事業概要書
事業名
気仙沼市唐桑町大沢地区における復興まちづくり事業
事業カテゴリー
復興まちづくり/再生可能エネルギー
開始日
2013 年 5 月 1 日
団体名
大沢地区防災集団移転促進事業期成同盟会
(カウンターパート)
気仙沼みらい計画大沢チーム、大沢自治会、大沢小舟組合
スタッフ人数
終了日
2014 年 3 月 31 日
日数
335 日
約 30 人
CF 事業枠
5,000,000 円
気仙沼市唐桑町大沢地区における集団移転事業において、住宅の再建のみならず、集
団移転後の具体的なまちづくりの議論や浸水域の土地利用等の課題に関して議論を進
め、内外の協働による集団移転事業の先進モデルを呈示することを目的とする。具体的
事業目的
には、集団移転等の各種事業が着工する現段階において、住民・行政に続く第三の立場
の専門家による助言とファシリテート、計画検討の素材提供を行い、住民が主体的に行
うまちづくりの取り組みを後押しする。この活動内容を HP 等で発信し、事業への賛同
者、応援者を増やして、事業終了後も持続的に運営できる体制づくりを行う。
●気仙沼市唐桑町大沢地区とは
大沢地区は気仙沼市のほぼ最北に位置する集落で、東日本大震災により全 186 軒のう
ち、144 世帯が津波により被災・流出、40 名が亡くなるなど壊滅的な被害を受けた。
コミュニティ再生への意識や住民間の結束は被災当初より高く、避難所生活の続く
2011 年 6 月には、熊谷光広氏を中心として大沢地区防災集団移転促進事業期成同盟会
事業全体の概要
(以下、期成同盟会)1を立ち上げ、以来、気仙沼みらい計画大沢チームと密に連携し
ながら集団移転に取り組んできた。2012 年 5 月に気仙沼市の先陣を切って、防災集団
移転促進事業で 52 戸、災害公営住宅事業で約 30 戸の全 80 数戸での集団移転の大臣合
意を得た。現在は、平成 27 年 9 月の「みんなで大沢に帰還」を目指し、集団移転後の
持続可能なコミュニティ形成や浸水域の跡地利用など、より「包括的なまちづくり」2の
ために地域住民を挙げての議論が進められている。
大沢地区防災集団移転促進事業期成同盟会:震災直後の 2011 年 4 月に準備委員会を立ち上げ、同年 6 月に正式に活動
を開始。大沢地区全戸を対象とした住民アンケートを実施し、9 割を超える家庭から「これからも大沢で暮らしたい」と
いう回答を得たことから、以来、大沢地区の集団移転事業を気仙沼みらい計画大沢チームと共に住民主導で進めてきた。
2013 年 4 月現在、事務局は、21 名体制で 30 代から 60 代まで幅広い世代で運営されている。今年度より Civic Force か
らも 1 名、事務局に加わる。
2 「包括的な復興まちづくり」
:大沢地区復興まちづくり事業では、地域住民の合意形成を図るために 5 つのコンセプト
(①大沢らしい風景づくり、②災害に強いまちづくり、③地域コミュニティの再生、④未来の雇用をつくるまちづくり、
⑤環境にやさしいまちづくり)を定めた。これは、大沢みらい集会(防災集団移転・災害公営住宅等主に移転先を対象と
する)
、大沢まちづくり会議(漁業集落等防災機能強化事業等主に浸水した移転元の跡地利用など地区全体の復興まちづ
くりを対象とする)に共通するコンセプトであり、この移転先・移転元を含めた地区全体のまちづくりを「包括的」と称
する。
1
●気仙沼みらい計画大沢チームとは
気仙沼に縁のある建築・都市計画専攻の大学研究室(横浜市立大学・鈴木研究室、神
戸大学・槻橋研究室、東北芸術工科大学有志・竹内研究室等)の指導教官及び大学生に
よって構成される任意団体で、ワークショップの企画・運営・とりまとめ、専門家によ
る助言などを担う。これまで、過去の街並みを再現する模型作り、未来へ残すべきまち
の記憶を語り合う「
『記憶の街』ワークショップ」を契機として、大沢地区にて 15 回の
「大沢みらい集会」
(防災集団移転及び災害公営住宅等、集団移転先のまちづくり対象)、
4 回の「大沢まちづくり会議」(浸水区域等の跡地利用を含めた地区全体のまちづくり
対象)を実施してきた(2013 年 3 月末時点)。また、地区住民の意見を最大限反映させ
るため、期成同盟会から会長と事務局長に相談役として加わってもらうなど、地区住民
との緊密且つローカルルールを十分に尊重したコミュニケーションが可能となるよう
配慮している。
●これまでの成果と今後取り組むべき課題
宮城県気仙沼市では、東日本大震災の津波被害を受け沿岸部の 1380 ㌶(全市域の約
4%)が災害危険区域に指定された(2012 年 7 月)
。同区域では住宅の建築が制限され
るため、被災した住民達は防災集団移転促進事業等の制度を通じて、新たな移転先を探
すことを余儀なくされた。同市では 2012 年 11 月時点で、民間主導型で 35 地区、市誘
導型で 5 地区の計 1,045 世帯が大臣同意3を得た防災集団移転計画として今年中の造成
着手を予定しており、集団移転の実現に向け具体的なスタートを切った。
現在、同市において進行中の集団移転事業は、①民間(住民)主導型、②行政誘導型、
③官民連携型の三種に大別が可能である。この中で、大沢地区の集団移転と復興まちづ
くりは、①民間(住民)主導型の先進的な事例に当たる。住民主導型集団移転では、地
区にリーダシップをとれる地元主体があり、且つ集団移転の合意形成やその後の住民の
意向が行政の計画に実際に取り入れられるように専門家がアドバイザーとして入るこ
とが重要で、大沢地区においては、気仙沼みらい計画大沢チームの専門家が複雑な諸制
度を噛み砕いて説明しつつ都市計画や建築の専門的見地から助言を行うことで住民の
声を事業計画に反映していく上で不可欠な役割を果たしている。これにより、住民と行
政だけでは二者対立構造となってしまう怖れもある集団移転事業において、適切な距離
を保ちながら間に入ることで二者対立関係を避けることを可能としてきた。また、学生
達が住民と専門家の間の潤滑油的存在として、住民の率直な意見や地区の歴史を聞き出
し将来のまちづくりに活かすなどの役割において大きな貢献を果たしているのも本事
業の特長である4。
大臣同意:防災集団移転促進事業は、復興交付金の基幹 40 事業の一つで、ほぼ 100%が国の予算。したがって、その
着工のためには、国の承認を得るというプロセスが必要となる。大沢地区の防災集団移転は、国・県・市による第 1 回
の復興協議会にかけられ、2012 年 5 月に国土交通省から事業着手への同意を得た。
4 2012 年度に卒業する学生達のために、3 月 16 日に大沢地区住民有志の手作りの卒業式が行われた。これまで培ってき
た大沢地区と学生の間の結束力や信頼関係が伝わる真心のこもった卒業式だった。詳細は、添付の三陸新報記事を参照。
3
図 1:住民主導型集団移転事業体制
一方で、
造成の完了は早くとも 2015 年となる見込みで住宅建設はその後となるなど、
コミュニティ再建にはまだまだ長い時間がかかることが予想され、その間のコミュニテ
ィのまとまりをいかに維持していくか等、まだまだ課題は山積である。例えば、防災集
団移転が決定した地区では、浸水区域の跡地利用は生活基盤再整備のために不可欠な次
のステップとなっているが、市中心部は産業用地として比較的活用しやすい一方、大沢
地区のような郊外集落の跡地利用は未定であるケースが多いという課題がある。この郊
外集落での跡地利用のためには、漁業集落防災機能強化事業等の制度が存在するものの
異なる諸制度を複合的に運用したり、補助事業用件を効果的に満たしたりするために行
政側と折衝することは、地元住民のみならず外部専門家やコンサルタントにとっても非
常に時間と負担のかかる作業となっている5。
大沢地区でも今後、事業の進捗に応じて新たな、時に予期せぬ課題に柔軟且つ独創的
なアプローチで取り組んでいく必要があることが予想されるため、防災集団移転を主題
とした「大沢みらい集会」に加え、大沢地区全体の将来を話し合う「大沢まちづくり会
議」の開催も始まり、当初の期成同盟会と気仙沼みらい計画大沢チームに加え、大沢自
治会6・小舟組合7等広く住民の参画を通じ、全住民を巻き込んだ復興まちづくりの機運
醸成を試みていく。その上で、人口流出や高齢化の進む地方において、復興のその先を
見据えたまちづくりのモデルを提示することを目指す。
●パートナー協働プログラム対象事業
①集団移転及び住宅再建に向けたワークショップ(大沢みらい集会・毎月 1 回、大沢ま
ちづくり会議・年 3 回ほどを想定)
大沢みらい集会では、1)抽象的なテーマでフリーディスカッション、2)その議論
5
防災集団移転促進事業と漁業集落防災機能強化事業では担当課が異なり、担当課間での調整や連携がとれていないため、
両事業を効果的に活用していくことが非常に困難な状況であるという。復興交付金の基幹 40 事業にあてはまらない分野
であることや現状の防潮堤・河川堤防計画では広範囲でくぼ地が生じてしまうことなど、跡地利用は現在の復興まちづく
りの喫緊の課題の一つであると言える。
6 大沢自治会:震災以前からの大沢地区のまちづくりを進める自治組織であり、大沢地区全体の復興まちづくりを検討す
る第 2 期からカウンターパートとなった。
7 大沢小舟共同組合(以下、小舟組合)
:大沢地区は浜が一つであったために、集落内で派閥が出来る要素が少なかった。
この大沢漁港に関わる人々の有志組織であり、6 月中旬から検討の始まった漁業集落防災機能強化事業においては関係者
からのヒアリング・アンケートが不可欠。
を基にした提案の作成・意見の聞き取り、3)2)の意見を基に修正を行った提案の作
成(ジオラマ模型によるまちなみモデルの呈示など)
、合意形成の3ステップで住民の
意見をまとめていく。集団移転造成竣工後すぐに全戸着工、2015 年 9 月の住宅再建と
皆での大沢への帰還を実現するに当たって、まちづくり協定の策定、集会所・公園の設
計に向けた議論を行う。
大沢まちづくり会議では、浸水域土地利用方針を含めた包括的な集落づくりの検討を
行う。大沢地区は旧唐桑町では最大の浸水域を持ち、複数の公共事業が検討されている。
この浸水域の土地利用・複数の公共事業について、気仙沼みらい計画大沢チームの強み
であるワークショップでの合意形成手法や大沢地区住民組織とのネットワーク、集団移
転などの他事業との調整力、これまで積み重ねきた大沢地区の将来についての住民との
議論を活かしながら、提案・議論を実施する。現時点で協議内容として想定されるもの
として、浸水域の土地利用方針、防潮堤・堤防・国道の嵩上げ、三陸道パーキングエリ
ア・道の駅、老人憩いの家の再建(大沢地区全体の集会所)が挙げられる。これらの議
論については行政側の事業進捗に合わせ議論を進めていくため、まちづくり会議は適宜
開催するものとする。
②集団発注・共同購入のための住宅相談会実施(月 1〜2 回個別相談会を開催)
住宅相談会では、集団購入の検討 8や組合の結成、住宅基本計画の決定、住宅基本設
計の開始までを視野に入れる。集団発注、共同購入方式により、品質を維持したままコ
ストを削減することを目指す。共同購入の組合を結成し、街並に調和を保ちながら、そ
れぞれの要望にも応えられるような設計のための相談会を実施する。その他、宮城県岩
沼市のモデルハウス視察等も予定。また、住民達が住居のイメージをしやすいように、
モデル住宅のミニチュア模型を作成する。
③住まいと仕事を両立する環境にやさしいまちづくり実現のためのパイロット事業
前事業(パートナー協働事業・第 4 期)において、包括的な復興まちづくりの 5 つの
コンセプトの一つ、
「環境にやさしいまちづくり」の具体的な実現に向けて調査の実施
を開始した。具体的には、大沢地区の集団移転後の想定エネルギー需要や自然エネルギ
ーの供給ポテンシャルと理想的な組み合わせの基礎データの収集と大沢みらい集会及
びまちづくり会議の発表・提案を行った。
今次事業においては、この基礎調査を元にして、実際に太陽光や木質バイオマス熱エ
ネルギーを利用したエコハウス(2013 年 5 月末完工予定。別途、建設資金取得済み)
を大沢地区の誰もが気軽に集えるコミュニティスペースとして活用しながら、新たに住
居を建設する際の参考となるような自然エネルギー体験施設としての管理・運営を行
う。また、この管理・運営で得られるノウハウも活かしながら、将来的に社会・経済・
環境的に持続可能な地域づくりのために住民の雇用や地域づくり活動の受け皿となる
ような組織設立のフィージビリティ調査(例:株式会社や非営利型一般社団法人等、適
切な組織形態の検討や合意形成など)と運営体制構築(ハード部分の所有とそこで行わ
8
共同購入:建築資材を一括購入するなど集団で資材購入やマネジメントを行うことで、建築コストを下げる手法
れる事業のソフト部分の役割分担の検討や合意形成など)も併せて実施する。
(※エコハウスは、東北芸術工科大学の所有とし、税金の支払いや撤去の際に地域住民
に負担が掛からないものとする。エコハウスで行われる地域づくり活動(カタクチイワ
シの 6 次産業化の試みなど)等の運営を住民主体の新組織が行う予定)。
また、上記の 3 コンポーネント及びこれまでの取り組みを外部へと発信するため、ホー
ムページも制作する。こちらのホームページは定期的に更新しながら、集団移転や復興
まちづくりが地元主体と外部専門家団体が共に議論を交わしながら創り上げていくも
のであることが分かるものとする。その上で、学術的な裏付けや制度の解説などについ
ても具体的に(行政から提供される資料は開示に制限があるため、その範囲内で可能な
限り)
、大沢地区の復興まちづくりの試行錯誤のプロセスとして発信しながら、他地区
とも情報交換できるよう努める。
●期待される効果
主体性と求心力を備えた地元有志(期成同盟会など)、高度な専門知識を持つ専門家
と地域住民との融和に長けたマンパワーを備える外部支援団体(気仙沼みらい計画大沢
チーム)
、内外の協働を実現しながら進める集団移転・復興まちづくり事業として、復
興に留まらず、人口減や高齢化の進む日本の地方におけるまちづくりの先進事例となる
ことが期待される。具体的には、以下の通り。
① 気仙沼みらい計画大沢チームは、住民の意見や動きを最大限尊重しながらまちづく
りを進めている一方、外部支援組織として何年後かに支援が終わるときが来ること
が予測される。そのため、その後も住民が主体となり地区づくりを進めていく機運
を作る。
② 現在、大沢地区では防災集団移転促進事業や災害公営住宅整備事業、また漁業集落
等防災機能強化事業など、担当課間で必ずしも調整が充分ではない複数の事業が行
われており、続々と新たな事業が住民に説明され、住民側も困惑している部分があ
る。これらの複数の事業間での調整を当団体が行うことで、住民の意見それぞれの
事業に対する意見を整理しながら各関係機関に要望を投げかけることが可能とな
る。また、外部専門家が取りまとめを行うことにより、それぞれの事業メニューを
最大限活用し総合的な地区づくりが実施できる。同時にこれらの事業の調整におい
ては専門家のノウハウや人的ネットワークを用いることで、住民だけでは調整を行
えない部分についても調整を行うことができる。
③ これまで集団移転に向けた住民の活動や大沢みらい集会への住民の参加人数を見
ても、非常に住民のまちづくりに対する意識が高い地区であるといえる。ここから
は住民の機運を最大限バックアップし、付加価値のある集団移転を目的にまちづく
りを行う。そして、魅力ある復興まちづくりを実現し、東日本大震災復興まちづく
りのモデルケースとなる。
④ 本事業の実施を通して、気仙沼みらい計画大沢チームと住民組織が、集団移転と復
興まちづくり事業を継続的に運営・実施できる体制を築くことが可能となる。具体
的には、助成金や出資・融資の呼び込みの母体として機能することが期待される。
事業内容(事業種別(コンポーネント)ごと)
裨益者(誰が、何人)
①集団移転及び住宅再建に向けたワークショップ(大沢みらい集会・毎月 1 回) 大沢地区住民 300 名
・街並みルールの提案:区画道路や緑道、照明や植栽・生垣など調和のとれた移
転先集落形成のための議論のためのファシリテーション
・まちづくり計画の提案書/約束事の集約と提示:ジオラマ模型の作成による住
民意見の視覚化や立体化による街並イメージの提示
・まちづくり協定の策定:まちづくり協定の文書としてのとりまとめ
②集団発注・共同購入のための住宅相談会実施(月 1〜2 回個別相談会を開催)
集 団 移 転 対 象 の 80
・ 集団購入の検討9や組合の結成
戸・100 名
・ 住宅基本計画の決定
・ 住宅基本設計の開始集団発注
・ 宮城県岩沼市のモデルハウス視察
③住まいと仕事を両立する環境にやさしいまちづくり実現のためのパイロット
大沢地区住民 300 名
事業
・ 太陽光や木質バイオマス熱エネルギーを利用したエコハウスのコミュニテ
ィスペースとしての管理・運営
・ 将来的に住民の雇用や地域づくり活動の受け皿となるような組織のフィー
ジビリティ調査:太陽光パネル設置の屋根貸し事業やカタクチイワシの 6 次
産業化など通じた大沢まちづくり会社(仮)設立に向けた体制作り
9
共同購入:建築資材を一括購入するなど集団で資材購入やマネジメントを行うことで、建築コストを下げる手法
添付資料
ダウンロード

事業概要書 - Civic Force