明治大学情報科学センター編
インターネットコミュニケーション
デジタルライフのおとし穴
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目次
第1章 パーソナルコミュニケーション
1.「コミュニケーション」とは
2.コミュニケーションツールとしての
インターネット
・コミュニケーションの一方向モデル
・コミュニケーションの双方向モデル
・インタラクティビティ(相互作用性)
3.電子メールコミュニケーションの特性
・対話の場面の空間的・時間的拡大
・文字によるコミュニケーション
4.情報共有
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第1章
パーソナルコミュニケーション
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「コミュニケーション」とは
「何かを伝える」こと
「一方向モデル」(線形モデル)
コード体系:
送り手と受け手の両者に了解されている約束事
(言語における文法)
コンテクスト(文脈)の関与
・伝えるという好意の目的は何か
・なぜ伝えたいのか
・伝える結果、何が起こるのか
・相手に伝わるまでに何が起こっているのか
・うまく伝えるためにどうしたらよいか
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双方向モデル
一方向モデル:メッセージ伝達の仕組み
相手がメッセージを理解する仕組み
伝達の効果の検討に適する
コミュニケーションは一方向では完結しない
→「双方向モデル」
・単純な双方向モデル
=二つの一方向モデルの組み合わせ
・ロジャースの螺旋収束モデル
=双方向に情報を交換し合うことで、お互いに
影響を与えながら、相互理解を目指すもの
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インタラクティビティ(相互作用性)
メッセージ交換によってお互いに影響を与え合う度合い
(インターネットのような道具を介したコミュニケーションに
おいては重要視される)
・単に情報の流れが双方向であるというだけではない
・相互理解という目的に向けて効率よく影響を与え合う
・情報のやり取りが短時間で行われる必要
マスメディアとの対比
・多くの人に同時にメッセージを送ることを可能にした
・流れは一方向で、個人は一方的な受け手になってしまう
インターネットのような通信手段によるメディア
・多くの人に同時にメッセージを送ることは同様に可能
・個人も選択・制御・送り手になることで積極的参画が可能
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コミュニケーションツールとしての
インターネット
日本のインターネット利用者:
・1998年2月時点で1000万人を超えた
・個人利用者の約6割が使い始めて1年以内
・インターネットを利用している家庭が14%を越えた
インターネットに接続しているホスト数
(2002年で1億6千万台)
インターネットの急速な普及
・「便利」「機能が優れている」理由だけでは普及しない
・相手の必要性=利用者が多くなれば価値が増す
新しい技術の導入=S字曲線を描く
10~25%の時点から急増
→インターネットはまさにこの離陸期にきている
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電子メールコミュニケーション
インターネットの利用
・WWWブラウザの登場→Webページの閲覧
・電子メール
(利用者のもっとも多くが利用しているサービス)
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電子メールコミュニケーションの特性(1)
対話の場面を空間的・時間的に拡大した
・地理的な制約を超えたコミュニケーションが可能
・時間的な高速から開放される
・従来の人間関係が緊密になりうる
・常に同時に多くの人間関係の中に置かれる
・情報過多に陥りかねない
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電子メールコミュニケーションの特性(2)
文字によるコミュニケーション
お互いの姿は文字を通してしか見えない
・会話のような即時のフィードバックを欠く
・双方の社会的地位や身体的特徴などが見えない
・平等で創造的なコミュニケーションが行われる
・反面、対人的配慮を欠き極端な意見がでやすい
・匿名性ゆえ現実と異なる倫理観が生じてしまう
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対話の場面の空間的・時間的拡大
(1)地理的制約を超える
会話=会って話をする→同じ場所に集まる
→一定の地理的範囲に限定される
克服の二種類の技術
1.人やものの輸送技術(鉄道・自動車・航空機)
ものの移動を伴い距離に応じて時間がかかる
2.放送・通信技術(テレビ・ラジオ・電話・電子)
テレビやラジオ:個人の手段には]使えない
電話:距離が費用の問題に直結してしまう
★電子メール:距離が時間・費用の問題にならない
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地球規模でのコミュニケーションを可能にする
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対話の場面の空間的・時間的拡大
(2)コミュニティの広がり
電子メール:手紙を電子化したもの
一対一のやり取りに限定されない(cf.手紙)
・相手を複数並べれば多数の人々に送信可能
・メーリングリストを利用
→一つのアドレスに送ることで参加者全員に送信
従来のコミュニティ成立の条件
(1)構成員相互に交流があること
(2)目標や関心が共通していること
(3)一定の地理的な範囲にいること
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★電子メールはこうした条件を除去ないし緩和する
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対話の場面の空間的・時間的拡大
(3)自分の都合・相手の都合(非同期
性)
送信と受信が同時でなくてよい
所要時間は物理的距離ではなく相手の利用頻度
コミュニケーションの理想形態とは?
送信と同時に受信される(同期性)
相手に同時にコミュニケーションを強要する
同期性がコミュニケーションを妨げる危険性
(例:時差、相手の生活に割り込むのを配慮)
★コミュニケーション拡大には非同期性が不可欠
お互いに書きたいときに書き読みたいときに読む
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時間的制約にとらわれず、柔軟性を確保
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対話の場面の空間的・時間的拡大
(4)情報格差
電子メールのマナー:半日か一日程度で返事
インターネットの仕組み上、不到達の可能性
相手に心配をかけないよう受け取った報告
メッセージを放置=電子メールのやり取りから除外
他の手段で上の情報を伝達してもらえるか?
電子メールが簡便さから手段として支配的になる
=情報の割合の大部分を占めるようになる
★当該手段を利用する者としない者とでの
「情報格差」が広がってしまう
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対話の場面の空間的・時間的拡大
(5)人間関係の変化
空間的・時間的な制約が取り払われる
・好むと好まざるとに関わらず
・時と場所を選ばす
・さまざまな人間関係からのメールが届く
★実生活の人間関係がネットワークでは
時間的・空間的制約を越えて持続、強化される
★自分をとりまくあらゆる人間関係に常に同時に関
わらざるを得なくなる
★ネットワークで生じた人間関係が付加される
★積極的であろうとすれば多忙になってしまう 15
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対話の場面の空間的・時間的拡大
(6)情報過多
新しい人間関係の発生+人間関係の持続
→情報量が膨大になり処理に忙殺される
消極的になってはインターネット利用の意味が半減
受け取る情報のフィルタリングの重要性
・重要性による差異化
・差出人・表題・メッセージの大きさによる振り分け
・自動的に返信する機能
機能の使いこなすことで優先度の高いものからの
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効率的な処理が必要
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文字によるコミュニケーション
(1)言語とコンテクスト
言語を文字として書き記す
表現が忠実に相手に伝わり時間が経過しても残る
文字の並びが正確に伝わったからといって
言いたいことが正確に伝わるとは限らない
★コンテクスト(前後関係や場の状況)による
★非言語コミュニケーションに依拠
「目は口ほどにものを言い」
電子メールではコンテクストがわからない
非言語コミュニケーションができない
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配慮の必要性/エモティコンの適切な利用
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文字によるコミュニケーション
(2)即時のフィードバックの欠如
相手が目の前にいない
目前にいれば自分の発言に対する反応がわかる
誤解を解くこともできる
見えない相手の反応を勝手に想像しながら書く
誤解が誤解を生み思わぬ方向へ発展の危険性
・「フレームflame」:「炎」「火をつける」
不適切な表現から感情的に相手を傷つける
★「誤解」や「フレーム」が起きたら、原因となった
表現や理由を考える必要がある
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文字によるコミュニケーション
(3)相手が見えない
ネットで知り合った見知らぬ人同士の場合
アドレスは所属する組織について若干の手がかり
容貌・職業・年齢・性別・社会的地位などは不明
思わぬ人だった、思わぬ被害あったなどの事例
★社会的な制約から解放された情報伝達が可能
自由で思い切った創造的発言が可能
★相手への配慮を欠き極端な発言が出やすい
差別・中傷などと受け取られかねない表現
★どのようにして書かれたかもわからない
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背後に様々な状況の人がいることの認識が必要
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文字によるコミュニケーション
(4)相手との共通基盤
「あなたの両親は何人ですか」?
共通基盤を期待することのできない場合
当然の常識と思い込んでいることを疑う必要
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文字によるコミュニケーション
(5)ネットワーク上の自己
自分も相手から見えない
・自分がそのような人間であるかを戦略的に示す
・日常の世界とは全く別人格を演出する
現実世界では一貫性
多様な人間関係の中で、IDごとに異なった人格とし
て登場することか可能
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文字によるコミュニケーション
(6)匿名性
現実の自己が危険にさらされずにすむ
・発言や行動に対する責任感が欠落
・現実の世界での倫理観とのズレが生じる危険
・自己答責性の意識が欠如する
自分がやったと気づかれないから現実には危険
が及ばないだろうと誤信する
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インターネットコミュニケーション第1章 - 駿河台メディアサービス