土壌系の窒素循環からみた有機性廃棄物リサイクルの問題点と課題
・人間が衣食住などの生活活動により取り込んでいる窒素:1700万トン
・廃棄物や施肥として土壌系や環境中へ排出している窒素:4700万トン
・両者の差は?・・・・土壌、海洋などに年々蓄積されている。
窒素の蓄積は地球上のある場所で集中的に起こり、
他では深刻な不足状態にある。
下水汚泥の緑農地リサイクルの問題点
1.水分が多い。
通常の脱水汚泥ケーキでも含水比
が70~80%もある。
易分解性の有機物が多量に含ま
2.悪臭を放つ。れ発酵するために悪臭を放つ。
3.寄生虫、病原菌の存在する可能性がある。
4.微量の重金属を含んでいる。
亜鉛、銅などは微量必須元素でもあり、適切な量を
添加しても問題はないが・・・
下水汚泥リサイクルに関連する法規・基準(⑯)
安全性に関しては、肥料中の水銀、カドミウム、砒素な
どの濃度最大値が定められ、また、主要成分の含有量な
どを記載することが必要となっている。
この他、農用地における亜鉛濃度の管理基準が環境
庁通達により示されている。
緑農地利用に関しては、平成12年10月の肥料取締法の
改正により、下水汚泥肥料は、「特殊肥料の規定」に代
わって「普通肥料の公定規格」を遵守することが求められ
るようになった。
では、わが国は、何で亜鉛を指標物質にしたの
か?
1.下水汚泥中の存在量と土壌中の亜鉛濃度の比率
が16.8と高い。
(銅は6.8、カドミウムは5.9、鉛は2.7)
2. 長期連続施用による蓄積が明瞭である。
(他の重金属元素は明瞭な蓄積が認められない。)
3. 下水汚泥中の亜鉛と他の重金属元素との相関が
比較的高い。
管理基準値が120mg/kgDWと
決めた根拠は?
環境庁が全国で実施した農耕地における亜鉛濃度の
分布から95%値を採択
下水汚泥のコンポスト化と緑農地への
利用に関する実証試験の事例紹介
1)試験材料:和気・赤磐コンポストセンターで生産される
汚泥コンポスト
2)試験地:和気・赤磐郡内8町の水田および岡山大学農
学部附属農場内の水田
3)施肥量:10アールあたり800kgのコンポスト肥料を基
肥として施肥、対照区として化成肥料を用いた慣行的な栽
培を行なう。
岡山大学付属農場試験水田
における栽培試験
試験地設定前の
土壌調査
試験開始1年目の収穫期の様子
大型ポットを用いた
栽培試験
植付け30日後
収穫後の土壌調査
収穫直前の様子
汚泥コンポスト
5kg /㎡を施用
花崗岩風化土
Total-N:4.0%
Zn:500mg/kg
Cu:300mg/kg
Pb:10mg/kg
容積重 120g/100cc
Total-N:0.02%
Zn :60mg/kg
Cu :20mg/kg
Pb :0.2mg/kg
1㎡×深さ10cm
窒素量(g/㎡)
亜鉛
銅
蓄積(mg/㎡)
含有率(mg/kg)
鉛
蓄積(mg/㎡)
含有率(mg/kg)
蓄積(mg/㎡)
含有率(mg/kg)
24
(0.2)
7200
(60)
2400
(20)
24
(0.2)
施肥による付加
200
2500
1500
50
施肥後
224
9700
(81)
3900
(33)
74
(0.6)
施肥前
400
0.8
亜鉛(Zn)
銅(Cu)
鉛(Pb)
カドミウム(Cd)
300
0.6
200
0.4
100
0.2
0
0.0
0
5
10
15
600
1.0
国道30号線
岡山市中央町付近の交差点
500
Zn、Cu濃度(m g・kg-1)
国道53号線
岡山市番町交差点
0.8
亜鉛(Zn)
銅(Cu)
鉛(Pb)
カドミウム(Cd)
400
300
0.6
0.4
200
0.2
100
0
0.0
0
20
Pb,Cd濃度(m g・kg-1)
1.0
Pb、Cd濃度(m g・kg-1)
Zn、Cu濃度(m g・kg-1)
500
5
10
15
20
深さ(cm)
深さ(cm)
植栽木:サザンカ
バーク堆肥のマルチング
植栽木:シャリンバイ
マルチングなし、
図:岡山市内主要国道の植樹帯の土壌重金属含有率(嶋ら、2001)
表 岡山市主要幹線道路の緑化樹木植栽帯(n=110)の土壌表層における
重金属含有率(mg・kg-1)
(嶋ら、2002)
亜鉛
銅
394.38
95.41
459.51
53.03
0.59
231.34
109.53
93.64
138.58
0.40
最大値
1600.10
614.32
920.32
1240.25
2.35
最低値
89.12
8.90
311.01
3.14
0.08
平
均
標準偏差
マンガン
鉛
カドミウム
根系
玄米
80
栽培2年目の水田土壌と
水稲の亜鉛濃度
60
40
20
0
10
20
30
40
採取位置(取水口からの距離m)
施肥直後(全量)
収穫期(全量)
施肥直後(0.1N塩酸可溶性)
収穫期(0.1N塩酸可溶性)
150
25
120
20
90
15
60
10
30
5
0
0
0
10
20
30
取水口からの距離(m)
40
0.1N塩酸可溶性亜鉛
(mg/kg)
0
全亜鉛(mg/kg)
亜鉛濃度(mg/kg)
100
25
25
玄米
20
20
y = 0.0151x + 11.59
R2 = 0.0875
15
15
10
10
土壌
5
y = 0.1722x - 5.304
R2 = 0.8029
0
5
0
0
20
40
60
80
100
120
作土(0~5cm)の全亜鉛濃度(mg/kg)
玄米中の亜鉛濃度(mg/kg)
0.1N塩酸可溶性亜鉛(mg/kg)
作土(深さ0~5cm)の全亜鉛濃度と玄米
および0.1N塩酸可溶性亜鉛濃度の関係
8町試験水田の作土表層における亜鉛と
その他の重金属との関係
0.200
カドミウム濃度(mg/kg)
鉛濃度(mg/kg)
5.0
4.0
y = 0.0241x - 0.1324
R2 = 0.9441
3.0
2.0
1.0
0.0
0.150
y = 0.0012x - 0.0328
R2 = 0.6294
0.100
0.050
0.000
0
30
60
90
120
150
亜鉛濃度(mg/kg)
作土(0~5cm)における亜鉛と鉛濃度の関係
0
30
60
90
120
亜鉛濃度(mg/kg)
作土(0~5cm)における
亜鉛とカドミウム濃度の関係
150
・作土表層の亜鉛濃度と鉛、銅、カドミウム濃度の間には
相関関係がある。
・しかし、土壌中の重金属濃度は玄米中の亜鉛には反映
されないことが判明した。
・水田の取水・排水口の位置によって土壌重金属濃度が違う
ことが判明した。これは潅水にともなう重金属の流入と
移動を示唆している。
・資材化・・・建設副資材
(溶融スラグ骨材、エコセメント)
・コンクリート二次製品(舗装平板、境界ブロック)
・道路側溝ブロック
・擁壁などのコンクリート
・溶融スラグ入りアスファルト舗装
・景観舗装用
溶融スラグ・・・土工材料として骨材利用
焼却灰、石灰焼却灰・・・道路などの地盤造成
・土質工学的性質の把握
(強度低下を防ぐため骨材の50%混合、含有金属による膨張)
・重金属の溶出など二次公害に対する安全性の確認
京都市下水道局施設部
・建設資材化を前提とした汚泥処理プロセスの開発
焼却灰のブロック、セメント材料としての利用
都下水道局の南部スラッジプラント(大田区城南島)が中心になり、圧縮焼成ブ
ロック「メトロレンガ」を製造。
下水道の焼却灰のみを原料に、プレス成型した後、1050℃前後で焼成したもので、歩
道や広場、公園などの舗装材として利用されている。年産90万個。販売は公共事業向け
また、1997年4月から年間1万トンの汚泥焼却灰をセメント原料として再利用する
試みも行なわれている。都は焼却灰の輸送費と引取量を企業に支払う。企業にとっては
セメント原料が無料で手に入るうえ、手数料収入も期待できるという仕組み。
厚生省が、平成10年3月26日付け、各都道府県知事・政令市市長あて通知した
「一般廃棄物の溶融固化物の再生利用の実施の促進について」
生衛発第508号平成10年3月26日
溶融固化とは、燃焼熱や電気から得られた熱エネルギー等により、焼却灰等の廃棄物を加熱し、超高温
条件下で有機物を燃焼、ガス化させるとともに、無機物を溶融した後に冷却してガラス質の固化物(以
下「溶融固化物」という。)とする技術であり、重金属の溶出防止及びダイオキシン類の分解・削減に
極めて有効である。
溶融固化物については、その品質が確保されれば、路盤材やコンクリート用骨材等に利用することが可
能であり、その利用を適切に進めることは、最終処分場の延命化を図るうえでも極めて重要である。
しかしながら、焼却灰等は鉛等を含有することから、・・・・(中略)・・・一般廃棄物の溶融固化
の実施に当たり遵守することが望ましい事項を定め、これに基づく溶融固化物の適正な再生利用の実施
に資することを目的とする。
(用 途)
溶融固化物の用途としては、以下のようなものが考えられる。
(1)路盤材(路床材、下層路盤材、上層路盤材等)
(2)コンクリート用骨材、アスファルト混合物用骨材
(3)埋め戻し材
(4)コンクリート二次製品用材料(歩道用ブロック,空洞ブロック、透水性ブロック等)等
(目標基準)
溶融固化の実施に当たっては、・・・・、生活環境の保全の観点から満たすことが望まれる基準とし
て、溶融固化物に係る目標基準を定めるものとする。
一般廃棄物の溶融固化物に係る目標基準は、カドミウム、鉛、六価クロム、砒素、総水銀、セレンの
6項目とし、これらの項目に係る溶出基準は下表のとおりとする。(以下、省略)
京都市役所前の広場では溶融スラグを骨材に
100%利用したベンチを設置している。ベンチは広
場のアクセントとして市民に親しまれているが、
黒く見える部分が溶融スラグだ。
アスファルト骨材やコンクリート2次製品の使用例
一般国道の交通量に耐える強度を持つアスファル
ト舗装が可能なほか,ブロックなどコンクリート2次
製品の原料としても適している。
土壌系の窒素循環からみた有機性廃棄物リサイクルの問題点と課題
・人間が衣食住などの生活活動により取り込んでいる窒素:1700万トン
・廃棄物や施肥として土壌系や環境中へ排出している窒素:4700万トン
・両者の差は?・・・・土壌、海洋などに年々蓄積されている。
窒素の蓄積は地球上のある場所で集中的に起こり、
他では深刻な不足状態にある。
生活廃水が流入するヨシ湿地の水質浄化機能
各地の特徴的な水田における窒素・リンの収支
各地の特徴的な水田における窒素・リンの収支
東郷地区=灌漑水が生活廃水で汚濁しており、「いもち病」発生を抑制するた
め窒素施肥を少なくした。=浄化型水田となった。
阿見地区=農村地域で多量の施肥を行なった。施肥量>吸収量で汚濁型水田。
窒素で比較する水田タイプ : 差引排出量=肥料-(もみ+わら)
プラス:汚濁型水田、マイナス:浄化型水田
わが国の水田土壌ではリン酸肥料は多用しても、アルミと結合して不溶化するため流出の危険性は
ない。
リン:アルミニウムと結合して不溶性となるため水
田から流出する水を殆ど汚染することはない。
窒素:施肥と灌漑にともなう供給が、吸収・収穫よ
り少なければ水田から流出する水はキレイになる。
=浄化型水田
Q:
稲わら施用土壌では、なぜ窒素に関しては、
水質浄化機能が優れているのか?
1年間に1haあたり
585kgの窒素を水
系から浄化
1年間に1haあたり296
kgの窒素を水系から
浄化
窒素飢餓状態(Nitrogen starvation)
炭水化物の比較的多い有機物(炭素率の大きいもの)を土壌に加えた場合、
土壌微生物が盛んに繁殖するため有機物は分解(炭酸ガス放出)されてもア
ンモニア態窒素や硝酸態窒素は蓄積せず、土壌中の無機態窒素までも土壌微
生物に吸収利用され、作物と微生物との間に「窒素の奪い合い」が起こる。
この状態を窒素飢餓状態(Nitrogen Starvation)という。
無機化
Vi
有機態窒素
無機態窒素
植物
吸収
有機化
Vm
広葉樹二次林表土における無機化・有機化速度(μgN・g-1・day-1)
無機化
(Vm)
有機化
(Vi)
見かけの無機化(Vm-Vi)
L-層(上部)
8.21
10.18
-1.93
L-層(下部)
34.56
50.60
-16.04
F-層
178.68
147.00
31.68
HA層
67.07
43.80
23.28
鉱質土壌
26.48
20.12
6.37
●
自分の出身地(都道府県)について、以下のことを調べる。
1)下水道普及率
2)どのような下水汚泥のリサイクルを行っているか?
(具体的に事例を示す。)
●
下水汚泥に含まれる窒素、リンなどを「循環資源」として
都市緑化に有効活用するための具体的な方法を提案せよ。
以上、2点をレポートで提出
締め切り 6月11日(月)
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農林生態系の水質浄化機能 - 岡山大学 情報統括センター