A-12 交流磁界曝露下における
抗がん剤ブレオマイシンの作用
環日本海域環境研究センター
生体計測制御研究部門
今井 俊輔
概要
1.研究背景
2.研究目的
3.実験方法
・実験で用いる装置…交流磁界発生装置
・実験材料…抗がん剤ブレオマイシン
・実験の手順
4.実験評価方法
5.実験結果
・低いブレオマイシン濃度での実験結果
・高い濃度での結果
6.まとめ
7.今後の課題
1. 研究背景
抗がん剤治療において副作用を減らすべく投与方法
の工夫などがされている
•磁界のがん治療への応用に関する研究がされ
ている
→抗がん剤(マイトマイシンC)と交流磁界曝露を
併用し効果が2倍程度高まったという報告がある
抗がん剤の副作用を軽減できる!
抗がん剤の副作用について
抗がん剤投与
抗がん剤
患部のガン細胞
ガン
薬が全身に
ガン
ガン
ガン
患部
正常細胞までダメージ
全身の正常細胞
副作用…
正常細胞 正常細胞 正常細胞 正常細胞
脱毛・下痢・感染症
など
抗がん剤+磁界曝露
抗がん剤
患部のガン細胞
抗がん剤投与
ガン
ガン
ガン
患部
薬が全身に
投与量を減らし
患部では効果を高める
副作用を
ガン
!
全身の正常細胞
正常細胞 正常細胞 正常細胞 正常細胞
2. 研究目的
マイトマイシンC以外の抗がん剤ではどうなのか‥‥?
抗がん剤ブレオマイシンにおける磁界曝露
の影響について調べる
本研究では曝露条件について
•磁束密度
•ブレオマイシンの濃度
を変化させた
3.実験方法
交流磁界発生装置
コイル1
2
コイル3
実験領域
温度一定
4
コイル1
コイル3
実験領域
4
•コイル1とコイル3に電圧印加
•実験領域内の温度をクーリングポンプで一定に
周波数60 Hz
磁束密度60 mT程度まで出力可能
BLM
抗がん剤ブレオマイシン(BLM)
Fe++
• ブレオマイシンは細胞内の鉄イオン(Fe++)と結合
• 細胞内のDNA鎖を切断することによってDNAの複製
を阻害する
大腸菌
+
大腸菌の栄養
(LB溶液)
実験の手順
①培養した大腸菌
を用意する
②磁界曝露(Exposure)
と磁界非曝露(Control)
等量に分ける
ブレオマイシン投与
③磁界をかける
(Exposure)
大腸菌
温度同じ
濃度同じ
Control
Exposure
一時間置く‥‥
5. 実験評価方法
①大腸菌の栄養である
LB寒天培地を用意
Control
Exposure
②一定量とり、培地の上
に撒く
③コロニー数を数える
コロニー形成!!
6. 実験結果(50 mT,60Hz,低濃度)
*
P=0.01<0.05
有意差が4 mMのみ出た(t-検定)
ControlとExposureの間に大きな差異はみられない
6. 実験結果(30 mT,60Hz,低濃度)
磁界曝露による影響があるならば
有意差は得られなかった(t-検定)
抗がん剤により作用をうける個体数を増やせばより効果が
ControlとExposureの間に差異はみられない
顕著に現れるのではないか?→濃度を高く設定
6. 実験結果(50 mT,60Hz,高濃度)
有意差は得られなかった(t-検定)
ControlとExposureの間に差異はみられない
7. まとめ
• 磁界曝露のみでは抗がん効果はない
• ブレオマイシンと磁界曝露を併用した結果、抗
がん効果の変化は少なかった
• 磁束密度、濃度の変化によるブレオマイシン
の抗がん効果の大きな変化はみられなかった
抗がん剤ブレオマイシンにおいては磁界曝露に
よる影響は少ないあるいはないと考えられる
8. 今後の課題
• ブレオマイシンとほかの抗がん剤を併用した
ときの磁界曝露影響について調べる
• 作用メカニズムの違う他の種類の抗がん剤
についても調べ、影響の有無を調べる
抗がん剤の作用メカニズムを比較し、作用の
どのようなプロセスに磁界の曝露による影響
があるのかを考察する
抗がん剤における磁界曝露の影響の
メカニズムを解明する
ご静聴ありがとうございました。
実験モデル
モデル化
大腸菌の特徴
• ヒトと同じく抗がん剤によりダメージを受ける
• 細胞増殖速度が分単位であり速い(ヒトは日単位)
• 細胞が単純であり生命活動が最もよく解明されている
実験結果(生菌数濃度推移)
(a)50 mT,60Hz
(b)30 mT,60Hz
(a),(b)共にControlとExposureの間に大きな
差異はみられない
ブレオマイシンの薬効
大腸菌のコロニー数(cfu/ml)
10000
1000
100
10
1
0
0.5
1
1.5
時間(h)
2
2.5
3
投与後すぐに作用し、短時間で(一時間前後)反
応が弱まっている→磁界曝露を1時間で行った
生体の磁界効果
磁界によってメカニズム、効果が違う
時間変動磁界
低周波、PMF
静磁界
高周波
空間均一直流磁
界
空間勾配直流磁
界
熱発生
トルク
磁気力
渦電流
メカニズム
磁界効果例
磁束密度[T]
J  
B
t
細胞、神経等へ
の磁気刺激
1~0.01
加熱作用
ハイパーサーミア
0.01~0.00001
生体高分子の
磁界配向
(フィブリン、コ
ラーゲン)
1~1000
水の二分
(モーゼ効果)
1~1000
生体について
生体を構成する水、タンパク質やDNAなどの多く
の物質は反磁性を有する(常磁性体は微量)
→一般的にT以下の磁界による生体分子レベルで
の影響(相互作用)はないといわれる
T以下の生体への磁界効果については、
低周波磁界により、生体内に誘起される
渦電流を考える
T検定とは‥?
仮説が正しいと仮定した場合、統計量がt-分布に従うことを利用する
統計学的検定法。
仮説「ControlとExposureの間に差異はない」
仮説が起こる確率をPを計算
P≧0.05
有意差なし
P<0.05
有意差あり
仮説が起こる可能性は5%以下
「ControlとExposureに差異がある確立は95%以上」
抗がん剤の投与について
・ブレオマイシンの場合
静脈・動脈・皮下・筋肉内いずれかに注射する。
濃度については‥?
通常成人には15~30mgを5~20mL等のブドウ
糖液、生理食塩液等に溶解して用いる
これはモーラー(mol/L)換算するとおよそ
50~400mMとなる。
抗がん剤の作用メカニズム例
・抗がん剤マイトマイシン
・抗がん剤シスプラチン
DNAに架橋結合し、
DNA複製を阻害する
抗がん剤
架橋結合をするという点では同じだがその
中でもまた結合のメカニズムが違う
抗がん剤の磁界曝露効果報告
磁界曝露条件
抗がん剤の種類
実験対象
磁界曝露併用による効果
磁界の種類
磁束密度
周波数
曝露時間
マイトマイシン
PMF
(パルス磁界)
4mT
200Hz
1h
マウス
非曝露に比べ、腫瘍を移植した
マウスの生存率が上昇
シスプラチン
PMF
(パルス磁界)
0.525mT
100 or 250 Hz
1h
マウス
非曝露に比べ腫瘍サイズが縮小
ブレオマイシンに関しての報告はなし
報告がまだまだ少ない状況である。
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