どうなる東海大地震
東海地方の異変─その後
日本の半分を襲う複合巨大地震
超広域災害に備えろ
3年 遠藤美穂
東海地震
東海・東南海・南海を震源域とする地震は同時
発生するか、連動して起きることが多い。
東海地震は単独では起こらない。
1994年の東南海地震では浜名湖から東は地
震を免れ「空白域」として残り、陸側プレートに
歪みが解放されずに残っているので大地震が
起きるのではと考えられた。
今世紀前半には、駿河・南海トラフを震源とす
るM8級の巨大地震が起こる
東海地方の3つの異変
1. 浜名湖直下のプレート境界でゆっくりとした
滑り(スロースリップ)の発生
2. 東海地震が起こると想定される震源域での
活動の低下(静穏化)
3. 静岡県御前崎の沈み込みの停滞
この3つの異変から東海地震の発生時期を
予測した結果が同じ時期を示したため、早
期発生の可能性が指摘された。
1.スロースリップ
浜名湖周辺でのGPS観測で1年以上続いてい
ることなどを示し、2002年から2004年にスリッ
プの発散が起きるのではないかと考えられた。
前回の東南海地震では、1日ほど前に静岡県
掛川市付近で大きなスロースリップが起きたと
も言われており、これが前兆現象なのではと疑
われた。
浜名湖直下のスロースリップ
GPS観測網により、それ以前はくっついていた浜
名湖直下を中心にしたプレート境界が、2000年
の秋から2001年にかけて突然滑り始めたことが
わかった。
このスリップは他では見られない規模で長期間
にわたって続いた。
これによって東海地震の誘発が危惧された。
しかし実際に
は、2005年後
半から勢いを
弱め、2006年
にはほぼ終結
したと判断さ
れている。
この間の滑り量は30cmを超えた。
また、スリップ全体を1個の地震として換算した
場合、エネルギーの解放量はMw7.2近くにまで
達した。
M8と想定される東海地震の歪みエネルギーの
うち、M7.2相当分が解消されたと見る向きもあ
る。
しかし、シミュレーションのやり方によっては東
海地震の発生を早めることもあれば、遅らせる
こともあるという。
愛知県東部下のスロースリップ
2004年12月に、愛知県東部の地下30kmほど
の深さで、数時間で終結し、1~2cm程度の微
量なスリップが発見。
その後、愛知県東部下でスリップはほぼ半年お
きに起きていたということが判明。それは短期
スリップと呼ばれる。
過去にも浜名湖直下ではスロースリップが数年
かけて発生しており、それは長期的スリップと
呼ばれる。
前者のスケールはM6程度。後者のスケールは
M7相当。
2.静穏化
静穏化では海と陸のプレートが境界部分でしっ
かりと結合している地域(固着域)の中で、特に
強く固着している部分「アスペリティ(突起部、
凹凸の意味)」大きさから、東海地震の発生時
期を2004年から2006年と予測した。
しかし、静穏化が存在するか否かは議論が分
かれた。
アスペリティとは
地震時に大きく滑る部分、
あるいは地震前に強く固着
している部分を指す。
アスペリティは固着域の不
均質性作り出し、地震時の
全面滑りに先行するゆっく
りとした滑りを生み出す。
つまり、アスペリティこそが
前兆現象を生み出す種で
ある。
東海地震のアスペリティはどこに
カギは静穏化にある。
1990年代の後半、浜名湖下のスロースリップ
に先立って想定震源域内で普段から起きて
いる微小地震の活動が静穏化に転じた。
静穏化はプレート境界
をはさんだ上下盤でほ
ぼ同時期に出現。
震源域全体で活動が低下したわけではなく、逆
に活性化したエリアも一部出現。
浜名湖下のスロースリップによって応力が
しわ寄せされた結果…?
スロースリップとアスペリティの配置
3.御前崎の沈降
御前崎の沈降は、大地震に至る最終段階では
沈降ペースが鈍化して隆起に向かうというコン
ピュータシミュレーションの結果を示し、1990年
代半ばからの観測結果から2005年から2007
年ごろ臨界点に達すると予測された。
1990年代後半から鈍化したかのように見えた沈
降は、2000年以降回復し、ややスピードアップし
て見える。
しかし、御前崎の沈降は掛川を基準として測定さ
れているが、掛川自体が浜名湖直下のスロース
リップの影響を受けている。
つまり、掛川の動きを反映したものだった可能
性が高い。
比較として駿河湾の潮位観測から解析された
御前崎の上下変動を見てみると、意味のある
変化は見えてこない。
沈降速度の変化は測量の誤差であったという
ことである。
プレート型地震の特徴
内陸直下型地震→断層の滑る幅は比較的短く、
1秒以内で終わる。このため、1秒未満の周期
の短い地震波が多い。民家や低層建築物が大
きく揺れる。
プレート型地震→断層の長さは100~300kmな
ので、数分間揺れが続く。さらに周期が2~5秒
の地震波を強く出す。ビルの20~50階の部分
が最も揺れる。
離れた地域への飛び火
厚い堆積層の中で地震波が反射を繰り返すこ
とによって、波が打ち消しあったり、増幅された
りする。
周期の長い地震波は、震源域から離れた場所
を大きく揺らすことがある。
地球の中心へ向かった地震波が、マントルとの
境界や固い岩盤で反射し、堆積層で揺れが増
幅することで、予想外の地域に飛び火する。
津波
東海・東南海・南海地震が起きた場合、太平洋
沿岸の各県は10mを超える津波に襲われる可
能性が高い。
また離れた阪神地区にも津波が襲い、大阪で
は地下街が水没し、レンズ効果により入り江の
奥で波が最も高くなる。
この大阪では900の水門が全て手動式で、全
水門の閉鎖に約6時間かかっている。
陸の孤島
被害が阪神淡路大震災のように局地的であれ
ば、集中的に救援できた。
しかし、東海・東南海・南海地震では広範囲に
被害が及ぶため、交通や情報網が断絶する地
域が発生する可能性がある。
今後の課題
詳細な観測が出来るようになるにつれて、より
精密な事象が発見されるようになり、可能性と
しての選択肢は多様化した。
同じプレート境界でも地震ごとに異なる多様性
があり、地震予知や防災はそれを考慮していか
なくてはならない。
地方の自治体や企業は最悪の事態を想定して
対策の具体化を急ぐ必要がある。
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