tmt’s math page!
1
一般角
三角比は、直角三角形の直角でない 1 つの角に対して辺の比が 1 つ決まった。この場合、始めに
与えられる角 θ の大きは、直角三角形の内角であることを考えると、0◦ < θ < 90◦ の範囲に限定
される。1 つの角を与えて 1 つの辺の比が決まるなら、三角比は関数と考えてよい。しかし三角比
を関数ととらえるとしたら、定義域にあたる角の大きさが 0◦ < θ < 90◦ の範囲に制限されるのは、
何かと不便なものである。角の大きさは少なくとも 0◦ から 360◦ まで測ることができるが、ここで
は角の大きさを無制限に扱えるように、角の測り方を見直してみたい。
405◦
正
1 回転 + 45◦
負
まず、いままで通り反時計回りに測る角を正の角、時計回りに測る角を負の角と定義する。これ
で、角に正負の区別が導入された。次に、見た目は同じ大きさの角でも、径が何回転したかまで考
慮することにする。たとえば見た目は 45◦ であっても、径が反時計回りに一回転した上でさらに
45◦ 進んだなら、それは 360◦ + 45◦ = 405◦ と定義する。このように、回転数まで含めて考える径
は動径と呼ばれる。
負の角に対しては、見た目が −120◦ であっても、動径が時計回りに 2 回転した上でさらに −120◦
進んだなら、それは −360◦ × 2 − 120◦ = −840◦ と計算してもよいのだが、見かけの −120◦ は、実
際 240◦ であることに注意しなくてはならない。
240◦
逆 2 回転 − 120◦
−120◦
−840◦
逆 2 回転 + 240◦
ただし −840◦ ではない
感覚的には、正の角は反時計回りに整数回だけ回転した上で正の角を足す、負の角は時計回りに
整数回だけ回転した上で負の角を足す、と見るのが自然であろう。しかしこうすると、回転方向に
よって正の角を足す見方と負の角を足す見方の 2 通りが発生してしまう。正の角であっても負の角
◦
であっても、見かけは 0◦ から 360◦ に収まるのだから、動径の回転数に加える値 θ も 0◦ <
= θ < 360
の範囲に収めるのがよい。また、たとえば −360◦ の 2 回転は 360◦ の −2 回転というように、回転
数の正負で回転方向を定めておいた方が、一周である 360◦ が常に正の値となって都合がよい。
2
すると、動径が時計回りに 2 回転した上でさらに −120◦ 進んだ場合、それは動径が反時計回り
に −2 回転した上で +240◦ 進んだと見て、360◦ × (−2) + 240◦ = −480◦ と計算するのがよいだろ
う。したがって −840◦ は、360◦ × (−3) + 240◦ と計算することになって、−3 回転した上で +240◦
進んだ角ということになる。しかし、いずれにせよ −840◦ , −480◦ , −120◦ はすべて 240◦ に相当す
るのである。
◦
このように、0◦ <
= θ < 360 である角 θ と向きを考慮した回転数 n を用いて
θ + 360◦ × n
(n = 0, ± 1, ± 2, . . .)
のように表す角を一般角という。
弧度法
さて、一般角で測ることで角は関数の定義域に十分使えるようになったのであるが、角そのもの
の値についても見直してみたい。一周を 360◦ とする定義は、おそらく地球の公転周期が 365 日ほ
どであることに関わっていると思われる。そのため、一周を 360 等分して角度を測る習慣が深く根
付いたに違いない。ただ、それは地球限定の考えであるから、地球に依存しない普遍的な、すなわ
ち数学的に根拠のある測り方を考えてもよいだろう。
y = sin θ という関数が返す y の値は、基本的に直角三角形の 2 辺の比である。値域に比の値が
返ってくる関数ならば、定義域も比の値であるほうが自然であろう。ところで、円周は何も 360 等
分しなくても、目盛は自然についている。それは、半径 1 の円ならば一周は 2π であるから、自然
に 0 から 2π (≈ 6.28) の目盛があるようなものである。しかし、半径 2 の円ならば一周の目盛が 0
から 4π になってしまうので、どんな大きさの円でも影響を受けない 360 等分の目盛のほうが優れ
ていることになってしまう。
しかし実際は、半径によって円周の長さが異なっても、円周の長さを目盛に使って角度を測るこ
とができるのである。
rθ
θ
x◦
1
x◦
r
tmt’s math page!
3
たしかに、円周の長さを目盛に使うと同じ x◦ という角度でありながら、一方の角度は θ の目盛
を指し、もう一方の角度は rθ の目盛を指すということになって具合が悪い。しかし、これをスカ
(弧長)
ラー量で見ずに
で見ることにすれば、いずれも θ という値になって、しかもこれは比の値
(半径)
である。このことは、定義域に比の値をとる関数が比の値を返すことにもなり、関数としては大変
具合が良いことになった。ただし、ことさら比の値を強調せずとも、単純に
角度は半径 1 の円の弧長で測ることにする
と言っても同じことであるから、今後はこの定義による角度を採用することにする。これは弧度法
(こどほう)と呼ばれる角度の測り方で、単位は m などではなくラジアンを用いることになってい
る。ただし、習慣として単位をつけずに使うことがほとんどである。
弧度法の具体例
単に新しい習慣を取り入れるのと違い、いままでの習慣を破棄して新しいものに取り替えること
は大変なエネルギーを必要とする。それでも弧度法を使う理由は、労力をかけるだけの収穫が見込
めるからであるが、それを実感するのはだいぶ先のことになろう。収穫が先のことであっても、ひ
とまず習慣の入れ替えに取りかかることにする。
半径 1 の円周を目盛に使うのだから、これまで 360◦ としていた目盛は 2π となる。機械的に
360◦ ⇔ 2π と見ることで
π ⇔ 180◦
という関係が成り立つ。ここで = でなく ⇔ を用いたのは、あくまでも π = 3.141592 · · · であるか
らで、気持ちの上では π = 180◦ として計算してかまわないが、決して π と 180◦ が等しいわけで
はないことを肝に銘じておいてほしい。
π
さて、π ⇔ 180◦ から 1◦ ⇔
であるから、よく利用される角度については以下のような対応
180
がつく。
度量
0◦
弧度
0
30◦
π
6
45◦
π
4
60◦
π
3
90◦
π
2
120◦
2
π
3
135◦
3
π
4
150◦
5
π
6
180◦
π
π
に照らせば、−50◦ は
弧度法でも負の角度や 2π ラジアンを超える角度は定義される。1◦ ⇔
180
5
20
− π 、400◦ は π などとなる。
18
9
4
*
*
*
以前、三角比の値を Microsoft Excel で計算したとき、たとえば A2 セルに入力した角 x◦ の数値を直接使
わず、=SIN(RADIANS(A2)) のように使ったことを覚えているだろうか。Excel が扱う角はラジアンが基本で
ある。そのため度量値 x はラジアンに変換する必要があったのである。見ての通り、度量をラジアンに変換
する関数は RADIANS である。これを忘れて 30◦ のつもりで =SIN(30) としてしまうと、30 ラジアンに対する
19
π に近いため、sin(30) は −1 に近い値を返す。
sin 値を求めてしまう。30 ラジアンは
2
逆に、ラジアンを度量に変換したいときは DEGREES を使う。したがって =DEGREES(PI()) をセルに入力す
ると 180 が返ってくる。=DEGREES(3.141592) では、180 に少し足りない値になることに注意されたい。
弧度法の利用
弧度法は円と相性がよい。それを示すために扇形について述べることにしよう。まず、半径 r、
中心角 x◦ の扇形の弧の長さ l と面積 S は
l = 2πr ×
で求められた。
x
x
、 S = πr2 ×
360
360
x
というのは、要するに円に対する割合を表している。
360
l
r
l
r
x◦
θ
360◦
2π
これは弧度法で計算しても同じことで、中心角を弧度 θ で測定したならその割合は
ら、
x
θ
を
に置き換えれば済む話である。すると
360
2π
l = 2πr ×
θ
であるか
2π
θ
θ
1
= rθ、 S = πr2 ×
= r2 θ
2π
2π
2
となるので、半径 r、中心角 θ ラジアンの扇形の弧の長さ l と面積 S は
l = rθ、 S =
1 2
r θ
2
である。このとき l = rθ を S の式に代入すると
S=
1
lr
2
を得るが、これは底辺 l、高さ r の三角形の面積を求める式と同じである。扇形は、ラジアンの目
で見れば三角形なのである。
ダウンロード

一般角