2t  1 dt   t cos 2t dt   2 t 2 dt
2
0


2
1 2
t sin 2t
2
2
2
0


2
0
2
0
 
2
t sin 2t dt 
なので、J n  J n 1  
すると、 J 1  J 0  

4n

4
2
2
0
3
24
2
0



3
3
1
t cos 2t 02  1 02 cos 2t dt       
2
2
24
4 24
を n  1 のときにも成り立たせるには、J 0 
となり、 J n  J n 1  
このことから、
50

4n
2
3
24
とおけばよい。
は、 n  1 のときにも成り立つ。
n
  


J
J
 2 
k
k 1


4k 
k 1
k 1 
n
Jn  J0  

n
1
4k
k 1
Jn 
3
24


n
2
1
2
4
k 1 k
ここで、 0  t 


2
 2
n
1 

  2 
4  6 k 1 k 
のとき、t 

2
sin t であることと、Wallis の公式を用いると、
2  4  6 2n  2 2
2  4  6 2n   2
2n
0 Jn 
t cos t dt 
1  3  5 2n  1 0
1  3  5 2n  1 4



2
0
sin 2 t cos 2 n t dt


  2   2n  1  
2  4  6 2n   2  2
2n
2 n 2
2


 
t dt  
 cos t dt  0 cos
1  3  5 2n  1 4  0
 4  2 2n  2 2 

3
16n  1
よって、 n   とすると、はさみうちの定理から、
lim J n  0
n 
また、 J n 
  2
n
1 

  2  の両辺を n   にすると、
4  6 k 1 k 
0

ゆえに、
1
k
k 1
2

  2

1 

  2 
4  6 k 1 k 
2
6
3.2. 二重対数関数(The dilogarithm function)
x が  1  x  1 で定義される次のような関数 Li x  を二重対数関数という。
51
Li x  
x2
2
1

x2
2
2
 
これによれば、の Euler の公式(3.1)は、 Li 1 
x2
2
6
2
n

と表すことができる。
3.3. Bernoulli 数
今まで、さまざまな初等的な関数が級数展開できることを見てきた。ところが、tan など
のいくつかの関数については、まだ試みていない。そこで、Bernoulli 数というものを考え
ることにより、それらの関数の展開を行い、また、Bernoulli 数から導かれるさまざまな式
について考察する。
3.3.1 Bernoulli 数の定義と導出
複素数上において、
z
z
e 1
z
の展開を考える。
z
e 1
は、z  2 n i (ただし、n  Z  0 )
で極を持つので、 z  2 において、整級数に展開可能である。よってその展開を、
zk
  Bk
z
k!
e  1 k 0

z
(3.4)
と書き、このときの B k を Bernoulli 数という。
B k について調べてみる。
そのために、まず f  z  
z
z

z
という式を変形すると、
2
e 1
z
z 2 z  ze z  1 ze z  1
ze  z  1





z
z
z
z
e 1 2
2e  1
2e  1
2e  1
となる。よって、 f  z 
ze z  1
z
2e  1

ze z  1
2e
z
 1
 f  z  より、この関数 f  z は偶関数で
ある。したがって、(3.4)の右辺の展開式より、
f  z 
z

z z 
zk
   Bk
2 2 k0
k!
z
e 1
と表されるので、右辺が偶関数 f  z   f  z  をみたすためには、z の奇数乗の項の係数が 0
でなければならないので、次のことが成り立つ。
52
B1  


また、 z  e z  1
z
z
e 1
1
, B2 n 1  0 n  1, n  Z 
2
(3.5)
と変形できるので、 e z と(3.4)の級数展開より、


  z p    Bk k
z p 1  Bk k
z p  Bk k


z  e  1 z
z 
 
 1
 z  z  p  1! k! z
e  1  p 0 p!  k  0 k!
p 0  p  1! k 0 k !
p 0
k 0
z
z
となる。よってこのことから、
z p  Bk k

 z 1
p 0  p  1! k 0 k !

となることが必要十分である。よって、これが成り立つには、z n n  0 の係数を比較して、
n  0 、すなわち p  0, k  0 のとき、 B 0  1
n  1 のとき、上の式の左辺の z n の係数は 0 であり、また z n の係数は、左辺の左側の z n k
の係数と右側の z k の係数の積の 0  k  n での和なので、
n
Bk
 n  k  1! k!  0
k0
さらに、両辺に n  1!をかけると、
 n  1
 B k  0
k0  k 
n
n  1
 
(3.6)
となる。この(3.6)に基づいて、n  1, 2,3 と順番に代入すると、B k の値が具体的に出てく
る。それをまとめると以下の表のようになる。
k
0
Bk
1
1

2
1
2
1
6

4
6
1
30
1
42

8
10
1
30
5
66

12
14
691
2730
7
6

16
18
3617
510
43867
798
3.3.2 tan と cot の級数展開
ここでは、Bernoulli 数を用いて tan z や cot z の級数展開を行う。
  z 
z
z
e 1
とおくと、(3.4)と(3.5)から、


zk
1
zk
1
z 2n
  z  z
  Bk
 1  z   Bk
 1  z   B 2n
k!
2
k!
2
2n !
e  1 k 0
k 2
n 1
z

と変形できる。また、 lim
z 0
z
z
e 1
 1 より、 0  1 と定義する。
53
 z  2 
ここで、 coth z 
1
と定義すると、
tanh z
z
e z  e z
z z

z
tanh z
e e

2 z 2 n
1
 z  1   2 z   B2 n
2
2 n!
n 1
z coth z 
z
e2 z  1
e
2z
1
 z
2z
e
2z
1
 z   2 z 
2 2n z 2n
 1   B2 n
2n !
n 1

よって、

z coth z  1   B 2 n
n 1
z   
(3.7)
1
と定義する。(3.7)の式で、 z をiz とすると、(3.7)の左辺は、
tan z
また、ここで cot z 
iz coth iz   iz
2 2n z 2n
2n!
1
1
 iz
 z cot z
i tan z
taniz 
一方、(3.7)の右辺は、
2 2 n iz 
1   B2 n
2n !
n 1

2n
 1n 2 2 n z 2 n
 1   B2 n
2n !
n 1

ゆえに、
 1n 22 n z 2 n
2n!

z cot z  1   B 2 n
n 1
tanh z についても同様に、
tanh z 
e z  e z
z
z

e 2 z 1
2z

e 4 z  2e 2 z  1
4z

z   
(3.8)
e 4 z  1  2e 2 z  1  4
4z
e e
e 1
e 1
e 1
2 
1  4z
2z 
1
 4
1  4z
 2z
 2z
  1   4z
  1   4z    2z 
z  e  1 e  1
z
 e  1 e  1


4 z 2 n   1
2 z 2 n 
1  1
1
2
z
B




 1   1   4z   B2 n
1 2n 2n ! 
2n!   2
z   2
n 1
n



1
4 2n z 2n
2 2n z 2n  
4 2 n  2 2 n 2 n 1
B2 n
z

 1   z   B 2 n
 B2 n
z
2n! 
2n !  
2n !
n1
n 1
n 1
と変形できるから、次のようになる。
4 2 n  2 2 n 2 n 1
z
tanh z   B 2 n
2n !
n 1

ここで、(3.9)の z を iz とすると、
54


z 
2

(3.9)

tanhiz   i tan z   B 2 n
n 1

4 2n  2 2n
4 2 n  22 n 2 n 1
2 n 1
n 1
iz   i   1 B2 n
z
2n!
2n !
n 1
よって、

tan z    1
n 1
n 1
B2 n

4 2 n  2 2 n 2 n 1 
z
z 
2
2n !

(3.10)
が成り立つ。
さらに、
iz

iz
z e 2  e 2 e iz  2  e iz e iz  e iz
2
1
1

 iz
 iz


i tan  iz
iz
iz
iz
iz
iz

2
i tan z i sin z
e e
e e
e e
e2 e 2
 tan
z
1
  cot z 
2
sin z
よって、(3.8)と(3.9)によって、

z
z
 1 22 n z 2 n 
4 2n  2 2n  z 
n 1
 z cot z  z tan  1   B 2 n
 z  1 B 2 n
 
2n !  2 
sin z
2
2n!
n1
n1
n
2 n 1
 1n 1 2 2 n z 2 n 
2 2 n 1  2 2 n
n 1
 1   B 2n
   1 B 2 n
z
2n!
2n !
n 1
n 1


 1n 1 2 n 2 n 2 n 1
 1n 1 2 n 2 n 1
 1   B2 n
z  2  2
 2   1  2 B 2 n
z 2
 1
2n !
2n !
n 1
n 1

 1n 1 2 n 2 n 1
 2 B2 n
z 2
 1
2n !
n 0

ゆえに、

 1 22 n 1 1 2 n
z
 2 B 2 n
z
sin z
2n !
n 0
n 1
z   
(3.11)
が成り立つ。
さて、ここで Bernoulli 数の定義をするときに最初に級数展開した式

x 
 がどのように級数展開されるか調べてみよう。
 e 1 
数上で、 log
x
いま、 x を x  2 をみたす実数とする。まず、

 1
ex
  x 
x
   log x  loge  1   x
log x
x e 1
  e 1 
55
z
z
e 1
であるが、実
である。よって、逆に積分をして、

x 1
et 
  t 
0 log e t  1  dt  0  t  e t  1 dt
x

1

  lim t  1 であるので左辺は、
t 0 e  1

 t  0 e
ここで、l’
Hospital の定理より lim 
t
t

  t 
 x 
 t 
 x 
log  t
  log x

0 log e t  1  dt  log e x  1   lim
t  0
 e  1
 e  1
x
となることに注意しておくと、右辺は、
x 1
x1
et 
t 
1
dt
dt
1








0  t e t 1  0 t  1  e t  0 t 1    t dt
x



x 1
 t 2 n 
t 2 n 1 
1  1
1
x 2n






dt
B
dt
x
B
1  1  t   B 2 n

 2n 2n !2n
2n
0 t
2n!  0  2 
2n!
2
  2
n 1
n 1
n 1

x
となり、

1
x 2n
 x 
log x
   x   B 2n
2
2n !2n
 e  1
n 1
と展開できることが分かる。
また、Bernoulli 数以外に Euler 数という概念もある。
複素数上において、
1
2
2e z
2e z
 z

の展開を考えてみる。
は、
2z
cosh z e  e  z e 2 z  1
e 1

1

z   n   i ( n  Z )で極を持つので、 z  において、整級数に展開可能である。
2
2

よってその展開を、

1
zk
  Ek
cosh z k 0
k!
(3.12)
と書き、このときの E k を Euler 数という。
また、
1
は偶関数であるので、 z の奇数乗の項の係数が 0 でなければならないので、
cosh z
E 2 n 1  0 n  0, n  Z 
である。よって、(3.12)は、
56

1
z 2k
  E 2k
cosh z k 0
2k !
と書ける。
よって、これと cosh z の級数展開より、
1  cosh z

z2p 
1
z 2k

E
 2k k!
cosh z p 0 2 p ! k 0
となる。この式の z 2 n n  0 の係数を比較すると、
n  0 p  0, k  0 のとき、 E 0  1
E 2k
k  0 2n  2 k !2k !
n
n  1 のとき、z 2 n の係数は 0 であり、また右辺の式より z 2 n の係数は、
と表されるので、
E 2k
n
 2n  2 k !2k !  0
k0
さらに、両辺に 2n!をかけると、
n
 2n 
  2k  E
k0


2k
0
n  1
(3.13)
となる。ここで、 n  1, 2,3,4 と順番に代入すると、
E 2   1, E 4  5, E 6   61, E 8  1385,
のようになる。
3.3.3 cot に関する Euler の公式
(3.8)で cot の級数展開を Bernoulli 数を用いて行った。ここでは、 cot の展開の別の方法
として、Fourier 級数による方法を述べる。これらの展開を比較すると、ゼータ関数 2 p
を求めることができるのである。
整数ではない実数 x を固定し、周期が 2 で    t   のとき、 cos xt  の Fourier 級数
を求める。
cosxt  
an 

a0 
 a cosnt   bn sin nt 
2 n 1 n
cos xt  cosnt dt
 
1

bn 
と表せる。よって、
57
1

t   
cosxt sin nt dt  0
 

an 

1
 

2

1
cosxt  nt cosxt  nt dt

 2
cosxt cosnt dt 
0
1  sin x  n t sin x  nt 
1  sin x  n  sin x  n  
 

 



  xn
x  n 0  
xn
xn



sin x  cosn   1
1 
n 2 x sin x 


   1

 x 2  n 2 
x n x n
また、このことから、 a0 
2 sin x 
x
ゆえに、
cosxt  
sin x  2 x sin x  
cosnt 
 1n 2 2


x

x n
n 1
(3.14)
ただし、実数 x は整数ではなく、t   である。
この(3.14)式でt   とすると、
cosx  
sin x  2 x sin x  
cosn 
 1n 2 2


x

x n
n 1


x
cos x 
x2
n cos n 
をかけると、x
1
2
 1  2 x 2   1 2


 x 2  n 2
2
sin x 
sin x 
x n
n 1
n 1
ゆえに、実数 x は整数ではなく、t   であるとき、次の公式が成り立つ。

x cot x   1  2
n 1
x2
x n
2
2
(3.15)
この(3.15)を cot に関する Euler の公式と呼ぶ。この公式のように Fourier 級数を用いる
と、 cot の級数展開が(3.8)と別の展開式で表せることが分かった。
(3.14)式でt  0 とすると、
1
sin x  2x sin x  
1
 1n 2 2


x

x n
n 1
よって、

x
x2
n
 1  2  1 2
2
sin x 
x n
n 1
が成り立つ。
(3.15)式で x 
1
とすると、
4
58
(3.16)

1
16


1
1 
 
 1
 1  2



cot    1  2
1



2
1
4
1 4n 
2
 4
n 1
n 1 1  16n
n1  1  4 n
n
16

1 1 1
1    
3 5 7
よって、

4
 1
また、 x 
1 1 1
    となり、2 章で出てきた Gregory-Leibniz の公式となる。
3 5 7
1
とすると、
3




1
1 
1 1 1 1
 
 1
 1  2



cot   
1

  1     

2
3
1  3n 
2 4 5 7
 3 3 3
n 1 1  9n
n 1  1  3n
よって、

 1
3 3
(3.16)式で x 

2 2

1
とすると、
4
 1  2  1n
n 1
1 1 1 1
   
2 4 5 7

1
1 
1 1 1 1 1



 1n 
1
  1      

2
3 5 7 9 11
1  16n
 1  4n 1  4n 
n 1
1
よって、

 1
2 2
1 1 1 1 1
    
3 5 7 9 11
このように、さまざなな に関する式が導かれることが分かった。
3.4. ガンマ関数(The Gamma function)
 と n! の関係については、2 章において、Wallis や Stirling の公式によって関係づけら
れていることを見てきた。ここでは、さらにそれを考えるためにガンマ関数について考察す
る。ガンマ関数は、古典的な関数として知られているが、さまざまな積分の近似値を求める
のに使われる。
実数 x  0 について、

x    e t t x1 dt
0
59
(3.17)
で定義される x  をガンマ関数(Euler ’
s Gamma function)という。
ガンマ関数について、次の関数等式が成り立つ。
x  1  x x 
(3.18)
(証明)部分積分をすると、

x  1   e t t x dt   
0
e  t

t
0
x

dt   e t t x


0

 x  e t 1 t x1 dt  x x 
0
この関数等式から、1  x  2 のときの x  の値が分かれば、それ以外の x の値が与えら
れたときにも、 x  を求めることができる。
例.
3.48  2.48   2.48  2.48  1.48  1.48
0.7 
1
  1.7 
0.7
したがって、 1.48 や 1.7 の値が分かればよい。
以下の表は 0.01 間隔での1.00  x  1.99 について、x  を小数第 4 位まで求めたもので
ある。
表 1.
x  , 1.00  x  1.99
d
x
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
1.0
1.0000
0.9943
0.9888
0.9835
0.9784
0.9735
0.9687
0.9642
0.9597
0.9555
1.1
0.9514
0.9474
0.9436
0.9399
0.9364
0.9330
0.9298
0.9267
0.9237
0.9209
1.2
0.9182
0.9156
0.9131
0.9108
0.9085
0.9064
0.9044
0.9025
0.9007
0.8990
1.3
0.8975
0.8960
0.8946
0.8934
0.8922
0.8912
0.8902
0.8893
0.8885
0.8879
1.4
0.8873
0.8868
0.8864
0.8860
0.8858
0.8857
0.8856
0.8856
0.8857
0.8859
1.5
0.8862
0.8866
0.8870
0.8876
0.8882
0.8889
0.8896
0.8905
0.8914
0.8924
1.6
0.8935
0.8947
0.8959
0.8972
0.8986
0.9001
0.9017
0.9033
0.9050
0.9068
1.7
0.9086
0.9106
0.9126
0.9147
0.9168
0.9191
0.9214
0.9238
0.9262
0.9288
1.8
0.9314
0.9341
0.9368
0.9397
0.9426
0.9456
0.9487
0.9518
0.9551
0.9584
1.9
0.9618
0.9652
0.9688
0.9724
0.9761
0.9799
0.9837
0.9877
0.9917
0.9958
この表は、縦で x の小数第 1 位までを見て、横で小数第 2 位の数を見る。例えば、
1.48  0.8857 であり、 1.82  0.9368 である。
60
よって、 3.48  2.48  1.48  1.48  2.48  1.48  0.8857  3.2509 となる。
x  1 は x  1 において連続なので、 x を x  0 において 0 に近づけると、
lim  x  1   1  1
x  0
となる。
よって、 x  は x  0 において連続なので、 x  で x を x  0 において 0 に近づけると、
(3.18)より、
lim  x   lim
x  0
x 0
1
 x  1  
x
この表 1 を見ると、 x  は x が 0 から x  1.46 を境に減少し、その後増加することが分
かる。
また、 1  1 なので、
、 n を 1 以上の整数とすると、(3.18)より、
n  1  n n  n  n  1 n  1    n  n  1 2  1 1  n!
となり、
n  1  n!
(3.19)
が成り立つ。
また、この(3.18)を用いると、一般の Gauss 積分をガンマ関数を用いて次のように表すこ
とができる。


0
1
x
1
x

e t dt   1  
x

1
1 1
(証明)t  u ( t  u )と変数変換すると、 dt  u x より、
x


0
e
t x

dt   e
0
x
u
1 1x 1
1  u 1x 1
1 1
 1
u du   e u du      1  
0
x
x
x x
x

この式から、
この Gauss 積分の近似値を先の表 1 を用いて求めることができる。例えば、
x  3 とすると、


0
3
 1
e t dt   1    1.33  0.8934
 3
61
1
2
ところで、   を計算すると、 が表れる。




2
2
1
    e t t 2 dt   e u u 1 2u du  2  e u du  
0
0
0
2
1
ここで、t  u 2 と変数変換し、


0
e  x dx 
2

2
を用いた。
このことから、もっと一般的に、 n を 0 以上の整数として表すと、
1 
1 
1 
1 
3 
3

 n     n    n     n   n    n    
2 
2 
2 
2 
2 
2

1 
3  3 1  1   2 n  1  2n  3  3 1

  n   n        


 
2 
2  2 2  2   2  2  2 2


1  3  5 2n  1
2
n
 
2 n!

2n
2 n!
ところで、 x   とすると、Stirling の公式(2.17)を一般化した公式、
 x
x  1 ~ 2 x  
e
x
(3.20)
が成り立つ。
ガンマ関数の最初の定義は 1729 年に Euler によって次のように与えられた。
x   lim
n 
n x n!
x x  1 x  n 
x  0 
(証明) x  n  1 を(3.18)を用いて展開すると、
x  n  1  x  n  x  n    x  n x  n  1 x  1x x 
一方、 n   のとき、(3.20)より、
 x n
x  n  1 ~ 2  x  n

 e 
Stirling の公式(2.17)より、
n
n!~ 2n  
 e
62
n
x n
(3.21)
n
n
x
 x n
 x x
x
よって、 n   のとき、 lim 
  lim 1    e より、


n 
n
 n 
 n
x  n  1
~
n!
 x n
2  x  n

 e 
n
2 n  
e
x
n
n
x n
x
n
x  x n x n n
 1
 
  
n  e   e  e

n
x
 x n x n
xn n
x
x
~
 
 ~
 e  x  n  ~ n
 e   n 
 e 
したがって、
x  n  1 x x  1 x  n  x 

~ nx
n!
n!
 lim
x x  1 x  n x 
x
n n!
n 
1
ゆえに、
n x n!
x   lim
n  x x  1 x  n 
この(3.21)の式の x に
1
を代入すると、
2
1
1
1
2 n 1 n 2 n!
n 2 n!
2 n 1 n 2 n!
1
   lim
 lim
 lim
 n  1  3  52n  1 n  1  3  5 2n  1
 2  n  1  1   1
  1   n 
22  2

1

1
2 n n!2 n 1 n 2 n!
22 n 1 n! n 2
2 2 n n!
 lim
 lim
 lim
1
n 
n 
2n !2n 1 n 
1
2 n! 2  
2n!n 2
n

2
2
1
2
よって、     より、
lim
n 
2 2 n n!
2n !n
2
1
2
 
63
 lim
n 
2 2 n n!
2
2n ! n
1
ゆえに、
2n!
2
2 n!
2n
~
1
n
これは、(2.15)で求めた Wallis の公式をガンマ関数を用いて示したものである。
(3.21)の公式から次の Wererstrass の公式が導かれる。

x   xn
1

 x
 xe   1  e
x 
n
n 1 
1
 1

ここで、 は、Euler 定数であり、  lim  1      log n  である。
n 
n
2


(証明) n x  
n x n!
とおくと、(3.21)から、
xx  1 x  n 
x   lim n x 
n 
である。また、
n x n!
e x log n
n x  

xx  1x  2  x  n
 x  x   x 
x  1  1   1
1
 2   n 
x
x
 x 
 1

1
x
x

 x 1  log n  n  e k


1
e x log n  e x  e 2   e n




 e x  e 2   e n  e  2 n

x
x
 x  x   x 

k 1 
x   1  1   1
  1


k
 1  2   n 
e  x

x
 x
 ek


x
k 1 
 1

k
n






よって、 n   とすると、
 x
 ek
e
x  
 x
x k 1 
 1

k
 x







64
(3.22)
x

x 
1


 xe  x   1   e n
n
x 
n 1 
この(3.91)の式の x に
1
を代入すると、
2


1
1
1
1  


 e 2  1   e 2 n
1
 2 n 1  2n 
 
2
1
が成り立つ。
ところで、 0  x  1 について、次の関数等式が成り立つ。
x  1  x  

sin  x 
(3.23)
(証明)(3.21)から、以下のことが成り立つ。
1
x x  1 x  n 
x
 lim
 lim x
x
n  n
x  n 
n n!
 x  x   x 
  1   1    1
 1  2   n 
1  x 1  x 1 1  x  n 
1
x 
x
1  x 
 lim
 lim 1 x  1   1    1   n  1  x 
1

x
n  n
1  x  n 
2  n
n n!
 1 
1
x  x  x   x  1  x 
x 
x

 lim x   1  1   1  1 x  1   1    1   n  1  x 
x 1  x  n  n  1
2  n
 2
  n  n  1 
x  x 2 
x2  
x2 
x 2  sin x 
 1 x n 
 lim 1  2  1  2   1  2  n  1  x   x lim 1      1  2  
n  n
n

2   n 
 n n  k 1  k 
 1 
 x 2  sin x 
 1  k 2   x を用いた。

k 1 

ここで、
ゆえに、
x  1  x  

sin  x 
この関数等式(3.23)を用いると、次のような積分が計算できるようになる。
I x   

0
t x1
dt
1 t
65
0  x  1
実際、



0
0
0
1  x   x    e u u x du  e v v x1 dv  

0
0



0
e ( u v ) u  x v x 1 dudv  

0


0


0

0
e ( u v ) u  x v x1 dudv
u
 s
、
 v
s
v
s
st
ここで、 s  u  v , t   u 
,v 
1 t
1 t
u


x
 s   st 
e s 
 

 1 t   1 t 
u
t  s より、
v 1  t 2
t
x 1
s
1  t 2
dsdt
x 1
 t
e  s t x1
dsdt  
dt  I x 
0 1 t
1 t
ゆえに、(3.23)より、


0
t x 1

dt 
1 t
sin  x 

また、この積分を用いて、
と、 2 tan

1
cos 
2
2
0
2 x1
d
0  x  1 を計算する。 tan 2 
 t とおく
1
d  2t 2 1  t d  dt より、

2 x1
 tan  d  0
2
0
 tan 
(3.24)
t
1
2
x
1
2
2t 1  t 
dt 
1  t x1

dt 

2 0 1  t 
2 sin x 
3.5. ベータ関数(The Beta function)
Euler はガンマ関数と並んでベータ関数(Beta function)も考えだした。
x  0, y  0 において、次の関数 B x , y  をベータ関数という。
B x , y    t x1 1  t 
1
0
y 1
dt
(3.25)
ベータ関数とガンマ関数には、次のような関係がある。
B x , y  
 x  y 
 x  y 
66
(3.26)
(証明) x  y  


0
u
u  t 2 , v  s 2 とおくと、 t
v
t


0
0



0
0
e u u x1 du  e v v y 1 dv  
e u  v u x1v y1 dudv  

0


0
e  u v  u x 1 v y 1 dudv
u
s  4st より、
v
s


0
e s
2
 t2
t 2 x2 s 2 y 2  4 st dsdt  4   e s

0
0
2
t 2
t 2 x 1 s 2 y 1 dsdt
ここで、 s  r cos  , t  r sin  とおくと、
4

0


0


e
 s 2 t 2
 4 e
 r2
0
t 2 x 1 s2 y 1 dsdt  4 2  e r r sin  2 x 1 r cos 2 y 1 rdrd
 
2
0
r
2 x  y 1 

rdr 2 sin  
2  x 1 
0
0
cos 2  y 1 sin  cos  d
さらに、 r 2  w とおき、sin 2   p とおくと、
2rdr  dw, cos  1  p 2 ,2 sin  cos  d  dp なので、
1


4 e r r 2  x y 1  rdr 2 sin  
2
0
0

 4 e  ww x  y 1
0
 B x , y  
2  x 1 
cos 2 y1 sin  cos  d
1
1
y 1 1
dw p x 1 1  p 
dp  x  y B x , y 
0
2
2
 x  y 
 x  y 
この(3.26)の公式を用いると、以下の積分が求められる。実数   1において、


2
0
cos  d  


2
0
 

2 

sin  d 


2  1
2 

が成り立つ。
(証明) 


2
0

2
  1
 t と変数変換をすると、

0


sin   d    sin    t  dt   2 cos t dt
0
2

2
よって、
67
(3.27)



2
0
cos  d   2 sin  d
0
が成り立つ。
1
s  sin 2  と変数変換をすると、 ds  2 sin  cos d  2 s 2 1  s 2 d より、


2
0
1
1
1
1 2
1 1

s 1  s 2 ds   s
2
2 0
0
1 
B
2 


sin   d   s 2
 1
2
1
1
1  s 2 1 ds
1
  1
  1   1 

  
  

1 1 
2 
 2  2

, 

2 2




2  1
2   1
2

2 
 
  1

2


  2 cos  d   2 sin  d 
0
0


2  1
2 




このことから、今までは、Wallis の公式で


2
0

cos  d や  2 sin  d が が 0 以上の整

0
数の場合のみを求めてきたが、この(3.27)によって、 が   1の実数の場合にまで一般化
されたことになる。
また、実数   1,  1 において、以下の式が成り立つ。
   1   1 

 

 2   2 
2 cos   sin   d 
0
  

2
 1
 2


(3.28)
1
(証明)t  cos 2  と変数変換をすると、 dt  2 sin  cos  d   2t 2 1  t 2 d より、


2
0
cos   sin   d  

1
 
1
1 0 2
1 1

t 1  t  2 t 2 1  t  2 dt   t

2 1
2 0
   1   1 

 

1    1   1
 2   2 
,
 B

2  2
2 
  

2
 1
 2

68
 1
2
1
 1
1  t  2 1 dt
1
   1   1 

 

 2   2 


2
  cos  sin  d 
0
  

2
 1
 2


m 1
,  について考察する。t  sn と変数変換して、
n
2

ここで、 B 
m
m 1
1
1
1
1 s

 m 1  1 1
1
B  ,    t n 1  t  2 dt   s m n 1  s n  2 ns n 1 ds  n 
ds
0
0
 n 2 0
1  sn
また、(3.26)から、
m
 m 1
       
n
n
m 1
2
B ,         
m 1
m 1
 n 2
  
  
 n 2
 n 2
よって、

1
0
m
  
s
 n
ds 
m 1
1  sn
n  
 n 2
m 1
(3.29)
この式によって楕円積分の近似計算をすることができる。
m  1, n  3 とすると、

1
0
4
 1
1 
  
    5  
1
5 1.33 1.772
 3
3 
3



dt 
 1.4042
6 1.83
1 1 
 5
 11 
1 t3
3   
3  
6 
3 2 
 6
6

2
3
m  1, n  4 とすると、(3.23)より、   
だから、


1
1
4
  sin
 
4
4
4

1
0
1
1 
  
  
1
4
4


dt 
1 1
3
1 t 4
4   
4 
4 2
4
  1 
  
  4 
4 2
2

  5 
4  
  4 
4 2
1
1
2

4 1.252
4 2
 1.3110
さて、実数 が  0 を満たすとする。このとき、 x   y   1 と x  0 と y  0 を満た
69
1



す領域の面積を考える。x  0 と y  0 において、曲線 x  y  1 は、 y  1  x


1
1




 とも


かけるので、求める領域は、
1



0 y dx  0 1  x

1
1


1

 dx   1  t  t  1 dt  B  ,  1
0


   1
      


 2  1
2  2 
22 
2
となる。
ここで、特に、 
1
のときは、x 2  y 2  1 と x  0 と y  0 を満たす領域の面積、すな
2
わち半径が1の円の第 1 象限の部分の面積であるので、

4
になっているはずである。実際、
2

1   1 
     になっている。
41   2  
4
1
次に、もっと一般に、x
える。変数変換

a
0

1
1
 y  a ( a  0 )と x  0 と y  0 を満たす領域の面積を考


a
x
y
 X ,  Y を施すと、求める領域  ydx は、
0
a
a
a
1
1
0
0
0
ydx   aYdx   aYadX  a 2  YdX
1
また、この変数変換により、もとの式は X

1
1

1
Y

 1 と X  0 と Y  0 を満たす。したが
1
って、 YdX は、 X   Y   1 と X  0 とY  0 を満たす領域の面積なので、先に求めた
0
結果より、

a
0
ydx  a 2  YdX 
1
0
a 2  
22 
2
となる。
2
2
2
3
例えば、  のとき、つまりアステロイド x 3  y 3  a 3 ( a  0 )と x  0 と y  0 を
2
70
2
2
a 2 3   3 
a2
3  1  1 
3 a 2
満たす領域の面積は、
である。
     
    
23 2   2  
2  2 1  1 2  2  2  
32
1
1
1
ここで、 x   y   a  の を   0 とすると、面積は、
    1
a 

2
a 2 1
  

 a2
 lim
 0
2  1
1
2
2
2
2
a 2  
 0
22 
2
lim
となり、 a 2 に近づくことが分かる。
次にレムニスケートの曲線の長さについて考える。レムニスケートは第 1 象限と第 2 象
限、第 4 象限の部分がそれぞれ x 軸、 y 軸に対して対称で、第 1 象限と第 3 象限の部分が
原点に対して対称なので、第 1 象限の曲線の長さを 4 倍すればよい。レムニスケートの第 1
象限の部分を極座標で表すと、    a 2 cos 2  ,0   
2

4
で表すことができる。よっ
て、レムニスケートの曲線の長さは、      a sin 2 cos 2  2 より、

4

  
2
4
0
 4a 

4
0

1
2
    d  4  4 a 2 cos2   a 2 sin 2 2 cos2  d
0
cos2 
1

cos 2   sin 2 d  4 a cos2 
2
2

0
1
2
d
1
とすると、
2


4a  4 cos2  2 d  2a  2 cos t  2 dt  2a 
1

4
0
ここで、 2  t とすると、(3.27)の式で  

1
1
0
1
  
4
3
2 
4
1
a   
4

3
 
4
ここで、(3.29)の m  1, n  4 のときに求めた結果から、レムニスケートの曲線の長さは、

4a  4 cos2 
0
1

2
1
a   
1
1
4
d 
 4 a
dt  5.2439a
0
4
3
1

t
 
4
となる。
71
おわりに
これまでさまざまな円周率 についての公式をみてきた。このようにみると、円周率 は
非常に多くの場面で出てくることが分かる。実際、 は幾何学をはじめ、代数・解析・確
率などの諸分野で重要な数としての役割を果たしている。しかし、 にはまだまだ解明さ
れていない問題も多い。研究をしていてこの神秘的ともいえるこの数の魅力を感じることが
でき、非常に楽しめたと思う。この先も時間の許す限りさらに についての魅力を感じる
ことができるように努めたい。
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参考文献
[1] Pierre Eymard, Jean-Pierre Lafon (translated by Stephen S. Wilson), 『 THE
NUMBER π』, AMS, 2004
[2] 小林昭七,『円の数学』, 裳華房, 1999
[3] 上野健爾,『円周率πをめぐって』, 日本評論社, 1999
[4] 杉浦光夫,『解析入門Ⅰ』, 東京大学出版会, 1979
[5] 杉浦光夫,『解析入門Ⅱ』, 東京大学出版会, 1985
[6] Lars V. Ahlfors(笠原乾吉訳),『複素解析』, 現代数学社, 1979
[7] 齋藤正彦,『線型代数入門』, 東京大学出版会, 1966
[8] 中島匠一,『代数と数論の基礎』, 共立出版, 2000
[9] 高木貞治,『初等整数論講義 第二版』, 共立出版, 1971
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