線形システム論
情報エレクトロニクス系
2年後期
I. 概論
教科書 2章
講義内容の予定
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システムの表現(状態空間表現)
微分方程式の復習(初期値問題の解・安定性)
座標変換, 可制御・可観測性, 安定性
可制御標準形・可観測標準形
極配置, オブザーバ
Laplace変換の復習
もうひとつのシステム表現(伝達関数表現)および状態空間表現との関連
ブロック線図, 伝達関数の合成, フィードバック結合
伝達関数の安定性
周波数応答, Bode線図
Nyquistの安定判別法
定常偏差, PID制御
教科書・講義資料
 教科書は
森 泰親 著 「制御工学」
大学講義シリーズ, コロナ社 (2001)
2,800円 + 消費税
 教科書がないとわからなくなるタイプの授業です
 講義資料は、
http://stlab.ssi.ist.hokudai.ac.jp/yuhyama
/lecture/linearsys/
システムの表現
 制御で扱うシステムは「動的システム」
例:
 常微分方程式で表される系
 差分方程式で表される系
 偏微分方程式で表される系, など...
「系」…「システム」に対する
日本語
常微分方程式で表されるシステム:
x  f ( x, u), y  h( x, u)
系の状態: x, 系への入力: u, 系からの出力: y
(これらは通常はベクトル)
 「系の状態」というものがあるのが「動的システム」(dynamical system)
 動的システムでは、現在の系の出力は現在の入力だけで一意に決まる
ものではない。過去のシステムの動きの蓄積によって、未来の動きが変
わる。
メカニカルシステムの例
連立2階常微分方程式で表されたメカニカルシステム
M (q)q  c(q, q )  g (q)  u
q: 一般化位置ベクトル, u: 制御入力 (外部からのトルク・力)
M(q): 慣性行列, c( ): 遠心力・コリオリ力・摩擦力の項, g( ): 重力項
連立1階常微分方程式系: (まとめてベクトルで表す)
q

d q 
   

1
dt  q   M (q) {c(q, q )  g (q)  u}
状態を定義:
q
x   
 q 
状態方程式:
x  f ( x, u)
x   で始まる式
→ 状態方程式
線形状態方程式の導出(1)…偏差系
 ある入力 u = u0 のとき、x = x0に静止
「静止している」ということより、微分は0
x  f ( x, u)  0  f ( x0 , u0 )
 偏差を定義: z = x – x0
v = u – u0
偏差系:
z  F ( z, v)  f ( x0  z, u0  v)
状態の目標値 x0 と、それを維持するため
の入力 u0 を考え、それからの偏差を用いて
偏差系を考える。
明らかに、
F(0, 0) = f(x0, u0) = 0
v = 0 のとき、z = 0 は「平衡点」
線形状態方程式の導出(2) …線形近似
 線形近似…テーラー級数展開を一次までで打ち切り
線形近似:
 F
  F

z   (0,0) z   (0,0) v  O((z, v) 2 )
 z
  v

 Az  Bv
F(0,0) = 0 なので0次項は無い
線形近似系:
2次以上の項→無視
線形系のほとんどは線形 “近似系”
z  Az  Bv
線形近似
= 接線
z と v が小さい時だけ近似が有効
離れると
誤差が大きくなる
0 の近傍では誤差が小さい
2. 微分方程式の解
教科書 4.1, 4.2, 4.3, 3.2, 3.3
(安定性に関しては後で詳しく述べる)
1階線形微分方程式の解
 1階同次線形微分方程式
x  ax
 1階線形微分方程式
x  ax  b(t )
初期値問題の解:
x(t )  x(0)eat
初期値問題の解:
t
x(t )  x(0)e   e a (t  )b( )d
at
0
○ 代入して確認すること。
○ 初期状態を満たすこと、つまり t = 0 のときに式がなりたつこ
とを確認すること。
1階同次線形微分方程式の安定性
 解: x(t) = x(0)eat
a<0
1
a>0
1.6
0.9
1.4
0.8
1.2
0.7
1
x
x
0.6
0.5
0.4
0.8
0.6
0.3
0.4
0.2
0.2
0.1
0
0
1
2
3
Time
4
5
0
0
1
 a が負 … 0に収束 (漸近安定)
 a が正 … 発散 (不安定)
 a が 0 … 一定値を取り続ける (安定限界)
2
Time
3
4
5
収束の速さ
1
1
0.9
0.9
0.8
0.8
0.7
0.7
0.6
0.6
0.5
0.5
x
x
 x  ax の解: x(t) = x(0)eat の収束の速さと、a との関係
a = 1
a = 4
0.4
0.4
0.3
0.3
0.2
0.2
0.1
0.1
0
0
0
1
2
3
Time
4
5
0
1
2
Time
3
 a が小さいほうが(負で絶対値が大きいほうが) 収束が速い。
4
5
2階線形微分方程式
 2 階同次線形微分方程式:
x  ax  bx  0
 特性方程式:
l2 + al + b = 0
 一般解:
 特性方程式が2つの実解 l1, l2 を持つ場合
x(t )  C1el1t  C2el2t
 特性方程式が重根 l1 を持つ場合
x(t )  C1tel1t  C2el1t
 特性方程式が虚数解 p  qj を持つ場合 ( j は虚数単位)
x(t )  C1e pt cos(qt)  C2e pt sin(qt)
 C1, C2 は定数。x と x の初期値を、一般解および一般解の両辺を微分し
た式に代入して、 C1, C2 を決定する。
2階線形微分方程式の解の挙動
 微分方程式: x  2 x  kx  0
 赤: k = 0.75 (異なる実根), 緑: k = 1 (重根), 青: k = 3.1622… (虚数解)
 x(0)  1, x (0)  0
1
0.8
○ 全ての特性方程式の解の実部
が負であることが、0に収束する
ための必要十分条件。
○ 特性方程式が虚数解を持てば、
挙動は振動的になる。その虚数
部は振動の角周波数となる。
0.6
x
0.4
0.2
0
-0.2
-0.4
0
2
4
6
Time
8
10
行列指数関数
 通常の指数関数
e at  1  at 
1 2 2 1 33
a t  a t 
2!
3!
を行列に拡張
行列指数関数:
t2 2 t3 3
e  I  tA  A  A  
2!
3!
tA
A が n  n の行列ならば、eAt も n  n の行列。
 行列指数関数の微分
d tA
t2 3
2
e  A  tA  A    AetA
dt
2!
 行列指数関数の積分 (A が正則のとき)
tA
1 tA
e
dt

A
e

重要!
連立1階線形方程式の解
 連立1階同次線形方程式:
x  Ax
その初期値問題の解:
x(t) = etAx(0)
 連立1階線形方程式:
x  Ax  b(t )
その初期値問題の解:
t
x(t )  etA x(0)   e(t  ) Ab( )d
0
代入することで、これは確かめられる。
行列指数関数の計算
 逆ラプラス変換(L1{ })を用いる方法:
 adj(sI  A) 

etA  L1{( sI  A) 1}  L1 
 det(sI  A) 
 対角化・ジョルダン標準形を用いる方法:
たとえば、行列 A が対角化可能なとき、正則行列 T が存在して、
0
l1

TAT 1  

(l1,…,ln はA の固有値)

 0
ln 
とできる。よって、
el1t
0 
1
T
etA  T 1etTAT T  T 1 


ln t 
0
e


座標変換 z = Tx を
用いているのと同じ
座標変換と線形微分方程式
 行列 A は対角化可能で、m 個の実数固有値 l1,…,lm と2 個の虚数の
固有値 c1  w1j,…, c  wj を持つとする。
 対角化を用いて行列指数関数を求める場合、虚数の扱いが面倒。
しかし、虚数の固有値は必ず共役複素数として現れるので、
少し工夫すれば、実数だけで扱える。
すなわち、正則行列 T が存在して、以下のようになる。
0
l1







lm


c
w
1
1

TAT 1  


 w1 c1






c w 


 w c 
 0
よって、
1
e At  T 1eTAT tT 
e l1t




e lm t

T 1 





 0





e c1t cosw1t e c1t sin w1t
T

 e c1t sin w1t e c1t cosw1t



e ct cosw t e ct sin w t 

c t
c t
 e sin w t e cosw t 
0
 座標変換: z = Tx を用いると、
座標変換後のシステム:
z  Tx  TAx  TAT 1 z
 座標変換後の解:
1
tTAT 1
z(t )  Tx(t )  Te x(0)  Te T z(0)  e
tA
tA
z(0)
zk (t )  e lk t zk (0), k  1, , m
 zm  2 k 1 (t )  e ck t {zm  2 k 1 (0) coswk t  zm  2 k (0) sin wk t}
, k  1, , 

ck t
 z m 2 k (t )  e {z m 2 k (0) coswk t  zm  2 k 1 (0) sin wk t}
○ 1階常微分方程式と2階常微分方程式の解の組み合わせ
○ 虚数の固有値に対しては、振動的になり、その虚数部は振動の角周波数
をあらわす。固有値の実部と虚部の比が、「見た目 = 振動的かどうか」を
決める。
○ 固有値の実部が全て負であることが、0 に収束するための必要十分条件。
○ 固有値の実部が収束の速さを表している。
2つの特性方程式
 行列 A の特性方程式:
det (sI – A) = 0
d nz
d n1 z
 微分方程式
 a n 1 n1    a1 z  a 0 z  0 の特性方程式:
n
dt
dt
sn + an  1sn  1 +  + a1s + a0 = 0
 この2つの特性方程式は実質的に同じもの。
d nz
d n1 z
 a n 1 n1    a1 z  a 0 z  0 を連立1階方程式に変換
微分方程式
n
dt
dt
1
0 
 0
 



 x  Ax
x  
 0  0
1 



a



a
n 1 
 0
この行列 A の特性方程式は、
sn + an  1sn  1 +  + a1s + a0 = 0
元の微分方程式の特性方程式と同じ
安定性の定義
 自律系(外部からの入力を含まない時不変システム)
x  f ( x) ただし f (0)  0
の(局所的)安定性に関しては、以下の2つがある。
 (リアプノフ)安定性:
これは、e-d 論法で定義される。
任意の e に対して d が存在し、||x(0)|| < d ならば ||x(t)|| < e となるとき、平
衡点 x = 0 は、(リアプノフ)安定であるという。
 漸近安定性:
平衡点 x = 0 の近傍から出発した軌道がすべて平衡点 x = 0 に収束し、かつリ
アプノフ安定であるならば、平衡点 x = 0 は漸近安定であるという。
リアプノフ安定なシステム
漸近安定なシステム
リアプノフ安定でも
漸近安定でない系
が存在する。
2つの安定性
漸近安定なシステム
中立安定な部分を含む
不安定なシステム
安定なシステム
リアプノフ安定なシステム
 1 1 
 漸近安定なシステム: (例) x   x, x  
x, etc...

 1  1
 0 1
x, etc...
 中立安定なシステム: (例) x  0, x  

 1 0
 1 1
x  x, x  
x, etc...
 不安定なシステム: (例)

 1 1
大域的な安定性
 局所的な安定性ではなく、全ての初期値に関する安定性。
 大域的(リアプノフ)安定性:
全ての初期値に対してその挙動が有界で、かつリアプノフ安定ならば、大域的(リア
プノフ)安定であるという。
 大域的漸近安定:
全ての初期値から出発した軌道が0に収束し、かつリアプノフ安定ならば、大域的
漸近安定であるという。
 線形系では「大域的」な性質と「局所的」な性質は同じ。
重要!
x  Ax A の全ての固有値の実部が負: 大域的漸近安定
A の全ての固有値の実部が非正 (幾何学的重複度と代数的
重複度が異なる固有値は負) : 大域的リアプノフ安定
(注意) 入力付きの線形系 x  Ax  Bu の安定性の定義は別である。
(その条件とは、入力無しシステムの漸近安定性と一致する。)
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