放射光
第巻第号

()
トピックス
卓上型シンクロトロン“みらくる20”による新しい X 線の発生
山田廣成
立命館大学理工学部光量子発生科学研究室
Novel X-ray Source Based on a Tabletop Synchrotron and its Unique Features
Hironari YAMADA
Ritsumeikan University
Abstract
The novel x-ray source named MIRRORCLE is based on a tabletop normal conducting synchrotron using a collision of
circulating electron beam with a tiny target. It is demonstrated that the brightness is comparable to SR, its source point
size can be a nano scale, the spectrum is very ‰at and dominated by hard compornents, and it is highly coherent. MIRRORCLE is useful for medical and industrial applications since this is tabletop and its electron energy can be less than 8
MeV which supresses neutron generation. The mechanism for brilliant hard x-ray production, design concept of the
smallset synchrotron, novel beam injection scheme, the observed features of the x-ray beam, and some applications are
descrived.
.
はじめに
はできない新しいアプリケーションが期待される。もちろ
立命館大学には 2 台のシンクロトロンが有る。1 台は,
ん小型という点で,産業利用や医学利用に期待が寄せられ
超伝導シンクロトロン ``AURORA'' であり, 1 台はここ
ている。さらには,まだ成功していないが,放射光を同心
で話をする( Fig. 1 )“みらくる”という名の世界最小
円のミラーに蓄えて遠赤外線領域でレーザー発振をさせる
(軌道半径15 cm ,外径1.2 m )常電導シンクロトロンであ
ユニークな装置でもある。レーザー発振原理の名称を光蓄
る。筆者が AURORA と共に1)立命館大学に移籍したのは
積リング8)と呼ぶ。
7 年前のことであるが,このとき既に“みらくる”の開発
.
に着手していたことを知る人は少ない。
小型シンクロトロンの必要性
世界最小電子蓄積リングを“みらくる”と銘々したのは
筆者がシンクロトロンに関係するようになったのは,
つい最近のことである。“みらくる”は,科学技術振興事
AURORA の開発に携わって以来のことである。 1985 年
業団さきがけ研究212),科研費基盤研究 A3),NEDO 地域
頃,次世代半導体メモリー生産用の X 線源として放射光
コンソーシアム補助4)などの学外資金により開発したもの
が注目を集め,海外も含めて複数の加速器メーカーが開発
である。物理設計,機械設計から組み立て,据え付け,入
にしのぎを削った。 AURORA もその一台であるが, 4 T
射実験までの全てを筆者と学生で行った。小型とはいえ,
の超 伝導磁場を 発生して, 600 MeV 程度の電子 を蓄積
新型加速器の開発を私立大学の一研究室で行ったのは多分
し,臨界光子エネルギーとして 1 keV 程度の X 線を発生
歴史上初めてのことである。企業ならば 1 年ですむ開発
しよ うというものであ った。 AURORA9),
に約 5 年の歳月を要したのは,全てを自前でやったこと
NIJI III11),
と,予算が一度に付かなかったためである。
ィーの研究が進展した。しかしながら半導体業界から出た
“みらくる”は加速器の特徴として完全円形リングとい
HELIOS10),
Super ALIS12)等が成功し,X 線リソグラフ
意見は,“ AURORA でも大きすぎる”,“ X 線強度は 10 倍
う点でユニークである17,18) 。完全円形リングへの入射は
必要である”,“ 16 本のビームラインがトラブルで全部シ
AURORA で初めて成功した5) が,軌道半径 15 cm という
ャットダウンするのは困る”といった厳しいものとなり,
さらに小型のリングで成功させることができた6)。小型に
結局今日に至るまで, X 線リソグラフィーはプロセスに
なればなるほど入射はむつかしくなる。共鳴入射法は住友
採用されなかった。
重機械工業の高山による発明7)であるが,小型化において
技術の真価を発揮することになった。
開発から 10 年が経過し,過去となった今日だから語る
こととし,開発当事者としてもシンクロトロンのリソグラ
“みらくる”で発生した X 線は,指向性が高く,光源点
フィ ーへの採 用は困難に 思われた。筆 者は早い時 期に
サイズが小さいという意味で放射光の様であるが,放射光
AURORA を汎用装置として位置づけた結果, XAFS , X
よりも白色であり,20 MeV までフラットなスペクトルを
線顕微鏡,蛍光 X 線分析,軟 X 線反射率測定装置を開発
持つ点と,発散角が 25 mrad と大きい点でユニークであ
するとともに13),LIGA ,アブレーション,アモルファス
る。また,パルス光である点と干渉性が高い点で放射光で
Si の低温結晶化を実証した14) 。その結果が AURORA の
1
1
立命館大学理工学部光量子発生科学研究室 〒5258577 滋賀県草津市野路東 1
561
2684 FAX: 077
561
2860 E-mail: hironari@se.ritsumei.ac.jp
TEL: 077
――
(C) 2002 The Japanese Society for Synchrotron Radiation Research


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
)
Figure 1. Tabletop synchrotron named MIRRORCLE20
The out diameter of the ring is 1.2 m. Perturbator pulse compression system is seen on the top of the ring. In the left hand
side, the acrylic irradiation chamber is seen. The beam is injected from the bottom through a quadrupole doublet.
立命館大学への導入であった。LIGA は当時2.5 GeV のシ

◯
高エネルギー電子から発生する放射光は,特殊相対
性理論により,放射角が 1/g に比例して小さくなる。
ンクロトロンでしか実施できないと考えられていたので,

◯
筆者らが最初に実証した結果,今日のように小型リングで
電子エネルギーが高くなるほど,ベータトロン振動
普及することになった15) 。アブレーションやアモルファ
の振幅が小さくなり,エミッタンスが小さくなるた
ス Si の低温結晶化もビームラインを出来るだけ短くすべ
め。光源点の大きさは数ミクロンになる。 Brilliance
は光源点サイズで規格化した表示である。
きであるという筆者の提唱により成功した。
さて,注意したいのは,高輝度と大強度が異なるという
加速器をさらに小型化しなければ産業利用は出来ないと
点である。レーザーの場合には大強度というが,高輝度と
言う思いはその当時からのものであった。
は言わない。レーザーはコヒーレント光であるからわざわ
新しい高輝度ハード X 線発生装置
.
ざ高輝度とは言わない。これに対して放射光は,インコ
. 新しい X 線発生機構の概要
ヒーレント光であるため高輝度という表現を使う。放射光
シンクロトロン放射光といえば,ハード X 線から遠赤
は,波長当たりのパワーで言えば,平均数 W から数 100
外線 領域 をカバ ーす る高 輝度 光で ある 。 X 線 領域 では
W である。これに対してレーザーは,可視光領域で数 W
Spring-8 を凌ぐ光源はない。それでは,なぜ Spring-8 は
~ kW を発生する。あるいはパルスで MW を発生する。
高輝度なのだろうか
放射光は全放射パワーで数10 kW から数100 kW である。
放射光の歴史も専用光源ができて
25 年が経過すると,その原点は薄れつつあり,ユーザー
一方,X 線の歴史は,レントゲンが発見して以来100 年
は専門化してそこに光があるからという認識にいたると思
である。そして X 線管は今もなお人類に様々な恩恵を与
えている。X 線管の出力は,60 keV,1 A の電子ビームを
う。
放射光が高輝度である理由をまとめてみると以下のよう
10 kW ~100 kW であるから,トータルの X 線出力として
になる。

◯

◯
高エネルギー電子ビームを繰り返し利用するため。
は,放射光も X 線管も実はあまり変わらない。 X 線管で
放射光として失ったエネルギーを供給し続けている
は放射が 4p に広がり,かなりのエネルギーが熱になるの
ため。

◯
用いれば 60 kW である。放射光リングの加速空洞は,数
に対して,放射光では加速空洞に投入したパワーのほとん
周回周期が短く,発生繰り返し数が数 100 MHz に
及ぶ。従って平均光子数が大きい。
どが放射光になり,放射が前方に収束する点と, X 線管
では放射光よりはるかに容易に 100 keV 近くの X 線を発
――
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
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生する点が違っている。最近の傾向では,マイクロフォー
効率 ei ,入射器のピーク電流値 I0 ,入射が可能な時間幅
カス X 線源の能力がどんどん向上している21)。
Dt で決まる。損失はターゲットによる損失が主であり,
筆者が放射光に疑問を持ったのはこの点である。 X 線
電流値に比例するのでその係数を m とする。ターゲット
管は電子ビームをターゲットに当てて放射光よりはるかに
による損失以外には,残留ガスによる散乱と,電子間の相
容易にハード X 線を発生することができる。高エネル
互作用であるタウシェック散乱がある。前者は基本的に
ギー電子を用いれば制動放射を前方に収束することも出来
ターゲットによる散乱と同質のものであるが,ターゲット
るはずである。
に比べて圧倒的にわずかであるのでここでは無視をする。
筆者が提唱する新しい方法は,電子蓄積リングの電子軌
道上に微細ターゲットを置く方法である16) 。必ず起こる
後者は蓄積電流値が増えると顕著になり,電流値の自乗に
比例するので,(2)式の第 3 項の様に表される。
ターゲットによる損失の係数 m は,非弾性散乱である
のは,ライナックからの電子ビームをターゲットに直接当
制動放射の断面積 sbr 以外に,ターゲット原子のイオン化
てるのと同じであるという反論である。
ターゲットを微細にすることが重要である。ターゲット
の断面積が実効的な光原点の大きさであるから,それによ
による損失の断面積 si と,原子核との弾性散乱による損
失の断面積 sel を用いて次の式,
り Brilliance が決まる。ライナックでもビームを絞り微小
ターゲットに当てることは出来る。ところが問題は,微小
m=-
ターゲットによる X 線の発生効率は低く,ほとんどの電
dI 1
at
=(sel+sbr+si)ntxt fRF
Sb
dt I
(3 )
子が大きなエネルギーを残したままターゲットを透過して
しまうことである。その透過した電子をシンクロトロンで
で表す。但し,それぞれの断面積には物理的な全断面積の
引き続き周回させるのがアイデアーである。周回させて再
全てを含めるわけではない。即ち,非弾性散乱により電子
度ターゲットに衝突させる。もちろんリングの加速空洞に
エネルギーの損失がシンクロトロンの1/2モーメンタムア
よりエネルギーを回復し,ダンピングして後に衝突させ
パチャー( Dp/p)max を越えるような断面積,
る。従って,装置の性能は入射器のパワーだけではなく,
シンクロトロンのアパチャーにより決まる。リングが大き
sbr=
な物理アパチャー及びダイナミックアパチャーとモーメン
4Z 2r 2e 4
ln
137 3
(Z183) ln (( Dp/1p)
1/ 3
-
max
5
8
)
(4 )
タムアクセプタンスを持つことが鍵である。幸いなこと
に,完全円形リングである“みらくる”は,動径方向に
であり,弾性散乱により誘起するベータトロン振動の振幅
100 mm ,軸方向に 12 mm というきわめて大きなアパチ
〈b〉がダイナミックアパチャー Ac を越えるような断面積,
ャーを持つ。また 1 / 2 モーメンタムアクセプタンスは± 6
に達する18)。
sel=
. 期待される X 線強度
2pr 2e Z 2〈b〉
g2
Ac
(5 )
新型 X 線発生装置の輝度は,以下のように計算するこ
とができる16)。始めに全光子量 Nbr を計算する。制動放射
である。従って,これらは加速器の性能で決まる量であ
の微分断面積 dsk19),ターゲットの粒子密度 nt,ターゲッ
る。どのようなシンクロトロンでも良いというわけではな
トの厚さ xt ,ターゲットのビーム進行方向断面積 at ,蓄
く,大きなダイナミックアパチャーとモーメンタムアパチ
積電流値 I,ビーム断面積 Sb,として以下のように計算で
ャーを持つことが新型 X 線光源開発の条件である。“みら
きる。
くる”はまさにそのような加速器である。水平方向ダイナ
ミックアパチャーは10 cm に及び(物理的アパチャーはさ
Nbr(k)=
dsknt xt Iat
1.6×10-19 Sb
(1)
らに大きい), 1 / 2 モーメンタムアパチャーは 6 に達す
る。イオン化による電子エネルギーの損失は,平均すると
高々 20 keV であり,シンクロトロン加速により十分に回
電流値は蓄積電流値であるが,それは単位時間の入射
復できる値であるので,含める必要はないと考える。
レートと損失レートで決まる。
蓄積電流値は,入射レートと損失レートがバランスして
飽和に達する訳であるが,そのときの電流値は,(2)式の
dI
=Ri ei I0 Dt fRF-mI-hI 2
dt
(2)
左辺がゼロであるとして,解くことができる。即ち,
I=
( 2 )式の第 1 項が入射レートであり,第 2 ,第 3 項が損失
レートであるが,電流値に比例する項とその自乗に比例す
る項がある。入射レートは,入射の繰り返し数 Ri ,入射
で与えられる。
―
―
RieiI0Dt
at
(sel+sbr)ntxt Sb
/
(6 )


放射光
蓄積電流値がわかると(1)式から光子量を計算すること
ができるが,その結果は,
.
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
)
卓上型シンクロトロンの開発
. 電子ビームの入射法
電子シンクロトロンでは相対性理論の制約のために必ず
Nbr(k)=
dskRieiI0Dt
1.6×10-19(sel+sbr)
(7 )
入射加速器で高エネルギー電子ビームを生成してシンクロ
トロンに打ち込むという操作が必要である。AURORA で
共鳴入射法を採用したのは,リングが完全円形であったた
となり,実はターゲットの厚さや形状には依存しない。入
めである9)。キッカー磁石をリング内に置いた場合に主磁
射器の能力と,入射効率により決まる。これは予想された
石磁場の角度方向一様性に影響を及ぼすことを恐れたため
至極当然な結果である。しかしながら Brilliance は,
である。軌道長は 3.3 m で,約 10 ns であるから, 1 ター
ンの空心コイルで出来たかも知れない。しかし,共鳴入射
2
d Nbr
dk 1
=Nbr(k)
F ( u)
k atpu 2br
dVdS
(8 )
法を採用したのは正解であった。非常に大きな入射効率を
示したのである5) 。入射器のマクロピーク電流値 3 mA ,
入射繰り返し数 10 Hz のとき, 1 分で約 500 mA の蓄積を
で与えられる。これは,ターゲットの断面積 at と放射立
達成した。
体角 pu2br に反比例する量であるから,ターゲットが微細
共鳴入射法の名称は,ベータトロン振動との共鳴を利用
であり,電子エネルギーが高いほど明るくなることは明ら
するところから付けた名称である。通常のシンクロトロン
かである。 ubr は放射光と同様におよそ 1 / g に比例する量
では,ベータトロン振動数が整数や半整数にはならないよ
である。ここで F(u) は,制動放射の角分布であり,波長
うにし,共鳴が起こらないように設計している。共鳴が起
依存性がある19) 。この角分布は放射光と異なり
こるとビームはその振幅を急激に増大して瞬時になくな
X 線の波
長が長いほど広がりが狭くなるのが特徴である。
る。そのような共鳴を利用するわけであるから,もちろん
電子エネルギー20 MeV の時の具体的な計算例を Table
短時間だけ制御された形で使う。
1 に示す。幅 1 mm のカーボンと幅50 mm のタングステン
ベータトロン振動数を制御するのがその方法である。
を比較している。全光子量は同じであるが,幅が小さい分
ベータトロン振動数を入射中だけ整数,半整数,1/3整数
タングステンの Brilliance が大きい。ターゲットの原子番
に設定する。ベータトロン振動数は磁場分布で決まる量で
あるから,主磁石磁場の分布を 1 ターンの空心コイルで
号や厚さには依存しない。
短 時 間変 更 する 。 この 1 ター ン コイ ル のこ と を パー タ
Table 1. “みらくる- 20 ”からのターゲット放射理論値。全光
量はターゲット材質やサイズには依存しないが, Brilliance は,ターゲット断面積が小さいほど大きくなる
Machine parameters
e-Energy [MeV]
Orbit radius [m]
SR loss/turn, electron [eV]
target shape
Particle density [/m3]
Atomic number
Cross section [m2]
Target thickness/turn [m]
Target width
Case 1
20
従って“みらくる”で採用した PB の尖塔値は高々 400 ガ
20
ウスのものであった。しかしそれでも 1 ターンのコイル
0.15
0.15
9.44E-02
C-wire
共鳴現象は Fig. 2 を見ると明らかである。 Fig. 2 は入
6
74
9.7272E-30 1.2854E-27
1.00E-04
1.00E-03
1.00E-05
1.00E-03
1.04E+13
1.37E+12
7.63E+15
1.00E+15
Radiation loss/electron [eV]
Beam loss rate by Brem. [/sec]
3.42E+03
2.03E+04
2.51E+06
1.25E+05
Beam loss rate by nuclear scat.
[/sec]
4.40E+05
3.22E+06
Injector macro pear current (A)
E‹ciency*EŠective pulse width
Circulating max. current (A)
Max photon ‰ux/mrad, curr., 0.1
band
Brilliance
100.00
であるから,6000 A というパルス電流を流す。
W-wire
6.25E+28
Total photon ‰ux/A, 0.1band
Photon ‰ux/mrad, A, 0.1band
Injection rate (Hz)
鳴であり,今回“みらくる”で採用したのは2/3共鳴であ
る。共鳴現象は,同じ位相で毎回摂動が加わるところか
ら,僅かな摂動で大きな変位をもたらすのが特徴である。
Case 2
9.44E-02
1.13E+29
ベータ(PB)と称する。AURORA で採用したのは1/2共
100.00
射点で見た周回ビームの運動を位相プロット,即ち動径方
で見たものである。 PB
向変位の大きさ X とその傾き X ′
を弱くすると2/3共鳴状態が終息して行くのがわかる。PB
磁 場 は 時 間 的 に sin 半 波 で 与 え , 幅 は AURORA で 4 m
秒,“みらくる”で 0.3 m 秒である。 Fig. 2 ( a )において当
初右端の 70 mm に置かれたビームは,三つのアイランド
を回って元に戻る運動をするが, PB 磁場が減衰するた
め,ビームは除々に内側に引き込まれて,PB がゼロにな
った状態で中心を周回する。主磁石の磁場は,共鳴状態か
ら僅かにずれた振動数を与えるような分布に設定してい
0.05
6.00E-08
0.05
6.00E-08
2.81E-03
3.86E-04
1.02E+09
1.03E+09
1.071E+09
1.078E+11
る。磁場勾配の n 値で言うならば, AURORA では 0.72
に設定し,
“みらくる20”では,0.54に設定した。
. 世界最小シンクロトロン“みらくる”
世界最小という呼称を更新している。しばらく前までは
AURORA (外径 3 m )が世界最小であった。今は“みら
――
放射光
第巻第号
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Figure 3. Conˆguration of MIRRORCLE20 inside vacuum
chamber and the injection beam trajectory. The left shows the injection trajectory without perturbator, in which the beam escapes. The
right shows the one with perturbator, in which the beam is captured.
Figure 2. Shift of the tune during the beam injection. Phase plots
at the injection points show the 2/3 resonance when the perturbator
is excited as seen in a and b. The resonance disappears when the perturbator is less than 60 as seen in c and d.
して遠ざかる様子が分かる。PBA は外側を回る電子を内
側へ引き込み,PBB は,内側を回る電子を内側へ引き込
む。2 回転でビームは中心軌道に引き込まれているのがわ
かる。この後電子ビームは 1 万回転以上周回することが
シミュレーションで確認されている。Fig. 3 (b )で分かる
くる20 ”(外径 1.2 m )である。そして多分来年度には
“みらくる6X ”(外径 0.6 m )になる。“みらくる20 ”は
軌道半径15 cm の完全円形リングであり,20 MeV のマイ
のは2/3共鳴軌道の位相が 3 回転後にほぼ元の位置に戻る
様子である。
. ビーム入射実験
クロトロンで入射を行う。Fig. 1 に示したように,“みら
低エネルギーシンクロトロンへのビーム入射には幾つか
くる20”のヨークの高さが 1 m あるのは,ランプアップ
の困難がある。過去に 15 MeV 入射を行った例がある。
して50 MeV まで加速できるように設計したためである。
NTT のグループが行った,SupperALIS へのブースター
50 MeV を蓄積するのに必要なヨークの高さが 1 m である
シ ン ク ロ ト ロ ン を 使 わ な い 入 射 と , IHI が 行 っ た
が,磁極間に加速空洞や PB を挿入するために10 cm とい
LUNA20) への入射である。低エネルギーの場合,偏向磁
う磁極間隙が必要になり,このようなヨークになった。軌
石からの放射光はサブミリ波領域となり,適当な観測手段
道半径15 cm に対して,外径1.2 m と言うのも大きすぎる
がないために,入射条件を最適化するのが難しい。加うる
値である。これは電子軌道の周りに,半径40 cm の円形ト
に我々の完全円形リングでは内部に CT を挿入することが
ロイダル型ミラーを置くためである。
“みらくる20”は,
できないために電流値の測定ができない。
元はと言えば,光蓄積リング型レーザー発振を実証するた
“みらくる20 ”の場合,放射光も CT も利用すること
めの装置である18) 。必要なビームのエミッタンスとエネ
が出来なかった。そこで採用したのは,スクリーンモニ
ルギー分散を押さえるために,エネルギーを50 MeV とし,
ターである。厚さ 5 mm の Al フォイルに ZnSe の蛍光体
2/3共鳴を採用した経緯がある。X 線利用者が多いためと
を塗布して周回するビームを観測することに成功した。
新しい X 線利用のパラダイムを早急に作るために, X 線
Al フォイルによる電子ビームの減衰は僅かであるために
発生実験を優先しているのが現状である。“みらくる20 ”
可能となった。
は, X 線発 生用 には 最適 化さ れてい ない 。こ れに 対し
リング内部の様々な点でビーム位置を確認したが,現在
て,“みらくる6X ”は X 線発生用として最適化すること
は,Fig. 3 (b )にあるターゲト位置に上記のスクリーンモ
になる。
ニターを置くことで落ち着いた。 Fig. 4 は,幅 5 mm の
共鳴入射法が真価を発揮するのは“みらくる”において
スクリーンを動径方向に駆動してビデオカメラで観測した
である。“みらくる20 ”の真空槽内部構造と電子軌道を
ものである22) 。駆動している領域は約 50 mm である。フ
Fig. 3 に示す。内部にあるのは一対の PB と加速空洞と
レ ー ムを 上 から 1 枚ず つ 並べ て 見て い る。 一 番 上の フ
ターゲットだけというシンプルな構造である。
レームは,スクリーンを最も外に置いたときであり,Fig.
Fig. 3 ( a )は, PB を励起しない状態に於ける入射軌道
 である。一番下のフレームは,スク
3 ( b )における点◯
であり, Fig. 3 ( b )は, PB を励起した状態での入射軌道
リーンをほぼ中心軌道に置いたときであり, Fig. 3 (b )に
である。PB を励起しなければ,ビームはスイングバック
 である。左図は PB を励起しない状態であり,
おける点◯
――


放射光
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
)
放射パワーに比例する量であり,放射パワーは電子エネル
ギーの 3 乗に比例し,軌道半径に逆比例するから電子エ
ネルギーが高く軌道半径が短いほど早い。“みらくる20”
の軌道半径は15 cm ときわめて短いけれども20 MeV 電子
の放射ダンピング時間は 1 秒である。ならば30 Hz という
高速で繰り返し入射しても蓄積は出来ないと言うのが通常
の理論である。ところが“みらくる”では,幾つかの事情
が異なっている。
まず第 1 に,“みらくる”は水平方向に約±50 mm とい
う非常に大きなダイナミックアパチャーを持つことであ
Figure 4. The circulating beam observed by a screen monitor made
of 5 mm Al foil. We are moving the screen monitor toward the ring
center. Because the energy loss in the thin foil is small, the beam circulates contentiously. Without perturbator the localized beam at the
injection point and the center are seen in the left column. Very bright
beam spots appear when the beam is captured by the perturbator as
seen in the right column.
る。そしてパータベータは中心軌道から約 40 mm 以上外
にいる電子にのみに影響を及ぼす。PB がゼロになった時
点で, 45 mm に広がっていた電子が, 40 mm までダンプ
するのに要する時間は,120 ms である。また,45 mm よ
り外にいた電子は PB により散乱を受けるが,0.3 ms とい
う短時間にこぼれ落ちる電子は僅かである。そもそも,入
射点 50 mm にいる電子を捕獲出来るのが共鳴入射法であ
右図は励起した状態である。PB を励起しない状態では,
る。
Fig. 3 (a )から分かるように入射点とほぼ中心軌道の 2 点
第 2 に,“みらくる”の放射ダンピング時間は実際には
でビームが観測されることになる。これに対して,PB を
もっと短いと考えられる18)。“みらくる”の放射は,シン
励起した状態は,中心軌道と入射点の間のほぼ全域でビー
クロトロン放射ではなく制動放射であるから,放射パワー
ムが観測されるはずである。Fig. 3 (b )は入射後の数ター
はもっと大きい。しかもターゲットによるエネルギーロス
ンを描いたものであるから,ビームはまだ局在している
だけではなく,残留ガスからの制動放射及びイオン化によ
が,数千回転の後には,位相が進行するため,全域でビー
る電子のエネルギーロスをカウントしなければならない。
ムが観測される。 Fig. 4 の右図は正にそのような状態を
これは,軌道長(Le)により異なり,従って電子エネルギー
示している。とりわけ軌道中心で明るく輝いている。明る
(E=E0+e)により異なる。残留ガスによるエネルギーロスは,
く輝いてビームダクトからの反射も観測されている状態で
ある。
Ub=ni( E0+e)sbrLe=ni( E0+e)sbrL0
電流値であるが,計算によれば,入射のタイムウイン
(Eae+1)
0
e2
=ni E0+ae+a +e sbrL0
E0
ド ー が AURORA よ り 短 く 約 100 ns で あ り , 入 射 器 の
(
ピーク電流値が 2 mA ,繰り返し数が最大 30 Hz ,周回周
)
期数が 0.31 GHz であるところから,一回で60 mA の蓄積
となる。小型リングは周回周波数が大きいために,僅かな
と表すことができる。a はモーメンタムコンパクションで
電子数で大電流の蓄積ができる。最近,遠赤外線放射光の
ある。これを e で微分すると,ダンピングレートは,
観測に成功したが,それから求めた入射効率は 60 mA /
shot であった。即ち入射効率は100であった。
ae=
. 放射ダンピング
(
)
1
a
ni a+1+2
e sbrLe
E0
2T0
ダンピングとは,ベータトロン振動の振幅が減衰する現
象である。一般の入射法でも共鳴入射法でも入射時には大
となる。ダンピングレートは,全放射エネルギー ae = ni
きなベータトロン振動を誘起する。入射はこのベータトロ
sbrLe に比例していることがわかる。“みらくる”は 1 ×
ン振動が減衰してから行うのが通常である。従ってこのダ
10-4 P という低真空で運転しているから,残留ガスの影
ンピングの速度が問題となる。単位時間当たりのダンピン
響も大きい。ターゲットが有る場合には,制動放射とイオ
グレート ae は,放射パワーの電子エネルギー依存性によ
ン化によるロスを放射パワーに含めるべきである。平均ロ
るもので,
スを 20 keV とするとダンピング速度は放射光で計算した
それよりも約 1 万倍早くなるから 100 ms のオーダーであ
ae=
る。もちろん加速しての話である。
1 dU
2T0 de
となる。 T0 は,周回時間である。ダンピングレートは,
――
放射光
第巻第号

()
Figure 6. Target size dependences of the x-ray intensity from MIRRORCLE20. The x-ray intensity is measured with photo multiplier
with 1 sec time constant. It is seen that the smaller or thinner target
gives higher intensity. This result is quite consistent with the
proposed x-ray emission mechanism by Yamada.
Figure 5. The lifetime of the beam is observed by a photo multiplier with an oscilloscope. The lifetime depends on the target material
and structure. This is the case for 5 mm Al foil. With heavy material
targets the lifetimes are shorter, and without target, it must be much
longer.
は,縦方向には数 mm である。
この結 果は,新し い X 線 発生機構を よく説明し てい
る。ライナックなどで電子ビームをターゲットに衝突させ
て X 線を発生する場合には,ターゲットが厚く断面積が
.
X 線ビームの特徴22)
大きい方が強度が高いのは明らかである。しかし我々の結
. X 線発生実験
果は異なっている。ターゲットの断面積が小さく,ある程
Fig. 3 に示したスクリーンの位置に微小ターゲットを
度薄い方が高くなる。理論計算に依れば, 3.2 節で議論し
置いて X 線の発生を行う。折線方向 700 mm の位置にあ
たように, X 線フラックスは,ターゲットの断面積や厚
る 30 mmq の窓から取り出す。窓の材質は厚さ 0.1 mm の
さには依存しないはずである。しかし輝度は断面積に反比
Be である。ターゲットの材質としては,C, Al, Si, W, Pb
例して大きくなる。この計測で求めているのは,光子密度
等を試みた。サイズは様々である。 X 線モニターには,5
であるから,ターゲット断面積が小さいほど高輝度が得ら
mmq という最小の光電子増倍管を用いた。シンチレー
れるという理論を良く実証している。空間積分を行えば
ターを付けなかったのは,出力が大きくなりすぎるためで
ターゲットの形状には依存しないと考える。
ある。アノード 出力を, 50 Q で終端して直 接オシロス
. スペクトル測定
コープで観測した。従ってコンプトン散乱電子を観測して
X 線スペクトルの測定は必ずしも容易ではない。結晶
いて光電子は観測していない。 Fig. 5 が観測した波形で
分光器の利用が最適であるが,“みらくる”の X 線ビーム
ある。ターゲットにより寿命は異なる。図の場合は 5 mm
は発散角が25 mrad と大きいために大きな分散となる。ス
の Al フォイルであり,約 1 ms の寿命がわかる。 Fig. 3
リットを使用した場合,高エネルギー X 線のつくるコン
からわかるように“みらくる”は高周波加速空洞を有して
プトン散乱の影響が顕著である。短冊形の結晶を用いるこ
いるので,高周波加速の影響について述べると,1 kW 投
とでスリットの使用を回避するような実験を準備中であ
入時に積算 X 線強度は約 2 倍変化する。高々 1 kW であ
る。しかし,前方での計測は直接光のために不可能である
るから,電子のエネルギーを回復するのに十分なパワーで
から,この方法で可能なのはせいぜい10 keV までである。
NaI シンチレーターの使用が簡便であるが,幾つかの注
はないが,ダンピングには寄与し,周回効率が上がってい
意が必要である。まず恐れるのはパイルアップである。強
ると思われる。
光電子増倍管の出力を約 1 秒の時定数で積分して常時
度の強い X 線では複数の光子が同時に検出器に入り,個
記録している。入射電流値を一定にし,ターゲットの物
別のエネルギーが計測できず,足し算された一個の高エネ
質,厚さ,幅,高さを変えて積算 X 線強度を測定したの
ルギー X 線としてカウントされることである。従って,
が Fig. 6 である。ここに記載した材質は全て鉛である。
計測は入射電流値を極端に下げて行わねばならない。とく
 より
長さの単位は mm である。3 mm の厚いターゲット◯
に“みらくる”の X 線ビームはパルス状であるから,一
 ~◯
 の薄いターゲットの方が積算強度が大きい。◯
 ~◯

◯
層低電流値,高繰り返しで行うのが良い。次に NaI の応
は,厚さが同じで高さも同じであるが,幅が狭いほど積算
答関数であるが,コンプトン散乱の後に検出器からエス
 と◯
 を比較すると,幅と高さは同じであ
強度が大きい。◯
ケープする X 線のために低エネルギー側にテールを引く
るが,厚さは 19 倍違っている。しかしながら強度は 2 倍
のが特徴である。大きな検出器を用いればこのテールを押
 と◯
 では,厚さと幅が同じであるが,
とは違わない。◯
さえることができるが,完全になくすることは難しい。従
ターゲット断面積にして 50 倍違っているにもかかわらず
って,スペクトルの低エネルギー部分は制動放射そのもの
X 線積 算強 度に はほ とん ど差 がない 。ビ ーム の広 がり
とは言えない。デコンボリューションを行うテクニックが
――


放射光
第巻第号
(

)
を測定するのは不可能に近く,分光も困難である。可能で
あるのは,イオンチェンバーによる DOSE 量の測定であ
る。測定は,PFAR の兵頭氏の立ち会いで行われた。PF
AR の医療用ビームラインで使用しているイオンチェン
バーを使用して行ったものである。計測結果を Table 2
に掲げる。全光量の絶対値を知る意味で,ビームのプロフ
ァイルに基づき,積分した値を示す。PF AR での計測を
参考に掲げるが,ビームの特性があまりにも異なるため
に,直接比較するのはあまり意味のある事ではない。PF
Figure 7. X-ray spectrum measured by 3 ″
q NaI. The
bremsstrhlung is featured by the ‰at spectrum up to the electron
energy. Since pile up of photons cannot however be rejected
although we have extremely decreased the beam current, the spectrum could be shifted toward higher energy.
AR はアンジュレータービームラインであるから,単色に
近く,さらには結晶を用いてビームを拡大している。一
方,“みらくる”は, 20 MeV までの X 線を含む。但し,
イオンチェンバーの応答は,30 keV 当たりまでは X 線エ
ネルギーに比例するが,それより高エネルギーでは減衰し
て100 keV 以上では違いが出ない。20 MeV X 線のエネル
あるが,絶対強度を議論するのは困難に見える。
ギーデポジットは100 keV 相当である。そのような訳で X
3 ×3.5 ″
NaI を用いて測定をした結果を Fig. 7 に示す。
線の絶対強度はまだ不明である。むしろ, X 線強度に関
入射電流値を通常の 1 / 1000 以下に押さえているが,入射
して,我々が直接感じるところは,次節で述べるイメージ
直後の数 10 m 秒は出力が完全に飽和し,計数はできなか
ングを, 2 mA , 30 Hz 出力時に,約 30 秒で撮像できると
った。出力が恢復した後の計数である。電流値は CT で計
言う能力である。先に述べたように,“みらくる”の X 線
測できる値ではなく正確にはわからない。繰り返しは 30
出力は入射器の能力に大きく依存する。20 MeV マイクロ
Hz で,約20分かけて計測した。ターゲットを待避した状
トロンは, 30 mA , 400 Hz が標準であるから,現在の出
態で同じ時間計測したバックグランドを差し引いた結果で
力の200 倍を出すのは容易なことである。出力は,単にク
ある。19.5 MeV までフラットに続く制動放射の特徴がよ
ライストロン電源の容量で決まる。そのような訳で,我々
く示されている。しかしながらパイルアップが発生してい
は,0.15秒で非破壊検査もしくは医療診断できる装置を実
ないと考えるのは不合理であり,スペクトル全体が高エネ
証できたと言える。
ルギー側にシフトしている可能性が高い。なお,波高分析
. イメージング実験
機の出力は,バンド幅がコンスタントであり,Dl/l がコ
X 線の発生に成功し,最初に行ったのがイメージング
ンスタントであるような結晶分光器とは異なるので注意さ
実験である。 X 線の質を見るために,幅 35 mmq ,厚さ
0.1 mm の Be 窓から出る白色光を,医療用 X 線フィルム
れたい。
. X 線強度
( FUJI RXU +増感紙 GRENEX HR 8 )を用い,簡易現
X 線強度の絶対測定にはまだ成功していない。電流値
像するのが最も簡便であった。デンタルフィルムは感度が
Table 2. “みらくる20X”線出力と SR 光比較表
19 MeV 電子蓄積型高輝度光源
5 GeV SR 光源
PF
AR で20 mA 蓄積時
放射形態
ターゲットからの放射
アンジュレーター放射
放射角度
25 mrad
<1 mrad
数 keV~20 MeV までフラット
33 keV の単色
スペクトル
時間構造
撮像場所での線
量測定結果
パルス
パルス幅 10 ms
繰り返し Max100 Hz
400 MHz
連続
空気 1 気圧電離箱(入射窓10 mmq)
使用
0.24 R/s/1 mA 入射時/78.5 mm2
33 R/s/25 mA 蓄積時/78.5 mm2
916 R/s/30 mA 入射時/100 Hz/15 cm2
135 R/s/25 mA 蓄積時/106 cm2
最大出力時理論
値Brilliance
6.8E+08光子/s/mrad2/mm2/0.1l
at 1 keV~20 MeV
3.0E+15光子/s/mrad2/mm2/0.1l
at 33 keV
全光子数理論値
1.3E+8 光子/s/0.1l
3E+7 光子/mrad/s/0.1l
最大稼働出力
――
放射光
第巻第号

()
Figure 8. Images of Pb chart is taken by MIRRORCLE x-ray beam. FUJIRXU ˆlm and intensiˆer; GRENEXHR8)
is used. Target of 1 mmq Al is used. (a) Contact image. The distance from the source point is 1200 mm, (b) Magniˆed image. The distance of the sample Pb chart from the source point was 700 mm, and that from the ˆlm was 500 m. The space
resolution obtained by the line and space was 130 mm for the contact and 200 mm for the magniˆed.
高いが,サイズが小さいことと現像にむらが出来る点で不
満を残した。ターゲットの材質,厚さ,断面積による X
線質の違いを評価した。サンプルについても,標準サンプ
ルとして,各種厚さの鉛板,銅板,アルミ板,テフロン
板,アクリル板等をセットとして用いた。解像度を見るた
めに鉛でできた既成の標準チャートを用いた。また,身近
にある素材として,昆虫,電球,コネクター,ピラニー真
空ゲージ,サイラトロン等を撮像した。フィルム/サンプ
ル/光源点の間の距離依存性についても観測した。ここで
は,特徴的な幾つかについて紹介する。
Figure 9. Inside image of thyratron taken by MIRRORCLE. The
target of 0.1 mmq lead was used. Less than 0.1 mm thick ˆne ˆlament in a thick metal case is seen.
ターゲットは,幅を 3 mm から 0.1 mm まで変えたが,
幅が狭いほど鮮明な画像が得られたのは当然である。1~
0.1 mm 幅のターゲットでは,サンプルとフィルムの間隔
を50 cm まで離しても鮮明な画像を得ることができた。こ
のときのイメージは,2 倍ほどの拡大像になった。Fig. 8
に空間分解能を示すために鉛でできたチャートのイメージ
を掲載する。ビームポートの大きさは,サンプル位置にか
かわらず一定であるから,(b )で拡大している事実がわか
る。( a )は密着像であり,光源点と Pb チャート及びフィ
ルム間距離が 1200 mm ,( b )は光源点と Pb チャート間距
離が 700 mm で Pb チャートとフィルム間が 500 mm であ
った。ライン & スペースから求めた分解能は密着で 130
mm,拡大で200 mm であった。密着の場合にはもっと高い
分解能が出て良いはずであり,拡大像の場合には 1 mm 幅
のターゲットに対して分解能が良過ぎである。問題は X
線エネルギーが高く,透過光と散乱光の影響が顕著な点で
Figure 10. The edges of materials are seen by the interference due
to very high coherence of MIRRORCLE x-ray beam. It is shown
that the degree of the interference depends on the material thick ness
as well as the atomic number.
ある。あるいは増感紙の使用が分解能を下げている。適切
な X 線フィルムや増感紙の選択あるいは IP の利用が必要
であり,今後の研究課題である。 Fig. 9 はサイラトロン
量的な測定を行った。原子番号の違う各種物質につきその
である。肉厚のセラミクス管及び金属フレーム内部の細い
エッジで見られる干渉の様子を定量的に見た。Fig. 10 が
カソード電極,フィラメントやリザーバー電極が見えてい
それであるが,厚さが同じでも元素が重いほど鋭い干渉が
る。ターゲットには0.1 mmq の鉛を使用した。
起こる。同じ元素の場合には厚いほど鋭い。鋭いという表
. コヒーレンス
現であるが,振幅が大きく,幅も広がるという特徴があ
新しい X 線は高いコヒーレンスを持つことが予測され
る。但し, SR との違いは,“みらくる”ではフィルムと
た。イメージングにもそのような影響が見られたために定
サンプルを数 cm から密着させた場合に干渉性がより顕著
――


放射光
第巻第号
(

)
 低エネルギー電子を使う分,放射角が放射光より
る点,◯
広く,“みらくる20 ”では 25 mrad であり,“みらくる
 高い干渉性が得られる点,
6X ”では 80 mrad ある点,◯
等において異質である。干渉性は,入射器のピーク電流値
を上げることで達成されるので,この方式により, 1018
光子程度のピーク Brilliance も夢ではない。新型光源の特
性を放射光,マイクロフォーカス X 線源と比較したのが
Table 3 である。その他に逆コンプトン散乱を利用した光
Figure 11. X-ray image of 30 mm long body butter‰y. Soft tissue
is imaged by the interference.
源もある。単色光を得る上で優れているが,散乱の断面積
は古典電子半径の自乗に比例する量であるから大きいとは
言えない。また,ハード X 線を得るためには,波長 1 ミ
クロンの光子を使っても 150 MeV 程度の電子を必要とす
だと言うことである。“みらくる”は白色性が強いことが
るから,装置は必然的に大きなものとなる。今後はさらに
既に明らかであるから,散乱光と直進光のエネルギー的な
様々な光源が出てくると思われるが,それぞれの特性を生
干渉である可能性が高い。干渉機構の理論的な解明は今後
かした利用の開発もまた重要となる。
“みらくる”は,新しい質をもつ X 線源であることと小
の課題である。
0.1 
型である点において, X 線利用のパラダイムを変える。
band で鋭い干渉が起こるのは不思議であると思うかも知
X 線 の Brilliance が 高 々
筆者が期待している X 線利用を Table 4 に掲げる。高エ
れないが,この強度は平均強度である。“みらくる”はパ
ネルギーであること,指向性が高いこと,干渉性が高いこ
ルス光であるために実は,光子密度はもっと高い。主成分
とから,位相コントラスト法による癌の診断に適してい
108
光子/
mrad2,
mm2,
が 10 ms のパルス幅で有るとするならば, 30 Hz 運転であ
る。高エネルギーであることは,被爆を低減すると期待で
ったとして,ピーク強度は,約1012 光子/mrad2, mm2, 0.1
きる。同じ理由で体内軽元素の異物を診断するのに威力を
 band である。私たちは, Peak Brilliance という概念を
発揮する。パルス的であるところから,心臓の鼓動に同期
導入すべきであると考える。2 号機である“みらくる6X”
させて冠動脈の診断を行うのに適している。“みらくる
は,入射電流値を 100 倍にする予定であるからその Peak
6X ”は 1 パルス, 100 ns 当たり 40R の出力を目指してい
Brilliance は 1015 光子に達する。 X 線のパルス幅は,ター
るから, 1 パルスで診断してお釣りがくる勘定である。
ゲットの厚さにより自由に変えることができるから,目的
“みらくる”はハード X 線顕微鏡に適している。光源点を
に応じて Peak Brilliance を変えることが出来るのが“み
1 mm 以下にして,光学素子を用いることなく,X 線顕微
らくる”の特徴である。
鏡を実現できる。 X 線リソグラフィーに適しているのは
“みらくる”は SR に比べて格段にハード X 線成分を含
言うまでもない。放射光による X 線リソグラフィーで
むが,この干渉性の高さにより,柔らかい物質のイメージ
は,指向性が高すぎるために振動ミラーで露光野を広げる
ングが可能になる。 Fig. 11 に示したのは,胴体長約 30
ということを行った。“みらくる”ではその必要がない。
mm のあげは蝶を密着で撮像したものである。羽の肢脈,
但しハード X 線の影響を除くためにミラーを導入しなけ
触覚,眼球の内部,腹部のひだや球状の物質などが鮮明に
ればならないかも知れない。むしろ“みらくる”は縮小投
見える。よく見るとわかるのは,透過像であることと,物
影露光に適している。放射光ならば,一旦広げてから縮小
体のエッジが強調されていることである。
するという光学系を用いなければならないが,“みらくる”
. 新しい X 線ビームの特性
では不要である。非破壊検査における威力は既に実証され
新しい X 線発生機構は,放射光も物理的には制動放射
たところである。もちろん装置が小型であるから,現場で
であるという意味において,放射光である。光源点の大き
の検査が可能である。例えば原子炉の検査である。分析利
さが小さい事とスペクトルが連続である点において類似し
用は放射光と同様である。 10 keV 領域で Spring-8 をしの
ている。しかしながら,やはり放射光とは様々な点で異な
ぐことはないが,光学系を利用して,ビームを収束すれば,
り,放射光ではできないアプリケーションがある。このよ
Brilliance をさらに10 倍程度はあげることができる。タン
うな光は従来に無かった光である。今後の研究によりさら
パク質の結晶構造解析を研究室で手軽に行うことができれ
に新しい特質が明らかになると期待されるが,今日までに
ば,研究は一層加速されると信じる。
 非常にフラットな白色光である点
明らかになったのは,◯
(同じくターゲットを用いる回転対陰極 X 線源やマイクロ
フォーカス X 線源は特性 X 線である点で異なっている),
.
おわりに
“みらくる20 ”の開発に成功したことで大きく展望が
 通常の放射光よりハード X 線成分を多く含む点,◯
パ
◯
開けた。まず第 1 に,さらに小型の“みらくる6X”が文
ルス的であり,その幅は数 ms から数 ms に渡り可変であ
部省科研費基盤研究 S で予算化されたことである。その
――
放射光
第巻第号

()
各種 X 線源比較表
Table 3.
X 線発生スキーム
発生原理
輝度
特徴
みらくる
テーブルトップ
放射角80 mrad
光源点サイズ1
100 mm
輝度1011 光子/mm2, mrad2, 0.1band
電子エネルギーまで続く白色光
ピーク輝度1015 光子
小さな光源点
放
射
光
高輝度
高い指向性
小さな光源点
マイクロフォーカス
放射角4 prad
光源点サイズ10 mm
輝度107 光子/mm, mrad2, 0.1band
特性 X 線
小さな光源点
非常に手軽
連続光
Table 5. “みらくる
6X”仕様
ヨーク外径 60 cm
軌道半径 165 cm
アプリケーションの種類 筆者が考えるアプリケーションの特徴
シンクロトロン
癌の診断,体内軽元 高い空間分解能により形状から癌の種
素異物の識別
類を識別できるか
加速高周波
位相コントラスト法により密度の違い
から癌を識別できるか
視野が広い点が有利。みらくる
6X
では80 mrad ある。
2.
大きな発散角
視野が広い
放射角1 mrad
光源点サイズ10100 mm
輝度1015 光子/mm2, mrad2, 0.1band
臨界波長をもつ白色光
連続光
Table 4. “みらくる”に適したアプリケーションの色々
1.
中性子を発生しない
病院に設置可能
ハード X 線顕微鏡
入射器
2.45 GHz
10 kW
6 MeV マイクロトロン
ピーク電流値 100 mA
パルス幅 1 m 秒
繰り返し 400 Hz
ターゲット断面を 1 mmq 以下にする
ことにより光学素子なしで,ハード
X 線顕微鏡ができあがる。
放射形態
ターゲットからの放射
放射角度
83 mrad
3.
冠動脈診断
心臓の鼓動に同期した早い撮像が可
能
4.
癌治療
ライナックに比べて高エネルギー X
線成分が多い点で,効果が異なると思
われる。(注 1)
時間構造
重量物,構造物の透視が可能。また,
エンジン等の診断を期待している。
強度
40R/パルス(200 ns)
撮像時間
1 パルス(200 ns)/フレーム(576 cm2)
最大出力
16000 R/s
スペクトル
5.
非破壊検査
6.
X 線リソグラフィー 視野が広いため,振動ミラーを必要と
しない。
タンパク質構造解析 ビーム収束により SR と同様な分析利
用を行う
8.
トポグラフ,
XAFS etc
9.
放射性同位元素消滅 高エネルギー X 線により,gn 反応
処理
を利用。
Brilliance
全光子数
パルス幅
100 ns~1 ms で可変
繰り返し Max400 Hz
5.5E+11
光子/s/mrad2/mm2/0.1l
2.5E+11光子/s/0.1l
ビーム収束により平行光を作る必要が
ある。
核を励起する核構造の研究に利用。
注1 )
1 keV~6 MeV
パルス
縮小投影露光にも有利と考える。
7.
連続
阪大医学部グループが癌の殺傷力を評価中
スペックを Table 5 に掲げる。リングの外径は60 cm であ
り,全体が長さ 1 m のテーブルに載ることになる。みら
くる6X は医学,産業利用のためのプロト機として開発
を行う。電子エネルギーを 6 MeV まで下げるのは,中性
――

放射光
第巻第号
(

)
子を発生しないためと,放射角を80 mrad まで広げるため
でマイクロトロン入射器が手に入り,岡崎通いの悪夢から
である。これで装置は通常の部屋に設置可能となり,肺全
抜け出すことができた。ここに関係者に深く感謝の意を表
体の診断が可能となる。入射器の負担が軽減されること
する。その後は比較的穏やかな開発の日々が続いたが,光
で,電流値を 100 mA まで増強し,繰り返し数を 400 Hz
子発生技研の北澤,遠山,長谷川,及び理学電機の栗林氏
まで上げることが出来るので, X 線強度 4000 R / s ,ある
のご援助により,かなりの部分を改造した。筆者及び学生
いは1011 光子/s, 0.1bsnd を達成できる。
の負担が大幅に軽減され,共鳴入射法の理論的側面を強化
“みらくる20 ”を用いて今後幾つかの特徴的な X 線ア
することができた。その結果が入射の成功と高輝度 X 線
プリケーションを実施するが,“みらくる6X ”の早期の
の発生につながった。修士卒業をした,尾崎,阪井,坂の
完成に基づき, X 線利用アクティビティーを移行した上
諸氏は,修士論文をよくまとめて下さったので後輩の大き
で,光蓄積リング型レーザーの発振実証研究に移りたい。
な励みになっていることをお伝えする。そして最後に,マ
現在実施しているアプリケーションは,Table 4 にある癌
イクロトロンのコミッショニングは,ロシア Kapitza 物理
の診断と治療及び X 線リソグラフィーを中心に勧めてい
学研究所の G. D. Bogomolov 博士と A. I. Kleev 博士の協
る23)。
力でなされたことを記して感謝の意を表する。
さて,開発に 7 年の歳月を費やしたが,この間実に多
くの方々のご支援と励ましを受けた。悪戦苦闘を 5 年間
続けると,次第に周りに理解者も増え,研究員を派遣する
参考文献
1)
中小 企 業が 現 れ, 現 在は 派 遣 研究 員 5 名 が常 駐 し てい
株 光子発生技術研究所,
株 アポロメック,
る。支援企業の
株 ,
株 フジキン,理学電気
株 ,ニチ
服部ヒーティング工業
株 に謹んでお礼を申し上げたい。成功の理由としてそ
コン
の背景に,実は,ベンチャー企業を立ち上げることにより
2)
研究員と安定的な予算の確保を図ったということがある。
私立大学では助教授も助手も技官も居ないのが実状である
3)
から,ベンチャーの立ち上げ無しにこのプロジェクトを成
株 光子発生技術研究所はそ
功させることはできなかった。
4)
のようなベンチャー企業である。今後は“みらくる”を商
品化して世に出すという義務が残った。
本プロジェクトは,国家プロジェクトでも大学プロジェ
5)
クトでも無かった点と,ユーザーに対してオブリゲーショ
ンが無かった点で,思い切った開発を実行できたと考えて
6)
いる。小型とはいえ,総額 2.5 億円の予算を一研究室で獲
得できたのは幸運以上のものであった。開発のきっかけに
なったのは,科学技術振興事業団の“さきがけ研究 21 ”
である。高良和武先生,千川純一先生,霜田光一先生のご
支援がなければ,この装置は世に出ることがなかった。心
7)
からお礼申し上げたい。1/2共鳴入射法の発明者である高
8)
山氏がこのプロジェクトに深く関与されたことは言うまで
もない。プロジェクトの途中で彼が急逝したことは大きな
痛手であった。ここに改めてお礼を申し上げると共に,ご
冥福をお祈りする。
思い出すのは,岡崎分子研の UVSOR に“みらくる”
を運び込み,15 MeV ライナック入射器を借りて入射実験
を行ったことである。施設の提供にご厚意を頂いた浜,保
坂,山崎の諸氏に深く感謝する。毎週岡崎まででかけ連日
深夜に及ぶ実験に参加したのは,4 回生の井高,汐崎,伊
藤他の諸氏であった。たいへんな苦労をおかけした。ここ
に深くお礼申し上げる。
文部省の補助と寄付金で立命館大学に専用の放射線施設
9)
10)
11)
12)
13)
ができ,科学技術振興事業団・委託開発部の林氏のご好意
――
住友重機械工業が AURORA を 10 億円という破格の値段で
立命館に売却したのは,当時 AURORA グループの責任者
であった筆者の決断によるものであった.結果として,
AURORA II の開発が実現し,グループの延命をもたらし
たが,最近グループは解散した. OXFORD の HELIOS グ
ループが一足先に解散したのも歴史の流れである.
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14)
15)
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2002.1.20
Methods.
現在,阪大医学部,放射線科や学科内で共同研究を進めて
いる.利用にご興味のある方が居れば,〈 hironari @ se.ritsumei.ac.jp 〉までご連絡されたい.利用のための審査委員
会等が有るわけではないので,柔軟な対応が可能である.
■
シンクロトロンの小型化はなぜ難しいか
は電車のポイントを切り替える方法に似ている。パルス電磁
小型シンクロトロンを作ることは容易ではない。確かにあ
石又は高電圧インフレクターを用いてポイントを切り替える
の巨大な装置を数ミクロンの精度で据え付けるという難しさ
訳である。一周して戻った電車は自分でポイントを切り替え
はない。しかしネックとなるのは電子ビームの入射技術であ
て周回軌道に入る。しかしここでも電子には自分でポイント
る。
を切り替える力はない。従って,人間がポイントを切り替え
電子ビームの入射は,人工衛星が地球に帰還する時の問題
てやらなければならない。磁場又は電場をゼロにするわけで
に似ている。人工衛星では逆噴射を行って減速し,地球の引
ある。切り替える速度は, Spring-8 の場合には一周の周回
力にトラップされる。減速し過ぎると人工衛星は燃え尽きて
時間が約 4 ms であるから十分に時間がある。実際には,
しまうから適当な角度で大気圏に突入することが重要とな
ベータトロン振動の位相を動かすことにより,もう少し時間
る。減速をしなければ地球の引力で加速されて遠心力のため
の余裕を作ることができる。ところが,軌道長 1 m のリン
に地球から遠ざかる結果となる。宇宙旅行のエネルギーを
グでは 3 ns である。そのような高速で約 1 kG の磁場をスイ
セーブする方法として使われる。同様にして,静磁場に電子
ッチするのは困難である。小型リングへの入射を可能にした
を打ち込めば,必ずスイングバックして遠ざかる。
のが共鳴入射法である。
電子の場合には自分で逆噴射はできない。通常用いる方法
――
ダウンロード

“みらくる 20”による新しい X 線の発生