太陽系形成論勉強会 2013年6月7日 東京工業大学
原始惑星系円盤の進化と 大規模計算
武藤恭之 (工学院大学) 原始惑星系円盤
•  惑星形成の母体 –  どのような姿をしているの
か、よくわかっていない •  降着円盤の一例としての
研究対象 –  降着円盤はなぜ降着する
のか? –  降着円盤は本当に降着
するのか? 粘性降着円盤
•  物質が降着すると、エネルギーが下がる •  ほとんどの質量は中心星に降着 –  角運動量を保存するために、少量の物質は外へ •  物質間での角運動量輸送が必要 –  「粘性」が必要
Alpha Disk Model
•  粘性パラメータ: α
–  角運動量輸送+質量降着 •  質量降着率: •  円盤寿命: 降着円盤としての原始惑星系円盤
•  原始惑星系円盤 – 寿命 ~106-­‐7 yr – 質量 ~0.01-­‐0.1 Msun? – 円盤の厚み ~0.1*半径? •  質量降着率 ~ 10-­‐8 Msun/yr •  必要な α の値 ~10-­‐2~-­‐3 –  分子粘性では不足 –  乱流粘性: 自己重力?MRI? 乱流粘性の力学的基礎 (1)
• 流体の方程式:
• 方位角方向平均
角運動量の保存則:
Balbus and Papaloizou (1999)
乱流粘性の力学的基礎 (2)
• 質量保存
• 角運動量保存
時間発展
質量フラックス
ストレス
Kepler回転の円盤の場合:
ストレスと質量フラックスに関係が付く
乱流粘性
• 再び質量保存:
拡散方程式 è ストレスを、粘性とみなす: α viscosity
局所的なエネルギー散逸: Balbus and Papaloizou (1999)
円盤乱流
•  角運動量輸送の担い手 –  円盤に立つ非軸対称の波 –  Alfven波(MRI), 密度波(重力不安定乱流) •  密度波を例にとって、以下議論する Gammie 2001
Flock et al. 2011
原始惑星系円盤の概略
•  以下の三つは全て(ほぼ)同じ –  原始惑星系円盤は冷たい –  原始惑星系円盤の厚みは薄い –  原始惑星系円盤はほぼKepler回転する •  Kepler回転 è 差動回転円盤
密度波理論
•  差動回転する円盤にた
つ(非軸対称の)音波
の理論 •  要素: –  パターン速度と共回転
半径 –  円盤の音速 –  差動回転の強さ(エピ
サイクリック振動数) •  I型惑星移動の原因 密度波の形状と伝搬の理論
•  しょせん音波である •  パターンは剛体回転 –  適当な回転系に乗れば、「定常状態」 •  原始惑星系円盤は超音速流 •  「二次元超音速流の定常状態」 –  理論が良くわかっている 円盤のある場所の拡大図 シアリング・シート
y: azimuthal
x: radial
密度波の形状
背景流
•  密度揺らぎが、背景の超
音速流に「流される」 特性曲線の方程式:
Landau & Lishitz
密度波の形状が導ける
情報伝達の方向
密度波の角運動量保存
定常解
なので、右辺もゼロ
波の持つ角運動量
•  密度波が伝わっているだけでは、角運動量は運ばれ
るだけで、円盤の様々な場所でのやり取りはしない •  波が散逸して、波の持つ角運動量を円盤に渡すプロ
セスが大事
密度波の伝搬と衝撃波形成
密度波(音波)の伝搬 è shock散逸 è 角運動量輸送
Muto et al. 2010
Shock散逸の理論
Goodman and Rafikov 2001: Burgers方程式を用いた波
の切り立ちの解析
数値シミュレーションとの比較
角運動量フラックス
Shock生成位置
Dong et al. 2012
要求される解像度
•  Specific vorYcityの解
像度依存性 –  流体粒子のもつ比角
運動量のようなもの
密度波の振幅が弱い場
合は、スケールハイトを
100分割程度する必要
Dong et al. 2012
小まとめ
•  円盤進化のシミュレーション –  降着円盤は降着するか? –  もちろん! –  しかし、誰もちゃんと見た人は居ない •  (密度波に関して言えば、)基礎理論はかなり掘
り下げて調べられている –  比較・検証すべき理論は色々とある •  円盤中の波の進化をきちんと空間分解すること
が重要だろう •  そのためには、スケールハイトを100分割するく
らいの空間解像度を要求される(かもしれない) –  ペタコンで出来る計算はどういうものか?
以降、議論のネタ
自己重力不安定乱流
•  重力不安定乱流 –  自己重力不安定らしきも
のにはなるが、円盤が分
裂しない状態 –  軸対称モードはなんとか
安定だが、非軸対称の
モードが成長 –  分裂するかどうかは、
cooling Ymescaleで決ま
ると言われている
Gammie’s criterion
Gammie条件は正しいか?
•  分裂条件はResoluYonに依存する •  冷却時間が長くなる(coolingが効かなくなる)と、
確かに分裂しにくくなるが: –  分裂までの時間が長くなる –  Clumpがシアで引き伸ばされ、生き残りにくくなる(解
像度依存?) •  解像度が高いと、よりclumpの中心部(高密度領
域)まで追えるので、clumpが生き残りやすく、分
裂も起こしやすい
円盤シミュレーション
•  要求解像度 –  どこまで解像度が欲しいかというのは、おそらくコ
ンセンサスがない –  スケールハイトのp倍の解像度を要求 –  密度波のshockをちゃんと追えるくらいあれば十
分だろう(p~0.01) ひとまず計算
•  Box size: –  Rin ~ Rout=r*Rin –  2pi*k*Rout (k<=1) –  Z方向、スケールハイトの数倍程度 •  Mesh size: スケールハイトのp倍 –  半径1~10くらいを計算したいとすると (こんなに要らないだろう) –  (NR, Nphi, Nz) = (10000, 10000, 1000) –  無謀 •  外側でNt周を要求 10000周にしておく(多すぎる) •  1メッシュ・1ステップあたりの計算回数:nmesh ~ 10000回? •  クーラン数ε
–  クーラン条件は内側境界のKepler速度で決まるとする
Pflopsで3000年
スキームの工夫
•  FARGO スキーム –  Kepler回転の分だけ手で先に動かしてしまう –  クーラン条件で、音速くらいを考えれば良くなる –  10倍くらい計算が高速化 –  SPHで出来るのか?
3次元シアリングシート
•  方位角方向を2πも計算しない –  自己重力の計算は本当に良いか? –  半径方向の広さを1/5にして、方位角方向の広さ
を1/10にすると、10-­‐4倍くらい計算回数が減る
2次元global計算(厚みなし)
•  計算回数は1023回程度か –  外側で10000周追うなら、Pflopsで3年 –  100周(内側で3000周)で良ければ、2週間 
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