KATOOMBA V
日本における社会的責任投資の将来
2002年11月6日
株式会社 日本総合研究所
主任研究員
足達英一郎
日本において社会的責任投資の歴史
は未だ数年に過ぎない
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

米国や欧州とは対称的に、日本では宗教団
体や学校法人が必ずしも、株式投資に熱心で
はなかった。
消費者団体、労働組合、その他の社会運動
家も日本では相対的には大きな影響力を発
揮するということが少なかった。
それでも、日本の社会的責任投資は1999年8
月20日に「エコファンド」というかたちで産声を
上げた。
何故、エコファンドが最初のSRIファンド
となったのか



エコファンドとは環境側面から選別した企業に
投資する投資信託である。
エコファンド自体は、海外で生まれたコンセプ
トであるが、日本では人々が1970年代の深刻
な公害問題を経験していることから、環境問
題には関心が高かったといえる。
また、企業の側も、優れた環境パフォーマンス
が自社の信頼性を強化するひとつの要素で
あるということを理解するようになっていた。
「環境効率性」という考え方は理解しや
いものであった


「環境効率性」は経済的効率性と環境面から
の負荷軽減を結合させた考え方である.
「環境効率性」の追求は以下のような文脈の
なかで、企業にとって「利益を生む」取り組み
となっている。
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資源、エネルギーの節減はコスト削減となる。
環境保全への配慮は将来コストの回避につながる。
環境配慮型製品は売上増大に貢献する。
多くの企業が、「環境効率性」にもとづいた事
業推進が経営戦略上、重要な取り組みとなっ
ていると認識している。
日本におけるエコファンドの現状
2002年10月18日現在
設定会社名(企業評価機関)
設定月
ファンド名称
日興アセットマネジメント(グッドバンカー)
1999年8月
日興エコファンド
損保ジャパン・アセットマネジメント
(損保ジャパン、損保ジャパン総合研究所、
損保ジャパンリスクマネジメント)
1999年9月
興銀第一ライフ・アセットマネジメント(グッドバンカー)
純資産(百万円)
基準価額(円)
46,609
5,471
損保ジャパン・グリーン・オープン
(ぶなの森)
7,959
6,555
1999年10月
エコ・ファンド
7,059
5,671
UBSグローバルアセットマネジメント(日本総合研究所)
1999年10月
UBS日本株式エコ・ファンド
(エコ博士)
4,150
5,935
UFJパートナーズ投信(UFJ総合研究所)
2000年1月
エコ・パートナーズ
(みどりの翼)
3,292
4,834
朝日ライフアセットマネジメント
(三菱総合研究所、パブリックリソースセンター)
2000年9月
朝日ライフSRI社会貢献ファンド
(あすのはね)
4,827
6,798
三井住友海上アセットマネジメント (インターリスク総研)
2000年10月
エコ・バランス
(海と空)
1,204
8,334
日興アセットマネジメント(SAM(スイス))
2000年11月
日興グローバル・サステナビリティ・ファンド
(グローブ) A(ヘッジなし)
2,155
7,467
〃
2000年11月
日興グローバル・サステナビリティ・ファンド
(グローブ) B(ヘッジあり)
1,203
5,878
大和住銀投信投資顧問(イノベスト(ニューヨーク))
2001年6月
グローバル・エコ・グロース・ファンド
(Mrsグリーン) A(ヘッジあり)
3,106
6,987
〃
2001年6月
グローバル・エコ・グロース・ファンド
(Mrsグリーン) B(ヘッジなし)
5,218
7,602
合 計
86,782
-
エコファンドは4つの種類に分類するこ
とができる

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
環境側面の評価項目、評価基準を有し、国内
株式にのみ投資するもの。
環境側面以外にも、他の社会的側面に関する
評価項目、評価基準を有し、国内株式にのみ
投資するもの。
環境側面の評価項目、評価基準を有し、グ
ローバル投資を行うもの。
環境側面以外にも、他の社会的側面に関する
評価項目、評価基準を有し、グローバル投資
を行うもの。
日本におけるSRIは第2ステージへ

本格的なSRI金融商品がまもなく市場に登場
すると思われる。


雇用、人権、ステイクホルダーとの関係など企業
社会責任とよばれる包括的な領域の評価項目、評
価基準を含むものである。
インテグレックス社(独立系投資顧問)は、既
に日本企業の法令遵守に焦点を当てた包括
的な調査を実施している。

結果は日本の投信投資委託会社に提供されてい
る。
経営者層にも積極的なインパクトを与え
ている



産業界には、SRIは反企業運動であるという
誤解もいくつか存在している。
しかし、米国や欧州の投資家が日本の株式
市場で大きな影響力を有していることから、多
くの企業経営者はもはやSRIの動向を無視で
きなくなっている。
日本経団連や経済同友会では、既に「企業社
会責任」や「社会的責任投資」に関する研究
会をスタートさせて議論を深めている。
さらに投資家層にも、積極的な動きが

複数の年金基金や機関投資家が、社会的責
任投資への関心を一層、強めている。

ジュピター投信投資顧問はコメルツ・インターナショ
ナル・キャピタル・マネジメント(日本)と共同で、新
たなSRIファンドを設定した。

ジュピター・ワールドSRIファンドと呼ばれる当該
ファンドは、日本の機関投資家向けであり、約30
億円の資産規模となっている。
日本における社会的責任等の将来

日本における社会的責任投資は、次のような
カテゴリーに拡大していくことが予想される。

株主エンゲージメント


投資家は、株主としての自らの立場を利用して企業の行
動を是正、改善させることができる。
プロジェクト投資

「持続可能な」プロジェクトや活動に対して、投資や融資
の形態で金融を行うことで、それを支援する。
どんな魅力的プロジェクトがあるかが焦点
こうした動向に関連するいくつかの事例

コミュニティ投資ファンドを用いて、風力発電
所が北海道で実現した。

日本企業には、既に植林プロジェクトに積極
的に投資を始めているところもある。

世界銀行の炭素基金プロジェクトは、複数の
日本企業によりサポートされている。
魅力的プロジェクトとは

水資源

エネルギー

安全・衛生・健康

農業

生物多様性
環境資源としての
森林
森林への投資/日本の見通し


日本における社会的責任投資は、まだ黎明期
にあると言わざるを得ず、その投資対象も「森
林」に向いているわけではない。しかし、近い
将来、日本の「持続可能性」や「責任性」を追
求する資金は、こうした種類の投資に流入し
てくることになると予想される。
問い合わせ先;
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電話; (03)3288 4624
電子メール; [email protected]
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