間接金融の復権と貯蓄から投資へ
09/05/29
間接金融から直接金融へ
これまでのメインバンクを中心とする日本の金融シス
テムは情報の非対称性に起因するエージェンシーコ
ストを軽減し、効率的な資源配分を実現してきた。
・銀行は大量の不良債権を抱え込み、
間接金融が機能不全に陥った。
・社債発行が完全に自由化された。
そして大企業は社債・CP発行などの市場を通した資
金調達へシフトしていった。
資本市場の機能不全で再び間接金融へ
しかし、リーマンの破綻をきっかけにこの流れは一変した。
その結果CP・社債の発行高は08年10月に大きく落ち込んだ。
機関投資家が信用リスクを警戒して社債・CPの購入から手
を引いた。その結果社債・CPの国債利回りに対する上乗せ
幅(スプレッド)が08年10月ごろから急上昇し、一部の高格付
け債以外は起債しにくい状況が続いた。
このことからも社債市場が厳しい状況であることがわかる。
資本市場の機能不全で再び間接金融へ
しかし、リーマンの破綻をきっかけにこの流れは一変した。
社債・CP市場の混乱で手元流動性危機に陥り、大企業は銀
その結果CP・社債の発行高は08年10月に大きく落ち込んだ。
機関投資家が信用リスクを警戒して社債・CPの購入から手
行からの借入を急速に拡大させた。
を引いた。その結果社債・CPの国債利回りに対する上乗せ
銀行の大企業向け貸出と前年同期比伸 び率 の推移
幅(スプレッド)が08年10月ごろから急上昇し、一部の高格付
社債・CPの落ち込みと銀行借入の拡大が同時に起こっているこ
125
18.0%
け債以外は起債しにくい状況が続いた。
とから
16.0%
120
大企業は直接金融から間接金融へ回帰しているこ
14.0%
115
12.0%
110
とがわかる。
10.0%
8.0%
105
6.0%
100
4.0%
95
2.0%
0.0%
90
-2.0%
85
-4.0%
このことからも社債市場が厳しい状況であることがわかる。
06/03
06/09
07/03
07/09
08/03
08/09
09/03
貯蓄から投資へ
株価変動等で生じる評価損益による増減分を取り除くと、リスク
しかし投資信託に限れば、評価損益を除いた純粋な取引(売買)
この方針が打ち出された01年以降、家計が保有するリスク性
「貯蓄から投資へ」とは、銀行に集中した資金仲介のリスクを家
性金融資産残高の増加(7年で28兆円)も、金融資産全体に占
ベースでみても、残高は01年:30.4
兆円→08 年:65.9 兆円、
資産は概ね増加傾向(7年で62兆円)であり、金融資産全体に
計部門等の社会全体に分散させるために、貯蓄された家計金
める比率の伸び(7年で1.5%)もわずかであることがわかる。
金融資産に占める比率は同2.2%→4.6%と一貫して伸び続けて
占める比率も上昇基調(7年で6.2%)であるようにみえるが・・・
融資産を投資へとシフトさせるという国の方針である。
いる。
家計金融資産が貯蓄から投資へと大きくシフ
投信残高と金融資産に占める比率(評価損益除き)
リスク資産残高と金融資産に占める比率
(%)
リスク資産残高と金融資産に占める比率(評価損益除き)
トしたとはいえないが、投資信託にはある程
(兆円)
「貯蓄から投資へ」推進策一覧
(兆円)
24
300
(%)
(%)
(兆円)
269.2
4.6
100200
5
24
4.4 内容
253.8
実施年月
施策
度の資金が流入した。
250
3.8
19
80
146.6
200.8 148.1 419
株式・投信の売買益・配当金・分配金に
136.1
150
182
03年
証券投資優遇税制の開始
3.1
129.6 17.4
200
176
120 121.3 120.2 124.8
対するか税率を20%→10%に。
16.7
14
156.3 2.5
60
314
2.3
2.3
120
2.2
150
13.5
100
04年4月 証券仲介業制度の開始
証券会社以外にも証券売買取次ぎ業を解禁。
104.8
12.4
12.3
11.1
40
299
10.3
9.6
10.2
100
8.8
8.8
9.2
9銀行破綻の際の保証額を1000万円
8.8
8.7
50
7.7
05年4月 ペイオフ全面解禁
までに(02年までは全額保証されていた)。
53.2 63.8 65.9
20 50
144
30.4 31.1 31.5 34.7 43.3
市場機能の確保等を図ることを目指し、
-1
0
0 0
0-1
07年9月 金融商品取引法の施行
証券取引法を拡大したもの。
08/9
07
06
05
04
03
02
01
0101 0202 0303 0404 0505 0606
07
08/9
07 08/9
家計金融資産に占めるリスク資産比
率
家計金融資産に占めるリスク資産比
リスク資産残高
投信残高
家計金融資産に占める投信比 率 率
投資から貯蓄へ
しかし今回の金融危機以降では、ある程度進捗した「貯蓄
またほぼ同時期から定期預金を中心として預金への資金
01年以降プラスを続けた投資信託の資金流入額(設定額
から投資へ」の流れとは逆の動きが見られる。
流入が回復し、家計金融資産に占める現預金の比率も
-解約・償還額)は、サブプライムローン問題による株価下
急上昇を続けている。
落や市場の混乱が起こり始めた07年秋ごろから、マイナス
サブプライムローン問題以降、「貯蓄から投資へ」とは
に転じた。
逆に「投資から貯蓄へ」が進んだといえる。
(億円)
40000
公募投信への資金純流入額
35000
30000
25000
20000
15000
10000
5000
0
-5000 07/01 04
-10000
07
10 08/01 04
07
10 09/01 04
論点
社債保険機構を創設してはどうか?
反省
社債保険機構の保険料率については再考の余
地があると感じた。また、金融危機下である現在
と、平時では社債の利回りが同じではないので、
現況で創設・運営が可能であっても、平時のとき
に同じようにうまくいくかわからないというのは勉
強になった。
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