オルソポジトロニウム3γ崩壊の寿命測定
京都教育大学自然科学コース卒業論文発表会
2008.2.13.Wed
京都教育大学総合科学過程自然科学コース
物質科学専攻
素粒子基礎物理学研究室
有田
義宣
Contents
1.陽電子の「原子」ポジトロニウムとは
2.オルソポジトロニウムの寿命測定
3.シンチレータの通過率
4.まとめと今後の課題
2008年度 京都教育大学自然科学コース卒論発表会 有田 義宣
陽電子の「原子」ポジトロニウムとは
ポジトロニウム(Ps)とは
プラスの電荷を持つ陽電子が
マイナスの電荷を持つ電子と束縛状態にある状態.
⇒水素原子と似た状態.
陽電子とは
電子の反物質でプラスの電荷をもつ.
電子とぶつかると、光になって消滅する.
⇒対消滅という
INTRODUCTION
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陽電子の「原子」ポジトロニウムとは
Psの2つの状態
理論ではortho-Psの寿命は
τ=142.08[nsec]となる.
これはいろいろな大学など
で検証されている.
寿命が短く測定されること
が問題だったが,
現在は200[ppm]の精度で
理論値と一致している.
INTRODUCTION
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オルソポジトロニウムの寿命測定
測定方法
ortho-Psは確率的に崩壊を起こす.
⇒ortho-Psの寿命(τ)は「ortho-Psが生成されてから、
どのくらいの時間(t)で崩壊したか」というイベントの
数(N)の時間分布から求めることができる.
t

 N  N 0 exp(  )
⇒

log N   t  log N
0


TDC(TimetoDigitalConvertor)
という装置でortho-Psが
生成してから崩壊するまでの
時間を測る.
EXPERIMENT
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オルソポジトロニウムの寿命測定
セットアップ
EXPERIMENT
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オルソポジトロニウムの寿命測定
ortho-Ps生成から崩壊まで
TDCスタート信号
プラスチックシンチレーション検出器
⇒主に荷電粒子が通ると信号を出す
シンチレータは自分で接着した.
EXPERIMENT
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オルソポジトロニウムの寿命測定
ortho-Ps生成から崩壊まで
時間計測中
(ortho-Ps形成までの
時間は,およそ数
[psec]~十数[psec])
シリカエアロジェル(SiO2)
⇒90%以上が空気の、世界一密度
の小さい固体(0.19[g/cm3])
今回は減速剤として利用
EXPERIMENT
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オルソポジトロニウムの寿命測定
ortho-Ps生成から崩壊まで
TDCストップ信号
NaI(Tl)検出器
⇒主にγ線検出に用いられる.
これもNaI(Tl)結晶を自分で接着した.
EXPERIMENT
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オルソポジトロニウムの寿命測定
疑問に思ったこと
陽電子はプラスチックシンチレータを通過するのか?
先行研究では(当たり前すぎるから?)あまり議論されていない.
EXPERIMENT
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シンチレータの通過率
シミュレーションの目的と方法
⇒シンチレータの厚さを変化させたときの陽電子の通過率を見積もる.
素粒子の物質との相互
作用を正確にシミュ
レーションできる
「GEANT4」を利用
β線スペクトルで重み
付けをするプログラム
(自作)
X[mm]の厚さのシン
チレータに対する
線源22Naのエネル
ギースペクトル範囲
での陽電子の通過率
×
β崩壊時の陽電子の
エネルギーに対する
確率分布で重み付け
ESTIMATION
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シンチレータの通過率
シミュレーションの結果
⇒22Na線源、シンチレータの厚さ0.2[mm]の場合.
GEANT4による陽電子物質通過率
確率スペクトルと通過率
通過率P=0.597252±0.0005を得た
ESTIMATION
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シンチレータの通過率
シミュレーションの結果
⇒シンチレータの厚さと陽電子通過率の関係
シミュレーションの結論
22Na線源の陽電子について、シンチレータを通過
させたいならば,少なくともある程度の薄さが必要で
あり,その目安を得られた.
⇒今回の実験では,岡山大学からいただいた
0.2[mm]のプラスチックシンチレータを用いた.
ESTIMATION
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オルソポジトロニウムの寿命測定
0.2[mm]のシンチレータ⇒
データをとるための制御プログラム
と回路なども作製.
EXPERIMENT
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オルソポジトロニウムの寿命測定
ortho-Psの寿命測定の結果
とったイベント
の数
200,836 event
図は1イベント
あたりの
エネルギーと
時間の分布
RESULT
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オルソポジトロニウムの寿命測定
カット領域
450[keV]以上
崩壊率
λ=8.267±0.566[usec-1]
寿命
τ=120.963±8.282[nsec]
RESULT
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オルソポジトロニウムの寿命測定
ortho-Psの寿命測定考察
得られた結果は理論値τ=142.08[nsec]を支持しなかった.
⇒現時点で明らかな雑音が存在するため,それらの問題を改
善することでさらに丁寧な議論が可能となる.
なぜ寿命が短く測定されたか
・低エネルギーγのパルス信号のずれ
・周期性のある分布(原因を特定中)
・空気分子との相互作用による崩壊(pick-off)
DISCUSSION
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まとめと今後の課題
まとめ
・結果としてortho-Psの寿命測定のできる環境
を確立し,寿命τ=120.963±8.282[nsec] を得た.
・独自の方法で陽電子のシンチレータ通過率の
見積もりを行うことができた.
CONCLUSION
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まとめと今後の課題
今後の課題
・TDCモジュールのbit落ちのチェック
⇒全チャンネルに信号をかけて調査中
・信号の大小に依存した信号の時間のずれの補正
・真空でのpick-offの影響の除去
⇒気圧を変えての寿命測定
・エアロジェルを除いた分布との比較
⇒密度を変えての寿命測定
等
CONCLUSION
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ご清聴ありがとうございました
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β線スペクトル
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1[mm]scintillator
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logic
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