小学校理科/中学校理科第2分野 : 「天文」領域
現役学校教員研修用資料
(東京大学木曽観測所 105cm シュミット望遠鏡+2kCCD カメラで撮影されたバラ星雲)
2010 年度版
西浦慎悟
東京学芸大学・自然科学系・宇宙地球科学分野 / 助教
小学校理科/中学校理科第2分野 : 「天文」領域
現役学校教員研修用資料
∼ 目 次 ∼
第Ⅰ部
観測天文学入門∼星と星座の観察のために∼
第1章 星座 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
星座の起源 / 夜空の道標(みちしるべ)
第2章 星までの距離 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5
月までの距離 / 光年・天文単位・パーセク
第3章 星の明るさと色 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7
星の等級 / 見賭け等級と絶対等級 / 星の色
第4章 星の位置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
9
赤道座標 / 地平座標 / 屋外での星の位置の表現法
第Ⅱ部
宇宙の構造
第5章 地球と太陽系
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
地球と夜空の星々 / 惑星:地球の仲間たち / 月と衛星 / 太陽系内小天体
第6章 天の川銀河と宇宙
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
恒星の世界から天の川銀河へ / 銀河宇宙の世界へ / 恒星の一生
第Ⅲ部
天体の動き
第7章 地球の公転と自転
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
地球の回転運動 / 星の日周運動と年周運動 / 地球の公転運動と四季 /
地球の公転運動と年周光行差 / 地球の自転運動とフーコー振り子
第8章 太陽・月と惑星の動き
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
月の満ち欠け / 日食と月食 / 内惑星の動き / 外惑星の動き / 掩蔽(えんぺい)
第Ⅳ部
観察・実験と演習
第9章 観察・実験
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
天体の運行の仮想体験 / 月・金星の満ち欠け / 天文現象の観察 /
他教科との関連 / 教科書に出てくる観察・実験
第10章 演習
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46
執筆者自己紹介 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49
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第Ⅰ部
観測天文学入門∼星と星座の観察のために∼
第1章 星座
1.1 星座の起源
古代の人々は、星と星をつないで、夜空に人や動物、器具などをはじめ様々な形を描き出しました。このよう
な星を結んで天空に描かれた形を星座といいます。
古代エジプトの記録には、星の並びを人に見立てた図が残されており、これが最古の星座の記録であると言
われています。他にも様々な時代、様々な場所に星座の記録が残されていますが、現在の私達が知っている星
座の起源は、古代メソポタミアの羊飼い達が作ったものと言われています。この後、様々な星座が古代ギリシア
に伝わりましたが、今から 2000 年ほど前、古代ギリシアの天文学者ヒッパルコスが、これらの中から多くの星座を
決定しました。これらを元にして、古代ローマ帝国の天文学者プトレマイオスはトレミー(プトレマイオスの愛称)の
48 星座と呼ばれる、48 個の星座を北天にまとめました。プトレマイオスがまとめた星座の多くは、ギリシア神話の
影響を大きく受けており、オリオン座、カシオペア座、ヘラクレス座、くじら座、ペガスス座などギリシア神話に登
場する人や伝説上の生物などに由来した星座がたくさん含まれています。
これに対して、南天に星座がつくられたのは、15∼18世紀の大航海時代と呼ばれる時代になってからです。
南天の星座には、はえ座、きょしちょう座、カメレオン座やテーブル山座などがあります。この後、様々な人が好
き勝手に星座をつくるようになりました。このような混乱を治めるため、1928 年、国際天文学連合(= IAU)で全天
の星座 88 個と、星座どうしの境界線を定めることが決定しました。これが現在、私達が知る星座です。
星座は、単なる星の並びに過ぎないため、天文学に直接関係することはほとんどありません。しかし、天体の
おおまかな位置を星座によって表したり、星の名前をそれが位置する星座の名前から付けたりするため、決して
意味の無いものではありません。特に、夜空で星を眺めるときには、星座は目標の星を見つけるための心強い
道標ともなります。例えば、図 1.1 のように、小学校理科では、北極星を探す目印として、カシオペア座や北斗七
星(おおぐま座の尻尾の部分)を使う方法が、しばしば紹介されます。
また、小学校理科の教科書では、おおぐま座、さそり座、こと座、わし座、はくちょう座、カシオペア座、おうし座、
オリオン座、おおいぬ座、こいぬ座などがよく登場するようです。
(図 1.1: 北極星の探し方)
1.2 夜空の道標(みちしるべ)
明るい星をつないだ特徴的な形は、星や星座を見つけるための夜空の道標となります。夏の夜空に輝く三つ
の1等星、こと座のベガ、はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイル、を結んだ夏の大三角が代表例でしょう(図
1.2 参照)。ベガは七夕神話の織姫星、アルタイルは牽牛星(ひこ星)でもあります。こと座とわし座は、互いに天の
川の対岸に位置するため、夏の大三角は、天の川を探す目印にもなります。また、はくちょう座には明るい星が
十字型に並んだ部分があり、これを南十字座に対して、北十字(88 星座の一つではなく、あくまではくちょう座の
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一部)と呼ばれることもあります。
冬の夜空には、多くの1等星が輝いています。オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座の
プロキオンを結んだ冬の大三角は、夏の大三角と並んで、小学校の理科では頻繁に取り上げられます。また、
オリオン座のリゲル、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、ふたご座のポルックス、ぎょしゃ座のカペラ、
そして、おうし座のアルデバランを結んだ冬の大六角と呼ばれる目印があります(図 1.3 参照)。特にオリオン座と
ふたご座の間には、冬の天の川が位置するため、これらは冬の天の川を見つけ出す目印にもなります。また、お
うし座には、プレアデス星団(すばる)が存在します。これは、意外と街中でも、ぼんやりとした薄暗い光の塊として
見ることができます。天体望遠鏡でプレアデス星団を観察すると、たくさんの暗い星の集まりであることが分かりま
す。
(図 1.2: 夏の大三角、ほぼ上が北、左が東)
(図 1.3: 冬の大三角と冬の大六角、ほぼ上が北、左が東)
小学校理科で取り上げられるのは、夏・冬の大三角くらいですが、春や秋の夜空にも、同様の道標が存在しま
す。まず、春の夜空には北斗七星の柄のカーブをそのまま延長することで、うしかい座のアルクトゥルス、おとめ
座のスピカを結ぶ大きな曲線が得られます。これを春の大曲線と呼びます(図 1.4 参照)。そして、このスピカとア
ルクトゥルスにしし座のデネボラを加えて描かれる三角形は、春の大三角、さらにこれら三つの星にりょうけん座
のコル・カロリを加えてできる菱形を春のダイヤモンドと呼ぶことがあります。
ただ、春の夜空では、春の大曲線以外は、あまり取り上げられることはありません。これは、スピカとアルクトゥ
ルスが1等星であるのに対して、デネボラ、コル・カロリが2等星(しかもコル・カロリは3等星に近い)と暗いためか
もしれません。
しし座のデネボラが見つかると、その側に同じしし座の1等星レグルスが見つかります。レグルスはしし座の胸
にあたりますが、ここからししのたてがみ、顔を描く部分は、丁度「?」を裏返しにしたような形であり、春の夜空で
も目立つ星の並びになっています。この部分はししの大鎌と呼ばれています。毎年 11 月 17 日あたりに極大を迎
えるしし座流星群の放射点(輻射点)は、ししの大鎌あたりにくるため、この時期にはここを中心に流星が流れる
光景が見られます。
秋の夜空では、ペガススの四辺形と呼ばれる大きな四角形が、様々な星や星座を探す目印になります(図 1.5
参照)。この四辺形は名前の通り、ペガスス座の一部になっています。ペガスス座のシェアトとアンドロメダ座のア
ルフェラッツからなる、この四辺形の北の一辺から、アンドロメダ座に沿って大きな曲線を描くと、ペルセウス座の
1 等星ミルファク(アルゲニブと呼ぶこともあるが、ペガスス座にも同名の星があるので注意)に辿り着きます。この
曲線を秋の大曲線と呼ぶことがあります。秋の大曲線の一部となるアンドロメダ座の北には、小学校理科で頻繁
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に登場するカシオペア座があります。秋の夜空には、1 等星が少ないため、ペガススの四辺形や秋の大曲線は、
主な星や星座を探す重要な道標となります。
(図 1.4: 春の大曲線と春の大三角、春のダイヤモンド、ししの大鎌、ほぼ上が北、左が東)
(図 1.5: ペガススの四辺形と秋の大曲線、ほぼ上が北、左が東)
第2章 星までの距離
2.1 月までの距離
江戸時代の俳人、小林一茶は、
満月を 取ってくれろと 泣く子かな
という有名な句を詠みました。子供をあやしているのは親でしょうか?それとも兄か姉?江戸時代の大きな家の
子供であるならば奉公人かも知れません。子供がなかなか泣きやまず、おろおろしているシーンが心に浮かび
ます。
さて、この子供が欲しがっている月までの距離は、実際にどれくらいなのでしょうか?理科年表(平成 21 年)に
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よると、地球から月までの平均の距離は約 38 万 4400km となっています。新幹線の速さを時速 300km とすると、
何と約 53 日と 9 時間かかる計算になります。さらに人が歩く速さを時速 4km とすると、地球から月までおおよそ
10 年と 352 日、つまり約11年間も休むことなく歩き続けなければ到着できないことになります。ちなみに地球・月
の間の距離約 38 万 4400km という値は、地球の直径の約 30 倍にあたるため、地球と月の間には、地球それ自
身が 30 個も入ることになります。月が意外と遠くにあることを実感しませんか?(図 2.1 参照)
月は私達が住む地球に、最も近い天体ですが、その月でさえも途方もなく遠くに位置しています。天文学で
は、様々な天体までの距離があまりにも遠いため、地球上で普通に用いられる単位とは全く異なる単位で、天体
までの距離を表現します。
(図 2.1: 月までの距離)
2.2 光年・天文単位・パーセク
星までの距離を表す単位として、最も有名なものはやはり光年でしょう。これはこの宇宙で最も速い光(約秒速
30 万 km)が、1年かけて進む距離です。この光の速さ、秒速 30 万 km という速さは、1 秒間に地球を 7 回半も回
ることができるほどの速さです。1光年は、約 9 兆 5000 億 km にもなります(図 2.2[左]参照)。
しかし、太陽系(第5章参照)の中で、天体までの距離を測るには、光年という単位はあまりに長過ぎます。そこ
で、このような場合には、天文単位(AU = astronomical unit)を用います。天文単位(AU)は、太陽と地球の間の平
均距離、約1億 5 千万 km を1とする距離単位です(図 2.2[中央]参照)。天文単位は太陽系の研究だけではなく、
太陽のような恒星が生まれる場所や、太陽系のような他の惑星系の研究でも頻繁に使用されます。
天文学全般で使用される距離の単位に、パーセク(persec)があります(図 2.2[右]参照)。地球は太陽の周りを1
年かけて公転しているため、太陽のこちら側から、半年かけて向こう側まで移動していきます。この時、遠くにあ
る星の位置はほとんど変化しませんが、それに対して、近くにある星は僅かにその位置を変えます。これは、目
の前に指を一本立てて、遠くの風景と指の位置を観察した場合、左目だけで見た時と、右目だけで見た時とで
大きく異なることと同じです。地球の公転運動によって生じるこのような星の位置のズレの大きさを、角度で表し、
年周視差と呼び、この年周視差 1 秒角にあたる距離を 1 パーセクとします。年周視差はとても小さな角度であり、
最も近い恒星の年周視差でも、たった 0.76 秒角(1 秒角=1/3600 度)しかありません。このため、星までの距離は
年周視差に反比例することになり、1 秒角(1 arcsecond)あたりの距離という意味を込めて、パーセク(pc = per
arcsecond の略)と名付けられました。
(図 2.2: 様々な距離単位。[左] 光年、[中央] 天文単位、[右] パーセク)
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第3章 星の明るさと色
3.1 星の等級
きれいに晴れた夜空を見上げると、様々な星を目にすることができます。それがたとえ大都会の真っ只中であ
っても、月や幾つかの明るい星たちであれば、その存在に気付くことができるでしょう。しかし、肉眼でやっと見え
る程度の非常に暗い星は、都会から遠く離れた街灯すらほとんど無いような山奥などでなければ、見るのは難し
いでしょう。
このような星々の明るさを初めて決めたのは、今から 2000 年ほど前の古代ギリシアの天文学者ヒッパルコスで
す。ヒッパルコスは、太陽・月や惑星(第 4 章参照)を除いた星々の中から、特に明るい星を約 20 個選び、これら
を1等星と分類しました。そして、肉眼でようやく見えるような暗い星を 6 等星と分類し、両者の間の明るさの星々
を、2等星、3等星、4等星、5等星と分類しました。なお、1 等星の明るさを 1 等級、2 等星の明るさを 2 等級とい
う具合に表現します。古代ギリシアは当時の大先進国でしたが、現代のように電気を用いた非常に明るい照明
器具などはまだ存在しなかったため、夜空にはさぞ多くの星々が見えたことでしょう。
この後、2000 年近くの間、星の明るさは、観測者が自分の目で見て主観的に決められてきました。そのため、
観測者によって、記録される星の明るさはまちまちになってしまい、特に天体望遠鏡による天体観測が主流にな
ってからは、この違いが大きくなって来ました。
19 世紀半ば、イギリスの天文学者ポグソンは、天体観測から、1 等星の平均の明るさが、丁度、6 等星の平均
の明るさの約 100 倍になっていることを発見しました。ポグソンはこれにもとづいて、星の等級が 1 等級小さくなる
と、その明るさは約 2.5 倍になると定義しました。これにより、小数点以下の数字を用いたより精密かつ定量的な
星の明るさの表現が可能となりました(図 3.1 参照)。さらに、明るさが 6 等星の 1 / 2.5 の星は 7 等星、1 等星の
2.5 倍明るい星は0等星、さらにそれより 2.5 倍明るい星は−1等星となり、より明るい星やより暗い星の明るさでも、
統一した方法で表せるようになりました。なお、太陽は−26.75 等星、月は月齢で明るさが変わりますが、満月が
−12.6 等級、半月で 9.9 等級、三日月で−7 等級くらいです。
(図 3.1: 等級の定義)
3.2 見かけ等級と絶対等級
肉眼で観た晴れた夜空には、様々な明るさの星が輝いています。これらの明るさは、星の本当の明るさなので
しょうか?答えは勿論「いいえ」です。本来明るい星であっても、それが遠くに位置する星であれば、それは私達
の目には暗い星に見えます。反対に本来暗い星であっても、それがすぐ近くにいる星であれば、私達はそれを
明るい星と思うことでしょう。
今、図 3.2 のように、ある星から放射される光を考えましょう。光は星を中心に、四方八方へ出ていくため、星か
らの距離が遠くなるほど、光は薄められて、観測者の目に届く光の量は減ってしまいます。星からある方向へ放
射される光に注目し、これが、星から距離Dだけ離れた時に、面積 S で薄められるとします。すると、光が、さらに
ここから距離D(星からの距離は2D)だけ進むと、光が薄められる面積は4Sとなり、星から届く光は 1/4 にまで薄
められてしまいます。つまり、星からの距離が 2 倍、3 倍、4 倍…と離れていくと、観測者に届く光は、1/4、1/9、
1/16…すなわち 1/22、1/32、1/42…と減っていくのです。星から届く光の量は、星からの距離の 2 乗に反比例す
るのです。すると、地球上で測定した星の等級は、その星本来の明るさを示す量ではなく、その星までの距離に
よる見かけの明るさであることが分かります。これを見かけの等級や見かけ等級などといいます。
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(図 3.2: 星からの距離と見かけの明るさ)
なお、多くの参考書には見かけ等級や見かけの等級の別名として「実視等級」「眼視等級」「視等級」という言
葉が紹介されていますが、これは大きな間違いですのでくれぐれも注意して下さい。実視等級、眼視等級、視等
級とは、いずれも「人の眼が感じる波長で観測した場合の明るさ」を意味する言葉です。前述した「太陽が−
26.75 等星」というのは、「太陽の『見かけ』の実視等級が−26.75 等級」であるという意味になります。本職の天文
学者でも勘違いしている人が多いので、本当に気を付けて下さい。
さて、星の見かけの明るさは、その星までの距離で変わってしまうため、見かけの明るさからは、その星が本当
に明るいのか暗いのかは、全く分かりません。星の本来の明るさが明るいのか暗いのかは、全ての星を私達から
同じ距離において、その明るさを比べるしかありません。そこで、天文学では、天体を私達から 32.6 光年(つまり
10 パーセク)離れた場所に置いた時の明るさを絶対等級と呼んで、本当の天体の明るさを表す量として用いま
す。
ある天体の見かけ等級を m (等級)、この天体までの距離を d (パーセク)とすると、この天体の絶対等級 M (等
級)は、
M = m + 5 − 5 log10 d ----- (式 1)
で表されます。
そして、(式 1)に太陽の見かけ等級−26.75 と、私達から太陽までの距離 1 天文単位( = 4.85×10−6 パーセク)
を代入すると、太陽を 32.6 光年先に置いた場合の明るさ、すなわち絶対等級 4.82 が得られます。こんなに明る
い太陽であっても、32.6 光年も遠くに置いてしまうと、5 等星近くまで暗い星になってしまうことが分かります。
3.3 星の色
星々を注意深く眺めると、様々な色で輝いていることが分かります。夏の大三角を形作る三つの 1 等星、こと
座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブ(図 3.3[中央])、はいずれも白っぽく見えます。しかし、冬
の有名な星座であるオリオン座の1等星リゲルは青白く(図 3.3[左])、同じオリオン座の 1 等星ベテルギウスは赤
く見えます(図 3.3[右])。また、木星や土星は少し黄色っぽい白色に見え、火星はベテルギウスのように赤く見え
ます(第5章参照)。このような星々の色は一体何を意味しているのでしょうか?
(図3.3: 左からリゲル[オリオン座]、デネブ[はくちょう座]、ベテルギウス[オリオン座], 東京学芸大学 40cm 望遠鏡で撮影)
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この答えを考える前に、一つ重要なことを理解しなければなりません。それは、星が光る原因です。
実は、水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星や月などの太陽系の惑星や衛星は、自分では光らず、
太陽の光を反射して輝いています。同じ太陽の光を反射しているにもかかわらず、これらが異なる色で光るのは、
それぞれの惑星、衛星の表面を覆う物質が異なるからです。例えば、火星が赤く見えるのは、その表面が赤サ
ビ(酸化鉄)を多く含んだ砂や岩石に覆われているためです。これに対して、木星や土星の表面は水素分子(H2)
を主体としたガスからなる厚い大気に包まれています。地球の表面も大気に覆われていますが、その主な成分
は木星や土星とは異なり、窒素分子(N2)と酸素分子(O2)です。また地球表面の約 7 割は水(H2O)からなる海です。
ただ、太陽の光を反射して輝いている星で、肉眼で見えるものは、水星、金星、火星、木星、土星、月くらいで、
これらは他の星に比べて、地球にずっと近い所にあります。
このような太陽系の惑星や衛星を除けば、夜空に輝く星の全ては、太陽と同じ仕組みで、自分から光を出して
輝いています。これらの星々が、太陽と同じ仕組みで輝いているにもかかわらず、太陽のように眩しくないのは、
星々が恐ろしいまでに、はるか遠くに位置するからです。太陽が輝く仕組みや星々までの距離については、第6
章で詳しく紹介します。
さて、自分で輝いている星の色(このような星は恒星と呼ばれます)は、その星の表面温度を表しています。赤
い星は表面温度が 3000 度くらいで、星々の中では比較的温度が低い星です。温度が 6000 度くらいになると、
星の色はオレンジ色から黄色になります。太陽の表面温度は丁度 6000 度くらいで、その色は黄色っぽく見えま
す。表面温度が1万度になると、星の色は白っぽくなり、さらに温度が高くなると青っぽく見えるようになります。
第4章
星の位置
4.1 赤道座標
空そのものには、何も目印がありません。すると、夜空に輝く星の位置を示したい時は、どのようにすれば良い
のでしょうか?
専門的には、様々な条件から空に仮想的な線を引き、それによって天体の座標を表しています。最も広く用
いられているのが赤道座標です(図 4.1)。これは地球の赤道を空に投影した天の赤道と、地球の北極。南極を
空に投影した天の北極・天の南極にもとづいて定められた座標です。天の赤道を中心に、地球の緯線を空に投
影した線によって決まる座標を赤緯と呼びます。さらに空に沿って天の北極と天の南極を結ぶ線によって決まる
座標を赤経と呼びます。この赤経と赤緯によって、空の特定の位置を差し示すことができます。
赤経のゼロは、少し複雑な条件で決められています。天の赤道と黄道(太陽の通り道)が交わる点のうち、太陽
が天の赤道を南から北へ通過する点(春分点と呼ぶ)を通る経線をゼロ h(時)とします。そして、西から東に向けて
一周で 24h になるように経線を定めます。
赤緯のゼロは、天の赤道をゼロとし、ここから天の北極に向けてプラス、天の南極に向けてマイナスの角度で
表します。
従って、赤道座標系では、天体の座標を赤経 aa 時bb分cc秒、赤緯+(または−)xx 度 yy 分 zz 秒、と表現す
ることになります。赤経は全て時間(1 時=60 分、1 分=60 秒)、赤緯は角度(1 度角=60 分角、1 分角=60 秒角)で表
されていることに気を付けて下さい。
赤道座標系の他にも、黄道を基準として定めた黄道座標系(黄経と黄緯で座標を表す)や、銀河系円盤(第6
章参照)を基準とした銀河座標系(銀経と銀緯で座標を表す)、超銀河団中の銀河の分布をもとに定められた超
銀河座標系などがあります。これらは研究者の都合に合わせて用いられます。
4.2 地平座標
先ほど紹介した座標系は、いわば空に張り付いた座標系であり、星の日周運動や年周運動に合わせて、刻
一刻と変わっていきます。屋外で星を観察する場合には、むしろ、どの方向・どの高度にある星か、を他者に間
違いなく伝える方が重要になります。このように、星の位置を、どの方位の、地平線から何度の高さに位置するか、
で表す座標を地平座標(系)といいます(図 4.2)。
地平座標系の方位は、北をゼロ度とし、ここから東を通って南で 180 度、西で 270 度と表すのが一般的です。
高さは、地平線をゼロ度として、ここから天頂(頭の真上)方向に向けて角度を測る高度(または地平高度)と、
天頂方向をゼロ度として、ここから地平線に向けて角度を測る天頂角(または天頂距離)の二つがあります。両方
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を混同することがしばしばありますので、十分注意しましょう。
(図 4.1: 赤道座標系)
(図 4.2: 地平座標)
4.3 屋外での星の位置の表現法
実際に屋外で星を観察する時、あそこにある赤っぽい星にみんなの注意を集めたい、と思ったとします。しか
し、このような時に「あの星」と言って指を差しても、どの星のことか誰にも分かりません。人込みに向かって「あの
人」と指差しても、どの人か分からないのと同じです。では、一体どうすれば良いのでしょうか?
空にある星の位置を伝えるには、その星が見える方位と高度を示すのがベターです。方位は方位磁針を用い
れば良いでしょう。高度は、地平線からの角度を、伸ばした手を使うことで測ることができます。図 4.3 のように、
伸ばした手の先に握りこぶしを作ると、このこぶしの端から端を見込む角度が、ほぼ 10 度になります。また人差し
指と中指、薬指を握って、親指と小指をいっぱいに開くと、この親指の先から小指の先までが、約 20 度の角度に
なり、反対に、人差し指と中指、薬指の三本を伸ばして、親指と小指を握ると、人差し指から薬指までの幅が約 5
度になります。このような手を用いることで、角度を示すことができます。勿論、この角度はかなり大雑把なもので
あり、個人差も大きいのですが、屋外での星の観察では強力な測定ツールとなります。
(図 4.3: 手による角度の測り方)
方位磁針を持たず、また地平線も見えない場合は、なるべく遠くに見える分かりやすいビルや木、電柱のてっ
ぺんや、誰にでもわかる明るい星(惑星や1等星、目立つ星の並び)を基準にして、「そこから、東へ伸ばした手の
先の握りこぶし xx 個分」などと表現すると良いでしょう。
また、都会では空が明るいために星の観察には向かない、と思い込んでいる人が多いようですが、却って明る
い星だけが目立つために、主だった星座を見つけやすい、主な星を見つけ出しやすい、などのメリットもあります
(本当に空が暗いと、星が見え過ぎて、星座を見つけ出すことさえも難しくなることがあります)。
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第Ⅱ部
第5章
宇宙の構造
地球と太陽系
5.1 地球と夜空の星々
私達の住む地球は、直径が 12800km、質量が 6.0×1024kg のほぼ球形をした岩石主体の星です(図 5.1)。
地球表面の約7割は水からなる海が占め、さらには窒素と酸素を主成分とした大気を持ちます。地球上には
8000m を越える高い山や、10000m よりも深い海溝などがありますが、地球全体から見ればわずかなもので、地
球をリンゴの大きさまで縮めると、その表面はリンゴよりも滑らかになります。
地球は太陽のまわりを約 1 年で一周しています。地球から太陽までの距離は約 1 億 5000 万 km で、太陽から
出た光(秒速 30 万 km)が地球に届くまで 8 分 20 秒かかります。しかし同じこの距離を進むためには、新幹線(時
速 300km)で 57 年、徒歩(時速 4km)で 4280 年もの時間がかかります(図 5.2)。
(図 5.1: 地球, アポロ 17 号より撮影, NASA)
(図 5.2: 太陽から地球までの旅)
夜空に輝く星々は、肉眼で見えるものだけで北半球側で約 3500 個、南半球側でも約 3500 個、あわせて全天
で 7000 個あると言われています。これらのほとんど全ては、太陽のように自分で光り輝いています。しかしこの星
たちが太陽ほどまぶしくないのは、地球や太陽よりも恐ろしく遠くにあるためです。そしてそのために、数千年程
度の時間では空での星々の互いの位置はほとんど変わることがありません。このような星たちは恒星と呼ばれて
います。太陽は地球に最も近い恒星です。
その一方で、水星(図 5.3)、金星(図 5.4)、火星(図 5.5)、木星(図 5.6)、土星(図 5.7)の五つの明るい星は、短い
期間で少しずつ空での位置を変えて行くため、恒星とは異なる動きをする天体として、古代から知られていまし
た。これらはその動きから惑星と呼ばれるようになりました。地球以外の惑星は、長い間この五つだけと思われて
きましたが、18 世紀末にウィリアム・ハーシェルによって天王星(図 5.8)、19 世紀半ばにルベリエの計算にもとづ
いてガレが海王星(図 5.9)、そして 20 世紀初めにトンボーによって冥王星(図 5.10)が発見されましたが、これらは
望遠鏡を使わなければ観ることができないほど暗い惑星です。ただし、2006 年の国際天文学連合(天文学者の
国際的な集まり)総会において、冥王星は惑星から準惑星の代表天体とされました。
5.2 惑星:地球の仲間たち
今日では、惑星は、太陽のまわりを回る地球の仲間の星々であり、恒星よりもはるかに近くに存在する天体で
あることが知られています。そして地球も惑星の一つであることも明らかになっています。惑星は太陽に近い方か
ら、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の順番で、ほぼ同じ平面上を同じ向きに回転してい
ます。太陽を中心とするこの惑星のグループを太陽系と呼びます。惑星はその公転軌道によって、地球よりも内
側を公転する内惑星と外側を公転する外惑星に分けられます。また公転軌道ではなく、その構造によって地球
型惑星、木星型惑星、天王星型惑星に分けられることもあります。
地球型惑星は主な成分が岩石である惑星で岩石惑星とも呼ばれます。太陽系では水星、金星、地球、火星
がこれに該当します。地球型惑星には一般にサイズ・質量が小さく、密度が大きいという性質があります。
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(図 5.3: 水星, メッセンジャー, NASA) (図 5.4: 金星, マリナー10号, NASA) (図 5.5: 火星, ヴァイキング1号, NASA)
(図 5.6: 木星, HST, NASA)
(図 5.7: 土星, HST, NASA)
(図 5.8: 天王星, ボイジャー2号, NASA)
(図 5.9: 海王星, ボイジャー2号, NASA) (図 5.10: 冥王星とその衛星, HST, NASA)
地球型惑星とは反対に主な構成成分がガスである惑星を木星型惑星(巨大ガス惑星)と呼びます。木星型惑
星はサイズ・質量が大きく、密度が小さいという特徴があり、木星、土星がこれにあたります。以前は天王星と海
王星も木星型惑星に分類されていましたが、最新の惑星科学の研究の結果、現在これらは天王星型惑星(巨
大氷惑星)と呼ばれるようになってきています。図 5.11 は三つの惑星のタイプの構造の違いを模式的に示したも
のです。また、主な太陽系天体の諸量を表 5.1 に簡単にまとめ、太陽からそれらまでの旅に要する時間を表 5.2
に示しました。
土星には特徴的な輪(リング)が存在し、市販製の小型望遠鏡でも十分に観察することができます。この輪の存
在に始めて気付いたのが、イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイでした。ガリレオは自作の天体望遠鏡で土星を
観察しましたが、その望遠鏡の性能が足りなかったため、輪の存在を十分に確認することができませんでした。
ガリレオは「土星には耳がある」という記録を残しました。ガリレオが発見した”土星の耳”が輪であることを改めて
発見したのはオランダの天文学者ホイヘンスです。今では、輪を持つ惑星は土星だけではなく、木星、天王星、
海王星にも存在することが分かっています。木星の輪は探査機ボイジャー1号によって、天王星の輪はカイパー
空中天文台による恒星の掩蔽観測によって、そして海王星の輪は探査機ボイジャー2号によって発見されまし
た。
- 12 -
このような惑星の輪の形成や安定性には、衛星の存在が強く関係していると思われます。
輪の起源については、未だに分からないことが多いのですが、1) 衛星になりきれなかった集積物の残り、2)
隕石との衝突で粉々になった衛星、3) 惑星の重力に捕らえられ、潮汐力で破壊された彗星、などの説が提唱さ
れています。
(図 5.11: 地球型惑星、木星型惑星、天王星型惑星の構造比較)
天体名
太陽からの距離
(太陽・地球間=1)
太陽
水星
金星
地球
月
火星
木星
土星
天王星
海王星
冥王星
直径
(地球=1)
質量
(地球=1)
赤道重力
(地球=1)
109
0.38
0.95
1.00
0.27
0.53
11.2
9.45
4.01
3.88
0.19
33.3 万
0.06
0.82
1.00
0.01
0.11
318
95.2
14.5
17.2
0.002
28.0
0.38
0.91
1.00
0.17
0.38
2.37
0.94
0.89
1.11
0.06
0.39
0.72
1.00
1.00
1.52
5.20
9.55
19.2
30.1
39.5
(表 5.1: 主な太陽系天体の諸量, 平成 19 年理科年表[丸善]より一部抜粋)
太陽からの距離
光(秒速 30 万 km)
新幹線(時速 300km)
人(時速 4km)
地球
土星
1 億 5000 万 km
1 AU
8 分 20 秒
57 年
4280 年
14 億 3200 万 km
10 AU
1 時間 20 分
545 年
4 万 8000 年
(表 5.2 : 太陽から地球・土星・冥王星への旅)
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冥王星
59 億 3100 万 km
40 AU
5 時間 30 分
2250 年
17 万年
5.3 月と衛星
太陽系の仲間には、八つの惑星だけではなく、月(図 5.12)のように惑星の周りをまわる衛星も含まれます。
月は直径が地球の約 1/4、質量が地球の約 1/100 で、地球と同じく岩石主体の星です。地球から月までの距
離は約 38 万 km であり、地球に対する月の公転周期と自転周期が完全に一致しているため、月は常に地球に
片方の面しか見せていないことになります。月の表面には「海」と呼ばれる平らな黒味を帯びた部分や大小様々
なクレーターが存在します。クレーターは隕石衝突、海は隕石衝突によって表面にしみ出てきた玄武岩質の溶
岩が冷えて固まったものと考えられています。また月の起源には従来、親子説(分裂説)、兄弟説(共成長説)、他
人説(捕獲説)ありましたが、最近になって火星程度の惑星が地球に衝突し、その破片が集積することによって月
が形成されたとするジャイアント・インパクト説が提唱されるようになりました。最近の計算機シミュレーションによ
る研究からは、ジャイアント・インパクトの一ヶ月後には月が形成されるという驚くべき可能性が得られています。
木星型惑星や天王星型惑星は、多くの衛星を持っています。木星には 63 個(2008 年現在)、土星には 61 個
(2009 年 5 月現在、さらに 3 個が確認中)、天王星には 27 個(2007 年現在)、海王星には 13 個(2009 年現在)の
衛星が発見されています。反対に地球型惑星で衛星を持つものは地球が1個と火星が2個のみで、その数も僅
かです。
木星の衛星の中でも最も大きな四つの衛星(図 5.13)は、ガリレオ・ガリレイが 400 年前に自作の望遠鏡で発見
したことにちなんで、ガリレオ四衛星と呼ばれています。ガリレオ四衛星は”地球以外の天体(木星)の周りを回る
星”を発見したことで、ガリレオに天動説への疑念を抱かせる切欠の一つになったと伝えられています。また、ガ
リレオ四衛星の一つイオには多くの火山が見つかっており(図 5.14)、この衛星が活動していることが判明しました。
またエウロパは分厚い氷に包まれた衛星ですが、その下には海が広がっていると考えられています。さらに最近
の研究からはガニメデやカリストの地下にも海が存在している可能性が指摘されています。
土星の衛星タイタン(図 5.15)には、窒素を主成分としたメタンやエタンを含む濃密な大気の存在が確認されて
います。そしてこの大気の下にはメタンの海が広がっていると考えられています。
このような衛星の火山活動や海の存在は、太陽系の惑星・衛星の地質構造がどのように形成され、変化して
きたのかを知る上で重要な情報を与えてくれると期待されており、さらに海の存在は、地球における生命発生の
必要条件であると考えられているため、地球外生命存在の可能性が期待されます。
(図 5.12: 満月, 東大木曽観測所) (図 5.13: ガリレオ四衛星[イオ, エウロパ, ガニメデ, カリスト], ガリレオ探査機, NASA)
(図 5.14: イオの火山活動, HST, NASA)
(図 5.15: タイタン, カッシーニ, NASA) (図 5.16: 小惑星ケレス, HST, NASA)
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5.4 太陽系内小天体
衛星に加えて、主に火星と木星の間に無数に存在する小惑星、細長い楕円軌道を描いて太陽系の外縁部
から飛来する彗星(「ほうき星」とも呼ばれる)、そして地球の引力にひかれて落ちてくる微小な天体である隕石や
流星も太陽系の仲間です。このような微小な天体をまとめて太陽系内小天体と呼ぶことがあります。
火星と木星の間には、直径 1000km 以下の小惑星が無数に分布しており、この領域は小惑星帯(アステロイド
ベルト)と呼ばれます。図 5.16 はハッブル宇宙望遠鏡が撮影した小惑星帯最大(直径 952km)のケレスです。以
前は、これら小惑星帯の小惑星達は、元々一つの惑星だったものが何らかの要因で破壊されたものだと思われ
ていました。しかし、小惑星帯の小惑星全ての質量を足し合わせても、惑星規模に達しないことなどから、今で
は反対に、太陽系の形成過程で、惑星にまで成長し切れなかった微惑星の集積である、と考えられています。
さらに火星と木星の間以外にも小惑星が集まっている領域が見つかり、混同をさけるために、最近ではアステロ
イドベルトをメインベルトと呼ぶことが多くなっているようです。特に木星軌道上で、太陽、木星と共に正三角形を
描く2地点に多くの小惑星(トロヤ群)が存在しており、これらは太陽・木星系のラグランジュ・ポイント(太陽・木星
からの重力と遠心力が釣り合う場所)のうちの L4,、L5 にあたります(図 5.17[左])。同じような小惑星の集積場所は、
海王星軌道上にも見つかっています。
(図 5.17: 太陽系の概念図, [左]惑星・小惑星の分布, [右]太陽系外縁部の構造)
1992 年以降、海王星の外側に多数の微惑星が発見されるようになりました。今では太陽から数 10 か
ら数 100 天文単位の距離には微惑星が円盤状に広がった領域(エッジワース・カイパーベルト:図
5.17[右])が存在すると考えられています。そしてこれら微惑星は太陽系が形成される時に、取り残され
た天体だと言われています。そしてさらに、太陽から 2 万から 10 万天文単位の距離には微惑星が球殻
上に集まったオールトの雲(図 5.17[右])が存在する可能性も指摘されています。これら海王星の外側に
分布する多くの天体は、まとめて太陽系外縁天体と呼ばれています。
太陽系外縁天体の中には、冥王星に匹敵するようなサイズのものも少なくなく、数年前から冥王星を
惑星に分類することに疑問を感じる天文学者が増えてきました。そして 2003 年にはついに、冥王星(直
径 2300∼2400km)よりも大きなサイズの太陽系外縁天体エリス(直径 2400∼3000km)が発見され、これ
を切欠として冥王星は惑星から準惑星に分類されることになります。つまり海王星の外側には、冥王星
クラスの天体が多数存在しているという、従来とは大きく異なる太陽系の姿が見えてきたのです。
一部の彗星(図 5.18)は木星軌道からやって来ますが、多くの彗星はエッジワース・カイパーベルトや
オールトの雲からやって来ると考えられています。そこで彗星には、太陽系外縁部から太陽系の太古の
情報を運んで来ることが期待されています。また彗星はその軌道上に大量のチリをばら撒きます。地球
がこれと交差する場所にやって来ると、このチリが大量に地球に衝突することで流星群(図 5.19)が観察
されます。主な流星群の出現する日がほぼ決まっているのは、このためです。主な流星群を表 5.3 に記
- 15 -
しました。
流星群名
しぶんぎ座流星群
みずがめ座η流星群
ペルセウス座流星群
しし座流星群
ふたご座流星群
極大日
01 月 03−04 日
05 月 04−05 日
10 月 08−09 日
11 月 17−18 日
12 月 12−14 日
親天体
?
ハレー彗星
スィフト・タットル彗星
テンペル・タットル彗星
パエトン(小惑星)
(表 5.3 : 主な流星群, 平成21年理科年表[丸善]より一部抜粋)
(図 5.18: 百武彗星, 東大木曽観測所)
第6章
(図 5.19: 2001 年のしし座流星群, 東大木曽観測所)
天の川銀河と宇宙
6.1 恒星の世界から天の川銀河へ
太陽(図 6.1)は直径が地球の約 109 倍、質量が約 33 万倍もある恒星です。地球からの距離は約 1 億 5 千万
km もあり、光(秒速 30 万 km)でも 8 分 20 秒かかります。表面温度は約 6000 度ですが、中心温度は 100 万度以
上にもなり、4つの水素原子(H)から1つのヘリウム原子(He)を作り出す核融合反応によって輝いています(式 2)。
この原理は水素爆弾(原子爆弾の原理は核分裂反応で、これとは異なる)と全く同じものです。
4H → He + エネルギー ----- (式 2)
(図 6.1: 太陽, SOHO 衛星, NASA)
(図 6.2: 最近の太陽の黒点相対数の変化, 理科年表より作成)
- 16 -
図 6.1 に見られるように、太陽表面には黒点がしばしば現れます。黒点は温度が約 4000 度と周囲よりも低い
ために暗く見えており、同時に強力な磁場が生じている場所であることも分かっています。黒点の出現頻度は、
太陽の活動性と密接に関連しており、太陽が活発な時には黒点も頻繁に出現します。さらに太陽の活動性は1
1年周期で増減することが知られています(図 6.2 参照)。
太陽は生まれて 100 億年で核融合反応の燃料となる水素を使い尽くして寿命を迎えると考えられています。
現在の太陽の年齢は 50 億年であり、寿命の半分に達するものと考えられています。恒星のほとんどは太陽と同
様に、その内部で 4 つの水素原子(H)から 1 つのヘリウム原子(He)を作り出す核癒合反応によって生じるエネル
ギーで光り輝いています。
太陽の次に私たちに近い恒星はケンタウルス座アルファ星(アルファ・ケンタウリ)です。太陽を出た光がこの
星に到着するまでには 4.4 年もの時間がかかります。天文単位よりも長い距離を表現する必要がある場合、天文
学では光が 1 年で進む距離、約 9 兆 5000 億 km を 1 光年として、これを用います。つまり太陽からアルファ・ケ
ンタウリまでの距離は 4.4 光年ということになります。さらにアルファ・ケンタウリは太陽とほぼ同じ明るさ・大きさの
恒星です。今、太陽とアルファ・ケンタウリを 100 円玉サイズに縮小すると、太陽とアルファ・ケンタウリの間は
650km にもなります。これは東京から北海道の函館、もしくは広島に相当する距離です(図 6.3 参照)。このように
恒星と恒星の間は驚くほど隙間だらけなのです。
(図 6.3: アルファ・ケンタウリまでの距離)
(図 6.4: 天の川銀河の構造)
(図 6.5: 天の川, 東大木曽観測所)
(図 6.6: アンドロメダ銀河, 東大木曽観測所)
さらに太陽を含めた 2000 億個もの恒星は、集まって中心部分が膨らんだ巨大な円盤状の天体を形作
っています。この巨大な円盤型の天体を銀河と呼びます(図 6.4)。夏や冬の夜空を飾る天の川(図 6.5)
は、私たちが円盤状に集まった銀河の中に住んでいる証拠の一つです。そしてこの宇宙には銀河と呼ば
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れる天体が何万何億と存在することが分かっています。特に私たちが住む銀河を銀河系または天の川銀
河と呼んで、他の無数にある銀河と区別しています。銀河系の直径は約 9 万 8000 光年、太陽系は銀河
系中心から 2 万 8000 光年も離れた位置に存在しています。
銀河系はすぐ横に、小型の銀河である大マゼラン銀河と小マゼラン銀河を伴っています。さらに銀河
系のすぐ隣、230 万光年の場所には、銀河系とほぼ同等の大きさのアンドロメダ銀河(図 6.6)が存在しま
す。図 6.6 からもわかりますが、アンドロメダ銀河もその周りに二つの小さな銀河を伴っています。
6.2 銀河宇宙の世界へ
銀河の約半分は互いに集まって銀河群や銀河団といった集団を形成しています(図 6.7、図 6.8)。
銀河群は銀河が数 10 個集まった宇宙の地方都市、銀河団は銀河数 100 個から数 1000 個からなる宇
宙の大都会です。そしてこの宇宙には銀河群や銀河団が無数に存在しています。その反対に宇宙には、
このような銀河がほとんど存在しない広大な空間(ボイドと呼ばれています)も見つかっています。何故、
宇宙には銀河が集まっている場所と、ほとんど銀河が無い場所があるのでしょう?またこのような銀河
集団とそこで形成・進化する銀河との間には、どのような関係があるのでしょう?これらは現代天文学
の重要な研究テーマとなっています。
(図 6.7: 銀河群ステファンの五つ子, 東大木曽観測所)
(図 6.8: おとめ座銀河団, 東大木曽観測所)
銀河を研究することで、宇宙そのものについての研究も進んでいます。
1930 年頃、ハッブルは”
ほとんどすべての銀河が天の川銀河から遠ざかるように運動し”
ており、さら
にその後退速度v(km/s)と距離d(Mpc)の間には比例関係があることを見出しました。この比例関係、
v = H0 × d ----- (式3)
をハッブルの法則といい、この関係式(式3)の比例定数 H0(km/s/Mpc)をハッブル定数と呼びます。ハッ
ブルの法則は膨張宇宙の状況証拠の一つとなっており、ハッブル定数は近似的に宇宙の年齢を表してい
ます。それはこの関係が、後退速度が 2 倍大きな銀河は 2 倍遠くに、後退速度が 3 倍大きな銀河は 3 倍
遠くに位置することを示しており、最初に全ての銀河が一箇所に集まっており、それがある瞬間に同時
に四方八方に向かって動き出した、と考えるとうまく説明できるからです。さらに、この銀河の後退運
動は、銀河そのものの運動ではなく、銀河が存在している空間、すなわちこの宇宙の各所が私達から見
て遠ざかるような運動をしている、と考えることができます。
6.3 恒星の一生
天文学関連の書籍や百科事典を鮮やかに彩る様々な星団や星雲の多くは、銀河系の中に存在する天体
です。そしてこれらは恒星の一生と密接に関係しています。
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(図 6.9: オリオン座馬頭星雲, 東大木曽観測所)
(図 6.10: いて座三裂星雲, 東大木曽観測所)
全ての恒星は、非常に濃いガスとチリの中で生まれます。このようなガスとチリの塊は、背景からの
光を遮るため、暗黒星雲として観測されます。暗黒星雲とは、恒星の材料が豊富に揃った場所なのです。
オリオン座の馬頭星雲(図 6.9)では、既に若い恒星が輝き初めていますが、その光を手前にある非常に濃
いガスとチリが遮って、あたかも馬の頭のように見えています。銀河系にはこのような暗黒星雲がたく
さん存在しています。
暗黒星雲の中からは、たくさんの恒星が次から次へと生まれてきます。質量が大きく、温度の高い恒
星は、非常に強力な紫外線を放射します。暗黒星雲のガスやチリは、この紫外線によって電離(イオン
化)され、その温度や密度によって様々な色の光を放出します。このような色鮮やかな天体は散光星雲
と呼ばれます(図 6.10 参照)。散光星雲の特に鮮やかな赤い色は、紫外線を受けて発光している電離水素
(水素イオン)ガス、青い色はチリによって反射された恒星の光です。
暗黒星雲や散光星雲などの恒星が誕生する場所は、まとめて星形成領域と呼ばれます。オリオン座や
おうし座、いて座の方向には、このような星形成領域がたくさん分布しています。
恒星は、やがてその放射エネルギーで周りに残る星雲を吹き飛ばしてしまいます。恒星は集団で誕生
するため、星雲が吹き飛ばされた後には、比較的若い恒星の集まりが現れます。このような恒星の集団
を散開星団と呼びます。図 6.11 は散開星団の中でも日本古来、親しまれてきたプレアデス星団です。
プレアデス星団の周りには淡いガスが存在していますが、これは長い間、吹き飛ばされずに残ったガス
星雲だと考えられていました。しかし最新の研究から、プレアデス星団は若い恒星からなる散開星団と、
それとは無関係なガス星雲が、今まさに衝突している天体であることが分かってきました。図 6.12 は
ペルセウス座の散開星団 NGC1342 です。
この中には様々な色の恒星が分布していることが分かります。
(図 6.11: おうし座プレアデス星団[M45], 東大木曽観測所)
(図 6.12: ペルセウス座 NGC1342, 東大木曽観測所)
太陽の8倍よりも軽い恒星は、水素を使い尽くすと、今度はヘリウムからベリリウム、炭素、酸素、
ネオンと次々に重い元素を合成して輝き続けます。そして同時に大きく膨張して表面温度が下がり、赤
色巨星へと進化していきます。赤色巨星は、太陽系の中心に置くと火星や木星まで飲み込むほどの巨大
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な恒星ですが、さらに膨張と収縮を繰り返して、自分自身が持つガスを周りの宇宙空間に断続的に放出
します。そして恒星本体は小さく収縮して温度が上がり、白色矮星(はくしょくわいせい)になります。
白色矮星はサイズが地球程度の非常に小さな恒星ですが、その密度は 1cm3 あたり数トンにもなりま
す。そして放出されたガスは、白色矮星から放射された紫外線を受けてイオン化し、様々な色で輝きま
す。このような天体を惑星状星雲(図 6.13、6.14 参照)と呼びます。
(図 6.13: こと座リング状星雲, 東大木曽観測所)
(図 6.14: こぎつね座あれい状星雲, 東大木曽観測所)
太陽の8倍よりも重い恒星は、核融合反応をどんどん進めて、最終的にはその中心部に鉄(Fe)を合成
します。そして最後に凄まじいまでの大爆発を起こし、自分自身のほとんど全てを吹き飛ばしてしまい
ます。これを超新星爆発と呼びます。鉄までは元素は恒星の核融合反応で合成されますが、鉄よりも重
たい元素は超新星爆発のエネルギーで合成され、その爆発で宇宙空間へばら撒かれていきます。そして
その中心部には中性子星やブラックホールなどの超高密度天体が形成されます。
中性子星は、直径が 10km 程度の非常に小さな星ですが、その密度は 1cm3 あたり 10 億トンにもなり
ます。また中性子星は、強力な磁場を持ち高速で自転しているため、周期的な電波を発するものがあり、
このような中性子星はパルサーと呼ばれます。
ブラックホールは、中性子星よりもさらに密度が高く、1cm3 あたり数 10 億トン(富士山 50 個分)
にもなります。この凄まじい高密度のため、ブラックホールの重力は想像を絶するほど強力なものにな
っており、一度その重力に捕まったものは、宇宙最速の光でさえも脱出不可能です。
超新星爆発で宇宙空間に放出された物質は、その衝撃波のエネルギーでイオン化し、鮮やかな色で輝
き出します。これらは超新星残骸と呼ばれます。おうし座のかに星雲は 1054 年に爆発した超新星の残
骸です(図 6.15)。この時の超新星爆発は、平安時代の貴族藤原定家によって「明月記」に記録されてい
ました。かに星雲の中心にはパルサーが見つかっています。また明月記にはかに星雲以外にも、いくつ
かの超新星爆発の記録が残されています。はくちょう座の網状星雲(図 6.16)はさらに古く、1 万年ほど
前に爆発した超新星の残骸であると考えられています。
(図 6.15: おうし座かに星雲, 東大木曽観測所)
(図 6.16: はくちょう座網状星雲, 東大木曽観測所)
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赤色巨星や超新星爆発によって銀河系内に放出された物質は、やがて別の場所でぶつかり合って、新
たな星形成領域を形作ります。そしてそこで次の世代の恒星が生まれます。銀河系の中ではこのような
恒星の輪廻転生が繰り返され、そして次から次へと重たい元素が合成されていきます。恒星は元素合成
機、銀河系はそれが 2000 億個も集まった巨大な元素製造工場であると言えます(図 6.17 参照)
。
(図 6.17: 恒星の輪廻転生)
(図 6.18[右下]: こと座M56, 東大木曽観測所)
銀河の内には、散開星団とは異なる星団も存在しています。この星団は、数 10 万から数 100 万個も
の恒星が球形に密集しており、その形状から球状星団と呼ばれています(図 6.18)。散開星団中の恒星
が比較的若い恒星であるのに対して、球状星団を形作る星々は非常に古い恒星で、散開星団が天の川に
沿って分布しているのに対して、球状星団は天の川以外の領域にもたくさん分布しています。詳しい研
究からは、球状星団は銀河系の円盤部分を覆う球状の空間に広く分布しているといわれています。
球状星団に属する恒星は、他の恒星に比べて金属量が少ないことが知られています。鉄までの元素合
成は恒星内部、それよりも重い元素の合成は超新星爆発によって行われることを考えると、球状星団の
もとになったガスやチリは、もともと金属が少ない、つまり銀河系が形成されはじめた頃に誕生した天
体であることを示しています。実際に導出された球状星団の恒星の年齢は、別の研究から得られた宇宙
の年齢と同程度です。球状星団を調べることで銀河形成の初期の状態にアプローチできると考えられて
います。
- 21 -
第Ⅲ部
第7章
天体の動き
地球の公転と自転
7.1 地球の回転運動
私達が住む地球は、太陽の周りを約 365.242 日かけて一周します。この運動を地球の公転といいます。地球
の公転運動のため、私たちが観察できる星の位置は、一晩ごとにほんの少しずつ西に移動して行くことになりま
す。そして 1 年が経つと、また同じ日時・同じ位置に同じ星を観察することができるようになります。私たちが季節
によって、異なる星座を観察できるのは、地球が太陽の周りを公転しているからなのです(図 7.1)。このような星の
1 年ごとに繰り返される見かけの動きを、星の年周運動といいます。
地球の公転周期が 365.242 日であるため、1 年を 365 日とする暦を使い続けると、4 年で約 1 日分が余ってし
まいます。そこで 4 年に一度 1 年を 366 日とする”うるう年”を導入することで、この 1 日の余剰を解消しています。
ところがこのままでは、今度は反対に 400 年で 3 日分足りない状態になってしまいます。そこでさらに、”西暦年
が 100 で割り切れる年はうるう年にしない”、そして”西暦年が 100 で割り切れても、さらに 400 で割り切れる年は
うるう年にする”という方法で、現在では高い精度の暦が運用されています。
地球の北極から南極まで真っ直ぐに貫く直線を地軸といい、地球の公転面に対して約 66.6 度だけ傾いてい
ます(公転面に垂直な方向からは約 23.4 度傾いていることになる)。そして、地球は太陽の周りを公転するだけ
ではなく、地球自身も地軸を中心とした回転運動をしています。これを地球の自転といいます(図 7.2)。地球の自
転の回転方向は西から東に向けて、つまり地球の北極側からみて反時計回りの方向です。そのため、地球上に
いる私達には、太陽や星が東の空から昇って西の空に沈むように見えます。
(図 7.1: 地球の公転運動と季節の星座)
(図 7.2: 地軸の傾きと地球の自転運動)
(図 7.3:1恒星日と 1 太陽日)
地球の自転 1 回転にかかる時間は 24 時間ではなく、23 時間 56 分 04 秒です。これは、ある恒星が南中して
から、次に南中するまでの時間にあたります。この時間を 1 恒星日と呼びます。しかし、日常生活で使われてい
- 22 -
る地球の 1 日(=24 時間)は太陽が南中してから、次に南中するまでの時間です。こちらは 1 太陽日と呼ばれて
います。すると図 7.3 のように、太陽が南中してから次に南中するまでの間に、地球自身がその公転運動のため
に少し軌道上を進んでしまい、太陽が次に南中するためには、地球の自転は、少し余分に回らなくてはならなく
なります。これが 1 恒星日が 1 太陽日より時間が短くなる理由です。この違いは、1 日で約 4 分であり、先に述べ
た“星の位置が一晩に少しずつ西に移動していく”際の、具体的な移動量になります。つまり地球が一日あたり 4
分ぶんだけ余分に自転しているために、夜空の星々は、一日あたり 4 分ずつ西へ動いて行くのです。ただしこの
時間で 4 分という星の位置のズレは、非常にわずかなため、夜空を見上げるだけの簡単な観察では、数 10 日か
ら数週間の間をあけないと移動量は分からないでしょう。その結果として、同じ星を翌日の同じ時刻に観察すれ
ば、前日とほぼ同じ位置に見つけることができます。このように星の 1 日ごとに繰り返される動きを、星の日周運
動といいます。
7.2 星の日周運動と年周運動
前節でも述べたように、天体の日周運動や年周運動は、地球の自転と公転によって生じる見かけの動きです。
特に地軸の北極側の先には、明るい星、北極星が位置しています。そのため、北極星の位置は一年を通してほ
とんど変わりません。また地軸の南極側の先には、南極星となるような明るい星はありません。
さて日周運動では、見かけ上、星は地軸を中心に 1 日(=24 時間)かけて空を一周(360°)します。すると、1 時
間あたりの星の移動角度は、
360°÷ 24 時間 = 15°/1 時間 ----- (式4)
となります。つまり星は北極星を中心に 1 時間あたり 15°だけ東から西に向けて移動することになります。地球
の北半球に位置する日本では、この“地軸を中心に”という部分は“北極星を中心に”という言葉に置き換えるこ
とができます。日本で北の夜空を見上げると、星々が北極星を中心に 1 時間で 15°だけ、反時計回りに回転し
ているのが観察できます(図 7.4)。
また年周運動では、見かけ上、星は北極星を中心に約 1 年(=12 ヶ月)かけて空を一周(360°)します。すると、
同じ時刻に観察するのであれば、1 ヶ月あたりの星の移動角度は、
360°÷ 12 ヶ月 = 30°/1 ヶ月 ----- (式5)
となり、同じ時刻に観察すると、星は北極星を中心に 1 ヶ月あたり 30°だけ東から西へ向けて移動することにな
ります。同じ時刻に北の夜空を長い間観察し続ければ、星々が北極星を中心に、1 ヶ月あたり 30°だけ反時計
回りに回転しているのが分かります(図 7.5)。
(図 7.4: 日本の北の夜空における星の日周運動)
(図 7.5: 日本の北の夜空における星の年周運動)
7.3 地球の公転運動と四季
地球の公転運動は、地軸の傾きの角度と方向を変えずに行われます(図 7.6)。このおかげで、日本では
1 年間の間に気温や湿度などが大きく変わり、多彩な四季の変化が生まれています。
地軸が傾いているため、特に日本では、冬の太陽に比べて、夏の太陽はかなり高い位置に上がります。
すると同じ量の太陽光が暖める地面の面積は、冬より夏の方が狭くなります。その結果、日本の夏の地
面は、冬に比べてずっと暑くなり、気候もそれに伴って暑い季節になる訳です(図 7.7)。赤道直下の場所
- 23 -
では、一年を通して太陽が高い位置にあがるため、年中暑い気候になります。また反対に極に近い場所
では、一年を通して太陽が低い位置にしか上がらないため、年中寒い気候になります。
(図 7.7:夏と冬の太陽高度の違い)
(図 7.6:地球の公転と地軸の傾き)
「冬よりも夏の方が暑いのは、夏、太陽が地球に近付くからだ」と考える児童は多いようです。日常
の経験から、ごく当たり前に導かれるアイデアです。しかし実際には、夏の太陽は、むしろ地球から遠
い位置にいます。もし季節の原因が、太陽と地球の間の距離にあるならば、日本が夏の時、地球上の他
の国々も夏になってしまうでしょう。ところが、日本が夏になる 8 月の時期、南半球のオーストラリア
やニュージーランドでは、反対に冬になります。これは空に上がる太陽の高低が、北半球と南半球で反
対になるからです。
7.4 地球の公転運動と年周光行差
真上から雨が降っている時、車や電車に乗って速いスピードで移動していると、雨は真上からではなく、斜め
前方上から降って来るように観察されます。同様のことが地球の公転運動についても起こります。つまり公転面
に対して垂直方向にある星の光は、地球の公転方向にすこし傾いた方向からやって来るように観察されます。こ
のずれを年周光行差といいます(図 7.8)。実際に観測される角度は、ある時点での星の観測位置と半年後の星
の観測位置のずれ 2です。勿論この観測を行うためには精密な機器が必要となります。そして観測の結果、こ
の角度のずれ 2は、であることが確認されています。地球の公転運動の速度を v、光速度を c とすると、
sin  = v / c ----- (式6)
となるため、式3を変形、数値を代入して、
v = c sin  = (2.99792458×105 km/s)×sin (41″/2) = 29.8 km/s----- (式7)
となり、地球の公転速度が約 29.8km/s であることが分かります。
(図 7.8: 地球の公転と年周光行差)
さらに地球が円運動していると考えて、地球と太陽の間の距離を a(km/s)とします。すると、地球は 29.8km/s
の速さで、1年(=3.15×107 秒)かけて、2a km の円周を一周りすることになるので、
2a = 29.8 (km/s) × 3.15×107 (s) ----- (式8)
となります。これを a について解くと、太陽と地球の間の距離 1.49×108 km を得ることができます。ここではこれ以
- 24 -
上話を進めませんが、太陽と地球の間の距離が分かってしまえば、後は三角測量の応用で星までの距離を求
めることができます。
7.5 地球の自転運動とフーコー振り子
地球が自転している直接的な証拠を初めて示したのは、フランスの物理学者フーコー(J. Foucault)です。
まず長いひもの先に重いおもりを付けた振り子をつくります。この時、おもりに働く力は空気抵抗な
どを無視すれば、鉛直下向きに重力、そしてひもが張られた方向に働く張力の二つだけです。重力と張
力の合力は、つねに振り子の運動の中心を向いており、これが振り子の往復運動を生み出します(図 7.9)。
振り子にはこれ以外の力は働いていません。ですから太陽から見た振り子の振動運動は、つねに同じ
方向を行ったり来たりしているだけなのです。ところが地球は一日に 360°の自転をしています。今、
振り子を北極点に置き、観測者がその振り子をずっと観察し続けることにすると、観測者は地球と一緒
に一日で 360°地軸の周りを西から東の方向へ一周します。しかし、太陽に対する振り子の振動方向は
変わらないので、観測者から見れば、振り子の振動方向(正確には振動面)が一日で東から西に向かって
一回転したように観察されます。この場合、観測者には、振り子を時計回りに回転運動させるような力
が働いているように見えます。この見かけの力をコリオリの力といいます。
コリオリの力の大きさは、地球上の緯度φによって変わります。そのために、振り子の振動面の回転
角速度ωも緯度によって変わり、
ω = ω0 sin φ (°/s) ----- (式9)
と表わせます。ここでω0 は地球の回転角速度(360°/23 時間 56 分 04 秒)を表わします。東京学芸大学
の位置は、北緯 35 °42′07″なので、フーコー振り子の振動面の回転角速度は、1 時間あたり 8.78°
になります。
(図 7.9:振り子の原理とフーコー振り子)
1851 年、フーコーは、パリのパンテオン寺院の天井から、重さ 28kg 重のおもりを 67m のひもでつ
るして巨大な振り子をつくり、これを振ることで地球の自転を直接的に証明してみせました。
注) 台風の巨大な渦巻もコリオリの力で発生します。また振り子を南極点に置くことで、コリオリの
力の働く方向が、北半球と南半球で反対向きになることが分かります。特に赤道上では振り子の振
動面は全く回転しません。さらにコリオリの力によって、風呂や流し台の吸い込み口にできる渦の
回転方向が北半球と南半球で異なる、という話があります。が、このように小さなサイズでは吸い
込み口の形や水を流し始めた位置の影響の方が大きく、観察される渦の回転方向は五分五分になり
ます。この話は既に都市伝説となっているので気をつけましょう。
- 25 -
第8章
太陽・月と惑星の動き
8.1 月の満ち欠け
月は、私達が住む地球の衛星であり、最も近い地球以外の天体です。
月の表面は岩石に覆われており、太陽の光を反射することで明るく輝いて見えます。しかし当然のことながら、
月の光って見える部分は、太陽の光があたる、いわば月の昼の部分であり、太陽と反対側の面は、太陽の光が
あたらない夜の側です。そのため、月の夜の側は、地球からは真っ暗に見えることになります。そして、地球から、
月の昼の面と夜の面がどのように見えるかによって、月に満ち欠けが生じます。特に地球と月の距離に比べて、
太陽と月、太陽と地球の距離はずっと長いため、太陽からやってくる光は、地球にも月にも同じように降り注ぎま
す。
図 8.1 は、太陽からの光と、月の満ち欠けが生じる様子を、地球の北極側から模式的に示したものです。
(図 8.1: 月に満ち欠けが生じるしくみ)
地球から月を観察すると、月は、地球の周りを西から東に向けて、約 29.5 日で一周します。このため、月の出
の時刻も、毎晩 50 分程度を基本に、段々と遅れていきます。さらに図 8.1 から、満月は、日没の頃に東の空に顔
を出し、真夜中頃に南中して、日の出の頃に西の空に沈むことが分かります。これが上弦の半月の場合、月の
出は真昼頃であり、日没の頃に南中、真夜中には西の空に沈んでしまいます。さらに反対に下弦の半月では、
月の出は真夜中頃で、日の出の頃に南中、月の入は真昼頃となります。
8.2 日食と月食
昼間は、太陽の光が強いため、月やほとんどの星を見ることはできません。しかし、目には見えなくとも、そこ
には確かに月や星が存在しています。そして、太陽と地球の間に月が入り込み、月の影が地球上に落ちるとき、
日食が起きます。また、太陽と反対側には、地球それ自体の影ができます。月がこの地球の影の中に入り込むと、
月食が起こります。日食や月食も、太陽や地球、月の運動が引き起こす現象なのです。
図 8.1 を見ると、新月の時には、月が太陽の光を遮って毎回日食が、満月の時には、毎回地球の影に月が入
って月食が起こるように思えます。しかし、地球の公転軌道面と月の公転軌道面は、必ずしも一致している訳で
はないため、実際に、月がつくる影が地球上に落ちたり、地球の影の中に月が入り込むことは稀なことです。確
かに、日食は新月の時、月食は満月の時に起こりますが、このような理由で、日食や月食は、頻繁に起こる現象
- 26 -
ではありません。
図 8.2 に、日食が起こる原理を模式的に示しました。地球上の位置によって、太陽が完全に隠される地域と、
太陽の一部だけが隠される地域が出てきます。前者では皆既日食(場合によっては金環食)、後者では部分日
食が観察されます。地球の公転軌道も月の公転軌道も円ではなく楕円です。そのため、同じ新月の時であって
も、太陽と地球の間、そして地球と月の間の距離は異なってきます。この距離の違いが皆既日食と金環食の違
いを生じます。
(図 8.2: 新月期に日食が起こる原理)
図 8.3 には、月食が起こる原理を模式的に示しました。地球の影の中に、月が完全に入り込んでしまうと、皆
既月食に、月の一部が入り込む場合には部分月食となります。また、月の大きさよりも、地球の影のほうがずっと
大きいため、金環食のような月食が生じることはありません。
(図 8.3: 満月期に月食が起こる原理)
8.3 内惑星の動き
水星と金星の二つは、太陽の周りを、地球より内側の軌道で公転しているため、内惑星(第5章参照)と呼ばれ
ることがあります。太陽系の惑星それ自身が、遠くに位置する恒星よりも、地球のずっと近くで太陽の周りを回っ
ているため、見かけ上、恒星とは大きく異なる動きをします。
内惑星の場合、日没直後の西の空に見えはじめたと思うと、最初のうちは星々の間を西から東に移動して、
太陽から遠ざかるものの、やがてその動きを止め(この状態を留という)、今度は東から西に移動して太陽に近づ
いていきます。そして、その後、今度は日の出直前の東の空に見えはじめます。今度は東から西に動いて太陽
から遠ざかりますが、やがてその動きを留め(この状態も留という)、次には西から東へ動いて太陽に近づいていく
ようになります。そして直ぐに、日没直後の西の空に見えるようになります。内惑星は、このような動きを繰り返しま
す。また、内惑星には月のような満ち欠けがあり、欠けが大きい時は、見かけの大きさも大きく見え、欠けが小さ
い時には、見かけの大きさも小さく見えることが知られています(これを最初に記録に残したのはガリレオ・ガリレ
イです)。このような内惑星の特徴は、次のようにして理解することができます。
水星、金星のどちらも、地球より短い時間で太陽の周りを一周します(水星の公転周期は 88 日、金星は 225
日)。そして、これらの公転方向は地球と同じです。すると、内惑星が日没直後の西の空で、太陽のすぐ傍(太陽
のすぐ東)に見えるのは、図 8.4 の外合の直後か、内合の直前の位置にある時です。一般に地球から見て、惑星
が太陽の方向にある位置関係を合と言います。そして、特に内惑星が太陽の手前にある場合を内合、太陽の向
こう側にある時を外合といいます。
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今、内惑星が外合の直後の位置にあるとしましょう。ここから内惑星がその軌道上を進むと、地球からは、内惑
星が西から東へ向かって(つまり太陽から遠ざかって)行くように見えます。このような太陽や月のような西から東
への移動を順行と呼びます。しかし地球に近付くにつれて、内惑星の動きは一時的に止まり(この状態を留とい
う)、今度は反対に東から西へ向かって(つまり太陽に近付いて)動くように見えます。このような動きを逆行と呼び
ます。そしてこの後、内惑星は内合となり、次には明け方の東の空に見えるようになります。そして、同様のことが
起こって、今度は外合に至る訳ですが、このような内惑星の独特の動きは、まさしく地球の内側を、地球よりも早
く公転していることに起因します。
(図 8.4: 内惑星の見え方)
特に、金星の満ち欠けと見かけの大きさの関係は、金星が地球の内側を、地球と同じ方向に、地球よりも早く
公転している、と考えなければ説明することができません。金星の満ち欠けは、ガリレオ・ガリレイが、地動説を強
く提唱する大きな観測的証拠だったのです。
また水星にも、金星同様の満ち欠けが観察できるはずですが、水星は金星よりも小さく、また金星よりもずっと
遠くにあるため、水星の満ち欠けを観察することは極めて困難です。
8.4 外惑星の動き
地球から見て、太陽の近くを行ったり来たりする内惑星に対して、地球よりも外側を公転する、火星、木星、土
星などの外惑星(第5章参照)は、少し異なる動きを見せます。外惑星は基本的に、太陽のように星々の中を西か
ら東へ移動していきます(順行)が、途中で留の状態を経てしばらくの間、逆行を続けます。そして再度、留となっ
て順行運動を行います。このような移動は、内惑星とは逆に、外惑星が地球の外側を、地球より遅く公転運動し
ているために生じます。特に、図 8.5 に示したように、外惑星の逆行は、地球が外惑星を追い抜くことで起こりま
す。この図では、逆外惑星の見かけの動きはループを描いていますが、このような動きが生じるのは、地球の公
転軌道面と外惑星の公転軌道面が必ずしも一致していないためであり、新月や満月の度に日食や月食が起こ
らない理由と同じです。そのため、場合によっては、ループではなく、S字や逆S字などを描くこともあります。
また、外惑星が太陽と同じ方向に見える位置(外惑星の場合は、必ず地球から見て太陽の向こう側に位置す
ることになります)を合といいます。合の時、外惑星は太陽と同じ方向に見えるため、事実上観察することはできま
せん。これとは逆に、外惑星が、太陽と反対側になる位置を衝といいます。外惑星が衝の位置にいる時、この外
惑星は、日没の頃に東の空に顔を出し、真夜中に南中して、日の出の頃に西の空に沈むことになります。つまり、
一晩中観察することが可能となる訳です。さらに、外惑星と地球、地球と太陽がなす二つの直線が直交する位
置を矩(「く」)と呼び、地球から見て太陽の東側にある場合を東矩、西側にある場合を西矩といいます。
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図 8.6 に、外惑星と太陽・地球との位置関係を模式的に示しました。
(図 8.5: 外惑星の見かけの動き)
(図 8.6: 外惑星と太陽・地球との位置関係)
8.5 掩蔽(えんぺい)
ある天体と観測者の間に、別の天体が入り込むことで、天体がかくされる現象を、一般に掩蔽(えんぺい)と呼
びます。月食も掩蔽の一つです。また月が恒星を隠す掩蔽は、星食と呼ばれることが多いようです。
地球から見て、水星や金星といった内惑星が、太陽表面を通過する掩蔽は、水星の太陽表面通過や金
星の太陽表面通過と呼ばれています。17∼18 世紀の天文学者エドモンド・ハレーは、この現象を精密
に観測することで、太陽と地球の間の距離、即ち 1 天文単位を測定できることに気付きました。そして、
その詳細な方法を論文に示し、1 天文単位の精密な測定を後世の天文学者に託しました。1874 年(明治 7
年)の金星の太陽表面通過では、日本が丁度その全過程を観測できる位置にあったため、アメリカやヨー
ロッパから観測隊が派遣され、横浜や神戸、長崎などで観測が試みられました。
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第Ⅳ部
第9章
観察・実験と演習
観察と実験
学校教育現場の教員の方々からは、しばしば小・中学校の理科では特に天文分野の指導が難しい、と
いう声が聞かれます。私見ですが、この原因の一つは i) 元々、教員養成系大学・学部において、系統
的に天文学を学べる場所が少ない、という学校教員養成に関わる要因と、ii) 平面的にしか観察できな
い天体の動きや形を、立体的に理解しなければならず、特に小・中学生ではこの能力が発達途上にある、
という児童・生徒の発達に関する要因、そして iii) 児童・生徒のみならず学校教員までもが理科を、暗
記とパターン解法によって学ぶものと思い込んでいる、という教育環境の問題が複合して生じている、
と考えられます。
しかし、理科のポイントは、観察や実験を通して、自然現象を引き起こす自然が元来有している一般
的な法則や概念を導き出させることにあります。確かに、丸暗記やパターン解法では、元々答が存在す
るような一部の限られた問題に対しては、極めて迅速に模範解答を提示することができるでしょう。し
かしこれでは、答があるかどうかも分からないような問題に対しては、全くの無力となってしまいます。
人類の文化や技術を支えるのは、試行錯誤を繰り返してでも、道筋をたてて解答を導き出す力です。理
科はまさしく、このような力を養うための科目です(学習指導要領にこれに類することが、きちんと記述
されています)。
天文現象は様々な自然現象の中でも、万人に等しく観察可能な唯一のものです。確かに星の観察は夜
間でなければ行えませんし、場合によっては天体望遠鏡など特殊な器具や教材を使うこともあります。
それ故に、天文領域に通じていない学校教員の方々は、天文の観察や実験に対して敬遠がちになるよう
です。ですが、本当にこのようなものだけが天文現象の観察なのでしょうか?
ここでは、実際に理科の教科書に掲載されている観察・実験にヒントを得たものから、意外な観察・
実験方法までの幾つか紹介します。
9.1 天体運行の仮想体験
科学館などで上映しているプラネタリウムは、天文教育における究極の天体運行シミュレーターです。これに
よって、ほとんど全ての天体の運行を再現できます。特に実際の天体の観察と異なり、天候の影響を受けません。
一般向けの上映番組では、天文現象のシミュレーションよりは、映像や音響効果の高いアニメーションや音楽を
重視したものも増えて来ていますが、学校教育のための学習投影の実施は、 プラネタリウムを有する科学館の
大きな活動の柱の一つでもあります。中途半端な知識と技術で天候に左右されるような観察を行うくらいであれ
ば、課外活動や遠足などを兼ねて、プラネタリウムの学習投影を視聴させる方が、児童・生徒に対しても、より効
果的でしょう。
また、授業進度や上映時間など、学校側の要請にもなるべく応える形で上映してもらえるので、積極的に学習
投影を行っている科学館に連絡してみることをお勧めします。近くのプラネタリウムを探したい場合には、インタ
ーネットで「プラネタリウム」「学習投影」などをキーワードに検索するか、書店で販売している天文雑誌(星ナビ・
天文ガイド)などの情報ページを御覧になると良いでしょう。
天体運行シミュレーターとして、プラネタリウムほどでは無いにしても、同様の機能を持つものに、コンピュータ
上で動作する天文ソフトがあります。これは後述する星座早見盤に、より高性能な機能を付加したものとしても使
用できます。具体的には、観測地や観測日時などを入力することで、その時の星の配置を再現表示してくれるソ
フトウェアです。主な天体の名称や星座線・星座絵を表示してくれるものも少なくありません。市販されているも
のには、高価なものが多いですが、インターネット上では、多くのフリーの天文ソフトも公開されています。コンピ
ュータやネットワークに慣れた方は、ダウンロードして、実際に試してみてはいかがでしょうか。例えば、「Stellar
Theater Lite」 (http://www.toxsoft.com/sswpro/lite.html)や「つるちゃんのプラネタリウム for Windows フリー
版」(http://homepage2.nifty.com/turupura/download/free.htm)あたりが有名どころでしょう。
設備に恵まれていれば、天文ソフトによるシミュレーション画面を、液晶プロジェクターで映し出して使用しても
良いかも知れません。
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プラネタリウムや天文ソフトに比べると、かなり見劣りしますが、それでも星座早見盤は、極めて安価で使いや
すい天体運行シミュレーターです。日時を指定することで、その時の主な星や星座の配置を再現してくれます。
星座早見盤は、内部に星や星座、周りに月日を記した円盤と、楕円形ののぞき窓と方向・時刻が記された円
盤からなり、月日と時刻の指定は、二つの円盤の月日と時刻のメモリを合わせるだけです(図 9.1[左]中の赤丸
は、10月15日20時にセットした状態です。)。これでのぞき窓には、指定した月日時刻の空が再現されていま
す(図 9.1[右])。ただし、これは日本の時刻の基準となる東経 135 度の経線が通る、兵庫県明石市に合わせたも
のです。ここより東の場所では、空の星々は少し西へ、ここより西の場所では反対に少し東へ位置がズレてしま
います。そこで、最後に図 9.1[右]の左下のオレンジ丸に注目し、ここで「明石」になっている矢印を、観測地に最
も近い都市のところまで動かします。これで、観測地の違いによる、夜空の見え方の違いを補正することができま
した。
星座早見盤は簡単に夜空の恒星の位置を再現してくれます。ただし、それ故の注意点も多く有しています。
星座早見盤を使用する上で、特に注意すべきは、以下の5点です。
① 実際の空と比べる時には、早見盤を頭上に持ち上げて見る(そうしないと東西が逆になる)、
② 円盤の回転中心が北極星の位置になる、
③ 月や惑星は星々の間を動いているので表示されていない、
④ のぞき窓の真ん中が天頂の位置になる、
⑤ 東西の方位が歪んでいる(図 9.1[右]ののぞき窓周辺に記した方位に注目)。
(図 9.1: 星座早見盤の使い方)
様々な星座早見盤が市販されており、それぞれ表示されている星や星座の数が違ったり、見やすさが異なっ
たり、夏の大三角などの目印の有無、など価格も含めてバラエティに富んでいます。一度、御自分で手に取って、
確認して見るのが良いでしょう。
9.2 月・金星の満ち欠け
月や金星の満ち欠けの再現実験は、天文領域の極めてオーソドックスな実験です。しかし、この実験を実際
に行うには、様々な問題点も出てきます。よく目にするものとしては、以下のようなものでしょう。
材料:ピンポン玉(月または金星のモデル)、電気スタンド(光源として太陽のモデル)、
観察者は地球のモデル
場所:暗くした実験室や教室
目的:太陽・地球・月(金星)の位置関係と満ち欠けの関連性を体感する。
内容:光源からの光を受けたピンポン玉が、そのように光って見えるかを、実際に観察し、その形
を月や金星の満ち欠けと比較・考察する。
この実験の問題点としては、以下のようなものが挙げられます。
・ 同時に実験できる児童・生徒数は 5∼6 名程度であり、これ以上になると、同じ実験セット
を複数用意して、グループ毎に別々に行う必要がある。
・ 普通の光源では、ピンポン玉の光があたる部分(昼の部分)とあたらない部分(夜の部分)の境目
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が不明瞭になり、実際の形が捉えにくい。そのためには、光源を明るくする必要がある。
・ 明るい光源を使用すると、複数グループで実験している場合、他のグループに影響を与えて
しまう。
光源と陰を使うよりは、夜の部分になる半球部分だけを黒マジックで塗りつぶしたピンポン玉を使う
と、満ち欠けはより鮮明になります。これによって、光源の明暗や、光源の数に影響されない実験が可
能となります。
また、生徒の前でデモ実験などを行う場合には、なるべく表面に模様のない単一色のボールを使用す
るのが良いでしょう。これは、ボール自身の色や模様によって、昼の部分と夜の部分の境目が分かり難
くなることを避けるためです。
一つの大きなボールに強い光をあてて、それを複数の方向から複数の児童・生徒が観察する、という
方法も考えられます。
(図 9.2: 月や金星の満ち欠けの再現実験)
図 9.2 には、卓上ライトを太陽(光源)、ピンポン玉を月(もしくは金星)に見立てて、これを様々な方向
から観察した様子を示しました。ピンポン玉は、そのままのものと、夜の部分にあたる半球部を、黒マ
ジックで塗ったものとが、並べて置いてあります。確かに、黒マジックで色塗りしなかったピンポン玉
では、昼と夜の境目がはっきりしないことが分かります。また、この図のように、目で見るだけよりも、
デジタルカメラや携帯電話付属のカメラで撮影、それを観察することで、光っている部分を再確認でき
るという利点もあります。
9.3 天文現象の観察
教科書に出てこないテーマであっても、話題の一つとして天文現象を観察する意義は決して小さくは
ありません。マスコミなどにも頻繁に取り上げられるテーマとしては、やはり日食・月食と流星群では
ないでしょうか?
『理科年表』や『天文年鑑』は毎年出版され、その年の暦などが詳細に記されています。日食・月食
については、数年先までの情報まで詳細に掲載されています。また、実際に日食・月食が起こる時期に
なると、テレビや新聞が取り上げたり、科学雑誌・天文雑誌に特集が組まれたりしますので、これらを
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参考にすると良いでしょう。
ただし、特に日食の観察には、専用の観察用具を使用するように指導しましょう。視神経を傷めてし
まいます。ススをつけたガラスや黒い下敷きなどは、昔は普通に使用されていましたが、最近では赤外
線が素通しになるために視細胞が焼けて再生不可能なダメージを与えることが知られています。
また月食の観察はどうしても夜になってしまいますので、保護者と一緒に観察する、など防犯対策を
きちんと指導しましょう。
彗星は細長い楕円軌道を描いて、太陽の周りを回っている太陽系の仲間の星です。有名なハレー彗星
は、76年かけて太陽を一周します。彗星の本体は巨大な氷とチリの塊で、これが太陽に近づくことで
溶け出し、長い尾を形成します。そして彗星は常にその通り道の上に、たくさんのチリをばら撒いてい
ます。そしてそのばら撒かれたチリの中に、地球が入っていくと、たくさんのチリが地球の万有引力に
引かれて落ちてきます。
これが流星群です。特に有名な流星群については表 5.3 を参考にしてください。
月夜や街中でなければ、暗い流星でも肉眼で観察することができるでしょう。流星群に冠される星座の
名称は、流星の多くがその星座の方向から飛んでくるように見えることに由来しています。流星が出現
する中心点を輻射点といいますが、実際の流星は全天に流れるので、輻射点方向にこだわる必要はあり
ません。
また、
9.4 他教科との関連
第 2 章の小林一茶の句や第 6 章の藤原定家の超新星爆発の記録、など天体現象の中には、他教科と少
なからず関連した内容があります。使い方によっては、授業を円滑に進めることができるかも知れませ
ん。
与謝蕪村にも、月を詠んだ有名な句があります。
菜の花や
月は東に
日は西に
という句です。この時の月はどのような月でしょうか?
国語の参考書などに出てくる解説を受け入れると、東の月と西の日が同時に見えているので、月は満月に近
い状態と考えられます。しかも、これは夕方の風景ですから、満月よりは少し東側が欠けた月であろうと推測され
ます。
宮沢賢治の小説「銀河鉄道の夜」に登場する銀河鉄道は、はくちょう座(北十字)から天の川に沿って南十字
までを結ぶ鉄道として描かれています。
ここで星座早見盤を取り出してみましょう。はくちょう座(北十字)から南十字星まで辿ってみると、琴座、はくち
ょう座のアルビレオ(はくちょう座ベータ星)やさそり座の一等星アンタレス(赤色巨星)、ケンタウルス座など、銀
河鉄道の夜に登場するモチーフが連なっていることが分かります。また南十字座のそばにある石炭袋という暗黒
星雲なども登場します。
それぞれのエピソードを思い出しながら、星座早見盤を辿ってみるのも楽しいかも知れません。
また次章に、日本の地理的特徴と日の出・日の入に関係した演習問題も用意しました。天文学そのも
のは、もともと天体の運行を記録し、そこから暦を作るための学問でした。そのために観測地の地理的
条件と観察記録の間には、深い関わり合いが生じます。演習からは、このような関係を味わって頂ける
と幸いです。
9.5 教科書に出てくる観察・実験
ここでは、実際の教科書に出てくる観察や実験をアレンジした手引書を紹介します。
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教科書にある実験・観察 小4理科「月の動き」
観察「月の動きを調べよう」
月の位置が、時刻とともにどのように変わるか調べよう。
【準備】
画用紙、クリップボード、鉛筆、時計、方位磁針
【観察】
1. あらかじめ観察の時に立つ位置を決め、そこから見える景色を目印として画用紙に記録す
る。そして方位じしんを使って方位を確認し、画用紙に記録した景色の中に、その方位も記
入する。画用紙は、クリップボードに留めると屋外での記録が行いやすい。
2. 観察時刻にあらかじめ決めた位置に立ち、そこから見える月の位置と形を画用紙に記録し、
その時の観察時刻も記入しておく。
3. 1 から 2 時間後に、同じ場所に立ち、2 と同様に観察して月の位置と形、観察時刻を記録す
る。
4. 6 から 8 日後に、上記 2 から 3 を繰り返す。その際、立つ位置は常に同じにすること。
( 図1: ある夕方の月の観察記録例 )
【後かたづけ】
・ 画用紙、クリップボード、鉛筆は所定の位置に戻す。
・ 時計、方位磁針は精密機械なので、落下などに注意して、所定の位置に片付ける。
・ 特に方位磁針については、針受けの磨耗防止ストッパーが付いたものであれば、しっかり
とストッパーを使って針を固定する。
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【教師に必要な予備知識】
(原理)
○ 月の運動:
月は、直径が地球の約 1/4、質量は地球の約 1/100 であり、地球の唯一の衛星である。そしてその
地球に対する公転周期が約 29.5 日であるため、月の出・月の入の時刻は毎日約 50 分ずつ遅くなっ
て行く。さらに月の自転周期が、この地球に対する公転周期に等しいため、月は地球に対して常に
同じ面を向けることになる。その結果、地球から観察できる月の面は常に同じであるにもかかわら
ず、太陽・地球・月の位置関係が約 29.5 日周期で時間と共に変化する、つまり月が太陽によって照
らされる場所と、それを見る地球の位置が約 29.5 日周期で変わっていくため、地球から見える月は、
約 29.5 日周期で姿を変えることになる。
( 図2: 太陽・地球・月の位置関係と月の見え方 )
(実験法)
○ 方位磁針の取り扱い:
鉄製の物(手すりやパイプ)のすぐ近くでは、磁針が正しく北を向かないことがあるので、その旨あら
かじめ指導する方が良いと思われるが、本観察では方位の精度をそれほど必要としないので、大き
な影響は無いだろう。
○ 景色記録の視野:
記録日経過による月の移動は大きいため、景色の記録はある程度広く行う必要がある。
(安全教育)
○ 夜遅くの観察は様々なトラブルを引き起こす可能性があり、例え保護者の随伴があったとしても、
避けた方が無難である。朝、登校の直前直後の西の空や、夕方日没の直前直後に見える月を観察さ
せることを推奨したい。特に半月(上弦)の頃であれば、夕方前でも東の空で観察ができる
○ 自宅近辺での観察を行わせる場合には、車・自転車や通行人の往来に注意するよう指示することが
必要不可欠であるが、小学4年生では十分にその内容を理解し、実行することは難しいだろう。
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教科書にある実験・観察 小4理科「星の動き」
観察「星の動きを調べよう」
星ざの位置と星のならびかたを調べよう。
【準備】
画用紙、クリップボード、鉛筆、時計、方位磁針、星座早見盤
【観察】
1. あらかじめ観察の時に立つ位置と星座早見盤・方位磁針を使って観察方向を決め、そこから見
える景色と方位を目印として画用紙に記録する。画用紙は、クリップボードに留めると屋外で
の記録が行いやすい。
2. 観察時刻にあらかじめ決めた位置に立って観察する方向を向き、星座早見盤と見比べながら、
そこから見える星の位置と星ざの形を画用紙に記録し、その時の観察時刻も記入しておく。
3. 1 から 2 時間後に、同じ場所に立ち、2 と同様に観察して星の位置と星ざの形、観察時刻を記
録する。
4. 2 から 4 週間後に、上記 2 から 3 を繰り返す。その際、立つ位置は常に同じにすること。
( 図1: ある晩のカシオペア座の観察記録例 )
【後かたづけ】
・ 画用紙、クリップボード、鉛筆、星座早見盤は所定の位置に戻す。
・ 時計、方位磁針は精密機械なので、落下などに注意して、所定の位置に片付ける。
・ 特に方位磁針については、針受けの磨耗防止ストッパーが付いたものであれば、しっかり
とストッパーを使って針を固定する。
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【教師に必要な予備知識】
(原理)
○ 地球の自転・公転運動と星の日周・年周運動:
地球は北極側から見て反時計回りに自転運動をしている。そのために、太陽を含めたほとんど全
ての星は東から西に向かって動いて見える。この星の見かけの運動を日周運動と呼ぶ。また習慣的
には、太陽の南中時刻から次の南中時刻までが 1 日(=24 時間)とされており、日常生活の時間の基
本となっている。星は 1 日で空を一周すると考えられるため、同じ日に同じ星の観察を続けると、
その星は北極星を中心に 1 時間当たり 15°だけ東から西に位置を変えることが分る(図2上)。
しかし実際には、地球は約 1 年で太陽の周りを 1 周しており、これを地球の公転運動と呼ぶ。こ
の運動のため、同じ星の南中時刻は一日あたり約 4 分ずつ早くなっていく(この値は非常に僅かであ
るため、数日程度の観察では気が付くことはできないだろう)。つまり同じ星を同じ時刻に観察し続
けた場合、星の位置は一ヶ月で 30°ずつ、北極星を中心にして東から西に移動して行くことになる。
季節によって観察できる星座が異なるのは、特に半年前もしくは半年後に観察できる星座は、丁度
太陽を挟んで地球と反対側に位置するため決して観察することは出来ない。反対に遅い時刻であれ
ば次の季節の星座を見ることも可能である。
( 図2: 北天の星の日周運動・公転運動 )
( 図3: 地球の公転運動と季節の星座 )
(実験法)
○ 星座早見盤の取り扱い:
星座早見盤はその構造上、空の星の配置が歪んで表示されるため、使用の際には留意させること。
○ 景色記録の視野:
記録時期の月経過による星の移動は大きいため、景色の記録はある程度広い視野で行う必要がある。
(安全教育)
○ 月の観察と異なり、星の観察は日没後にしか行えない。例え保護者の随伴があったとしても、車・
自転車や通行人の往来、児童の自宅近辺の光害(街灯などによって夜空の背景光が明るくなること)
状況の差異などを考慮して、行わないことが無難である。NPO 法人や地域の有志が行う観望会やプ
ラネタリウムの学習投影を利用することを推奨したい。
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教科書にある実験・観察 小3理科「日光・日なたと日かげ・太陽の動き」
観察「太陽のうごきをしらべよう」
太陽は、1日の間で、どのようにうごいているのでしょうか。
【準備】
工作用紙、棒(割箸で代用可)、画鋲、鉛筆、時計、方位磁針
以下の様にして記録用具を作る。
・ 棒(割箸)を工作用紙に垂直になるように、裏から画鋲で留める。
・ 南北方向および東西方向の目安とするための線を、工作用紙の上に記す。
・ 棒は工作用紙の大きさに対してあまり長いものは避ける(太陽の高度が低くなると、影が
工作用紙の外に出てしまう)。
【観察】
1. 方位磁針を使用して、あらかじめ記録用具を置く観察場所を決める。観察場所は、継続的
に記録用具を置き続けられるか、記録用具の方向や傾きが容易に再現できる場所にする。特
に強い風が吹くような日や場所は避ける。
2. 観察場所に記録用具を置く。その際には、方位磁針の方位と記録用具に記した南北・東西
方向が一致するように注意する。また記録用具の傾き水平になるように注意する。
3. 鉛筆を用いて、30 分∼60 分ごとに棒の影の先端に×印を記し、観察した日時と時刻も記
録する。
4. 上記 2 から 3 を、春、夏、秋、冬の異なる季節で行う。
( 図1: 記録用具の製作と記録例 )
【後かたづけ】
・ 記録用具は数ヶ月後に再度使用するので、壊れないような場所に保管する。
・ 鉛筆・方位磁針は所定の位置に戻す。
・ 特に方位磁針落下などに注意して、所定の位置に片付ける。その際に、針受けの磨耗防止
ストッパーが付いていれば、しっかりとストッパーを使って針を固定する。
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【教師に必要な予備知識】
(原理)
○ 太陽の日周運動と季節、地球の自転・公転・地軸の傾き:
地球は太陽に対して 1 日 1 回転の自転運動をしている。この自転運動によって、太陽や星の見か
け上の運動、日周運動が生じる。また地球は自転運動と同時に、太陽の周りを約 1 年で 1 回転する
公転運動をも行っている。この公転運動によって、季節で異なる星が観察される星の年周運動が生
じている。しかし地球の自転軸方向は、公転運動の回転軸方向と一致せず、23.4°傾いている(公転
軌道面からは 66.6°傾いていることになる)。地球の公転運動は、この地軸の傾き方向を変化させず
に行われるため、天球上での太陽の通り道は半年ごとに徐々に高さを変えるようになる。これが日
本では季節によって気温が変わる原因の一つになっている。
地球の自転方向が、北極側から見て反時計回り(西から東向き)であるため、太陽や星は見かけ上、
東の空から西の空へ動いて見える。太陽の南中する時刻を正午と定めているため、太陽の一日の高
度は日の出から時刻と共に大きくなり、正午頃に最大となる。そしてその後、時刻と共に小さくな
り日没にいたる。そしてこの一日を通した太陽の動きは季節によってことなり、夏至の頃に最も高
く、そして冬至の頃に最も低くなる。
( 図2:地球の地軸の傾き )
( 図3:地球の公転運動・地軸の傾きと季節の変化 )
(実験法)
○ 方位磁針の取り扱い:
鉄製の物(手すりやパイプ)のすぐ近くでは、磁針が正しく北を向かないことがあるので、その旨あら
かじめ指導する方が良いと思われるが、本観察では方位の精度をそれほど必要としないので、大き
な影響は無いだろう。
○ 記録用具の設置:
記録用具を一度設置した後は、一日の観察記録が終了するまで、その場所を動かさないことが望ま
しい。現場の環境からそれが難しい場合は、記録用具の方位・傾きが再現しやすい場所に設置させ
るようにする(許されるのであれば、記録用具の四隅を設置場所にマークするなどの工夫をする)。
(安全教育)
○ 記録用具の製作に画鋲を用いるため、ケガなどに注意する。
○ 記録用具の形状は、工作用紙から棒が突出しているため、それを要因とするケガなどに注意させる。
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教科書にある実験・観察 小3理科「日光・日なたと日かげ・光の進み方」
実験「光の進み方を調べよう∼その1」
日光を使って、光の進み方を調べよう。
【準備】
記録用紙(画用紙など大きいもの)、クリップボード、筆記用具、缶など光の障害物となり得る
もの(なるべく背の低いものが良い)、衝立(光を遮って日かげを作れる程度のもの)、鏡
【実験 1】
1. 日なたに記録用紙を置き、その上に缶などを置く。
2. できた缶の影の方向と、その時の太陽の方向を記録する。
3. 場所や物を変えて、上記 1∼2 を繰り返す。
【実験 2】
1. 日なたに衝立を持ち出して十分に大きな日かげを作る。建物の陰などを用いてもよい。
2. 鏡を使って、衝立の陰の中に光を反射させる。
3. 鏡と陰の間に缶などを置いて(この場合、缶は日かげの中に置く)、その時に出来た缶の影
の方向と、太陽のある方向、鏡の位置を記録する。
4. 複数個の鏡を用いた複数回の反射によって、太陽(光源)からの光を導いてもよい。
( 図1: 実験1および実験2の実施イメージ図 )
【後かたづけ】
・ 大きい衝立を使用した場合は、移動の際の衝突などに注意しながら所定の位置に戻す。
・ 鏡は落下などによる破損に十分注意して所定の場所に戻す。万が一、鏡を破損した場合は、
決して素手では触らず、ほうきとチリトリを使ってできる限り細かい破片まで掃き撮る。
集めた破片はケガをしないように注意して新聞紙などで包み、ガムテープなどでこぼれな
いようにしっかりと留め、「注意・鏡の破片」などと記して所定の場所に棄てる。危険な
ので、チリトリで集めた破片をそのままゴミ箱などに捨てないように指導する。
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【教師に必要な予備知識】
(原理)
○ 光の進み方:
光は、光源から四方八方へ直進する。従って、光の進路上に物体がある場合、物体に遮られて光
源が見えなくなる場所には影ができる。光源が物体に近付くと、光が物体に遮られる場所、すなわ
ち物体が障害物となって光源を目視できない場所が広くなり、影ができる領域が広くなる(下図では
影の幅が広くなっている)。反対に光源が遠くなれば、影ができる領域は狭くなる。光の実験に関し
て、太陽は強力な光源となるが、太陽は我々から(地球から)はるか遠くに離れているため、地球まで
届いた太陽の光は、ほぼ完全な平行光になっている。
( 図2: 光源までの距離と影のでき方 )
なお、月の影が地球上に投影されたものが日食であり、反対に地球の影が月の上に投影されることで
月食が起こる。また月の満ち欠けは、太陽光に対して月の影になる部分を、異なる方向から見ることで
生じる。
(安全教育)
○ 太陽光は鏡による反射光であっても確実に眼を傷めるため、太陽光を人の顔に向けて反射させない
よう厳重に言い聞かせる。
○ 鏡を破損しないように、また破損した鏡の破片の処理には十分に注意する。
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教科書にある実験・観察 小3理科「日光・日なたと日かげ・光の進み方」
実験「光の進み方を調べよう∼その2」
日光を使って、光の進み方を調べよう。
【準備】
記録用紙(画用紙など大きいもの)、クリップボード、筆記用具、いろいろな形の物体(工作用紙
をいろいろな形に切り抜いたものでもよい)、光源(太陽、電球など)
【実験】
1. 日なたに記録用紙を置き、その上またはその近くにいろいろな形の物体を置く。
2. 記録用紙の上に、物体の影の形を書き写す。
3. その時の時刻や太陽の方向を記録する。
4. 時刻や物体を変えて、上記 1∼3 を繰り返す。
5. なぜ物体の影の形が、記録されたような形になるのかを、物体本来の形や観察時の太陽の
方向、時刻と関連付けて考えさせる。観察時刻や太陽の位置と、物体の影の形を事前に予
想させておいてもよい。
6. 曇天・雨天の場合は、実験室内で電球を光源に用いて行ってもよい。この場合は、電球の
位置を適宜変更すればよい。
( 図1: 太陽の位置と物体の影 )
【後かたづけ】
・ 影をつくるために使った物体は、砂や泥を払い落とす、必要に応じて水洗いする、などし
て、元のあった場所に置く。
・ 記録用紙は、記録面を汚さないように十分に注意して、砂や泥を払い落とす。
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【教師に必要な予備知識】
(原理)
○ 光の進み方と影の形・大きさ:
光は、光源から四方八方へ直進する。従って、光の進路上に物体がある場合、物体に遮られて光
源が見えなくなる場所には影ができる。光を遮る物体が球形でない限り、光源と物体の位置関係が
変化すると、それに応じて影の形も変化する(球形物体の影はどの方向から光を当てても円になる)。
また、光源と物体の間の距離が短くなると、影のサイズは大きくなり、反対に長くなると影のサイ
ズは小さくなる(ただし光源からの光が平行光の時、影のサイズは物体そのものと同じになり、これ
が下限値となる)。
( 図2: 様々な光源の位置と、その時の影の形 )
(実験法)
光源としてオーバー・ヘッド・プロジェクター(OHP)や液晶プロジェクターを用いて、スクリーン
との間に物体を置いても同様のことが可能である。本実験・観察の原理は、まさしく影絵そのものであ
る。
(安全教育)
○ 太陽光を肉眼で直視すると、確実に眼を傷めるため、太陽光を直接見ないように注意を喚起する。
○ 影を作るために使用する物体には、安全なものを用いる。
○ 光源に電球を用いる場合は、細長い形状やリング状の蛍光灯よりは、コンパクトで小さい白熱灯な
どが良い。また電球を使用する際には、衝突や落下による破損に注意する。
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教科書にある実験・観察 小3理科「日光・日なたと日かげ・光のはたらき」
実験「光のはたらきを調べよう」
日光を使って、光のはたらきを調べよう。
【準備】
メモ用紙、クリップボード、筆記用具、衝立(光を遮って日かげを作れる程度のもの。建物の陰
でもよい)、鏡(複数)、温度計(複数)、ガムテープまたは布テープ
【実験】
1. 日なたに衝立を持ち出して十分に大きな日かげを作る。建物の陰などを用いてもよい。
2. 衝立でできた陰の中に複数の温度計を置く。特に温度計には直射日光が当たらないように
注意する。テープなどで貼り付けてもよいが、温度が読み取れるように注意する。
3. 鏡を使って光を温度計に向けて反射させるが、この時の光の集め方は、鏡1枚と鏡2枚、
など差をつけて、両者で同時に光を集め始めるようにする。
4. 数分おきに両方の温度計の温度を読み取り、光を集め始めてからの時間(もしく温度を読
み取った時の時刻でもよい)も併せてメモ用紙に記録する。温度を読み取る時には、鏡に
よる反射光を遮らないように注意させる。
5. 時間と温度の関係をグラフにまとめる。
( 図1: 光の集め方と温度上昇 )
【後かたづけ】
・ 大きい衝立を使用した場合は、移動の際の衝突などに注意しながら所定の位置に戻す。
・ 鏡や温度計は落下などによる破損に十分注意して所定の場所に戻す。万が一、破損した場
合は、決して素手では触らず、ほうきとチリトリを使ってできる限り細かい破片まで掃き
撮る。集めた破片はケガをしないように注意して新聞紙などで包み、ガムテープなどでこ
ぼれないようにしっかりと留め、「注意・鏡の破片」などと記して所定の場所に棄てる。
危険なので、チリトリで集めた破片をそのままゴミ箱などに捨てないように指導する。
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【教師に必要な予備知識】
(原理)
○ 光のはたらき:
光はエネルギーを伝達する。太陽光は太陽からのエネルギーを地球まで運び、それによって地球
は温められ、大気や水の循環を生じる。一旦、地球へ運ばれたエネルギーは赤外線という形で宇宙
空間へ再放射されるが、地球表面の大気や水は、その赤外線を再吸収して一部を地表へ再々放射す
る。これによって地球表面は、摂氏約20度という環境が実現している。
(実験法)
本実験では、より多くの光を集めた方が、より早く物体の温度を上昇させることができることを
体験するものである。ここでは温度計を用いて、時間に対する温度上昇の早さを調べたが、多少の
不定性が許されるのであれば、ほぼ同じ重量で同じ形状の氷やチョコレートを用いて、太陽光を集
めて溶解させるという実験も可能である。これらの実験は光が運ぶエネルギーが、熱エネルギーに
変わることを示している。
他には、光線銃や太陽電池などを用いることで、光エネルギーが電気エネルギーに変わる現象を
体験させることができる。しかし電気工作に心得が無い教員には、この作業はハードルが高いもの
になるため、市販の教材を用いることを推奨する。簡単な例としては太陽電池で動作する電卓やミ
ニゲームが挙げられる。
また教科書によっては「虫眼鏡で光を集めて紙片を焦がす実験」なども取り上げられているが、
小学校3年生という年齢の幼さと、着火させるという実験内容から、避ける方が無難であると思わ
れる。
(安全教育)
○ 太陽光は鏡による反射光であっても確実に眼を傷めるため、太陽光を人の顔に向けて反射させない
よう厳重に言い聞かせる。
鏡や温度計を破損しないように、また破損した鏡や温度計の破片の処理には十分に注意する。
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第 10 章
演習
演習 1: 日出・日入の時刻
以下の表 A は、平成 19 年 6 月 20 日(夏至の頃)の根室、横浜、鹿児島の日出時刻と日入時刻であ
る。三箇所の日出時刻は最大で 1 時間 30 分ほども差があるにもかかわらず、日入時刻は 30 分程度
しか差がない。これは何故だろうか?また反対に日出時刻の差に比べて、日入時刻の差の方が大き
くなるケースがあるだろうか?あるとすればそれはいつだろうか?説明せよ。
根室(北海道)
6 月 20 日 日出時刻 03:37
6 月 20 日 日入時刻 19:01
横浜(神奈川)
04:26
19:00
鹿児島(九州)
05:13
19:26
(表 A: 各地の日出・日入時刻)
演習2: 月の高度
日本では冬の満月は南中高度が高く、夏の満月は南中高度が低い。この理由を太陽、地球、月の
位置関係と日本の北緯から定性的に説明せよ。
演習3: ミニチュア太陽系
表1を参考にして、太陽・惑星のサイズと惑星間の距離を体感できるようなミニチュアを作成し
たい。それぞれの天体をどの程度のサイズにして、さらにそれぞれの間の距離をどのくらいに設定
するのが現実的か考察せよ。表計算ソフト(MS-Excel, OpenOfficeOrg など)を使うと便利である。
演習4: 天体の観察時期
8 月(12 月)に、児童にこと座(オリオン座)の一等星ベガ(ベテルギウス)を観察させたい。理科年表
と星座早見盤を用いて、8 月(12 月)のどの時期のどの時間帯に観察させるのが適切か考察せよ。な
お、日入後の 90 分および日出前の 90 分は薄明であり、観察には向かないことに留意せよ。
次ページおよび次々ページに表 B、C として、平成 21 年の 8 月と12月の太陽・月の暦(理科年
表より一部抜粋)を掲げた。
演習5: 宇宙年齢の導出
最新の観測的研究から得られた宇宙年齢は約 137 億年である。今、ハッブル定数が 50km/s/Mpc
だった場合、宇宙年齢を導出せよ。ただし、計算を簡単にするために 1Mpc=3×1019km、1 年=3
×107s とする。
本テキストを作成する上で、
・ 『理科年表平成 19 年版』『理科年表平成 21 年版』(国立天文台編、丸善株式会社)
・ 『宇宙が見える星座早見盤』(NPO 法人サイエンス・ステーション, http://sciencestation.jp)
・ 『新編・銀河鉄道の夜』(宮沢賢治著、新潮社)
・ 東京大学大学院理学系研究科天文学教育研究センター木曽観測所ホームページ
(http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/kisohp/)
・ アストロアーツ(http://www.astroarts.co.jp/)
・ NASA ホームページ
を参考にいたしました。
特に NASA および東大木曽観測所ホームページからは多数の画像を引用させていただきました。心か
ら御礼申し上げます。本テキストの執筆・編集・引用については、西浦に全責任があります。
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日
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日
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日
月
日出
4h 49m
4 49
4 50
4 51
4 52
4 53
4 53
4 54
4 55
4 56
4 56
4 57
4 58
4 59
5 0
5 0
5 1
5 2
5 3
5 4
5 4
5 5
5 6
5 7
5 7
5 8
5 9
5 10
5 10
5 11
5 12
東京, 中央標準時
南中
11h 47m 23s
11 47 19
11 47 15
11 47
9
11 47
4
11 46 57
11 46 50
11 46 42
11 46 34
11 46 26
11 46 16
11 46
6
11 45 56
11 45 45
11 45 33
11 45 21
11 45
9
11 44 56
11 44 42
11 44 28
11 44 14
11 43 59
11 43 44
11 43 28
11 43 12
11 42 55
11 42 38
11 42 20
11 42
3
11 41 44
11 41 26
日入
月出
18h 46m
18 45
18 44
18 43
18 42
18 41
18 40
18 39
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18 37
18 36
18 34
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18 32
18 31
18 30
18 29
18 27
18 26
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18 24
18 22
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18 20
18 18
18 17
18 16
18 14
18 13
18 12
18 10
15h 30m
16 19
17 3
17 41
18 14
18 43
19 10
19 35
20 0
20 26
20 54
21 25
22 3
22 48
23 43
− −
0 48
2
0
3 16
4 31
5 45
6 56
8
5
9 12
10 19
11 23
12 25
13 23
14 15
15 1
15 41
東京, 中央標準時
南中
月入
20h 14m
21 5
21 54
22 42
23 27
− −
0 10
0 52
1 33
2 15
2 57
3 42
4 31
5 24
6 22
7 23
8 27
9 29
10 29
11 25
12 17
13 8
13 57
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15 35
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17 17
18 8
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19 50
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0
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−
0
(表 B:平成21年8月の太陽・月の暦, 平成 21 年理科年表[丸善]より抜粋)
- 47 -
9m
58
52
49
47
46
44
42
39
38
38
41
46
53
0
4
0
49
31
7
39
9
40
11
45
23
5
53
45
−
41
正午月齢
10.0
11.0
12.0
13.0
14.0
15.0 ○
16.0
17.0
18.0
19.0
20.0
21.0
22.0
23.0
24.0
25.0
26.0
27.0
28.0
29.0 ●
0.7
1.7
2.7
3.7
4.7
5.7
6.7
7.7
8.7
9.7
10.7
日
曜日
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
火
水
木
金
土
日
月
火
水
木
金
土
日
月
火
水
木
金
土
日
月
火
水
木
金
土
日
月
火
水
木
日出
6h 32m
6 33
6 34
6 34
6 35
6 36
6 37
6 38
6 39
6 39
6 40
6 41
6 42
6 42
6 43
6 44
6 44
6 45
6 45
6 46
6 47
6 47
6 48
6 48
6 48
6 49
6 49
6 50
6 50
6 50
6 50
東京, 中央標準時
南中
11h 29m 59s
11 30 21
11 30 44
11 31
8
11 31 32
11 31 57
11 32 23
11 32 49
11 33 15
11 33 42
11 34 10
11 34 37
11 35
6
11 35 34
11 36
3
11 36 32
11 37
1
11 37 31
11 38
0
11 38 30
11 39
0
11 39 30
11 40
0
11 40 30
11 41
0
11 41 29
11 41 59
11 42 28
11 42 57
11 43 26
11 43 55
日入
月出
16h 28m
16 28
16 28
16 28
16 28
16 28
16 28
16 28
16 28
16 28
16 28
16 28
16 28
16 29
16 29
16 29
16 30
16 30
16 31
16 31
16 31
16 32
16 32
16 33
16 34
16 34
16 35
16 35
16 36
16 37
16 38
15h 17m
16 10
17 13
18 22
19 35
20 48
21 59
23 7
− −
0 13
1 18
2 23
3 27
4 31
5 32
6 28
7 19
8
3
8 41
9 14
9 43
10 9
10 34
10 59
11 25
11 54
12 26
13 5
13 53
14 50
15 57
東京, 中央標準時
南中
月入
22h 45m
23 46
− −
0 50
1 53
2 52
3 48
4 39
5 28
6 15
7
2
7 50
8 39
9 30
10 23
11 16
12 8
12 58
13 45
14 30
15 13
15 54
16 34
17 15
17 57
18 42
19 32
20 26
21 25
22 28
23 33
5h
6
7
8
9
10
10
11
11
12
12
13
13
14
15
16
16
17
18
19
20
21
22
23
−
0
1
2
3
5
6
(表 C:平成21年12月の太陽・月の暦, 平成 21 年理科年表[丸善]より抜粋)
- 48 -
9m
18
24
25
16
0
37
10
39
9
38
10
46
26
12
3
58
56
55
52
49
46
42
39
−
38
40
46
54
2
6
正午月齢
14.3
15.3 ○
16.3
17.3
18.3
19.3
20.3
21.3
22.3
23.3
24.3
25.3
26.3
27.3
28.3
29.3 ●
0.6
1.6
2.6
3.6
4.6
5.6
6.6
7.6
8.6
9.6
10.6
11.6
12.6
13.6
14.6
● 執筆者自己紹介:
西 浦
慎 悟 ( にしうら
しんご )
大阪万博の頃、誕生。大阪府出身。
関西学院大学 理学部(現・理工学部) 物理学科卒業。
卒業研究では生物物理学を専攻し「人工改変タンパク質の構造安定性」
が卒論のテーマ。
東北大学大学院 理学研究科 天文学専攻 修了。
大学院では一貫して、コンパクト銀河群の観測的研究を行う。
東北大学大学院 理学研究科 天文学専攻 大学院研究生。
東京大学大学院 理学系研究科 附属天文学教育研究センター 木曽観測所
研究機関研究員を経て、
東京学芸大学 自然科学系 宇宙地球科学分野 (教育学部・理科教室・地学) 助手。独立行
政法人化により、助教。
理学修士。理学博士(天文学)。専門は観測による銀河天文学、特にコンパクト
銀河群における銀河の形成と進化。
共著書に「銀河Ⅰ−銀河と宇宙の階層構造」(日本評論社)。間もなく出版される、
現役教員のための天文学テキスト(タイトル未定)では、天文学研究者の面々と編集
を担当。
剣道三段。中学校教諭専修免許(理科)。高等学校教諭専修免許(理科)。
光赤外線天文学連絡会運営委員を2期務めた後、現在、日本天文学会天文教育
委員・天文教材委員、国立天文台岡山観測所プログラム小委員など。
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