日本図書館研究会研究大会
2006.2.19
セマンティックWebと資料組織法
-概念体系管理の今後
整理技術研究グループ
渡 邊 隆 弘(神戸大学図書館)
資料組織法の動向
・記述目録法の活発な変化
FRBR、目録諸規則の改訂(1990年代後半~)
AACR全面改訂などさらに抜本的な動き
・主題アクセス法の停滞
分類・件名・シソーラスには目立った動きがない
「セマンティックWeb」の登場
・セマンティクス(意味)情報を付加したWeb
Webの「情報組織化」
・主題アクセス、概念管理の今後につながる
可能性?
本発表の目的
セマンティックWebと資料組織法の接点、とりわけ主題アク
セスへの応用可能性について基礎的考察
目次
0.はじめに
1.セマンティックWebの提唱と開発
2.セマンティックWebと資料組織法
3.オントロジによる概念管理
4.オントロジと主題アクセス法の可能性
5.おわりに
目次
0.はじめに
1.セマンティックWebの提唱と開発
2.セマンティックWebと資料組織法
3.オントロジによる概念管理
4.オントロジと主題アクセス法の可能性
5.おわりに
セマンティックWebの基本構想
T. Berners-Lee (Webの発明者)による
Web創始当時から暖めていた考え方
2001.5発表論文 「自分で推論する未来型Web」(邦訳題)
エージェント・ソフトウエアが人に代わって問題解決し
てくれるWeb世界
データ収集・判断・評価の自動化
「意味(Semantics)」情報を交換
これまでは文書構造やレイアウト情報のみを交換
人だけでなく、機械に理解できるWebデータ
具体的には、「メタデータ」の付与と活用による
(リソースの内容を明示的かつ標準化された形で共有)
Webの分散・非集権環境は堅持
セマンティックWebの諸要素技術
諸要素技術による階層構造(「レイヤーケーキ」)
「論理」や「信頼性」
「意味」の共有
メタデータ作成
(基盤技術)
1.メタデータの作成-共通的な構文枠組み
RDFモデル&シンタックス層
(Resource Description Framework)
メタデータを明瞭・論理的に表現するデータモデル
(どのようなメタデータ規則にも適用できる汎用性)
XMLを用いた構文記述
著者
単純な
『海辺のカフカ』
原理
(トリプル) 主語(リソース) 述語(プロパティ)
村上春樹
目的語(値)
単純だが汎用性
複雑な構造も「トリプル」の組み合わせで表現可能
すでに一定の実用段階
2.「意味」の共有-プロパティや値の相互関係を伝達
RDFスキーマ層 (RDF Schema)
オントロジ層(Ontology)
プロパティ情報を誤解なく共有
メタデータ規則Aの「責任表示」と、Bの「著者」の対応?
値情報を誤解なく共有
「自動車」と「乗用車」の対応?
あるページ中の単語「鍋」は料理なのか調理器具なのか?
3.「論理」や「信頼性」-推論・判断の共有
ルール層 (Rule)
ロジックフレーム層(Logic Framework)
プルーフ層(Proof)
トラスト層(Trust)
具体化はまだこれから
目次
0.はじめに
1.セマンティックWebの提唱と開発
2.セマンティックWebと資料組織法
3.オントロジによる概念管理
4.オントロジと主題アクセス法の可能性
5.おわりに
セマンティックWebと資料組織法の接点
本質的な親和性
情報の「相互利用性」
(分散環境で生産された情報の共有)
出発点はメタデータの付与
米欧における論調
主に論じられる接点
典拠コントロール
主題アクセス
ポータル、リポジトリ、電子図書館
「図書館がセマンティックWebに貢献できる可能性」
がよく語られる
規則・ツールの構築・維持の伝統
典拠コントロールや主題管理の伝統
セマンティックWebと資料組織法の接点
全体的な感想
「楽観的」
「発散的」
図書館情報学の陣地拡大?
各論者が思い思いの論点に引き付け
資料組織法の伝統との差異
集権と分散
図書館: ルールの統一・精緻化で分散環境に対処
セマンティックWeb: あくまで非集権を前提
情報の粒度
図書館: ドキュメント単位のアクセスを前提
セマンティックWeb: より細かなレベルの処理を前提
差異を意識しながら、
資料組織法への応用可能性を探るという
方向性も
目次
0.はじめに
1.セマンティックWebの提唱と開発
2.セマンティックWebと資料組織法
3.オントロジによる概念管理
4.オントロジと主題アクセス法の可能性
5.おわりに
オントロジとは
Ontology もともとは哲学用語「存在論」
1980年代以降、人工知能等の分野で注目
定義:「概念化の明示的な規約」
対象世界の基本概念や概念間の関係を体系づけたもの
セマンティックWebにおけるオントロジ
「意味の共有」を扱う2層の標準化(W3C勧告)
RDFスキーマ層(比較的基本的なレベル)
RDF Vocabulary Description Language
オントロジ層(より精密な意味情報管理)
OWL (Web Ontology Language)
=オントロジ記述言語
標準化作業はほぼ終わった段階
実装の際の構文記述はXML
セマンティックWebにおけるオントロジの目的
メタデータの「プロパティ情報」の共有
メタデータ規則Aの「責任表示」と、Bの「著者」の対応?
目録規則やメタデータ規則の相互運用性に通じる
メタデータの「値情報」の共有
「自動車」と「乗用車」の対応?
あるページ中の単語「鍋」は料理なのか調理器具なのか?
主題アクセスツールに通じる
オントロジ標準化の目的
オントロジ構築のルール・文法を標準化
普遍的・集権的なオントロジ構築ではない
異なるオントロジ間の相互運用性(共有や併合)
OWLの基本構造
クラス(Class)
リソースをグループ化したもの ex.「図書館」「哺乳類」
個体(Individual)
クラスのメンバーとなるインスタンス
ex. 「公立図書館」クラスのメンバー= A市立図書館、B県立図書館…
プロパティ(Property)
リソース間を関係づけるもの。クラスとは独立して定義
クラスとプロパティの設定により、対象世界を表現
RDFの発展型
主語(リソース)
「公立図書館」クラス
定義域(domain)
述語(プロパティ)
設立主体
プロパティ
(設立主体)
目的語(値)
「地方自治体」クラス
値域(range)
OWL(RDFスキーマを含む)における概念定義
関係性記述を基本とする意味の定義
コトバによる定義には頼らない
→ コンピュータに理解可能な定義表現
クラス、個体の基本的関係
クラスと個体の所属関係
「公立図書館」クラスのメンバー= A市立図書館、B県立図書館…
クラス間のサブクラス関係
「公立図書館」クラスは「図書館」クラスのサブクラス
Class (ex:公立図書館 partial subClassOf(ex.図書館))
*この書き方は、OWLで定められた「抽象構文」
プロパティの設定により、クラス間・個体間の諸関係
を表現
逆に、プロパティは対象クラスの設定によって定義
OWLにおける関係表現の諸相(例)
クラスの論理組み合わせ
Class(ex:電子鍵盤楽器 complete intersectionOf(ex:電子楽器 ex:鍵盤楽器))
・クラスの論理積
・論理和、論理差も
・「互いに素」の定義 DisjointClasses(ex:哺乳類 ex:鳥類 ex:爬虫類)
プロパティにも諸関係
・階層関係
・反対関係
「提携」 と 「資本提携」
「捕食」 と 「被捕食」
プロパティの性質を通じて関係表現
・推移型 「下部組織」 A→B、B→C ならば A→C
・対称型 「姉妹都市」 A→B ならば B→A
・関数関係 「設立主体」
定義域(公立図書館)が決まれば値域(自治体)は一意
目次
0.はじめに
1.セマンティックWebの提唱と開発
2.セマンティックWebと資料組織法
3.オントロジによる概念管理
4.オントロジと主題アクセス法の可能性
5.おわりに
図書館の世界の主題アクセス法
近年、それほど大きな動きはない
分類法
列挙型分類
ファセット型分類
シソーラス (ISO2788)
件名標目表
シソーラス化
LCSHは1988、BSHは1999、NDLSHは2004
シソーラス (ISO2788)の概念管理
スコープノート(SN)による限定
基本関係として、等価関係、階層関係、連想関係
等価関係(USE, UF)
優先語と非優先語の関係
階層関係(BT, NT)
類種関係
鳥/オウム 胃腸薬/整腸剤
一部の全体部分関係
耳/内耳 軍団/師団
身体組織、地理的位置、学問分野、社会構造の4種
事例関係
山脈/アルプス山脈、ヒマラヤ山脈…
階層関係の定義を厳密に
一般的な全体部分関係(自動車/タイヤ)は階層としない
シソーラス (ISO2788)の概念管理 (2)
連想関係(相互にRT)
等価・階層以外の関係・・・明確な定義はない
学問分野とその対象
地震学/地震
操作と道具
速度測定/速度計
動作と生産物、行為と受動者 染織/染物 栽培/作物
性質に関する概念
毒物/毒性
因果関係を持つ概念
病気/病原体
事物と対抗物
植物/除草剤
…
オントロジの手法による改善の可能性
より機械処理になじむ概念管理
スコープノートに頼らず、他概念との関係性による定義
=機械操作可能な定義表現
階層関係以外の関係構造表現
RTはシソーラス手法の大きな弱点
相互関係を示すだけなので、付けすぎると混乱
プロパティの自由な設定による克服可能性
より豊富な関係情報による概念のネットワーク
階層関係も含めて、より精緻な関係構造
目次
0.はじめに
1.セマンティックWebの提唱と開発
2.セマンティックWebと資料組織法
3.オントロジによる概念管理
4.オントロジと主題アクセス法の可能性
5.おわりに
今後の課題
さらに考察すべき事項
階層関係の区分原理の表現
統語論的関係の表現
など
より具体的な検討
必要なプロパティは何か、など
ディシプリンごとに検討の必要
より明快で機械操作可能な概念体系管理を目指して
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