2010年8月16-17日
メタ情報のデータベースを利用した
分野横断型地球科学研究の進展
ELMOS衛星群計画:
GPS掩蔽・電子密度・電子温度同時
観測衛星群が拓く多分野横断的観測
宇宙航空研究開発機構
地球観測研究センター
児玉 哲哉
http://www.geocities.jp/ELMOS_WG/mission.html
ELMOSワーキンググループ(2006~)
http://www.geocities.jp/ELMOS_WG/
提案者:小山孝一郎
(元宇宙科学研究本部教授・現國立成功大学客員教授)
メンバー:大津山卓哉(電子航法研究所)、海老沼拓史(東京大学)、
Huixin Liu(京大RISH)、大西健夫(LATMOS/CNRS)、
古宇田亮一(産総研)、西橋政秀(気象研究所)、陣 英克、
津川卓也(NiCT)、渡部重十、日置幸介(北海道大学)、
山本真行(高知工科大学)、大塚雄一(名古屋大学)、
湯元清文(九州大学)、柿並義宏(國立中央大学研究員)、
早川正士、芳原容英(電気通信大学)、白澤秀剛、高橋隆男、
田中 真、長尾年恭(東海大学)、服部克巳(千葉大学)、
鴨川 仁(東京学芸大学)、小原隆博、鈴木 睦、五家建夫、
松本晴久、児玉哲哉(JAXA)
アドバイザリーメンバー:上田誠也、劉正彦、Oleg Molchanov、
Michel Parrot、Sergei Pulinets
1.ELMOS衛星群の構成
主衛星:小型科学衛星バス(約200kg)
子衛星: GPS掩蔽・電子密度・電子温度+α
高度:500~600km 傾斜角:40度前後の円軌道
世界初のGPS掩蔽・電子密度・電子温度
同時観測衛星群が拓く多分野横断的観測
21世紀の地球電磁気学
日本学術会議地球電磁気学研究連絡委員会, 平成17年5月19日
長期間にわたって安定して地球環境をモニターするには、
シンプルでキャリブレーションフリーの観測手法が望ましい
ことは言うまでもないことである。その技術の典型として、
GPS掩蔽観測により対流圏-成層圏-電離層を観測する
新技術の発展が要望されている。
↓
GPS掩蔽観測受信器は、これまでの観測センサに比べ、
圧倒的にシンプル・低コスト・高精度であり、我が国の地球
観測の基幹システムとして整備するべきである。
我が国の地球観測衛星は同一センサによる
長期の継続的観測すら達成できていないのが現状
ELMOS衛星群の広範なミッション領域
電離圏:電離圏科学・宇宙環境・宇宙天気
電離圏モデル(通信・測位)
 中間圏:大気圏-電離圏カップリング
高層放電
 成層圏:大気研究
気候変動
 対流圏:気象
数値予報
 地 圏:地震・海洋

京都大学特定領域研究「赤道大気上下結合」より
2.ELMOSのミッション
①実利用:気象
GPS掩蔽観測による大気圏情報の取得による
気象予測精度の改善
Formosat-3/COSMIC大気圏電離圏データベースより
http://www.cchsiao.idv.tw/f3cindexj.htm
GPS掩蔽:他の衛星観測よりも
圧倒的高精度(気象ゾンデに匹敵)
平成14-16年科学技術振興調整費 先導的研究等の推進
「精密衛星測位による地球環境監視技術の開発」 より
The Impact of FORMOSAT-3/COSMIC
GPS RO Data on Typhoon Prediction
Kuo et al., 2008
数値天気予報における衛星データ利用の
現状(竹内, 2007)
2.ELMOSのミッション
②科学研究:電離圏・中間圏・大気圏・地圏・海洋

大気圏・超高層・熱圏
①境界領域科学:中間圏界面と対流圏界面
②雲物理:対流圏積雲対流, 成層圏雲(PSC), 夜光雲(NLC)
③雷:下方, 雲中, 上方放電
④地球ガンマ線現象(TGF)
大気圏-電離圏結合
 電離圏:国際標準電離層(IRI)
 地圏:地震電磁気
 海洋:波浪情報

A Puzzling Collapse of Earth’s Upper
Atmosphere (NASA Science, July 15, 2010)
These plots show how the
density of the thermosphere (at
a fiducial height of 400 km) has
waxed and waned during the
past four solar cycles. Frames
(a) and (c) are density; frame (b)
is the sun's radio intensity at a
wavelength of 10.7 cm, a key
indicator of solar activity. Note
the yellow circled region. In 2008
and 2009, the density of the
thermosphere was 28% lower
than expectations set by
previous solar minima.
Emmert et al. (2010), Geophys.
Res. Lett., 37, L12102.
大気圏・超高層・熱圏
雷:下方, 雲中, 上方放電, 地球ガンマ線現象(TGF)

Sprite-SAT, JEM-GLIMS, Taranis
大気圏-電離圏結合
Immel, T. J., E. Sagawa, S. L. England, S. B. Henderson, M. E. Hagan, S. B.
Mende, H. U. Frey, C. M. Swenson, and L. J. Paxton (2006), Control of
equatorial ionospheric morphology by atmospheric tides, Geophys. Res.
Lett., 33, L15108, doi:10.1029/2006GL026161.
石井, 2009
http://iri.gsfc.nasa.gov/
STAR計画*への提案:SeismoSTAR
* アジア太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)においてJAXAが提案したSTAR計画(Satellite Technology for
the Asia-Pacific Region, アジア太平洋地域のための衛星技術計画)では、300-500kg級の地球観測衛星(EOSTAR)のシステム検討と、50-100kg級の技術実験衛星(Micro-STAR)の開発を行う。
電子密度プローブ
 電子温度プローブ(ともに高精度小型軽量)
搭載実績: Astro-A (ひのとり)

→

GPS 掩蔽観測用受信機
ex: Formosat-3/COSMIC
←
http://space.geocities.jp/SeismoSTAR
地震に伴う高度600kmの
電子温度低下
ISASトピックス > 2008年 > 地震が電離圏に及ぼす影響を「ひのとり」のデータで研究
電子温度は地震5日前から
Afternoon overshootの消失が始まり
地震後5日をかけてモデル温度に回復
電子密度は地震後に鈍く変化する
Oyama, Kakinami, Liu, Kamogawa and Kodama (2008),
J. Geophys. Res., 113, A11317, doi:10.1029/2008JA013367.
foF2及びGPS-TECの減少【統計的結果】
Liu, J. Y., Y. I. Chen, Y. J. Chuo,
and C. S. Chen (2006), A
statistical investigation of
preearthquake ionospheric
anomaly, J. Geophys. Res.,
111, A05304,
doi:10.1029/2005JA011333.
1994年から1999年まで台湾で発
生したマグニチュード5以上の184
回地震と、foF2(電離層密度の濃
さの指標 )の変化を統計的に解析
した結果、地震の5日前から有意
な電子密度減少を統計的に報告
[Discovery 921十周年] 電離層地震前兆
(Ionospheric Earthquake Precursor)
http://www.youtube.com/watch?v=AsBTZym8TJc
地震電磁気現象の先行時間
*下線は統計的結果

エネルギー粒子の降下: 2~4時間前(Aleksandrin et al)
夜間VLF帯電波強度減少: 4時間前(Nemec et al)
電離圏電子温度低下: 5日前から(Oyama et al)
○
○
◎

foF2及びGPS-TEC変動:1~5日(Liu et al)
◎

オメガ波位相変化: 1~2日前(Molchanov & Hayakawa)

大気圏放送波の散乱:5日(Fujiwara and Kamogawa)

ULF放射:12日 (Fraser-Smith)
ULF偏波:1~19日(Hayakawa, Hattori and Ohta)
DC:20日~数週間(Varotsos et al)




電子密度・温度低下の仮説(Oyama)
←
→
↑↑↑
↑↑↑
温度低下
← →
密度:高
↑ 密度:高<低
中性風によって生じる赤道上の東向き電場が弱まることにより、
震源上空の電子密度が相対的に高くなり、(赤道異常の鈍化)
衛星高度電離圏から熱輸送され電子温度が下がるのではないか?
【解明には信頼できる時空間的大気圏―電離圏のデータが必要不可欠】
電磁気発生源:正孔電荷キャリア仮説
10cm立方の岩石(花崗岩)からnAの電流
→1km立方なら10,000~100,000A発生!
GPS海面反射波による海洋情報取得
GPS海洋反射波を用いた津波監視衛星の可能性(海老沼, 2006)
2.ELMOSのミッション
③工学利用:宇宙環境・宇宙天気
◎宇宙天気予報への貢献
2.ELMOSのミッション
③工学利用:宇宙環境・宇宙天気
◎技術データ取得装置:TEDAによる
宇宙環境データの取得・衛星設計基準の更新
sees.tksc.jaxa.jp
3.ELMOS主衛星搭載機器










Plasma Probes
GPS Occultation Receiver
Energetic Particle Detector
VLF Receiver
Electric Field Sensors
Topside Sounder
Ion/Neutral Gas Analyzer
Magnetometer
TEDA
2D Photometer
【我が国の実績ある機器で電離圏諸物理量の包括的観測を実施】
4.ELMOS衛星群の成功基準
Minimum Success
Nominal Success
Extra Success
実利用:
気象予測
精度向上
GPS掩蔽観測により時
空間的な大気圏の諸
物理量を計測する。
GPS掩蔽観測技術を確立
し、ミッション期間中に取得
したデータにより気象予測
精度改善に資する。
GPS海面反射実用化へ
の目処をつけるとともに
長期観測の実現により、
他の地球観測衛星データ
精度改善利用に資する。
科学研究:
電離圏・中
間圏・大気
圏・地圏・
海洋
搭載機器により時空間
的な大気圏から電離圏
にわたる領域の諸物理
量を計測する。
ミッション期間中の信頼度
の高い、高精度な電離圏
モデルを構築し、国際標準
電離層モデルの更新に貢
献するとともに、多分野横
断的科学研究の利用に資
する。
長期観測の実現により、
信頼できる地震前電離圏
変動の結果を積み重ねる
とともに、大気圏―電離
圏カップリングの研究に
資する。
工学利用:
宇宙環境・
宇宙天気
宇宙環境データ取得装
置(TEDA)及び搭載機
器により宇宙環境・電
離圏の諸物理量を計
測する。
ミッション期間中に取得し
たデータにより宇宙環境モ
デルを構築し、 JAXA衛星
設計基準に反映するととも
に、宇宙天気予報の精度
改善に資する。
長期観測の実現により、
大規模太陽フレア等の異
常イベントデータを取得し、
宇宙環境・宇宙天気デー
タの蓄積を行う。
ELMOS:問題解決型横断的ミッション






世界初のGPS掩蔽・電子密度・電子温度同時観測
衛星群による電離圏・大気圏の時空間的データ取得
大気圏・中間圏・電離圏の分野横断的研究の進展
宇宙環境・宇宙天気・通信・測位等への工学的利用
「今ある簡単な」技術で「低コスト」で達成可能
風水害の多発するアジア太平洋諸国への貢献
地震火山国の宇宙機関として普遍的なミッション
【All JAXA・All Japanでの取組が可能】
約束されたGPS掩蔽観測による気象予測精度の向上
地震前電離圏変動の立証=地球科学へのインパクト絶大
【ローリスク・ハイリターン】
ELMOS衛星群の目指すもの
我が国における宇宙開発利用の基本戦略(平成16年9月9日 総合科学技術会議 )
地球観測-災害の予知・予測など、実社会に役立つデータを科学的知見を活用して引き出し、その提供を推進する。
ハイリスク
↑
はやぶさ
技術試験衛星
|
|
手段が目的←ーーーーーーーーーー→科学的価値
|
○○○
|
ここを狙う!
↓
ローリスク
2009年度研究推進に関する基本方針(案):立川理事長再任メッセージ(2008年4月)
第一はミッションオリエンテッドな事業遂行です。各本部等は意識改革を行いミッションの創出と具現化に一層努める。
5.シリーズ化による戦略(1/3)
小型科学衛星:年1機→5年で3機程度に・・・
 ADEOS700億、ADII600億、だいち550億、
みちびき735億(←相乗りすらできない)
 ロボット月探査:10年で2000億!?
 小型地球観測衛星シリーズ:未だ無し

我が国の財政状況を鑑みると
小型科学衛星規模の主衛星を
H-IIで打上げざるを得ない!
5.シリーズ化による戦略(2/3)





小型でも高性能(例:ASNARO)
小型でも多種多様なミッションの実現が可能
同業者評価によるミッションの精選【超重要】
超小型衛星開発の機運の高まり:
最先端研究開発支援プログラム「超小型衛星による
新しい宇宙開発・利用パラダイムの構築」
【主衛星が無ければピギーも上がらない!】
数十億円規模の小型衛星を主衛星として打上げる
ことで、超小型衛星の実証機会は確実に増加し、我
が国の将来の宇宙開発を担う人材の育成機会を提
供することが可能となる。
5.シリーズ化による戦略(3/3)

小型地球観測衛星がいっぱいできれば、地球観測
のみならず、宇宙科学及びロケットの全分野で、低コ
スト化と信頼性を両立させつつ、多様なミッションの
実施が可能(よい循環)

もう一つの意義は、衛星開発のハードルが下がれば、
これまでできなかった革新的・先鋭的ミッションを実
施できる可能性が高まることにある
* 参考:日本の宇宙開発はインドにも対抗し得ない〜JAXA・平岩主任研究員に聞く
データ公開の計画・指針案
GPS掩蔽データ
気象研に構築?
 電子温度・密度データ
NICT宇宙環境/宇宙天気情報センター 等
 宇宙環境計測情報システム
SEES http://sees.tksc.jaxa.jp/
 その他の科学機器データ
DARTS http://darts.isas.jaxa.jp/

第54回宇宙科学技術連合講演会
オーガナイズドセッション(2010.11.17)
ELMOS Constellation:GPS掩蔽観測衛星群が拓く
地圏-大気圏-電離圏結合の観測
コンビーナ:
児玉哲哉(JAXA)
渡部重十(北大)
長尾年恭(東海大)
鴨川 仁(学芸大)
後援:
電気学会・自然災害軽減のための
早期警戒システムと電磁界技術
調査専門委員会
http://www.jsass.or.jp/sputlcom/54ukaren/
ELMOS-WGは
やる気のある研究者を
随時募集しています
ELMOS-WGメーリングリスト運用中(年100通程度)
[email protected]
ダウンロード

GPS掩蔽観測により対流圏 - 超高層大気長期変動の全球地上