2006/Dec. @理論懇シンポ
高次元重力の展開
田中貴浩 (京大理)
Compactifiation
素粒子論のモデル
„
Superstring theory (10次元) 、 M-theory (11次元)
我々の宇宙は4次元
→ Compactification!
Basic idea:
xµ
flat
y
もし余剰次元が非常にコンパク
トならば、我々はその存在を全く
感知できない。
高次元bulk
identify
2
Kaluza-Klein コンパクト化
xµ
例えば5次元のMinkowski
„ y~y+R 同一視
flat
y
„
y=0
y=R
(□( ) −m )ψ = 0
(∂ + m )u = 0
4
4d-part 余剰次元依存性
2
m
2
y
スカラー場
φ = ∑ψ m (x µ ) um ( y )
identify
5D bulk
□φ = 0
2
m
変数分離の分離定数 m2 が
4次元のmassの役目を果たす。
こちらの固有値方程式が
m2 を決定する。
解: um ( y ) = sin (my + δ )
同一視 um ( y ) = um ( y + R )
mR = 2π j
One massless mode (j=0)
Mass gap = O(1/R)
Kaluza-Klein tower
3
新しいコンパクト化の方法(braneworld)
青:電気力線
F∝1/r2
赤:重力の力線
F∝1/rD-2(近距離)
1/r2 (遠距離)
Kaluza-Klein
コンパクト化
高次元方向には一様
重力は時空の力学
なので、高次元時空
があれば、そこを重
力が伝わるのは自
然。
重力に対する観測
的制限が弱い為、
余剰次元の大きさ
が比較的大きくても
無矛盾。 ∼0.1mm
Branworld
重力のみが高次元時空中を伝播
Standard modelの場はブレーンに局在
-局在させないと実験と完全に矛盾
4
逆2乗則からのずれに対する制限
Short rage force
Gm1m2
[1 + α exp(− r12 / λ )]
U =−
r12
Capner et al
hep-ph/0611184
5
Large extra dimensions (ADD model)
Arkani-Hamed, Dimopoulos and Dvali (1998)
??
1
4
n
S=
d
x
d
y − gR
∫
∫
16πGn + 4
余剰次元方向に一様を仮定
余剰次元の体積
4次元時空
×2次元トーラス
階層性問題
特に n=2 の場合,
M6 をelectroweak scale
1TeV= 103GeVにとると
余剰次元のスケールが
d=1mm ≈ (10-13GeV)-1
(1019GeV)2 ≈ (103GeV)4 (10-13GeV)-2
Vn
4
(4 ) (4 )
−
d
x
g
R
∫
16πGn + 4
この部分が有効ニュートン
重力定数とみなせる
~1/16π GN
M pl2 ≈ M nn++42 d n
余剰次元の
length scale
6
coincidence
Large Hadron Collider (LHC)
7TeV+7TeVの2proton衝突 (’07完成?)
(TeV )2
M pl
106 GeV 2
= 19
= 10 −13 GeV = 10 − 4 eV ≈ 10 −3 eV
10 GeV
cosmological
~
„
1mm
逆2乗則
constant
weakスケールでの重力を含む力の統一?
consistentな低エネルギーでの重力理論変更の
可能性
あまり検討されていない新たなコンパクト化
⇒未知の現象や効果への期待
7
Warped extra dimension
Randall Sundrum I model (1999)
階層性問題をwarpによっ
て説明しようという提案
(
2
2
−2 y / λ
µ
ν
ds
=
dy
+
e
η
dx
dx
5D anti-de Sitter
µν
λ : AdS 曲率スケール
6 5次元の
Λ5 = − 2
λ 負の宇宙項
3
σ=
ブレーンの
4π G5λ tension
+σ
Z2-symmetry
−σ
Λ5
)
??
xµ
y
positivetension
brane
AdS
Bulk
y+
d
negativetension
brane
y−
8
4次元の有効理論は、ラフには 金太郎飴configurationを代入
することでわかる. ds 2 = dy 2 + e −2 y / λ g (4 )dx µ dxν
(
)
µν
M 53
4
S=
dy
d
x − g {R + 2Λ 5 }
∫
∫
2
代入
S⊃M
3
5
∫
y−
y+
y
dy e − 2 y / λ ∫ d 4 x − g (4 ) R (4 )
(
λM 53 − 2 y+ / λ − 2 y− / λ
e
−e
2
)
この部分が有効重力
定数を与える
negative tension brane に住む場合
M
2
pl
(
= e
(1019GeV)2
2d / λ
)
金太郎飴
y+
y−
d
positive tension brane に住む場合
−1 M λ
3
5
(TeV)2
d~40Uで階層性を解決
(
)
M pl2 = 1 − e −2 d / λ M 53λ
階層性問題は解決しないが、
d →∞ でも有限のMpl
⇒新しいコンパクト化 (RSII)
9
RSII braneworld における重力と宇宙論
何故 RSII modelが盛んに研究されてきたのか?
通常、コンパクト化すると4次元の有効理論としてはコンパクト化のサイズ
に対応したmassless scalar fieldが現れる。有害(第5の力)
δgµν
1


∝□  Tµν − gµν T 
2


−1
この係数は4次元一般相対論では1/2だが、
余分なscalar場の自由度があると1/2からずれる
current bound <10-5
無害にするため、
コンパクト化のサイズを固定 (stabilization)するメカニズムを加える
⇒ massiveになり短距離力になるため無害
1 −mr
湯川型のポテンシャル e
r
しかし、(mass scale)-1∼(compact化のサイズ) 以上では影響がほとんどない。
逆に、そのサイズ以下ではstabilizationのメカニズムに依存
10
一方、
RSIIではwarped geometryの効果でeffectiveにコンパクト化
が実現されている。
??
x
µ
y=∞
Brane
y=0
Stabilizationを必要としないため、逆に重力がnon-trivial!
11
一般相対論からのずれ
„
„
„
Shiromizu Maeda & Sasaki (2000)
Effective Einstein eq.
RSII (infinite extra-dimension) における長波長での補正
Garriga & Tanaka (2000)
Black holeの古典的蒸発(AdS/CFT対応)
Tanaka (2003), Emparan et al (2002)
宇宙論的な効果
H 2 = ρ + ρ 2 Friedmann方程式の変更,
„ dark radiation
Mukohyama (2000)
„ bulk inflaton
Himemoto & Sasaki (‘01)
„ inflationの起こる時期のinflatonの期待値を小さくする効果
Maartens, Wands, Bassett and Heard (2000)
„ cosmological perturbationに対する高次元の影響
Hiramatsu, Koyama & Taruya (’04,’05), Ichiki & Nakamura (’04),
Kobayashi & T.T. (’05,’06), Kobayashi (’06),
Hiramatsu & Koyama (’06)
„
12
Black hole 生成 @TeV スケール
加速器でblack hole生成が可能かも?
通常は不可能
BHが生成される条件は:
量子重力が効くfundamentalスケールよりもSchwarzschild半径が大
„
2M
1
Rs = 2 >
M pl M pl
E ≈ M > M pl
とすると
Mplを超える重心系でのエネルギーが要求される
重力のfundamentalスケール ~ TeV ならば
„
„
同様の理屈で必要な重心系エネルギーはTeV程度
これなら実現可能かも?
13
Black hole生成とは言うものの…
考えているのはこんな状況
ローレンツ因子 γ ∼1030
1kgのレンガ
1km離して
1kgのレンガ
片方のレンガから見たとき、もう一方のレンガ
のeffective massは γM ≈ 1033 g
Schwarzschild半径が1km
衝突?したときには既にhorizonの中なのでBHができるしかない
より厳密な取り扱い
„
shockwave solutionの衝突でapparent horizonが形成されることを確認
Eardley & Giddings (’02), yoshino & Nambu (’03, ’04), etc.
14
BH 生成から蒸発までのシナリオ
ホライズンの形成
 E 
D −2
散乱断面積 ≈ rg ≈  D −3 
 MD
D−2
D −3

重力波
重力波放出 ⇒Kerr BH
Hawking 輻射
重力波
Hawking
輻射
大半がブレーン上の粒子として放出される.
Emparan, Horowitz & Myers (2000)
⇒ Hawking 輻射のspectrumが観測される???
Kodama & Ishibashi (’03), Ida, Oda & Park (’03,’05,’06)
Harris & Kanti (’05), etc.
ひょろ
ひょろ
Braneからの離脱 T.T. & Flachi (’05)
15
ブレーン無しの
高次元black holeの研究も進んだ
16
宇宙項問題と高次元重力
Originalの宇宙項問題)
何故、宇宙項の値は小さいのか?
Λ~ (10-3 eV)4
„ 加えて、Coincidence 問題
何故、現在ΩΛ∼1なのか?
人間原理
観測される物理定数の確率分布に観測者の存在確率の重みをかけるという考え方。
観測確率 =
銀河の生成率 × 先見的確率
先見的確率
は初期宇宙の物理で決まるべきもの。しかし、Λ=0が特別でないなら
ば、Λの小さな範囲を問題にする限り一様確率分布が自然。
If
先見的確率
∼ 一様
観測確率
∼ 銀河の生成率
17
一様なΛの先見的確率分布を得るメカニズム:
„
3-form 場: Aνρσ
SF = ∫ d 4 x − gFµνρσ F µνρσ
F
µνρσ
;µ
=0
Fµνρσ = ∂[ µ Aνρσ ]
完全反対称
F µνρσ = cε µνρσ
∂c
= 0 cが積分定数
µ
∂x
string理論のcontextではcは量子化されている。
„
„
量子化されている間隔が大きすぎる[grid problem]
沢山の3-formが出てくることで解決される。
Bousso & Polchinski (2000)
1
1
2
Λ = Λ bare + ∑ Fa =Λ bare + ∑ n a2 qa2
2
2
18
観測確率
∼
銀河の生成率
銀河の生成率:
Λの大きな宇宙では、早くから加速膨張が始まる
⇒ 密度ゆらぎの成長が止まり銀河ができにくい。
Λが負の宇宙では、すぐに宇宙がcollapseしてしまう。
銀河の生成率
このような状況になっていれば人間原理で宇宙項問題は説明可能
現在の値
銀河の生成率の評価の問題 1012M
particle cosmologyの問題
というよりも
(超?)銀河進化の問題
Λ
solの銀河が必要とすると上のような状況になる。
Garriga & Vilenkin (’03)
106Msolの銀河で十分なら Λ < 500 Weinberg (’89)
密度ゆらぎのamplitudeも確率的だとすると
Garriga & Vilenkin (’06)
19
宇宙項問題は問題でないのかもしれないが、別の解決策があ
るかもしれない。
理論屋としては、その他の問題とセットで解決できる
ことを夢見る。
Dark matter, Baryon number, inflatonの起源, etc.
更に、検証可能なpredictionがあれば申し分ない。
他方、4次元のeffective theoryの範囲ではかなり調
べられているが、宇宙項のfine tuningを避けるideaは
ひとつも成功していない
⇒ 高次元重力に活路を見いだそうという試み
別の方向性としてはLorentz violation
20
6次元 braneworld モデルにおける self-tuning
(おそらく失敗例)
主張:brane上に導入されたc.c.を打ち消すよ
うにdeficit angleが変更される。
「宇宙項は4次元を曲げるためではなく余次
元を曲げる為に使われる。」
余剰次元が2次元
反論:本当は特別なdeficit angleにtuning
したときにc.c.が打ち消されるだけで、c.c.
にあわせてadjustされるわけではなかった。
Garriga & Porrati (‘04)
次なる主張:単純なモデルはだめだけど
supersymmetricなモデルはうまくいく。
反論:見事にWeinbergの“No-go theorem” (‘89)に抵触してしまっている。
Garriga & Porrati (‘04)
tuning mechanismを対称性に求めるとpotentialとして
−ασ
V =e
~
V (φi ) が得られてしまう。
fine tuning 無しにV=0になるのはσ →∞。
このときには全てのcouplingが0の不毛な理論になってしまう。
21
Dvali-Gabadadze-Porrati model
(Phys. Lett. B485, 208 (2000))
4次元のEinstein-Hilbert作用を加えたbraneworldのモデル
(
S = M 53 ∫ d 5 x g R + ∫ d 4 x g (4 ) M 42 R (4 ) + Lmatt
)
M 53 = M 42 / 2rc
Critical length scaleが存在
??
xµ
y
Brane
Minkowski
Bulk
y=constant
Bulkは無限に広がっているが、 r<rc
では4次元の項が効いて重力は4次
元的になる。逆に、長波長では5次
元的。
線形解析からは4次元のEinstein
gravityではなくω =0注のBransDicke理論のようにふるまう。
即ち、光の曲がり角が25%小さい。
ところが、非線形効果が効いて、
Einstein gravityからのずれが小さく
とどまるという不思議な性質がある。
注)千葉君に間違いを指摘してもらい修正しました。
22
DGP modelの宇宙論
変更された Friedmann eq.
ε = +1
1
2
ρ
=
H
− ε rcH
2
3M 4
ε = −1
ε の正負に対応した二つのブランチが存在
宇宙初期 H >> rc−1
では普通と同じ。
後の時刻でブランチ間の差が出る
Minkowski
bulk
ε = +1 のブランチではρ → 0の極限で
H → rc−1
self-acceleration
Deffayet (’01)
23
DGP modelのpathology
線形では4次元Einstein重力と異なるが、非線形効果で4次
元Einstein重力に近いものが出現する。
Veinstein機構
Porrati (‘02), Gruzinov(’05), Tanaka (’04) etc.
4次元の理論にreductionしたとき、Kulza-Klein tower にmassless
gravitonが含まれていない。
massive gravitonのつくるmetric perturbation
δgµν ∝
1 
1

T
g
T
−

µν
2  µν
□+ m 
3

½と違うのでmassless極限でも一般相対論からずれる
van Dam-Veltman-Zakharov discontinuity
理論がプランク長よりずっと長い波長(rc2 lpl)1/3∼1000kmで
強結合になる。
強結合=loop補正が大きくなり無視できなくなる。
Luty, Porrati & Rattazzi (’03)
<
24
DGP modelのpathology
self-acceleration ブランチではghostが出現する。
ghost=逆符号で作用関数に入ってくる粒子、負のエネルギーを持つ
Snormal = ∫ − (∇φ ) − V (φ )
2
Sghost = ∫ (∇φ ) + V (φ )
2
ghostとnormalな粒子の対生成が爆発的に起きて理論として破綻!?
ghost
話せば長いことながら、
このghostは普通のghostとは少し違う
Luty, Porrati & Rattazzi (’03), Nicoils & Rattazzi(’04), Charmousis et al (‘06)
Gorbunov, Koyama & Sibiryakov (’05), Izumi et al hep-th/0610282
staticな星のまわりの摂動を考えると、超光速で伝播するモードが存在す
る。
「単純な4次元effective theoryになってしまうのでは、今までと
同じ、少々のおかしなことはむしろ必要。」
25
まとめ
ブレーンワールドに端を発して高次元重力に関する知識
は爆発的に増えた。
特に、高次元重力の直感的理解に必要な基礎が少しづつ
ではあるができ始めてきている。
主としてブレーンがないただの高次元重力や、ブレーンを含め
た系では一様等方宇宙と線形摂動
明らかにブレーンを伴う系における非線形重力に関してはわか
ってないことが多い。
更に、次にどのような展開が待っているかなかなか予想
がつかない。
個人的には、細かいことをやっているように見えても、別の大
きな問題と繋がっているということがありそうな予感がする。
26
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