県立川崎図書館LRTフォーラム 2006年2月25日
環境自治体会議 環境政策研究所 上岡直見
1. カタストロフィックな気候変動の回避
New Orleans, 2005
1
解像度 大気100km程度、海洋20km
程度の地球シミュレータ
IPCC(気候変動に関する政府間パネ
ル) によるA1Bシナリオ: 将来の世界
が経済重視で国際化が進むと仮定し
たシナリオ (2100年の二酸化炭素濃
度が720ppm)
国立大学法人東京大学気候システム研究センター(CCSR), 独立行政法人国立環境研究所
(NIES), 独立行政法人海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センター(FRCGC)の合同研
究チーム http://www.env.go.jp/earth/earthsimulator/
2
国立大学法人東京大学気候システム研究センター(CCSR), 独立行政法人国立環境研究所
(NIES), 独立行政法人海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センター(FRCGC)の合同研
究チーム
3
国立大学法人東京大学気候システム研究センター(CCSR), 独立行政法人国立環境研究所
(NIES), 独立行政法人海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センター(FRCGC)の合同研
究チーム http://www.env.go.jp/earth/earthsimulator/
4
深刻な温暖化影響を回避するには、
温度上昇を2度以内に抑える必要
極めて危険
国際的な共通認識へ
気候の様相の変化、海洋大循環の
停止、南極・グリーンランド氷床の
崩壊等の、大規模かつ不可逆な影響
危険
水文・水資源、農林水産業、人の健康
などへの影響が多地域で発現
植生変化、サンゴ礁の白化などの
脆弱な生態系への影響
脆
弱
シ
ス
テ
ム
極
端
な
気
象
悪
影
響
の
分
布
世
界
経
済
IPCC第3次評価報告書
破(
海
局洋
大
的循
事環
象の
崩
壊
等
)
国立環境研究所 脱温暖化2050研究プロジェクトより (http://2050.nies.go.jp)
5
2. 交通CO2削減のシナリオ
交通部門排出量(M t-C O 2)
300
基準シナリオ:+18%
2020年基準シナリオ
航空・鉄道・船舶
小型貨物(ハイブリッド)
小型貨物(従来型)
自家用普通貨物
営業用普通貨物
軽貨物車
軽乗用車
バス
乗用車(ハイブリッド)
乗用車(従来型)
250
200
150
100
対策を強化しなければ、
1990年比18%増と予測
50
2020
2018
2016
2014
2012
2010
2008
2006
2004
2002
2000
1998
1996
1994
1992
1990
0
国立環境研究所 脱温暖化2050研究プロジェクトより (http://2050.nies.go.jp)
6
HV車の大量普及、軽自動車分野の
電気自動車の普及により、1990年レ
ベルまでなら下げることができそう。
2020年対策シナリオ
500
400
300
200
100
300 0
2018
2014
2010
2006
2002
1998
250
ハイブリッド車等大量
普及シナリオ(H V ):-1%
交通部門排出量(M t-C O 2)
航空・鉄道・船舶
小型貨物(ハイブリッド)
自家用普通貨物
小型貨物(従来型)
自家用普通貨物
営業用普通貨物
軽貨物車
軽乗用車(電気)
軽乗用車(従来型)
バス
乗用車(ハイブリッド)
乗用車(従来型)
200
150
100
50
2020
2018
2016
2014
2012
2010
2008
2006
2004
2002
2000
1998
1996
1994
1992
1990
0
HV車の大量普及のた
めには年産約500万台
となるよう、生産設備
を6年間、年々倍増さ
せることが必要。
国立環境研究所 脱温暖化2050研究プロジェクトより (http://2050.nies.go.jp)
7
Traffic V olum e(b-vkm )
交通需要削減想定量
1,000
900
800
700
600
B A U (M LIT estim ation)
500
D em and M anagem ent
400
300
200
100
300
1990
1992
1994
1996
1998
2000
2002
2004
2006
2008
2010
2012
2014
2016
2018
2020
0
ハイブリッド車等大量普及と
交通部門排出量(M t-C O 2 ) 交通需要削減シナリオ(H V +D M ):-14%
航空・
鉄道・
船舶
小型貨物(
ハイブリッド)
小型貨物(
従来型)
自家用普通貨物
営業用普通貨物
軽貨物車
軽乗用車(
電気)
軽乗用車(
従来型)
バス
乗用車(
ハイブリッド)
乗用車(
従来型)
250
200
150
100
50
2020
2018
2016
2014
2012
2010
2008
2006
2004
2002
2000
1998
1996
1994
1992
1990
0
国立環境研究所 脱温暖化2050研究プロジェクトより (http://2050.nies.go.jp)
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3. 日本の交通とCO2に関するトレンド・要因
国土交通省「地球温暖化防止のための道路政策会議 中間とりまとめ資料」
2005年8月より。
9
国土交通省「地球温暖化防止のための道路政策会議 中間とりまとめ資料」
2005年8月より。
10
自動車(に限らず陸上の移動体)が走る
という現象はどういうことか?
抵抗力
推進力 = 消費エネルギー
加速抵抗
空気抵抗
転がり抵抗
勾配抵抗
11
自動車(陸上の移動体)のエネルギー消費
高速道路以外では小さい
12
道路整備は自動車の増加に追いつかない
年々低下する走行速度
ピーク時平均走行速度 [km/h]
45
速度 [k m/h]
40
北海道札幌市
35
東京都特別区
30
神奈川県横浜市
25
愛知県名古屋市
大阪府大阪市
20
兵庫県神戸市
15
広島県広島市
10
福岡県福岡市
5
0
1980
1985
1990
1994
1997
1999
13
道路を整備するほど自動車が押し寄せる
圏央道(青梅~鶴が島) 1996年開通
1994
1997
1999
入間市豊岡(463号)
入間市上小谷田(299号)
狭山市根岸(407号)
入間市高倉(16号)
入間市宮寺(16号)
0
5000 10000 15000 20000 25000 30000
通行台数 [台/12時間値]
14
せっかくバス専用レーンを作っても…
無料駐車場になっている。(川崎駅前)
15
道路容量の増加と
自動車走行距離の増加
70
年
を
100
と
し
た
伸
び
率
350
車線km
300
自動車走行台km
250
200
150
100
50
0
70
75
80
85
90
95
2000
16
4. クルマ依存社会がもたらす影響
名古屋大学 加藤博和氏作成の図に補足
いずれも自動車走行台kmが支配的因子。
CO2を代表指標とする。
17
横浜より川崎~東京西部の逆転層を撮影
1998年12月14日 10:15 撮影 上岡直見
18
大気汚染の現況
環境基準
1日平均値が0.04~
0.06ppmの範囲内
国立環境研究所「そらまめ君」 2005年9月1日 13時
19
注意報
1時間値で
0.12ppm
国立環境研究所「そらまめ君」 2005年9月1日 13時
20
環境基準
1時間値の1日平均
値が0.10mg/m3
以下, 1時間値が
0.20mg/m3以下
国立環境研究所「そらまめ君」 2005年9月1日 13時
21
スプロール化した街では、行政費用がよけいに
かかる。
【青森市】過去30年間の郊外スプロールにより、
約350億円の行政投資が余分にかかった。(上
下水道, 学校, 道路)
【富山市】従来型の政策(弱い開発管理)では、今
後20年間で総人口2.2万人減、郊外で1.9万人
増加すると予想され、511haの新規開発に伴い
177億円(3万円/m2)の費用が余計に発生すると
試算。
(中心市街地再生のためのまちづくりのあり方について
─アドバイザリー会議報告書, 2005年8月)
22
空巣多発地帯の条件: ① 新興住宅地で近所付合いが乏しい、
② 道路交通が便利で犯行後移動しやすい。(警察関係者)
23
クルマ依存(生活習慣)と健康への影響
まだ明確ではないが、ある程度の相関あり?
18.0
糖尿
高血圧性
NOF(2002 ) [人/10万人]
16.0
都道府県別
14.0
12.0
10.0
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
0.0
5.0
10.0
乗用車類トリップ距離 [km/人/平均日]
15.0
24
5. 交通環境負荷の地域性
松橋啓介・工藤祐樹・上岡直見・森口祐一「市区町村の運輸部門のCO2排出量の推計手法に関
する比較研究」『環境システム研究論文集』vol.32,2004年10月,p.235より作成。
25
推計テーブル
松橋啓介・工藤祐樹・上岡直見・森口祐一「市区町村の運輸部門のCO2排出量の推計手法に関
する比較研究」『環境システム研究論文集』vol.32,2004年10月,p.235より作成。
26
(以上)
27
6. LRT全国展開の展望
既存の研究から
黒水健・中川剛士・嶋野崇文・和田忠幸・青木秀一「自治体及び第三セクターによる公共交通事業
の成立性に関する一考察」『第28回土木計画学研究発表会・講演集』
28
既存の研究から
黒水健・中川剛士・嶋野崇文・和田忠幸・青木秀一「自治体及び第三セクターによる公共交通事業
の成立性に関する一考察」『第28回土木計画学研究発表会・講演集』
29
LRT導入適合都市
○ レベル1: その都市にDID区域が含まれ、DID人口
が8万人以上かつDID人口密度が7,000人/km2以上で
ある場合
○ レベル2: 同じくDID人口密度が4,000人/km2以上
7,000人/km2未満である場合
建設費
車両費
3.0 億円/km
1.5 億円/両
レベル1
レベル2
合計
自動車分担率 C O 2削減量削減量当費用
低下率 %
t-C O 2/年 円/t-C O 2
3 1,299,628
130,469
5 2,166,046
78,281
10 4,332,092
39,141
路線償却 車両償却 運行費補助合計
億円/年 億円/年 億円/年 億円/年
171
661
0
833
85
330
448
863
257
991
448
1696
遠藤玲・竹田敏昭・古賀一人
「サービス水準変化がLRTの
事業性に与える影響に関する
研究」『第28回土木計画学研
究発表会講演集』2003年11
月より。
30
レベル1: LRT適合地域で採算性可能
北海道札幌市中央区千葉県鎌ヶ谷市
北海道札幌市北区 千葉県浦安市
北海道札幌市東区
北海道札幌市白石区東京都港区
北海道札幌市豊平区東京都新宿区
北海道札幌市西区 東京都文京区
北海道札幌市厚別区東京都台東区
宮城県仙台市青葉区東京都墨田区
埼玉県川越市
東京都江東区
埼玉県川口市
東京都品川区
埼玉県浦和市
東京都目黒区
埼玉県大宮市
東京都大田区
埼玉県所沢市
東京都世田谷区
埼玉県春日部市
東京都渋谷区
埼玉県上尾市
東京都中野区
埼玉県与野市
東京都杉並区
埼玉県草加市
東京都豊島区
埼玉県越谷市
東京都北区
埼玉県戸田市
東京都荒川区
埼玉県入間市
東京都板橋区
埼玉県朝霞市
東京都練馬区
埼玉県新座市
東京都足立区
埼玉県富士見市
東京都葛飾区
千葉県千葉市花見川区
東京都江戸川区
千葉県千葉市稲毛区東京都八王子市
千葉県千葉市若葉区東京都立川市
千葉県市川市
東京都武蔵野市
千葉県船橋市
東京都三鷹市
千葉県松戸市
東京都府中市
千葉県佐倉市
東京都昭島市
千葉県習志野市
東京都調布市
千葉県柏市
東京都町田市
千葉県流山市
東京都小金井市
千葉県八千代市
東京都小平市
千葉県我孫子市
東京都東村山市
東京都国分寺市
東京都保谷市
東京都東久留米市
東京都多摩市
神奈川県座間市
大阪府大阪市淀川区兵庫県西宮市
大阪府大阪市鶴見区兵庫県伊丹市
愛知県名古屋市千種区
大阪府大阪市平野区兵庫県宝塚市
愛知県名古屋市北区大阪府大阪市北区 兵庫県川西市
愛知県名古屋市西区大阪府堺市
奈良県奈良市
神奈川県横浜市鶴見区
愛知県名古屋市中村区
大阪府豊中市
奈良県橿原市
神奈川県横浜市神奈川区
愛知県名古屋市昭和区
大阪府池田市
奈良県生駒市
神奈川県横浜市南区愛知県名古屋市瑞穂区
大阪府吹田市
神奈川県横浜市保土ヶ
愛知県名古屋市中川区
谷区
大阪府高槻市
広島県広島市中区
神奈川県横浜市磯子区
愛知県名古屋市南区大阪府守口市
広島県広島市東区
神奈川県横浜市金沢区
愛知県名古屋市守山区
大阪府枚方市
広島県広島市南区
神奈川県横浜市港北区
愛知県名古屋市緑区大阪府茨木市
広島県広島市西区
神奈川県横浜市戸塚区
愛知県名古屋市名東区
大阪府八尾市
広島県広島市安佐南区
神奈川県横浜市港南区
愛知県名古屋市天白区
大阪府富田林市
広島県広島市佐伯区
神奈川県横浜市旭区
大阪府寝屋川市
神奈川県横浜市緑区京都府京都市北区 大阪府河内長野市 福岡県福岡市東区
神奈川県横浜市瀬谷区
京都府京都市上京区大阪府松原市
福岡県福岡市中央区
神奈川県横浜市栄区京都府京都市左京区大阪府大東市
福岡県福岡市南区
神奈川県横浜市泉区京都府京都市中京区大阪府和泉市
福岡県福岡市西区
神奈川県横浜市青葉区
京都府京都市右京区大阪府箕面市
福岡県福岡市城南区
神奈川県横浜市都筑区
京都府京都市伏見区大阪府羽曳野市
福岡県福岡市早良区
京都府京都市山科区大阪府門真市
福岡県春日市
神奈川県川崎市幸区京都府京都市西京区大阪府東大阪市
福岡県大野城市
神奈川県川崎市中原区
京都府宇治市
長崎県長崎市
神奈川県川崎市高津区
兵庫県神戸市東灘区沖縄県那覇市
神奈川県川崎市多摩区
大阪府大阪市都島区兵庫県神戸市灘区 沖縄県浦添市
神奈川県川崎市宮前区
大阪府大阪市港区 兵庫県神戸市兵庫区
神奈川県川崎市麻生区
大阪府大阪市東淀川区
兵庫県神戸市長田区
神奈川県横須賀市 大阪府大阪市生野区兵庫県神戸市須磨区
神奈川県平塚市
大阪府大阪市旭区 兵庫県神戸市垂水区
神奈川県藤沢市
大阪府大阪市城東区兵庫県神戸市北区
神奈川県茅ケ崎市 大阪府大阪市阿倍野区
兵庫県神戸市中央区
神奈川県相模原市 大阪府大阪市住吉区兵庫県神戸市西区
神奈川県大和市
大阪府大阪市東住吉区
兵庫県尼崎市
神奈川県海老名市 大阪府大阪市西成区兵庫県明石市
31
レベル2: LRT適合地域で公的助成が必要
北海道札幌市南区 千葉県千葉市美浜区愛知県春日井市
福岡県久留米市
北海道札幌市手稲区千葉県野田市
愛知県豊川市
佐賀県佐賀市
北海道札幌市清田区東京都青梅市
愛知県刈谷市
長崎県佐世保市
北海道函館市
東京都日野市
愛知県豊田市
熊本県熊本市
北海道小樽市
神奈川県横浜市中区愛知県安城市
大分県大分市
北海道旭川市
神奈川県川崎市川崎区
愛知県小牧市
大分県別府市
北海道釧路市
神奈川県鎌倉市
三重県津市
宮崎県宮崎市
北海道北見市
神奈川県小田原市 滋賀県大津市
宮崎県延岡市
北海道苫小牧市
神奈川県秦野市
京都府京都市南区 鹿児島県鹿児島市
北海道江別市
神奈川県厚木市
大阪府大阪市西淀川区
沖縄県宜野湾市
青森県青森市
新潟県新潟市
大阪府大阪市住之江区
沖縄県沖縄市
青森県弘前市
新潟県長岡市
大阪府岸和田市
岩手県盛岡市
富山県富山市
大阪府貝塚市
富山県高岡市
大阪府摂津市
宮城県仙台市宮城野区
石川県金沢市
兵庫県姫路市
宮城県仙台市若林区福井県福井市
兵庫県加古川市
宮城県仙台市太白区山梨県甲府市
兵庫県高砂市
宮城県仙台市泉区 長野県長野市
和歌山県和歌山市
秋田県秋田市
長野県松本市
鳥取県鳥取市
山形県山形市
岐阜県岐阜市
島根県松江市
福島県福島市
岐阜県大垣市
岡山県岡山市
福島県会津若松市 岐阜県各務原市
広島県広島市安佐北区
福島県郡山市
静岡県静岡市
広島県呉市
茨城県水戸市
静岡県浜松市
広島県福山市
茨城県日立市
静岡県沼津市
山口県下関市
茨城県土浦市
静岡県清水市
徳島県徳島市
茨城県ひたちなか市 静岡県三島市
香川県高松市
栃木県宇都宮市
静岡県富士市
愛媛県松山市
群馬県前橋市
静岡県藤枝市
高知県高知市
群馬県高崎市
愛知県名古屋市港区
埼玉県熊谷市
愛知県豊橋市
福岡県北九州市門司区
埼玉県狭山市
愛知県岡崎市
福岡県北九州市小倉北区
埼玉県三郷市
愛知県一宮市
福岡県北九州市小倉南区
愛知県瀬戸市
福岡県北九州市八幡西区
千葉県千葉市中央区愛知県半田市
福岡県福岡市博多区
32
7. 新潟における概略シミュレーション
33
ただし、需要予測は
大変難しい。
安易な予測は禁物。
34
もともと存在した市内線計画
1918年に新潟水電(後に新潟交通に継承)が軌道事業免許
個人ホームページ「未来鉄道データベース」 http://www.mifuru.to/frdb/index.htm
35
LRT ルート
36
路面設置ケース
LRT敷設による車線削減影響 v.s.
LRT敷設によるモーダルシフト効果
複線
中止
単線
複線
複線
単線
時間費用削減額 [億円]
ルート1
ルート2
ルート3
ルート4
ルート5
ルート6
250
200
150
100
50
0
-50
-100
-150
0
5
10
15
20
自動車台km削減率 [%]
時間費用削減効果のみで評価してトレードオフという意味。
従ってこれ以上に各種社会的費用が削減されるので費用対
効果は必ず1.0以上になる。
25
30
37
(以上)
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発表用スライド: