表 作業方法による業務の比較
長 所
短 所
作業量
用手法での染色
・ 上手な人が行うと美しい染色が可能
・ マンパワーが必要
・ 個人により染め上がりが異なる
・ 多忙になるとまとめて染色
煩雑
染色機器導入のみ
・ 複数の人が担当しても安定した染め上がり
・ 随時染色が可能
・ 染色前の標本に専用ラベルを貼らなければ
ならない
・ 染色装置システム上で染色の指示を入力し
なければならない
軽度に軽減
染色装置システムと
病理支援システムの接続
・ 複数の人が担当しても安定した染め上がり
・ 随時染色が可能
・ 染色装置システム上で染色指示の入力が不要
・ 染色前の標本に専用ラベルを貼らなければ
ならない
中等度に軽減
上記システム間の接続と自動貼付
機能付きラベルプリンターの使用
・ 複数の人が担当しても安定した染め上がり
・ 随時染色が可能
・ 染色装置システム上で染色指示の入力が不要
・ 染色前の標本に専用ラベルの貼付が不要
・ なし
高度に軽減
Customer Testimonial
Dako Autostainer Plus Link/Artisan Link と病理支援システムとの
接続運用による新しい病理検査ワークフロー
名古屋市立大学病院 病理部
佐藤 茂
はじめに
当院は 808 床の大学附属病院であるが、病理検体数が年々増加し、染色依頼件数も増加傾向にある。最近の年間組織
件数は 9,000 件を超え、免疫染色においては 150 種類程度の一次抗体を保有し、約 7,000 枚の染色依頼がある。また、
ことが可能となった。このことは、薄切後のスライドガラ
以上、用手法で染色を行った場合、伝票運用で自動染
スに鉛筆で番号の記入を行うことや、一度バーコードを印
色機器を導入し機器単体で稼動した場合、自動染色機器
字したスライドガラスや標本ラベルの上に、再度バーコー
を病理支援システムと L AN による接続を行った場合、さ
ド付き専用標本ラベルを貼付させる作業を無くし、作業効
らに自動貼付機能付きラベルプリンターを病理支援システ
率を軽減したとともに更なる危機管理面の充実を図ったこ
ムに接続した場合の比較の長所と短所を表で示す。
特殊染色においても染色装置で染色する標本を含め約 6,000 枚の染色を随時行っている。その反面、職員の増員は困難
な状況であり、業務が多忙になるほど用手法による染色はまとめて染色しがちになり、業務の効率化や危機管理を進める
上では可能な限り用手法から自動染色に移行すべきと考える。こうした中で、当病理部において Dako 社の免疫染色装置
Autostainer Plus Link と特殊染色装置 Artisan Link を導入する機会を得、これらの染色装置システムと病理支援システムと
の接続を行った。これにより作業工程の自動化が進み、免疫染色と一部の特殊染色を中心としたバーコード使用による業
務の効率化が達成できたので紹介する。
とになる。
染色結果においては、試薬メーカーである Dako 試薬
まとめ
を使用した自動免疫染色装置であるので、十分満足のい
従来から病理部門では、他部門のようなシステム化や
く結果であると考える。また、他社の濃縮および希釈済
バーコード化は進歩していなかった。これは有機溶剤を使
み一次抗体の使用が容易であることは言うまでもない。
用することや高温での賦活処理で、標本にとって過酷な条
使用機器
1. システム構成
Dako Link 染色装置統合モジュール(Dako)、病理支援
件下で染色なされていることによるもので、バーコードを
2. 自動特殊染色装置:Artisan Link
システム:Dr. ヘルパー(JR 西日本)
活用することが不可能とされていた。しかし近年、上記に
自動特殊染色装置についても同様に、病理支援システ
対応できるインクや粘着剤の改良が進み、他部門のよう
ムにリンクさせバーコードを共有化した運用を実施してい
なバーコード運用によるシステム化が可能となった。物が
る。
動く作業ではバーコード運用は必須であり、これを利用す
バーコード内には組織・細胞区分、病理番号、枝番号、
マスターによりコード化した各染色情報を入れている。
2. 周辺機器
特殊染色は診療報酬上では「簡単な病理標本作製の費
ることで飛躍的にシステム化の充実が図れる。これは標本
用は、基本診療に含まれ別に算定できない」となっており、
自動免疫染色装置:Autostainer Plus Link(Dako)、自
作製における危機管理を充実させるばかりではなく、自動
HE 染色標本作製に含まれると解釈されるために、直接の
動特殊染色装置:Artisan Link(Dako)
(図1)、自動貼付機
染色装置により安定した染色結果が得られることに繋が
収益につながらず機器購入が難しいのが現状である。近
能付きラベルプリンター:BCA-12- PL(オートニクス)、ス
る。また、染色が随時可能となることで、用手法によるま
年、多くの特殊染色は免疫染色に移行してきたとはいえ
ライド印字機:Super Frost Printer Ⅲ MPW7500(松浪硝
とめての染色作業が減少し、検体受付から診断までの TAT
子工業)。
特殊染色の必要性は無くならず、その人件費を考えると安
(turn around time)が短縮できるようになったと言える。
定した染色で随時染色可能であることは有意義であると
自動免疫染色装置や自動特殊染色装置の導入は、病理標
考える。
本を作製する我々にとって、検体数の増加に対応すること
当院の作業運用
ができる大変有効な手段と考える。
当院では原則として、HE 染色後に病理医が免疫染色
当院の染色依頼の種類、件数および試薬コストについて
や特殊染色の依頼を行い、再度技師が依頼に合わせ薄切
分析し、その結果から多糖類染色は HE 染色装置での染
を行う。例外として食道生検、胃生検、肝生検、腎生検、
色設定を行い、細胞診も含めて随時自動染色を行うことと
前立腺生検においては、検体が小さく細長いことや薄切面
した。結合組織の染色(鍍銀染色・Massonʼ s Trichrome
が変わること等の理由で、HE 染色標本作製と同時に指定
染色・PAM 染色)は、Artisan Link での染色に統一した。
した染色標本の薄切を行い随時染色工程に移る。
その他、アミロイド染色、病原体染色などは頻度が比較
免疫染色は Autostainer Plus Link に統一して染色(蛍
光染色を除く)することとした。また、特殊染色は染色項
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目が多種類に及び依頼件数にばらつきが多いため、まず
ダコ・ジャパン株式会社
www.dako.jp
図 1 Autostainer Plus Link および Artisan Link
的少なく、用手法で随時染色を行うことにした。これらの
振り分けを図 2 に示す。
(2)特殊染色:Artisan Link
1. 薄切および情報転送
技師は病理医からの免疫染色および特殊染色の依頼情
用手法で脱パラフィンを行った後、自動特殊染色装置に
報をもとに、ブロックの薄切を再度行う。病理支援システ
バーコード付標本と専用試薬カートリッジを配置する。染
ムのマスター上で、あらかじめ自動貼付機能付きラベルプ
色装置が自動で試薬カートリッジと標本のバーコードを読
リンターとスライド印字機の出力設定を行っておく。Dako
み込むことで、システム照合を行い染色開始となる。
自動染色装置での染色の場合のみ、出力と同時に LAN を
(3)特殊染色:他社自動染色装置
通して自動で染色指示情報が染色装置システムへ転送さ
れる。
スライド印字機で出力したスライドガラスに薄切切片を
載せ、自動染色装置により随時染色を行う。
(4)特殊染色:用手法
2. 免疫染色および特殊染色
スライド印字機で出力したスライドガラスに薄切切片を
(1)免疫染色:Autostainer Plus Link
載せ、用手法により随時染色を行う。
前処理である PT Link の工程へ進む。脱パラ・親水化・
抗原賦活(3-in-1)の同時処理を行う。処理条件は専用
図 3 乳腺手術材料:HER2 染色(Autostainer Plus Link)
図 4 肝生検:Masson' s Trichrome 染色(Artisan Link)
図 5 肝生検:鍍銀染色(Artisan Link)
図 6 腎生検:PAM 染色(Artisan Link)
3. 検鏡
ソフトウエアにより管理されている。その後、自動免疫染
染色された標本は、自動封入後に HE 染色と共に並べ
色装置に、バーコード付標本と試薬ボトルを設置する。染
られ再度病理医に渡される。病理医は標本のバーコードを
色装置が染色標本と試薬のバーコードを読み込み、自動
読み取り、診断画面を開いて診断し電子カルテへレポート
でシステム照合を行い染色開始となる。
を転送する。これら免疫染色標本(Autostainer Plus Link)
と特殊染色標本(Artisan Link)の例を図3∼6に示す。
情報の流れ
染色依頼
薄 切
病理支援システム
病理支援システム
標本の流れ
免疫染色時
スライドラベル例
考察
1. 自動免疫染色装置:Autostainer Plus Link
各施設により自動免疫染色装置の設置環境が異なるが、
スライド印字機
伝票運用で自動免疫染色装置を導入した場合に比べ、病
自動貼付機能付き
ラベルプリンター
理支援システムに自動免疫染色装置をリンクさせた場合
は、自動で染色装置システムに染色依頼指示情報が転送
され、作業の軽減において非常に有効である。その情報
が転送された染色装置システムの画面を図7に示す。染色
依頼指示情報が確実となり危機管理も充実するが、薄切
他社自動染色装置
(HE 染色・特殊染色
[多糖類染色])
PT Link
特殊染色
(用手法)
後に標本ラベルを出力し、貼付する作業が残る点が残念
である。
当院では上記システム間の接続を行った上に、HE 染色
に使用するスライド印字機に加え、新たに自動貼付機能付
きラベルプリンターを追加接続した。これにより免疫染色
自動免疫染色装置
Autostainer Plus Link
においても HE 染色同様に、薄切直後にスライドガラスに
DakoLink サーバー
自動特殊染色装置
Artisan Link
(結合組織の染色)
バーコードを印字した状態で出力させ、随時切片を載せる
運用で統一できた。そして標本に印字した1つのバーコー
ドを、染色装置システムと病理支援システムとが共有する
図 2 標本と情報のフロー図
̶ 染色依頼から標本作製まで ̶
図 7 染色装置システム画面(病理支援システムから染色依頼
指示情報が転送され、各標本ごとの染色プログラムが自
動的に呼び出される)
ダウンロード

Dako Autostainer Plus Link/Artisan Link と病理支援