1P1-52-077
把握形エンドエフェクタによる移動物体の捕捉および放出
(第 2 報,捕捉緩衝機構の動的総合)
Capturing of Moving object and Ejecting with Grasp Type End Effector
2nd Report, Dynamic Synthesis of A Shock Absorbing Mechanism
○正 小池 関也 (東工大),斉藤 文一 (東工大院),正 下嶋 浩 (東工大)
Sekiya KOIKE, Tokyo Institute of Technology, 2-12-1 O-okayama Meguro-ku Tokyo
Bunichi SAITOH, Ditto
Hiroshi SHIMOJIMA, Ditto
This paper proposes a dynamic synthesis method of kinetic transmission mechanism between fingers and
a DC motor in a shock absorbing end effector which makes no impulsive force responses in capture of moving
object. In order to reduce equivalent values of inertial force and damping force at colliding point of end effector,
singular point of mechanism is utilized by stretching wires between dual fingers. A desired velocity ratio of the
transmission mechanism is derived from force equilibrium equation between tension of wires and inertial force and
damping force of the DC motor. The Watt-type linkage is chosen as the transmission mechanism, and synthesized
in order to satisfy above desired velocity ratio.
Keywords : Shock Absorbing Mechanism, Capture of Moving Object, Ejection of Object, Grasp
まえがき
1
ロボットが活動の場を広範な屋外環境に移すと,作業の高速・
高効率化の要求に対して,運動量をもつ物体の捕捉,逆に速度
を伴う物体の放出が必要となる.衝突に関する研究として,マ
ニピュレータを対象とした報告 [1][2][3] があるが,いずれも顕著
な衝撃緩衝効果は見られない.本研究は,前報 [4] で提案した緩
衝捕捉用エンドエフェクタにおいて,指節−アクチュエータ出
力軸間の運動伝達機構の速比を非線形関数とすることにより緩
衝捕捉時の物体作用力を改善することを目的とする.
Object
Y
T
6 節 2 指形捕捉機構
2
ks3 t3s (ts − t)4
k2 t2 (ts − t)5
+ s s
192
40
(ts − t)7
ks ts (ts − t)6
+
}
(3)
−
24
42
において,t = ks ts の時,Fd(t) = Fs であるとすると,式(1)
内の係数 a は
107520
a =
Fs
(4)
(ks ts )7
と求まり, Fd (t) より算出される各時刻の物体位置 y(t) およ
び ẏ(t) についての境界条件式
Fd3 (t)
=
−a{−
Gear
s
A
l2
B
l1
s
O
C
G
x
D
E
Actuator
目標作用力の設定
ks t s
全捕捉時間を ts とおき,目標作用力 Fd (t) を 0 <
=t<
= 2
ks
ks
ks
時に Fd1(t) , ts < t <
= (1− 2 )ts 時に Fd2 (t),(1− 2 )ts <
2
ts
t<
= ts 時に Fd3 (t) とおき,その形状を時刻 2 に対して対称
な形状とし,その 3 階微分値が連続となるようにおく.ここで
ks は定数であり,作用力応答の立ち上がりに合うように調整す
る.このうち Fd1 (t) については,その 2 階微分を
t s ks
ks t s 2
(1)
F̈d1 (t) = −at2 (t −
)(t −
)
4
2
と与える.各時間の目標作用力
k 2 t2 t5
ks t s t 6
t7
k 3 t3 t4
+
)
Fd1 (t) = −a(− s s + s s −
192
40
24
42
(2)
Fd2 (t) = Fs
y
Wire
捕捉緩衝機構のモデル図を図 1 に示す.ワイヤ連結節である
指節とアクチュエータである DC モータ出力軸間の運動伝達機
構として,ワット形 6 節リンク機構を考える.これにより文献
[4] では線形であった運動伝達機構の速比を非線形関数とし,設
定した速度および質量の移動物体を受動的に緩衝するときの目
標作用力応答を実現する速比をもつ機構を総合する.総合の条
件として,物体の運動は y 軸方向の 1 自由度とし,物体,指を
剛体,ワイヤの質量,各要素間の摩擦は無視する.
2.1
xobj
yobj
H
F
Fig. 1 Mechanism of the End Effector
y(ts ) = yST R , ẏ(ts ) = 0
より,ts および Fs が
2yST R
2mobj ẏ
ts =
, Fs = −
ẏ0
(−2ks )ts
(5)
(6)
と求まる.
2.2 目標速比の算出法
物体速度 ẏ −アクチュエータ出力軸角速度 θ̇m 間の速比を
Jym ,物体速度 ẏ −指節角速度 θ̇s の速比を Jys ,指節角速度−
アクチュエータ出力軸角速度間の速比を Jsm とすると
ẏ
=
Jym θ̇m
(7)
ÿ
=
Jym θ̈m + J˙ym θ̇m
(8)
となる.また各速比の関係式は
Jym = Jys Jsm
(9)
である.
受動的緩衝時の力の釣り合い式は,DC モータの特性から
kt kc
Im θ̈m +
θ̇m − 2l1 T sin(θs − ϕu )Jsm
ra
日本機械学会[No.00-2]ロボティクス・メカトロニクス講演会’00講演論文集 [2000.5.12∼13,熊本]
1P1-52-077(1)
−2l2 T sin(θs − ϕl )Jsm = 0
(10)
となる.物体作用力 F と張力 T には
F
=
2T (sin ϕu + sin ϕl )
の関係がある.上式と式 (7),(8) より,
1
kt kc
Im (ÿ − J˙ym θ̇m )
+
θ̇m −
Jym
ra
F Jsm
{lR sin(θs − ϕu ) + lL sin(θs − ϕl )} = 0
sin ϕu + sin ϕl
求める非線形運動伝達機構の速比は
Jym
Jsm =
Jys
(11)
3.2 能動的緩衝結果
アクチュエータ入力電圧 u を
u = {kP (Fd − F ) + KI
により算出する作用力制御を行ったときの能動的緩衝時の力応答
を図 4 に示す.図から目標値に良く追従していることがわかる.
(12)
結論
4
本論文で得られた結果を以下に示す.
(1) 対象物速度および質量が与えられたときに目標とする物
体作用力応答を受動的に実現する指−アクチュエータ軸
間の速比を,物体および機構の動特性,ならびにワイヤ
の伸びを考慮して算出する手法を示した.
(13)
とおける.時刻 t における物体速度 ẏ −指節角速度 θ̇s の速比
Jys は,物体作用力 Fd (t) ,物体位置 y(t) ,物体速度 ẏ(t) が
与えられるため,これらから算出された張力およびワイヤ剛性
から,各時刻における θs (t),y(t) を求め,これを差分して求め
た時間微分値 θ̇s ,ẏ をから Jys を Jys = ẏ/θ̇s により得る.以
上の式を式 (12) に代入すると Jym に関する方程式
2.3 運動伝達機構の総合および総合結果
機構パラーメータの決定はニュートン法により行う.ワット
形 6 節リンク機構は非線形性が強く,反復計算中に決定ヤコビ
行列のランクが変化するためにこのままでは安定した収束が望
めない.また初期値の違いによって収束する機構の形状が大き
く変化する.そこで本論文では以下のようにして初期パラメー
タ値およびパラメータを決定する.
ks
(1) 0 ≤ t <
= (1 − 2 )ts の目標速比を用いて,指節を含む 4
節リンク機構のみを対象とした偏分反復計算を行い lA ,
lB ,lD の 3 パラメータを決定する.
(2) 目標速比を近似的に実現するワット形 6 節リンク機構の
総合時に,機構を二つの 4 節リンク機構に分割し,それ
ぞれの機構に対して,目標速比を与えることにより,初
期パラメータ値の影響を低減できることがわかった.
(3) 物体質量 1kg ,物体速度 1m/s を設定値とした捕捉機
構を総合し,受動的緩衝シミュレーションを行ったとこ
ろ,物体作用力の最大値は,23N となり,従来の 1 節 2
指形捕捉機構の 34N に対し, 約 30% 低減できること
がわかった.
参考文献
[1] 永田・ほか 2 名,計測自動制御学会論文集 26-4(1990)69
[2] 鈴木・ほか 2 名,電気学会論文誌 C111-1(1991)47
[3] B.T.Bercio and I.D.Walker,Proc. IEEE Int. Conf. Rob.
Autom (1994)1588
[4] 小池・他 2 名,ロボティクス・メカトロニクス講演会 99,(1999)
(2) (1) で求めた 3 パラメータを定数としてアクチュエータ
駆動節を含む 4 節リンクのパラメータ lE ,lF ,Λ を決
定する.
図 2 に物体速度 1m/s ,質量 1kg としたときの目標速比,よ
び算出パラメータによる速比を示す.
RTQRQUGF OGEJCPKUO
FGUKTGF TGURQPUG
HQTOGT OGEJCPKUO
6 節 2 指形捕捉機構の運動方程式,ワイヤ張力算出式
T = kw δlw + cw δl˙w
(16)
7LPH V
Fig. 3 Force Resposes in Passive Shock Absorbing
CEVWCN HQTEG
)RUFH 1
3.1 受動的緩衝結果
図 3 に機構総合時の設定値である物体質量 1kg,物体速度
1m/s における受動的緩衝時の物体作用力応答を示す.同図には
比較のために同一条件における文献 [4] の 1 節 2 指形捕捉機構
での作用力を点線で示す.図から物体作用力の最大値が,1 節 2
指捕捉機構の 34N から提案した機構では 23N へと約 30% 低
減していることがわかり,受動的緩衝捕捉における本手法の有
効性が確認できる.
ðUq
シミュレーション
および物体の運動方程式を連立して解くことにより,各応答を
求める.ここで kw および cw は,ワイヤと指節の結合部分に
設けたばねの剛性およびダンパの粘性係数である, δlw ,δl˙w は
ワイヤ伸びである.
Fig. 2 Result of synthesis
)RUFH 1
(3) このようにして求めた lA ,lB ,lD ,lE ,lF ,Λ を初期値
として偏分反復計算を再度行うことで最終パラメータを
決定する.
FGUKTGF XCNWG
CEVWCN XCNWG
ðUðO
3
Fd {l1 sin(θs − ϕu + l2 sin(θs − ϕl )}Jym
kt kc
+{(sin ϕu + sin ϕl Im ÿ + (sin ϕu + sin ϕl )
ẏ}Jym Jys
ra
−(sin ϕu + sin ϕl )Im ẏJys J˙ym = 0
(14)
˙
を得る.この式は Jym の適切な初期値を与えて Jym を,∆t 秒
前の Jym である Jym,pre を用いて
Jym − Jym,pre
J˙ym =
(15)
∆t
と求めることにより Jym に関する 3 次方程式となる.
3
(Fd − F )dt + KD (Ḟd − Ḟ )}θ̇m (17)
FGUKTGF HQTEG
7LPH V
Fig. 4 Force Resposes in Active Shock Absorbing
日本機械学会[No.00-2]ロボティクス・メカトロニクス講演会’00講演論文集 [2000.5.12∼13,熊本]
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