第3章 五十嵐川における破堤メカニズムの検討
(1) 変状機構の検討方針(五十嵐川:諏訪)
一般に、洪水時の河川堤防の変状は浸透・越流・侵食の3つの現象によってもたらされる。
当該地における、これまでの目撃証言、水理水文状況、堤体及び基礎地盤状況等から判断すると、
各現象に対して想定される変状は次のとおりである。各変状に対する検討方針を図2-7に示す。
図3-1
侵食・越流・浸透に対して想定される変状と検討方針
図3-2
想定される変状パターン
10
(2) 五十嵐川破堤部の目撃情報
1) これまでの情報
① 7/18
記
⑤
(男性、
越水の時刻
読売新聞
)、平成 16 年 7 月 20 日聞き取り
:11:00 くらい
五十嵐川の水位:土手と同じくらい
事:同川左岸の堤防が決壊したのは 13 日午後 1 時 10 分ごろ。
13:00 ごろだったと思うが、突然茶色の水がドーッと滝みたいに流れてきた。
(
② 7/19
避難していた
朝日新聞
目撃者:
に
の話)
(男性、三条市諏訪 1)
目撃談:「堤防が少し低くなったところから水が流れ出し、外側の土手が大きな土の塊になって削られてい
⑥
越水の時刻
き、決壊した。
」
)、平成 16 年 7 月 20 日聞き取り
(男性、
:13:10 ごろ
五十嵐川の水位:満水
③ 7/21
13:00 ごろ 水の状況を見に行く
新潟日報
13:10 ごろ 五十嵐川の水が満水状態だったと思う。
目撃者:氏名不明(女性、堤防地点近くに住む)
危ないと思い道具を片づけに家に戻る。
目撃談:
「まず土手を乗り越えるように水が流れ込んで、堤防が壊れた。
」
13:20 ごろ 越水をし始めたので急いで道具を上げた。
④
(男性、
徐々に堤内堤防上の方から崩れはじめる。
)、平成 16 年 7 月 20 日聞き取り
越水の時刻
13:30 ごろ 崩壊し曲渕方面に濁流が流れていった。
:11:00 くらい
14:30 ごろ 床下浸水をし、14:50 ごろ床上まで来て畳が浮く。
五十嵐川の水位:土手と同じくらい
16:00 ごろ 水が引きはじめた。
決壊した土手のところは、少し低くなっており、流下したところは草が 1 本もなく、砂の山
決壊したところは堤防が低くなっており、水田のカメムシ対策で除草をしたため草が生えて
に水をかけたような状態だったと思う。
いなかった。付近には消防団の方はおらず、対岸の方へ行っていた。
多分 11:00 くらいだったと思うが、一番低い部分から少しずつ水が出始めたので、消防本部
に電話するともう少し待って欲しいと返事があった。
8:00 に家を出て渡瀬橋左岸を下流へ行き、田島橋を渡り右岸を帰り、渡良瀬橋左岸上流へ行
く。その際、水神様の付近では下への道路に水が上がっていた。そして、養護学校の所まで行
って戻ってきた。
そして2回目の際には、今回決壊した所にはアスファルト部分まで水が上がってきて、田島
橋は通行止めになっており戻ってきたら 3 間(5~6m)の部分が 100m くらい溢水しており、
消防本部に連絡をしたら待ってくれということであった。近くの消防団(3 分団)が 3 台の車
で来たが(どこの方面の団員か)代表が分からなかった。消防団に土のうを積んでくれと言っ
たら、消防団 2 人を破堤地点付近へ偵察にやると言われた。警察にも土のうを積んでくれと言
ったが、積んでもダメだから避難してくれと言われた。
その後、田川の方へ行っており決壊した時は見ておらず、帰ってくると決壊しており驚き、
近所の人の救出にあたった。
⑦
(男性、
越水の時刻
)、平成 16 年 7 月 20 日聞き取り
:13:00 ごろ
五十嵐川の水位:満水
12:00 前に市役所の人かどうかわからないが避難してくれと連絡があったが、家まで上がら
ないだろうと思って家の中にいた。
13:00 過ぎ越水をし、その後堤内側堤防上の方から崩れ、ナイアガラの滝のように水が落ち、
その後入れ歯が外れるように、ドッと渦を巻きながら濁流が押し寄せてきた。
切れたのは 13:30 ごろだと思う。
アッという間に床下・床上まで水が来たため 2 階に避難した。
19:00 ごろから水が引きはじめた。
決壊したところは堤防が低いところで草が生えていなかった
時間については夢中でよくわかっていない。決壊した場所は越水した所であり、過去にも漏
水などは見あたらなかった箇所である。
11
2) 追加聞き取り調査結果
浸水深が最大になったのは午後 2 時頃で、
午後 4 時 30 分頃には床下位まで水位が低下した。
破堤した箇所は、前後の堤防より少し低く、堤防の裏の法面は除草され草等は殆ど生えてい
①
、平成 16 年 9 月 22 日聞き取り
【聞き取り相手の申出により削除】
なかった。
今回破堤した堤防は戦前と同じ場所で形も殆ど変わっていない。
新潟地震の時には堤脚付近から水が噴出したが、大雨の時にはそのような現象はこれまでに
記憶している限りでは起こっていない。
② 三条地域消防本部職員 2 名、平成 16 年 9 月 30 日聞き取り
午後 1 時 15 分に堤防の破堤を確認した消防署員の話によると、破堤確認時間の 20 分~30
分程度前に付近を巡回した際、破堤場所付近は、既に4~5㎝程度の越水。
(越水部分は、他
の場所の堤防より少し低かったようである。
)
水防活動をした消防団の話によると、午後 0 時 30 分頃、左岸側の破堤地点下流で越水を確
認したため、積み土嚢を 2 列 2 段実施。途中、水位が一時的に低下したため、作業を中止しポ
ンプ小屋に引き上げた。その後の巡視時に水位の上昇が確認されたため、土嚢積みを上流に延
伸したが、越水が 20 ㎝以上となり危険を感じたため下流ポンプ小屋で待機しているとき破堤
の情報が入った。
③
氏(
)
、平成 16 年 9 月 30 日聞き取り
8 時頃上流の渡瀬橋から下流の田島橋に向けて巡視を開始。
9 時頃の河川の水位は、それ程高くなかったが、9 時 30 分~10 時頃には、破堤地点付近で3
~4間(約 5~8m)の幅で 10 ㎝程度の越水を確認。その後一時的に河川の水位が下がり、10
時 30 分頃は、堤防天端より 30 ㎝前後の水位であった。その後、再び水位が上昇し始めた。
破堤した場所の付近は、以前から他の堤防に比べ少し低く、堤防裏法部分に草などはほとん
ど生えていなかった。
洪水の後、破堤箇所の高水敷の部分に破堤した場所に向かうような跡が残っていた。
以前より諏訪新田では、高水敷を越えるような水位になると田や敷地の中で漏水が発生して
いた。
(水は、泥水ではなく透明)
④
(
)
、平成 16 年 10 月 13 日聞き取り
午前 10 時頃河川の水位が堤防天端より約 30~40 ㎝低下したので安心していたがその後徐々
に水位が上昇した。
午後 1 時頃から破堤地点上流の堤内地への取り付け道路付近から下流で越水が始まった。そ
の後、堤防の裏法肩付近から欠けるように堤防が壊れ始め、わずかの間に破堤した。破堤は、
上流側から始まり徐々に下流側に拡大していった。
破堤地点より下流でもかなり広い範囲で越水していた。
氾濫した水は、下流方向に向けて流れ、河川の水位と同じ程度の高さになると一部が上流に
向けて流れた。
12
3) 目撃情報に基づく堤防の状況
7月13日
8:30
9:30~10:00頃 確認
越
水
越 越
水 水
深 幅
一
時
的
に
水
位
低
下
12:00
10 約
cm 5
程
度 8
m
13:00
堤
防
裏
法
肩
か
ら
崩
れ
始
め
る
堤
防
が
50
m
位
欠
け
る
堤
内
地
状
況
15
cm
コメント
決
壊
他(前後)の堤防に比べ少し低かった。
堤防裏法部分は植生が乏しかった。
諏訪新田では高水敷を越える水位になると田や敷地内で漏水が発生していた。
堤
防
天
端
よ
り
約
10
cm
の
水
位
土
嚢
積
み
を
開
始
時刻不明
土
40
嚢
越
3
水
50
段
cm
積
程の 避
度上 難
か
ら
越
流
水
位
低
下
)
~
10
一
時
的
に
部分的に堤防裏法が崩れた 水
位
低
下
越
水
( ~
越
水
深
15:00
崩
壊
し
曲
渕
方
面
へ
濁
流
が
流
れ
る
濁
流
が
押
し
寄
せ
て
き
た
10:00過ぎ~11:00過ぎ
14:00
越
水
深
4
5
cm
程
度
堤
防
状
況
右
岸
状
況
13:30
12:40頃~ 越
水
堤
防
天
端
よ
り
30
cm
前
後
低
い
水
位
~
五
十
嵐
川
諏
訪
地
区
左
岸
状
況
水
位
は
そ
れ
程
高
く
は
な
い
11:00
10:00
~
河
川
状
況
9:00
破堤地点上流の堤内地への取り付け道路付近から下流で越水が始まった。
堤防の裏法肩付近から欠けるように堤防が壊れ始めた。
破堤は上流側から始まり徐々に下流側に拡大していった。
13
(3) 侵食に対する安全性の検討(五十嵐川:諏訪)
2) 侵食外力
侵食外力は、代表流速 V0 (破堤時刻の流速)を用いて次式により摩擦速度 u* を求め、さらに、
五十嵐川破堤箇所(表のり面は植生)に対して、堤防表のり面およびのり尻表面の直接侵食に対する
この値から平均摩擦速度 u* mean を求める 1)。これが u *r 以下であれば堤防表のり面の直接侵食に対
する安全性は確保される。
安全性について照査する。照査基準は以下のとおりである。
u * = V0 / φ
表面侵食耐力(植生の耐侵食性)>代表流速 V0 から評価される侵食外力
ここに、 u* ;摩擦速度(m/s)
1) 表面侵食耐力(植生の耐侵食性)
V0 ;代表流速(m/s)
(一次元不定流計算結果より、 V0 = 1.90m / s )
植生の耐侵食性は、流水によるせん断力が作用する継続時間 t を指標とし、平均根毛量σ0をパ
φ ;流速係数
ラメータとして次式により求められる 1)。
u*r =
Z BRK
α
φ = (1 / n) ⋅ ( H d 1/ 6 / g ) = (1 / 0.04) ⋅ (4.01/ 6 / 9.8 ) = 10.06
1
⋅
log t
n ;粗度係数(=0.04 ←現地河道状況より)
ここに、 u*r ;摩擦速度(m/s)
H d ;水深(m)
(No.33,No.34 断面、水深:約 4.0m)
t ;せん断力が作用する継続時間(min)(=300min)
g ;重力加速度(9.8m/s2)
(高水敷を上回る水位の継続時間;図3-3参照)
Z brk ;許容侵食深(cm)(=2.5cm とする)
(福岡らの報告
2)
では、侵食速度が急激に大きくなる侵食深
を限界侵食深(許容侵食深と同じ意味)と呼んでおり、そ
の値を 2.5cm としている。)
α ;侵食しやすさを表すパラメータ(=-50・σ0+9)
u* = 1.90 / 10.06 = 0.189 (m/s)
σ0;平均根毛量(gf/cm3)(=0.06 gf/cm3)
u* mean = 0.82 × u* = 0.82 × 0.189 = 0.155 (m/s)
(地表面から深さ 3cm までの単位体積当たりの土中に含まれ
る根および地下茎の総重量であり、現地試験結果を基に設
定した。)
u *r
したがって、侵食外力 u* mean = 0.155m / s <表面侵食耐力 u*r = 0.168m / s となり、堤防表のり面
の直接侵食に対する安全性は確保される。
2 .5
1
=
⋅
= 0 . 168 (m/s)
− 50 ⋅ 0 . 06 + 9 log 300
20.0
18.0
<参考資料>
河川水位 ( T.P.+m )
16.0
1) 宇田・望月・藤田・平林・佐々木・服部・藤井・深谷・平館;洪水流を受けた時の多自然型河岸防
14.0
御工・粘性土・植生の挙動、土木研究所資料第 3489 号、1997.
12.0
2) 福岡・渡辺・柿沼;堤防芝の流水に対する侵食抵抗、土木学会論文集、No.491,Ⅱ-27,pp.31~40、
10.0
1994.
8.0
6.0
0
5
7月12日
19:00
10
15
20
25
30
35
40
経過時間 ( hr )
図3-3
高水敷を上回る水位の継続時間
14
(4) 越流に対する安全性の検討(五十嵐川:諏訪)
 n2 ⋅ q2 

h = 30cm → h0 = 

sin
θ


越流に対する裏のり面の安定性について照査を行う。照査基準は以下のとおりである。
越流により裏のり面に作用するせん断力(τ0)<裏のり面の芝の耐侵食力(せん断力;τ)
3 / 10
 0.020 2 ⋅ 0.2632 

= 
o

sin
29


3 / 10
= 0.053m
3)裏のり面に作用するセン断力(τ0)の算出 2)
水の単位体積重量:ρ=1000kg/m3 、重力加速度:g=9.8m/s2
h= 2 ㎝→ τo=ρ・g・ho・sinθ=1000×9.8×0.0046×sin29゜=21.9 kN/m2
h= 5 ㎝→ τo=1000×9.8×0.011×sin29゜=52.3 kN/m2
h=10 ㎝→ τo=1000×9.8×0.020×sin29゜=95.0 kN/m2
h=30 ㎝→ τo=1000×9.8×0.053×sin29゜=252 kN/m2
4) 芝の耐侵食力
芝の耐侵食力(せん断力τ)は、芝の被度毎の摩擦速度u*と時間の関係を示す図3-53)をもと
に、摩擦速度の定義(u*=(τ/ρ)0.5)に従って求める。芝の耐侵食力を表3-1に示す。
図3-4
越流時の堤防裏のり面に作用する外力
1) 単位幅あたりの越水量の算出 1)
芝被度
単位幅あたりの越流量は次式により算出する。
0
q=Co・h3/2
ここに、 q;単位幅流量(m3/s/m)
(一般値C0=1.6 を採用)
Co;越流係数(m1/2/s)
h;越流水深(m)
3/2
3
h=2 ㎝ → q=1.6×0.02 =0.0045(m /s/m)
表3-1
芝の耐侵食力
摩擦速度U*
セン断力τ
(m/s)
(kN/m2)
0.160
25.6
1
0.180
32.4
2
0.205
42.0
3
0.235
55.2
4
0.280
78.4
5
0.345
119.0
*)越水の継続時間は1時間とした。
h=5 ㎝ → q=1.6×0.053/2=0.018(m3/s/m)
h=10 ㎝→ q=1.6×0.103/2=0.051(m3/s/m)
図3-5
h=30 ㎝→ q=1.6×0.303/2=0.263(m3/s/m)
芝の被度を用いた摩擦速度と時間の関係
5) 裏のり面の安定性照査
2) 等流水深(h0)の算出 2)
五十嵐川破堤箇所の裏のり面は、芝被度0に近い状況にあったと考えられることから、表2-1
裏のり(荒地)の粗度係数:n=0.020 とする。
より許容セン断力τ=25.6kN/m2 となり、越流によるせん断力は、越流水深が 3~5cm 以上でこれを
裏のり面の勾配(1:1.8)
:θ=29°
 n ⋅q
h = 2cm → h0 = 
 sin θ

2
2




3 / 10
 n2 ⋅ q2 

h = 5cm → h0 = 
 sin θ 


 0.020 ⋅ 0.0045
=

sin 29o

3 / 10
 n2 ⋅ q2 

h = 10cm → h0 = 

sin
θ


3 / 10
2
2




上回る結果となる。
3 / 10
 0.020 2 ⋅ 0.018 2 

=
o


sin 29


= 0.0046m
以上より、五十嵐川破堤箇所は、越流が生じた場合、裏のり面は洗掘される可能性があったもの
と推定される。
3 / 10
 0.020 2 ⋅ 0.0512 

= 
o

sin
29


= 0.011m
<参考資料>
1) 宇田・藤田・布村;高規格堤防上の越流水の挙動、土木研究所資料第 3220 号、1993.
2) 福岡・藤田・加賀谷;アーマレビーの設計、その1-越水対策-、土木技術資料 30-3、1988.
3 / 10
= 0.020m
3) 宇田・望月・藤田・平林・佐々木・服部・藤井・深谷・平館;洪水流を受けた時の多自然型河岸防
御工・粘性土・植生の挙動、土木研究所資料第 3489 号、1997.
15
(5) 浸透に対する安全性の検討(五十嵐川:諏訪)
a)定常浸透流計算の方法
浸透流計算は実際に近い現象が再現できる非定常の飽和・不飽和浸透流計算を行った。
非定常の飽和・不飽和浸透流計算の基本式は次の通りである。
1) 検討方法
浸透に対する安定性検討の具体的な手順は図3-6 のとおりである。検討方法は「河川堤防の構造検討の
手引き」
(平成 14 年 7 月、
(財)国土技術研究センター)にもとづいて行った。
∂ψ
∂ψ  ∂ψ  ∂  ∂ψ

+ k  = (C + α ⋅ Ss )
 + k
k
∂t
∂x  ∂x  ∂z  ∂z

ここに、 x :堤防横断面の水平方向の軸
z :堤防横断面の鉛直方向の軸
k :透水係数(m/hr)
ψ :圧力水頭(1/m)
C :比水分容量(1/m)
α :1 の場合飽和領域、0 の場合不飽和領域
Ss :比貯留係数(1/m)
t :時間(hr)
b)局所動水勾配の算出法
パイピングに対する安全性照査に必要な局所動水勾配は、浸透流計算の結果から得られた全水頭ψ を
もとに、裏法尻近傍の基礎地盤について次式によって算出した(図3-7)
。
iv =
∆ϕ
dv
(鉛直方向)
ih =
∆ϕ
dh
(水平方向)
ここに、 iv :鉛直方向の局所動水勾配
ih
∆ϕ
dv
dh
:水平方向の局所動水勾配
:節点間の全水頭差
:節点間の鉛直距離
:節点間の水平距離
γ w :水の密度( γ w =1.0 t/m3)
図3-6
浸透に対する安定性検討の具体的な手順
図3-7
局所動水勾配算出の考え方
16
裏法近傍の堤内地地盤高の表層が粘性土で被覆されている場合には、次式により安全性を考慮した。
G W = (ρ ⋅ H ) ( ρ w ⋅ P ) > 1.0
事前降雨は、7 月 13 日から 1 ヶ月前の 6 月 13 日以降の降雨を設定することとした。この期間の降雨
量は全体的に少ないが、7 月 10 日にやや多い 111mm の雨量を記録している。
ここに、 G :被覆層の重量(kN/m2)
なお、7 月 12 日から 7 月 13 日の間の総雨量は 224mm、最大時間雨量は 43mm/hr であった。
W :被覆層底面に作用する揚圧力(kN/m2)
80
ρ :被覆層の単位体積重量(kN/m3)
H :被覆層の厚さ(m)
60
時間雨量 ( mm/hr )
ρ w :水の単位体積重量(kN/m3)
P :被覆層底面の圧力水頭(全水頭と位置水頭の差)(m)
c)円弧すべり法による安定計算法
40
20
浸透流計算によって得られた浸潤面の中から所定のものを抽出し、全応力法に基づく次式によってす
べり破壊に対する最小安全率を算出した。
Fs =
0
cl + (W − ub) ⋅ cos α ⋅ tan φ
W ⋅ sin α
540
540
(7/12 12:00)
550
550
(7/12 22:00)
ここに、 Fs :安全率
560
560
(7/13 8:00)
570
570
(7/13 18:00)
経過時間 ( hr )
u :すべり面の間隙水圧(kN/m2)
W :分割片の重量(kN)
図3-9
破堤時刻付近の降雨モデル
2
c :すべり面に沿う土の粘着力(kN/m )
l
:円弧の長さ(m)
b)河川水位モデル
φ :すべり面に沿う土の内部摩擦角(°)
水理計算結果に基づき、破堤箇所付近で推定される河川水位を設定した。
b :分割片の幅(m)
20
2) 外力条件
18
a)降雨モデル
河川水位 ( T.P.+m )
16
破堤箇所に近い三条観測所の降雨量観測記録を図3-8、図3-9に示す。
250
14
12
10
200
日雨量 ( mm/日 )
8
6
150
540
540
(7/12 12:00)
550
550
(7/12 22:00)
100
570
570
(7/13 18:00)
経過時間 ( hr )
図3-10
50
0
2004/6/13
560
560
(7/13 8:00)
2004/6/18
2004/6/23
2004/6/28
2004/7/3
2004/7/8
河川水位モデル
2004/7/13
年月日
図3-8
三条観測所降雨観測記録
17
3) 地盤および境界条件
①断面
②断面
③断面
1)五十嵐川採用土質定数一覧表
地層番号
記号
土質分類 平均N値
湿潤密度
透水係数
粘着力
内部摩擦角
ρt
k
c
φ
3
2
2) 不飽和透水特性
浸透流計算に必要な不飽和浸透特性は、「河川堤防の構造検討の手引き」(平成14年7月)
に基づき設定した。
g/cm
cm/sec
kN/m
度
①
Bn
砂質土
2
1.70
1.0E-04
1
27
②
Bo
砂質土
3
1.70
1.0E-04
1
33
③
B
粘性土
2
1.70
1.0E-05
40
0
④
Ac1
粘性土
3
1.65
1.0E-05
30
0
土質区分
比貯留係数(1/m)
有効間隙率
⑤
As1
砂質土
-
1.80
1.0E-04
0
30
砂質土(礫質土)
1E-04
0.2
⑥
Ag1
礫質土
20
1.80
1.0E-01
0
35
粘性土
1E-03
0.1
⑦
Ac2
粘性土
5
1.70
1.0E-06
30
0
⑧
As2
砂質土
12
1.80
1.0E-04
0
30
⑨
Ag2
礫質土
40
2.00
2.0E-02
0
40
⑩
Ac3
粘性土
7
1.70
1.0E-06
40
0
3) 比貯留係数および有効間隙率
「河川堤防の構造検討の手引き」に基づき次の値を設定した。
18
4) 浸透に対する安定性の検討結果
100
18
: 時間雨量
80
16
60
14
40
12
20
10
0
水位 ( T.P+m )
時間雨量 ( mm/hr )
: 水位
8
540
550
560
570
経過時間 ( hr )
経過時間
対応時間
外水位
降雨
備考
560hr
7/13 8:00頃
11.59m
21mm/hr
高水敷高付近
562hr
7/13 10:00頃
15.11m
0mm/hr
堤防天端高付近
564hr
7/13 12:00頃
15.23m
10mm/hr 堤防天端高付近
565hr
7/13 13:00頃
15.80m
4mm/hr
破堤(ピーク水位)
図3-11
五十嵐川浸透流解析結果一覧図
19
図3-12
五十嵐川安定計算結果一覧図
20
18
100
16
80
80
: 時間雨量
10
20
8
0
20
560
570
540
550
経過時間 ( hr )
560
時 間 雨 量 ( m m /h r )
12
12
水 位 ( T.P+m )
40
40
550
時 間 雨 量 ( m m /h r )
14
14
60
14
40
12
10
20
10
8
0
3.5
1.3
1.3
3.0
1.1
す べ り 安全 率 F s
1.4
すべり安全率Fs
1.4
1.2
1.2
1.1
2.0
1.0
1.5
0.9
0.9
1.0
0.5
0.8
555
経過時間(hr)
560
565
570
540
545
550
555
経過時間(h)
560
565
570
2.0
1.8
1.8
1.8
1.6
1.6
1.6
1.4
1.4
1.4
1.2
1.2
1.2
1.0
1.0
1.0
G/W
2.0
G/ W
2.0
0.8
0.8
0.8
0.6
0.6
0.6
0.4
0.4
0.4
0.2
0.2
0.2
0.0
0.0
540
545
550
555
経過時間(hr)
560
565
570
570
2.5
1.0
0.8
560
経過時間 ( hr )
4.0
550
550
経過時間 ( hr )
1.5
545
8
540
570
1.5
540
16
: 水位
60
60
0
すべり安全率Fs
16
18
: 水位
水 位 ( T.P+m )
時 間 雨 量 ( m m /h r )
: 水位
G /W
100
: 時間雨量
: 時間雨量
80
540
18
540
545
550
555
560
経過時間(hr)
565
570
540
545
550
555
経過時間(hr)
565
570
0.0
540
図3-13
545
550
555
経過時間(hr)
560
565
570
五十嵐川浸透に対する安定性検討結果一覧図
560
21
水 位 ( T.P+m )
100
(6) 変状現象の評価(五十嵐川:諏訪)
現 象
侵
外
食
河川水
堤防・地盤の状況および変状現象
力
平均流速 (1.90m/s)
目撃情報
・9:30~10時頃に約5~8mの
幅で10cm程度の越水
・破堤推定時刻(13時頃)の
約30分前に4~5cm程度の
越水
越
流
表法面
植生被覆
天端
(目撃情報によれば前後の堤防
高よりも少し低い)
アスファルト舗装
周辺法面に侵食の形
跡は認められない
法勾配 1:1.8
降雨量
224mm
堤
体
浸
透
雨
水
当該降雨
三条観測所
7/12~7/13
裏法面
植生乏しい
(目撃情報による)
法尻部~堤内地に
かけて大きな盆状
の洗掘が見られ、
その深さは最大で
約4m
表のり面は侵食に耐える
U*=0.16m/s<U*r=0.17m/s
表法面の侵食の可能性
は低い。
5cm以上の越流深で裏法
面は洗掘される
τ/τ0=0.49
越流により裏法面、法
肩、法尻が洗掘された
と考えられる。
堤体は旧堤(明治10年頃)と新堤(昭和8~12年頃)からな
るが、両者ともシルト質細砂~砂質シルトにより構成さ
れている。
堤 体
旧堤と新堤の間には部分的に玉石層が認められ、旧堤の
表面に敷き詰められた敷石と想定される。
最大時間
雨 量
43mm/hr
変状現象の評価
破堤域の幅は
約120m
河川水
解析結果
・10時頃から越水開始
・その後、一時水位が低下
し、12時頃から再び越水
開始
解析結果
すべりに対しては安全率
が1.0を越えている
=1.05~1.23 >1.0
天 端
すべりに対しては安全
である。
アスファルト舗装
浸透
基
盤
浸
透
雨水浸透には有利な条件である
破堤箇所最高水位:T.P.+15.80m
(水理計算による)
水位が堤防天端付近にな
るとG/Wが1以下となる
河
川
水
天端-1m以上の水位継続時間:3.3hr
(水理計算による)
基礎地盤
堤内地では、1~5mの層厚で粘性土層が分布し、川から
遠ざかるに従い層厚が厚くなる傾向にある。
その下位には堤外地~堤内地にかけて砂礫層が広く分布
するが、破堤区間上流~中央部の堤内地では薄くなる箇
所がある。
G/W=0.84~0.91<1.0
堤内地で噴砂、噴水が
生じた可能性がある。
ただし、対岸でも同様
の解析結果が得られて
いる。
凡 例
部分的に行き止まり地盤を形成している可能性が
ある。
:対象項目
:調査結果
(目撃情報含む)
:解析結果
:推定結果
図3-14
図2-20
変 状 現 象 の 評 価 (五十嵐川;諏訪)
変 状 現 象 の 評 価(五十嵐川:諏訪)
22
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