平成 23 年度 日本大学理工学部 学術講演会論文集
L-28
多流管モデルを用いたダリウス形タービンのパワー係数の検討
Study on power coefficient of the Darrieus turbine using multiple streamtube model
○茂木雄太 1,直井和久 2,塩野光弘 2,鈴木勝行 2
*
Yuuta Mogi1, Kazuhisa Naoi2,Mitsuhiro Shiono2, Katsuyuki Suzuki2
Abstract: We examined the performance analysis of the Darrieus turbine by a wind tunnel experiment, and investigated about the
Reynolds number used in a wind turbine for the aerodynamic characteristics of the NACA633-018 wing in the this turbine.
However, study of water turbine for the tidal current power generation requires aerodynamic characteristics in the Reynolds
number that are higher than the wind turbine. This paper investigates the power coefficient of the Darrieus turbine using
multiple streamtube model from the aerodynamic characteristics of high Reynolds number that assumed the water turbine.
1. はじめに
CL 
我々はこれまでダリウス形タービンの性能解析を風洞
L
(2)
0.5AV 2
施設により実験的に行ってきた[1]が,潮流発電装置の実用
ここで,ρ は流体密度,A は翼の断面積(A=c×b)である.
化のためには実海域にタービンを使用する場合のタービ
2.2. 風洞施設による空力特性の測定と実験結果
ンのパワー係数を理論的に解明することが重要である.こ
風洞施設では α を変化させ,D,L を 6 分力検出器により
れまでは,タービンの性能を理論的に解析するために,空
測定する.ここで,翼形状は NACA633-018 の直線翼を使
気力学的性能予測モデルである多流管モデルによって検
用し,c=210mm,b=700mm である.α は-20°から 20°まで 2°
[2],[3]
討してきた
.この多流管モデルで検討するためには翼
毎に設定する.今回の実験では V∞=10,15,20m/s(Re=1.45×
の揚力係数と抗力係数,即ち空力特性が必要である.我々
105,2.17×105,2.90×105)について D,L を測定して CD,CL を
が研究対象としてきたタービン翼であるNACA633-018に
算出する.ここで,レイノルズ数 Re は (3) 式に示される値
5
ついて風車におけるレイノルズ数 Re=1×10 程度につい
である.
てはこれまでに検討を行ってきたが,潮流発電用水車とし
Re 
て用いる場合には風車よりも高いレイノルズ数 Re=1.57
×105~2.93×105 程度における空力特性を明らかにする
cV
(3)

ただし,ν:動粘性係数である.
図 2 に NACA633-018 の α-CD,α-CL 特性を示す.α=14°の
必要がある.
本稿では,風洞施設により測定した NACA633-018 の空
時に Re が高いほど CD は小さくなり,CL は大きくなった.
力特性から多流管モデルを利用して水車でのレイノルズ
また,Re=2.17×105,2.90×105 では CD,CL 共にほぼ等しい値
数に近い風速 10,15,20m/s(Re=1.45×105,2.17×105,2.90×
となった.
10 )におけるダリウス形タービンのパワー係数 Cp につい
て検討する.
0.8
2.0
CD
CD
CD
CD
Re=1.45×105
0.7
CL
CL
CD
CD
Re=2.90×105 1.6
Re=2.17×105
CL
CL
CL
CL
0.6
2.1. 翼の空力特性の算出
[4]
図 1 に翼の空力特性
と迎角の関係を示す.こ
こで,D は抗力,L は揚
0.5
0.8
0.4
0.4
0.3
0.0
0.2
-0.4
0.1
-0.8
0.0
力,α は迎角,V∞は自由流
-1.2
-20
-16
-12
-8
-4
0
4
Angle of attack α[°]
8
12
16
20
Figure2. Characteristics of α-CD and α-CL
れの流速,b は翼幅,c は
翼弦長である.抗力係数
3. タービンのパワー係数の算出
3.1. 多流管モデル[5],[6]
Figure1. Aerodynamic
characteristics
CD と揚力係数CL は風洞
施設で測定した D,L を用いて (1),(2) 式より算出する.
CD 
1.2
Drag coefficient CD
2. 翼の空力特性
Lift coefficient CL
5
D
0.5AV 2
多流管モデルでは,同一断面を持つ複数の流管がター
ビンに通っていると仮定し,流管内での流体の運動量変化
(1)
が翼に働く力に等しいとする.図 3 にダリウス形タービン
1:日大理工・院(前)・電気 2:日大理工・教員・電気
1003
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と代表する流管を,図 4 にその
TSi とし,全流管の平均トルクを TS とすると,
r
平面図を示す.ここで,r はター
CP 
r  sin 
c
ビンの半径,Δh は流管の高さ,θ
h
は α=0°を基準とした翼の回転
位置角,rΔθsinθ は流管の幅,V
(15)
と定義される.ここで i 番目の流管における相対速度 Wi ,
Figure3. Multiple
streamtube model
は流管内の流速である.
TS 
1
 2rhV3
2
接線力係数 CTi とすると(13),(15)式より周速比 λ=rω/ V∞に
おける CP は,次式となる.
1
CP 
NT
Figure5. Blade force
and relative velocity vector
Figure4. Plan view
*
翼に働く無次元化した流れ方向の力Fx は,N を翼枚数と
S  W
  i
 2  V
i 1 
NT

2


 CTi 



(16)
従って(8),(16) 式より,CP を算出する.
3.2. 解析結果
S=0.2,NT=36 の場合における NACA633-018 の λ-CP 特性
を図 6 に示す.CP の最大値は,Re =2.90×105 の時,0.197 とな
して,

V 
1 

(4)
V


となり,Fx*は速度比V /V∞に従う.図5 は,Fx と法線力FN,接線
った.また,λ=3 以下の範囲では CP が負になっているが,こ
力 FT の関係を示している.ここで,rω は翼の回転周速度,W
より Re が高いほど CD は小さくなり,CL は大きくなり,(8)
は相対速度である.Fx は,
Fx  FN sin  FT cos  
(5)
*
となる.Fx は(4),(5)式と法線力係数 CN,接線力係数 CT 及び
式より CT が大きくなるからである.
NFx
2rh sin V2

V
V
W を用いると,
2
Fx* 
S W  
cos  

  C N  CT

4π  V  
sin  
(6)
となる.ただし,ソリディティをS=Nc/rと定義し,CN,CT は翼
の CD,CL 及び α と以下のような関係がある.
CN  CLcos  CDsin CT  CLsin  CDcos
V sin  

 V cos   r 

5
Re=1.45×10
0.15
Re=2.17×10
5
5
Re=2.90×10
0.10
0.05
0.00
-0.05
0
(8)
1
2
3
Tip speed ratio λ
4
5
Figure6. Characteristics of λ-CP
風洞実験によって得られた空力特性から多流管モデル
(9)
を利用して水車に用いた場合のレイノルズ数におけるダ
となる.また,図 5 の W と V は以下の関係となる.
W sin  V sin
誘導係数 a は以下の式で定義される.
a  1  V /V
リウス形タービンのパワー係数 CP について検討した.そ
の結果,CP の最大値は Re=2.90×105 の時に 0.197 となり,Re
(10)
が大きくなると CP も大きくなることを明らかにした.
風洞実験に際し,御協力頂いた風洞実験室の安部先生,
(11)
高橋先生に謝意を表します.
(4),(11)式より以下の関係式が得られる.
a
2
参考文献
(12)
(12)式を満たすように a を決定すると(11)式の V が求ま
る.(10)式より W が求まるので翼に働くトルク TS は,
TS 
0.20
4. まとめ
  tan 1
a
おいては Re が大きくなると CP も大きくなる.これは図 2
-0.10
(7)
α は ω を角速度として,
Fx*
れは TS が負になるためである.今回検討した Re の範囲に
Power coefficient CP
Fx* 
1
rCT chW 2
2
(13)
となる.TS は CT を用いて流管ごとに計算される.i 番目の流
管の位置 θi は,NT を流管の数として,
i  (2i  1)   NT
(14)
となる.パワー係数 CP は,i 番目の流管におけるトルクを
1004
[1] 池田ほか:「ダリウス形タービンに用いる翼形の違いによる性能
の検討」平成 21 年度電気設備学会全国大会講演論文集,E-1,
pp243~244 (2009,9)
[2] 鈴木ほか:
「ダリウス形風車の理論解析における基礎検討」
,平成 19
年度日本大学理工学部学術講演会論文集,pp1150~1151(2007)
[3] 鈴木ほか:
「ダリウス形タービンの複数流管モデルによる解析-ブ
レード形状の違いによるパワー係数の検討-」
,平成 20 年度日本大
学理工学部学術講演会論文集,pp1198~1199(2008)
[4] 牧野:
「航空力学の基礎」,産業図書株式会社,pp.86(2009.3)
[5] I.Paraschivoiu:「WIND TURBINE DESIGN With Emphasis on
Da rri eu s C on c ept 」,インデックス出版,pp. 73 ~94 (20 07 .3 )
[6] J.H.Strickland:「The Darrieus Turbine:A performance Prediction
Model Using Multiple Streamtubes」
,SAND75-0431,pp.1~31,(1975)
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