国際経済学
(11)マクロ経済学とGDP
丹野忠晋
跡見学園女子大学マネジメント学部
2013年1月21日
ミクロとマクロ

経済を思案する2つのアプローチ
1.
ミクロは虫眼鏡
2.
マクロは望遠鏡
1.
ミクロ経済学 (microeconomics)-企業や消費者
に焦点を当てる,経済の小さい単位で考える
2.
マクロ経済学(macroeconomics)-経済全体の動
きを分析する.日本経済やEU経済等

経済全体の動きをどう捕らえるか?
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国際経済学11
2
マクロ経済学の目的
1.
日本経済全体をどう判断するか
2.
経済全体の状態を良くする
1.
高い経済成長率
2.
低い失業率
3.
インフレーションやデフレーションがない

分かり易く言うと
1.
たくさん消費したい=高い経済成長
2.
失業者にはなりたくない=低い失業率
3.
安く買いたい=低いインフレ率
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国際経済学11
3
日本とその経済

日本は先進8カ国の一員

最も評判が高い国

人口は国の基本

生産のためには労働が不可欠

少子高齢化

2006年に初めて人口が減少

晩婚化で子供を生まなくなった
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国際経済学11
4
日本の人口
2011年の日本人の人口は約127,000,000人
人口推計 http://www.stat.go.jp/data/jinsui/
 100年前,1910年(明治43年)の日本の人口はど
のくらいだと思いますか?
約4900万人
 日本の人口はこの100年間に2.6倍増えました
 なぜ人口が沢山増えたのだろうか

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国際経済学11
5
千人
日本の人口
140,000
120,000
100,000
日本
80,000
60,000
40,000
20,000
1820
1827
1834
1841
1848
1855
1862
1869
1876
1883
1890
1897
1904
1911
1918
1925
1932
1939
1946
1953
1960
1967
1974
1981
1988
1995
2002
0
年
出所:Angus Maddison http://www.ggdc.net/maddison/
2013/1/21
国際経済学11
6
100万人
五大国の人口(2010年)
350
309.73
300
250
200
150
128.05
100
62.22
81.76
62.79
50
0
日本
アメリカ
イギリス
ドイツ
フランス
IMF World Economic Outlook Database
http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2012/02/weodata/index.aspx
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国際経済学11
7
5大国の人口の推移
千人
300,000
250,000
200,000
150,000
日本
アメリカ
イギリス
ドイツ
フランス
100,000
50,000
1820
1828
1836
1844
1852
1860
1868
1876
1884
1892
1900
1908
1916
1924
1932
1940
1948
1956
1964
1972
1980
1988
1996
2004
0
年
出所:Angus Maddison http://www.ggdc.net/maddison/
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国際経済学11
8
国の豊かさを測る

1860年では日英米独仏は同じ人口

生産物が増えれば豊かになる .どっちが豊か?
1.
うまい棒1000個生産
2.
うまい棒500個生産

イチローがうまい棒を作る.【生産】
↓

真央ちゃんが食べる,美味しい 【付加価値】

付加価値を生産で捉える
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国際経済学11
9
生産と付加価値

ある国の生産力を国内総生産 GDPと呼ぶ

一年間である国がうまい棒を何本生産できるか
=何個食べられるか

国内総生産は付加価値の合計と深く関係している

国全体の様々な生産物をどう集計するか?

うまい棒 1万本,クルマ800万台,米 900万トン,かき
氷 1万杯のような様々な財の生産をどう測る?
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国際経済学11
10
国内総生産

最終的な財の金額を合計すればよい

国内総生産 GDPとは
ある国内での一定期間に市場向けに生産されたす
べての最終的な財とサービスの総額

英語でGross domestic productというのでGDPで省略

自動車部品やうまい棒のコーンは中間財なのでGDP
には入らない
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国際経済学11
11
生産・支出・所得の関係

イチローがうまい棒を作る.【生産】
↓
【所得】=10円
↑

真央ちゃんが食べる.代金の支払い【支出】=10円

つまり,生産,支出,所得は等しくなる.三面等価

総産出量を測るには最終支出を見るのが便利

うまい棒 100万円,クルマ10兆円,米 100億円,かき
氷 200万円の最終支出があるとする

経済全体の総産出量=100万円+10兆円+100億円
+200万円=10兆100億300万円
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12
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五大国の名目GDP(2010年)
10億ドル
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
14,499
5,489
2,267
日本
アメリカ
イギリス
3,312
ドイツ
2,571
フランス
IMF World Economic Outlook Database IMF World Economic Outlook
Databasehttp://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2012/02/weodata/index.aspx
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なぜ最終的な財とサービスなのか?
–
–
–
–
中間財を入れないわけを考える
パナソニックは20000円の費用でデジカメを作った
流通業者のヨドバシカメラに25000円で販売
それをヨドバシカメラは消費者に30000円で売る
2013/1/21
経済主体
金額
パナソニック
20,000
ヨドバシカメラ
25,000
消費者
30,000
国際経済学11
15
中間にヨドバシカメラ
円
2013/1/21
国際経済学11
16
パナソニックが消費者に直販
– 流通を省くいたケース
– パナソニックは20000円の費用で作ったデジカメを
消費者に30000円で直接販売する
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経済主体
金額
パナソニック
20,000
消費者
30,000
国際経済学11
17
パナソニックが消費者に直販
円
35,000
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
0
パナソニック
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消費者
18
最終的な財やサービスの意味






どちらも一台のデジカメの生産=付加価値
どちらも消費者は30000円を支払っている
→最終支出で測ったGDPは30000円
中間業者の売り上げを入れると
25,000+30,000=55,000
同じ一台のデジカメなのにGDPは大きくなる
中間業者の売り上げはカウントしない
最終的な消費や投資だけをGDPに組み入れる
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国際経済学11
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結婚の経済学
花嫁を売る跡見っ子.王子は花婿を売る
 美貌,性格の良さ,頭の良さ 【様々な制約】
 お見合いパティー,合コン 【市場】
 働く,家事,子育て 【時間配分】
 一緒に過ごすと楽しい時間=余暇
 晩婚化,少子化の原因:女性の社会進出→所
得の上昇→結婚の機会費用の上昇
 所得額が高いほど結婚率も高くなる
 老人未婚者の死亡率は既婚者の2倍
 高収入な男性が、求める女性、敬遠する女性

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国際経済学11
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名目と実質
うまい棒を100個生産して価格10円で売れた
名目GDP=10 × 100 =1000円
 値段が11円に上昇した
名目GDP=11 × 100 =1100円
 生産量は変化なし.名目GDPは増加.
 名目=金額で考える,実質=数量で考える
 実質GDPは価格変化の影響を取り除いたGDP
 名目GDPは468兆円
 実質GDPは507兆円

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実質国内総生産(支出側)
10億円
500,000
400,000
485,968
477,915
489,588
509,443
523,686
518,231
512,452
512,365
503,921
497,441
300,000
200,000
100,000
0
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
内閣府 統計情報調査結果
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h23/h23_kaku_top.html
2013/1/21
国際経済学11
22
国の豊かさを測る

ある国でたくさん生産できれば豊かになる

人が多すぎると困る.どっちが豊か?
1.
うまい棒500個生産,人口が12人
2.
うまい棒500個生産,人口が134人

1人当たりの生産力=国の人口1人当たりの実質GDP

1人当たりの平均的に利用可能な財とサービスに注目

国民1人当たりうまい棒が何個もらえるか
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国際経済学11
23
日本の人口
千人
127,635
120,000
100,000
127,401
127,755
127,734
127,980
127,839
128,034
128,046
127,831
128,043
80,000
60,000
40,000
20,000
0
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
内閣府経済社会総合研究所 国民経済計算部 平成23年度国民経済計算確報 (フロー編) 参考図表
総人口:総務省「人口推計月報」月初人口の単純平均
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h23/sankou/pdf/zuhyo23.pdf
2013/1/21
国際経済学11
24
1人当たり実質GDP
円
5,000,000
4,500,000
4,000,000
3,500,000
3,000,000
2,500,000
2,000,000
1,500,000
1,000,000
500,000
0
3,807,485
3,944,433
3,894,348
4,091,935
4,008,573
3,823,894 3,985,281
4,047,224
4,001,504
3,751,265
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
内閣府 統計情報調査結果
内閣府経済社会総合研究所 国民経済計算部
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h23/h23_kaku_top.html
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h23/sankou/pdf/zuhyo23.pdf
2013/1/21
国際経済学11
25
1人当たりのGDP,グラフの工夫
実質GDPよりも名目GDPはより下落
 大震災の影響,国勢調査
 実質で測ると回復は早い,2005年レベル回復
 サラリーマンの平均年収は400万円だった
 直感に合うデータの結果
 0から始まると違いが分からない
 様々な工夫が必要

 途中からグラフを書く.例:人口1億人から
 増加率を表示する
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国際経済学11
26
実質国内総生産(支出側)
10億円
540,000
530,000
520,000
510,000
500,000
490,000
480,000
470,000
460,000
523,686
503,921
518,231
512,452
509,443
512,365
489,588
485,968
497,441
477,915
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
内閣府 統計情報調査結果
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h23/h23_kaku_top.html
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27
1人当たり実質国内総生産
円
4,200,000
4,091,935
4,100,000
4,000,000
3,900,000
4,008,573
3,807,485
3,800,000
3,700,000
4,047,224
3,944,433
3,985,281
4,001,504
3,894,348
3,823,894
3,751,265
3,600,000
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
内閣府 統計情報調査結果
内閣府経済社会総合研究所 国民経済計算部
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h23/h23_kaku_top.html
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h23/sankou/pdf/zuhyo23.pdf
2013/1/21
国際経済学11
28
経済成長
前の年より豊かになったかが重要だ
 普通,国の人口は僅かでも増えていく
 経済全体の産出量よりもその増加率が重要だ
 成長率=増加率
 毎年2%の増加率は2倍になるのに35年かかる
 毎年1%だと70年かかる
今年のGDP-去年のGDP
今年のGDP成長率=
× 100
去年のGDP

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国際経済学11
29
経済成長率



小数点第2
位を四捨五
入せよ
2010 年の実質GDPは 512兆円
2011 年の実質GDPは509兆円
2011年の日本の実質GDPの成長率は? -0.6%
509 - 512
× 100
2011年のGDP成長率=
512
-3
=
× 100 = -300 ÷ 512
512
= -0.585 ≒ -0.6
2013/1/21
国際経済学11
30
実質GDP成長率
%
6.00
4.65
4.00
1.69
2.00
2.36
0.00
-2.00
2.19
1.30
1.69
-0.57
-1.04
0.29
-4.00
-6.00
-5.53
-8.00
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
内閣府 統計情報調査結果
内閣府経済社会総合研究所 国民経済計算部
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h23/h23_kaku_top.html
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h23/sankou/pdf/zuhyo23.pdf
2013/1/21
国際経済学11
31
1人当たり実質GDP成長率
円
6.00
4.64
4.00
1.50
2.00
2.08
1.29
2.28
0.00
0.08
-2.00
1.63
-0.41
-1.09
-4.00
-6.00
-5.52
-8.00
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
内閣府 統計情報調査結果
内閣府経済社会総合研究所 国民経済計算部
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h23/h23_kaku_top.html
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h23/sankou/pdf/zuhyo23.pdf
2013/1/21
国際経済学11
32
1人当たりの実質GDP(2010年)
ドル
45000
41376
40000
35000
34267
31453
34085
31299
30000
25000
20000
15000
10000
5000
0
日本
2013/1/21
アメリカ
イギリス
ドイツ
Penn World Table
http://pwt.econ.upenn.edu/
国際経済学11
フランス
33
ドル
45000
5大国の国民一人当たりのGDPの推移
40000
35000
30000
25000
日本
20000
アメリカ
15000
イギリス
10000
ドイツ
5000
フランス
0
1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005
出所: Penn World Table
http://pwt.econ.upenn.edu/
2013/1/21
国際経済学11
ドイツのデータは1960年後半から
34
支出アプローチ

最終財に対する需要を金額で表示して合計

モデルで簡単化
1.
日本の住民,外国の住民
 国内需要,外国需要 → 内需と外需
2.
民間と政府
 民間需要,公的需要 → 民需,公需
3.
消費と投資
 今満足を得て無くなる財(うまい棒)
 将来の生産に役立つ財(うまい棒用焼き機=パフマシ
ーン)
2013/1/21
国際経済学11
35
生産=供給は需要に等しい
日本国における財の供給=需要
 国内総生産+輸入(海外生産)=民需+公需+外需
 民需=消費+投資
 公需=政府購入
 外需=輸出 (外国人が日本の財を需要)
 消費等には外国の財も含まれる e.g.ルイヴィトン

国内総生産+輸入=消費+投資+政府購入+輸出
 輸入を右辺に移項する
2013/1/21
国際経済学11
36
最終財アプローチ
国内総生産=消費+投資+政府購入+輸出-輸入


1.
2.
3.
4.
ルイヴィトンのバックの購入は消費と輸入で相殺
主体を考える
消費者
企業
民間部門
国内
政府
世界
公的部門
外国
2013/1/21
国際経済学11
37
重要な公式
国内総生産=消費+投資+政府購入+純輸出
1.
消費(consumption)
C
2.
投資(investment)
I
3.
政府購入(government)
G
4.
輸出(export)
X
5.
輸入(import)
M
6.
純輸出:X-M
GDP=C+I+G+X-M
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国際経済学11
38
復習1

マクロ経済学は経済全体の動きを分析する

その目的:高い経済成長,低い失業率,低い
インフレ率
国内総生産 GDP
Gross domestic product

2013/1/21
国際経済学11
39
復習2







ある国内での一定期間に市場向けに生産され
たすべての最終的な財とサービスの総額
消費 consumption
C
投資 investment
I
政府購入 government
G
輸出 export
X
輸入 import
M
GDP=C + I + G + X – M
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国際経済学11
40
ダウンロード

国内総生産