みんなで考える
精神障害と権利
(専門職向け)
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公益社団法人日本精神保健福祉士協会 権利擁護委員会 2013
はじめに…
*今日、一緒に考えたいこと…
・精神の「障害」について
・「障害」と権利について
*今日のタイムスケジュール(120分:休憩10分含)
講義
ウォーミングアップ
グループワーク
グループ発表
ふりかえり
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公益社団法人日本精神保健福祉士協会
権利擁護委員会
2013
精神障害とは①
21世紀は「こころの時代」とも言われるように、社
会構造が変化していく中で現代人は様々なストレ
スや問題をより多く抱えるようになりました。精神
疾患も多様化していますが、特にうつ病について
は、啓発や理解を求める活動が各地で行われ、
自殺対策も様々な取り組みが進められています。
しかし、精神疾患をもつ人がすべて障害があるか
というとそうではありません。
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公益社団法人日本精神保健福祉士協会 権利擁護委員会 2013
原因別に分類した精神疾患
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心因性
外因性
何らかの精神
的な負担に
よっておこるも
の
身体の病気が
原因で起こる
もの
強いストレスか
らくる反応性う
つ病や不安神
経症など
脳腫瘍や脳血管性
障害などの脳の病気、
感染症や内臓の病
気によって精神的機
能に障害がでるもの
内因性
脳の器質的
な問題によっ
ておこるもの
統合失調症、
そううつ病、そ
う病など
公益社団法人日本精神保健福祉士協会 権利擁護委員会 2013
精神障害とは②
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公益社団法人日本精神保健福祉士協会 権利擁護委員会 2013
精神障害とは③
では、改めて、精神障害があるといわれる人たち
はどういう人たちかというと、
「精神疾患によって、日常生活に何らかの障害が
ある人」ということができます。
しかし、病気があっても「生活者」としては何ら私た
ちと変わるところはありません。確かに病気が彼ら
を生きづらくさせているということはありますが、病
気だけでなく、社会的な差別や偏見なども生活して
いくうえでの障壁になっているのです。
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公益社団法人日本精神保健福祉士協会 権利擁護委員会 2013
精神障害のある人についての
私たちの国の状況
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出典 第1回精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関
する検討会より 2013.7.26
公益社団法人日本精神保健福祉士協会 権利擁護委員会 2013
精神障害のある人についての
ちの国の状況
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私た
出典 第1回精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関
する検討会より 2013.7.26
公益社団法人日本精神保健福祉士協会
権利擁護委員会
2013
精神障害のある人の歴史①
精神障害に関する日本で最も古い記述
→大宝律令(701)・・・精神病は、癲狂(てんきょう)とい
われ、最も重い篤疾に入れられていた
前近代…日本「狐憑き」「祟り」といった迷信と結びつく
江戸時代…「入牢」「非人溜」 →罪人や被差別者の扱い
明治時代・・・「精神病者監護法」(1900)「私宅監置」の合
法化,精神病院の創設
大正時代…「精神病院法」(1919)
戦争を間にはさみ、処遇は環境とともに劣悪なままで、
私宅監置も継続された
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公益社団法人日本精神保健福祉士協会 権利擁護委員会 2013
精神障害のある人の歴史②
1950年代
1950(昭和25)年に「精神衛生法」が制定
私宅監置の禁止,医療の対象であるという正式に認知される
1952(昭和27)年のクロルプロマジンの導入。薬物療法が飛躍的
に進歩
1964(昭和39)年「ライシャワー事件」
精神病患者がアメリカ大使を刺傷
1964(昭和40)年「精神衛生法」改正。措置入院制度創設
1960年代 高度成長を背景に民間病院が乱立
精神科特例による劣悪な環境、在院日数の増加、
ホスピタリズムと呼ばれる二次的な障害
国際的にはノーマライゼーションの浸透、人権尊重の見地から施設や大規模な
精神科病院は解体へ
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精神障害のある人の歴史③
1970年代 精神病院の開放化,リハビリテーションが唱えられ
はじめた。地域における支援活動の始まり
1984(昭和59)年 「宇都宮病院事件」
→日本の精神科病院の在り方が国際的な批判を受ける
1987(昭和62)年 「精神衛生法」が「精神保健法」
へと改正
1995(平成7)年
精神保健福祉法成立
2006(平成18年)年 障害者自立支援法施行
2011(平成22年)年 障害者自立支援法一部改正
*他の障害と横並びに位置づけられる
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「障害」と権利
*国連「障害者の権利条約」(2006)
差別の禁止
多様性の許容
差異の尊重
合理的配慮
*国連障害者年行動計画(1979 国連総会採択)
ある社会がその構成員のいくらかの人びとを閉め
だすような場合、それは弱くてもろい社会
障害者は…その通常の人間的なニーズを満たす
ことにおいて、特別の困難を持つ普通の市民
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障害のある人の主張
*ピープルファーストは、1973年、アメリカのオレゴン州 でひ
らかれた会議で、ハンディのある当事者が「ちえおくれ」や「知
的障害者」とレッテルを はられることが どんなにいやか、とい
うことをはなしあい、「人にどのように しられたい?」と きかれ、
「わたしたちは 『しょうがいしゃ』であるまえに 人間だ」と こた
えたのが きっかけで 生まれました
(ピープルファーストジャパンホームページより)
*自立生活とは、危険を冒す権利と決定したことに責任を負え
る人生の主体者であることを周りの人たちが認めること。また、
哀れみではなく福祉サービスの雇用者・消費者として援助を受
けて生きていく権利を認めていくことです
(全国自立生活センター協議会ホームページより)
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公益社団法人日本精神保健福祉士協会 権利擁護委員会 2013
♪ここで、ちょっとリラックス♪
自分が生活の中で大事にしていること(権
利)を挙げてください
例えば…
・回転寿司や食べ放題にいくこと
・旅行を楽しめること
・お気に入りの服装で出かけること
・友人とおしゃべりすること
・トイレにゆっくり入ること
・好きなときに音楽が聴ける
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公益社団法人日本精神保健福祉士協会 権利擁護委員会 2013
話し合ってみましょう
皆さんが挙げてくれた
『生活の中で大事にしていること(権利)』について…
誰もが皆さんと同じようにできている
でしょうか?
制限を受けている人はいませんか?
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今日一緒に考えたいこと
①一人ひとりの権利を大切にすること
②人を大切にする、優しい社会をつくること
この二つともが大切…
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公益社団法人日本精神保健福祉士協会 権利擁護委員会 2013
事例①
スムゾーさんは17年間精神科病院に入院していますが、友だ
ちが多く外出も自由なため、特に退院しなくていいと思ってい
ます。ただ、きれい好きなスムゾーさんは、入院以来ゆっくりと
毎日湯船につかりたいという気持ちはあります。そのことを最
近聞いた病院の職員が、病院や地域の支援を利用しながら
退院を目指しましょうと言ってきました。しかし、スムゾーさん
は、弟が絶対退院してはいけないと口すっぱく言われていると
しぶっています。
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公益社団法人日本精神保健福祉士協会 権利擁護委員会 2013
事例②
カキモトさんは、精神障害により判断能力が欠けているとみな
され、また身寄りがないことから成年後見制度を利用すること
にしました。後見人は、通帳や印鑑の管理、公共料金の支払
い、毎月の生活費の支給などをしてくれます。ある日、全国的
な選挙があることを知り、自分に投票のお知らせが来ないこ
とに気付きました。問い合わせてみると、後見人をつけるとき
に選挙権がなくなることを説明されていなかったのです。
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公益社団法人日本精神保健福祉士協会 権利擁護委員会 2013
さて、本人はどこにいると思いますか?
①運転している
②運転に自信がないから、
助手席に乗ってナビゲートしている
③後部座席にのって、外を眺めている
④車に乗ってない
助手席
では、運転しているのは誰でしょう?
どういう道を何キロで走ってますか?
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運転手
運転手
「
事例③
1年間精神科病院に入院していたスムコさんは、退院先の
アパートを探しています。1件目の不動産屋さんからは「生
活保護受給と精神科病院退院」により断られました。2件目
では、「具合が悪くなって人に迷惑をかけたらどうするのか」
と言われました。誰もが住みやすい街にするには、どのよう
にしたらいいのでしょう。
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公益社団法人日本精神保健福祉士協会 権利擁護委員会 2013
事例④
ダイスケさんとエミさんは、一般の職場で働くことを希望
しています。ダイスケさんは、障害のあることを伝えて短
時間でやれる仕事を目指しています。エミさんは障害者
雇用で正社員を目指しています。二人が希望の仕事に
つくためには、社会(会社)はどのような配慮を考えるこ
とが必要でしょう?
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公益社団法人日本精神保健福祉士協会 権利擁護委員会 2013
グループ発表
各グループの代表者が一人1分で本日
話し合われたこと、権利について考えた
ことを発表してください。
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ここで一息・・・
ぼくはひとりで部屋にいなければならな
い。
床の上に寝ていればベッドから落ちるこ
とがないのと同じように、
ひとりでいれば何事も起こらない。
フランツ・カフカ:フェリーチェへの手紙
(頭木広樹訳:絶望名人カフカの人生論より)
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ふりかえり
このワークショップを通じて、感じた
こと、気がついたことなどをグルー
プでわかちあってみてください
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おわりに
* 理想ではなく、現実 *
* 「あなたも、わたしも」の支えあいの輪を *
誰もが自分らしい生活を獲得していくための力を秘め
ています。
一人ひとりがもつ「力や可能性」へまなざしを向けてみ
ませんか・・・
人を大切にする社会は、エンパワメントに満ち溢れ、
一人ひとりの権利を護ることを目指します。
皆さんの実践の場でも「まなざし」を大切にしてみてく
ださい
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【参考資料】
精神障害と権利を考えるために
*日本精神保健福祉士協会編集権利擁護委員会の下記2冊が
以下のURLからダウンロードできます。
http://www.japsw.or.jp/ugoki/hokokusyo/20100331-4.html
http://www.japsw.or.jp/ugoki/hokokusyo/20110219-kenri.html
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出典 引用・参考文献
 ピープルファースト
http://www.pf-j.jp/
 全国自立支援センター協議会 http://www.j-il.jp/
 絶望名人カフカの人生論 フランツカフカ著
頭木弘樹編訳
飛鳥新社 2011.10.20
 精神障害者に対する医療提供の現状
第1回精神障害者に対する医療の提供を確保するた
めの指針等に関する検討会より
2013.7.26 (厚生労働省)
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