7.CSGにおける水平打継目処理
(1)検討目的と検討方法
台形CSGダムにおける打設は、締め固め作業がローラー等の振動エネルギーにより実施さ
れ、層状で打設される点はRCD工法と同様である。よって、台形CSGダムにおける打継目
処理についても、打継部の強度特性の改善やジャンカ防止、止水性への効果について考慮の必
要がある。強度特性に対しては、CSG工法の場合でも、水平打継目が他と比べて弱点になら
ない処理方法が必要である。しかし、打設時におけるブリージングがほとんどないことから、
RCD工法に比べて打継処理を簡素化できるとしている。このことはCSG工法の「施工の合
理化」に貢献している点で具体的にはグリーンカットの省略などがある。また、ジャンカ防止、
止水性に関しては、CSGの打継材にもある程度の流動性状を持つことが必要であると考えら
れる。適度な流動性状を持つことはCSGへの充填性を向上させるので、打継目において上、
下層に確実に付着する効果をもたらすと考えられる。
本研究では上記について考慮し、台形CSGダムの打継目処理について、施工設備の簡易化
が可能なセメントペーストや在来工法であるモルタルを使用した場合の効果を確認した。打継
処理方法の違いによる影響を主に打継目のせん断強度特性に着目している。内容としては、大
型供試体で打継目を再現し、そこから採取したコア供試体について外観観察、圧縮強度試験、
一面せん断試験を実施した。それらの試験結果より処理方法ごとの効果について確認を行って
いる。
(2)使用材料
使用材料および物性について表 7.1 に示す。母材は内閣府沖縄総合事務局で進められている
大保ダム建設工事のうち、脇ダム原石山で採取された千枚岩とした。搬入した母材は試験場の
ふるい分け設備にて分級を行い各分級ごとに保管した。母材粒度分布を表 7.2、表 7.3、図 7.1
∼図 7.3 に示す。特徴としては、0.15mm 以下の微粒分量を 5mm 以下の粒度分布に対して 25%(全
体粒度では 9%)含む母材であることがあげられる。表、図にある標準粒度上限、下限は、示方
書ダム編で規定している粒度分布の範囲であり、参考に記載した。
表 7.1
使用材料(Ⅷ)
名称
種類および物性
セメント
普通ポルトランドセメント:密度:3.15(g/cm3)
母材
岩種:千枚岩(大保脇ダム原石山採取)
(粗骨材)
(細骨材)
80∼40
絶乾密度:2.62(g/cm3)・吸水率:1.97(%)・FM:8.94
40∼20
絶乾密度:2.55(g/cm3)・吸水率:2.94(%)・FM:7.83
20∼10
絶乾密度:2.55(g/cm3)・吸水率:2.78(%)・FM:6.91
10∼5
絶乾密度:2.52(g/cm3)・吸水率:3.27(%)・FM:5.88
5∼0
絶乾密度:2.70(g/cm3)・吸水率:0.70(%)・FM:2.52
フライアッシュ
JISⅡ種(JIS A 6201)・密度:2.25(g/cm3)
砂(モルタル用)
富士川産川砂・絶乾密度:2.63(g/cm3)
吸水率:1.29(%)・FM:2.84
- 159 -
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
通過粒径百分率(%)
CSG配合粒度
0.01
0.1
図 7.1
表 7.2
1
粒 径(㎜)
100
母材粒度分布(Ⅷ)
CSG配合粒度(母材(5mm 以下))
(Ⅷ) 表 7.3
ふるい目
10
0.15 0.15∼ 0.3∼ 0.6∼ 1.2∼ 2.5∼
以下
0.3
0.6
1.2
2.5
5.0
CSG配合粒度(母材(5mm 以上))
(Ⅷ)
ふるい目
5∼10 10∼20
20∼40
40∼80
標準粒度上限
15
20
30
30
25
20
標準粒度上限
15
25
40
40
母材粒度
25.3
9.1
13.1
14.1
20.2
18.2
母材粒度
16.8
20.1
26.7
36.4
標準粒度下限
2
12
15
10
10
5
標準粒度下限
10
15
20
20
標準粒度上限
30
粒径別百分率(%)
粒径別百分率(%)
35
25
20
15
10
標準粒度下限
5
0
0.15以下
0.15∼0.3
0.3∼0.6
0.6∼1.2
1.2∼2.5
2.5∼5.0
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
5∼10
標準粒度上限
CSG 配合粒度
標準粒度下限
10∼20
20∼40
ふるいの呼び寸法(㎜)
ふるいの呼び寸法(㎜)
図 7.2
CSG配合粒度(母材(5mm 以下))
(Ⅷ) 図 7.3
CSG配合粒度(母材(5mm 以上))
(Ⅷ)
(3)試験項目と方法
この検討における試験項目および試験方法を、以下に示す。
表 7.4
減水混合試験における試験項目および方法
試験区分
試験項目
①フレッシュ性状
標準VC試験
試料
養生方法
40mm ウェット
−
スクリーニング
供試体作製
コア外観評価
③大型供試体試験
コア密度
コア圧縮強度
- 160 -
40∼80
フルサイズ
封緘養生
(4)基本配合
今回の試験で使用する母材に対し、母材の最大粗骨材寸法 80mm、単位セメント量 80kg/m3、
標準VC値 20 秒、細骨材率 32%を満足するように予備試験を実施し、CSGの基本配合を表
7.5 のように決定した。
表 7.5
Gmax
配合名称
Air
W/C
CSGの基本配合(Ⅷ)
単位量(kg/m3)
細骨材率
水
(mm)
(%)
(%)
(%)
80
0
160
32
CSG基本配合
128
母材
母材:80-5mm
セメ
ント
0-5mm
80-40
40-20
20-10
10-5
80
726
557
408
307
257
(5)試験ケース
試験ケースを表 7.6 に示す。一般部(打継を有しない供試体による試験)と他ケースの比較を
目的とし、処理方法の効果について検討を行う。なお、各ケースとも打継目を湿潤に保つこと
以外の清掃やグリーンカットなどの処理は実施しない。未処理は、打継処理材を使用しないで
上層の打設を実施する。セメントペースト処理は、セメントをフライアッシュに 50%置換した
A配合と、置換しないB配合の 2 種類とし、塗布厚さを 10mm とした。モルタル処理は、塗布厚
さを 15mm とした。一般部は大型供試体を 1 層 1 回打設で作製とした。
表 7.6
試験ケース(Ⅷ)
供試体数
ケース
NO
名称
1
内容
ダイスせん断
試験用
φ200×h200
圧縮強度
試験用
φ150×h300
未処理
打継処理材なし
3 角度×3 本=9 本
3本
2-1
セメントペースト
A 配合
セメントペースト
(F 置換あり)塗布処理
3 角度×3 本=9 本
3本
ペースト厚
t=10mm
2-2
セメントペースト
B 配合
セメントペースト
(F 置換なし)塗布処理
3 角度×3 本=9 本
3本
ペースト厚
t=10mm
3
モルタル
モルタル塗布処理
3 角度×3 本=9 本
3本
モルタル厚
t=15mm
4
一般部
打継を有しない
供試体
3 角度×3 本=9 本
3本
備考
(6)試験フロー
図 7.4 に試験フローを示す。表 7.5 に示したCSG基本配合を用いて大型供試体(φ500mm×
h400mm)を打 継処 理方法 別に 作製し た。 打継目 のあ る大型 供試 体の作 製手 順は、 まず 下 層
(h200mm)の打設を行い中 2 日の養生をとる。その後、各ケースにおける打継処理を行い、上層
(h200mm)の打設を実施した。打継目のない大型供試体の作製は、1 層 1 回の打設により行った。
打設完了後、約 3 週間養生し、コア削孔によりせん断試験用(φ200mm×h200mm)、圧縮強度試験
用(φ150mm×h300mm)のコア供試体を作製した。材齢 28 日において打継処理部およびコア供試
- 161 -
体の外観観察を行い、せん断試験と圧縮強度試験を実施した。せん断試験の方法については一
面せん断試験機を使用し実施した。また、圧縮強度試験については全体ひずみ測定を実施し、
弾性領域強度とピーク強度について評価した。
大型供試体打設
(下層)
封緘養生
(中2日)
ケース2-1・2,3
打継目処理
ケース1
大型供試体打設
(上層)
大型供試体打設
(1層仕上げ)
ケース4
封緘養生
コア削孔
コア供試体作成
コア供試体外観評価
打継処理部外観評価
一面せん断試験
圧縮強度試験
図 7.4
試験フロー(Ⅷ)
(7)モルタルとセメントペーストの配合
表 7.7 にセメントペーストおよびモルタルの配合表を示す。材齢 28 日、91 日での圧縮強度
試験結果も記載した。セメントペーストについては、各配合で充填モルタルの流動性試験(JCI-F
541-1999)を実施し、J14 漏斗の評価で 10 秒を目標に配合の調整を実施し決定した。
表 7.6
セメントペースト・モルタル配合表(Ⅷ)
配合名
F/(C+F)
(%)
(C+F):W
J14 漏斗
試験(s)
σ28
(N/mm2)
σ91
(N/mm2)
セメントペースト
A 配合
50
1:0.5
10
18.4
29.6
セメントペースト
B 配合
0
1:0.4
11
67.1
85.4
配合名
F/(C+F)
(%)
W/(C+F)
(%)
(C+F):S
σ28
(N/mm2)
σ91
(N/mm2)
モルタル
30
55
1:2.5
30.2
43.8
(8)供試体作成
CSGの混合および性状試験完了後に大型供試体(φ500×h400)の作成をおこなった。CS
Gの締固めには人為的なバラツキの低減を目的に大型供試体締固め装置を用いた。なお締固め
時間は、予備試験により締固め時間と供試体密度の関係を検討し決定した。
- 162 -
3週間の封緘養生後、大型供試体よりコア削孔を実施し、せん断試験用コア(φ200×h200)、
圧縮強度試験用コア(φ150×h300)にカッター切断により整形した。
(9)圧縮強度試験
材齢 28 日の供試体について圧縮強度試験を「コンクリートの圧縮強度試験方法」(JIS A 1108)
に準じて実施した。測定にあたっては全体変位計でひずみの測定を実施し、弾性領域強度とピ
ーク強度、静弾性係数についての評価を実施した。弾性領域強度および静弾性係数の算出方法
は、技術資料に遵守し、応力−ひずみの関係より求めている。
(10)せん断強度試験
CSGのせん断試験として、材齢 28 日に一面せん断試験を実施した。この試験は試験用治具
を圧縮試験機に取り付けてせん断照査面(ケース 1∼3 は打継処理面)に垂直力とせん断力を同
時に戴荷する試験方法である。せん断角度( θ )は、せん断治具の上下のスペーサを取り替える
ことによって変化させ、本試験では 25°、30°、35°の 3 ケースとした。破壊時にせん断照査
面に作用しているせん断応力 τ と垂直応力 σ は式 7.1 および式 7.2 によって算出し、この値よ
り Mohr-Coulomb のせん断破壊規準線( τ = τ 0 + fσ :図 7.5)を特定する。
σ=
P
sin θ
A
(N/mm2)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
式 7.1
τ=
P
cosθ
A
(N/mm2)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
式 7.2
ここで、 P :破壊荷重(N)
A :せん断照査部面積(mm2)
θ :せん断角度
せん断応力(τ)
θ=25°
θ=30°
θ=35°
τ0
τ=τ0+fσ
τ=σ・cotθ
垂直応力(σ)
図 7.5
せん断破壊基準線(Ⅷ)
- 163 -
(11)試験結果
1)打継部外観評価結果
結果をもとに集計した測定位置とペースト厚さの関係を図 7.6 に、またペースト厚さと計測
数の関係を図 7.7 に示す。
測定位置A付近は大型供試体の型枠際に位置するので、枠伝いにペースト分の上昇が懸念さ
れていたが各ケースともさほど顕著な偏りは見られなかった。
ペースト厚さ別の計測数についてはケース 2-1、2-2 にばらつきがみられ、塗布厚さは 10mm
であるが 25mm 以上の計測結果も見られる。原因としては、セメントペーストを主に構成する粒
子が細かい為細部に行きわたりやすく、転圧によるエネルギーでペースト分が上昇しやすいこ
とが考えられる。写真 7.1 に示すようにセメントペーストがCSGの骨材周囲によくまわり込
む特徴が顕著に見られた。
これに対し、モルタル処理については平均厚さ t=13.2mm を中心にばらつきのない分布の形状
を示している。打継部の外部観察からは写真 7.2 のようにモルタル分は転圧によるエネルギー
20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
ケース2-1【セメントペースト処理:t=10㎜:A配合】
ケース2-2【セメントペースト処理:t=10㎜:B配合】
ケース3【モルタル処理:t=15㎜】
25
20
15
10
5
0
A
図 7.6
30
ケース2-1【セメントペースト処理:t=10㎜:A配合】
ケース2-2【セメントペースト処理:t=10㎜:B配合】
ケース3【モルタル処理:t=15㎜】
計測数(箇所)
厚さ(mm)
を加えてもさほど上昇はなく、ある程度の厚さを維持し上、下層のCSGによく密着している。
B
C
D E
測定位置
F
G
0∼ 2.5
H
5∼ 7.5
10∼ 12.5
15∼ 17.5
22.5∼
20
27.5∼
25
32.5∼
30
厚さ(㎜)
ペースト厚さと測定位置(Ⅷ)
図 7.7
写真 7.1 打継処理部(ケース 2-2)(Ⅷ)
- 164 -
ペースト厚さと計測数(Ⅷ)
写真 7.2 打継処理部(ケース 3)(Ⅷ)
2)圧縮強度試験結果
各ケースにおける一軸圧縮強度試験結果を表 7.8 に示す。材齢 28 日での試験結果である。ケ
ース 1(未処理)については圧縮強度試験における全体ひずみ測定について、安定した計測が出
来なかった為検討の対象からは除外した。
表 7.8
ケース
NO
1
2-1
2-2
3
4
圧縮強度試験結果(Ⅷ)
名称
未処理
セメントペースト
A 配合
セメントペースト
B 配合
モルタル
一般部
ピーク強度
(N/mm2)
3.13(0.108)
圧縮強度試験
弾性領域
静弾性
強度(N/mm2) 係数(N/mm2)
***
***
3.22(0.094)
1.93
943
3.55(0.043)
2.10
1165
3.46(0.089)
3.85(0.031)
2.11
2.35
1070
1278
※(
)値は変動係数
弾性領域強度とピーク強度との関係、静弾性係数との関係について図 7.8、図 7.9 に示す。
各ケースの平均値についてピーク強度は 3N/mm2 以上の値を示し、弾性領域強度については
2N/mm2 前後の値となっている。
打継目の再現は、コア供試体の長さ方向に直角になるように十分に配慮したので、軸方向応
力に対する影響は少ないと考えられるが、ケース 4 の強度値に対し他ケースについてはわずか
ながら減少がみられた。また、CSGの強度試験なので、ばらつきについての評価は難しいが、
変動係数にも打継処理による影響がみられた。ケース別の結果の評価については、ケース 4 と
比較した場合、強度値の低下やばらつきの程度は打継処理材自体の強度特性が高いケースほど
値は小さい。しかし、ケース 2-1、3 についてはセメントの一部をフライアッシュで置換した打
継処理材を使用しているので、長期材齢での評価とした場合強度特性の改善やばらつきの解消
が期待できる。
3.0
1.6
1.4
静弾性係数(kN/㎜ )
2
2
弾性領域強度(N/㎜ )
2.5
2.0
y=0.6034x
1.5
1.0
ケース2-1【セメントペースト処理:t=10㎜:A配合】
ケース2-2【セメントペースト処理:t=10㎜:B配合】
ケース3【モルタル処理:t=15㎜】
ケース4【一般部】
0.5
0.0
0.0
図 7.8
1.0
2.0
3.0
ピーク強度(N/㎜2)
1.2
1.0
y=0.5225x
0.8
0.6
0.4
ケース2-1【セメントペースト処理:t=10㎜:A配合】
ケース2-2【セメントペースト処理:t=10㎜:B配合】
ケース3【モルタル処理:t=15㎜】
ケース4【一般部】
0.2
0.0
0.0
4.0
ピーク強度と弾性領域強度(Ⅷ)
図 7.9
- 165 -
0.5
1.0 1.5
2.0
2.5
2
弾性領域強度(N/㎜ )
3.0
静弾性係数と弾性領域強度(Ⅷ)
3)せん断強度試験結果
a) せん断試験結果
各ケースにおけるせん断強度 τ 0 と内部摩擦係数 f について表 7.9 に示す。
表 7.9
ケース
NO
せん断強度 τ 0 と内部摩擦係数 f (Ⅷ)
せん断
名称
内部摩擦
係数 f
決定係数
(R2)
0.09
1.129
0.80
強度 τ 0
内容
σ28
(N/mm2)
σ91
(N/mm2)
0.951
***
***
0.854
0.820
18.4
29.6
0.73
1.016
0.868
67.1
85.4
(N/mm2)
打継材なし
打継材圧縮強度※
1
未処理
2-1
セメントペースト
A 配合
2-2
セメントペースト
B 配合
3
モルタル
モルタル塗布
t=15mm
0.63
1.018
0.945
30.2
43.8
4
一般部
打継面を有しない
箇所での試験
0.75
1.021
0.971
***
***
セメントペースト
塗布
F50%置換 t=10mm
セメントペースト
塗布
F なし t=10mm
b) 一般部(ケース 4)におけるせん断強度
3.5
得られたせん断破壊規準線と、圧縮強度試験にお
3.0
けるピーク強度より得られた Mohr 円との関係を
図 7.10 に示す。せん断破壊規準線は僅かに Mohr
円より下回ったが包絡線として評価できる位置で
ある。このことは、供試体の破壊が Mohr-Coulomb
のせん断破壊規準説で説明できることも意味する。
c) 打継目におけるせん断強度
打継処理材を使用したケースでは顕著なせん断
2
せん断応力度:τ(N/㎜ )
ケース 4(一般部)における一面せん断試験より
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0
強度の低下はみられず、ケース 4(一般部)と同様
圧縮応力度:σ(N/㎜2)
図 7.10
な特性と判断できた。
τ =1.02 σ
+0 75
せん断角度35°
せん断角度30°
せん断角度25°
圧縮応力度(ピーク)
せん断試験結果(ケース 4)(Ⅷ)
・ケース 1(未処理)
τ 0 =0.09N/mm2 と非常に小さな値となった。
・ケース 2-1(セメントペーストA配合)
決定係数が R2=0.82 となり、試験結果に他のケースと比較して一番ばらつきが見られた。原
因としては、せん断試験時における材齢 28 日での打継処理材の強度特性が影響したことが考え
られる。
・ケース 2-2(セメントペーストB配合)
ケース 4(一般部)にもっとも近似したせん断破壊規準線を得る試験結果となった。セメント
ペーストについてケース 2-1 の試験結果と合わせて判断すると、今回採用した2配合の効果は
- 166 -
打継目のせん断強度特性に対しては有効だったと判断できる。
・ケース 3(モルタル)
ケース 4(一般部)と比較して、せん断強度に顕著な変化は見られなかった。CSGにはブリ
ージングがほとんどないのでレイタンス処理が必要ない。このことを合わせて考慮し、ケース
3 で設定した打継目処理に問題はないことがわかった。
(12)まとめ
本検討はCSG工法について打継部のせん断強度特性に主に着目し、打継処理ごとの供試体
について圧縮強度試験、一面せん断試験を実施した。供試体の作成方法は、上層、下層の2層
に分けたCSGの大型供試体を打設する事で打継目を再現し、そこからコア供試体を採取する
方法とした。一連の試験結果より、セメントペーストやモルタルを打継材として使用した場合
の効果を検討している。結論をまとめると以下のとおりである。
(1) セメントペースト処理についてはA・B配合とも骨材の周囲によく回りこみ上層、下層によ
く密着していた。また、モルタル処理については塗布時の厚さを転圧後もある程度維持し
上、下層によく密着している。
(2) 比較の基本としたケース 4(一般部)のせん断破壊規準線は、圧縮強度試験におけるピーク
強度による Mohr 円を僅かに下回るが包絡線として評価できる位置になった。したがって、
CSG供試体の破壊が Mohr-Coulomb のせん断破壊規準説で説明できることがわかった。
(3) 打継処理をした供試体はすべて打継目で破壊している。したがって、打継目のせん断強度
特性の比較方法として、今回採用した試験方法は妥当であったと判断される。
(4) J14 漏斗での流動性試験結果で 10 秒程度のセメントペーストであれば、打継材として使用
してもCSGへの充填性が確認され強度的に弱点とならない事が解った。ただし、フライ
アッシュ置換率などの配合特性は、セメントペースト自体の圧縮強度特性にも留意し決定
することが必要である。
CSGの場合、打継目の処理(グリーンカットや清掃)を実施しなくてもモルタルやセメント
ペーストなどの打継材を使用すれば、せん断強度は顕著に変化しない事が確認できた。原因と
してCSGにレイタンスの発生が少ないことや、CSG自体のせん断強度特性が低いことが考
えられる。このことは台形CSGダムの「施工の合理化」に貢献している点と判断される。
室内試験においては、今回想定した打継材を使用した処理方法はいずれもその効果が確認で
き、良好な試験結果になったと考えている。しかし、今回の検討に加えて、止水性に関する問
題や現場施工での確認なども必要と思われる。また、CSG自体の強度特性を考えれば、今回
の検討とは逆に打継材を使用しない場合についても検討の余地はあると思う。いずれにせよ、
台形CSGダムの利点である「施工の合理化」を最大限に活かすために、様々な角度からの検
討が必要ではないかと考えた。
- 167 -
ダウンロード

7.CSGにおける水平打継目処理