小児HIV感染症における
抗レトロウイルス治療のガイドライン
Working Group on Antiretroviral Therapy and Medical
Management of HIV-Infected Children
The National Pediatric & Family HIV Resource Center
(NPHRC) at The François-Xavier Bagnoud Center,
UMDNJ
日本語訳:広島大学病院エイズ医療対策室 西村 裕、高田 昇
François-Xavier Bagnoud Center, UMDNJ
ガイドラインのできるまで



NPHRCは小児HIV感染症に関する臨床医、研究者、家族の代
表、合衆国の役人の代表を1996年6月と1997年7月に招集し、
1992年のガイドラインのアップデートを行った。
スポンサーは、the Health Resources and Services
Administration, HIV/AIDS Bureau with support from
NICHD/NIAID であった。
ガイドラインは定期的に委員会により更新され、“生きた情報”
として、オンラインで閲覧できる。http://www.aidsinfo.nih.gov
François-Xavier Bagnoud Center, UMDNJ
感染症の治療に対する一般的な要点

早期診断と治療が予後をもっともよくする。

感染因子の量の変化が抗微生物療法の効果を規定する。

治療のゴールは病原体を全滅させるか、持続的な複製抑制を達成
することである。
François-Xavier Bagnoud Center, UMDNJ
感染症の治療に対する一般的な要点




単独の薬剤による治療が薬物耐性を起こす場合は多剤併用が有
用である。
多剤療法は異なる部分で、違った機構で、毒性の重複しないもの
を選択するべきである。
もし、病原体を全滅させることが不可能ならば、臨床所見や検査
データから病期の進行が見られた場合、治療を変更するべきであ
る。
致命的な感染に関しては、積極的な治療と副反応をしっかり忍容
することを覚悟して受け入れるべきである。
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小児と成人の抗レトロウイルス治療の
類似点と相違点

HIV感染症の病原論や抗レトロウイルス治療(ARV)の
使用に関する一般的なウイルス学的免疫学的特徴は
すべてのHIV感染者について同様である。

しかしながら、HIV感染の乳児、小児、青年期に関して
は特別な考慮点がある。
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小児における抗レトロウイルス治療の
特別な注意点

小児HIV感染症の診断上の問題

年齢に伴う薬物動態学的変化

ウイルス学的免疫学的指標の自然経過

小児におけるアドヒアランスの特殊性
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小児の注意点:薬物動態学的変化

小児と成人の間の年齢による相違点
 体の組成
 腎での分泌
これらの結果:
 肝代謝
 胃腸管機能

薬物分布、代謝、クリアランス
 薬物量、毒性
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小児の注意点:診断上の問題

周産期感染 = 初感染
感染乳児の早期診断により初期/早期感染時に治療を
開始できる。
 乳児の早期診断のためには妊婦のHIV検査が重要で
ある。

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小児の注意点:診断上の問題

HIV感染児のためのPCR法やウイルス培養を利用した検査は
以下の時期に行われるべきである:
 生下時 (<48 時間未満)
 日齢14 (最適)
 1-2ヶ月
 3-6ヶ月
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小児の注意点:診断上の問題
HIVの診断は2回の別の日の血液でHIVが2回陽性に
なった場合になされる。
 HIVの除外診断は月齢一ヶ月以上の2回以上のウイル
ス検査で陰性の場合になされるが、そのうち1回は月
齢4ヶ月以上であることが大切である。

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小児の注意点:自然経過
発育不全や中枢神経疾患はARV(抗HIV薬)を必要とする。
 CD4+ リンパ球数は健康児では成人より多い。
 正常の CD4+ 数は6歳までに成人レベルにゆっくり減少す
る。
 CD4+ の割合のほうがHIV疾患の進行度としてよい指標にな
る。
 ARVの適応のために年齢に応じた適切なCD4+ 数を指標
にすること

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小児の注意点:HIV RNAのパターン



定量的HIV RNA 法は末梢血におけるHIVウイルス量を決
定することができる。
HIV RNA パターンは周産期感染の乳児では違っている
 非常に高いレベル (10,000 copies以上) が小児期の長
い間持続する。
 ゆるやかに減少する。
高いレベルのHIV RNA が病期の進行や死と関連している
可能性がある。
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小児の注意点:HIV RNA検査法



同じ検体を2種類の方法で測定すると、HIV RNA のコピー数は2倍
(0.3 log10) の差が出ることがある 。
同じ患者には1種類のHIV RNA 検査法を使用すること。
RNAコピー数の本来の生物学的可変性からすると、
 2歳以下の乳児では5倍 (0.7 log10) 以上の変化のみが有意であ
る。
 2歳をこえる小児では3倍 (0.5 log10) 以上の変化が有意である。
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ウイルス活性の検査:
Viral Burden あるいは“Viral Load”・・・・ウイルス量


HIV RNA 検査
 血漿中のHIV RNA (遺伝子) の量を測定
 HIVの複製の強さを示唆
 “copy 数” あるいは copies/ml と表示
 全身の総ウイルス量の2% のみ測定
利用できる RNA テスト: *同じ検査法を行うことが重要
 RT-PCR (Amplicor, Roche)
 bDNA (Chiron)
 NASBA (Organon Teknika)
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訳注:日本にはアンプリコア法(RT-PCR)のみ認可されている
ウイルス量の意義

病勢を示す一番の指標

抗レトロウイルス療法を開始、あるいは変更する時の指標
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ウイルス量の結果の解釈



理解困難なもの
HIV RNAの “傾向” が最も重要である。
 サイズと減少の期間
 “検出不能” はウイルスの消失を意味するものではなく、その
検査法の感度では検出できないことを意味する。
変化は対数で “logs”(ログ)として示される
4
 例:ウイルス量 10,000 copies/ml = 10 copies/ml = 4 ログ
 2倍の変化は 0.3 ログである。
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小児におけるウイルス量



生下時低値でもその後最初の1-2ヶ月で100,000 から数百万コピ
ーまで上昇する。
数年かけて “セットポイント” までゆっくりと減少する。
12ヶ月未満の乳児でウイルス量の高い児 (>100,000) では、疾
患の進行と死の可能性が高い。
 乳児早期ではウイルス量はよい指標となりにくい。
 急速進行型と緩徐進行型ではオーバーラップする。
 CD4+ 数と百分率も同様に評価すること
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ウイルス量と小児:
臨床的注意点

HIV RNA 数の生物学的なばらつきがよく報告されている。

RNA コピー数は以下の時のみ有意である:

2歳未満の乳児では5倍以上 (0.7 log) の変化

2歳以上の小児では3倍以上 (0.5 log) の変化
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ウイルス量と小児:
臨床的注意点

ベースラインとして児が臨床的に安定しており、他の疾患や予防
接種のない時で2回のウイルス量測定を行うこと。

治療変更前に2回目の検査を行ってウイルス量を確認すること。

臨床的な決定を行う前に、ウイルス量の解釈に関して、小児HIV
の専門家に相談すること。
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小児での抗レトロウイルス療法(ARV)
開始にあたっての一般的な注意事項

アドヒアランスの問題がARV 開始前によく検討されるべきである。

治療開始決定における医療者と子供の参加が重要である。
• 可能性のある問題が確認され、解決されるべきである。
• 経過観察が不可欠である。

ARV は未治療の小児でもっとも効果的の可能性がある。

アドヒアランスの欠如は薬物耐性獲得とウイルス学的失敗につながる。
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小児における抗レトロウイルス療法:
いつ始めるか

抗レトロウイルス療法は以下のHIV感染のあるすべての小児に勧
められる。:
•
•
HIV感染症の臨床的徴候
(臨床カテゴリー A, B, or C)
あるいは
免疫抑制のエビデンス
(免疫カテゴリー 2 or 3)
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1994 改訂のCDC小児HIV分類
年齢別の CD4+ 免疫カテゴリー
年齢
<12ヶ月
1-5 才
>6 才
免疫カテゴリー
カテゴリー 1
数/μL (% )
数/μL (% )
数/μL (% )
>1,500
(>25%)
>1,000
(>25%)
>500
(>25%)
カテゴリー 2
750 - 1,499
(15 -24%)
500 - 999
(15 - 24%)
200 - 499
(15 - 24%)
カテゴリー 3
<750
(<15%)
<500
(<15%)
<200
(<15%)
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1994 改訂の CDC 小児HIV分類
臨床的カテゴリー





カテゴリー E: 周産期の暴露
カテゴリー N: 無症状
症状や所見のない児 あるいは カテゴリーAの中のひとつがあては
まるもの
カテゴリー A: 軽度症候性
以下の2つかそれ以上:
リンパ節腫脹、肝腫大、脾腫大、皮膚炎、耳下腺炎、反復性/持続性
の上気道炎/副鼻腔炎/中耳炎
カテゴリー B: 中等度症候性
HIV 関連症状はあるが、カテゴリーA/Cには見られない症状
カテゴリー C: 重度症候性
AIDS 指標疾患 (LIPは除外する、それはカテゴリー Bに含む)
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ARV の HIV 複製を阻害する機構
CD4 CELL
CELL
HIV
ENTERS
CD4 CELL
VIRAL
DNA
Reverse
Transcriptase
VIRAL RNA
ACTIVE
HIV
NRTI’S
& NNRTI’S
WORK HERE
HIV
VIRION
BUDS
HIV virion
HOST DNA
Host DNA
INACTIVE
HIV
P
R
O
T
E
A
S
E
PROTEASE
INHIBITORS
WORK HERE
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小児の抗レトロウイルス療法:
いつ開始するか

12ヶ月未満のHIV 感染児については臨床的、免疫状態、
ウイルス量にかかわらず開始
•
治療の利点を立証した臨床的治験データはない。
3-6ヶ月以下の乳児における薬物動態学的データは限られている。
専門家の意見に基づいた推奨
治療に先立ってアドヒアランスの問題が検討されるべきである。
•
•
•
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小児の抗レトロウイルス療法:
無症候性の小児 > 1 才



オプション 1: 年齢や症状にかかわらず治療開始
オプション 2: 臨床的な進行度が低く、他の因子も良好と考えれられる
場合 (反応の持続、アドヒアランスなど)は治療を延期する。
治療開始を考慮する因子
 CD4 数あるいは割合 (カテゴリー2に近づく時)
 ウイルス量が高いか上昇していく時
 臨床症状が悪化していく時
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小児の抗レトロウイルス療法:
いつ開始するか
以下の場合全ての小児で:

HIV関連の症状のある時(臨床カテゴリーのA, B, C)

免疫抑制の所見がある場合 (CD4+ 数や割合; 免疫カテゴリーの
2, 3)
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小児の抗レトロウイルス剤:
核酸系逆転写酵素阻害剤
NRTI’s
薬剤
小児用の表示
液剤
新生児/ 乳児投与
ZDV
ddI
ddC
d4T
3TC
Abacavir
Yes
Yes
No
Yes
Yes
Yes
Yes
Yes
治験中
Yes
Yes
Yes
Yes
Yes
No
治験中
Yes
3ヶ月以上, Yes
François-Xavier Bagnoud Center, UMDNJ
小児の抗レトロウイルス剤:
非核酸系逆転写酵素阻害剤:
NNRTI’s
薬剤
Nevirapine
Delaviridine
Efavirenz
小児用の表示
Yes
No
Yes
液剤
Yes
No
No
新生児/ 乳児投与
治験中
No
No
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*日本では市販されていない散剤・液剤はHIV治療薬研究班を通じて入手できるものもある。
小児における抗レトロウイルス療法:
Protease 阻害剤
薬剤
小児用の表示
液剤
新生児/ 乳児投与
Saquinavir
Ritonavir
Indinavir
Nelfinavir
Crixivan
Lopinavir/ritonavir
Ampenavir
No
Yes
No
Yes
治験中
Yes
Yes**
No
Yes
No
Yes
No
Yes
Yes
No
治験中
No
治験中
No
6ヶ月以上
No
**3才未満では推奨されない
François-Xavier Bagnoud Center, UMDNJ
*日本では市販されていない散剤・液剤はHIV治療薬研究班を通じて入手できるものもある。
小児における抗レトロウイルス療法:
開始治療内容の推奨

専門委員会は抗レトロウイルス剤や薬剤の組み合わ
せに関して4つのカテゴリーを推奨している。:
 強く推奨
 代替療法として推奨
 特別な状況でのみ
 勧められない
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小児における抗レトロウイルス療法:
開始治療の推奨レベル
 強く推奨:
有用性に関して臨床的なエビデンスがあり、あるい
は成人、小児においてHIV複製の抑制を維持でき
るもの。
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抗レトロウイルス療法の選択

強く推奨
 1種類の強力なプロテアーゼ阻害剤 (NFVあるいはRTV) と 2種類の
NRTI’s


推奨される2つのNRTI’s :小児への投薬国に関して多くのデータがあるもの
 ZDV + ddI
 ZDV + 3TC
 d4t + ddI
 データは限られているが:
d4T + 3TC
ZDV + ddC
カプセルを内服できる小児:NNRTI (EFV) +2 NRTI’s あるいは
EFV + NFV + 1 NRTI
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小児における抗レトロウイルス療法:
開始治療の推奨レベル

代替療法としての推奨:
HIV複製を抑制する臨床的なエビデンスはあるが、
1) 持続性の点で強く推奨されるレベルの組み合わせよりも成人、
小児において劣る可能性があるもの; あるいは
2) 有効性のエビデンスが有害事象 (例:毒性、相互反応、経費など)
の可能性に勝らない可能性
3) 乳児や小児での使用経験が限られているもの
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抗レトロウイルス療法の選択

代替療法の推奨:
 NVP + 2種類の NRTI’s.
 ABC + ZDV + 3TC.
 LPV/r + 2 NRTIs あるいは 1 NRTI +NNRTI*
 IDV あるいは SQV-SGC +2 NRTIs これはカプセルが内服
できる児の場合
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小児における抗レトロウイルス療法:
開始治療の推奨レベル

特別な状況でのみ:
臨床的なエビデンスとして
1) 強く推奨される群と比較してウイルスの抑制は持続が短い
2) データは最初の治療としては予備的であるか結論が出てい
ないが、特別な状況では理論的に勧められる。
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小児における抗レトロウイルス療法:
開始治療の推奨レベル
 特別な状況でのみ:

2種類の NRTI’s

APV +2 NRTI’s あるいは ABC
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小児における抗レトロウイルス療法:
開始治療の推奨レベル
 推奨されない:
使用されないエビデンス
1) 毒性の相乗
および / あるいは
2) ウイルス学的に好ましくない
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抗レトロウイルス療法の選択

推奨されない:

全ての単剤治療1

d4T + ZDV

ddC + ddI

ddC + d4T

ddC + 3TC
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抗レトロウイルス療法の変更

臨床的、免疫学的、ウイルス学的パラメータに基づ
いた失敗

現在の治療の毒性あるいは忍容性

他の治療法の方が現在の治療法よりも優れている
ことが新しいデータで示された時
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抗レトロウイルス療法の変更
注意点:

臨床的失敗

進行性の精神発達遅滞

適切な栄養があるにもかかわらず、他で説明で
きない発育不全

病期の進行 (他の臨床カテゴリーへの進行)
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抗レトロウイルス療法の変更
注意点:
 免疫学的事項

免疫学的分類の変化

5%かそれ以上の減少が持続する
(小児では CD4 <15%)

急速に進行するCD4数減少
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抗レトロウイルス療法の変更
注意点:

ウイルス学的

8-12週後の最小限の反応よりも効果が弱い場合
 3剤併用の場合 = ベースラインからの減少が10倍 (1.0 log)以下
やや効果の劣るレジュメの場合 = ベースラインからの減少が5倍
(0.7 log) 以下
最初に検出限界以下になったHIV RNAが反復して検出される場合
著明な減少が維持されていたHIV RNAが持続して増加する場合



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抗レトロウイルス療法の変更
注意点:

抗レトロウイルス療法の変更が薬剤の毒性あるいは忍容性の低
下のために必要な場合
 毒性に関しては違う薬剤の選択


1種類の薬剤の変更が可能
もし投与量を減ずる必要があるときは、治療域よりは低下しな
いようにすること
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新しいARV組み合わせの選択:
注意点

病期の進行のためにARVの変更が必要な時:
 アドヒアランスの評価と確認
 1種類のみの変更はしてはならない;少なくとも2種類の新しい
薬剤の含まれた組み合わせに変更
 薬剤相互作用と耐性の関連に注意すること
 薬剤相互作用に関する患者の治療を再確認すること
 病期の進行した患者ではQOLを考慮すること
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小児における抗レトロウイルス治療:
他の問題点

状態不良が持続した長期生存者: すべてに医療を

限られた選択: すべてをやり終えた時にどうなるのか?

それらの治療が効果がなかったら何をすればよいのか?

治療のアドヒアランス: 問題となるのは誰か?

Quality of life
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小児科における特別な注意点:
小児におけるアドヒアランス





薬剤は乳幼児にとっては、液体や混合可能な剤形で、味がよく
なければならない。
食事と関連した薬剤の内服は小児の食事スケジュールでは困
難である。
小児の内服は医療者の指導にかかっている。
家族の安心のためにHIV診断を隠すことは、昼間や学校での治
療に制限を与える可能性がある。
小児の発達段階が服薬の能力や意志に影響する。
François-Xavier Bagnoud Center, UMDNJ
小児科における特別な注意点:
思春期におけるアドヒアランスの問題

医学的、精神学的、社会的必要性が検討されなければな
らない。

治療計画は服薬のアドヒアランスを円滑にするような現実
的な支援システムの評価を持った薬剤を最大限使用する
ことを目標にしなければならない。
François-Xavier Bagnoud Center, UMDNJ
小児科における特別な注意点:
思春期におけるアドヒアランスの問題

発達の問題

思考過程の固定

現在の行動と将来の構想の把握の困難さ

無症状の時の服薬の困難さ

他の仲間のようになることへの願望
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小児科における特別な注意点:
思春期におけるアドヒアランスの問題

特別な問題

構造的でない生活スタイル

ホームレス

家族や社会的支援の欠如

保険制度の欠如
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小児科における特別な注意点:
思春期におけるアドヒアランスの問題

医療評価の問題

HIV感染に対する恐れと否定

誤った情報

病院に対する不信感

治療薬の効果に対する不信用と恐れ
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ケーススタディ 1: 抗レトロウイルス治療を受ける
べきなのは誰か? 治療のオプションは?
Jamal は5歳の男児で、最近HIV感染症と診断された。彼の母は妊娠中にスクリー
ニング検査を受け、HIV感染が判明していた。Jamal は比較的健康に育っていたが
、8ヶ月時に気管支炎で1回入院歴があり、中耳炎を反復していた。臨床的評価では
、彼は健康で、身長と体重は50パーセンタイルで、HIV-RNA は 100,000 コピーで、
CD4 数は900、軽度の肝腫大と腋窩リンパ節の腫大が見られた。 彼の両親はARV
の開始を希望したが、服薬について心配があった。彼は昼間は両親が仕事の間、8
時から17時30分までデイケアを受けている。
彼の治療は開始されるべきか?
抗レトロウイルス剤の選択に関しては?
選択に関して考慮されるべきことは?
François-Xavier Bagnoud Center, UMDNJ
ケーススタディ 2: 抗レトロウイルス療法の
変更
Diane は4歳の女児で、CDCの臨床分類ではカテゴリー2である。彼女は6ヶ月
前に3TC, d4T そして nelfinavir で治療を開始している。開始時に700,000コピ
ーであったウイルス量は2回の別々の測定で80,000コピーに低下していた。し
かし、最近のウイルス量は 160,000コピーであった。
彼女の治療レジュメを変更するかどうか評価する時に考えなければならないこ
とは何か?
François-Xavier Bagnoud Center, UMDNJ
ケーススタディ 3: 抗レトロウイルス剤のアド
ヒアランス
Laura は16歳の女児で、「モデル患者」である。スケジュールどおりにきちんと服
用できていた。彼女は2年近く3剤を内服している。AZT, 3TC, そして nelfinavir
である。彼女のウイルス量が2ヶ月前から上昇し始めた。治療チームの多くの質
問の結果、彼女は「時々」午後のPIの量を間違えたと言った。これは彼女の学校
での午後の活動が忙しく、忘れてしまうためだと言った。彼女は調子はいいと思っ
ているし、友人がまわりにいる時は服薬を嫌っている。 「ほとんどは飲んでいるの
よ。それじゃいけないの?」
Lauraの内服に関して、医療者はどのようなアプローチが必要か?
François-Xavier Bagnoud Center, UMDNJ
ケーススタディ 4:
治療の成功、失敗の評価
2歳のMaria は発育不良のため8ヶ月前に3剤による治療を開始した。彼女の
ウイルス量は750,000 コピー以上で、CD4 は500であった。彼女は併用療法
を開始後、臨床的には改善し適切な発育に戻った。CD4 数は1750に上昇した
。しかし、彼女のウイルス量は 100,000 コピーには低下したが、それ以上は
低下しなかった。彼女の両親は量を間違えることなく服用させている。
もし何かするとすれば、医療チームは何を考慮すべきか?
François-Xavier Bagnoud Center, UMDNJ
謝辞



This curriculum and slide set were developed by Carolyn K. Burr, EdD,
RN for the National Pediatric & Family HIV Resource Center at the
François-Xavier Bagnoud Center, UMDNJ under a Cooperative
Agreement with the Health Resources and Services Administration
(HRSA) HIV/AIDS Bureau, grant #1 U69 HA 00038-01. The publication
contents are solely the responsibility of the authors and do not necessarily
represent the official view of HRSA or HAB.
Content and speaker notes were adapted from Antiretroviral Therapy and
Medical Management of Pediatric HIV Infection,1998, Pediatrics, 102:
Supplement, October, 1998.
Special thanks to Dr. James Oleske and Dr. Gwen Scott, Co-Chairs of the
Working Group, to Dr. Lynne Mofenson, NICHD and to Elaine Gross, RN,
MSN and Lynn Czarniecki, RN, MS for their input.
François-Xavier Bagnoud Center, UMDNJ
日本語版作成にあたって

この資料は、アメリカのAETC(AIDS Education and Training Centers)の
National Resource Centerのサイトから入手しました。
http://www.aidsetc.org/
AETCはライアン・ホワイト法の事業の一つで、アメリカ全土を11ブロックに
分け、HIV/AIDS患者へのケア提供者を教育・訓練することを目的に学際
的な運営を行っています。関連施設は130箇所以上あります。AETCの事
業はアメリカ保健福祉省の部局である、Health Resources and Services
Administration (HRSA) HIV/AIDS Bureauが担当しています。

このサイトには、他にも多数のファイルがダウンロードを待っています。

2003/06/25
広島大学病院 エイズ医療対策室 西村 裕、高田 昇
François-Xavier Bagnoud Center, UMDNJ
ダウンロード

小児HIV感染症ガイドライン