細胞のシグナル伝達
多細胞生物における細胞機能の統合の基礎
統合の方法=細胞間のシグナル伝達
細胞間レベル
遺伝子発現の制御
遺伝子産物に対する反応の制御
組織・器官機能の統合
組織間(個体)レベル
高次機能(行動など)の制御
→ 中枢神経系の機能
動物の細胞間シグナル伝達法
1.分泌によるシグナル伝達
受容体
シグナル細胞
シグナル分子
2.細胞膜結合分子によるシグナル伝達
シグナル細胞
標的細胞
標的細胞
局所的伝達
傍分泌(paracrine)
細胞増殖因子
自己分泌(autocrine)
細胞増殖因子
分泌型のパターン
内分泌(endocrine)
標的細胞
分泌細胞
血流
ホルモン
シナプス型(sinaptic)
標的細胞
電気インパルス
神経細胞
軸索
神経伝達物質
高等生物が使うシグナル分子
ポリペプチド:(例)副腎皮質刺激ホルモン・
甲状腺刺激ホルモン・
性腺刺激ホルモン
成長ホルモン・プロラ クチン
インスリ ン・グルカゴン・
オキシトシン・
バソプレッシン・ガストリン・
セクレチン・コレシストキニン
各種細胞増殖因子
アミノ酸:(例)サイロキシン・カテコールアミン
ガンマアミノ酪酸(GABA)
ヌクレ オチド:(例)cAMP
ステロイド:(例)アンドロジェン ・エストロ ジェン・
グルココルチコイ ド・ミネラル
コルチコイド
レチノイド:(例)レチノイン酸
脂肪酸誘導体:(例)アラキドン酸・
プロスタグランジン
細胞表層受容体
シグナル分子
Gタン パク 質
ホスホリ パー ゼ
ATP
小胞体
膜結合 性
イノシトール
リン酸
cA MP
アデニ リ ル
シク ラ ーゼ
C a 2+
標的タン パク 質の活性化
細胞間の情報伝達の様子
赤:細胞内カルシウム
1→3の順 3→6の順
視床下部は自律機能の支配者である
視床下部の支配する機能
神経内分泌調節
(
下垂体経由: 甲状腺・副腎皮質・卵胞・乳腺・肝臓・
腎臓・平滑筋とくに子宮など)
体温
睡眠(周期現象)
食欲に関する行動(渇き・空腹)
性行動
防御(恐怖・激怒)
本能的行動と情動
脳化学による理解
ノックアウトマウス
による原因遺伝子の
探索
脳の肉眼解剖的構造
大脳半球
間脳
中脳
脳下垂体
橋
小脳
延髄
脊髄
© Novartis Foundation for Gerontology
© Health Sciences Center
University of Colorado
間脳の視床下部(hypothalamus)と脳下垂体
正中線の断面図
視床下部
脳下垂体
大脳基底核と大脳辺縁系
尾状核
被核
淡蒼球
海馬
視索
前域
内側
核
視床下部外側野
室傍核
視床
下部
前核
視交叉上核
背内側核
腹内側核
視索上核
下垂体へ
視床下部
x
xx
xx
前葉
後葉
中葉
前葉ホルモ ン
AC TH : 向副腎皮 質ホルモン
TS H : 甲状腺刺激ホルモン
G H : 成長ホルモン
F S H : L H : L TH : 卵胞刺激ホルモン
黄体形成ホルモン
プロラク チン
中葉ホルモ ン
M S H : メラニン刺激ホルモン
後葉ホルモ ン
ADH : 抗利尿ホルモン(バソプレッシン)
O xy t oci n
:: オキシトシン
視床下部は自律機能の支配者である
視床下部の支配する機能
神経内分泌調節
脳下垂体経由
甲状腺・副腎皮質・卵胞・乳腺・肝臓・
腎臓・平滑筋とくに子宮など
体温
睡眠
(周期現象)
食欲に関する行動(渇き・空腹)
性行動
防御(恐怖・激怒)
内分泌系の統合中枢=視床下部
視床下部
脳下垂体
GH
TSH
ACTH
甲状腺
肝臓
副腎皮質
チロキシン
ソマトメジン
17-ヒドロキシコルチコイ ド
アルドステロン
性ホルモン
視床下部
放出ホルモン
抑制ホルモン
脳下垂体
プロラクチン
LH
FSH
乳腺
卵巣
卵巣
黄体
(卵胞の発育) (排卵)
エストロジェン
プロジェステロン
新しい脳
新皮質
(灰白質)
古い脳
視覚中枢・臭覚中枢
聴覚中枢・味覚中枢
体性感覚
情動・記憶・本能・自
律神経系の反応を統合
大脳辺縁系
(扁桃体)
している
視床下部
間脳
外側野
下位脳幹の
外側被蓋野
室傍核
下位脳幹と
脊髄の自律
神経運動核
呼吸
嘔吐
嚥下
咀嚼
舐め
食欲
交感神経
内側部
下垂体
下位脳幹の
内側被蓋野
ホルモン放出
副交感神経
水分調節
体温調節
淡蒼球
大縫線核
感覚・運動
の調整
性行動
大脳辺縁系
視床下部
情動・行動
脳幹
海馬
扁桃体
認知・記憶
価値判断
大脳新皮質
思考
帯状回
動機づけ
意識・睡眠
大脳基底核
視床
感覚中枢
安定性
小脳
分泌調節
スト レス
日内リズム
(情動・外傷など)
中枢神経系
視床下部
CRH
腎臓
下垂体前葉
AC TH
レニン・
アンギオテンシン
糖質コルチ
性
電解質コルチ
コイド
ホルモ ン
コイド
副腎皮質
動物の行動を変える物質
神経伝達物質(neurotransmitter)
アミン類
アミノ酸類
5-10%
アセチルコリン
ノルアドレナリン
ドーパミン
セロトニン
50%
ペプチド類
ヒスタミン
サブスタンスP
エンドルフィン
(エンケファリン)
γ-アミノ酪酸
(GABA)
グリシン
グルタミン酸
25-40%
分泌型のパターン
それぞれの神経細胞によって
利用するニューロトランスミッターが異なる
内分泌(endocrine)
標的細胞
分泌細胞
作用の調節:神経細胞内での伝達物質の合成と分泌
標的細胞での伝達物質受容体の合成と配置
血流
ホルモン
シナプス型(sinaptic)
標的細胞
電気インパルス
神経細胞
軸索
神経伝達物質
ラット脳内セロトニン神経系 (Breese, 1975)
アセチルコリン神経・ドーパミン神経・
ノルアドレナリン神経もそれぞれ異なった分布をする。
神経伝達物質
アセチルコリン
CH3
+
CH2-N-CH2CH2OCCH3
CH3
O
脳内の神経伝達の 5-10%
神経伝達物質:モノアミン類
0.5%
カテコラミン類
0.5%
0.5%
ドーパミン、アドレナリンの材料物質=チロシン
H2N
H2N
COOH
CH
CH2
COOH
CH
CH2
H 2N
HO
チロシン
HO
OH
OH
フェニルアラニン
NH2
CH2
CH2
COOH
CH
CH2
ドーパ
CH2
CH3
HN
CH2
NH2
CH2
HC OH
HC OH
HO
HO
OH
OH
アドレナリン
ノルアドレナリン
(エピネフリン)
(ノルエピネフリン)
OH
ドーパミン
セロトニンの材料物質=トリプトファン
C
H2
N
H
NH2
C COOH
H
HO
C
H2
トリプトファン
NH2
CH2
N
H
セロトニン
胃・腸管にほとんが分布する。
脳には、全体の1−2%が分布している。
ヒスタミンの材料物質=ヒスチジン
HC
C
H2
N
C
H
NH2
C COOH
H
N
H
HC
ヒスチジン
C
H2
N
C
H
N
H
NH2
CH2
ヒスタミン
神経細胞には少ない。
おもに、マスト細胞(肥満細胞)、リンパ球に
ふくまれる。
神経性アミノ酸
GABA (ギャバ/ガンマアミノ酪酸)
NH2CH2CH2CH2COOH
中枢神経系に高濃度で存在。
BBBは通過できない。
L-グルタミン酸の脱炭酸で脳内で合成。
作用は抑制的
グリシン
CH2 (NH2 ) COOH
中枢神経系に高濃度で存在。
中枢神経系内でグルコースからセリン、
セリンからグリシンへと合成される。
作用は抑制的。
L-グルタミン酸
NH2
HOOCCHCH2CH2COOH
L-アスパラギン酸
NH2
HOOCCHCH2COOH
中枢神経系に高濃度で存在。
ニューロン活動に興奮をおこす=興奮性アミノ酸
生理活性ペプチド類(=ホルモン)
50種以上が中枢神経系でみつかる→ ニューロペプチド。
1. オピオイドペプチド類
エンドルフィン・エンケファリンなど
ヒトβエンドルフィン(31 aa.)
YGGFMTSEKSQTPLVTLFKNAIKNAYKKGE
2. タキキニン類
サブスタンスP・ニューロキニン類など
サブスタンスP(11 aa.)
RPKPQQFFGLM
3.視床下部由来ペプチド
ソマトスタチンなど
ソマトスタチン (14 aa.)
AGCKNFFWKTFTSC
4. 消化管関連ホルモン類
コレシストキニン(CCK)・ガストリン・
グルカゴンなど
CCK (8 aa.)
DYMGWMDF
5.下垂体ホルモン類
バソプレッシン・オキシトシンなど
バソプレッシン (9 aa.)
CYFQNCPRCPRG
6.その他
アンギオテンシン・エンドセリン・ニューロテンシン
ニューロペプチドY・ガラニン・カルシトニンなど
ニューロペプチドY (98アミノ酸)
MMLGNKRMGL CGLTLALSLL VCLGILAEGY
PSKPDNPGED APAEDMARYY SALRHYINLI
TRQRYGKRSS PETLISDLLM RESTENAPRT
RLEDPSMW
田中ほか(1998)
視床下部はケミカルセンサーである
毛細血管の内皮細胞に小さな穴があり,
.
神経核が血液中の物質濃度変化を
関知しやすくなっている。
その他の部位:血液脳関門の障壁
(Blood Brain Barrier)
神経細胞
血管内皮細胞
グリア細胞
通過しやすいもの
脂溶性・担体輸送
される分子・正に荷電
した分子
通過しにくいもの
水溶性・タンパクと
結合した分子・負に
荷電した分子
視床下部
外側野の方が大きい
外側野
腹内側核
満腹中枢
グルコース受容ニューロン
摂食中枢
グルコース感受性ニューロン
血糖増加 興奮
血中遊離脂肪酸増加 抑制
血糖低下 興奮
血糖増加 抑制
血中遊離脂肪酸増加 興奮
摂食を調節する中枢
視床下部 (hypothalamus)
破壊
腹内側核(VMH)
満腹中枢
肥満
破壊
外側野 (LAH)
摂食中枢
餓死
摂食を刺激するニューロトランスミッター
(視床下部外側野)
ノルアドレナリン
GABA(γアミノ酪酸)
脳内モルヒネ類
βエンドルフィン
エンケファリン
ダイノルフィン
膵臓由来ペプチド
ニューロペプチドY
ペプチドYY
ガラニン
炭水化物への嗜好を刺激
脂肪とタンパク質への嗜好
を刺激
炭水化物への嗜好を刺激
脂肪への嗜好を刺激
摂食を抑制するニューロトランスミッター
(視床下部腹内側核:満腹中枢)
ドーパミン
タンパク質の摂食抑制
セロトニン
炭水化物の摂食抑制
アドレナリン
ノルアドレナリン
脂肪とタンパク質の摂食抑制
脳消化管ホルモン
コレシストキニン(CKK)
ニューロテンシン(NT)
カルシトニン(CT)
グルカゴン
摂食抑制
栄養素選択のメカニズム
炭水化物の摂取
インスリンの分泌
炭水化物摂食
アミノ酸の筋肉への
取り込み(取り込みはWが
炭水化物摂食停止
タンパク質への嗜好増加
相対的に少ない)
血液中トリプトファン濃度
の相対的増加
脳内トリプトファンの増加
脳内チロシンの減少
セロトニン増加
ノルアドレナリン減少
炭水化物摂食抑制 (タンパク質摂食促進)
栄養素選択のメカニズム
タンパク質の摂取
タンパク質の摂取
血中アミノ酸濃度増加
血液中トリプトファンの相対的低下
タンパク質 摂取停止 血液中チロシンの相対的増加
炭水化物 嗜好増加
脳内トリプトファンの減少
脳内チロシン増加
セロトニン減少
ノルアドレナリン増加
炭水化物摂食促進 タンパク質摂食抑制
食物の摂取
レプチン(leptin)作用のメカニズム
Filterら(1996)
インスリン分泌
脂肪組織中のob 遺伝子の転写
レプチンの生成
血中濃度増加
視床下部レセプターへの結合
レセプターがあいているとMCH
(メラニン濃縮ホルモン)
ニューロトランスミッター
(GLP-1)
グルカゴン様ペプチドー1
視床下部
摂食の停止
摂食
肥満=白色脂肪細胞の過剰蓄積
レプチン分泌増加
レプチン抵抗性
肥満者の95%=高レプチン血症
5%=低レプチン血症
(
ob / ob マウスと同じ)
血液中レプチン結合タンパク質の異常
脳血液関門の輸送障害
レプチン受容体の異常
db / db マウス
受容体以降のシグナル伝達系の異常
レプチンによる飽食シグ
ナルが視床下部につたわ
らない
食欲抑制・エネルギー消費増大
肥満の亢進
レプチン作用のメカニズム 2
Collins and Surwit (1996)
脂肪組織
ob遺伝子転写増加
血中レプチン濃度増加
褐色脂肪組織のレプチンレセプターへ結合
(β3アドレナリン作動性レセプター)
褐色脂肪組織における
脂肪消費促進
UCP
発熱器官
MRI (Magnetic Resornance Imaging)
ある行為の際に活性化している脳の部位を知る
© Ferenc A Jolesz
Brigham and Women's Hospital
Harvard Medical School
Boston, MA
遺伝子ノックアウトによる
遺伝子と行動の因果関係の研究例
FEMALE OXCYTOCIN GENE KNOCKOUT
MICE IN A SEMI-NATURAL ENVIRONMENT,
DISPLAY INCREASED AGGRESSIVE
BEHAVIOR.
Ragnauth, A.1, N. Devidze1, L.J. Muglia2, D.W. Pfaff1
Laboratory of Neurobiology & Behavior,
The Rockefeller University, New York, NY1,
Department of Molecular Biology & Pharmacology,
Washington University School of Medicine2, St. Louis, MS.
オキシトシンの遺伝子をノックアウトすると
行動はどうなるか。。。
他のネズミに
対する
攻撃の増加
雄に対する
攻撃の増加
動物生理学
夏休みの宿題
DNAのメチル化について
発生・発ガンなど複数の観点から
考察する。
ダウンロード

動物生理学 夏休みの宿題