神戸大学大学院国際協力研究科
木村 幹

国際関係をみる基本的な視点

個人的な意思:朴槿惠とは誰か

政治的基盤:制度的制約と社会的制約

構造的な要因:日韓関係の相対的非重要化

追加的要因:市民団体と裁判所という変数

日本側のその他の国際関係

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




1952年生まれ(歴代大統領で最も新しい世代、事実上はじめ
ての「朝鮮戦争後世代」大統領)
父・朴正煕、母・陸英修、共に70年代に暗殺
父暗殺後、一時江原道へ事実上の「追放」
80年代「陸英修女子記念事業会」/「正修奨学会」理事長
1998年、国会議員補欠選挙当選(政界本格参入)
2002年、ハンナラ党脱党、韓国未来連合設立(挫折)
2004年、ハンナラ党代表就任(総選挙善戦)
2006年、襲撃事件(顔面負傷)
2007年、ハンナラ党大統領予備選挙立候補(敗北)
2008年、総選挙を巡って李明博系と対立
2011年、ハンナラ党非常対策委員長(事実上の党首)
2012年、セヌリ党へと改名、国会議員選挙勝利





「選挙の女王」:決して饒舌ではないが、時に応じて適
宜メディアに露出し、また、国民の動向を見て政策等
を変化させる(「経済民主化」)
「韓国の田中真紀子」:基本的に人間を信用しておら
ず、側近等を簡単に切り捨てる(「レーザービーム」)
孤独な存在:数少ない親族である妹や弟とも円滑な
関係になく、人間的に孤独な存在
「強い権力に対する意思」
「現実主義者」






2002年5月:北朝鮮訪問(金正日と会談)
2005年10月:韓国国会国防委員会の一員として竹島訪問
2012年6月:日韓軍事情報保護協定(GSOMIA)に対して与党を率い
て反対、実質的に廃案に追い込む
2012年12月:就任直後の各国ソウル駐在大使との面談ではじめて
日本大使をアメリカ、中国に次ぐ三番目の順位に格下げ
2012年1月:安倍総理からの特使(額賀前財務大臣・日韓議員連盟
幹事)の訪韓に対する答礼として送った黄祐呂セヌリ党代表・韓日議
員連盟会長に自らの特使資格与えず(最初の特使は中国へ)
2012年2月:安倍総理を大統領就任式に招待せず(盧武鉉、李明博
量大統領就任式には、小泉、福田総理が招待)

二つの人脈:李会昌系人脈と盧武鉉系人脈

「2006年訪北」当時のブレーンの集結

→早期北朝鮮訪問の可能性も

経済政策よりは安全保障重視

アメリカとのパイプは存在、日本とは特になし?

FTA政策をどの程度重視するかは、 金宗壎の処遇で
わかるかも



金章洙:元陸軍参謀総長(2005年~2006年)、青瓦
台外交首席(2006年~2007年)、国防部長官
(2007年~2008年)、現セヌリ党国会議員、2006
年訪北
→国家安保室長
尹炳世:外交部北米局長、次官補、青瓦台外交安保
首席、2006年対日政策特別チーム長、額賀会談陪
席、外交通商部長官候補
→外交部長官
陳昌洙世宗研究所日本研究センター長 :対日政策の
ブレイン

不安定な支持基盤

二つの強力な対抗勢力(民主統合党と安哲秀系勢
力)

与党内の挑戦者(金文洙、李在五、[鄭夢準])

2016年までやってこない国会議員選挙

円安ウォン高による韓国経済の不安

迫りくる人口減少社会






結果として「盛り上がった」大統領選挙
投票率75.8%
(前回選挙を12.8%、前々回を5%上回る)
背景としての世代間対立
(文在寅陣営の「投票に行こう戦略」と直前の世論調
査におけるリードが中高年層を刺激し、投票率を押し
上げる)
経済的格差の中での若年層と中高年層の経済的利
益の対立(就職難に苦しむ若年層VS投資により老後
の生活を建てる中高年層)

グローバル化への「過剰適用」の結果としての外部市
場への依存

中国への「非対称的」経済的依存の拡大

「反米運動」の終息

北朝鮮との特異な「相互依存」

「連米連中」への期待と、「トラブルメーカー」としての
日本
貿 易依 存度の 変化
120
100
80
韓国
日本
中国
EU
アメリカ
世界
60
40
20
0
1
9
6
0
1
9
6
1
1
9
6
2
1
9
6
3
1
9
6
4
1
9
6
5
1
9
6
6
1
9
6
7
1
9
6
8
1
9
6
9
1
9
7
0
1
9
7
1
1
9
7
2
1
9
7
3
1
9
7
4
1
9
7
5
1
9
7
6
1
9
7
7
1
9
7
8
1
9
7
9
1
9
8
0
1
9
8
1
1
9
8
2
1
9
8
3
1
9
8
4
1
9
8
5
1
9
8
6
1
9
8
7
1
9
8
8
1
9
8
9
1
9
9
0
1
9
9
1
1
9
9
2
1
9
9
3
1
9
9
4
1
9
9
5
1
9
9
6
1
9
9
7
1
9
9
8
1
9
9
9
2
0
0
0
2
0
0
1
2
0
0
2
2
0
0
3
2
0
0
4
2
0
0
5
2
0
0
6
2
0
0
7
2
0
0
8
2
0
0
9
GDP
China
China
5,878,629 ー
South
Korea
1,116,247
Japan
5,867,154
South
Korea
Japan
3.52
19.76 ー
4.69
1.44 ー
Year
5.07
2010
9.68
2011
2011
中国貿易に占める各国シェア
0.25
0.2
0.15
Japan
Republic of Kor
Taiwan
0.1
USA
0.05
0
1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010

日米による経済制裁後の北朝鮮経済

失われた日本のシェアを補って余りある中国と韓国の
取引拡大

韓国にとっての北朝鮮との取引の「裏口」としての開
城工業団地
北朝鮮の貿易依存率
25
20
15
10
5
0
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
韓国の対北支援
35000
30000
25000
万ドル
20000
15000
10000
5000
0
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
政府支援
2003
2004
民間支援
2005
合計
2006
2007
2008
2009
2010
2011
北朝鮮の交易額(2)
500
450
400
350
ロシア
ドイツ
インド
タイ
アメリカ
日本
百万ドル
300
250
200
150
100
50
0
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
北朝鮮の交易額(1)
7000
6000
5000
百万ドル
4000
合計
中国
韓国
3000
2000
1000
0
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
開城公団
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
2005
2006
2007
生産額(万ドル)
2008
2009
北朝鮮勤労者数(人)
2010
2011
How the perceptions have changed in South Korea
グラフ1:主要国の韓国との貿易額
250000000
200000000
150000000
中国
日本
アメリカ
100000000
50000000
0
グラフ2: 韓国貿易における主要国のシェア
0.45
0.4
0.35
0.3
0.25
中国
日本
0.2
0.15
0.1
0.05
0
アメリカ
グラフ3:韓国人日本訪問者数
3000000
2500000
2000000
1500000
1000000
500000
0
韓国人日本訪問者数
グラフ4:韓国人の出国先としての日本のシェア(長期)
0.6
0.5
割合
0.4
0.3
0.2
0.1
0
年
韓国人の出国先としての日本のシェア




二つの仮定
1)領土問題や歴史認識問題そのものの重要性(認
識)は相対的に安定している
2)国際関係における相互の重要性(認識)は経済
的用件や安全保障上の環境変化により変化する
だとすれば、国際関係における相互の重要性の認
識が、領土問題や歴史認識問題のそれを下回れば
、紛争が頻発する可能性が大きくなる
19
79
19
80
19
81
19
82
19
83
19
84
19
85
19
86
19
87
19
88
19
89
19
90
19
91
19
92
19
93
19
94
19
95
19
96
19
97
19
98
19
99
20
00
20
01
20
02
20
03
20
04
20
05
20
06
20
07
20
08
20
09
20
10
20
11
グラフ5:日本貿易に占める韓国のシェア
0.07
0.06
0.05
0.04
0.03
0.02
0.01
0
1998年4月
7月
10月
1999年1月
4月
7月
10月
2000年1月
4月
7月
10月
2001年1月
4月
7月
10月
2002年1月
4月
7月
10月
2003年1月
4月
7月
10月
2004年1月
4月
7月
10月
2005年1月
4月
7月
10月
2006年1月
4月
7月
10月
2007年1月
4月
7月
10月
2008年1月
4月
グラフ6:日本にとって重要な国・地域として韓国を答えた人の割合
40.0
35.0
30.0
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
19
98
年
4月
7月
19 10
99 月
年
1月
4月
7月
2 0 10
00 月
年
1月
4月
7月
1
20
01 0月
年
1月
4月
7月
2 0 10
02 月
年
1月
4月
7月
2 0 10
03 月
年
1月
4月
7月
1
20
04 0月
年
1月
4月
7月
2 0 10
05 月
年
1月
4月
7月
2 0 10
06 月
年
1月
4月
7月
1
20
07 0月
年
1月
4月
7月
2 0 10
08 月
年
1月
中国が重要である、と答えた人の割合
80.0
70.0
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
中国
中国貿易に占める各国シェア
0.25
0.2
0.15
Japan
Republic of Korea
Taiwan
0.1
USA
0.05
0
1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010



2011年8月韓国憲法裁判所判決
「請求人らが日本国に対して有する日本軍慰安婦とし
ての賠償請求権が、「大韓民国と日本国間の財産及
び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関
する協定」第2条第1項によって消滅したか否かに関
する韓・日両国間の解釈上の紛争を、上の協定第3
条が定めた手続きに従って解決しないでいる被請求
人の不作為は、違憲であることを確認する。」
→ 仲裁機関へ設置へと追い込まれる韓国政府?









過去における日本の裁判所での度重なる敗訴
代替策としての韓国裁判所への提訴
提訴相手は韓国政府と日系企業韓国法人
利用対象の一つとしての憲法裁判所
(註:韓国では憲法裁判所は大審院とは別に独立)
憲法裁判所における政治任用裁判官の存在
韓国司法の「相対的に自由な」法解釈
韓国的な法文化(法の訴求、「真理」従属的な解釈)
→ 市民団体はこれを利用して、韓国政府を動かす




構造的な問題を変える事は不可能
故に「誰が大統領になっても」嘗てのように「何もしなく
ても」日本に配慮してくれる政権は生まれない
ポイントは両国の世論が「日韓関係に重要性を覚えな
くなっている」状況
日本が韓国に対して「何ができるか」を具体的に提案
していかなければならない




‘Discovery of Disputes: Collective Memories on Textbooks
and Japanese–South Korean Relations’ Journal of Korean
Studies, Volume 17, Number 1, Spring 2012, pp. 97-124
‘Why Are the Issues of “Historical Perceptions” between
Japan and South Korea Persisting?,’ Journal of
International Cooperation Studies, Vol. 19 No.1, 2011,
pp.1-27
‘Nationalistic Populism in Democratic Countries of East
Asia’
Journal of Korean Politics Vol.16 No.2, 2007,
pp.277-299
「日韓歴史認識問題にどう向き合うか」、ミネルヴァ書房『究』連載中
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朴槿惠政権と日韓関係 - 韓国人研究者フォーラム