トヨタ生産方式と
継続的改善活動
京都大学大学院経済学研究科
教授 塩地 洋
1
トヨタ・グループの概要
三次下請
約40000社
二次下請け
部品メーカー
約5000社
豊田合成
デンソー
アイシン
精機
小糸
製作所
協豊会 約200社
鉄鋼・素材メーカー
自動車組立メーカー
(トヨタ)
委託組立メーカー
(関東自動車工業など)
9社
新車輸送会社
(トヨタ輸送)
ディーラー
(販売会社)
ディーラー
(販売会社)
ディーラー
(販売会社)
ディーラー
(販売会社)
図表 トヨタロジスティックス・グループ
ディーラー
(販売会社)
5系列
308社
約5000店舗
2
TPSの基本概念
× 費用+平均利益⇒売値
○ 売値-費用(原価)⇒利益
売値は市場で決まる
費用(原価)を削減しない限り,利益は大きくなら
ない
3
基本思想
あらゆるムダを徹底的に排除すること

生産のスピードを上げたり,生産量を拡
大することは重要ではない

トヨタ生産方式は、生産活動に関係する
あらゆるムダを排除して原価(費用)低
減をはかる。原価低減によって利益増
大をはかる
4
ムダの認識

現状の作業=仕事+ムダ
・仕事とは付加価値を高めるもの
・ムダとは付加価値を高めないもの

・たとえば、工作機械で加工する場合
手作業(据付等)
見張り?
手作業(取り外し等)
出所)大野耐一『トヨタ生産方式』ダイヤモンド社、1978年
5
7つのムダ







つくりすぎのムダ
手待ちのムダ
運搬のムダ
加工そのもののムダ
在庫のムダ
動作のムダ
不良をつくるムダ
6
「まとめてつくれば効率が上がる」という誤り
むだな在庫ができる
 在庫場所・建物が必要
 在庫管理工数(人)が必要
 運搬が必要
 在庫部品が悪化する
 むだな資金が必要

▷できるかぎり小さいロットで生産する
7
標準作業の設定

標準作業とは、いろいろな無駄を省いて、
真の価値ある働きのみを各作業者に集
めること

標準作業の三要素
1.タクトタイム(一つの作業の時間)
2.作業順序
3.標準手持ち(手元にある在庫)
8
標準作業表
作業内容
所要時間(秒)
タイヤ置き場に向かう
3
タイヤを持ち上げる
4
タイヤをラインに移動させる
10
・・・・・
8
合計
55
9
トヨタ生産方式の二本柱
1.ジャスト・イン・タイム (JIT)
必要な時に必要な物を必要な量だけ作る
2.自働化
①欠陥品(故障)が出ると自働的に機械
(作業)が止まること
②一つの作業が完了すると機械が止まる
こと
10
ジャスト・イン・タイム
市場の変化に応じて生産すること

市場の多様化や変動にフレキシブルに対応し、
売れるものを売れるだけ売れる速度で作るこ
とによって、つくりすぎのムダ等を徹底的に排
除すること

平準化が大前提
11
ジャストインタイム実現のために
後工程引き取り方式(Pullシステム)
・最終工程(組立工程)に生産計画を指
示し、後工程(組立工程)が使った分だ
け前工程(部品工程)に引き取りに行き、
前工程(部品工程)は引き取られた分だ
け生産する
12
かんばん方式のルール
① 後工程が在庫部品を取りにくる
② 在庫部品から「かんばん」をはずす
③ はずされた「かんばん」の量だけ前工程は生産する
補充
前工程
引き取り
後工程
在庫部品
部品工程
組立工程
13
かんばん方式の前提としての平準化

平準化生産とは、生産量・種類・時間の全てについて
バラツキをなくしてものをつくること。
・生産にバラツキがあればあるほど、JITは困難となりムダが多発する。
1.量の平準化
2.種類の平準化
量の平準化
14
平準化
②種類の平準化
AAABBBCCC
ABCABCABC
15
トヨタ生産方式の二本柱
2.自働化
①欠陥品(故障)が出ると自働的に機械(作
業)が止まること (例)ぽかよけ 反射神経
(1)欠陥品を作らない
「工程で品質を作り込む」
(2)問題点がすぐに発見される→改善活動
「目で見る管理」 「問題の見える化」
(例)あんどん
1
7
2
8
3
9
4 5 6
10 11 12
16
トヨタ生産方式の二本柱
2.自働化
②一つの作業が完了すると自働的に機械)
が止まる
(1)人の仕事と機械の仕事の分離が可能
手作業(据付等)
見張り?
手作業(取り外し等)
(2)一人の作業者による多台持ちが可能
(3)少人化(省人化)が可能
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自働化と自動化の区別
自働化
自動化
異常があったら機械自身が判 人がスイッチを切らないと動
断して止まる
き続ける。
不良を出したり、機械、型、治具 不良の多発、大きな機械故
を破損しない。
障につながりやすい
異常停止で異常の原因がつか 異常発生時がわからず、真
みやすい
因への対処ができにくい
結果として人をラインから省く
ことができる
作業量は減少しても,作業人
数はそのまま
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「なぜ」を5回繰り返す
問題の真因を探る
1.なぜ機械が止まったか⇒過剰負荷でヒューズが切れる
2.なぜ過剰負荷がかかったのか⇒軸受の潤滑が悪い
3.なぜ潤滑が悪くなったのか⇒潤滑ポンプの性能落ちている
4.なぜ潤滑ポンプの性能が落ちてるのか
⇒ポンプの軸が磨耗して機能が落ちている
5.なぜ磨耗したのか⇒濾過器がないので鉄粉が混入した
改善策=①ヒューズ交換 ②ポンプ軸交換 ③濾過器取付け
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まとめ(1)
売上-原価⇒利益
原価の中には、様々なムダが隠されている
ジャスト・イン・タイムと自働化によって原価削減

ジャスト・イン・タイム⇒在庫の徹底削減

自働化⇒問題の発見 「なぜを5回」→改善活動
20
まとめ(2)

たんなる技法としてトヨタ生産方式を導入すると
失敗する

会社全体のシステムとして,経営思想として導入
する必要がある

「実行」と「改善」の繰り返しが重要
21
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