企業の倒産とその処理方法
05f0429 三田晃浩
はじめに
近年、大企業と呼ばれる規模の会社でも倒産の
ニュースが相次いで報道されています。
しかし、倒産と一言で言ってもある会社は事業を
継続させたり、完全に終えたりと様々な方法があ
るようです。これから、それらについて学んでい
きたいと思います。
目次
Ⅰ倒産とは
Ⅱ倒産後の手続き
Ⅲ処理手続きの種類
Ⅳ大型倒産の例
Ⅰ倒産とは
倒産とは企業の経営が行き詰まり、弁済しなければな
らない債務が弁済できなくなった状態をいい、以下の
ケースのいずれかの場合に該当することです。
(1)不渡りを2回出し銀行取引停止処分を受ける
(2)内整理する(代表が倒産を認めた時)
(3)裁判所に会社更生法の適用を申請する
(4)裁判所に民事再生法の手続き開始を申請する
(5)裁判所に破産を申請する
(6)裁判所に特別清算の開始を申請する
最近の大型倒産(2008年)
1月
5月
6月
六本木開発(破産申請) 負債総額約1,340億円
近藤産業(破産申請) 負債総額約322億円
スルガコーポレーション(民事再生法申請)
負債総額約620億円
7月 ゼファー(民事再生法申請)負債総額約949億円
8月 アーバンコーポレーション(民事再生法申請)
負債総額約2,558億円
9月 リーマン・ブラザーズ証券(民事再生法申請)
負債総額約3兆4,314億円
松本引越センター(民事再生法申請)
負債総額約50億円
倒産件数と負債総額
(件)
※2008年度は1月~6月の集計
(兆円)
Ⅱ倒産後の手続き
倒産後の手続き
・私的整理
倒産会社と債権者の任意の話し合いにより会社
の資産・負債などが整理される。この際、裁判
所の法的な拘束を受けることはない。
・法的整理
裁判所の関与と監督により、整理が行われる。
メリット
私的整理
法的整理
デメリット
・費用がかからない
・不正が行われやすい
・迅速に手続きを行える
・履行が確実には行われない
・対外的に知られることがな 可能性がある
い
・柔軟な運用、弁済計画案の
作成が可能
・不正が起こらない
・費用がかかる
・履行が確実に行われる
・手続きに時間がかかる
・担保権の実行を中止できる ・対外的に知られることにな
手続きもある
る
・運用については制限もある
法的整理手続きの分類
会社更生(会社更生法)
再建型
民事再生(民事再生法)
会社整理(会社法)
法的整理
破産(破産法)
清算型
特別清算(会社法)
Ⅲ処理手続きの種類
民事再生とは
株式会社・有限会社のほか医療法人・学校法人などを含む
全ての法人及び個人に適用されます。経営破綻が深刻化す
る以前の早期再建を目的としています。申し立て人は通常
債務者ですが、債権者による申し立ても可能です。経営権
は原則として旧経営陣に残りますが、利害関係人の申請ま
たは裁判所の職権により監督命令(経営者の後見的立場と
して監督委員が選任される)・管理命令(経営者に代わっ
て管財人が選任され経営にあたる)が出される場合もあり
ます。再生計画の認可は、出席債権者数の過半数で届出債
権額の1/2以上の同意が必要となっています。また届出
債権の3/5以上の同意があれば、債権の調査確定手続き
を省略できます(簡易再生)。届出債権者全員の同意があ
れば、ただちに計画の認可を受けることができます(同意
再生)。
民事再生の主な特色
目的
根拠法
• 事業または経済生活の再生
• 民事再生法
適用対象
• すべての法人、個人
申立原因
• 債務弁済が事業の継続に著しい支障をきたすとき
• 破産の原因たる事実の生ずるおそれがあるとき
申立権者
• 債権者・債務者
特色
• 事業再建の方法がたくさんある(DIP型など)
民事再生の長所・短所
長所
•
•
•
•
•
短所
• 手続期間が短いので計画が立てた
てられるか
• 食いつぶしのおそれがある
柔軟、簡易な手続き
申立てが容易
迅速、機能的
履行確保の充実
透明性が高い
会社更生とは
申請の対象は株式会社のみで、会社が消滅すると社会的
に大きな影響のある上場企業や大企業の倒産に適用され
るケースが大半です。旧経営陣は原則としてその後の経
営に関与できなくなるが、経営責任のない場合に限り、
経営に関与することができます。
裁判所は「更生手続きの開始決定」と同時に管財人を選
任し、事業を継続しながら管財人の下で「更生計画」が
作成されます。更生手続きをうまく進めるためには事業
管財人(事実上のスポンサー)の選任が鍵を握っており、
その後の更生計画遂行の大きなポイントとなります。手
続きが厳正・厳格に行われるため、手続き終結までに長
期間を要していたが、2003年4月、民事再生法を踏
まえ、手続きの迅速化・合理化を図るため、改正会社更
生法が施行されました。
会社更生の特徴
目的
根拠法
• 大規模会社の継続
• 会社更生法
適用対象
• 株式会社(大企業)
申立原因
• 事業の継続に著しい支障をきたすことなく弁済期に
ある債務を弁済することができないとき
• 破産の原因たる事実の生ずるおそれがあるとき
申立権者
• 債務者、法定の株主・債権者
特色
• 破産管財人が債務者総財産を換価処分し、債
権者へ平等公平な分配をする
会社更生の長所・短所
長所
• 企業の再建方策として強力
• 各権利者の利害の調整がはかられている
• 開始の原因が広く、比較的早期に着手で
き、再建が容易
• 比較的大規模、債権者多数、早期整理に
適す
短所
• 経営権がなくなる、経営者責任を問わ
れる
• 手続きが大掛かりになり、長期間を要
する
• 予納金が高く、監査法人の費用もかか
る
会社更生法と民事再生法の違い
会社更生手続
民事再生手続
適用対象
事業経営
旧会社更生法
・限定なし
・株式会社のみ
・経営者が引き続き経営に ・裁判所が選任した管財人
あたるのが原則
(経営者は退陣)
・裁判所の判断により例外
的に管財人を選任
新会社更生法
・裁判所が選任した管財人(経営責任のな
い経営者は管財人として選任可)
(1)再生債権者の決議による
計画の成立要 再生計画案の可決
件
(2)裁判所の認可
・出席した再生債権者等の
過半数で,債権総額の2分
可決要件
の1以上の同意
(1)更生債権者,更生担保権者,株主の決議による更生計画案の可決
(1)監督委員が選任されてい
る場合は3年間履行を監督
計画の履行の
(2)管財人が選任されている
確保
場合は管財人が再生計画を
遂行
(1)手続に拘束される関係者
の範囲を限定した簡易迅速
な手続
(2)経営者の経営手腕等の活
特徴
用が可能
(3)決議要件が緩和されてい
るため,計画の成立が容易
・管財人が更生計画を遂行
(2)裁判所の認可
(1)更生債権者の組では債権 (1)更生債権者の組では債権総額の2分の1
総額の3分の2以上の同意 以上の同意
(2)更生担保権者の組では債 (2)更生担保権者の組では債権総額の4分の
権総額の5分の4以上の同意 3以上の同意
(1)すべての利害関係人を手続に取り込み,会社の役員,資本構成,組織
変更まで含んだ抜本的な再建計画の策定が可能な手続
(2)担保権者の権利行使を全面的に制限
(3)手続が複雑かつ厳格であるため,手続及び費用の負担大
破産とは
倒産会社の財産全てを換価して、債権者の優先
順位と債権額に応じて配当を行う強制執行手続
き。債務者である倒産会社自らが申し立てる
「自己破産」、倒産会社の役員が会社の破産を
申し立てる「準自己破産」、債権者(第三者)
が破産を申し立てる「第三者破産」の3つに分
けることができる。破産手続き開始決定が出さ
れると、裁判所は破産管財人(通常は弁護士)
を選任し、以降の破産会社の管理は管財人が行
います。管財人は、倒産会社の財産を管理し資
産の売却や売掛金の回収によって換価し、債権
者への配当の原資とします。
破産の主な特色
目的
根拠法
• 清算、財産の公平な分配
• 破産法
適用対象
• すべての法人、個人
申立原因
• 支払いをすることができないとき
• 債務者が支払い停止したとき
• 法人の場合は債務超過も破産原因となる
申立権者
• 債権者、債務者、取締役等
特色
• 破産管財人が債務者総財産を換価処分し、債
権者へ平等公平な分配をする
破産の長所・短所
長所
• 財産の分散、隠匿などを防止できる。
• 一部の者の不正を防止し、公平な分配が
はかれる
• 破産者は、破産廃止の申立て、免責の申
立て(個人のみ)ができる
短所
• 手続きが大がかりになる
• 相当期間を要する
• 配当割合が比較的低く、費用倒れのお
それがある
特別清算とは
申請の対象は株式会社のみで、会社が解散登記
されていることが前提となります。債務超過な
どで清算の遂行に著しく支障をきたす場合など
に、裁判所の下で清算業務を進める形となりま
す。解散登記により就任した清算人が整理の手
続きを行い、債務弁済の金額・時期・方法など
を定める協定案を作成します。破産手続きと大
きく異なり、債権調査・確定の手続きがなく、
財産換価も一定の金額までは清算人が自由にで
き、小口債権者には裁判所の許可を得た上で協
定外で弁済することも可能です。
特別清算の主な特徴
目的
根拠法
• 清算の迅速と公正
• 会社法
適用対象
• 清算中の株式会社
申立原因
• 清算の遂行に著しく支障をきたすような事情
• 債務超過の疑いがあると認められるとき
申立権者
• 債権者、清算人、監査役、株主
特色
• 裁判所の監督による清算手続き
特別清算の長所・短所
長所
• 協定条件平等の原則が緩和されている
• 協定条件変更の余地も認められている
• 従来の経営者が残り、柔軟な方法で債
権先の配当率を高くすることができる
短所
• 株式会社に限られている
• 清算に入った段階でのみ認められ
ている
• 相当期間を要する
Ⅳ大型倒産の実例
民事再生の実例(株式会社そごう)
2000年7月
・百貨店大手のそごうとグループ各社が民事再生法の申請。負債総額1兆
8,700億円。同月、民事再生開始決定。元西武百貨店社長・和田繁明
を特別顧問に迎える。
2001年1月
・再生計画認可
同年2月
・グループ各社の受け皿となる予定の休眠子会社「株式会社十合」が株式
会社西武百貨店と包括的業務提携を締結。十合は再生13社を100%減資
した上で出資し完全子会社とする。
2003年1月
・ 東京地裁より再生手続終結決定。
同年6月
・「十合」、「そごう」ならびに「西武百貨店」の3社はグループ経営へ
の移行で正式合意。ミレニアムリテイリンググループを発足し、株式会
社十合を株式会社ミレニアムリテイリングに商号変更。
2006年6月
・ミレニアムリテイリングはセブン&アイの完全子会社となる。
会社更生の実例(長崎屋)
2000年2月
・流通業界大手の長崎屋が業績悪化により会社更生法を申請する。
2000年5月
・更生手続開始決定・事業管財人に福田國幹エコス相談役を選任。
・上場廃止。
2002年2月
・更生計画が多数出る中、プリント基板メーカーのキョウデンが
スポンサー企業に決定し連結子会社となる。事業管財人に橋本
浩キョウデン会長を選任。
2006年7月
・計画より12年早く会社更生手続きを終結した事を発表。
2007年10月
・創業100周年を迎えるが、キョウデングループが保有する株式
86%が、ドン・キホーテに売却され、同社の傘下となる。
最後に
どんな大きな会社でも、いつどんな形で破たんしてし
まうか分からない今の状況で、最低限の法律の知識や
金融の知識を身につけて新聞などを読んだときに、世
の中の動きを少しでも理解できるようになることの必
要性を感じました。
出典
• 法務省
http://www.moj.go.jp/
• 帝国データバンク
http://www.tdb.co.jp/
• 東京商工リサーチ
http://www.tsr-net.co.jp/
• 野村総合研究所
http://www.nri.co.jp/
・会社再建の手順と実務
著 永石一郎
ダウンロード

企業の倒産とその処理方法