中性子星とブラックホール
(超新星爆発のあとに残る
中性子星とブラックホール)
2014/05/17
大阪大学大学院理学研究科
林田 清
Ver201405127
1
2013年11月の講義の復習1
• まず復習として、HR図と黒体輻射
• 恒星の進化は、基本的に生まれたときの質量
によって決まる。
• 重い恒星ほど明るく輝き、短い一生を送る。
• 太陽の8-10倍より重い星は最期に超新星爆発
という大爆発を起こし、星の内容物を宇宙空間
にばらまくとともに、中性子星やブラックホール
といった高密度の天体を残す。
• 2000年間に肉眼でみえたことが記録されている
超新星は8例。
2
復習の復習
 温度が高いほど波長が短い
 温度が高いほど光の強度が強い
 全波長範囲で積分すると 4
恒星の光度は = 42  4
黒体輻射のスペクトル
1014
T=30K
T=300K
T=3000K
T=30000K
1010
W(W/m2/µm)
106
102
10-2
10-6
10-10
10-2
X線
紫外線
10-1
100
可視光線
101
102
波長(µm)
赤外線
103
電波
104
105
3
褐色矮星
中性子星orブラックホール
白色矮星
超新星爆発
静かな質量放出
M<0.08M◎
重力崩壊
0.46M◎
8M◎
10M◎<M
H
He
H
H
C+O
H
He
H
He
He
C+O
C+O
O+Ne
+Mg
O+Ne+Mg
Si
Fe
重元素濃度の増加
星間ガス
星の進化の終末
4
シリーズ現代の天文学 Vol.7 恒星をもとに作成
2013年11月の講義の復習2
• 超新星爆発には重力崩壊型(コア崩壊型、II型)の他にもIa
型と呼ばれるタイプがある。
• 鉄より重い元素は巨星の段階で一部合成されるが、ウラン
より重い元素が合成されるのは超新星爆発のときのみ
• 炭素より重い元素の起源は恒星内部での核融合と超新星
爆発
• 超新星爆発の際、爆発のエネルギーは膨大な数のニュート
リノがになってとんでいく。SN1987Aの際にこれを検出した
のが日本のカミオカンデという装置。
• 超新星爆発のあと爆発噴出物は星間空間に膨張していく
• 特性X線を測定することで噴出物の元素組成がわかる
5
21th Century Astronomyより
6
SN1987A
• 1987年2月23日に大マゼラン星雲(距離16万光年)
で起こった超新星
• もとの星は太陽の20倍の質量の青色超巨星
• 最大光度は3等級@5月
7
写真はAnglo-Australian Observatory
超新星爆発のその後→超新星残骸
8
2014/5/17の授業概要
• 超新星爆発の際に、恒星の中心部が圧縮され、中
性子星あるいはブラックホールといった高密度の
星が生成されることがある。
• 超新星爆発で中性子星が残るのは、最初の星の質量
が10-20倍の太陽質量、それ以上ならブラックホールと
いわれているが、境目は明らかでない。
• このような天体では、その強い重力によって、我々
の常識では理解しがたいような不思議な現象がお
きている。
• この講義では、主に、観測的な立場からこれらの
天体を紹介する。
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中性子って?原子の構成と原子核
陽子と中性子からなる核の周りを電子
がまわっている
A=Z+N
原子核の外にある単独の中性子は半減期約10分でベータ崩壊
中性子→陽子+電子+ニュートリノ
する
表と図は東工大 関本氏ホームページ
http://www.nr.titech.ac.jp/~hsekimot/theoryslide.pdfより
星がつぶれずに形を保つために
重力に拮抗する圧力(差)が必要
 小質量の恒星はガス圧
 大質量の恒星は輻射圧
 白色矮星は電子の縮退圧

さらに密度高くなると

ベータ崩壊
中性子→陽子+電子
が起こっても電子の座る席がない
中性子星は中性子の縮退圧
中性子は同じ席に2個同時に座れない。
密度が高くなり、席がびっちりうまってしまう
と、これ以上圧縮でき、非常に強い圧力に
なる。これが縮退圧。
v
脱出速度(第二宇宙速度)
r
1 2
mM
E = mv − G
=一定
2
r
R
半径Rの天体の表面から
打ち上げて無限遠に達するためには
1 2
r → ∞で mv ≥ 0でなければならない
2
1
mM
2
=
0
mvesc − G
2
R
2GM
vesc =
脱出速度
R
注)無限遠から落下した物体が表
面に達したときの速度にも等しい
いろいろな天体の脱出速度
vesc
2GM
=
R
M (kg)
R (km)
vesc (km/s)
月
7.4x1022
1.7x103
2.4
地球
6.0x1024
6.4x103
11
太陽
2.0x1030
7.0x105
620
白色矮星
~ 1030
~ 5x103
~5000
中性子星
~ 3x1030
~ 10
~200000
ブラックホール
>3x1030
300000
かに星雲 M1 = 1054年の超新星の残骸
• 真ん中に高速回転する中
性子星(パルサー)が観測
されている
• 重力崩壊型(II型)超新星で
あった確かな証拠
• 超高エネルギーに加速さ
れた荷電粒子が存在し、
幅広い波長にわたる非熱
的放射が観測されている
14
中性子星
重力による収縮を中性子の
縮退圧でささえている状態の
高密度星
通常の原子核を構成する格子
がとけだした状態
日本原子力研究所
http://jolisfukyu.tokaisc.jaea.go.jp/fukyu/tayu/ACT04J/07/0707.htm
中性子星の中心部の密度~
原子核の密度
安定に存在する中性子星の質量
と半径は、原子核の中で働く力に
よって決定される。
最新の理論計算例
理化学研究所他
http://www.riken.jp/pr/press/2013/20130914_1/
15
パルサー
子星
高速回転する磁場の強い中性
磁極方向にサーチライト状の放射(電波、可視光、X線、ガンマ線)が発生する。
自転軸が磁力線の軸とずれている場合、放射は観測者に周期的に届く。
かに星雲のパルサーの場合は自転周期33ms
(半径~10km、太陽の~1.4倍の質量の天体が
1秒間に30回回転している!)
図はhttp://avengers-in-time.blogspot.jp/2012/07/1967science-technology-pulsar.html より
http://astronomyonline.org/Stars/HighMassEvo
lution.asp
より
16
ブラックホールとは?
• 光さえも逃げ出せない全てを吸い込む黒い穴。 吸い
込まれたら最後2度と抜け出せない。
• 長い間理論的な産物
• 1915年 アインシュタインの一般相対性理論
• 1916年 シュバルツシルドの解
• 1939年 オッペンハイマー等による大質量星の重力崩壊の
研究
• (1967年 中性子星パルサーの発見)
• 1967年 ホィーラーによりブラックホールと命名
• ブラックホールが天体として実在するという観測的証
拠は1970年代になってから
参考文献:前田恵一著 図解雑学ブラックホール(ナツメ社)
事象の地平線とシュバルツシルド半径
• 重力ポテンシャルが極端に強くなると、脱出速度は光
速に達する。
• 脱出速度が光速に達するような天体=ブラックホール
(ニュートン力学で解釈すると)
• 脱出速度が光速cに等しくなるような半径=シュバル
ツシルド半径2GM/c2
• ここでMはシュバルツシルド半径の内側に含まれる質量であ
ることに注意
• 太陽と同じ質量なら3km
• シュバルツシルド半径で囲まれる面が事象の地平線
ブラックホール周辺の時空
• 時間の遅れ
*) 時空の奇妙な振る
舞いはあくまでブラッ
クホール近傍でのこ
と。 ブラックホール
から離れたら同じ質
量の質点がつくる重
力場と区別がつかな
い
福江純氏作成
http://quasar.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/~fukue/POPULAR/00ce/bh/bh.htm
ブラックホール周辺での光線の軌跡
• 直進しない
(空間のゆが
み)
• 光の振動数は
低い方にずれ
る(赤方変移)
福江純氏作成
http://quasar.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/~fukue/POPULAR/00ce/bh/bh.htm
ブラックホール連星系
中性子星連星系
• ブラックホールや中性
子星などの“コンパクト”
な星と普通の恒星との
連星
• コンパクトな星に降り積
もるガスが1千万度以
上に加熱されX線を放
射する
ムービー Credit:
NASA/Honeywell Max-Q
Digital Group/Dana Berry
http://imagine.gsfc.nasa.gov/
docs/features/movies/spinnin
g_blackhole.htmlより
上のシミュレーションの図 原口圭 (神戸大)作成
http://www.planet.kobe-u.ac.jp/~kei/astronomy.htmlより
白鳥座X-1
• 1964年 X線源として発見される。
白鳥座で一番目に発見されたX
線源(白鳥座X-1)。
• ~1971年 白鳥座X-1の位置が
正確に決められ(小田稔、宮本
重徳、他),そこに O9型の超巨
星HDE226868が存在することが
明らかになった。
• HDE226868の可視光観測からこ
の星が公転周期5.6日の近接連
星をなしていることがわかった。
• 相方の星は?その質量は?
http://www.owlnet.rice.edu/~spac250/stev
e/ident.htmlより
連星系の観測と星の質量
a 3  2π 
M 1 + M 2 =

G P 
a ≡ a1 + a2 , M 1 / M 2 =
a2 / a1
2
• 実視連星
• 分光連星
• 星のスペクトル線の
V1 K1 cos Ωt
時間的な変位から =
連星であることがわ
K1 = ( 2π a1 / P ) sin i
かる
M1
は視線速度振幅
( M 2 sin i )
星2についても同様
( M1 + M 2 )
i
a3 =
a1
( M1 + M 2 )
a3
1
 K P  ( M1 + M 2 )
= 1 
M 23
 2π sin i 
a2
M2
2
K13  P 
=


G  2π 
3
M 23
3
3
3
を左上の式に代入すると
質量関数:右辺は観測から
決められる。 例えば質量M1
と傾き角iが推定できていると
質量M2が決まる。
白鳥座 X-1(Cyg X-1)
ブラックホール連
星系
============
中性子星連星系
右の表
http://www.astro.uu.nl/~orosz/より
(恒星の相方の)高密度星の質量/太陽の質量
銀河系内のブラックホール連星系(の一部)
http://www.astro.uu.nl/~orosz/より
ブラックホール連星系
~X線強度の時間変動
• X線強度の不規則な激しい変動が他のX線星(例えば
中性子星連星系)とは異なる一つの特徴
X線光度の最小値に見る
中性子星とブラックホールの違い
• 質量降着が最低の状態でのX線光度
宇宙科学研究所提供
http://www.astro.isas.ac.jp/xjapan/asca/3/bhxray/より
ブラックホールの存在証拠
あるいは観測的特長
• 可視光ではほとんど見えないようなコンパクトな星で、
質量が中性子星の理論的限界質量(3倍の太陽質
量)を超えている。
• 一般的には連星系の観測からわかる。
• X線強度は不規則で激しい時間変動をする。
• X線光度の最小値が中性子星連星系のそれより低い。
• (その他High-Low遷移やヒステリシス的変化などX
線観測によってわかる特徴;今回は省略)
中性子星とブラックホールの起源
• 中性子星は大質量星の超新星爆発の際に鉄のコア(の一
部)が重力崩壊してできる。
• このとき外側の物質は、できた中性子星に跳ね返され宇宙
空間にばらまかれる。
• でき(かけた)中性子星の質量が3倍の太陽質量より大きけ
れば不安定で、ブラックホールに重力崩壊する。
• このとき外側から落ちてきた物質が、そのままブラックホー
ルに吸い込まれると静かな超新星爆発になると予想されて
いた。ところが、落ちてきた物質の一部がジェットとして激しく
吹き出すという描像が提案され、ガンマ線バーストという現
象に対応するという考えが指示されつつある。
• これ以外に、中性子星と中性子星の衝突合体
でもブラックホールができる可能性がある。
図は
http://www.redorbit.com/education/reference_library/space_1/uni
verse/2574704/hypernova/
29
ダウンロード

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