9. ナイキスト線図と安定余裕
教科書 7.2, 7.3
ベクトル線図
 周波数応答 G(jw) (– < w < ) を複素平面内に描いたものが、ベクトル線図
である。
 横軸が Re[G(jw)]、縦軸がIm[G(jw)]
 [例]
1
w = –1
G (s) 
s 1
Nyquist Diagram
1
0.8
0.6
0.4
w = –
Imaginary Axis
0.2
w=0
0
-0.2
w=
-0.4
w=1
-0.6
-0.8
-1
-1
-0.5
0
Real Axis
0.5
1
ベクトル線図の例(1)
 2次最小位相系の例 (その1):
 2次最小位相系の例 (その2):
2s  s
G( s)  2
s  2s  2
G( s) 
4
s 2  2s  2
Nyquist Diagram
Nyquist Diagram
1
2
0.8
1.5
0.6
1
0.4
0.5
Imaginary Axis
Imaginary Axis
0.2
0
-0.2
0
-0.5
-0.4
-1
-0.6
-1.5
-0.8
-1
-1
-0.5
0
0.5
Real Axis
1
1.5
-2
-2
-1.5
-1
-0.5
0
0.5
Real Axis
1
1.5
2
2.5
3
ベクトル線図の例(2)
 2次最小位相系の例 (その3):
G (s) 
 2次非最小位相系の例:
4s  1
s 2  3s  1
G( s) 
s2
s 2  3s  2
Nyquist Diagram
1
0.8
0.8
0.6
0.6
0.4
0.4
0.2
0.2
Imaginary Axis
Imaginary Axis
Nyquist Diagram
1
0
0
-0.2
-0.2
-0.4
-0.4
-0.6
-0.6
-0.8
-0.8
-1
-1
-0.5
0
0.5
Real Axis
1
1.5
-1
-1.5
-1
-0.5
0
Real Axis
0.5
1
ベクトル線図の例(3)
 虚軸上に極がある場合
2s  1
G(s)  2
s 1
w = 1–0
w = –1–0
Nyquist Diagram
5
4
3
2
Imaginary Axis
1
w = 
0
w = 0
-1
-2
-3
-4
-5
-3
-2
w = 1+0
-1
0
1
Real Axis
2
3
w = –1+0
4
ベクトル線図のスケーリング
 伝達関数を K 倍した場合、ベクトル線図も原点を中心に K 倍に拡大される。
G(s)
G (s) 
K
1
s 1
K = 1 の場合
K = 2 の場合
Nyquist Diagram
Nyquist Diagram
1.5
1.5
1
1
0.5
Imaginary Axis
Imaginary Axis
0.5
0
0
-0.5
-0.5
-1
-1
-1.5
G(s)
-1.5
-1
-0.5
0
Real Axis
0.5
1
1.5
-1.5
-1
-0.5
0
0.5
Real Axis
1
1.5
2
フィードバック系の安定判別
 下のようなフィードバック系(= 閉ループ系)の安定性の判別をしたい。
+
K
-
G0(s)
G( s) 
KG0 ( s)
1  KG0 ( s)
 閉ループ系 G(s) の安定性を、一巡伝達関数 G0(s) のベクトル線図から判別
ナイキストの安定判別法
 ナイキストの安定判別法のために用いる場合、「ベクトル線図」とは呼ばずに、
「ナイキスト線図」という。
ナイキストの安定判別法
 まず、K = 1 の場合について考える。
G0(s)
G( s) 
G0 ( s)
1  G0 ( s)
 G0(s) のナイキスト線図にて、s = –1 の点を、反時計周りに何回まわるか = N
 G0(s) の不安定な(右半平面にある)極の数 = P
これが知りたい
 G(s) の不安定な(右半平面にある)極の数 = Z
ナイキストの安定判別法:
N=P–Z
 つまり、閉ループ系が安定である条件は、N = P。
 特に、開ループ系 G0(s) が安定な場合(P = 0)、閉ループ系が安定である条件は
N = 0 である。つまり、 s = –1 の点を、ナイキスト線図が1回も回らないことである。
ナイキストの安定判別法の例
 代表的な例:
G0 ( s ) 
s6
s 2  2s  4
1つの極が不安定  P = 1
 閉ループ系が安定である条件は、ナイキスト線図が s = –1 の点を反時計回り
に 1 回周ること。
ナイキスト線図が s = –1 を
反時計周りに1回転しているので、
閉ループ系は安定。
Nyquist Diagram
1
0.8
0.6
0.4
Imaginary Axis
0.2
自分が s = –1 の点に
立っていると仮定し、
ナイキスト線図が
自分の周りを何周したかを考えると
わかりやすい。
0
-0.2
-0.4
-0.6
-0.8
-1
-2
-1.5
-1
-0.5
Real Axis
0
0.5
ナイキストの安定判別法の証明
 左下の経路 C を考える
 還送差 F(s) = 1 + G0(s) の
(C内にある極の数) = P
(C内にあるゼロ点の数) = Z
 偏角定理より、C の F(s) への写像が原点を中心とした回転数が P – Z となる。
Im
Im
s平面
F(s)平面
R
Re
R
Re
虚軸上に極がある場合
 一巡伝達関数の極が虚軸上にあると、ナイキスト線図が無限遠点を通る。
 この場合、 s = jw (– < w < ) を考える代わりに、左図のような経路を考える。
[例]
2s  1
G0 ( s )  2
この例では、無限遠点で
s 1
以下のように回っている
ナイキスト線図
s-平面
この例で、このように
経路をとる場合、
半径 e
G0(s) の不安定極の数は
0 と考える。
Nyquist Diagram
5
4
3
2
1
Imaginary Axis
半径 e の
+0 への
極限を考える。
0
-1
-2
G0(s) の虚軸上の極
0 回周っているの
で、安定!
-3
-4
-5
-3
-2
-1
0
1
Real Axis
2
3
4
ゲインを考慮したナイキストの安定判別
 以下のように、制御対象 GP(s) の前に、ゲイン K が入っている場合の安定判別
を考える。
K
GP(s)
 GP(s) のナイキスト線図を K 倍に拡大したものを考えればよいのであるが…
s = –1 の点を 1 / K 倍したほうが楽
ゲインを考慮した場合のナイキストの安定判別法:
GP(s) のナイキスト線図が s = –1 / K の点を反時計回りに回る回数と、
GP(s) の不安定極の数が同じならば、閉ループ系は安定。
ナイキストの安定判別を用いたゲイン決定
 以下の例を考える。
GP ( s ) 
s2
s 2  3s  2
GP(s) の不安定極は 0 個なので、
ナイキスト線図が s = –1 / K を
0 回回るのが安定性の条件
Nyquist Diagram
1
0.8
0.6
赤い部分に –1 / K があるならば、
ゲイン K に対して
閉ループ系は安定
0.4
Imaginary Axis
0.2
0

-0.2
1
K
-0.4
-0.6
-0.8
-1
-1.5
-1
-0.5
0
Real Axis
0.5
1
閉ループ系が安定な
K の範囲は、
–3 < K < 1
システムの変動に強い閉ループ系
 簡単のため、もともと一巡伝達関数が安定である場合を考える。
 システムが何らかの理由で変動すると、ナイキスト線図も変形してしまう。
ナイキスト線図は s = –1 の点から出来るだけ離れたほうが、
安定性の面からはシステム変動に強いといえる。
 ナイキスト線図が s = –1 の点からどれだけ離れているかの尺度 = 安定余裕
 [2つの安定余裕]
位相余裕:
 0.1s  4
どれだけ位相が変わると
G0 ( s )  3
不安定になるか?
s  3s 2  3s  1
1

ゲイン余裕:
K
赤い線の長さの逆数 =
何倍ゲインが大きくなると
不安定になるか?
通常、dB表記。
Nyquist Diagram
3
2
Imaginary Axis
1
0
-1
-2
-3
-2
-1
0
1
Real Axis
2
3
4
Bode線図でみる安定余裕
 一巡伝達関数は安定であると仮定する。
 ゲイン余裕・位相余裕は一巡伝達関数のBode線図で見るのが簡単である。
Bode Diagram
Gm = 5.39 dB (at 1.68 rad/sec) , Pm = 25.4 deg (at 1.23 rad/sec)
ゲイン余裕 5.39dB
20
0
Magnitude (dB)
-20
-40
位相遅れ 180度になる
角周波数
-60
-80
-100
-120
ゲインが 0dB となる
角周波数
位相余裕 = 25.4度
-140
360
Phase (deg)
270
180
90
0
-2
10
-1
10
0
10
1
10
Frequency (rad/sec)
2
10
3
10
フィードバックゲイン K を
変えると、
ゲイン線図が上下に平行移動
→ 安定余裕をみて K を設計
ロバスト安定性
 システムが変動したり、外乱が加わっても、安定性などの性質が保たれることを
「ロバスト性」という。
 下記の加法的変動に対してのロバスト安定性に関しては、以下が知られている。
真の制御対象
D(s)
+
+
G0(s)
+
D(s): 加法的変動
G0(s): ノミナルな制御対象
–
 D(s) に関して、(a) D(s) 自体は安定 (b) |D(jw)| < h(w) なる関数 h(w) が得られてい
る、の2つの情報だけがわかっているものとする。
 そのとき、上記の全ての D(s) に関して閉ループ系が安定となる必要十分条件は、
 D(s) = 0 のときの閉ループ系が安定。かつ、
 |1 + G0(jw)| > h(w)
円条件
 |1 + G0(jw)| > h(w) の条件にて、 h(w) として定数 L のみしかわかっていない。
つまり、 h(w) = L の場合を考えよう。
 このときナイキスト線図上では、上記の不等式は、「 –1 を中心にして半径 L の
円 とナイキスト線図が交わらないこと」と解釈できる。
Nyquist Diagram
1.5
1
Imaginary Axis
0.5
0
-0.5
-1
-1.5
-1
-0.5
0
0.5
Real Axis
1
1.5
2
ダウンロード

Powerpoint